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正義の定義 ~英雄/十二使徒~ 第2話 2/2




 「はっはっは、ひひひ…それはまたぁー炎堂君にうまく押し付けられたねー」
 官兵研究員は気色の悪い笑い声を漏らしつつ語る。
 「あのMはげー」
 「まぁまぁ、君達は英雄なんだからそう細かいことでカッカしないで」
 炎堂に嵌められ煮え湯を飲まされた三人。ともあれ、こうして官兵の運転する車で目的地へ向かっているのだからどうしようもない。
 「トエルちゃん、Mハゲなんて言っちゃだめだよっ…炎堂さん気にしてるんだから…」
 「ところで、HR-500にトエルという名前をつけてくれたのは君達かい?」
 目の前に気を配りつつ、官兵は陰伊に尋ねた。はい、とその隣に座る白石は答えたが正確には裳杖が考えたので、あ、やっぱり違いましたと訂正する。
 「へえ…裳杖君がねぇ…いや、感謝してるよ… シリアルナンバーで呼ぶのは少しかわいそうだと思っていたからね」
 「勝手につけていいものかと思ってたんですが…良かったです、喜んでもらえて」
 「ところでさぁ、トエルちゃんってなんにも知らないよねぇ?機械なんだからインプットで何とかなんなかったん?不便そうだべさ~」
 白石は朝の出来事を思い出し、官兵に聞く。もう数日は経つというのに全く施設内部の道を覚えていないトエル。機械なのにこれはどういう事かと
白石は思っていた。その疑問に官兵はこう答えた。
 「このトエルは…体こそ機械で出来ているが…CPUのコア…つまりAIの核の部分だね。それが生きてた人間の精神をデータ化して直接搭載しているんだ」
 「人間の…精神?」
 ああ、もちろん既に亡くなった方の物だよ…と、官兵は付け加える。
 「我々は神域に達したと言うが、その実精神なんてものはとても人間の手に作れるものではなかったんだ。だから即存の精神を使うほかなかったのさ…
だから情報入力は無闇にできない」
 「じゃあ…トエルちゃんは…別の誰かだったんですか?」
 陰伊は恐る恐る聞く。
 「はひひ…大丈夫、記憶はない。トエルが自身が誰かだったなんてわからないさ」
 「はあ…そなんですか」
 陰伊はひと安心した。だが心境は複雑であった。いきなりロボにされて戦わされるなんて…普通の人間であれば絶対に勘弁したいところだろう。
しかし記憶がない状態であればそれが普通なんだと事を受け入れる。それは記憶をなくして、利用しているに過ぎないのではないか?と。
もしそうだとしたら酷い話だ。既に死んでいるものを再び使うなんてあんまりである。いや、再び生を受けたことは喜ぶべきことではあるのだが…
トエルの人間の頃の記憶がなければ、これがよかったのかどうかもわからない。


 さて、目的地に着いた一行は「人が行方不明になった」との報告があった集落へと立ち寄った。その集落の長が言うに、入った人間が消える森
があるという。それだけでも気持ちが悪いものであったが今回は長の娘がその森で行方不明になったものだから一大事である。
 今回、長の娘を探すついでに、森で人が消える原因も調べて欲しいとのことだ。
 人が消える森…異形絡みである可能性は高い。そんな危ないものは機関としても放っておく訳にはいかない。
 「それでは頼みましたぞ」
 老人…集落の長は真剣な面持ちで三人(と一機) に頼んだ。正義の為人の為とあらばやるしかない。
 「はひひ、あなたの娘さんは…必ずや私どもが見つけて見せましょう!」
 気持ちの悪い、だがそれでいて爽やかな笑みで答える官兵のなんとたのもしいことか。長の顔に安堵の色が戻る。

 …なんて大見栄はったのは良いが、一体どうやって娘一人を探すというのか?

