ギーシュは焦っていた。それは何故かと言えば、村長である村長からの連絡が全く来ないからだ。既に1時間以上経っている。
ちらりと目線を正面に向けると、村長の女房がおぼつかない視線で時計を見つめている。その表情には明らかに不安の色が浮かんでいる。
「大丈夫ですよ、奥さん」
ギーシュは明るい音色と、出来るだけ明るい表情を浮かべて、女房に声を掛けた。
「少し話が立て込んでいるんでしょう。大丈夫ですよ。ロッファさんは無事に戻ってきます」
女性を励ましているつもりではあるが、ギーシュはその言葉を自分に言い聞かせているのだと心の底で思った。
ちらりと目線を正面に向けると、村長の女房がおぼつかない視線で時計を見つめている。その表情には明らかに不安の色が浮かんでいる。
「大丈夫ですよ、奥さん」
ギーシュは明るい音色と、出来るだけ明るい表情を浮かべて、女房に声を掛けた。
「少し話が立て込んでいるんでしょう。大丈夫ですよ。ロッファさんは無事に戻ってきます」
女性を励ましているつもりではあるが、ギーシュはその言葉を自分に言い聞かせているのだと心の底で思った。
先日の事だ。酒場からトニーを送ったギーシュが自宅に帰ると、留守番電話に村長からのメッセージが入っていた。それは……。
「夜分にすまない。どうしても伝えておくべき事があってね。……トニー君の件は聞いたよ。……すまなかった。私が彼らと契約を結んだばかりに……。
……実は昨日、彼ら、いやデイトに飛行船に来るように連絡を受けたんだ。どんな要件なのかは来てみれば分かると言われたよ。どう考えても穏やかな内容ではあるまい。
しかし私は思うんだ。もしここで断れば、恐らく私達は、かつての平穏な生活を永遠に失うのではないかと。そこで私は決心を固めた。
明日、彼らの誘いに乗る事にするよ。そして、彼らが行っている圧政を直談判しよう。彼らの暴挙を許したのは私の責任だ。私自身が動かねば何も解決しない……
「夜分にすまない。どうしても伝えておくべき事があってね。……トニー君の件は聞いたよ。……すまなかった。私が彼らと契約を結んだばかりに……。
……実は昨日、彼ら、いやデイトに飛行船に来るように連絡を受けたんだ。どんな要件なのかは来てみれば分かると言われたよ。どう考えても穏やかな内容ではあるまい。
しかし私は思うんだ。もしここで断れば、恐らく私達は、かつての平穏な生活を永遠に失うのではないかと。そこで私は決心を固めた。
明日、彼らの誘いに乗る事にするよ。そして、彼らが行っている圧政を直談判しよう。彼らの暴挙を許したのは私の責任だ。私自身が動かねば何も解決しない……
そこでだ。ギーシュ君。君に頼みがある。明日、君には私の自宅に来てほしい。妻一人だけを家に残しておくのは何分不安でね。
腕っ節が強い君なら一緒に居ても安心だろうと思い、電話を掛けた次第だ。来てほしい時間は~……
腕っ節が強い君なら一緒に居ても安心だろうと思い、電話を掛けた次第だ。来てほしい時間は~……
事が済み次第連絡する。恐らく1時間もしないと思う。もしも都合が悪ければ悪いで折り返し連絡してくれ。それじゃ……」
村長のこのメッセージに、ギーシュは正直戸惑った。村長の決断がとてもじゃないが英断とは思えないからだ。
シュワルツがどれだけ性悪なのか、ギーシュは嫌というほど知っている。あの男が何を考えているかは分からないが、村長の言う通り穏やかな用件で呼ぶ訳が無い。
止めよう。もし村長に危うい目に合えば今度こそ、この村は終わる。留守電ボタンの明かりが消えたと同時に、ギーシュは決心を固めた。
シュワルツがどれだけ性悪なのか、ギーシュは嫌というほど知っている。あの男が何を考えているかは分からないが、村長の言う通り穏やかな用件で呼ぶ訳が無い。
