メリッサ=ファルシオンという女性には腕が無い。
いつ頃失ったのか、どうやって失ったのか、などと言ったことについては固く口を閉ざしたままである。
普通の腕となんら変わらない動きを再現できる義腕があるお陰で腕が人工であることに気がつかない人も多い。
だから、指摘されない限りは自分の腕に関して語ることは無い。
唯一の例外はユトという青年である。
過去を語らなくとも、自分の無い腕を晒し、整備させているほどに信頼している。
その重要さについてお互いに語ることは無い。語るのが怖いのか、それとも。
いつ頃失ったのか、どうやって失ったのか、などと言ったことについては固く口を閉ざしたままである。
普通の腕となんら変わらない動きを再現できる義腕があるお陰で腕が人工であることに気がつかない人も多い。
だから、指摘されない限りは自分の腕に関して語ることは無い。
唯一の例外はユトという青年である。
過去を語らなくとも、自分の無い腕を晒し、整備させているほどに信頼している。
その重要さについてお互いに語ることは無い。語るのが怖いのか、それとも。
まぁそれはとにかく、腕があるお陰でものを掴んだりすることが出来る。
今日も彼女は腕を活用していた。
今日も彼女は腕を活用していた。
「なっ、……なんですってっ!?」
拳をギチギチと音を立てるほど握り締める。
強度限界を振り切るのでは、というレベルの負荷を与えられた拳は明らかに苛立ちを含んでいる。
その様子を大きく胸を張った女性は、鼻でせせら笑うかのような表情を浮かべてみせた。
強度限界を振り切るのでは、というレベルの負荷を与えられた拳は明らかに苛立ちを含んでいる。
その様子を大きく胸を張った女性は、鼻でせせら笑うかのような表情を浮かべてみせた。
「耳が遠いのね……もう一度言うわ。安全な冒険してるのねぇ……って言ったの」
メリッサを見下ろすような身長の女性は、ワザとらしく頭を振って髪の毛を整えて、更に前髪を指先で端に寄せるような仕草をする。高い位置にある太陽の光に銀色の髪の毛がきらりと雪のような反射をした。
Yシャツに黒いズボン。それこそモデルのような体の凹凸を見せ付けるように片足に体重を預ける。
その女性の青い瞳とメリッサの黒っぽい瞳が交錯する。
メリッサは胸を張って腰に手を置いてみるが、どう頑張っても相手との身長とスタイルの良さを埋める事が出来ない。女性は腹部で腕を交差させるようにして胸を強調させる。メリッサはとりあえず腰から手を外すことにした。
Yシャツに黒いズボン。それこそモデルのような体の凹凸を見せ付けるように片足に体重を預ける。
その女性の青い瞳とメリッサの黒っぽい瞳が交錯する。
メリッサは胸を張って腰に手を置いてみるが、どう頑張っても相手との身長とスタイルの良さを埋める事が出来ない。女性は腹部で腕を交差させるようにして胸を強調させる。メリッサはとりあえず腰から手を外すことにした。
「私は常に死ぬか生きるかの斬り込みをして宝を回収してるって言うのに、貴方達ときたらこそこそ見つからないようにしてるんですってね。だから安全な冒険をしてるって言ったの」
「こいつ~……言わせておけば……!」
「こいつ~……言わせておけば……!」
見る見る内に頭に血が上ってきたメリッサは拳を相手に一発入れようと企む。
女性はその手に気がついたのか一歩後退して、改めて口元に笑みを浮かべた。
臨海公園というより海上公園の展望台にて女の戦い。周囲から見たら醜い光景なのかもしれない。
潮風に二人の髪の毛がバサバサとなびく。
昼間からナニをやっているんだろうと思ってはいけない。
メリッサは指を女性の眼前に突き出すと、空いているほうの手を腰に置く。そしてやや声を張り上げて堂々と宣言した。
