[―――というわけだ。君には准尉待遇で軍に協力してもらう]
「ちょっと待って下さい!それはさすがに――」
「・・・わかりました」
通信でそう言い放った中将にハーミストが抗議するがその抗議を遮ってリクは軍に入隊する事を受け入れた。
リクが自分の目的――復讐の為に軍を利用する為だった。
[リク・ゼノラス准尉、リキ・ガンツ軍曹、今日付けで多目的艦スタークのパイロットとしてハ―ミスト・レイン准将の指揮下に入ってもらう。
君たち以外の志願兵は一等兵待遇だ。期待している]
カラフト基地の開放、それも黒揚羽から。それはすぐに軍上層部に伝わってしまった。
それだけ衝撃的かつ重要な情報だった。
その戦闘でかなりの活躍を見せたリクとリキはすぐに中将に通信で軍入隊を強制された。
「それにしても、いきなり准尉とはね、ゼノラス准尉どの」
「茶化さないでよ。お前もすごいじゃないか軍曹だろ?」
「結構異例の事態ではありますけどね・・・」
敵機を三機落とし、さらに黒揚羽を撃墜したリクは准尉に、即席の小隊を率いて個人で三機、隊で六機落としたリキは軍曹として軍に入れられ
た。
「すみません、私の力量不足です。これだから上層部は嫌いなんですよ」
「艦長が気にする事じゃないっしょ。俺らがいいって言ってるんだから」
そのまま祝勝会が開かれている食堂へ戻る。
「おーい、艦長!何の用だったんすか?」
「上層部からの通信です。中将殿直々の奴ですよ」
騒がしい食堂。パーティー会場になっている。
「よおボウズ!なんかお説教でもされたのか?」
「ウィンス隊長、酒臭いです。絡み酒はやめてください」
HB部隊隊長のウィンスが酔っぱらって絡んできた。
「あんだとぉ!?なら飲め!お前も酒臭くなれぇ!!」
「いや、僕酒飲めませんし。いや、だかr、やめっ!やめろ!」
無理矢理飲ませようとするウィンスに思いっきり抗議しても全くやめてもらえない。
普段は無口で渋い人なのに・・・
「あーあー、全員に報告があります」
ハーミストの宣言で一応静かになるが酒は飲み続けている。
「今回の件で、志願兵の皆さんは一等兵、リキ君は曹長、リク君は准尉になりました。以後そのようにお願いします」
静かにしていたものの、酒は飲んでいた人たちが一斉に吹いた。
一瞬で騒がしくなる。主にリクの周りが。
「リク~!お前すげーな!いきなり准尉って聞いたことないぞ!?」
ゴースがリクをヘッドロックしながら楽しげに言う。
「当然でしょう。あの黒揚羽を手玉に取ったんだから」
カルラはいたって冷静に、リクの頭をリズムよく叩く。木魚のごとく。ぽんぽんと。リズムよく。
「ちょっと!?あんたら酔っぱらってるでしょ!?離してー!離してくれよー!」
リクはバタバタ動くものの全く手は緩められず、そして頭は殴られ続ける。
「じゃあ、新しい才能に乾杯!!」
ウィンスは何回目かも分からない乾杯の音頭を取っていた。
「かぁー!うめぇ!」
リキはがっつり飲んでる。ジョージと返杯までしてる。
ちなみにラウルは既にジョージの所為で酔いつぶれている。
「何だよこのカオス・・・」
リクは結局騒がしい大人に数時間囲まれ続けたのだった。
「ちょっと待って下さい!それはさすがに――」
「・・・わかりました」
通信でそう言い放った中将にハーミストが抗議するがその抗議を遮ってリクは軍に入隊する事を受け入れた。
リクが自分の目的――復讐の為に軍を利用する為だった。
[リク・ゼノラス准尉、リキ・ガンツ軍曹、今日付けで多目的艦スタークのパイロットとしてハ―ミスト・レイン准将の指揮下に入ってもらう。
君たち以外の志願兵は一等兵待遇だ。期待している]
カラフト基地の開放、それも黒揚羽から。それはすぐに軍上層部に伝わってしまった。
それだけ衝撃的かつ重要な情報だった。
その戦闘でかなりの活躍を見せたリクとリキはすぐに中将に通信で軍入隊を強制された。
「それにしても、いきなり准尉とはね、ゼノラス准尉どの」
「茶化さないでよ。お前もすごいじゃないか軍曹だろ?」
「結構異例の事態ではありますけどね・・・」
敵機を三機落とし、さらに黒揚羽を撃墜したリクは准尉に、即席の小隊を率いて個人で三機、隊で六機落としたリキは軍曹として軍に入れられ
た。
「すみません、私の力量不足です。これだから上層部は嫌いなんですよ」
「艦長が気にする事じゃないっしょ。俺らがいいって言ってるんだから」
そのまま祝勝会が開かれている食堂へ戻る。
「おーい、艦長!何の用だったんすか?」
「上層部からの通信です。中将殿直々の奴ですよ」
騒がしい食堂。パーティー会場になっている。
「よおボウズ!なんかお説教でもされたのか?」
「ウィンス隊長、酒臭いです。絡み酒はやめてください」
HB部隊隊長のウィンスが酔っぱらって絡んできた。
「あんだとぉ!?なら飲め!お前も酒臭くなれぇ!!」
「いや、僕酒飲めませんし。いや、だかr、やめっ!やめろ!」
無理矢理飲ませようとするウィンスに思いっきり抗議しても全くやめてもらえない。
普段は無口で渋い人なのに・・・
「あーあー、全員に報告があります」
ハーミストの宣言で一応静かになるが酒は飲み続けている。
「今回の件で、志願兵の皆さんは一等兵、リキ君は曹長、リク君は准尉になりました。以後そのようにお願いします」
静かにしていたものの、酒は飲んでいた人たちが一斉に吹いた。
一瞬で騒がしくなる。主にリクの周りが。
「リク~!お前すげーな!いきなり准尉って聞いたことないぞ!?」
ゴースがリクをヘッドロックしながら楽しげに言う。
「当然でしょう。あの黒揚羽を手玉に取ったんだから」
カルラはいたって冷静に、リクの頭をリズムよく叩く。木魚のごとく。ぽんぽんと。リズムよく。
「ちょっと!?あんたら酔っぱらってるでしょ!?離してー!離してくれよー!」
リクはバタバタ動くものの全く手は緩められず、そして頭は殴られ続ける。
「じゃあ、新しい才能に乾杯!!」
ウィンスは何回目かも分からない乾杯の音頭を取っていた。
「かぁー!うめぇ!」
リキはがっつり飲んでる。ジョージと返杯までしてる。
ちなみにラウルは既にジョージの所為で酔いつぶれている。
「何だよこのカオス・・・」
リクは結局騒がしい大人に数時間囲まれ続けたのだった。
「あっつ・・・」
宴会からこっそり抜け出し、一人夜風に当たるリク。
苦手な酒を飲まされすぎて、頭が痛くなっている。
「大丈夫か?」
「うあっ!?」
後ろにリリがいた。
「気付いてなかったのか?てっきり気付かれてると思ったぞ」
「気付きませんでしたよ。酒飲むと感覚が鈍るからやなんです」
「そんなもんか」
「そんなもんですよ」
隣で夜空を見上げるリリ。リクより頭一つ分小さいリリのポニーテールが風に揺れる。
「お前・・・大丈夫か?無理してるんじゃないか?」
いきなり心配された。こちらを見ないまま、リリは答えを待っている。
「何でです?」
なぜ心配されるのか。分かっていても、目を逸らしたくなる。
「軍に入った事だよ・・・・嫌いなんだろ?戦争も、軍人も・・・」
「確かに戦争は嫌です」
「それなら何で?戦いが怖いんじゃないのか?」
「そうじゃありません。戦いが怖いなんて思った事はありませんよ」
リリはこちらに向き直り真っ直ぐに目を見て問いを発する。
「じゃあ、何がトラウマなんだよ。少なくとも戦場にトラウマになるものがあるんだろ?」
「戦場にはありませんし、多分どこにもないですよ。僕が怖い物は自分自身ですから」
リクは顔を伏せて言葉を紡ぐ。
「戦場が怖いと思った事はないです。人の殺意も、恨みも、憎しみも。多分戦場に満ちているものの全ては僕にとって全く気にするべき事じゃ
ない。自分が死ななければいい。いや、むしろ死んでも恐怖なんて感じないと思います」
リクは静かに、グラビレイトに初めて乗った時を思い出していた。
何も恐れず、自分の思うままに戦って、クーリを殺した。殺してしまった。
「僕が怖いのは僕自身。僕が人殺しを、楽しんでしまわないかが怖いんです」
何も考えずにただ人を殺せるのなら楽だった。しかし、人の命を考えないのは自分が自分で無くなるような感覚がするのだ。
「人の命を奪う事に何も感じなくなった時、僕は強化孤児に、本当の意味で戻ってしまうんです。それが・・・こわい」
クーリが一番最後に残したもの。それはリクの心を雁字搦めにしてしまった。しかし・・・
