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正義の定義 ~英雄/十二使徒~ 第3話 1/2




でんせつーのーこんびにー

 さがしにーゆこうー

 でんせつーのーこんびにー

 さがしにー…

 「こ…これは…!」

 一行の前にそびえ立つ、白を基調としたガラス張りの建物。その異常なまでの存在感に力負けし、景観乱れる迷いの森。
 今や見かけることはない、その建物の名は… 

 「わかるんですか!?官兵さんッッ」
 「ああ…これは…『コンビニ』ッッ!!」
 「コンビニッッッ!?」
 「ああ…しかもファミファミいうやつ…だ…ッッッ!」

 「これがこんびに?ふえ?うーん…」


 第三話
     ―『妖怪コンビニ24時/後編』―


―前回のあらすじ
「ふえぇ」って幼女の特権だと思っていたけど違ったんですか!?
幼女あざとい幼女
官兵はいつの間にか変態キャラになってたでござる、かしこ

集落の長に頼まれ、長の娘と森で人がいなくなる原因を探すことになった英雄一行。よくよく考えてみると一話と流れが殆ど変わらねーじゃねーかって。
異形に襲われている幼女を助ける流れなの。最近の幼女は用心無さすぎなの。あ、でも今回は幼女じゃなかったか。まぁあれですよ。
ヒーロー物には必ず都合よく襲われてる人とか怪人とかそこに都合よく現れる正義の味方とかお約束よね。でもこれは、ただ単に被っただけだったなの。

それでは本編。



 「お兄さん…?」
 「あっ、友達の…ですが」
 少女、サキ曰く、この森で行方不明になってしまった「助弐夷(じょにい)」なる人物が友人の兄なのだとか。彼と交流のあったサキは彼の身を安じ危険を
承知でこの森に足を踏み入れ、そして先程のように異形に襲われていたところを陰伊達に助けられた…と言うのが事の顛末だとサキは語る。
じょにいって読むのかこれ、なんだか外人みたいな名前だなぁと白石は感じたようで。何でも昔一時期そういう外人の様な名前をムリヤリ漢字で宛てがい
子供に名付けるというのが流行ったとか。子供の事を考えるなら親の自己満足で名前をつけてはいけないというのに。個性があればいいと言うものではない
…子供が子供を産む時代の悲しき弊害である…。
 「お願いします、私と一緒に彼を探してくださいませんか?」
 サキはこのとうり…、と深々と頭を下げ、潤瞳を見せて懇願する。そんな顔を見せられては白石達断るわけにもいかなくなる。ノーと言えない日本人。
民族柄というのは怖いねえ、義理人情は江戸っ子の証。尤も、陰伊達の中に江戸っ子は居ないのだが。
 「そんなっ、こっちは元からそのつもりでしたよ!」
 という言葉が秒待たずして陰伊の口から出てくる。まったくこのお人好しめと一行は呆れるも皆、彼女の意見には賛同であった。ありがとうございます、と
サキは丁寧にお辞儀をした。
 「いえいえ当然です」
 陰伊は調子のいいことを言う。一行は助弐夷を探すために森の更に奥へと歩を進めていった。

 ふとここで、白石はサキに若干の違和を感じた。彼女の衣服はやけにボロボロだった。裾は擦り切れ、帯はよれよれ。所々布が破れていて慈姑柄の色の
抜けきった着物であった。先程の異形共にやられたのだとしても損傷が激しすぎるだろう。衣服だけボロボロにされるなんていうのもおかしい。此処は一つ
彼女に直接聞けばよいではないかと白石は思案したが、さすがにそこまでデリカシーの無い事は尋ねられない。考えた末導き出された答えは…
「あれはダメージジーンズとか言う昔はやったファッションと似たようなものだろう」
…ああ、これしかないとIQ30もの頭脳を誇る白石はこの違和感に対する理由を自己完結した。

 だいぶ森の奥までやって来た一行であったが、人影はおろかめぼしい手がかり一つでさえも見つける事ができないでいた。今現在もどこかに異形共が
いるであろうこの森でゆっくりとしている暇はないのだが。不意にがさがさと茂みが動く。異形かと構える白石と陰伊であったが、そこから現れたのはリス、
あるいはそれの亜種である動物だった。ふう、と胸をなで下ろす陰伊。ここにあの小心者の北条院がいたならば問答無用で斬りかかっていた事だろう。
そんな小動物に呆気をとられている二人を余所に、官兵達はこの場所に非常に不釣合な建物を発見していた…
 「なんだあれは…?」

