【初出】
V巻
オルゴン自身の“
存在の力”(=本質)を削って、彼の“存在の力”が込められた紙の軍勢を数多生み出いた。
紙には等身大の騎士が不気味な緑青色で描かれ、特に強力な『四枚の手札』(『ホグラー』・『ラハイア』・『ヘクトル』・『ランスロット』)と呼ばれる四体の騎士を中核に、様々な戦術で敵を攻撃した(『四枚の手札』は、[
仮装舞踏会]が中世の『
大戦』に参戦した際に、
ヘカテーが乗る輿の御者を務めていた)。
一枚一枚は非常に薄いため、脆い印象を与えるが、見た目とは裏腹に攻撃力が高く、騎士の一枚ですら新参の
フレイムヘイズでは手こずった。
基本的には騎士たちが手に持った剣や槍・矢などで攻撃を仕掛けるが、馬が描かれた紙を作り出し騎乗させて騎兵隊とし
封絶ごと移動する(兜の頂華に火を灯すと可能になる)、重ね合わせて分厚い騎士を作る、腕を織り合わせ回転刃として使うなど、かなり応用が利いた。
そしてこの自在法最大の特徴にして強さは、軍勢全てがオルゴンの本質で生み出されており、つまり軍勢全てがオルゴン自身であるということであった。
そのため、『レギオン』を発動したオルゴンを討滅するには、軍勢全てを討滅しなければならず、ほとんどの場合その前に力尽き、数で押し切られてしまう。
全ての軍勢を操る司令塔にあたる、
意思総体を宿した帽子とマントが一応の本体であり弱点ではあるが、意思総体ごと完全に消滅させられない限り、軍勢が存在すれば本体はいくらでも再構築ができるため、“
天目一個”のように完全な不意打ちで強力な一撃を放てる者でしかまず倒せない。
その恐ろしい特性から、オルゴンは「多勢に無勢」を体現した“徒”と称されていた。
多対一の戦い以外にも、紙の軍勢は牽制や誘導といった戦略的手段にも使えるため、猪突猛進な戦術性の低い相手にも有効な手札といえるようであった。
強力な自在法だが、特性上広範囲を殲滅する自在法には弱く、その中でも極めつけの威力を誇る
メリヒムの『
虹天剣』であっさり殲滅された。
【
アニメ版】
騎士が立体で、紙に描かれていなかった。
古代ギリシアのコリント式兜らしきものを被り、長槍を持った、青緑色の兵士として描かれた。
原作のような、紙ならではの運用法は登場していない。唯一、メリヒムの『虹天剣』に立ち向かって行く一瞬だけは紙っぽい表現になっていて、『
レギュラー・シャープ』の攻撃にも似た動きをしていた。
【由来・元ネタ】
レギオン(Legion)とは古代ローマ帝国の「軍団(レギオン)」のこと。時代によってその構成には変化があるが、例えば初期帝政期では、約5,000名でひとつのレギオンを構成した。
そこから転じて、『新約聖書』の『マルコによる福音書』(第5章01~10節)および『ルカによる福音書』(第8章26~33節)の双方に登場する、大勢からなる悪霊をそう呼ぶようになった。
『四枚の手札』の由来は、トランプの「ジャック(J)」のモデルとなった人物。
- スペード:ホグラー(オジェ Hogier)(カール大帝の騎士)
- ハート:ラハイア(ラ・イール La Hire)(シャルル7世の騎士、ジャンヌ・ダルクの戦友)
- ダイヤ:ヘクトル(ヘクター Hektōr)(トロイの王子、カール大帝の騎士説も)
- クラブ:ランスロット(Sir Lancelot)(円卓の騎士「湖のランスロット」)
【コメント】
☆「召喚」というより、「分身」に近い。ただし、司令塔は本体のオルゴン。
☆番外編『
しんでれらのしゃな』では使用されなかった。
☆出せる兵士の限度が何体かは不明。番外編『
かぐやひめのしゃな』では、2,000体出していた。
☆『騎士団』との違いよりも何より、オルゴン本体が大分強ければ、マティルダ並の実力者なんだろうな。
☆↑しかし、『騎士団』が弓兵や破城槌や化け物の形態まで具現化できるのに対して『レギオン』は騎馬兵だけだし(使わなかっただけかもしれんが)、単純に本体がパワーアップしただけじゃ戦闘力でマティルダに劣るだろう。
☆いくら『騎士団』とはいえ、形を変えただけで戦闘力が上がるとは思えない。『レギオン』・『騎士団』ともに、個体では並のフレイムヘイズ程度だから、飛行可能な個体を有する『騎士団』がやはり有利か。
☆
ハボリムの『
熒燎原』と併用されていたら、かなり厄介だったことだろうな。
☆
パイモンの『
王の供連』や『
大地の四神』
サウスバレイの『
パチャクチ』に似ていたな。
☆番外編『
おじょうさまのしゃな』では使用されなかった。
☆番外編『
さんじゅうしのしゃな』でも使用されなかった。