「なら、戦場に出なければいい。今すぐ艦を降りて戦いの無い所で暮らせばいい」
「言いませんでした?殺したい奴がいるって。そのために軍に入ったんです」
それもキセノを殺すためなら仕方がないとリクは思っている。
「それは!!矛盾してるし・・・」
リクはぶれない。生きるすべを奪われ、生きる目標を奪われた今では、これしかリクにはなかった。
「・・・悲しいよな。お前はそいつを殺すことを目標に生きている」
「そうです」
「でも、でもさ・・・殺してしまったら、お前には何も残らないよな?生きる目標を失うことになるよな?・・・それって・・・マイナスの目標に生きて、マイナスになるんだぞ?それって・・・やっぱ悲しいよ」
「・・・そうだとしても、それだけはしなきゃいけないんです。あいつの所為で・・・」
小さな背中を震わせるリリと、血がにじむほど手を握りこむリク。自分の恐怖を乗り越えてでも戦わないといけない。
「なら・・せめて、生きる目標を持てよ。それに向き合うために敵討ちをしろよ」
リクは、リリが自分を気遣っている事が分かった。しかし、リクはその言葉すら否定する。
「無理ですよ」
「何で!そうしないと・・そうしないと・・・お前は死んじゃうだろ!?」
確かにそうだろう。肉体的には大丈夫でも精神的に死ぬ。
「それなら、そこまでですよ。どうせ僕の――俺の人生は、そんなに生きていたいと思えるほどのもんじゃないんです」
人並みの幸せ、温かい家族、変わらない日常。それが自分からは程遠い物なのは分かっている。
だからそれが得られない人生に、あまり意味を見いだせない。
「俺が生きていられるのは、あいつへの恨みを忘れない間だけ。それ以外の目標は立てても無駄なんです」
それはリクが抱えた生きるための全て。リクはキセノに自分の人生が自分の望まない形で曲げられ、そして踏みにじられ、奪われた。
不治の病にかかった人も経験するであろう感覚。リクが他の人とは違うのは、恨むべき相手がいること、それは八つ当たりで心の整理をつけら
れない事でもあった。
「俺は、自分を崖に追いやっているんです。わかってます、それだけが生きる理由なんです」
リリは、それでも体を震わせて言う。
「・・・それでも・・オレは生きて欲しい。お前に死んでほしくないよ」
その言葉にも、リクは反応できなかった。
宴会からこっそり抜け出し、一人夜風に当たるリク。
苦手な酒を飲まされすぎて、頭が痛くなっている。
「大丈夫か?」
「うあっ!?」
後ろにリリがいた。
「気付いてなかったのか?てっきり気付かれてると思ったぞ」
「気付きませんでしたよ。酒飲むと感覚が鈍るからやなんです」
「そんなもんか」
「そんなもんですよ」
隣で夜空を見上げるリリ。リクより頭一つ分小さいリリのポニーテールが風に揺れる。
「お前・・・大丈夫か?無理してるんじゃないか?」
いきなり心配された。こちらを見ないまま、リリは答えを待っている。
「何でです?」
なぜ心配されるのか。分かっていても、目を逸らしたくなる。
「軍に入った事だよ・・・・嫌いなんだろ?戦争も、軍人も・・・」
「確かに戦争は嫌です」
「それなら何で?戦いが怖いんじゃないのか?」
「そうじゃありません。戦いが怖いなんて思った事はありませんよ」
リリはこちらに向き直り真っ直ぐに目を見て問いを発する。
「じゃあ、何がトラウマなんだよ。少なくとも戦場にトラウマになるものがあるんだろ?」
「戦場にはありませんし、多分どこにもないですよ。僕が怖い物は自分自身ですから」
リクは顔を伏せて言葉を紡ぐ。
「戦場が怖いと思った事はないです。人の殺意も、恨みも、憎しみも。多分戦場に満ちているものの全ては僕にとって全く気にするべき事じゃ
ない。自分が死ななければいい。いや、むしろ死んでも恐怖なんて感じないと思います」
リクは静かに、グラビレイトに初めて乗った時を思い出していた。
何も恐れず、自分の思うままに戦って、クーリを殺した。殺してしまった。
「僕が怖いのは僕自身。僕が人殺しを、楽しんでしまわないかが怖いんです」
何も考えずにただ人を殺せるのなら楽だった。しかし、人の命を考えないのは自分が自分で無くなるような感覚がするのだ。
「人の命を奪う事に何も感じなくなった時、僕は強化孤児に、本当の意味で戻ってしまうんです。それが・・・こわい」
クーリが一番最後に残したもの。それはリクの心を雁字搦めにしてしまった。しかし・・・
「なら、戦場に出なければいい。今すぐ艦を降りて戦いの無い所で暮らせばいい」
「言いませんでした?殺したい奴がいるって。そのために軍に入ったんです」
それもキセノを殺すためなら仕方がないとリクは思っている。
「それは!!矛盾してるし・・・」
リクはぶれない。生きるすべを奪われ、生きる目標を奪われた今では、これしかリクにはなかった。
「・・・悲しいよな。お前はそいつを殺すことを目標に生きている」
「そうです」
「でも、でもさ・・・殺してしまったら、お前には何も残らないよな?生きる目標を失うことになるよな?・・・それって・・・マイナスの目標に生きて、マイナスになるんだぞ?それって・・・やっぱ悲しいよ」
「・・・そうだとしても、それだけはしなきゃいけないんです。あいつの所為で・・・」
小さな背中を震わせるリリと、血がにじむほど手を握りこむリク。自分の恐怖を乗り越えてでも戦わないといけない。
「なら・・せめて、生きる目標を持てよ。それに向き合うために敵討ちをしろよ」
リクは、リリが自分を気遣っている事が分かった。しかし、リクはその言葉すら否定する。
「無理ですよ」
「何で!そうしないと・・そうしないと・・・お前は死んじゃうだろ!?」
確かにそうだろう。肉体的には大丈夫でも精神的に死ぬ。
「それなら、そこまでですよ。どうせ僕の――俺の人生は、そんなに生きていたいと思えるほどのもんじゃないんです」
人並みの幸せ、温かい家族、変わらない日常。それが自分からは程遠い物なのは分かっている。
だからそれが得られない人生に、あまり意味を見いだせない。
「俺が生きていられるのは、あいつへの恨みを忘れない間だけ。それ以外の目標は立てても無駄なんです」
それはリクが抱えた生きるための全て。リクはキセノに自分の人生が自分の望まない形で曲げられ、そして踏みにじられ、奪われた。
不治の病にかかった人も経験するであろう感覚。リクが他の人とは違うのは、恨むべき相手がいること、それは八つ当たりで心の整理をつけら
れない事でもあった。
「俺は、自分を崖に追いやっているんです。わかってます、それだけが生きる理由なんです」
リリは、それでも体を震わせて言う。
「・・・それでも・・オレは生きて欲しい。お前に死んでほしくないよ」
その言葉にも、リクは反応できなかった。
次の日、二日酔いでふらふらしているクルーを休ませながらハーミストは艦の整備の報告を受けていた。
「補助ブースターの修理は終わりました。武装に関しては欠損部品の取り換えを行っています。通路の補修は七割終了しました」
「ご苦労様です。あらためて見ると結構やられましたね」
「そうですね、直撃じゃなかったから良かったようなものです」
リリちゃんとカルラ君に感謝しなければ・・・
「そういえば、若い整備士に結構な量の部品を運ぶように頼まれたのですが・・・」
ラウルの事だろうか。
若い整備士の独断をあまり快く思っていないらしい。
「彼は新型の専属整備士なんですよ。出来るだけ要望にはこたえてあげて下さい」
納得したような顔で報告していた整備士が現場に戻る。
「さて、さらに状況は悪くなっているんですかね?」
ハーミストはこの先どうするべきかを考え始めた。
「補助ブースターの修理は終わりました。武装に関しては欠損部品の取り換えを行っています。通路の補修は七割終了しました」
「ご苦労様です。あらためて見ると結構やられましたね」
「そうですね、直撃じゃなかったから良かったようなものです」
リリちゃんとカルラ君に感謝しなければ・・・
「そういえば、若い整備士に結構な量の部品を運ぶように頼まれたのですが・・・」
ラウルの事だろうか。
若い整備士の独断をあまり快く思っていないらしい。
「彼は新型の専属整備士なんですよ。出来るだけ要望にはこたえてあげて下さい」
納得したような顔で報告していた整備士が現場に戻る。
「さて、さらに状況は悪くなっているんですかね?」