止めよう。もし村長に危うい目に合えば今度こそ、この村は終わる。留守電ボタンの明かりが消えたと同時に、ギーシュは決心を固めた。
しまった……時すでに遅し、ギーシュが村長の家に着く既に1時間前に、村長はシュワルツのアジトへと出向いたらしい。
女房がギーシュが到着した際、ドアを開けてか細い声でそう説明した。ギーシュは女房の話に耳を傾けながらも、自らの失態に頭を抱えた。
決意を固めたはずだったが、休日である事が災いしていつもより遅く起きてしまった。自分がこれではトニーの事を馬鹿とは言えないな……。
今更村長を追いかける訳にも行くまい。ギーシュは肩を落として、女房と共に村長の連絡を待つ為家に入った。
そして今、ギーシュは村長から鳴って来る筈の電話を待ち続ける。村長――――ロッファが殺された事も知らずに。
女房がギーシュが到着した際、ドアを開けてか細い声でそう説明した。ギーシュは女房の話に耳を傾けながらも、自らの失態に頭を抱えた。
決意を固めたはずだったが、休日である事が災いしていつもより遅く起きてしまった。自分がこれではトニーの事を馬鹿とは言えないな……。
今更村長を追いかける訳にも行くまい。ギーシュは肩を落として、女房と共に村長の連絡を待つ為家に入った。
そして今、ギーシュは村長から鳴って来る筈の電話を待ち続ける。村長――――ロッファが殺された事も知らずに。
「着いたぞ。これだけ荒れてるが……本当に大丈夫なのか?」
トニーが背後を歩くショウイチに声を掛けた。ショウイチは立ち止まり、後ろのタウエルンに手をかざして停車させると、周囲を見渡した。
所変わり、ここはトニーが数週間前に全く芽が出ない為、に続行不可能として判断し、耕すのを諦めたスイカ畑だ。
常々水を与え気を配ったはずだが、なぜだか全くと言っていいほど実らない。実らない以前に……ショウイチは畑に足を踏み入れた。
「種が出てこない?」
「あぁ。何というか奇妙なんだ。まるで……」
トニーが背後を歩くショウイチに声を掛けた。ショウイチは立ち止まり、後ろのタウエルンに手をかざして停車させると、周囲を見渡した。
所変わり、ここはトニーが数週間前に全く芽が出ない為、に続行不可能として判断し、耕すのを諦めたスイカ畑だ。
常々水を与え気を配ったはずだが、なぜだか全くと言っていいほど実らない。実らない以前に……ショウイチは畑に足を踏み入れた。
「種が出てこない?」
「あぁ。何というか奇妙なんだ。まるで……」
ショウイチはしゃがむと、何処からか取り出した薄い手袋で土を掘り返した。そしてトニーに顔を向ける。
「ここ数日で、何か変わった事は無かったですか? そうですね……」
視線を宙に向けて、数秒何か考える仕草を見せると、ショウイチは言葉を続けた。
「今まで順調に実っていたのに、ある日を境に突然実らなくなったとか。天気も環境も変わり映えない……
ごめんなさい、言い方を変えます。去年と全く状況は変わらないのに、何故か今年は全く上手くいかないって感じはしませんか?」
「ここ数日で、何か変わった事は無かったですか? そうですね……」
視線を宙に向けて、数秒何か考える仕草を見せると、ショウイチは言葉を続けた。
「今まで順調に実っていたのに、ある日を境に突然実らなくなったとか。天気も環境も変わり映えない……
ごめんなさい、言い方を変えます。去年と全く状況は変わらないのに、何故か今年は全く上手くいかないって感じはしませんか?」
ショウイチの表情と口調がさっきまでと全く違い、異様に静謐さを秘めている事にトニーは戸惑った。まるで、別の人間の様だ。
ショウイチの言っている事の意味がいまいち飲み込めないが、ここは真剣に答えるべきだろう。
「あぁ、ここ数カ月はとんでもない大不作だ。幸い自分たちで食っていける分は確保できているが……とても商売にならんよ」