女性はその手に気がついたのか一歩後退して、改めて口元に笑みを浮かべた。
臨海公園というより海上公園の展望台にて女の戦い。周囲から見たら醜い光景なのかもしれない。
潮風に二人の髪の毛がバサバサとなびく。
昼間からナニをやっているんだろうと思ってはいけない。
メリッサは指を女性の眼前に突き出すと、空いているほうの手を腰に置く。そしてやや声を張り上げて堂々と宣言した。
「勝負よ! ε(イプシロン)3遺跡に潜ってどれだけいいモノを取れるか!」
「へぇ……」
「へぇ……」
ε3遺跡。
今彼女らが居る都市から北に向かった位置に存在する遺跡である。
海溝から伸びる亀裂の中に嵌るように存在している遺跡で、その最大深度は1万mを超えている。遺跡自体が海底を掘り進むようにして建築されているため、潜水機でも耐え切れない深度の場所が存在しているという。
内部構造の大半は今だ不明。
また、ガードロボが多数徘徊していることでも知られていて、数多くのダイバーを葬ってきた危険な遺跡なのだ。
ちなみにメリッサとユトの二人は一度しか行ったことがない。
女性はメリッサが突き出した指の先端から逃れるように頭を逸らしつつも視線は外さない。しかも不敵な笑みは維持したまま。
今彼女らが居る都市から北に向かった位置に存在する遺跡である。
海溝から伸びる亀裂の中に嵌るように存在している遺跡で、その最大深度は1万mを超えている。遺跡自体が海底を掘り進むようにして建築されているため、潜水機でも耐え切れない深度の場所が存在しているという。
内部構造の大半は今だ不明。
また、ガードロボが多数徘徊していることでも知られていて、数多くのダイバーを葬ってきた危険な遺跡なのだ。
ちなみにメリッサとユトの二人は一度しか行ったことがない。
女性はメリッサが突き出した指の先端から逃れるように頭を逸らしつつも視線は外さない。しかも不敵な笑みは維持したまま。
「いいわよ。一週間後にε3遺跡の目標球の前で会いましょう」
女性は、風に揺られる銀髪を見せつけながらメリッサに背中を向けると、片手を挙げて公園から去っていく。
メリッサは指を下ろすことなく女性を睨みつけ続けた。
正直、その背中を蹴りたかった。
メリッサは指を下ろすことなく女性を睨みつけ続けた。
正直、その背中を蹴りたかった。
「と、いうことで」
「何がということでなのさ」
「何がということでなのさ」
机の上に身を乗り出すようにしてユトに説明するメリッサ。
瞳に宿る強い光にやや身を引きながら、ユトは言う。開口一番ということででは何がなにやら分からないからだ。
メリッサは人差し指を上げると、ユトの目の前で振ってみせる。
広々としていながらモノの多いリビングの机の上。開け放たれた窓からはほのかな潮の香りがしてくる。
瞳に宿る強い光にやや身を引きながら、ユトは言う。開口一番ということででは何がなにやら分からないからだ。
メリッサは人差し指を上げると、ユトの目の前で振ってみせる。
広々としていながらモノの多いリビングの机の上。開け放たれた窓からはほのかな潮の香りがしてくる。
「ε3遺跡に潜るの。OK?」
「OKじゃないよ、メリッサ、全然OKじゃないよ。難易度高すぎるじゃないか、ε系は。前に潜ったときは早速大型ガードロボ出てきて逃げたわけだし。なんかあったの?」
「……いや、特になにもないけど」
「OKじゃないよ、メリッサ、全然OKじゃないよ。難易度高すぎるじゃないか、ε系は。前に潜ったときは早速大型ガードロボ出てきて逃げたわけだし。なんかあったの?」
「……いや、特になにもないけど」
今まで自信まんまんな態度で主張していたが、ここで視線を逸らした。何か知られたくないことがあるというのはバレバレだった。基本ポーカーフェイスできない彼女の欠点である。