ハーミストはこの先どうするべきかを考え始めた。
「頭痛てぇ・・」
『大丈夫ですか?二日酔いのようですが』
ハンガーにいる正規の整備士はラウルだけ。
グラビレイトの整備にやってきたからだ。
「で、どうだった?俺の作ったレールガン」
『射撃データから見るに少々射程が使いづらいかと。近距離から中距離の射撃武器のほうが必要になると思われます』
「ふーん・・・じゃあ狙撃時の命中率は?」
『敵機のデータが規格外ですがかすり、防御されたのも合わせれば五十八パーセントです』
端末にメモをしていくラウル。
「がっつりヒットはしてないよね?それなら通常機相手は大丈夫かな」
『問題ありません。あの・・』
「どうした?なんか問題があるのか?」
珍しく言い淀んだイザナミにラウルが聞き返す。
『武器ではなく私自身の問題です。マスターの方が私より情報処理のスペックが高いのです』
「そんなわけないだろ」
『私が一分かけて行うのがやっとの作業を十五秒でやりきってしまいました』
「はー・・すごいな」
一応驚きはしたがすぐに端末に顔を落とすラウル。
『あまり驚かれないのですね』
「まーね、ちょっとリクの戦闘データ見して」
リクのグラビレイトの戦闘データを見る。整備士はパイロットの特徴を掴むため、戦闘データを読み込む。
それによって整備や改造の仕方が変わるからだ。
「データ処理はゴースさんよりは下だな、操作技術はウィンスさんの方が格段に上だね」
『そうなんですか?』
「この艦のクルーのスペックは高すぎるんだよ。反射神経は艦長に迫るものがある、反応速度はこの艦で一番だね」
項目を一個ずつランク付けしていく。
「被弾率はかなり高いけどダメージがないのは機体のスペックのおかげだね。総合的に言えば・・・AA+ぐらいかな」
『つまりどういう事でしょう』
「エース並みの実力はあるけど、まだまだ甘いってこと。機体に頼り過ぎてる」
『エースならそれが普通では?特殊なチューン機で戦うのですから』
「それは、普通の機体での実績があってから。いきなりこれに乗ったんじゃ強くて当たり前だよ」
リクは確かに強いが、ラウルと同じ経験不足だ。
『なら・・・』
「君は少なくとも今はまだ必要とされているよ。取り合えず、リクの戦闘パターンの学習から始めたら?」
ラウルはこの時知らないが、リクの情報処理は戦闘と粒子制御を同時にやっていた結果だった。
通常は情報処理をするときは戦闘をオートにするのが普通であるし、粒子制御はイザナミの仕事だと思っている。
しかし、実際には全てをリクが引き受けている為、情報処理はゴースのそれを軽く凌駕しているが、それに艦内が気付いて驚愕した後ゴースが
落ち込むのはしばらく後の話。
ブリッジに戻ったらゴースとカルラがいた。
「・・・何でいるんですか?」
「何でとは御挨拶だな。自分の仕事場にいたらいけないか?」
不機嫌そうにゴースが答えた
「いや・・・休んでていいって言ったのに・・・」
「好きでやってるからいいんですよ。艦長こそ働きづめでしょう。休みなさい」
カルラに命令系で言われた。休んでくださいじゃなくて休みなさいって・・・
「私も好きでやってるつもり――」
「休め」
「休みなさい」
「なんですけど・・・」
即答された。
中では二人がシステム周りのチェックをしていた。
それ自体はいつもの光景だし、休めといわれるのもいつもの光景。
しかし、リリがいない。
「リリちゃんは?」
「さぁ?来てないぞ」
「見かけていませんね」
ふと、昨日の光景をハーミストは思い出していた。
リクの跡を追うようにして食堂を出て行ったリリの姿を。
(まあ、何かがあったんでしょうね)
若い二人に何があろうと自分が口を出す事ではない。
というか、口出しできない、したくない。ついでに言うなら殴られたくない。リリの拳は小柄なのに死ぬほど痛いのだ。
「ちわー!!さて、操舵関連のチェックやるか!」
そこにリリが入ってきた。
「リリちゃん遅かったな?」
「どうしたんですか?リクさんに振られでもしましたか?」
「こら、二人とも」
昨日何かの話をしたはずだからその話題はいきなりすぎると思わず止めようとしたが、
「何でいきなりそんな話になるんだよ!?」
といたっていつも通りの反応。
「あれ?リリちゃん昨日リク君と話してたんじゃないんですか?」
ハーミストはさらに思わず疑問を口に出してしまった
「マジで!?リリちゃんそうなの?」
「それは気になりますね。遂にリリさんの恋に決着が?」
好奇心にまみれた視線の中、リリは言った。
「昨日は酒飲み過ぎて途中から意識なかったんだが」
「「「・・・・・・」」」
リリの話によるとリクが返ってくる前に既に意識がなかったとのこと。
目を覚ましたのはついさっきで、自分の部屋に寝ていた事の二つしか分からなかった。
「そういや、リリちゃん酔っぱらうといつもの感じなのに記憶だけ飛ぶんだったな」
「何があったかはリクさんしか知らないと」
「もし大事な話してたら・・・リク君可哀想ですね」
三者三様の反応にリリが叫ぶ。
「オレの所為か!?」
『大丈夫ですか?二日酔いのようですが』
ハンガーにいる正規の整備士はラウルだけ。
グラビレイトの整備にやってきたからだ。
「で、どうだった?俺の作ったレールガン」
『射撃データから見るに少々射程が使いづらいかと。近距離から中距離の射撃武器のほうが必要になると思われます』
「ふーん・・・じゃあ狙撃時の命中率は?」
『敵機のデータが規格外ですがかすり、防御されたのも合わせれば五十八パーセントです』
端末にメモをしていくラウル。
「がっつりヒットはしてないよね?それなら通常機相手は大丈夫かな」
『問題ありません。あの・・』
「どうした?なんか問題があるのか?」
珍しく言い淀んだイザナミにラウルが聞き返す。
『武器ではなく私自身の問題です。マスターの方が私より情報処理のスペックが高いのです』
「そんなわけないだろ」
『私が一分かけて行うのがやっとの作業を十五秒でやりきってしまいました』
「はー・・すごいな」
一応驚きはしたがすぐに端末に顔を落とすラウル。
『あまり驚かれないのですね』
「まーね、ちょっとリクの戦闘データ見して」
リクのグラビレイトの戦闘データを見る。整備士はパイロットの特徴を掴むため、戦闘データを読み込む。
それによって整備や改造の仕方が変わるからだ。
「データ処理はゴースさんよりは下だな、操作技術はウィンスさんの方が格段に上だね」
『そうなんですか?』
「この艦のクルーのスペックは高すぎるんだよ。反射神経は艦長に迫るものがある、反応速度はこの艦で一番だね」
項目を一個ずつランク付けしていく。
「被弾率はかなり高いけどダメージがないのは機体のスペックのおかげだね。総合的に言えば・・・AA+ぐらいかな」
『つまりどういう事でしょう』
「エース並みの実力はあるけど、まだまだ甘いってこと。機体に頼り過ぎてる」
『エースならそれが普通では?特殊なチューン機で戦うのですから』
「それは、普通の機体での実績があってから。いきなりこれに乗ったんじゃ強くて当たり前だよ」
リクは確かに強いが、ラウルと同じ経験不足だ。
『なら・・・』
「君は少なくとも今はまだ必要とされているよ。取り合えず、リクの戦闘パターンの学習から始めたら?」
ラウルはこの時知らないが、リクの情報処理は戦闘と粒子制御を同時にやっていた結果だった。
通常は情報処理をするときは戦闘をオートにするのが普通であるし、粒子制御はイザナミの仕事だと思っている。
しかし、実際には全てをリクが引き受けている為、情報処理はゴースのそれを軽く凌駕しているが、それに艦内が気付いて驚愕した後ゴースが
落ち込むのはしばらく後の話。
ブリッジに戻ったらゴースとカルラがいた。
「・・・何でいるんですか?」
「何でとは御挨拶だな。自分の仕事場にいたらいけないか?」
不機嫌そうにゴースが答えた
「いや・・・休んでていいって言ったのに・・・」
「好きでやってるからいいんですよ。艦長こそ働きづめでしょう。休みなさい」
カルラに命令系で言われた。休んでくださいじゃなくて休みなさいって・・・
「私も好きでやってるつもり――」
「休め」
「休みなさい」
「なんですけど・・・」
即答された。
中では二人がシステム周りのチェックをしていた。
それ自体はいつもの光景だし、休めといわれるのもいつもの光景。
しかし、リリがいない。
「リリちゃんは?」