「やっぱり……」
ショウイチの言っている事の意味がいまいち飲み込めないが、ここは真剣に答えるべきだろう。
「あぁ、ここ数カ月はとんでもない大不作だ。幸い自分たちで食っていける分は確保できているが……とても商売にならんよ」
「やっぱり……」
小さな声でショウイチはそう呟くと、手袋を脱いで、腰に両手を当てた。そして鋭い表情を柔和な表情に変えると、トニーに顔を向けた。
「大体の事情は分かりました。さてと、では耕しましょう!」
「大体の事情は分かりました。さてと、では耕しましょう!」
「片づけておきなさい。後々使いますから、これ以上傷は付けない様に」
シュウルツがまだ生暖かい血を流しながら息絶えたロッファを一瞥すると、そう言って踵を返した。
固まっていた研究員たちが、ハッと我に返り各々仕事に戻る。シュワルツの取り巻きである二人の男が淡々と、シュワルツの死体を片づける。
ダルナスに動きは特にない。が、シュワルツは妙な予感を抱いていた。ダルナスを見上げて思う。何かが、妙だ。
全て上手くいっている。微力ながらも村の中心となっているロッファは失せ、もうすぐダルナスが復活を遂げる。何ら不備は無い……。が、心の靄が晴れない。
シュウルツがまだ生暖かい血を流しながら息絶えたロッファを一瞥すると、そう言って踵を返した。
固まっていた研究員たちが、ハッと我に返り各々仕事に戻る。シュワルツの取り巻きである二人の男が淡々と、シュワルツの死体を片づける。
ダルナスに動きは特にない。が、シュワルツは妙な予感を抱いていた。ダルナスを見上げて思う。何かが、妙だ。
全て上手くいっている。微力ながらも村の中心となっているロッファは失せ、もうすぐダルナスが復活を遂げる。何ら不備は無い……。が、心の靄が晴れない。
その時、研究員の一人がシュワルツに声を掛けた。シュワルツはダルナスから目を逸らし、そちらへと向かった。
研究員が怪訝な表情でモニターを見、シュワルツに困惑した様子で言った。
「エネルギーの充填率が5パーセント落ちています。今までこんな事は無かったのですが……」
シュワルツはモニターを覗き見る。確かに先ほど見た時よりも、充填率を表すメーターが若干下がっている。
研究員が怪訝な表情でモニターを見、シュワルツに困惑した様子で言った。
「エネルギーの充填率が5パーセント落ちています。今までこんな事は無かったのですが……」
シュワルツはモニターを覗き見る。確かに先ほど見た時よりも、充填率を表すメーターが若干下がっている。
「……あり得んな。まさか……実るというか? 農作物が」
シュウルツはメガネを下げると、冷静に言い放った。確かに農作物が最低限のラインを越えて実る事はあり得ない……筈だ。
ダルナスはこの村全体の畑の地中奥深くにある、巨大なソーラーパネルより吸収される太陽光をエネルギーとしている。
その為、農作物に必要な太陽光を根こそぎ奪ってしまうのだ。
シュワルツはそれでは面白くないと、ある程度生活できる分の農作物を作らせる為、パネルの一部を消灯させた。
やろうと思えばスグにでもダルナスは復活できるが、それでは興が無い。
トニーおよび農民達が農作物が取れないと嘆き、苦しむのを見るのがシュワルツには可笑しくて堪らない。
シュウルツはメガネを下げると、冷静に言い放った。確かに農作物が最低限のラインを越えて実る事はあり得ない……筈だ。
ダルナスはこの村全体の畑の地中奥深くにある、巨大なソーラーパネルより吸収される太陽光をエネルギーとしている。
その為、農作物に必要な太陽光を根こそぎ奪ってしまうのだ。
シュワルツはそれでは面白くないと、ある程度生活できる分の農作物を作らせる為、パネルの一部を消灯させた。
やろうと思えばスグにでもダルナスは復活できるが、それでは興が無い。
