相容れぬマスク
「なぁボス。今日の相手のXマスクって誰なんだよ?」
「だからニール、俺も聞いてないんだよ。解ってるのはお前と同じメキシコ上がりの日本人って事だけだ」
「ったく‥‥」
「グチるんじゃねぇよ。プロレスだぜ?こういうイベントは客が喜ぶのさ。解ってくれよチャンピオン」
「だからニール、俺も聞いてないんだよ。解ってるのはお前と同じメキシコ上がりの日本人って事だけだ」
「ったく‥‥」
「グチるんじゃねぇよ。プロレスだぜ?こういうイベントは客が喜ぶのさ。解ってくれよチャンピオン」
SSPマスクことニールは、控え室で社長に食ってかかる。今日の相手の日本人はIPWC推薦でニールの団体に参戦したマスクマンらしい。
「日本人レスラーは格闘技スキルが高い。油断すんなよニール」
「もちろんだ」
「息子は元気か?」
「ああ、今度カラテの昇級試験がある」
「そりゃ気合い入れないとな」
「先に俺だ」
「もちろんだ」
「息子は元気か?」
「ああ、今度カラテの昇級試験がある」
「そりゃ気合い入れないとな」
「先に俺だ」
ニールはタバコをふかしながら静かに闘志を高ぶらせる。
今は誰にも負ける気がしない。たとえタイトル戦でなくとも、手を抜いて戦えない。
満身創痍とはいえ、俺はチャンピオンだ。ニールは自分にそう言い聞かせた。
今は誰にも負ける気がしない。たとえタイトル戦でなくとも、手を抜いて戦えない。
満身創痍とはいえ、俺はチャンピオンだ。ニールは自分にそう言い聞かせた。
「さて‥‥やっこさんのマスクを拝みにいくか」
スポットライトがキャンバスを照らし、花道からは愛すべき馬鹿共の歓声が吹き出す。
いつものようにロープを跨ぎリングに立つニール。リングアナに紹介され、馬鹿共に存在をアピールした。
いつも通りだ。そのはずだった‥‥‥
いつものようにロープを跨ぎリングに立つニール。リングアナに紹介され、馬鹿共に存在をアピールした。
いつも通りだ。そのはずだった‥‥‥
「‥‥‥では、本日のメイン!Xマスク入場!」
突如、ニールの対角線上にあるゲートが照らし出される。そして現れたXマスク。それを見た客席からは、どよめきとブーイングが巻き起こった。
そこに現れたのは、ニールと同じスーパーストロングパンツを被った男‥‥。いや、違う。ニールのマスクは白い。しかしその男のマスクは黒だったのだ。
リング上で二人のパンツ男は睨み合う。ニールの闘志は既に殺気へと変わっていた。自分のアイデンティティであるパンツマスクを盗用された。マスクマンにとってこれほどの屈辱は無かったのだ。
リング上で二人のパンツ男は睨み合う。ニールの闘志は既に殺気へと変わっていた。自分のアイデンティティであるパンツマスクを盗用された。マスクマンにとってこれほどの屈辱は無かったのだ。
「随分フザケてくれるなジャップ」
「慌てるなよニール。高が知れるぞ」
「何?お前まさか!?」
「久しぶりだな。メキシコ以来か」
「慌てるなよニール。高が知れるぞ」
「何?お前まさか!?」
「久しぶりだな。メキシコ以来か」
Xマスクはたしかに久しぶりと言った。
ニールにも心当たりがあった。お前はまさか‥‥‥
そう言いかけた時、リングアナによる紹介が始まる。
ニールにも心当たりがあった。お前はまさか‥‥‥
そう言いかけた時、リングアナによる紹介が始まる。
「では改めて!先ずはIPWCヘビー王者!スーパーストロングパンツマシーン!」
ニールが紹介されると客席からはSSP!SSP!と歓声が上がる。いつもならそれに応えるニールだが、今日はそれが無かった。
そして遂に、Xマスクの正体が明かされた。
「そしてもう一人!IPWC推薦の新マスクマン!ハードドライヴィングパンツマシーン!!」
そして遂に、Xマスクの正体が明かされた。
「そしてもう一人!IPWC推薦の新マスクマン!ハードドライヴィングパンツマシーン!!」
ブーイングが激しさを増す。しかし、ニールも、対戦相手のHDPマシーンもお互いしか見えていない。
「お前と戦うのは随分と久しぶりだ」
「ヨシダ‥‥日本で総合へ転身したと聞いていたがな」
「戻ってきたのさ。お前と戦いたくてな。このマスクもその為だ」
「そりゃうれしいね。だがオフザケが過ぎるぜ‥‥ヨシダ!」
「ヨシダ‥‥日本で総合へ転身したと聞いていたがな」
「戻ってきたのさ。お前と戦いたくてな。このマスクもその為だ」
「そりゃうれしいね。だがオフザケが過ぎるぜ‥‥ヨシダ!」
ニールはゴングを待たずにキックを繰り出す。だが、ヨシダはそれを難無くキャッチし、ドラゴンスクリューでニールに答えた。
「チッ‥‥相変わらずうまいなヨシダ」
「お前はガマンが足りねぇからな。気性の激しさはさすがだぜ」
「お前はガマンが足りねぇからな。気性の激しさはさすがだぜ」
この瞬間、プロレス史上の残る抗争『ブラックパンツ抗争』が始まったのだーーー