二つの影がすれ違った。一つはゆっくり落ちながら、もう一つは、高速で移動しながら。
その周りを、別の影達が高速で通り抜ける。
その周りを、別の影達が高速で通り抜ける。
「凄い……!」
「どーだ。この子はそこらのガードロボなんかにゃ負けないのよ?」
「どーだ。この子はそこらのガードロボなんかにゃ負けないのよ?」
すれ違った二つの影の一つ。海亀のようなガードロボは、真っ二つに分かたれている。オステウスによって切り裂かれたのだ。
Diver's shell another 『Primal Diver's』
第七回:【侵入】
第七回:【侵入】
オステウスの動きは緩慢である。いや、水中という事を考えると驚くべきスピードではあるのだが、それでも決して速いとは言えない。
だが、長い柄の長巻は強いトルクを発生させ、切っ先の速度は物体を切り裂く威力を保有する。
オステウスに握られたそれは、水中で白兵戦を行う為の武器は何が最適かと追求した結果選ばれたのだ。槍のように突き刺し、そして、斬る。
正面から突撃したガードロボは、自身のスピードとの速度合成によって生み出された鋭い刃の威力の前に真っ二つに両断されてしまった。
だが、長い柄の長巻は強いトルクを発生させ、切っ先の速度は物体を切り裂く威力を保有する。
オステウスに握られたそれは、水中で白兵戦を行う為の武器は何が最適かと追求した結果選ばれたのだ。槍のように突き刺し、そして、斬る。
正面から突撃したガードロボは、自身のスピードとの速度合成によって生み出された鋭い刃の威力の前に真っ二つに両断されてしまった。
「まだまだ来るわよ。魚雷は節約したいから頑張ってよフラン」
「解ってる」
「解ってる」
フランはスラスターを作動させ、くるりとオステウスの向きを変える。自由落下を続けながら、再び長巻を構える。
狭いコックピットの中で、ブカブカのスマートスーツを着たフランは非常に動きにくい状態である。だが、その操縦桿の特性上、ほとんど動く必要は無かった。それだけでなく、その反応は見事にフランの意思に応える。
それはオステウスの性能のみならず、フランの操縦センスが高い証拠でもある。
機体とフランの相性は抜群だった。結果、水中でまるで自らの肉体で戦っているように、滑らかに切っ先をガードロボへと向ける。
狭いコックピットの中で、ブカブカのスマートスーツを着たフランは非常に動きにくい状態である。だが、その操縦桿の特性上、ほとんど動く必要は無かった。それだけでなく、その反応は見事にフランの意思に応える。
それはオステウスの性能のみならず、フランの操縦センスが高い証拠でもある。
機体とフランの相性は抜群だった。結果、水中でまるで自らの肉体で戦っているように、滑らかに切っ先をガードロボへと向ける。
「突っ込んで来ない……?」
「向こうはバカじゃ無いみたい。魚雷がダメ。接近戦もダメ。なら、フランならどう戦う?」
「チームプレイで戦う」
「正解よ」
「向こうはバカじゃ無いみたい。魚雷がダメ。接近戦もダメ。なら、フランならどう戦う?」
「チームプレイで戦う」
「正解よ」
ガードロボ達はオステウスを取り囲むように移動した。水中故の三次元の包囲網。次に取る行動は。
「同時攻撃が来るわよフラン」
「じゃあ距離をとる。落下したままじゃ不利」
「じゃあ距離をとる。落下したままじゃ不利」
オステウスの背中にあるバックパックの一部が作動する。それは細長い円筒状の物体である。噴射口と見られる部分が上を向いている。
「ロケットブースターオン。取り合えず地面まで」
噴射。小型とは言え、ロケットの推進力はスラスターの比では無い。オステウスは高速で下方向へと加速する。圧力差によってオステウスの周囲の海水が泡になり、機体を包むように、そして、オステウスその物が流星にでもなったかのように水中に尾を引いた。