「さぁ?来てないぞ」
「見かけていませんね」
ふと、昨日の光景をハーミストは思い出していた。
リクの跡を追うようにして食堂を出て行ったリリの姿を。
(まあ、何かがあったんでしょうね)
若い二人に何があろうと自分が口を出す事ではない。
というか、口出しできない、したくない。ついでに言うなら殴られたくない。リリの拳は小柄なのに死ぬほど痛いのだ。
「ちわー!!さて、操舵関連のチェックやるか!」
そこにリリが入ってきた。
「リリちゃん遅かったな?」
「どうしたんですか?リクさんに振られでもしましたか?」
「こら、二人とも」
昨日何かの話をしたはずだからその話題はいきなりすぎると思わず止めようとしたが、
「何でいきなりそんな話になるんだよ!?」
といたっていつも通りの反応。
「あれ?リリちゃん昨日リク君と話してたんじゃないんですか?」
ハーミストはさらに思わず疑問を口に出してしまった
「マジで!?リリちゃんそうなの?」
「それは気になりますね。遂にリリさんの恋に決着が?」
好奇心にまみれた視線の中、リリは言った。
「昨日は酒飲み過ぎて途中から意識なかったんだが」
「「「・・・・・・」」」
リリの話によるとリクが返ってくる前に既に意識がなかったとのこと。
目を覚ましたのはついさっきで、自分の部屋に寝ていた事の二つしか分からなかった。
「そういや、リリちゃん酔っぱらうといつもの感じなのに記憶だけ飛ぶんだったな」
「何があったかはリクさんしか知らないと」
「もし大事な話してたら・・・リク君可哀想ですね」
三者三様の反応にリリが叫ぶ。
「オレの所為か!?」
リキはスターク内を歩いていた。
「久しぶりに飲んだな」
酒はかなり久しぶりだった。飲みすぎた感もある。
「リクは酒苦手って言ってたけど・・・大丈夫かね?」
その時、目の前の通路にリクが現れた。
二日酔いらしく、体がふらふらしている。
「お、リク。どうした?二日酔いか?」
からかってやろうと声をかけたがリクの反応がない。
「おーい、リク。聞いてんの――」
「黙れ」
「か?」
リクから地の底から響く様な声が聞こえる。
「どけ、邪魔だ」
「ハ、ハイ・・スミマセンデシタ・・・」
少ない言葉に感じ取れる苛立ちが恐ろしい・・・
リクはリキに目も向けずに通り過ぎていく。
しばらく動けないでいると後ろから声をかけられた。
「よぉリキ、どうした汗だくで」
ゴースに声を掛けられてリキは思わずその場にへたり込んだ。
「な、おい!どうした?大丈夫か!?」
「死ぬかと思った・・・」
「は?」
「というか殺されるかと思った・・・リク怖えー・・・」
「久しぶりに飲んだな」
酒はかなり久しぶりだった。飲みすぎた感もある。
「リクは酒苦手って言ってたけど・・・大丈夫かね?」
その時、目の前の通路にリクが現れた。
二日酔いらしく、体がふらふらしている。
「お、リク。どうした?二日酔いか?」
からかってやろうと声をかけたがリクの反応がない。
「おーい、リク。聞いてんの――」
「黙れ」
「か?」
リクから地の底から響く様な声が聞こえる。
「どけ、邪魔だ」
「ハ、ハイ・・スミマセンデシタ・・・」
少ない言葉に感じ取れる苛立ちが恐ろしい・・・
リクはリキに目も向けずに通り過ぎていく。
しばらく動けないでいると後ろから声をかけられた。
「よぉリキ、どうした汗だくで」
ゴースに声を掛けられてリキは思わずその場にへたり込んだ。
「な、おい!どうした?大丈夫か!?」
「死ぬかと思った・・・」
「は?」
「というか殺されるかと思った・・・リク怖えー・・・」
飲み物を取りに出て行ったゴースがあわてて帰ってきた。
「どうしたんですかゴース君。死にそうな顔して」
ハーミストがゴースの様子を見て何事かと警戒する。
「やべ―よ!リクがブチ切れてる!リリちゃん本気で何言ってたんだよ!?」
「リク君が切れてるって・・・何かしたんですか?彼」
彼の本性とでも呼ぶべき静かな狂気は暴れようとかそういう方向には動きそうも無かったのだが・・・
「何もしてないから困るんだよ・・・押し黙ったままイライラしてんだから・・・」
ゴースの話によるとリクは先日の復讐について語った時の恐ろしい雰囲気を垂れ流しながらハンガーに向かったようだ。
「そんな風になるなんて・・・やっぱり、リリちゃんが何か言ったんですかね?」
「オレの所為かよ!?」
リリが勢い良く叫ぶ。
「状況的に考えて可能性が高いですね」
「オレが何言ったかもわかんねーのに犯人扱いするなー!」
横から口を出したカルラを睨むリリ。
「何いったかも分からないのに無実だと主張しないでください」
「うっ・・・」
しかしカルラの容赦ない一言にリリは黙りこむ。
しばらく、落ち着いた休暇は取れそうに無い。
「どうしたんですかゴース君。死にそうな顔して」
ハーミストがゴースの様子を見て何事かと警戒する。
「やべ―よ!リクがブチ切れてる!リリちゃん本気で何言ってたんだよ!?」
「リク君が切れてるって・・・何かしたんですか?彼」
彼の本性とでも呼ぶべき静かな狂気は暴れようとかそういう方向には動きそうも無かったのだが・・・
「何もしてないから困るんだよ・・・押し黙ったままイライラしてんだから・・・」
ゴースの話によるとリクは先日の復讐について語った時の恐ろしい雰囲気を垂れ流しながらハンガーに向かったようだ。
「そんな風になるなんて・・・やっぱり、リリちゃんが何か言ったんですかね?」
「オレの所為かよ!?」
リリが勢い良く叫ぶ。
「状況的に考えて可能性が高いですね」
「オレが何言ったかもわかんねーのに犯人扱いするなー!」
横から口を出したカルラを睨むリリ。
「何いったかも分からないのに無実だと主張しないでください」
「うっ・・・」
しかしカルラの容赦ない一言にリリは黙りこむ。
しばらく、落ち着いた休暇は取れそうに無い。
「くっ!」
どうしても荒れたくなる。あれだけ完璧に負ければ。
黒揚羽、無敗のエース。
その正体は十六歳の少女だった。
ミキ・レンストル。
それが彼女の名だった。
彼女がここまで苛立ちを表に出すのはかなり珍しかった。
軍の広報部では氷の姫君とも言われるくらいの無表情だが、今はその美貌は怒りと悔しさに歪んでいた。
「何であんな奴に・・・」
長い黒髪を少し乱しながら呟く。
声から判断するにあまり強い感じではなかった。そういうオーラが無かった。
皆無というわけではない。一瞬だけ寒気を感じるほどに恐ろしい雰囲気を出したが、それは一瞬の事。
あれが本気のオーラなら軍人失格だ。戦場では常に本気でいる事が軍人の常識だ。
つまり、全く本気では無い奴に、ミキは無傷で撃墜された。
それだけの実力差を埋めなければ勝てないという事。
しかし、ミキの実力では訓練の相手が貧弱すぎる。シュミレーターの最高レベルでも生ぬるい。
同じ、エース級の相手との訓練でなければ練習にすらならない。ウォーミングアップになるかならないかだ。
「荒れてるな」
そんなミキの耳に聞き覚えのある声が聞こえる。自分と同じエース級の実力を持った人。
「義兄さん!」
「久しぶりだな、ミキ」
義兄のギルバート・レンストルだ。
「義兄さんも久しぶりです。なぜここに?」
「あー・・・親父にお前の支援に行けって近くにいたから言われてな。負けたんだってな・・・」
ミキの義父も軍人で義兄も軍人、ミキもその影響を受けて軍人になった。
里親にもかかわらず義父は義兄と差の無い愛情を注いでくれた。だからミキは義父の為にがむしゃらに戦い、いつしかエースと呼ばれるように
なった。
「・・・ハイ、完璧に。手加減までされました」
既に義父の耳まで届いているとは思ってもみなかったミキは、落ち込む。
「気にするな。親父も俺も負け無しじゃない。今更負けた程度で失望するかよ」
「ありがとうございます。でも・・やっぱり自分自身が許せないです」
「だから気にするなっての・・・まぁリベンジするんだろ?手伝うよ」
くしゃくしゃとミキの頭を撫で回すギルバート。
ミキは普段の無表情からうれしい雰囲気が伝わる。
「戦闘データは見た。色々纏めてみたよ」
「義兄さんが協力してくれれば勝てます」
「決めつけるなよ・・・」
ミキは家族に依存している。愛情が深い。
ギールストはそんなミキの事が心配でもある。
もし、戦場で義父やギールストが死んだら・・・彼女は立ち直れない程とり乱すのではないか?
