無限の館内部廊下。
シカ・ソーニャは混乱していた。
ソーニャは無限桃花の気配を探知することが出来る。この能力は大抵の無限桃花には備わっているものらしい。
しかしどういうことか。気配を見つけ、部屋の中に飛び込んだと思ったらその気配が消えるのだ。
実際に部屋に入ってみるが中には人はおろか埃が積もっていたことすらある。
ハルトシュラーはこの館がギミックだらけなのを知って、ソーニャは知らせなかったのだ。
長い付き合いがあるわけではないがなんとなくはハルトシュラーの趣味がわかっている。
きっとソーニャがぼろぼろに疲れて帰還したのを見て、笑いたいのだろう。
「本当に趣味の悪い人だ……」
そして今、ソーニャは窮地に立たされている。
そもそもその無限桃花は最初から行動がおかしかったのだ。他の無限桃花はソーニャと普通の無限桃花の
区別がつかないらしく自分から寄ってくることもある。だが、その無限桃花はある一定以上の間隔を
つめることがなかった。まるで寄ってくるのを待っているように。廊下の灯りが貧弱なせいで遠くから
攻撃しようにも当たりそうにない。仕方なく近くに寄ろうとすると同じ間隔で逃げていく。
やがて体力が尽きたのか速度が落ちていき、廊下の真ん中で足を止めた。
やっと倒せると思ったら前後左右の扉が大量の無限桃花が現れたのだ。
数は30はいるだろうか。廊下は大剣を振り回すには少し狭い。
「少し聞いてもいいかしら」
軍団の中の一人。眼鏡をかけた無限桃花が前に出る。
「あなたはもう創作者の手から離れた存在なのになぜハルトシュラーに従うの?」
「従っているわけではない。仕事を持ってきたから承諾しただけだ」
「それじゃあ、あなたは無限桃花を殺戮するとわかった上で来たわけ?」
「そうだ」
眼鏡をかけた無限桃花の顔が歪む。あの表情は憤怒だ。理性がなければ襲い掛かってきたことだろう。
「なんのために?」
なんのためにか。一瞬、間が開いた。
「あいつの依頼は奇妙なものが多い。私のいる世界では体験することの出来ないものばかりだ。
半分は己の経験のために。半分は興味のために。この依頼も同様だ」
「そう……」
空気が変わった。ソーニャが怯むほどの魔力を感じる。
あまりにも暴力的な魔力の塊がソーニャを睨んでいた。
「もういいわ」
ソーニャは持っていた剣を少し長く変化させる。
眼鏡をかけた無限桃花が腰の刀を抜いた。
「自らの行動を呪いながら死ね」
「来るがいい。無限の力を見せてみろ」
廊下にいくつもの魔方陣が瞬時に展開された。
シカ・ソーニャは混乱していた。
ソーニャは無限桃花の気配を探知することが出来る。この能力は大抵の無限桃花には備わっているものらしい。
しかしどういうことか。気配を見つけ、部屋の中に飛び込んだと思ったらその気配が消えるのだ。
実際に部屋に入ってみるが中には人はおろか埃が積もっていたことすらある。
ハルトシュラーはこの館がギミックだらけなのを知って、ソーニャは知らせなかったのだ。
長い付き合いがあるわけではないがなんとなくはハルトシュラーの趣味がわかっている。
きっとソーニャがぼろぼろに疲れて帰還したのを見て、笑いたいのだろう。
「本当に趣味の悪い人だ……」
そして今、ソーニャは窮地に立たされている。
そもそもその無限桃花は最初から行動がおかしかったのだ。他の無限桃花はソーニャと普通の無限桃花の
区別がつかないらしく自分から寄ってくることもある。だが、その無限桃花はある一定以上の間隔を
つめることがなかった。まるで寄ってくるのを待っているように。廊下の灯りが貧弱なせいで遠くから
攻撃しようにも当たりそうにない。仕方なく近くに寄ろうとすると同じ間隔で逃げていく。
やがて体力が尽きたのか速度が落ちていき、廊下の真ん中で足を止めた。
やっと倒せると思ったら前後左右の扉が大量の無限桃花が現れたのだ。
数は30はいるだろうか。廊下は大剣を振り回すには少し狭い。
「少し聞いてもいいかしら」
軍団の中の一人。眼鏡をかけた無限桃花が前に出る。
「あなたはもう創作者の手から離れた存在なのになぜハルトシュラーに従うの?」
「従っているわけではない。仕事を持ってきたから承諾しただけだ」
「それじゃあ、あなたは無限桃花を殺戮するとわかった上で来たわけ?」
「そうだ」
眼鏡をかけた無限桃花の顔が歪む。あの表情は憤怒だ。理性がなければ襲い掛かってきたことだろう。
「なんのために?」
なんのためにか。一瞬、間が開いた。
「あいつの依頼は奇妙なものが多い。私のいる世界では体験することの出来ないものばかりだ。
半分は己の経験のために。半分は興味のために。この依頼も同様だ」
「そう……」
空気が変わった。ソーニャが怯むほどの魔力を感じる。
あまりにも暴力的な魔力の塊がソーニャを睨んでいた。
「もういいわ」
ソーニャは持っていた剣を少し長く変化させる。
眼鏡をかけた無限桃花が腰の刀を抜いた。
「自らの行動を呪いながら死ね」
「来るがいい。無限の力を見せてみろ」
廊下にいくつもの魔方陣が瞬時に展開された。