暫く考えていたユトは、一つのことが引っかかったのか、同じように人差し指を上げた。
暫く考えていたユトは、一つのことが引っかかったのか、同じように人差し指を上げた。
「ウィスティリアさんにそそのかされたりした? あの人相手を挑発するの好きだし」
「な――! 違う違う! あのバカ関係ないわよ!」
「な――! 違う違う! あのバカ関係ないわよ!」
大慌てで否定してかかるが、今更遅い。ここまで大きく反応を見せたということは答えを言ってしまったのと大差ない。ユトは困ったような表情を浮かべる。
ウィスティリア=クロイツェル。
同年代の(年齢不明なためそういうしかない)ダイバーで、街でも有名な人間である。
「力で倒してこそダイバー」という独特の考え方を持っていて、機体は戦闘について考えられた構成となっている。ガードロボが出ようものなら積極的に斬りかかって破壊する。ダイバーらしからぬダイバー、それが彼女だ。
メリッサ曰く「戦闘狂」。
宝を取るのと同じくらい戦うことが好きなのだという。
実力も相当なものを持っているため、決してバカにすることが出来ない。
その彼女は理由は分からないが毎回事あるごとに二人に突っかかってくる。小さなことから大きなことまで、粗探しとも言える文句をつけてくることもある。
「髪の毛が痛んでる」「服がかっこ悪い」「太った?」「やる気あるの?」――などなど。
その度にメリッサはこうやって頬を膨らませながら帰ってくるのだ。
なんというか、分かりやすいにもほどがある。
ユトは時計を確認しながら人差し指を降ろした。
ウィスティリア=クロイツェル。
同年代の(年齢不明なためそういうしかない)ダイバーで、街でも有名な人間である。
「力で倒してこそダイバー」という独特の考え方を持っていて、機体は戦闘について考えられた構成となっている。ガードロボが出ようものなら積極的に斬りかかって破壊する。ダイバーらしからぬダイバー、それが彼女だ。
メリッサ曰く「戦闘狂」。
宝を取るのと同じくらい戦うことが好きなのだという。
実力も相当なものを持っているため、決してバカにすることが出来ない。
その彼女は理由は分からないが毎回事あるごとに二人に突っかかってくる。小さなことから大きなことまで、粗探しとも言える文句をつけてくることもある。
「髪の毛が痛んでる」「服がかっこ悪い」「太った?」「やる気あるの?」――などなど。
その度にメリッサはこうやって頬を膨らませながら帰ってくるのだ。
なんというか、分かりやすいにもほどがある。
ユトは時計を確認しながら人差し指を降ろした。
「いいよ」
「え?」
「だから、いいよ」
「え?」
「だから、いいよ」
あっけなく提案を受け入れたユトは、机の上に腕を置いてリラックスしながら言った。
ポカーンと小さく口を開けて沈黙するメリッサ。冷静になってきた思考でよく考えて見れば、命がけのことを強要しているに等しい行為ということに気がついたらしい。
逆に慌てる彼女に、ユトは口を開く。
ポカーンと小さく口を開けて沈黙するメリッサ。冷静になってきた思考でよく考えて見れば、命がけのことを強要しているに等しい行為ということに気がついたらしい。
逆に慌てる彼女に、ユトは口を開く。
「前々からリベンジしたいとは思ってたからね。それに、この前のヘマの分を取り返すいい機会じゃないか」
「うーん………本当にいいの?」
「うん。ただし一つ条件があるんだけど、どうかな」
「うーん………本当にいいの?」
「うん。ただし一つ条件があるんだけど、どうかな」
言うなりユトは席を立って家の出入り口の方へと歩き始める。
釣られる様にメリッサも席を立って後を追う。
釣られる様にメリッサも席を立って後を追う。
「オヤジさんの新しい武器とか、色々欲しいからさ。装備が原因で死にたくは無いんだ」