そこまで考えて自分も家族の死には死ぬほどとり乱すだろうなと思った。
兄妹そろってとんだファミリー・コンプレックスだ。略してファミコンだ。
「・・・旧式だな」
「何の事です?」
どうしても荒れたくなる。あれだけ完璧に負ければ。
黒揚羽、無敗のエース。
その正体は十六歳の少女だった。
ミキ・レンストル。
それが彼女の名だった。
彼女がここまで苛立ちを表に出すのはかなり珍しかった。
軍の広報部では氷の姫君とも言われるくらいの無表情だが、今はその美貌は怒りと悔しさに歪んでいた。
「何であんな奴に・・・」
長い黒髪を少し乱しながら呟く。
声から判断するにあまり強い感じではなかった。そういうオーラが無かった。
皆無というわけではない。一瞬だけ寒気を感じるほどに恐ろしい雰囲気を出したが、それは一瞬の事。
あれが本気のオーラなら軍人失格だ。戦場では常に本気でいる事が軍人の常識だ。
つまり、全く本気では無い奴に、ミキは無傷で撃墜された。
それだけの実力差を埋めなければ勝てないという事。
しかし、ミキの実力では訓練の相手が貧弱すぎる。シュミレーターの最高レベルでも生ぬるい。
同じ、エース級の相手との訓練でなければ練習にすらならない。ウォーミングアップになるかならないかだ。
「荒れてるな」
そんなミキの耳に聞き覚えのある声が聞こえる。自分と同じエース級の実力を持った人。
「義兄さん!」
「久しぶりだな、ミキ」
義兄のギルバート・レンストルだ。
「義兄さんも久しぶりです。なぜここに?」
「あー・・・親父にお前の支援に行けって近くにいたから言われてな。負けたんだってな・・・」
ミキの義父も軍人で義兄も軍人、ミキもその影響を受けて軍人になった。
里親にもかかわらず義父は義兄と差の無い愛情を注いでくれた。だからミキは義父の為にがむしゃらに戦い、いつしかエースと呼ばれるように
なった。
「・・・ハイ、完璧に。手加減までされました」
既に義父の耳まで届いているとは思ってもみなかったミキは、落ち込む。
「気にするな。親父も俺も負け無しじゃない。今更負けた程度で失望するかよ」
「ありがとうございます。でも・・やっぱり自分自身が許せないです」
「だから気にするなっての・・・まぁリベンジするんだろ?手伝うよ」
くしゃくしゃとミキの頭を撫で回すギルバート。
ミキは普段の無表情からうれしい雰囲気が伝わる。
「戦闘データは見た。色々纏めてみたよ」
「義兄さんが協力してくれれば勝てます」
「決めつけるなよ・・・」
ミキは家族に依存している。愛情が深い。
ギールストはそんなミキの事が心配でもある。
もし、戦場で義父やギールストが死んだら・・・彼女は立ち直れない程とり乱すのではないか?
そこまで考えて自分も家族の死には死ぬほどとり乱すだろうなと思った。
兄妹そろってとんだファミリー・コンプレックスだ。略してファミコンだ。
「・・・旧式だな」
「何の事です?」
「とりあえず俺の見解から言うと、勝てない相手ではない」
戦闘データを解析したギルバートは新型機の性能をこう読んだ。
「ですが、あの機体に弱点が見当たりません」
「それは一対一だからだ。サシで勝てる機体はいないだろうな、親父含めて」
「そこまで強い機体なんですか・・・」
ミキの脳裏には新型との戦闘が思い浮かんでいた。
「パイロットの技量もあるがな」
ギルバートは新型が見せたスペックをあげていく。
「まず瞬間的な加速力、かなりの重量、驚異的なエネルギー効率が特筆すべき点だ」
一瞬でレーザーの射程距離から外れる加速。
蹴りに動じない大型を越える重量。
そして、レールガンを連射可能にするエネルギー効率。
「さらにこの新型はこちらの攻撃はほぼすべてカットしている」
粒子にふれた瞬間、消える実弾。
新型の目の前で曲がるレーザー。
「正直非の打ちどころのない性能です。こちらの機体の改造が必要な気が・・・」
「弱点はある。機体の小ささだ」
確かに、新型は小型三区分ほどの機体だ。
「ですが、軽くなくてその重量であのスピードで飛んでいるあの機体をどう攻めろと?」
「そこじゃない。機体が小さいという事は、バッテリーも小さいんだよ」
確かに、小型はバッテリーが小さくなる傾向にあるが・・・
「レールガンを連射出来る機体にエネルギー関連の弱点はどうかと・・・」
「そこだ、小型のバッテリーで拠点防衛用兵器のレールガンを連射出来る性能。つまり、あの機体はエネルギーの問題を解決している」
「解決されちゃ意味がないでしょう?」
「解決方法を考えるんだよ。いつも言ってるだろ?短所は長所を見つめて出てくるって」
ギルバートは一つの映像を出してきた。それは新型の粒子の写真だった。
「エネルギーの問題の解決、つまりこの機体は内部で発電を行っている。それには、この粒子が関わっていると俺は思う」
謎の黒い粒子、この黒い光は常に機体から放出されていた。つまり、それ程にあの機体にとって重要なものなのだろう。
「じゃあ、義兄さんはあの粒子が放出される事で発電していると考えているんですか?」
「大まかに言えば、その可能性が高い」
「じゃあの粒子を作れなくするんですか?」
それは難しいと思う。どうやって生産しているのかも分からないのに・・・
「それは違う。それは今の段階では無理だろう」
「じゃあどうするんですか?」
「発電量を越える消費をさせる」
「それも難しいと思うんですけど・・・」
「ここからが、戦略だよ」
ギルバートはにやりとほくそ笑みながらプランを話始めた。
戦闘データを解析したギルバートは新型機の性能をこう読んだ。
「ですが、あの機体に弱点が見当たりません」
「それは一対一だからだ。サシで勝てる機体はいないだろうな、親父含めて」
「そこまで強い機体なんですか・・・」
ミキの脳裏には新型との戦闘が思い浮かんでいた。
「パイロットの技量もあるがな」
ギルバートは新型が見せたスペックをあげていく。
「まず瞬間的な加速力、かなりの重量、驚異的なエネルギー効率が特筆すべき点だ」
一瞬でレーザーの射程距離から外れる加速。
蹴りに動じない大型を越える重量。
そして、レールガンを連射可能にするエネルギー効率。
「さらにこの新型はこちらの攻撃はほぼすべてカットしている」
粒子にふれた瞬間、消える実弾。
新型の目の前で曲がるレーザー。
「正直非の打ちどころのない性能です。こちらの機体の改造が必要な気が・・・」
「弱点はある。機体の小ささだ」
確かに、新型は小型三区分ほどの機体だ。
「ですが、軽くなくてその重量であのスピードで飛んでいるあの機体をどう攻めろと?」
「そこじゃない。機体が小さいという事は、バッテリーも小さいんだよ」
確かに、小型はバッテリーが小さくなる傾向にあるが・・・
「レールガンを連射出来る機体にエネルギー関連の弱点はどうかと・・・」
「そこだ、小型のバッテリーで拠点防衛用兵器のレールガンを連射出来る性能。つまり、あの機体はエネルギーの問題を解決している」
「解決されちゃ意味がないでしょう?」
「解決方法を考えるんだよ。いつも言ってるだろ?短所は長所を見つめて出てくるって」
ギルバートは一つの映像を出してきた。それは新型の粒子の写真だった。
「エネルギーの問題の解決、つまりこの機体は内部で発電を行っている。それには、この粒子が関わっていると俺は思う」
謎の黒い粒子、この黒い光は常に機体から放出されていた。つまり、それ程にあの機体にとって重要なものなのだろう。
「じゃあ、義兄さんはあの粒子が放出される事で発電していると考えているんですか?」
「大まかに言えば、その可能性が高い」
「じゃあの粒子を作れなくするんですか?」
それは難しいと思う。どうやって生産しているのかも分からないのに・・・
「それは違う。それは今の段階では無理だろう」
「じゃあどうするんですか?」
「発電量を越える消費をさせる」
「それも難しいと思うんですけど・・・」
「ここからが、戦略だよ」
ギルバートはにやりとほくそ笑みながらプランを話始めた。
「おい、ラウル?小僧の奴どうしたんだ?」
「しらねェっすよ・・・俺だって困ってるんっすから」
ハンガーに現れたリクはグラビレイトのコクピットの中でイザナミと話をしているらしい。
刺々しい雰囲気は感じ取れたため声をかけづらい。
「これじゃあ新兵器の解説も出来ないっすよ」
「ま、俺は他の機体の整備行くから後は頑張れ」
「ちょ!?班長逃げるな!逃げないでくださいー!」
一方イザナミはリクと話していた。