―――…

 「これがコンビニかぁ…やってるのかな?」
 陰伊は興味があると言わんばかりに目を輝かせて言った。遠目に見てもわかるその存在感。滅多にお目にかかれない建物コンビニ。
 「今の時代やってるコンビニなんて…」
 「明かりついてるし、営業中でしょや。ちょっとはいってみよーよ」
 明らかに個人的な好奇心で動く白石。そんな様子を見て困ったような顔をするトエルとサキであったが、何か手がかりが見つかるかもしれないとコンビニ
へ歩いていく陰伊達についていった。
 官兵は一足先にコンビニへと足を踏み入れていた。というのもコンビニをリアルタイムで知っているのはこの官兵だけであるからだ、昔を思い出す懐かしさ
と何故こんなところにコンビニがあるんだという警戒心のせめぎ合いの中、そういえばこのコンビニファ○マなのにファミファミならねえなとかそんな事を考え
ていると店員が挨拶を官兵に向けた。
 「ぃらっしゃいあせぇえええええ…」
 後半が尻上がりのごく一般的な挨拶。コンビニの店員はやけに毛深い、だが脳天の毛が心細い印象の中年の男であった。
 「おおー!なんかすごいべさー!」
 「すごーい!」
 白石達も店内へ入ってくる。コンビニと言うものが初めてな二人は大はしゃぎ。勝手に商品に触っちゃいけないぞと官兵に注意を促される。
年相応の笑顔の少女達がそこにいた。
 「ここ…コンビニですよね?」
 官兵は店員に尋ねる。はい、そうでございますと店員はさしておかしい事など無いかのように答える。いや、おかしいだろうと場の空気に流されそうに
なった官兵は思い直した。店員の男は人の良さそうなふっくらとした顔つきと体つきの中年だった。張り付いたような笑顔が不気味であったが。
遅れてきたサキとトエル。だがトエルの方はあまり興味が無さそうな、つまらなそうな顔をしていた。
 「ふえ、なんだかごっちゃりしているところです」
 「そう?けっこうキチンと商品陳列されていると思うけどなぁ~」
 トエルはつまらなそうにつぶやいた。白石と感想は違えど、物が沢山あるという事には変りない。店内は週刊誌やカップラーメン。お菓子に惣菜パン。
それらが棚に小奇麗に陳列されているのであった。別に何も面白い光景じゃない。ただ、陰伊達には十分新鮮だった。保温ケースに並べられた
肉まんに食指を揺すられる。「揚げたて」とポップが付けられたフライドチキンの匂いがいたずらに白石の鼻腔内をくすぐった。
 「これかってよー」
 「お金持ってないから!」
 なんて官兵にねだる白石であったが、これは見事に断られたみたい。

 「あ…これは…!」
 サキは店内で何かを発見した。コンビニには似つかわしくない『骨董コーナー』とかいうエリアで見つけた錆びたナイフであった。相当な年代物で、
生産後最低百年は経過しているであろうそのナイフは、サキのよく知る人物のものであった。
 「どうしたんですかっ…サキさん?」
 「このナイフは…助弐夷の…!」
 「え…!?」

 「ほほお、それの持ち主のことをご存知なのですか」

 サキ達の背後に現れた中年の男。
 「わっ」
 二人は豆鉄砲を食らった雀のように驚いて振り返る。男の手にはサキが持っていたはずのナイフが握られていた。サキは自分の手からいつの間にか
消えたナイフを奪い返そうとするが男はのらりくらりとかわすのであった。
 「それ、かえしてください」
 「お断りします。店の商品ですので…んふ」
 「私の知り合いのものです」
 「今は私の所有物ですからして。それにこれはほかと違って”特別”ですから」