トニーおよび農民達が農作物が取れないと嘆き、苦しむのを見るのがシュワルツには可笑しくて堪らない。
だが今のシュワルツには嘲笑う気分ではなかった。抱いていた予感が、今現実になろうとしている。
モニターから離れ、シュワルツは研究員の肩に手を乗せると優しい声で言った。
「どの地域で何が起きているかを早急にリサーチしておいてください。大事の前の小事です。芽はしっかり潰さないと……ね」
モニターから離れ、シュワルツは研究員の肩に手を乗せると優しい声で言った。
「どの地域で何が起きているかを早急にリサーチしておいてください。大事の前の小事です。芽はしっかり潰さないと……ね」
「モードを田植えから野菜・果物に変更……速度は低速で……よし、オッケイ!」
タウエルンの上部からパネルを引き出し、ぶつぶつ言いながら何か設定を終えたショウイチがパネルを下して、トニーにサムズアップした。
ショウイチはタウエルン押しながら畑に再度、足を踏み入れる。ショウイチが立ち止まると、タウエルンが自動で動き出す。
タウエルンの上部からパネルを引き出し、ぶつぶつ言いながら何か設定を終えたショウイチがパネルを下して、トニーにサムズアップした。
ショウイチはタウエルン押しながら畑に再度、足を踏み入れる。ショウイチが立ち止まると、タウエルンが自動で動き出す。
「後はタウエルンが耕し終わるまでのんびり待ちましょう。時間にして……15分程度ですね」
何処からか取り出した懐中時計を見ながら、ショウイチが笑みを浮かべて畑から出る。トニーはタウエルンに目を移した。
何処からか取り出した懐中時計を見ながら、ショウイチが笑みを浮かべて畑から出る。トニーはタウエルンに目を移した。
タウエルンの前部と後部から二本のアームが延びている。そのアームの先には、クワの刃を思わせる物体がついたローラーが、のんびりと畑を耕している。
正直滅茶苦茶な事をされるのではないかと不安だったが、タウエルンに付いたそのローラーは畑を至極丁寧に耕している。
しかし……別に今の時点では、このタウエルンにショウイチが語った様な無茶苦茶な機能があるように見えない。というか、この程度なら自分自身の力で十分耕せるからだ。
まさかこのショウイチと言う男は本気で……トニーは疑念を浮かべたその時。
正直滅茶苦茶な事をされるのではないかと不安だったが、タウエルンに付いたそのローラーは畑を至極丁寧に耕している。
しかし……別に今の時点では、このタウエルンにショウイチが語った様な無茶苦茶な機能があるように見えない。というか、この程度なら自分自身の力で十分耕せるからだ。
まさかこのショウイチと言う男は本気で……トニーは疑念を浮かべたその時。
「所で……トニーさんは自動人形についてどんなイメージがありますか?」
ショウイチの何気ない一言に、トニーは一瞬何の事か理解が出来なかった。今、ショウイチは確かに自動人形と言った。
イメージ? そんなモノは決まっている。平和な世界を破壊した、度がし難い憎悪すべき存在。それ以上でもそれ以下でもない。
実際トニーはそう、両親から教えられた。そして自分自身、自動人形によって住んでいた場所を奪われた。戦争と言う事を配慮においても、許せる訳がない。
ショウイチの何気ない一言に、トニーは一瞬何の事か理解が出来なかった。今、ショウイチは確かに自動人形と言った。
イメージ? そんなモノは決まっている。平和な世界を破壊した、度がし難い憎悪すべき存在。それ以上でもそれ以下でもない。
実際トニーはそう、両親から教えられた。そして自分自身、自動人形によって住んでいた場所を奪われた。戦争と言う事を配慮においても、許せる訳がない。
「……質問の意味が分かりかねるな。もう少し具体的に聞けないか?」
