【初出】
V巻
【解説】
『炎髪灼眼の討ち手』(えんぱつしゃくがんのうちて)の
称号を持っていた、“天壌の劫火”
アラストールのフレイムヘイズ。
炎の色は紅蓮。
シャナの先代にあたる初代『炎髪灼眼の討ち手』。『
夜笠』はマント状。
神器“
コキュートス”は指輪型。
圧倒的な貫禄と存在感を持った苛烈高雅な印象を与える女丈夫。炎髪と灼眼すらその容姿の一部とし、相対するものに「敵し得ない」と思わせる存在感の持ち主。炎髪灼眼を解いた本来の姿は、赤い髪に緑の瞳。左利き。淑女と呼ぶには印象が苛烈に過ぎ、女傑と呼ぶには挙措が高雅に過ぎる、秘された宝剣のような
フレイムヘイズ。
魔神の力を自在に使いこなし、自らの闘争心を
アラストールの力で具現化させた
自在法『
騎士団』を用いて数々の“
王”や“
徒”を討ち、中世ヨーロッパで当代最強と謳われた討ち手。
武装は『騎士団』の能力の片鱗として具現化させた炎で形作り、大剣や矛槍や盾など自在に変化し、それらを使いこなすだけの技量も持っていた。
戦うことを心から喜び、戦いという選択肢を得られることを喜んで戦いへと進む、奇妙なメンタリティを持った女性。
その心が形成されたのは人であった時の有り様とその最後からで、討ち手となった後は常に戦うことに幸せを感じ、その感情を唯一理解し受け止めてくれた
アラストールに深く愛情を抱いていた。
性格は良い意味での「自分本位型」。自分の目的に関係するあらゆる事に、他人の力を借りる事は決してせず、いかなる状況をも自力で打開する(いざという時仲間が助けに来ることも含めて「自分の力」だと豪語している)。
そんな彼女の姿勢は
フレイムヘイズからも畏怖される程の変わり者ではあるが、確固たる信念と屈強な意思を持って戦い進む彼女の姿は、立場を問わず多くの者にとって魅力があった様だ。
ヴィルヘルミナとは、固い友情で結ばれた親友であり、誰よりも信頼した相棒でもあった。また彼女と
ティアマトーだけには、共に戦い頼るという、マティルダの不器用にして最高の信頼を示した。
以前は東方で戦っていたらしいが、『
都喰らい』事件の際に欧州に進出して『
九垓天秤』の一角
フワワを討滅したのを皮切りに、[
とむらいの鐘]の宿敵として戦い続け、
フレイムヘイズ兵団の結成にも大きく寄与し、中世の『
大戦』の中心人物の一人となった。
欧州での18年間の戦いの中には、“徒”の運び屋集団[
百鬼夜行]をヴィルヘルミナと二人であと一歩のところまで追い詰めるが、逃げられてしまったというエピソードも存在した。
『
九垓天秤』“
両翼”の右を務める“紅世の王”、“虹の翼”
メリヒムからは熱烈に求愛されたが決して彼に振り向くことはなく、むしろ熾烈な戦いを繰り返す。最後には彼に負けを認めさせ、三つの約束を誓わせた。
中世の『大戦』最終局面にて、
アシズを止めるために“
天破壌砕”を発動し、アラストールに最期の言葉を残して
私は他の誰も愛さないを歌いながら亡くなった。
登場したのはX巻のみだが、V巻の中表紙に姿が描かれ、またそれぞれの回想シーンにも登場。さらに0巻収録のパロディ番外編『
しんでれらのしゃな』にも、王子の亡くなった実母役で飛び入りした。
【由来・元ネタ・称号考察】
「Mathilde」という名の女性は、歴史上多数登場したが、ゲルマン系の王族女性に多い名であったらしい。また、貧民の救済に財産を投じた聖マチルダ皇后(10世紀)という聖女も存在する。その名は、古ドイツ語で「力」と「戦い」を意味するという。
「Saint Omer」は、フランス北西部(英仏海峡に面するカレーから南東)に位置するパドカレ県(Pas-de-Calais)の都市。この街の名は、7世紀の聖人、聖オメル(Saint Audomar)に由来する。
他にも、カルヴァドス県とカナダのケベックにも同名の都市があるらしい。
「炎髪」と「灼眼」は
アラストールの契約者が共通して持つ紅蓮に燃え、輝く髪の毛と瞳である。また、全員が“徒”の討伐者であるにもかかわらず「討ち手」と名付けられたのは、契約者が炎による純粋な破壊に特化するという性質と、“
紅世”真正の魔神である天罰神“天壌の劫火”
アラストールを同胞殺しの筆頭としたからであろう。称号全体で「紅蓮に燃える髪と輝く瞳を持つ討伐者」という意味になる。
最終更新:2024年12月26日 08:00