 店内に不穏な空気が流れる。ゴオォ、と冷凍庫の稼動音だけがその場に響いていた。

 「あなた…一体なんなんですか?」
 陰伊の問い掛けに、男は一考した後こう答える。
 「私は…蒐集癖がありましてねぇ、今も昔ほどではありませんがこういった珍しい品物を集めているのでございます」
 「ここに来た人間の品物を奪って、ですか」
 サキの明らかに憎しみのこもった声。彼女は男をまるで十年来の宿敵、いやもっとかもしれない。それ程の気迫で男を見据えていた。
その様から感じ取れるのは単一の感情などという簡単なものではなく、もっと複雑な、悲しみや怒りやそれに準ずるいくつもの感情…
それがサキの心には渦巻いていた。
 「おや、あなたは何故それを知っているのですか?適度に噂を流した後は皆喰い殺していたのに」
 「喰い殺したって…まさかあなたが行方不明者を…!」
 そう言い、陰伊はキッと男を威嚇するように睨んだ。男はニヤニヤと気持ちの悪い笑みを浮かべていた。官兵とはまた違う、もっと異質な何か。
陰伊はここで男が人間ではないことを確信した。
 「私はねえ…喰い殺した人間の一番大切なものをコレクションするのが、ねえ、とてつもなく好きなんだ。他者が生きていた、存在の証というものを独占
するのが、個人が凝縮されたそれを見ていると、ねえ、それが狂おしいほど輝いて見えるんですよ。たまらなく奪いたくなる、衝動に駆られるんですよ」
 「…助弐夷のナイフをかえせッ!!」
 「今迄やって来た人達を…喰い殺した罪、重いですよ」
 にじり寄る二人。男は両手を前に突き出して、おおこわい、と言わんばかりの態度で後退した。
 「暴力はいけませんねえ、あ…じゃあこういうのはどうでしょうか?」
 男はポケットからなにやら小箱を取り出す。オモテ面を見て、それがトランプの入った箱であるという事がすぐに分かった。不敵に微笑む男を見て
不快感を露にするサキ。一体トランプで何をするのかと思えば男はこんな提案をしてきた。
 「どうでしょう、ここはポーカーで勝負しては?」
 「ポーカー…?」
 「あなた方が勝てばこのナイフ…そしてここ数カ月に捕まえた人間たちはまだ食べていませんのでそれも開放しましょう…ただし」
 そこで一旦言葉を止め、ゴクリと唾を飲み、ジュルリと舌を舐めずる男。ぞっとするような笑みを浮かべこう言葉を続ける。
 「あなた方が負ければ、あなた方の大切なものを頂戴いたします…どうでしょう?」
 こんな提案、乗らなくとも英雄武装で倒してしまえばすぐだろう。だが陰伊は正々堂々と勝負するのがモットーの人間だ。その上感情的になると頭が
回らなくなってしまうタイプの人間だ。今の彼女に「提案に乗る」以外の返事は存在しなかった。
 「やってやりますよ…!」


 「…もう、どうしてのるの。ばか、ほんとばか!ふぇ!」
 事の経緯を聞いたトエル達は無策に相手の提案に乗った陰伊を責めていた。一番大切なものとして陰伊が差し出したのはオープンデバイス。本人曰く、
カエルのお守りとどっちを出すか迷ったらしい。
 「何故カエルの方を出さなかったんだべさ?」
 白石はこんなカエルの方が大事なのかと思いつつ聞いた。カエルのお守りというか、殆ど蛙の置物であるそれを陰伊はぎゅっと握る。
 「こ、これは駄目!これは…絶対駄目。ほら…勝てばいいんだよ。居場所も分からない捕まった人達も開放されるみたいだし…」
 「そう、うまくいくといいんだけどね…相手はおそらく異形だよ?」
 「わかってますよ、官兵さん」