 「ふぇ!ここがもんだいのもりです」
 「如何にもって感じでしょや」
 「何か魔女とか住んでそうだよっ…」
 人が消えるという森へやってきた一行は、口々に感想を述べた。なんだか葉の色が禍々しい木だとか、気色の悪い植物だとか、十中八九毒であろう
山菜がごった返す…そんな絵に書いたような森だった。これも日本が変わってしまった影響だろうか?日本の美しい針葉樹を官兵は恋しく思った。
 「さて、では早速捜索を開始するとしよう…トエル」
 伊達に大見栄張った訳ではないようで、官兵には何か手があるようだった。
 「なんだよクソメガネ」
 「…ネコミミmodeになりなさい!!」
 官兵に冷ややかな視線が集まる。 
 「え、いや違うって!!レーダー!ネコミミmodeはレーダー探知をする機能があるの!そっち趣味があるとかそういうんやないし!」
 そんな官兵の言い訳を一通り聞いた後、その"ネコミミmode"とやらになってもらう事になった。
 「コード入力ネコミミmodeだ。やってみなさいトエル」
 「ネコミミmodeでーす」
 昔、こんな歌が OPのアニメがあったような記憶がある。このアニメを作っていた頃はよもやあんな有名な制作会社になるとは夢にも思わなかった…
と、メタな話はこのくらいにして、トエルはネコミミmodeへとチェンジが完了したようだ。その頭には勿論ネコミミがあった。か、かわいい…と思わず
陰伊が無意識に口に出してしまう程愛らしい姿である。 
 「ふえ!やっぱりこれおまえのしゅみだろクソメガネ!」
 「ちゃ、ちゃうわ!趣味ちゃうわ!犬耳のほうが好きだわ!」
 それにしてもロボネコミミ幼女とかなんか属性がヤバイ。


 「ふえー、ふえー、」
 猫耳をピコピコ動かし、辺りを捜索するトエル。それに続く一行は彼女のかわいらしい姿に癒されていた。
 「…ドゥフフ…やべぇなこれ…」
 ボソリと呟く官兵。よく見ると官兵は非常にステレオタイプのオタクの雰囲気を纏っていた。今や絶滅したと思われたオタクはこうしてしぶとく生き残っていたのだ!
 「官兵研究員、なぜトエルちゃんのおしりばかり見ているんだべさ!?」
 「ふ…ムラムラするからさ…!」
 きもやかに言う官兵。その顔はいつになくいきいきと輝いていた。ぶっちゃけキモイ…だが二人には何故か彼がかっこよく見えた。顔はキモイけど。
 「ふえ!?なんかはんのうが!」
 と、ここで進展があったようだ。
 「なにぃ!?それはどこだねトエル」
 「こっちこっち!」
 「いこ、陰伊ちゃん!」
 「う、うんっ」
 何者かの反応をキャッチしたというトエル。走る彼女を追いかける官兵と陰伊達。広い広い森の中、ようじょとメガネと少女達は駆け抜ける。途中木の根に足をとられながらも、大きなムカデを踏みつぶしてしまっても、今はトエルを追うのが第一だった。


 「ギャース!!」
 「た…助け…」
 少女は絶体絶命の淵に立たされていた。周りは異形に囲まれ、森の中ただ一人…誰が助けにくるわけでもない。
 ああ、もうすぐこの異形共の胃袋に入ってしまうのかと思うとどうしようもない絶望にかられた。恐怖のあまり、顔には倒錯した笑みが張り付いていた。
 異形の一つがぐあっと口を開け、もう駄目かと思われたその時!!その大口を蹴飛ばす影が一つ。
 「やめなぁ…私に触ると…ケガするぜ…?」
 メガネがきらりと光る。少女を救う影の正体は官兵だった。七三分けをふわっとかき分けるその姿は、何時にも増してキモやかだった。
そして無駄に髪がさらさらだった。
 「ってアンタかい!!」
 「官兵さんは戦えないんだから下がっていてくださいっ」
 後から現れた陰伊達。何故かやりきったような表情を浮かべる官兵を尻目に陰伊達はオープンデバイスを取り出した。
 少女はあまりに事が急すぎて混乱していたが、自分が助かったのかと思うと気を失ってしまった。異形達はと言うと、食事を邪魔されて
黙っているはずがなく、すぐに陰伊達に牙を向く。

 「英雄『大陰』…で、出ます!」
 「さあ…いくべさ!!システム『白虎』…解凍開始!」ベーンベンベンベンベーンベーン

 「!?」
 異形達は突然の光に視界を奪われる。光が収まった時に異形達の目に映ったものは、全身武装に固めた人間二人であった。
 「第八英雄陰伊三!あなた方に恨みはありませんが…倒させていただきまひゅッ!?」
 「あ、かんだ」
 「倒させていただきますぅッ!」
 いまいちカッコの付かなかった陰伊は、その失態をとり戻すかのように積極的に敵に向かっていく。
 その頃、官兵は襲われていた少女を抱き抱えトエルの元まで戻ってきていた。
 「はぁ、はぁ…ふいー…最近ペンチよりも重いもの持ってなかったからしんどいわー」
 「ふえ!たいりょくないなクソメガネ!」
 「うっさいわほっとけ…あ、ほらトエル。お前も戦闘に参加しなさい」
 「ふぇ?」
 なんだかんだで、トエルは今まで戦闘をしたことは無かった。機械といえど何も知らない素人だ、強要するだけ酷というもの。だがトエルは第十二英雄。
戦う為に生まれてきたのだ、戦闘ができなければ意味がない。
 「どうやってするかわからないよお!」
 「戦闘の補助はサブコンピューターがしてくれる!チェンジコードを入力するんだ!」
 「ふ、ふえぇぇ…」
 言われるがままにコードを腰のデバイスに入力する。すると変化はすぐに起きた…トエルの体が発光し、その姿を変える。
 それは他の英雄達のような武装を装備するという事ではなく、変身と形容するのが適切に思われるものだった。
 「いいぞ…これがトエル…お前の真の姿だ…!」