易々と包囲網を突破されたガードロボ達は、それを同じく高速で追撃する。
三次元機動では向こうが優れていた。
易々と包囲網を突破されたガードロボ達は、それを同じく高速で追撃する。
三次元機動では向こうが優れていた。
「付いて来てるわ。速い……!」
「ああもう。速い亀はキライじゃないけどさぁ。一度に相手に出来るのはせいぜい三人まで……」
「それ以上言うなッ! こんな時に何ほざいてんだ!」
「キライじゃないだろこういう話はぁ~?」
「時と場所をわきまえろって言ってんの!」
「ああもう。速い亀はキライじゃないけどさぁ。一度に相手に出来るのはせいぜい三人まで……」
「それ以上言うなッ! こんな時に何ほざいてんだ!」
「キライじゃないだろこういう話はぁ~?」
「時と場所をわきまえろって言ってんの!」
相変わらずのマーレをよそに、オステウスは地面近くへと到達する。素早くロケットブースターを切り離し、スラスターでブレーキをかける。
ロケットブースター一つを消費したが、動力源の残量はまだたっぷり残っていた。早い話が、少しばかり急いで降りた程度の消費である。
問題は、頭上から迫り来るガードロボ六体。
ロケットブースター一つを消費したが、動力源の残量はまだたっぷり残っていた。早い話が、少しばかり急いで降りた程度の消費である。
問題は、頭上から迫り来るガードロボ六体。
「あらまぁ。愚直にまっすぐ来るわね。世の中にゃ曲がってる奴だって居るのにさ。ちなみに私の統計だと左に曲がってる奴が多くて……」
「黙れバカ! それよりどうするのよ!?」
「冗談通じないんだから。まっすぐ一かたまりで来るなら武器使うまでも無いわよ。ほいっと」
「黙れバカ! それよりどうするのよ!?」
「冗談通じないんだから。まっすぐ一かたまりで来るなら武器使うまでも無いわよ。ほいっと」
マーレはタッチパネルを操作し、使用する外部装備を選択。
ガードロボ達はその異変に気づかず、まっすぐに、そして高速で突進してくる。
ガードロボ達はその異変に気づかず、まっすぐに、そして高速で突進してくる。
「ネットランチャー発射!」
刹那、蜘蛛の巣のようなネットがオステウスの頭上へと広がって行く。
決して速くは無いが、高速で接近するガードロボ達には金属製のワイヤーで造られたネットは、逃げ場の無い刃の如く。そして、それに絡め取られたガードロボは、海亀のようなヒレを切断され、そのボディはネットの中で互いに衝突し、破損する。
決して速くは無いが、高速で接近するガードロボ達には金属製のワイヤーで造られたネットは、逃げ場の無い刃の如く。そして、それに絡め取られたガードロボは、海亀のようなヒレを切断され、そのボディはネットの中で互いに衝突し、破損する。
そして、一つの塊と化したガードロボ達は、無残に地面へと落下して行く。絡まったワイヤーは簡単には切れはしない。もがけばもがく程、彼らは破壊されて行く。
しかしながら、愚直な彼らはそれしか出来ない。自身の機能よりも重大な任務を帯びているのだから。
そして、全てのガードロボがそれで倒された訳でも無い。
しかしながら、愚直な彼らはそれしか出来ない。自身の機能よりも重大な任務を帯びているのだから。
そして、全てのガードロボがそれで倒された訳でも無い。
「……曲がってる奴が居たわね」
「正面から一体。頭上に一体……」
「さっさと終わらせるわ。正面の奴はお願いね」
「正面から一体。頭上に一体……」
「さっさと終わらせるわ。正面の奴はお願いね」
それを聞いたフランは、一気に正面に居たガードロボに接近。長巻を肩口に構え、一歩、また一歩と。それこそ果たし合いをする剣士の如く、オステウスの歩を進める。それをスラスターでさらに加速させる。
