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無限桃花の愉快な冒険7

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eroticman

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ぽかぽかとした日差しが降り注ぐ台風のような天気の中、桃花はカフェにいた。
カフェは人の気配がなく、満員御礼と言ったところだ。目の前で湯気を立てる冷めた飲み物は赤い。紅茶ではあるらしい。
頭を抱えてテーブルに突っ伏そうとしたが安物のプラスチックに突っ伏したら荒削りの木目のせいで痛いかもしれない。
幸いなことに椅子は特に変化がない。そしてテーブルの反対側で紅茶を飲んでいる男もまた特に変わりない。
いや、この男は見覚えがある。そう、この男は一度会っているのだ。桃花の最古の記憶にいる男。
「こんにちは。無限桃花さん」
桃花の気を知ってか知らずか男は丁寧な口調で挨拶する。
「お前が……ハルトシュラーか」
「桃花さんがご存知の通り、師匠は女性ですよ」
「お前は弟子か」
「そうです。そして案内役も仰せつかっています」
そういうと男は立ち上がり、歩き始めた。道があるわけではない。道が出来ているのだろう。
桃花もそれに着いていく。景色は一転し続けている。日差しと小雨と小雪が顔に当たる。
彼がドアノブを握る動作をするとドアが現れた。何の驚くこともなく、そのドアを開けて入る。
罠かもしれない。そんな思いが頭を過ぎったが選択肢があるわけではない。意を決してドアをくぐる。
海が見える。日差しは暖かい。頬に触る潮風や光を返す白い床は確かにそこにあるように感じた。
テラスになっているそこには白いテーブルが置いてあった。さっきまで人がいたらしくカップからは湯気を立てている。
「あれ、さっきまでここにいたんですけどね……ちょっと探してきますね」
男はそういうと建物の中に入っていった。ちなみにさっきあったドアはない。もはや驚く気にすらなれない。
代わりに男が入っていったガラスのドアがある。壁も一面ガラス張りでプライバシーもへったくれもない。
部屋の内装はホテルのそれに似ている。唯一違うのは本棚があるくらいだろうか。
待っていろとは言われていないが待っていないと困るだろうと考え、テラスの椅子に座る。
左手に見える海がなんという名前かはわからない。そもそも季節は冬だったはずなのにこんあにも日差しが暖かで
あることから自分の知る世界ではないかもしれない。ただ驚くことでもない。
「あれ、あなたは無限桃花さん」
海を見ていると突然背後から声がした。驚いて振り向き、転びそうになる。
「そんなに驚かないでくださいよー」
どういうわけかアンテナが生えているその女の子は名前もずばりあんてなと言うらしい。
「すれ違いみたいですねー。あなたが来る五分前までここに居たんですけどねー」
「ハルトシュラー……はどこにいったんだ?」
「えっとですね、待ってください」
うにょうにょと頭の上のあんてながピピピと電波を飛ばす。この建物はさして広いわけでもないので彼女でも検索可能なのだ。
「……一階のキッチン、いや、屋上かな。違う、図書室かも」
そんなことはなかった。こんなことで仕事が勤まるのだろうか。挙句の果てに「たくさんヒットするぅ」とか言い出す始末。
これでは期待できそうにない。桃花が残念そうにため息をつく。
「落ち込まないでください。あなたはあなたですから!」
「そりゃ、私は私だろう……」
「そうですよ。どんなにたくさんあなたが居ようがあなたはあなたなんです」
言い方が引っ掛かる。どんなにたくさんあなたが? 桃花が聞き返す。
「それは一体どんな意味なんだ?」
「え、だってあなたがたくさんいることはあなた自身も知ってますよね」
「それは有名な話なのか?」
「有名も何もそれを創り出したのは私の遙か上の上司ですからねー」
「そのとおりだ」
話が遮られる、第三の声。部屋のほうに振り向くと男とそして声の主がいた。
桃花の目が大きく開く。あの声の主こそが今までずっと探し続けた女性。
彼女は何の躊躇いもなくドアを通り、桃花の横を通り、紅茶の置かれた席に座る。
「あんてなたんは早く仕事に戻りなさい。休憩時間はとっくに終ったわよ」
「え、あれ、あー!」
あんてなは自分の時計を見ると振り向きもせず部屋を横切って出て行った。正しく脱兎の如くといったところか。
部下に対して「たん」付けはいかがなるものかと思うがここは置いといて彼女は一つ咳払いをすると桃花に向かって言った。
「久しぶりだな。無限桃花」
「ハルト……シュラー……」



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