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prologue:行き先は、色褪せゆく大地。

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 ――――とある世界の、遠い遠い未来のお話。
 とてもとても大きな戦争があった。
 全てを無に還すその戦いは、世界の全てを更地にして、やがて終結した。
 その戦争で、人々の記憶に、何代にも渡る消せない傷を残した力の象徴。
 人はそれを、自動人形と言った。

 ――――そして、その世界とは、別の世界のお話。
 むかしむかし、世界はゼロに戻された。
 理由はわからない。だが確かに、世界はゼロに戻ったのだ。
 だが、人々は希望を捨ててはいなかった。
 何も無くなった世界を人と共に作り直していった、同じ世界の同居人。
 人はそれを、機械人形と言った。

 ――――これは、そんな自動人形と機械人形、そしてそれらにまつわる人々の物語。

 混迷を極めるこの街で――彼らと彼女らは明日を咲かす。


■Tuern×Para Bellum!□
てのひらをたいように
Prologue:行く先は、色褪せゆく大地。


□Chapter 01:燃える男の、赤いトラクター。


 太陽がさんさんと照らす丘の上で、茶色いジャンパーを羽織った青年が寝転んでいた。傍らには、赤いトラクターが一台。
 この丘には草木ひとつ生えていないため、トラクターの陰で休んでいるのだ。
 しばらく空を見てから身を起こし、不精髭の生えた顎をじょりじょりと摩って、あくびをひとつ。
<ねえ、ショウイチ>
 青年がもう一度寝転ぼうとしたおり、隣のトラクターが少年のような声を発した。
 何を隠そうこのトラクター、人型に変形する自動人形なのだ。ちなみに名前は、タウエルン。
「どうした、タウ」
 ショウイチと呼ばれた青年が、立ち上がって埃を払う。
<街は目前なのに、仕事探さなくていいの?>
 タウにそう促され、ショウイチが眼下の街を見下ろした。
 荒野の真ん中にぽつんと存在する街、アウロラ。ショウイチらの次の目的地になる……はずだった場所だ。
 しかし、アウロラの人々は機械アレルギーを起こしていて、人々は機械を使わずに非常に原始的な生活をしている。
「さっき売り込みに行ったら石投げられただろ」
<そうだよね……>
 しかし、眼下の街にはどう見ても活気はなく、作物が育っているような様子もない。
<でも、早くなんとかしないと、あの街滅びちゃうよ>
「『機械に頼るくらいなら、死んだほうがましだ』」
<え……?>
 唐突にショウイチが口にした言葉に、タウが唖然とする。
「もう、そういう人しか残っていないんじゃないかって事だよ、タウ」
 そう悲しそうな顔で言ってから、水筒の水を一口、口に含んだ、その時だ。
「ブフッ! ゲホ、ゲホッ。何だ……?」
<地震……!?>
 突然地面が揺れ、ショウイチが水を噴き出した。揺れはどんどん強くなり、やがて立っていられない程にまで達した。
「馬鹿言え、タウ。ここは日本じゃない、そうそう地震なんて起きるはずが――――ッ!?」
 必死に地面にしがみつきながら上空を見上げると、そこには巨大な、血のように赤黒い球体が浮かんでいた。
 そしてその中心には、
「あのシルエット、まさか――――」
 自動人形。
 そう言おうとしたが、突然吹き始めた突風に邪魔される。
 白銀の身体の全身に、空中に浮かぶ球体と同じ、血管のようなラインが全身に走っている。鋭いツイン・アイも同じだ。
 美しく、禍々しい白銀の彫像。だがしかし、あんなタイプの自動人形は見た事がない。
<ショウイチ、あれを何とかしないと、アウロラが!>
 タウの言う通りだ。直感だが、アレを止めなければアウロラの街が、そして自分達が危ない。
「ああ、そうだな。タウエルン、トランス!」
 刹那、赤いトラクターが縦に割れ、人の形へ変型していく。
 猛牛のような頭部の二つ目を輝かせ、一台のトラクターは赤い巨人に変貌した。
<バッファローモード.起動>
「ソーラーキャノン、展開!」
 ショウイチの宣言でタウエルンの武装の制限が解除され、右腕からウエハース状の物体が姿を表す。
 タウエルンは腕を動かして、遠方の自動人形に狙いを定めた。
 が、発射前に白銀の自動人形はタウエルンを察知し、凄まじい速度で接近する。
 タウエルン、構わずソーラーキャノンを発射。レーザーともビームとも違う光条が白銀の自動人形へと飛翔した。が、
<弾いた!?>
 何らかの防御機構によってソーラーキャノンのベクトルが逸らされ、明後日の方向に飛んでいく。
 タウエルンに、衝撃。
 白銀の自動人形が組み付いたのだ。
<オートマタ風情が、邪魔をするというのか……!>
 自動人形が、喋った。
 聞こえようによっては唸る獣の声にも聞こえそうな、低い低い、男の声で。
<オートマタ……何の事だ……!?>
 自動人形を引きはがそうと、タウエルンが排気口から重低音を響かせながら出力を上げ、自動人形を跳ね飛ばした。
<赤いの、貴様の事だ>
 短く言うと、自動人形が両手を突き出した。赤い光が手に集まる。
 タウエルンも同様に、両手をスライドさせて出現させたウエハース状の物体から、ソーラーキャノンを放たんと構えた。
 放たれた閃光とぶつかり合う突風でタウエルンが吹き飛ばされる。だが白銀の自動人形は若干怯んだだけだった。
 オーバーロードした両腕のソーラーキャノンを見やると、踵を返して自動人形がつぶやく。
<そこで見ていろ>
 再び赤い玉の中へと戻っていく自動人形をしばらく睨んでいたショウイチが、タウの元へと少しずつ這ってきた。地震はまだ収まっていない。
「大丈夫か、タウ!」
<うん、なんとかね……。ごめん、発射速度で負けちゃった……>
「いや、それはいい。ソーラーキャノン、撃てるか?」
<胸部のなら、まだ大丈夫>
「よし、最大出力でいくぞ」
 タウエルンの胸部が両端にスライドし、砲口が姿を現す。それは上下左右に滑らかに動いた後、赤い球体に狙いを定める。この間、わずか○.五九秒。
「ソーラーキャノン、撃て!」
<うん……ソーラーキャノン、発射!>
 命中。上空で赤い玉が弾けた。
 まるで血袋が爆ぜたように赤い粒子が飛び散る。
 それっきり、視界は暗闇に塗り潰された。
 そして――――