向こうもそれに呼応した。ヒレから飛び出した巨大な刃は、破壊力ならばオステウスのそれより威力があるだろう。喰らってはいけない。
接近。肉薄。そして、衝突。
地上であれば激しい火花が散る場面だったろう。だが、水中で代わりに散ったのは泡である。まるで爆発したかのように広がったそれが上へとゆっくり登り、見えてきた。
それは、長巻により頭部から尻尾へと串刺しにされた、海亀を模したガードロボの姿と、それを持つオステウス。
ガードロボの刃は、遂に届かないままであった。
向こうもそれに呼応した。ヒレから飛び出した巨大な刃は、破壊力ならばオステウスのそれより威力があるだろう。喰らってはいけない。
接近。肉薄。そして、衝突。
地上であれば激しい火花が散る場面だったろう。だが、水中で代わりに散ったのは泡である。まるで爆発したかのように広がったそれが上へとゆっくり登り、見えてきた。
それは、長巻により頭部から尻尾へと串刺しにされた、海亀を模したガードロボの姿と、それを持つオステウス。
ガードロボの刃は、遂に届かないままであった。
「ふんふんふ~ん♪」
フランの白兵戦などどこ吹く風で、マーレはタッチパネルとモニターを見ていた。
狙いは、頭上で様子を見る残る一体のガードロボ。
狙いは、頭上で様子を見る残る一体のガードロボ。
「一発くらいならいいか」
マーレが見るモニターには、ガードロボの位置が表示されたソナーが映っている。そして、ターゲットシーカーが、その位置を捕らえていた。
ロックオンしたのだ。魚雷の発射準備が整っている。
そして、ロックオンされたはずのガードロボに動きは無かった。回避行動をとろうともせず、様子を伺っていたのだ。
なぜならば、彼はロックオンされた事に気付いて居なかったからである。オステウスは自らアクティブソナーを発して居なかったのだ。
代わりにオステウスが利用したのは、最初に放ったデコイである。複数の発信源となるデコイの反響を利用し、それを解析する事で、オステウスは非常に高度な三次元ソナーを利用できるのだ。
そして、気付かれずに魚雷のロックオンも出来る。
ロックオンしたのだ。魚雷の発射準備が整っている。
そして、ロックオンされたはずのガードロボに動きは無かった。回避行動をとろうともせず、様子を伺っていたのだ。
なぜならば、彼はロックオンされた事に気付いて居なかったからである。オステウスは自らアクティブソナーを発して居なかったのだ。
代わりにオステウスが利用したのは、最初に放ったデコイである。複数の発信源となるデコイの反響を利用し、それを解析する事で、オステウスは非常に高度な三次元ソナーを利用できるのだ。
そして、気付かれずに魚雷のロックオンも出来る。
ガードロボはオステウスを見下ろしていた。敵の戦力が予想外に強大であり、次なる戦術の選択に時間がかかっていた。
実は、これは恐ろしい事なのである。
今までも複数の攻撃能力を持ち、状況によってそれを巧に使い分けるガードロボは確認されている。
だが、『戦闘中に状況判断を行い、戦術を模索する』ガードロボは居ない。たいていはその場で一番有効と思われる行動をとるだけであった。
しかし、このガードロボは――
実は、これは恐ろしい事なのである。
今までも複数の攻撃能力を持ち、状況によってそれを巧に使い分けるガードロボは確認されている。
だが、『戦闘中に状況判断を行い、戦術を模索する』ガードロボは居ない。たいていはその場で一番有効と思われる行動をとるだけであった。
しかし、このガードロボは――
「考えてるわね。それともどこかに助言でも仰いでる? やっぱり普通の遺跡じゃない……」
マーレの独り言はガードロボには届かない。そして、遂に最後の時。
ガードロボの視界が捕らえたのは、とてつもない高速で接近する小さな物体。ロケットで急加速された、ヒート弾頭の魚雷である。