「この間の戦いのデータを解析したか?」
『はい。黒揚羽の行動のパターン、敵艦のスペック、フォーメーションの形式は記録しました』
「俺の動きは?」
『トレースはしました。ある程度自動制御をマスターの動きのデータに書き換える事でシュミレーションでは被撃墜率の低下に成功しました』
「これから先、俺の戦闘データを全て記録しろ。取ったデータは自動制御ではなく戦闘用OSの方に設定だ」
『了解しました。ですが、ある程度データが集まらないといけませんからしばらくは補助効率が低いままですがどうします?』
「自分で考えろ」
リクはそれだけ言うとグラビレイトから降りて自分の部屋に戻っていった。
「なあなあ、リクは何しに来たんだ?」
ラウルがイザナミに問う
『戦闘用OSをマスターのデータで書き変えろと言われました。マニュアルにない作業です』
イザナミはリクの事を理解しかねていた。なぜ、OSの書き換えなどと言う下手をすれば機体のバランスが崩れる事を命令したのかが分からな
い。
「OSの書き換えって・・・またありえない注文付けてくるね・・・」
その時、敵集を告げる警報が鳴った。
「しらねェっすよ・・・俺だって困ってるんっすから」
ハンガーに現れたリクはグラビレイトのコクピットの中でイザナミと話をしているらしい。
刺々しい雰囲気は感じ取れたため声をかけづらい。
「これじゃあ新兵器の解説も出来ないっすよ」
「ま、俺は他の機体の整備行くから後は頑張れ」
「ちょ!?班長逃げるな!逃げないでくださいー!」
一方イザナミはリクと話していた。
「この間の戦いのデータを解析したか?」
『はい。黒揚羽の行動のパターン、敵艦のスペック、フォーメーションの形式は記録しました』
「俺の動きは?」
『トレースはしました。ある程度自動制御をマスターの動きのデータに書き換える事でシュミレーションでは被撃墜率の低下に成功しました』
「これから先、俺の戦闘データを全て記録しろ。取ったデータは自動制御ではなく戦闘用OSの方に設定だ」
『了解しました。ですが、ある程度データが集まらないといけませんからしばらくは補助効率が低いままですがどうします?』
「自分で考えろ」
リクはそれだけ言うとグラビレイトから降りて自分の部屋に戻っていった。
「なあなあ、リクは何しに来たんだ?」
ラウルがイザナミに問う
『戦闘用OSをマスターのデータで書き変えろと言われました。マニュアルにない作業です』
イザナミはリクの事を理解しかねていた。なぜ、OSの書き換えなどと言う下手をすれば機体のバランスが崩れる事を命令したのかが分からな
い。
「OSの書き換えって・・・またありえない注文付けてくるね・・・」
その時、敵集を告げる警報が鳴った。
「敵の布陣は?」
「当基地を取り囲むように北西、南西、東から接近中です。既にミサイル攻撃が開始されています!」
「まずいな、このままじゃ袋叩きだ。艦を出す事も許してくれないな」
カルラとゴースが状況報告をする。
「敵機の数、総勢八十機!?かなりの量です!敵の布陣は北西から四十、他の二か所は二十です!」
すぐにでも対応しなければ基地ごと生き埋めになってしまうだろう。
「籠城か、突破か・・・どちらにすべきでしょうかね・・・」
[籠城は駄目だ。突破も難しい]
通信の音声。リクの声がする。
「リ、リク君?どうしたんですか?」
声色がブリッジを凍らせた恐ろしい声と同じだったので、少しの緊張と共に聞き返す。
[籠城は向こうの狙い通り、突破もさせてくれないだろう]
「確かに、この場合は戦力の配置の考察が必要ですね・・・」
[まず、HBで敵を減らしてから突破だ。二方を俺達で、残りの一方を基地の防衛兵器で攻撃すればいい]
あっさりと言うリクにゴースが慌てた。
「ちょっと待て、それじゃあロシアにしか逃げられない。太平洋上を渡りきるほどの資源はまだ積んでないし、それに中国に渡るのは敵地のど真ん中に突っ込む事になる」
ここから進める選択肢はかなり狭い。
東には物資不足で陸地にたどり着けそうに無い。
西と北には同盟側の中国か基地まで遠すぎて物資が足りそうにないロシアにしか進めない。
南下すると南太平洋中立国家と言う中立勢力の領域に入ってしまう。中立と入っても攻めてこない第三軍の様なものだから、そこに入れば激しい攻撃を食らうだろう。
「・・・ロシアに戻るしかないですね。HBは基本砲戦で、南西の敵を迎撃。リク君に北西の敵を減らしてもらいます。あと一応基地の皆さんに連絡、最悪の場合この基地の放棄の準備をしてもらいます」
「当基地を取り囲むように北西、南西、東から接近中です。既にミサイル攻撃が開始されています!」
「まずいな、このままじゃ袋叩きだ。艦を出す事も許してくれないな」
カルラとゴースが状況報告をする。
「敵機の数、総勢八十機!?かなりの量です!敵の布陣は北西から四十、他の二か所は二十です!」
すぐにでも対応しなければ基地ごと生き埋めになってしまうだろう。
「籠城か、突破か・・・どちらにすべきでしょうかね・・・」
[籠城は駄目だ。突破も難しい]
通信の音声。リクの声がする。
「リ、リク君?どうしたんですか?」
声色がブリッジを凍らせた恐ろしい声と同じだったので、少しの緊張と共に聞き返す。
[籠城は向こうの狙い通り、突破もさせてくれないだろう]
「確かに、この場合は戦力の配置の考察が必要ですね・・・」
[まず、HBで敵を減らしてから突破だ。二方を俺達で、残りの一方を基地の防衛兵器で攻撃すればいい]
あっさりと言うリクにゴースが慌てた。
「ちょっと待て、それじゃあロシアにしか逃げられない。太平洋上を渡りきるほどの資源はまだ積んでないし、それに中国に渡るのは敵地のど真ん中に突っ込む事になる」
ここから進める選択肢はかなり狭い。
東には物資不足で陸地にたどり着けそうに無い。
西と北には同盟側の中国か基地まで遠すぎて物資が足りそうにないロシアにしか進めない。
南下すると南太平洋中立国家と言う中立勢力の領域に入ってしまう。中立と入っても攻めてこない第三軍の様なものだから、そこに入れば激しい攻撃を食らうだろう。
「・・・ロシアに戻るしかないですね。HBは基本砲戦で、南西の敵を迎撃。リク君に北西の敵を減らしてもらいます。あと一応基地の皆さんに連絡、最悪の場合この基地の放棄の準備をしてもらいます」
「戦力差を考えれば部隊は基地を放棄して撤退するだろう。そこで、唯一の安全な撤退路に大きな部隊を置く」
作戦を説明するギルバート。既に戦闘の準備は整っている。
「新型はこちらに来るだろうね。だから、そこを一斉射撃。パイロットの動きからみてこれで新型の動きの制限は出来る筈。レーザーなら恐ら
く一気に相手のバッテリーを消耗させられる。粒子の制御なんていう特殊なシステムでレーザーを曲げてるんだからな」
「しかし、失敗したときはどうするんですか?あの機体はまだスペックを隠してるかも知れません」
「それなら、スペックを出す暇を無くせばいい。艦の射撃を合わせた砲撃に耐えきれる機体なんてそうそういないさ」
黒と青の二人のエース率いる部隊による新型鹵獲作戦が開始される。
作戦を説明するギルバート。既に戦闘の準備は整っている。
「新型はこちらに来るだろうね。だから、そこを一斉射撃。パイロットの動きからみてこれで新型の動きの制限は出来る筈。レーザーなら恐ら
く一気に相手のバッテリーを消耗させられる。粒子の制御なんていう特殊なシステムでレーザーを曲げてるんだからな」
「しかし、失敗したときはどうするんですか?あの機体はまだスペックを隠してるかも知れません」
「それなら、スペックを出す暇を無くせばいい。艦の射撃を合わせた砲撃に耐えきれる機体なんてそうそういないさ」
黒と青の二人のエース率いる部隊による新型鹵獲作戦が開始される。
『システム起動しました。グラビレイト出撃可能です』
[今更ですけどリクさんのアルコールは抜けてますか?]
『既に問題ないレベルです。脳波も安定していますから支障はないかと思われます』
[ならいいですけど・・・じゃあ出撃してください]
「了解、出撃シークエンスに」
[気を付けてください。こちらは南西の敵が接近するまで行動できませんから]
カルラの忠告を半ば無視してリクは言う。
「問題無い。出撃する」
基地から、グラビレイトの白い機体が出撃する。一気に最高速度に到達して四十機の機体の中心へと向かう。
『新たな反応あり、潜水艦が二機、後方に現れました』
[はさまれた!?増援を送る!]