あくまで感情を押し殺して、トニーはショウイチに聞いた。ショウイチの返答次第では、強硬な態度に出るつもりでいる。
大体、ここまで付き合っておいて難だがどうにも信用できないのだ。これだけデかく得体の知れない物が、トラクターとはとても思えない。
それにさっきまで膨らんでいた疑問が明確になる事が……怖い。それはタウエルンが――――。
あくまで感情を押し殺して、トニーはショウイチに聞いた。ショウイチの返答次第では、強硬な態度に出るつもりでいる。
大体、ここまで付き合っておいて難だがどうにも信用できないのだ。これだけデかく得体の知れない物が、トラクターとはとても思えない。
それにさっきまで膨らんでいた疑問が明確になる事が……怖い。それはタウエルンが――――。
「……ナノマシンを分布するには、タウエルンが変形する必要があるんです。人型の、ロボットにね」
「……それで?」
「もしも……もしも貴方が、自動人形に対して嫌悪感を抱いているのなら、僕は彼と共にここを去ります。
ですがもし、貴方が僕の話を信じてくれるのなら、その機能を使ってこの畑を蘇らせましょう。勿論目の前で」
「……それで?」
「もしも……もしも貴方が、自動人形に対して嫌悪感を抱いているのなら、僕は彼と共にここを去ります。
ですがもし、貴方が僕の話を信じてくれるのなら、その機能を使ってこの畑を蘇らせましょう。勿論目の前で」
そう言うショウイチの目には、確かな意思が宿っていた。トニーはその言葉に対し馬鹿にしているのかと一喝しようとしたが、ショウイチの目に、言葉が出ない。
しかし、だ。もしここでタウエルンに頼れば、それは自分自身の価値観を否定する事にならないか? 今だって自動人形に……。
しかし、だ。もしここでタウエルンに頼れば、それは自分自身の価値観を否定する事にならないか? 今だって自動人形に……。
だが、だがもし、タウエルンがショウイチが言う通り、とんでもないメカだったら、本気でこの状況から脱する事が出来るのかもしれない。
どうせこのままでは状況は変わらない。ならば一回くらい、突拍子の無い希望に掛けてみてもいいのではないか。
自動人形は憎むべき存在だ。だが、今はそんな事を言っていられるような状況じゃない。考えてみれば、今の我々には打開策が何も無いんだ。
……トニーは右手で目を覆い、天を数秒仰ぐと、ショウイチに向き直った。
どうせこのままでは状況は変わらない。ならば一回くらい、突拍子の無い希望に掛けてみてもいいのではないか。
自動人形は憎むべき存在だ。だが、今はそんな事を言っていられるような状況じゃない。考えてみれば、今の我々には打開策が何も無いんだ。
……トニーは右手で目を覆い、天を数秒仰ぐと、ショウイチに向き直った。
「信じてやるよ。だがもし君の発言が嘘だとしたら、容赦はしないぞ」
トニーは苦笑いを浮かべて、ショウイチに返答した。ショウイチはトニーの言葉に力強く頷くと、畑を耕し終えたタウエルンに向かって大声を上げた。
「タウエルン! トランス!」
トニーは苦笑いを浮かべて、ショウイチに返答した。ショウイチはトニーの言葉に力強く頷くと、畑を耕し終えたタウエルンに向かって大声を上げた。
「タウエルン! トランス!」
その瞬間、タウエルンの車体が縦に割れ、ローラー部分が左右に分離する。見るも奇想天外な変形を重ねがら、タウエルンはその姿を露わにした。
さっきまでどこか鈍重で野暮な姿のトラクター姿とは似ても似つかぬ、人型のロボットがそこに立っていた。変形終了と共に、排気口の重低音が響く。
腕部と足部、そして胸部に車体の装甲が移行しプロテクターとなっており、重厚な印象を抱かせる。闘牛を思わせるヘッドパーツのデュアルアイが鈍く赤く光る。