その速度はガードロボの速度を遥かに超え、瞬時に目の前まで来る。回避行動を開始したのは、命中する直前。
身体を翻したガードロボのどてっ腹に、魚雷が命中。爆発は小さかった。だが、ガードロボは、その腹部を貫通され、そこからオイルのような物を煙のように噴き出しながら、沈んで行く。
オステウスの勝利である。そして、その戦闘力をガードロボと遺跡へと誇示した瞬間でもあった。
遺跡は、こう判断したはずである。『資格あり』と――
ガードロボの視界が捕らえたのは、とてつもない高速で接近する小さな物体。ロケットで急加速された、ヒート弾頭の魚雷である。
その速度はガードロボの速度を遥かに超え、瞬時に目の前まで来る。回避行動を開始したのは、命中する直前。
身体を翻したガードロボのどてっ腹に、魚雷が命中。爆発は小さかった。だが、ガードロボは、その腹部を貫通され、そこからオイルのような物を煙のように噴き出しながら、沈んで行く。
オステウスの勝利である。そして、その戦闘力をガードロボと遺跡へと誇示した瞬間でもあった。
遺跡は、こう判断したはずである。『資格あり』と――
「ソナー反応無し……。敵殲滅」
「ほい。武装ロック、と」
「ほい。武装ロック、と」
海底で土埃をあげながら、オステウスは立っていた。あとは、目指すべき場所へと移動するだけ。
フランはマーレに方向の指示を仰ぐ。ソナーに表示された方向へ正面を向け、スラスターを作動させた。海底すれすれを滑るように移動し、目的の場所、遺跡へと接近していく。
実は、水中で単純に移動するならば歩行よりもスラスターの推進力を利用したほうが燃費が良かったりする。非常に高いパワーを発揮するように設計されたオステウスの四肢を動かすより、小さなスクリューを回転させるだけのほうが出力は小さいのだ。
フランはマーレに方向の指示を仰ぐ。ソナーに表示された方向へ正面を向け、スラスターを作動させた。海底すれすれを滑るように移動し、目的の場所、遺跡へと接近していく。
実は、水中で単純に移動するならば歩行よりもスラスターの推進力を利用したほうが燃費が良かったりする。非常に高いパワーを発揮するように設計されたオステウスの四肢を動かすより、小さなスクリューを回転させるだけのほうが出力は小さいのだ。
「結構流されたみたい。真上に居たはずなのに」
「まぁ途中から落下方向は無視したしね。でももうすぐだよ」
「まぁ途中から落下方向は無視したしね。でももうすぐだよ」
マーレが見るモニターにはそれが映っている。
とてつもなく巨大な、平坦で簡素な形状の、明らかに何者かによって造られた建造物。
とてつもなく巨大な、平坦で簡素な形状の、明らかに何者かによって造られた建造物。
「止まってフラン」
マーレはパネルを操作する。高感度カメラが捕らえたそれを、モニターへと表示し、二人はそれを注視している。
「大きい……」
「こりゃ最大級ねぇ。少し崩れてるけど。ここから入れるかな?」
「こりゃ最大級ねぇ。少し崩れてるけど。ここから入れるかな?」
モニターには遺跡の一部が崩落している様子も見えた。それは、宇宙船アルバトロスの衝突によって出来た物だ。
いくら海底にあるとは言え、とても宇宙船の墜落を喰らったダメージには思えなかった。頑丈という程度の話では無い。
そして、二人はそこから侵入できないかと考えた。
だが、遺跡はそれを許すつもりは無かった。もう一体、彼女達を狙うガードロボがひそかに、ゆっくりと動き出していた。
それは海底にへばり付き、地面と一体化しながら、先程の戦いを見届けていた。そして、仲間が敗れるのを確認すると、遂に動き出す。
いくら海底にあるとは言え、とても宇宙船の墜落を喰らったダメージには思えなかった。頑丈という程度の話では無い。
そして、二人はそこから侵入できないかと考えた。