■Chapter 02:お米、ないんですか?


 つい最近、崖っぷちティーンエイジャーとなったばかりだというのに、一条 遥は上機嫌だった。
 三つ編みを揺らしながら、トマトが入った紙袋を抱えて雲ひとつない六月の空の下を歩く。半袖のローブのおかげで、初夏の暑さもなんのそのだ。
 ちなみに上機嫌な理由は単純、久々の休日、しかも天気が晴れだから。
 とある理由で別世界から三人の客人達がやってきてひと騒ぎがあってからこっち、ほとんど休みもなく、休みだとしても雨で外にも出られない憂鬱な日が続いていた遥にとって、今日という日は素晴らしい日なのだ。
「遥さん、嬉しそうですね」
 傍らで小さな狐を肩に乗せた黒い長髪の美少女、ここブラウニング領のお姫様にして、遥らの所属するなんでも屋“やおよろず”のオーナー、まどか・ブラウニングが大人びた微笑みを浮かべた。
 ちなみにまどかはまだ一四歳、現役の学生でもある。
「だって日本でもないのに最近雨ばっかりだったもん」
 えへへー、と紙袋に頬擦りする。
<まったく、単純な奴だなおまえは>
 まどかの肩に乗っている九尾の狐がハスキーな声で言った。というか彼女は本物の狐ではない。狐型オートマタ、玉藻・ヴァルパイン、通称たまちゃんだ。
「だって単純なほうが世の中楽しめるからね」
 小さな手の平を太陽に翳と、陽光で血管が透けて見える。
<だからいつまでも子供なんだよ、おまえは>
 呆れ半分、感心半分でたまが呟いた。
 石畳が敷き詰められ、人や車で賑わうメイン・ストリートを歩いていく。この街、レイチェルの六月は暑かった。
 それから、食材やいくつかの消耗品を買って、最後に米を買おうと輸入モノの食材を扱っている店へ入る。
 そこで、悲劇は起きたのだ。
「お米、ないんですか?」
 ちょび髭にオールバックの店主の顔を見上げながら遥が尋ねる。初老の店主、エンリコ・アルベルティーニは申し訳なさそうに頭を下げた。
「ごめんね、遥ちゃん」
 いえ、そんな、と遥も頭を下げた。
 ――――しかし、どうしようか。何日もパンだと、約一名がうるさそうだ。それに遥自信もどちらかと言えばごはん派である。
「何かあったんですか?」
 続いて、まどか。ちなみにまどかはエンリコと同じくらいの身長なので、見上げる必要はない。
「はい、姫様。どうやら船がまだ着いていないようなのです」
<トラブルか……海の魔物にでもやられたか?>
「はい……たま様のおっしゃる通り、おそらく水中用の機械人形に襲われたのではないかと推測されています。ですが――――」
 列車もそうだが、機械人形――――オートマタが船舶を襲う事は稀だ。運がなかったか、あるいは、
<何か、妙な物でも積んでいたか……>
「妙なもの、ですか」
<冗談だよ、それよりも米だ。米がないとウチの珍獣がうるさいんでな。何かないか? エンリコ>
 漂い始めた不穏な空気を払拭しようと、たまが別の話題を振る。するとエンリコはしばし考えてから、
<隣のアウロラになら、まだ少なからず残っていると思いますが>
 アウロラは、かつて荒野だった場所をオートマタ達と協力して広大な田畑へと開墾した街で、オートマタとの共存の象徴のような場所だ。
 神子が多く、かつて田畑を耕したブルタイプのオートマタに習って、彼らが契約しているのはブルタイプのオートマタが大半を占めているとか。
