広い平原の真ん中で二人の人間が草の上に腰を下ろし、切り株をテーブル代わりにして話し合っている
どちらも壮年ではあるが未だ衰えぬ逞しい肉体を持った男性だ。
豪快に笑いながら恵まれた体格と豊かなひげとをあわせもつ男、
オイゲンが話しかける
「それにしても、貴殿とバッタリ出くわしたときはどうしたものかと思いましたが話の分かる御仁でよかった。
唐突に殺しあえといわれて本当に殺しあう馬鹿はやはり少ないという事ですな」
「ああ、オレも殺し合いなンて好きじゃないしな、出会ったのがあンたでよかったぜ」
体躯はそれほど大きくないが鋭い目をしたちょび髭、
ガフガリオンは大げさに肩を竦めて言葉を漏らす
「ったく、こんな訳の分からン所に突然放り込まれて殺しあえだなンて、まったくもってやっとれん」
「いやまったく、こんな非道な行いは許されるべきではありませんぞ
早いうちに信頼できる者を集めてなんとか対抗する術をみつけねばなりませぬ
まずは私の主君である
リュナン様を捜しましょうぞ
リュナン様は聖剣リーヴェを受け継いだ、まさに英雄カーリュオンの再来とでもいうべき方
きっとこのような事態にも―――――」
ガフガリオンは袋より取り出した異様に分厚い本をひらひらとみせびらかす
「そもそも支給された武器とやらが辞書じゃ身を守ることさえ適わン」
「ハッハッハッ、私なんてこの吹き矢ですぞ、お互いこれではどうにもなりませぬな
ですが心配には及びますまい、例え力が無くとも知恵を持ってすれば大抵の局面は乗り越えられるものですぞ
私はわけあって武器があっても戦えぬ身ですが、この智謀でもって―――――」
ガフガリオンは溜息をついて呟く
「まだまだだと思ってたガキンチョにやられたり、年はとりたくないもンだな」
「若い騎士達の成長には目を見張るものがありますからな、男子三日あわざるば刮目せよともいいますし
私の主君も気がつけば立派に成長されておりまして、
長年見守ってきた私からすれば誇らしくあるものの、なんとも寂しいような―――――」
ようやく全て話し終えたのかオイゲンが立ち上がる。
「ともあれお互いの事も十分に分かった事ですし、そろそろ仲間を捜しに出発しましょうぞ」
「ン、あぁ、そうだな」
ガフガリオンは切り株に乗せていたペットボトルを取って立ち上がろうとするが
長い間座り込んでいて足が痺れていたのだろうか、少しよろめいてしまう。
持ち上げようとしたペットボトルは指先が掠るにとどまり、
しばらく円を描いた後でゆっくりと倒れる。
それは草の上を転がってオイゲンへと近づいていく。
ガフガリオンはそれを拾おうと切り株を回り込んで近づくが、
オイゲンが片手を少しばかり挙げたところで踏みとどまる。
オイゲンは自分の足元まで転がってきたそれを拾おうと上半身を屈めて手を伸ばす
それは何て事のない出来事
けれど制した位置より半歩、踏み込んだガフガリオンの足を最後に収めてオイゲンの視界は暗転する―――――
「あンたが役に立たン事は十分に分かったからな、残念だがここでお別れだ」
【F-2/最北西/一日目・朝】
【ガフガリオン@FFT】
[状態]:健康
[装備]:血塗れのマダレムジエン@FFT、ゲルゲの吹き矢@TO
[道具]:不明道具×2、支給品一式×2
[思考]:1(どんな事をしてでも)生き延びる
2役に立たない相手とはつるまない
【オイゲン@ティアリングサーガ 死亡】
【残り47人】
最終更新:2009年04月17日 01:15