だが、遺跡はそれを許すつもりは無かった。もう一体、彼女達を狙うガードロボがひそかに、ゆっくりと動き出していた。
それは海底にへばり付き、地面と一体化しながら、先程の戦いを見届けていた。そして、仲間が敗れるのを確認すると、遂に動き出す。
『自分の出番だ』と言わんばかりに。
それは先程の海亀のガードロボとは少しばかりサイズと、パワーと、戦法が違っていた。
言うなれば、圧倒的破壊力で動くもの全て、叩き壊すだけである。
言うなれば、圧倒的破壊力で動くもの全て、叩き壊すだけである。
「! ソナーに反応!」
「またガードロボ?」
「そうみたいだけど……。マジかいなコレ」
「どうしたのよ?」
「フランちゃん?」
「な……何よ?」
「ロケットブースター! 早く!」
「またガードロボ?」
「そうみたいだけど……。マジかいなコレ」
「どうしたのよ?」
「フランちゃん?」
「な……何よ?」
「ロケットブースター! 早く!」
珍しく慌てふためくマーレ。言われるがままにフランはロケットブースターの作動準備を始めたが、ただ噴射するだけでは意味が無い。
「どこへ向かえば!?」
「とにかく前進! とにかく前に!」
「とにかく前進! とにかく前に!」
フランはロケットに点火。激しく噴射炎を吐きながら、オステウスの機体は急加速する。とにかく前へ。その言葉通り、オステウスは遺跡の正面と思われる場所へと向かって驀進した。
侵入の為に目をつけた場所とは程遠い所へ、まっすぐ飛んで行く。
侵入の為に目をつけた場所とは程遠い所へ、まっすぐ飛んで行く。
「何が来たってのよ?」
「バックモニター見ろ!」
「バックモニター?」
「バックモニター見ろ!」
「バックモニター?」
フランはモニターを見る。
そして悟る。あのマーレですら慌てさせる者の正体。
そして悟る。あのマーレですら慌てさせる者の正体。
「……げ」
「あんなデカブツ用の武器は持ってないっつーの!」
「あんなデカブツ用の武器は持ってないっつーの!」
それはオステウスの後方へピタリとついて来る。
全高十メートルに及ぶオステウスの、裕に四倍はあろうかという巨体。細長いヒレの付いた胴体に、しなやかに動く十本の脚。一際長い二本の脚が、ゆらゆらと揺れていた。まるで巨大なイカのような姿の、大型ガードロボ。
あえて呼ぶならば、クラーケンとでも呼ぶべき姿だった。
全高十メートルに及ぶオステウスの、裕に四倍はあろうかという巨体。細長いヒレの付いた胴体に、しなやかに動く十本の脚。一際長い二本の脚が、ゆらゆらと揺れていた。まるで巨大なイカのような姿の、大型ガードロボ。
あえて呼ぶならば、クラーケンとでも呼ぶべき姿だった。
「あいつどこから!?」
「ずっと海底にでもへばり付いてたんでしょ?!」
「あんな化け物どうしろと!?」
「どうもしない! 逃げれ逃げれぇ!」
「ずっと海底にでもへばり付いてたんでしょ?!」
「あんな化け物どうしろと!?」
「どうもしない! 逃げれ逃げれぇ!」
オステウスはみるみる遺跡へと接近する。ぽっかり口を開けた崩落箇所では無く、小さな入口のような場所へ向かっていた。
クラーケンはまるで、二人をそこへ追い込もうとしているようだった。
クラーケンはまるで、二人をそこへ追い込もうとしているようだった。
「あの穴!」
「どこよ!?」
「目の前の入口っぽい所! 入れ!」
「あそこ!?」
「飛び込め!」
「どこよ!?」
「目の前の入口っぽい所! 入れ!」
「あそこ!?」
「飛び込め!」
目の前まで到達すると、入口らしき穴は意外な程に大きかった。
オステウスはそこにするりと入り込む。クラーケンはそれを見届けると、入口の外で動きを止める。
中には入れない様子だ。
クラーケンは入口の外でじっと動きを止めていた。もし追って来られるよりはマシと言えるが、不気味である。クラーケンの意図。それは、二人を入口から外に出さない事。