「いいわよ。むしろお願い」
「いいわよ。むしろお願い」
ユトが相手の返事を聞かずに席を立った理由はいくつかあるが、その中で最大の理由は「今買わないと買えないのでは」ということであろう。戦闘が好きではないといっても、戦わなくてはならないときもある。いつまでも使い古しの武器だけではどうにもならない。
財布の紐を握っているのはメリッサ。悲しいかな、女に勝てない男の宿命。
二人は、ツナギ姿のままで街に繰り出していった。
財布の紐を握っているのはメリッサ。悲しいかな、女に勝てない男の宿命。
二人は、ツナギ姿のままで街に繰り出していった。
ユトの言うオヤジさんとは、街の片隅に店を構えている中年の男性のことである。
かつては寝る間も惜しんで遺跡に潜っては宝を取って必ず帰ってくるという海の男で、その経験を生かして潜水機専用のパーツを造って販売している。
宝のお陰で裕福なため、パーツの値段設定はとことん適当。気に入らない人物には高値で売りつけ、美人な女性が来ると格安で販売するという、どんぶりな性格をしている。腕は確かで信頼出来るが、商売の仕方が雲のようにあやふやなのだ。
散らかった街の片隅にある店の前に来た二人。曇ったガラス戸の中を覗き込んでみる。誰も居ないようだ。
かつては寝る間も惜しんで遺跡に潜っては宝を取って必ず帰ってくるという海の男で、その経験を生かして潜水機専用のパーツを造って販売している。
宝のお陰で裕福なため、パーツの値段設定はとことん適当。気に入らない人物には高値で売りつけ、美人な女性が来ると格安で販売するという、どんぶりな性格をしている。腕は確かで信頼出来るが、商売の仕方が雲のようにあやふやなのだ。
散らかった街の片隅にある店の前に来た二人。曇ったガラス戸の中を覗き込んでみる。誰も居ないようだ。
「オヤジさんこんにちはー! ユトとメリッサですー!」
ガラス戸に負荷をかけない程度にノックするユト。がしゃがしゃとうるさい音が鳴るが、目的の人物は一向に出てこない。
痺れを切らしたメリッサは、両手でメガホンを作ると大声を張り上げた。
痺れを切らしたメリッサは、両手でメガホンを作ると大声を張り上げた。
「こーんにちわーーーーーぁ!!」
しかし、反応が無い。
その後も暫く待ってみるが、人っ子一人店の中に見えてこない。顔が張り付くかと思うほどにガラス戸に接近して中を覗き込み、名前というか愛称を連呼しても何も起こらない。一週間後に潜るのだから出来る限り早い段階で会っておきたいのに出てこない。
居ないのかなと二人が店から離れだしたその時、ガラス戸ががらがらっと開いた。
上半身裸の白髪交じりのダンディーな男性が出てくる。手に持っているジョウロを店先にある植木鉢にかけ始め、大あくびをしながら眼を擦った。
なんで上半身裸なのかは分からないが、そこにいるということが重要だ。
反転しかけた二人はぱたぱたと音をさせるように駆け寄った。
元潜水機乗りのオヤジは二人に気がついたらしく、ジョウロを植木鉢の横に置いて首を回しながら振り返った。酒の臭いがしているあたり晩酌でもしていたのだろうか。
その後も暫く待ってみるが、人っ子一人店の中に見えてこない。顔が張り付くかと思うほどにガラス戸に接近して中を覗き込み、名前というか愛称を連呼しても何も起こらない。一週間後に潜るのだから出来る限り早い段階で会っておきたいのに出てこない。
居ないのかなと二人が店から離れだしたその時、ガラス戸ががらがらっと開いた。
上半身裸の白髪交じりのダンディーな男性が出てくる。手に持っているジョウロを店先にある植木鉢にかけ始め、大あくびをしながら眼を擦った。
なんで上半身裸なのかは分からないが、そこにいるということが重要だ。
反転しかけた二人はぱたぱたと音をさせるように駆け寄った。
