【初出】
XXI巻
【解説】
『
大地の四神』の一人で、『四神』としての
呼称は『死者の道を指す男』。他者のことも『四神』独自の呼称で呼んでいる。
『群魔の召し手』(ぐんまのめして)の
称号を持つ、“憚懾の筦”
テスカトリポカのフレイムヘイズ。
炎の色は象牙色。
神器は尖った石のメダル型の“
テオトル”。
20に届かない位の、細く尖った体格と容貌をした少年であり、山高帽とポンチョを身に纏う。左足は簡素な作りの義足となっている。
カラッとした中性的な声をしていた。よく快活に笑うが、それは決まって「ははははは!」と五拍。つまり作り物の笑い。笑う際に顔に深い皺が刻まれて、得体の知れない凶悪さを醸し出していた。
一般人を「有象無象」、自らを監視する
外界宿構成員を「ネズミ」「人間の代表者面する増上慢ども」などと言い放ち、日常の人前であろうと一切構わず自らの力を振るうなどの、無茶かつ過激な面も持っていた。
『四神』の中で一人だけ「聖人君子」とは言えない者とは、彼のことである。
SIII巻収録の外伝『ソロー』においては、「枷から脱するため自らの右足を千切り取った王子」と表現されていた。
イーストエッジと
ウェストショアに並ぶ世界最強クラスのフレイムヘイズであり、戦闘では黄金の仮面をつけた人や動物など様々な形を模した、「亡者」と呼ばれる大づくりな土人形を無数に召喚し、戦わせる
自在法『
パチャクチ』を用いる。
亡者は整然とした隊伍や精緻な集団行動などはまるで取らず、ただひたすら敵に襲いかかると、仮面の口で相手を「捕食」する。
そして喰らった“
存在の力”を土と黄金に変換・還元し、その分だけ肥え太り、一定以上まで太ると分裂し、増殖していく。
サウスバレイは、この亡者達に自らを乗せた黄金の輿を担がせ、それに乗って亡者の軍勢と共に行進する。
この亡者は、わざと崩して縁をギザギザにとがらせた円筒形の土器に作り替えることが出来、その表面には人間が腕を胸で交差させて直立する火刑の図が描かれている。その土器の口から象牙色の炎を放ち、対空防御に使用する。
十九世紀後半に勃発した、アメリカ大陸を巡る『
内乱』を引き起こした『大地の四神』の一人として、南北アメリカ大陸の主要四都市にある
外界宿の一つの管理者を務めてきた。
現代での[
仮装舞踏会]との全面戦争に際しては、契約した“
王”共々、戦う相手を慎重に見極める構えであった。
しかし
フレイムヘイズ兵団が[仮装舞踏会]に大敗した後、その戦いで命を落とした
センターヒルの遺志に従い参戦を決定し、センターヒルに後事を託された
シャナの決意を聞き、彼女と共に行くことを決めた。
御崎市決戦では、亡者の軍勢を繰り出して、西方の住宅地から侵攻。 御崎市の
封絶外にいた“
徒”達を亡者たちに食い散らせ、追い立てながら前進。
御崎高校に本陣を置き、いち早く外来の“徒”流入の混乱を治めた
ハボリム率いる西部守備隊との交戦に入った。
その後に後背から遅れ来た膨大極まる数の外来の“徒”による攻撃を受け、初めて自身の力を以てしても捌き切れない数の敵に相対し、その飽和攻撃の前に徐々に亡者の軍勢を削られていった。
しかしそれさえも予定の裡で、
ハボリムが流入させる外来の“徒”を容赦なく虐殺し続けた。
新世界『
無何有鏡』の完成に伴って戦火が収まってからは、一旦河川敷に集まり、他の二人と共にフレイムヘイズとしては最初に『
天梯』を通って新世界へ旅立った。
新世界へ渡り来てから一年後の春までの間に、
シャナと再会して新世界の外界宿の再編成が軌道に乗り始めたことを伝えたようだ。
最終更新:2025年06月06日 08:20