オステウスはそこにするりと入り込む。クラーケンはそれを見届けると、入口の外で動きを止める。
中には入れない様子だ。
クラーケンは入口の外でじっと動きを止めていた。もし追って来られるよりはマシと言えるが、不気味である。クラーケンの意図。それは、二人を入口から外に出さない事。
「入口が!」
フランが叫んだ。
侵入した入口の上部から、巨大なシャッターらしき物が下りてきたのだ。
二人は見ているしかない。例えその外へ出ようとしても、そこにはオステウスを遥かに超える化け物が待っているのだ。
侵入した入口の上部から、巨大なシャッターらしき物が下りてきたのだ。
二人は見ているしかない。例えその外へ出ようとしても、そこにはオステウスを遥かに超える化け物が待っているのだ。
「進むしか無いみたいね。いや、進めって言ってる……」
シャッターで入口が閉ざされた。退路は断たれ、残された手段はただ一つ。
進むのみ。
そしてそれこそ、『資格あり』の二人に対する、遺跡の返事。
進むのみ。
そしてそれこそ、『資格あり』の二人に対する、遺跡の返事。
『堂々と正面から入ればいい。そして、さらに力を示せ――』
「行くしかない……?」
「どっちにしろここからじゃ出られないし。進むしかねーし」
「気が滅入るわ……」
「もっとワクワクしろよ」
「どっちにしろここからじゃ出られないし。進むしかねーし」
「気が滅入るわ……」
「もっとワクワクしろよ」
対照的な二人ではある。
しかしながらやるべき事は明白であり、意見は一致している。さらに奥へと進み、この遺跡の正体を探るのだ。
オステウスのスポットライトが内部を照らす。中は古代文明と言うより、最新の宇宙船のように整っている。
一直線に、奥へと二人を導いて居る。そして。
しかしながらやるべき事は明白であり、意見は一致している。さらに奥へと進み、この遺跡の正体を探るのだ。
オステウスのスポットライトが内部を照らす。中は古代文明と言うより、最新の宇宙船のように整っている。
一直線に、奥へと二人を導いて居る。そして。
「またソナー反応。モテる女はツラいわ」
「今度は何?」
「今度は何?」
壁の一部が剥離する。それはごろごろと地面を転がる。それも無数に。
「なんだろ? 今度はどんな奴?」
一つ、突然赤い光を放った。
ぼんやりと淡い光が合図となり、他のも同様に光を放つ。そして、丸まっていた身体を伸ばし、無数の脚が現れ、一斉に、ぞろぞろと向かって来た。
ぼんやりと淡い光が合図となり、他のも同様に光を放つ。そして、丸まっていた身体を伸ばし、無数の脚が現れ、一斉に、ぞろぞろと向かって来た。
「気持ち悪い……」
「グソクムシね。スカベンジャーの一種で、海底に落ちた動物の死体を食べる海底の掃除屋で……」
「どうでもいいわ……。うえぇ……」
「あら、虫とかダメなタイプ?」
「図鑑でしか見た事ないけど。ロボットのクセにリアル過ぎでしょあれ。ああ気持ち悪い……」
「気持ち悪くてもやるしかないわ。突っ切るわよ」
「嘘でしょ……。まぁ……仕方ないか」
「グソクムシね。スカベンジャーの一種で、海底に落ちた動物の死体を食べる海底の掃除屋で……」
「どうでもいいわ……。うえぇ……」
「あら、虫とかダメなタイプ?」
「図鑑でしか見た事ないけど。ロボットのクセにリアル過ぎでしょあれ。ああ気持ち悪い……」
「気持ち悪くてもやるしかないわ。突っ切るわよ」
「嘘でしょ……。まぁ……仕方ないか」
フランとマーレは遂に、遺跡へと挑む。
その先にある最後の試練は、彼女達を待っているのだ。
その先にある最後の試練は、彼女達を待っているのだ。
続く――
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