さっきまでどこか鈍重で野暮な姿のトラクター姿とは似ても似つかぬ、人型のロボットがそこに立っていた。変形終了と共に、排気口の重低音が響く。
腕部と足部、そして胸部に車体の装甲が移行しプロテクターとなっており、重厚な印象を抱かせる。闘牛を思わせるヘッドパーツのデュアルアイが鈍く赤く光る。
「す、すげー……」
タウエルンの変形を見て、トニーは思わず感嘆した。するとどこからか、かわいらしい少年の声がした。
「ショウイチー。もう仕事しても良いのー?」
その声は紛れもなく……タウエルンから出ていた物だった。
何処からしゃべっているかは分からない。が、無邪気に右腕をショウイチに向かって振っている。思わずトニーは脱力した。
タウエルンの変形を見て、トニーは思わず感嘆した。するとどこからか、かわいらしい少年の声がした。
「ショウイチー。もう仕事しても良いのー?」
その声は紛れもなく……タウエルンから出ていた物だった。
何処からしゃべっているかは分からない。が、無邪気に右腕をショウイチに向かって振っている。思わずトニーは脱力した。
「あぁ、存分に働け!」
ショウイチが言うが早く、タウエルンは背中の排気口から何かを噴出した。一見ジェットの様に見えるが、それはキラキラと光る青い粒子だ。
あの重そうな自動人形が軽々飛び上がる様に、トニーは呆然とショウイチに呟いた。
「……あれもソーラーエネルギーって奴なのか?」
「ええ。詳しい事は長くなるので言えませんが」
ショウイチが言うが早く、タウエルンは背中の排気口から何かを噴出した。一見ジェットの様に見えるが、それはキラキラと光る青い粒子だ。
あの重そうな自動人形が軽々飛び上がる様に、トニーは呆然とショウイチに呟いた。
「……あれもソーラーエネルギーって奴なのか?」
「ええ。詳しい事は長くなるので言えませんが」
タウエルンはしばらく昇ると、空中で静止した。すると腕部と足部がパカッと縦に二つに割れ、中からウエハースの様に薄い板で成形された部分がせり出てきた。
ゆっくりとタウエルンは降下しながら、その部分を下にする様に体をうつ伏せにした。
そして驚くべき事にその状態のまま、排気口から粒子を吹き出し、畑の上空を飛び回る。ウエハースの部分から、緑色の粒子が降り注ぐ。
ゆっくりとタウエルンは降下しながら、その部分を下にする様に体をうつ伏せにした。
そして驚くべき事にその状態のまま、排気口から粒子を吹き出し、畑の上空を飛び回る。ウエハースの部分から、緑色の粒子が降り注ぐ。
「あれが例のナノマシンか……」
タウエルンから降り注がれる粒子を眺めながら、トニーは畑に目を移した。そこには驚くべき光景が広がっていた。
全く芽が出る事が無かったスイカの種が成長しているのだ。無論最初から完成している訳ではないが、これから充分育てられるほどには。
トニーには目の前の光景がまるで魔法の様だと思った。それほどあのナノマシンとやらがトンデモナイ代物なのだ。
「……で、あれほどの装置と言うか物体が、どうやってトラクターの中に収納されてるんだ?」
「詳しい事は長くなるので言えません、ごめんなさい」
タウエルンから降り注がれる粒子を眺めながら、トニーは畑に目を移した。そこには驚くべき光景が広がっていた。
全く芽が出る事が無かったスイカの種が成長しているのだ。無論最初から完成している訳ではないが、これから充分育てられるほどには。
トニーには目の前の光景がまるで魔法の様だと思った。それほどあのナノマシンとやらがトンデモナイ代物なのだ。
「……で、あれほどの装置と言うか物体が、どうやってトラクターの中に収納されてるんだ?」
「詳しい事は長くなるので言えません、ごめんなさい」
次第にタウエルンから分布されていたナノマシンが、穏やかに薄くなっていき、うっすらと消えていく。