 ちなみに、旅をしていた遥にとってのレイチェルの次の目的地だった場所であり、たまがブルタイプの装甲を提供してもらった場所でもある。
「うーん……アウロラですか」
「そんなに遠くはないよね」
<まあ、行けない事もないな>
 うーん、と三人で考える。
 近いとはいえ徒歩では時間がかかるし、列車で移動するには近すぎる。ルガーの車を出せばいいのだが、果たしてお米のためにそこまでするべきか首を傾げざるを得ない。
「……リタちゃんには悪いけど、お米はしばらくお預けかな」
「そうですね……」
 若干沈んだ気分で、遥達はエンリコの店を後にした。


□Chapter 03:あの子は機械が好きだから。


 整備されたメインストリートから少し外れると、人通りが少なくなったレイチェルは、また違う顔を見せる。獣道と畑が広がる、農業地帯という裏の顔を。
 まあ、賑わっているのはメインストリートだけで他は大体がこんな感じなので、こちらが表と言うほうが正しいかもしれないが。
 そして、周りを畑に囲まれた場所に、ガレージと演習場、レンガ造りの屋敷からなる、なんでも屋“やおよろず”はあった。
 無理矢理改装された玄関にももう慣れた。荷物を置いて、靴を脱ぎ、声を合わせて、
「只今帰りました」
「ただいまー」
<帰ったぞ>
 するとしばらくして、家の奥からひとりの筋肉質な男性が出てきた。ブロンドロン毛のインテリマッチョ、やおよろずのマネージャー、ルガー・ベルグマンだ。
「おかえり。暑くなかったかい?」
「いえ、大丈夫でした。ところでリタちゃん達はまだ帰ってきてないんですか?」
 靴箱に靴をしまいながら、遥が問う。
 やおよろずには、ここにいるメンバー以外にもリタ・ベレッタとライディース・グリセンティ、リヒト・エンフィールドとヴァイス・ヘーシェン、リヒター・ペネトレイターがいる。
 リヒターが遥の部屋にいる事は知っているが、他は朝仕事に出て行ったっきり見ていない。
「リタちゃん達はまだお仕事中みたいだね」
 どうやらまだ町長のところのトラクターを直しているようだ。
「頑張ってますね、リタちゃん」
「ほら、あの子は機械が好きだから」
「師匠はどうしたんですか?」
「思ったより早く帰ってきたから、シロちゃんには悪いけど、新しい仕事渡しといたよ」
 にこやかな顔で言うルガー。でも目が笑っていない。どうやらブラウニング・バビロンでの一件を根に持っているようだ。
 まあ、リヒトのせいで家計が火の車になったといっても過言ではないので、ある意味自業自得ではある。ただリヒトのおかげでピンチを乗り切れたようなものなので、遥はちょっぴり複雑だ。
「あ、そうそう、バビロンの時のフリューゲル達を引き取ってくれる人いたよ」
「え……? あ、ああ! あの時の!」
 唐突だったので思い出せなかったが、そういえばフリューゲルタイプのオートマタを捕まえてコア以外売り払った事を思い出す。
 とりあえずロバートソン氏にコアを預けておいた、と聞いていたが、まさか本当に引き取り手を捜していたとは。
<ほう、どこのどいつだ、そんな物好きは>
「ああ、アウロラの――――」
「アウロラ!?」
 三人娘が異口同音に言ったので、ルガーが素っ頓狂な顔をした。
「……どうしたんだい? アウロラに過剰に反応して」
 まどかが今日の事を説明すると、ルガーがなるほど、と頷いた。
「なら、せっかく頑張ってくれてるリタちゃんのために、今度みんなでアウロラに行こうか」