元潜水機乗りのオヤジは二人に気がついたらしく、ジョウロを植木鉢の横に置いて首を回しながら振り返った。酒の臭いがしているあたり晩酌でもしていたのだろうか。
「よぉ、お二人さん。俺になんか用かい?」
「こんにちは、オヤジさん」
「おはよ。もう昼よ」
「ナニ、もう昼だってぇ?」
「こんにちは、オヤジさん」
「おはよ。もう昼よ」
「ナニ、もう昼だってぇ?」
腕時計を見るそぶりをする中年オヤジ。無いことに気がつくと、ズボンのポケットに手を突っ込んで探し始める。何も出てこなかった。そこにユトが携帯電話の画面に映っている時計を見せる。時間は昼過ぎである。
中年、驚きに眼を大きくする。店を経営してるとは到底思えない態度である。
パチンと額を平手で打つ。
中年、驚きに眼を大きくする。店を経営してるとは到底思えない態度である。
パチンと額を平手で打つ。
「やっちまった!」
「んなのどうでもいいから商品見せなさいよ」
「んなのどうでもいいから商品見せなさいよ」
腕を組んでブスっとした表情を浮かべているメリッサは、歳上の相手に対する態度など産まれたときに置き忘れてきたような言葉を投げかける。
中年のオヤジ――店主は、両手を大きく広げると、顔がくしゃくしゃになるような笑顔を浮かべて、メリッサのほうを向く。胸毛が暑苦しい。爽やかな笑みの下の胸毛ジャングルを隠そうともしない。
そして両手を「おいで」するように動かし。
中年のオヤジ――店主は、両手を大きく広げると、顔がくしゃくしゃになるような笑顔を浮かべて、メリッサのほうを向く。胸毛が暑苦しい。爽やかな笑みの下の胸毛ジャングルを隠そうともしない。
そして両手を「おいで」するように動かし。
「お嬢さんオジサンの胸に来ないか?」
「もしゃもしゃしてて嫌。バカやってるとむしるわよ?」
「やーれやれ、ギャグってのを分かっちゃいねェな」
「早くしなさい」
「ヘイヘイ」
「もしゃもしゃしてて嫌。バカやってるとむしるわよ?」
「やーれやれ、ギャグってのを分かっちゃいねェな」
「早くしなさい」
「ヘイヘイ」
店主の顔を一瞥。胸元には視線を一ミクロンたりともやらずに店の奥を指差して促す。
吹き出すユトを尻目に、何故か嬉しそうな店主はガラス戸の鍵を開けて二人を内部に招いた。
埃臭さとかび臭さと脂臭さと生活臭と……これ以上は考えたくなくなってくる臭いで充満した店内は、どこかで見たような部品が乱雑に並べられていて、薄暗い。
店長が電気をつける。すると隅のほうに潜んでいたネコが威嚇するような声を上げてどこかに逃げ出した。
いつの間にかシャツとタオルで武装した店長は、咥えた煙草に火を灯しながら二人のほうを見る。
吹き出すユトを尻目に、何故か嬉しそうな店主はガラス戸の鍵を開けて二人を内部に招いた。
埃臭さとかび臭さと脂臭さと生活臭と……これ以上は考えたくなくなってくる臭いで充満した店内は、どこかで見たような部品が乱雑に並べられていて、薄暗い。
店長が電気をつける。すると隅のほうに潜んでいたネコが威嚇するような声を上げてどこかに逃げ出した。
いつの間にかシャツとタオルで武装した店長は、咥えた煙草に火を灯しながら二人のほうを見る。
「そんで? ご注文は?」
飄々とした態度の店長に、まず最初はユトが口を開くが、横から伸びてきたメリッサの手に発言権を奪われてしまう。
もがもが言うことで終了。メリッサは間髪入れず言葉を発する。
もがもが言うことで終了。メリッサは間髪入れず言葉を発する。
「アロンダイチウム電池の新型1セット。ナイフ一本。それと、つい最近新造した魚雷ランチャー頂戴。大至急で」
「随分買うんだな、お二人さんは」
「随分買うんだな、お二人さんは」