当初は荒れ果て、手の打ちようがないほど荒れていた畑が、今では立派なスイカ畑として生まれ変わっている。
ショウイチはこちらに飛んでくるタウエルンを、満足げな表情で迎えている。と、タウエルンがショウイチに近寄り、音声のボリュームを最大にまで下げた。
当初は荒れ果て、手の打ちようがないほど荒れていた畑が、今では立派なスイカ畑として生まれ変わっている。
ショウイチはこちらに飛んでくるタウエルンを、満足げな表情で迎えている。と、タウエルンがショウイチに近寄り、音声のボリュームを最大にまで下げた。
「ナノマシンにショウイチが言っていた例のシステムを破壊するバグを組み込んでおいた。地中のパネルは此処に限れば、もう作動しないと思う」
「良くやった、タウ。……また争う事になるかもな。いや、既に……」
「良くやった、タウ。……また争う事になるかもな。いや、既に……」
「疑ってしまってすまなかった、ショウイチ君」
トニーがショウイチにそう言って頭を下げた。ショウイチは首を横に振って、笑顔で返した。
「いえ、僕の方こそ妙な事を言ってすみませんでした。いきなりあんな事言われても引きますよね……」
トニーがショウイチにそう言って頭を下げた。ショウイチは首を横に振って、笑顔で返した。
「いえ、僕の方こそ妙な事を言ってすみませんでした。いきなりあんな事言われても引きますよね……」
ショウイチの言葉に、トニーは小さく首を振り、言葉を続けた、
「いや、私が勝手なイメージで君達を拒絶してしまったんだ。君達に非は無いよ。ホントに驚いた、まるで夢みたいだよ。
君達を雇う件、私の方から頭を下げるよ。是非ともこの村で働」
「いや、私が勝手なイメージで君達を拒絶してしまったんだ。君達に非は無いよ。ホントに驚いた、まるで夢みたいだよ。
君達を雇う件、私の方から頭を下げるよ。是非ともこの村で働」
「まさか自動人形が他にあったとは……信じがたいな」
背後から声がして、トニーは振り向いた。6体ほどの黒騎士を従えた、シュワルツの取り巻きの一人である大男が数メートル先に立っていた。
そして大男は腕に意識を失っているのか、ぐったりとしたメルティを抱えていた。大男はにやりと笑うと、言葉を続けた。
背後から声がして、トニーは振り向いた。6体ほどの黒騎士を従えた、シュワルツの取り巻きの一人である大男が数メートル先に立っていた。
そして大男は腕に意識を失っているのか、ぐったりとしたメルティを抱えていた。大男はにやりと笑うと、言葉を続けた。
「シュワルツ様の命で異常を探りに来たが、まさか他タイプの自動人形が見つかるとはな。これはとんだお宝を見つけた」
「き、貴様……メルティをどうする気だ!」
怒りと恐怖で声を震わせたトニーがそう聞くと、にやけ顔を崩さぬまま、大男は返答した。
「き、貴様……メルティをどうする気だ!」
怒りと恐怖で声を震わせたトニーがそう聞くと、にやけ顔を崩さぬまま、大男は返答した。
「無論シュワルツ様に上納するんだよ。恨むなら、お前自身のふがいなさを恨め」
大男はそう言い切り、もう片方の腕で、トニーとじっとしているショウイチとタウエルンの方に向けて腕を上げると、声高らかに叫んだ。
「行け、黒騎士共! 自動人形は傷つけずに倒し、他の雑魚は叩き殺せ!」
大男はそう言い切り、もう片方の腕で、トニーとじっとしているショウイチとタウエルンの方に向けて腕を上げると、声高らかに叫んだ。
「行け、黒騎士共! 自動人形は傷つけずに倒し、他の雑魚は叩き殺せ!」
「行けるか、タウ?」
「……これで、争い事は最後にしたいね」
「……これで、争い事は最後にしたいね」
<バッファローモード.起動>
続く
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