■Chapter 04:それでは、よい旅を!


 ――――数日後、レイチェルの駅にて。
「三番線に列車が参りまーす! ……って、まどかさん、まどかさんじゃないですか!」
 パッと見では少女にすら見える容貌の、犬の半獣人、スティーヴがまどかを見つけて、嬉しそうな顔で駆け寄ってきた。
「こんにちは、スティーヴさん」
 まどかを筆頭に、各々好き勝手に挨拶をする。
「今日は何のご用ですか? ……あ、駆け込み乗車はご遠慮くださーい!」
 尻尾が引きちぎれんばかりに左右に揺れている、これでは感情がバレバレだ。獣人って難儀だなぁ、と遥は思った。
「はい、今日は隣のアウロラまで」
「そうなんですかー。あ、これって」
 ライが抱えている、宝玉がいくつも入った袋を指差した。
「あの時捕まえた機械人形達ですね。この子達を引き取ってくれる人が見つかったんですよ」
 その言葉にスティーヴが怯えの顔を見せたので、慌ててまどかが補足する。
「マナは抜き取ってありますし、身体もないので危険性はありませんよ」
 その言葉でスティーヴの顔が元に戻った。尻尾がなくてもわかりやすい人だなぁ、と遥は思った。
「それは安心しました……あ、列車が来ましたね。それでは、よい旅を!」
 デレデレな顔でまどかに手を振るスティーヴ。他の人は完全にアウトオブ眼中である。
 そんなスティーヴに、ある者は微笑み、ある者は呆れつつ、やおよろず一行は列車に乗ってレイチェルを後にした。


 ♪  ♪  ♪


 列車に乗って三○分。あと少しでアウロラ駅に到着するというところで異変は起きた。
 地震だ。
 地震というものを体験した事のない乗客たちは慌てふためいたが、約一名、地震なんて慣れっこな人物がいた。
<マスター、地震です>
「あ、ほんとだ。けっこう揺れてるね」
 極東生まれの一条 遥である。
「は、遥さんなんで平気なんですか!?」
 さしものまどかも地震にはびっくりのようで、遥にぎゅっとしがみつく。なんだかたまちゃんの視線が怖い。
「え、だって極東ってよく地震起きるし……」
「え、そ、そうなんですか!?」
「うん。それに、列車もこれくらいなら大丈夫なようにできてるはずだから安心して」
 そう言うと、優しく頭を撫でる。
 周囲が阿鼻叫喚になりかかっている列車内において、まどかは遥が女神か何かに見えた。

 一方、リヒト達は。
<あ、地震ですね>
「そうだな」
「そうだね」
「そうですね!」
「いや、アンタらもっと驚けよ!? 地面揺れてるんだぞ!?」
 約一名を除いて、至って冷静であった。

 しばらくして、地震は収まった。特に被害は出ていないようで、列車はそのまま移動を続け、アウロラで止まる。
 荷物を纏めて列車を降りた時、リヒトがこんな言葉を口にした。
「なあ、なんか前来た時と印象変わってないか?」
 そう聞かれても、遥はアウロラに来た事がないのでわからない。隣のルガーに「そうなんですか?」と聞いてみると、
「そうだね、なんだか殺伐としてるというか、閑散としてるというか。アウロラはもっと賑やかな街のはずなんだけど」
 「いや、それよりも」リヒトが鼻の頭を掻きながらぼやく。
「あまりに異常な光景に、若干現実逃避しかかってたんだが――――」
 苦笑い。

「……目の前のこの荒野は、何だ?」


 To be Continued...■


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