 「いきます!てやあッ!」
 陰伊は踊るように、這うように異形達の間を抜ける。次々と襲いかかる異形達をその双剣で受け流し切り刻む。「ぐえあ!」致命傷を負った異形の一匹が地に伏す。
 「ギシャアー!」
 死角から襲いかかる一匹の異形。鋭い牙が口から何本も伸びているその異形は陰伊の腕を噛みちぎろうとしているようだ。気配を感じた陰伊は
振り向いて回避を試みるも完全に避けきることは不可能で僅かに腕の肉が削られた。
 「…ッ!」
 「大丈夫!?陰伊ちゃん!」
 白石の心配する声。もっとも、彼女も異形達の相手に追われているため支援に行くことが出来ない。ジワリと血が滲む陰伊の腕。
痛みはあったが動かせぬ程ではなかった。陰伊はデバイスにコードを打ち込み、異形達を一掃しようと考える。
 『"ブレイブ""ダブルセイバー"』
 陰伊は双剣をブンブンと振り回し出す。すると双剣の刀身は空圧の刃を纏いだした。みるみるそれは大きくなっていき、刀身の倍程度になったところで
陰伊はそれを振り下ろした。
 「はぁぁぁぁぁ!!」
 ズンっと、二つの刃が大地を削り取る。そこにいた異形達は跡形もなく消え去った。
 「ふう…」
 異形達を倒し、一息つく陰伊。しかしそれがいけなかった。そろそろ白石に加勢しようかと思ったその時、茂みから黒い影が飛び出す。討ち漏らした異形である。
 しまったと体制を整えようとするも遅い。やられるかと覚悟を決める陰伊。しかし異形の攻撃が彼女に当たることは無かった。
 「…?」
 「ふえぇぇぇ…!」
 「と、トエルちゃん!?」
 現在ネコミミツインテ幼女のトエル。
 「だいじょうぶ!?ふえ!」
 「…その姿は…何?」
 「あのクソメガネのしゅみだよ!ふえ!」
 そこにメイド服と言う属性も追加されて登場した。もう何なのこの子、収集付かないんですけど!
 そんな中、トエルに弾き飛ばされた異形は尚も飛び掛ってくる。
 「ふぇ!ムッコロ!ムッコロ!」
 『"ジャンクション""ガトリング"』
 「ふえぇぇぇええ!!」
 機械音の後、突然現れた大身のガトリング砲。それを軽々と持ち上げ、飛び掛った異形を射抜くトエル。サブPCがサポートしているせいか狙いは正確
一寸の無駄もない射撃動作。その事から、やっぱり機械なんだな…と陰伊は思った。
 「ギャオオッ…」
 「ふえ!や、やっつけたよお…」
 「ありがとう…トエルちゃん…助かったよ」
 危機一髪の所を助けられたことを感謝する陰伊。それにしてもトエルのこの武装…本来は第三英雄冴島 六槻の物である。
 「それって、冴島さんの…」
 「ふっふっふ、その質問には私が答えよう!!」
 湧いて出てきたキモやかな笑顔。官兵はこう説明する。
 「聞いて驚け!このHR-500、トエルは第七を除く全ての英雄武装を使うことができるのだ!わーっはっは!すごいぞー!かっこいいぞー!」
 と、満足げに笑う官兵のキモやかな顔がただのキモイ顔になる。そんな官兵を見て、若干引き気味に陰伊は官兵にこう尋ねた。
 「…ところで、何でメイドなんですか?」
 すると官兵は即座に
 「メイドは男のロマン!」
 と答えるのだった。陰伊は、ああ…この人はこういう人なんだと官兵の見解を改めることとなった。
 「つか、こっちまだ戦ってるでしょや!助けてよ!」
 はっとする陰伊達。そういえばまだ戦闘中だったと言わんばかりのリアクションである。ぺろっと舌を見せる官兵に怒りを覚える白石だったが今は
それどころではない。その光景を見た陰伊は支援に向かおうとするが、トエルがそれを止める。
 「みつはけがしてるからここでやすんでて!ふぇ!」
 「でも…」
 「ふぇ!いいから!いいからふぇ!ふえぇぇぇ!」
 『"ジャンクション""クロウ"』
 トエルの持っていたガトリング砲が鉤爪に変化する。トエルはそれを腕に装着すると、白石が戦っている場所へトテトテと走っていった。