今聞いたことを忘れないようにということなのか、ぶつぶつと呟いて復唱すると、店の奥へと消えていく。今とってくるわけではない。潜水機専用の装備は人間が運ぶにしては重くて大きすぎるのだし。
数分後。タオルで鉢巻を被った店長は、店の奥に向かってなにやら大声を張り上げながら二人の前に戻ってくる。
数分後。タオルで鉢巻を被った店長は、店の奥に向かってなにやら大声を張り上げながら二人の前に戻ってくる。
「それを運ぶんだ! 今日中だぞ!」
「はぁ~い。わかりましたてんちょー!」
「はぁ~い。わかりましたてんちょー!」
妙に間延びした高い声が店内にくわんくわんとこだまする。
ここの店で働いている人物である。
二人は声だけしか聞いたことが無いため、どんな外見なのか分からない。分からないのだが、こんな店長の店で働けるのだからたくましい人物なんだろうなということだけは分かる。
店の奥で慌しい音が聞こえてくるのをBGMに、店長は二人の姿をにんまりと浮かべた笑顔の顔で見る。
メリッサは胡散臭いものを見るような眼。ユトは古い友人に再会したような眼。
店長は顎に手を当てるとおもむろに口を開いた。
ここの店で働いている人物である。
二人は声だけしか聞いたことが無いため、どんな外見なのか分からない。分からないのだが、こんな店長の店で働けるのだからたくましい人物なんだろうなということだけは分かる。
店の奥で慌しい音が聞こえてくるのをBGMに、店長は二人の姿をにんまりと浮かべた笑顔の顔で見る。
メリッサは胡散臭いものを見るような眼。ユトは古い友人に再会したような眼。
店長は顎に手を当てるとおもむろに口を開いた。
「ははァん、さては……お嬢さんの喧嘩に巻き込まれたボウズが仕方が無く、だな、だろ? 装備から推測するにダイヴ。武器が入用ってことはきっと難易度の高い遺跡に、ってことなんだろうな」
ちょっと考えれば分かる推理なのだが、目の前の人物だけには言われたくなかったことを言われて、メリッサは悔しそうに表情を険しくさせる。ユトはどうしていいのやら分からないようで、部屋の端っこからこちらを見つめてくる猫とにらみ合いを始めた。
「……正解よ。お金はどうすればいいの」
「配達したときにくれりゃあいいさ。いつも通りってな。……その時にオジチャンの腕の中に飛び込んでくれれば半額にしてやってもいい」
「お断りするわ」
「だろうな」
「配達したときにくれりゃあいいさ。いつも通りってな。……その時にオジチャンの腕の中に飛び込んでくれれば半額にしてやってもいい」
「お断りするわ」
「だろうな」
猫と壮絶な視線(ガン)の飛ばしあいをしていたユトは、話が一段落したのを見計らって話に入るために片手を軽く挙げた。
店長はその手に反応して手を挙げる。
店長はその手に反応して手を挙げる。
「ランチャーの方なんだけど、見せて貰ってもいいですか?」
「構わないぞ。ついてきな」
「構わないぞ。ついてきな」
床に落ちていた工具を足で蹴っ飛ばして隅のほうにやると、すたすたと軽快な歩調で店の奥へと進んでいく。ユトは慌ててその後を追う。埃が舞い上がり、メリッサは軽く咳き込んでしまう。
「あ、後は俺一人でいいから。メリッサは先に帰っててもいいよ!」
「そーね」
「そーね」
メリッサは地面に落ちている布切れを靴で裏返す。それはどこからどう見ても男物のパンツだった。
多少は我慢できるだろうが、流石にこれは酷い。以前訪れたときよりも悪化しているとしか思えなかった。埃塗れのそれから眼を逸らす。
多少は我慢できるだろうが、流石にこれは酷い。以前訪れたときよりも悪化しているとしか思えなかった。埃塗れのそれから眼を逸らす。
「……こっから先は男の魔境みたいだし」
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