ゴースの驚きの声を遮るリク。
「問題無いと言った。想定してる」
[だが・・・]
「この機体を狙ってくるのは確かだ。そちらにはいかない」
通信を切り、減速しながら敵の装備を見る。
(レーザーが殆どか・・・不自然だな)
『潜水艦から二十四機のHB出撃しました。完璧に包囲されています』
[増援の中にエース機二機確認。黒揚羽と青い知将(ブルーリソース)だ!さすがにきついんじゃ・・・]
「青い知将?どんな奴だ?」
リクはエースの戦闘法を聞こうと通信を返した。
[戦闘での部隊指揮に優れたエースだ。機体は射撃型で指揮能力が高い。戦闘力としては黒揚羽よりは劣るがかなりの実力者だ]
「なら、この先は俺を鹵獲する戦略だろうな」
十分想定できるだろう。次の瞬間、潜水艦からの砲撃が開始された。
「イザナギ、リフレクション展開。サイズは二十×六十、レーザーに対して四十二度で発生。レーザー以外についてはポインタで警告しろ」
『了解。リフレクション発動します』
グラビレイトの周囲の空間が歪む。重力で光を歪めてレーザーを曲げるリフレクションが発動したからだ。艦載レーザーを曲げると、HBによ
るレーザーの射撃が開始された。レーザー以外の攻撃は視界に大まかな効果範囲を表示するポインタで確認する。
「低出力のレーザーはポインタで警告。新武装は粒子圧縮率二七パーセントで固定。レールガンには回さなくていい」
レーザーの雨を避け、いなし、防ぐ。タイミングを見計らって右手につけられた小さな武器を敵に向けて発射する。
発射された三日月形の攻撃は敵機の右手を巻き込み、落とした。
『ワイドグラビティは中~近距離型の射撃武器です。粒子をそのままで発射するので防がれにくいですし、圧縮率を切り替えればどんな状況で
も使用可能です』
詳しい説明を聞き流しながら、反撃を繰り返す。また一機を落としてさらに敵の攻撃をかわす。ワイドグラビティは相手の動きを制限させるこ
とにも役立っている。重力場によって生まれた力に敵機が引っ張られている為、動きに隙が出来やすくなる。これで、勝利は可能かと思った矢
先にエース機が動いた。
『高出力の攻撃、来ます』
戦艦並みの砲撃がグラビレイトの装甲をかすめた。
「なぜレーザーが通る!?」
思わず声を荒げるリク。想定以上の攻撃だった。
『出力とヒットする位置のせいでリフレクションが効きません』
「艦載レーザーよりも出力が高いのか?」
『出力は艦載レーザーには劣りますが、精密にリフレクションの負荷が高い所に当ててきます』
第二射が肩の装甲の一部を溶かす。
「まずいな。この状況」
[大丈夫か?]
「グラビレイトに対しての対策が完璧に立てられている。結構厳しいかもしれない」
[それなら増援を――]
「増援より、進路変更を頼む。基地の放棄は決定してほしい」
ゴースの言葉を遮ってリクは撤退の意思を伝える。
[・・・分かった。死ぬなよ]
既にヘルメットの内側には、バッテリー残量が危険域である事の警告が出ていた。
[今更ですけどリクさんのアルコールは抜けてますか?]
『既に問題ないレベルです。脳波も安定していますから支障はないかと思われます』
[ならいいですけど・・・じゃあ出撃してください]
「了解、出撃シークエンスに」
[気を付けてください。こちらは南西の敵が接近するまで行動できませんから]
カルラの忠告を半ば無視してリクは言う。
「問題無い。出撃する」
基地から、グラビレイトの白い機体が出撃する。一気に最高速度に到達して四十機の機体の中心へと向かう。
『新たな反応あり、潜水艦が二機、後方に現れました』
[はさまれた!?増援を送る!]
ゴースの驚きの声を遮るリク。
「問題無いと言った。想定してる」
[だが・・・]
「この機体を狙ってくるのは確かだ。そちらにはいかない」
通信を切り、減速しながら敵の装備を見る。
(レーザーが殆どか・・・不自然だな)
『潜水艦から二十四機のHB出撃しました。完璧に包囲されています』
[増援の中にエース機二機確認。黒揚羽と青い知将(ブルーリソース)だ!さすがにきついんじゃ・・・]
「青い知将?どんな奴だ?」
リクはエースの戦闘法を聞こうと通信を返した。
[戦闘での部隊指揮に優れたエースだ。機体は射撃型で指揮能力が高い。戦闘力としては黒揚羽よりは劣るがかなりの実力者だ]
「なら、この先は俺を鹵獲する戦略だろうな」
十分想定できるだろう。次の瞬間、潜水艦からの砲撃が開始された。
「イザナギ、リフレクション展開。サイズは二十×六十、レーザーに対して四十二度で発生。レーザー以外についてはポインタで警告しろ」
『了解。リフレクション発動します』
グラビレイトの周囲の空間が歪む。重力で光を歪めてレーザーを曲げるリフレクションが発動したからだ。艦載レーザーを曲げると、HBによ
るレーザーの射撃が開始された。レーザー以外の攻撃は視界に大まかな効果範囲を表示するポインタで確認する。
「低出力のレーザーはポインタで警告。新武装は粒子圧縮率二七パーセントで固定。レールガンには回さなくていい」
レーザーの雨を避け、いなし、防ぐ。タイミングを見計らって右手につけられた小さな武器を敵に向けて発射する。
発射された三日月形の攻撃は敵機の右手を巻き込み、落とした。
『ワイドグラビティは中~近距離型の射撃武器です。粒子をそのままで発射するので防がれにくいですし、圧縮率を切り替えればどんな状況で
も使用可能です』
詳しい説明を聞き流しながら、反撃を繰り返す。また一機を落としてさらに敵の攻撃をかわす。ワイドグラビティは相手の動きを制限させるこ
とにも役立っている。重力場によって生まれた力に敵機が引っ張られている為、動きに隙が出来やすくなる。これで、勝利は可能かと思った矢
先にエース機が動いた。
『高出力の攻撃、来ます』
戦艦並みの砲撃がグラビレイトの装甲をかすめた。
「なぜレーザーが通る!?」
思わず声を荒げるリク。想定以上の攻撃だった。
『出力とヒットする位置のせいでリフレクションが効きません』
「艦載レーザーよりも出力が高いのか?」
『出力は艦載レーザーには劣りますが、精密にリフレクションの負荷が高い所に当ててきます』
第二射が肩の装甲の一部を溶かす。
「まずいな。この状況」
[大丈夫か?]
「グラビレイトに対しての対策が完璧に立てられている。結構厳しいかもしれない」
[それなら増援を――]
「増援より、進路変更を頼む。基地の放棄は決定してほしい」
ゴースの言葉を遮ってリクは撤退の意思を伝える。
[・・・分かった。死ぬなよ]
既にヘルメットの内側には、バッテリー残量が危険域である事の警告が出ていた。
「さて、そろそろ奴のバッテリーが切れかけるころかな?」
[あれだけ圧倒的だったあの機体がかなり追いつめられていますね]
青い知将、ギールストは自機が右側に構えている大型レーザー砲のバッテリーを交換する。
カートリッジ式のバッテリーによって放たれる砲撃は上手く当てている事も合わさって新型の装甲の一部を溶かしていた。
レーザーの中心部で追いつめられた敵機の動きが単調になっていくのを見て、ギルバートはほくそ笑む。
「このくらいじゃ落ちないのだろう?義妹が世話になった分を返させてもらう」
三発目を発射した直後に、異変があった。
爆音とともに右手と大型レーザー砲が破壊された。
「何!?」
リクは機転を利かせた結果が表れていた。
リフレクションはレーザーを曲げる機能。ならば、曲げきってしまえばレーザーをカウンター式に当てられる。
現に青い知将に別のレーザーを当てて、厄介な砲撃を封じた。
ブレードに手をかけながら撤退の布石を置こうとするリク。
「くそ!こんなことになるなんて・・」
右手がやられただけ、まだ左手がある。
左側にマウントされている武器、大型のチェーンガンを手に取る。
右手で保持すべき部分に足をかけて固定して攻撃を開始する。
しかし、リクには既に余裕があった。右手で保持したブレードは既に展開されている。
ワイドグラビティが牽制として放たれ、チェーンガンの銃口を三日月形の重力場粒子に逸らさせる。
次の瞬間、五十メートルほどの漆黒の剣が戦場に現れる。軽い機体はその剣に引き込まれそうになる。
ギルバートはその光景に驚く事しかできなかった。
先程のチェーンガンは腕を三日月形の黒い攻撃に引っ張られるように外れた。
奴の防御は大気を歪めて光を曲げている。
そして今、あの黒い剣に全てを引き込む様な強い力が働いている。
「まさか・・・あの粒子は引力、いや重力を?」
[あれだけ圧倒的だったあの機体がかなり追いつめられていますね]
青い知将、ギールストは自機が右側に構えている大型レーザー砲のバッテリーを交換する。