 「準備はよろしいですかな?」

 男の問い掛けにコクンと頷く陰伊。すると今までコンビニのだったはずの室内はテーブルがひとつあるだけの黒の空間へと変化するのだった。

 「さあ始めましょう、愉しいゲームを」


 「うーん…」
 ポーカー。トランプで行う賭け勝負で最もポピュラーなゲームである。これに挑むは陰伊三。彼女に配られた五枚のカード。
スペード5ダイヤ9ハート3クラブ5スペード9。ツーペアだ。
 「さて、クローズド・ポーカーで5本勝負。ということでよろしいですか?」
 五枚のカードから顔の上半分をのぞかせる男は確認をとる。口元が良く見えないのが余計に不気味さを引き立てていた。
 「…よろしいです」
 同意する陰伊。彼女の横にはベットとしてオープンデバイスが置かれている。負ければ没収…そもそも、これは機関の物なのだが…
 「カードは交換しますか?」
 「一枚交換します」
 陰伊はハートの3を捨て、男は山から一枚のカードを飛ばす。陰伊は飛んできたそれを顔の前でキャッチした。手にとったカードは…クラブの9!
 (フルハウスだ…!)
 フルハウスといえばなかなか強い手だ。これで勝負する事にした陰伊。対して男は手札を変えなかった。
 「オープン!」
 「…!」
 陰伊が手札を晒す。それと同時に男の役も明らかになる。
 「3の…フォーカード…負けた…」
 男の役はフォー・オブ・ア・カインド。フルハウスよりもひとつ上の役だ。でもまだ一回目だと、めげずに二戦目へと挑む陰伊。
 「まずは私の一勝でしたね…では、次へいきましょう…」
 二戦目。陰伊の手札はなんとKのフォー・オブ・ア・カインド。これはよほど運がなければ一発で出ることはない。今度こそ!と、意気込む陰伊だったが…

 「そんな…」
 「フォーエースです。ふふ…」
 エースのフォー・オブ・ア・カインド。KとAではAの方が強い。この勝負も陰伊の負け…。
 ここで白石は「ちょっとおかしいんじゃない?」と抗議をする。なにせ二回連続手札変え無しでこんなにぽんぽんいい役が出る訳がない。
イカサマしていると白石は踏んだのだろう。
 「ならば、あなた方がカードを配れば、問題はないでしょう?」
 余裕の面持ちで男は答える。彼の妙な素直さを不審に思いながら白石はカードを切る。念のためカードに細工されていないかと確認するが、これといって
細工された痕跡は見受けられない。言い表せぬ違和感に襲われながらも白石はカードを配った。
 三回戦。これで負ければ取り返しの付かないことになる…

 「オープン」

 「ハートの87654!ストレートフラッシュです!」
 「スペード、ロイヤルストレートフラッシュだ」
 「なっ…!?」
 現実とはかくも残酷である。
 「さあ約束です。それをこちらに渡してもらいましょうか…」
 「うう…」
 納得いかないとはいえ約束は約束。だが他は納得するわけがなかった。
 「こんなの無効!なんかおかしいでしょや!イカサマに決まってる!」
 白石は異議を唱える。そうだそうだと同調する周りの人間。しかし肝心のタネが分からない。魔法のからくりがわからなければそれはイカサマには
ならないのだ。ならばイカサマを証明してくださいと一層不気味な笑顔に顔を歪める男。一同が押し黙るそんな中、沈黙思考していたトエルが口を開く。
 「…ふえ!ふえぇ!ほんとにそんなこどもだましでこのわたしをあざむけるとおもうてか!」
 今まで我慢していたトエルは満を持して言い放った。その長いツインテールを得意気に掻き上げた後、勢い良く男を指差し、こう言葉を続ける。

 「おまえがやっていることは、ぜんぶまるっとおみとおしだ!!ふえ!!」

 キリっと、あたかもこの機を狙っていたかのよう。いや、トエルは確かにこの時を狙っていた。何故なら彼女は最初からわかっていたのだ…
"店に入った時点で"全て。心なしか店内でのトエルの反応が薄かった気がするのは気のせいでは無かった。一瞬、男の表情が陰る、がすぐに元の
気持ちの悪い笑顔に戻った。
 「私がイカサマ?どうやったというんです!?」
 男は馬鹿にしたような態度でトエルに問いた。彼女の自信は揺るがない。その目は『真実』のみを映していた。
 「ふぇ!めにみえているものがいつもげんじつとはかぎらない…」
 「!?」
 「これはぜんぶおまえのみせている"まぼろし"にすぎない!ほかのにんげんのめはだませてもこのわたしのめはだませない!!ふえふえ!!」
 ズズーン!そんな効果音がぴったりと当てはまりそうな様相を男は醸し出してた。トエルはこの空間もトランプも全部、男の異形の見せた幻であることを
暴いてみせたのだ。今のトエルは泰山梁木と言えなくも無い。
 「なぜ…わかった…私が幻影を見せる類のモノだと!」
 「なぜもなにも、わたしきかいだからまぼろしなんてみえませんし!きかいはげんじつしかみれませんし。ふぇ」

 「やっぱりイカサマだったべさ!このインチキ野郎!」
 「正々堂々とやったのに…酷いです!」
 「異形相手に正々堂々というのも…私はどーかと思うけどね」



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