 「トエルちゃん…それ、私の…」
 「ふえ!」
 「まねしたのかなぁ~?」
 「ふえぇ…」
 白石が奮戦していたので、異形の数は五匹程度にまで減っていた。五匹の異形は白石達の周りをぐるぐると回り奇襲の機会を狙っているようだったが。
 ここで白石がアイコンタクトで何かを伝える。それに気がついたトエルはコクンと頷き、二人はコードを入力した。
 『"ゲール""クロウ"』
 『"ゲール""クロウ"』
 以前白石が見せた疾速の爪撃。それをトエルは記憶していた。
 そして今。二人の呼吸が合わさった時、互いに逆方向へと疾走するのだった。速く、疾く。最早肉眼では
「異形の間を何かやけに早いものが動いている」
程度のレベルでしか認識出来ないほどに速かった。風のように軽やかに、嵐のように力強く、異形達を切り刻んでいく。
そうして二人が一直線上で互いに背を向け静止した時、二人の間にいた異形はどす黒い血しぶきを上げ飛散した。
辺りに黒い雨が降る。獣臭い匂いがそこら中から沸き上がってくる。白石はこれは帰ったら洗濯しないとなぁなんて思いながらこう呟くのだった。

 「また来世…」

 「ううん… あら…ここは…?」
 少女は自分が気を失っていたことに気がついた…だがどうも気絶する前の記憶が曖昧だ。たしか自分は異形に襲われていて…
そういえばなんだかやけに獣臭い。まさか!自分は食べられてしまったのでは!?気が動転した少女は突然何かにとり憑かれたかのように暴れだした。
 「ふぇ!お、おちつけ!ふぇ!ふえ!」
 「はて?ここは胃袋の中なのでは?」
 「ふぇ!なにねぼけたこといってんだこいつ!」
 「あ、目がさめたんですか?」
 おさげの少女が彼女を介抱する。人の温かみを感じたことで、ようやく自分は助かったんだという実感を得た少女は同性とはいえこんなに
長い時間抱きしめられていることを少し恥ずかしく思った。その顔はりんごのようにほのかに赤く染まっていた。

 「あの…、ありがとうございます。危ないところを助けていただいて…」
 おさげの少女、陰伊が介抱を解くと少女は丁寧に御礼をした。まあ、英雄にとって人助けは当然の義務なのでどうということはないが、
やはり感謝されるのは嬉しいものがあった。
 「いいよぉー。私たちは英雄だし~」
 「あの…もしかして君…集落の長の娘さんの『サキ』さんだったりしない?」
 そう官兵は少女に尋ねた。
 「あ…はい!そうです!私サキです!」
 いきなりビンゴであった。
 「いきなり依頼の一つは片付いたねっ」
 「…あの…、ちょっとよろしいですか?」
 小さいが芯の通ったよく聞き取れる声でサキは言った。何か面倒事じゃなきゃいいなと思いつつも「なんだい?」と官兵が答えると…
 「実は…探して欲しい人がいるんです」
 サキは非常に切羽詰った顔で官兵に迫った。ずんずんと、思わず官兵が二歩三歩後退するもぴったりとくっついてきた。
 「い、いったい誰なんだい…その…探して欲しい人っていうのは…?」
 顔が引き攣りつつも冷静にサキの話を聞く官兵。先は一瞬ためらったような表情をし、そして意を決して話した。


 「…兄です」
 「兄…?」


 森の中で襲われていた少女を助けた英雄達!しかしこの後…予想だにしない展開が待っている事を…彼らは知らない…

                                              ―続く―



《次回予告》
森の中で少女の救出に成功したのも束の間、今度はお兄ちゃん探しときたもんだ!
「ふえー!お兄ちゃんふえぇ!」
森をさ迷う中、一軒の建物を発見する英雄達…その建物は何と!あの有名なファミファミいうコンビニエンスストアだった!!
「ファミ○キください!」
しかしそのコンビニ…何かがおかしい。そもそもこんな森の中にコンビニ…?一体どんな秘密が隠されているというのか…ッ!
次回「妖怪コンビニ24時/後編」乞うご期待!!
「ふえぇ!はやくほかのひとのきゃらとからませたいふぇ!」



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