カートリッジ式のバッテリーによって放たれる砲撃は上手く当てている事も合わさって新型の装甲の一部を溶かしていた。
レーザーの中心部で追いつめられた敵機の動きが単調になっていくのを見て、ギルバートはほくそ笑む。
「このくらいじゃ落ちないのだろう?義妹が世話になった分を返させてもらう」
三発目を発射した直後に、異変があった。
爆音とともに右手と大型レーザー砲が破壊された。
「何!?」
リクは機転を利かせた結果が表れていた。
リフレクションはレーザーを曲げる機能。ならば、曲げきってしまえばレーザーをカウンター式に当てられる。
現に青い知将に別のレーザーを当てて、厄介な砲撃を封じた。
ブレードに手をかけながら撤退の布石を置こうとするリク。
「くそ!こんなことになるなんて・・」
右手がやられただけ、まだ左手がある。
左側にマウントされている武器、大型のチェーンガンを手に取る。
右手で保持すべき部分に足をかけて固定して攻撃を開始する。
しかし、リクには既に余裕があった。右手で保持したブレードは既に展開されている。
ワイドグラビティが牽制として放たれ、チェーンガンの銃口を三日月形の重力場粒子に逸らさせる。
次の瞬間、五十メートルほどの漆黒の剣が戦場に現れる。軽い機体はその剣に引き込まれそうになる。
ギルバートはその光景に驚く事しかできなかった。
先程のチェーンガンは腕を三日月形の黒い攻撃に引っ張られるように外れた。
奴の防御は大気を歪めて光を曲げている。
そして今、あの黒い剣に全てを引き込む様な強い力が働いている。
「まさか・・・あの粒子は引力、いや重力を?」
それと同時に基地からスタークが発進する。方角は南西。
リリのテンションがかなり高くなる。リリは突撃をしたくてたまらない人種だったのでこの撤退は十分に興奮を覚える瞬間だった。
「よっしゃぁぁ!!全速力だぁぁ!!!」
「全砲門開いてください」
円錐を逆向きにした様なメインブロック、左右についた平べったいサブブロックからなるスタークの左右のブロックの先端にある砲門がエネル
ギーを溜めていく。
四門の艦載大型レーザーと二門のレールガン、そして艦底の円錐の先に当たる位置にある旋回式レールガンの七門が出力を高める。
既に敵部隊は射程範囲内。
「撃てぇぇ!!」
ハーミストの号令と共にスタークの火力が前方の殆どの敵を落としていた。
「すすめ、すすめぇ!はっはっはっは!邪魔だぁぁ!」
「リリちゃん!?だからもっとゆっくり丁寧な操舵を――」
ゴースの悲鳴など聞こえていないリリは一気に速度を上げる。かなりのスピードで一気に戦場を駆け抜けるスターク。
「おらおらおらぁぁ!!」
「ぎゃーーー!!??」
残った敵機も対空砲火をしながら突っ込んでくるスタークに当たらない様にする事しかできなかった。
リリのテンションがかなり高くなる。リリは突撃をしたくてたまらない人種だったのでこの撤退は十分に興奮を覚える瞬間だった。
「よっしゃぁぁ!!全速力だぁぁ!!!」
「全砲門開いてください」
円錐を逆向きにした様なメインブロック、左右についた平べったいサブブロックからなるスタークの左右のブロックの先端にある砲門がエネル
ギーを溜めていく。
四門の艦載大型レーザーと二門のレールガン、そして艦底の円錐の先に当たる位置にある旋回式レールガンの七門が出力を高める。
既に敵部隊は射程範囲内。
「撃てぇぇ!!」
ハーミストの号令と共にスタークの火力が前方の殆どの敵を落としていた。
「すすめ、すすめぇ!はっはっはっは!邪魔だぁぁ!」
「リリちゃん!?だからもっとゆっくり丁寧な操舵を――」
ゴースの悲鳴など聞こえていないリリは一気に速度を上げる。かなりのスピードで一気に戦場を駆け抜けるスターク。
「おらおらおらぁぁ!!」
「ぎゃーーー!!??」
残った敵機も対空砲火をしながら突っ込んでくるスタークに当たらない様にする事しかできなかった。
高速艦並みのスピードで戦場を離脱するスタークを追うように、漆黒の剣を振りもせずグラビレイトがダッシュを開始する。
黒揚羽の指示で部隊がグラビレイトを離脱する前に高速で取り囲む。
『ブレード展開可能時間、九秒です』
「最後まで緩めるなよ!」
『周囲への影響はどうします?』
「上手く使う!」
重力でまとめた空気や物質は重力場粒子が切れると同時に大きさを戻そうとする。
それは爆風となりHBを撃墜できるレベルらしいが、それをさらにうまく使う。
残り五秒。
既に周囲は敵の部隊に囲まれている。スタークはグラビレイトが置いていかれるほどのスピードで戦闘区域を離脱していく。
残り三秒。
下準備をする。逃げる為には敵の攻撃をカットする必要がある。ブレードを逆手に持ち、海面に突き刺す。
残り一秒。
「吹き飛べ」
タイムオーバー。ブレードの粒子が切れて空気が爆発を水面の中で起こす。
黒揚羽の指示で部隊がグラビレイトを離脱する前に高速で取り囲む。
『ブレード展開可能時間、九秒です』
「最後まで緩めるなよ!」
『周囲への影響はどうします?』
「上手く使う!」
重力でまとめた空気や物質は重力場粒子が切れると同時に大きさを戻そうとする。
それは爆風となりHBを撃墜できるレベルらしいが、それをさらにうまく使う。
残り五秒。
既に周囲は敵の部隊に囲まれている。スタークはグラビレイトが置いていかれるほどのスピードで戦闘区域を離脱していく。
残り三秒。
下準備をする。逃げる為には敵の攻撃をカットする必要がある。ブレードを逆手に持ち、海面に突き刺す。
残り一秒。
「吹き飛べ」
タイムオーバー。ブレードの粒子が切れて空気が爆発を水面の中で起こす。
一瞬で水面が盛り上がり、爆発する。大量の水が持ち上がり接近していた機体を薙ぎ払う。
数機が海の中に引き込まれる。水の勢いで将はする期待もいた。巨大な水柱の中をグラビレイトは全速力でスタークに飛ぶ。
「何だこれは!無茶苦茶だ・・・」
[くそっ、ここまでやるとは思わなかった!]
「逃がすな!撃て!」
逃げるグラビレイトに対して黒揚羽を筆頭としてレーザーが撃たれるが・・・
「水しぶきが・・・」
水しぶきでレーザーが届かない。水で光が曲げられている。
そして加速力でグラビレイトに勝てる機体はいない。
「逃げられた・・・」
数機が海の中に引き込まれる。水の勢いで将はする期待もいた。巨大な水柱の中をグラビレイトは全速力でスタークに飛ぶ。
「何だこれは!無茶苦茶だ・・・」
[くそっ、ここまでやるとは思わなかった!]
「逃がすな!撃て!」
逃げるグラビレイトに対して黒揚羽を筆頭としてレーザーが撃たれるが・・・
「水しぶきが・・・」
水しぶきでレーザーが届かない。水で光が曲げられている。
そして加速力でグラビレイトに勝てる機体はいない。
「逃げられた・・・」
翌日中国に突入したスタークは既に追手を撒いて光学迷彩で姿を隠しながら航行していた。
ハーミストはブリッジに向かう途中で一つの部屋からリクが出てくる所にはち合わせた。
少しばかり緊張するハーミストだがリクは全く気にせずに声をかける。
「おはようございます、艦長」
「・・・・口調と雰囲気が戻ってますよ!?」
「何の事ですか?それより、出撃したんですね。補給は終わったんですか?」
リクは何事も無かったかのように昨日の事を何も言わない。
「昨日は敵に囲まれて撤退したんですよ?あなたの機嫌が悪くてみんな戦々恐々としてんたんですよ?」
「え、僕の機嫌が悪い?でも昨日って宴会じゃ・・・え?」
「いや昨日は基地から撤退して・・・あれ?」
「「・・・・・・あれ?」」
結論、リク・ゼノラスは―――普通に酔った時よりも二日酔いが酷い。
追記、リリと話した内容は忘れてしまった為何が話されていたのかは本人含め、誰にも分からなくなってしまった。
ハーミストはブリッジに向かう途中で一つの部屋からリクが出てくる所にはち合わせた。
少しばかり緊張するハーミストだがリクは全く気にせずに声をかける。
「おはようございます、艦長」
「・・・・口調と雰囲気が戻ってますよ!?」
「何の事ですか?それより、出撃したんですね。補給は終わったんですか?」
リクは何事も無かったかのように昨日の事を何も言わない。
「昨日は敵に囲まれて撤退したんですよ?あなたの機嫌が悪くてみんな戦々恐々としてんたんですよ?」
「え、僕の機嫌が悪い?でも昨日って宴会じゃ・・・え?」
「いや昨日は基地から撤退して・・・あれ?」
「「・・・・・・あれ?」」
結論、リク・ゼノラスは―――普通に酔った時よりも二日酔いが酷い。
追記、リリと話した内容は忘れてしまった為何が話されていたのかは本人含め、誰にも分からなくなってしまった。
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