PS1からPS2にハードを移したシリーズ4作目。サイフォン・フィルター3のその後が描かれる。
悪夢の生物兵器サイフォン・フィルターが、より改良されたオメガ・ストレイン(オメガ株)となって毒蛇の鎌首をもたげて現れ、暗い過去が蘇る。
ミハス・イヴァンコフというチェチェン人と彼の組織CDP(チェチェン民主パルチザン)がウイルスを入手し、ブラックマーケットで世界中に売りさばいていた。
エージェンシーはバイオテロの予防と密輸ルート解明に奔走する。
一方、過去のサイフォン・フィルター騒動にて、公には黒幕とされたヴィンス・ハッデン国務長官を裏で操っていた、知られざる真の黒幕である大富豪ミハイ・ニクレスクは、側近マーラ・アラモフに商売敵のイヴァンコフを見つけ次第抹殺するよう命じる。
これまでの醜聞を払拭すべく、ゲイブをディレクターとして改革・再編されたエージェンシーことIPCA(International Presidencial Consulting Agency)はイマニ・グレイ、ゲイリー・ストーンマン、エルザ・ヴァイゼンガーをエキスパートとして迎え入れ、そして新たに入局したコブラたちを加えて再出発する。
イマニはハーバード大卒の頭脳明晰な女性情報分析官でテクノロジーに精通し、CIA内局でキャリアを積んできた。
ストーンマンは「ナムからガルフまで」様々な土地で戦った経歴を持つ叩き上げの元海兵隊員で、優秀なスナイパーだ。CIA時代にはDPE(Discrete Personal Eliminate)と表現される政府公認の非合法作戦、つまり暗殺に関わっていた。
エルザはファーコム社の主任研究員としてサイフォン・フィルター・ウイルスの作成に深く関与していた。彼女は生物兵器による世界の変革を夢想していたが前作で所属組織に殺されかけたところをリアンに助けられ、その後暫く失踪していたが再び姿を現しエージェンシー入りした。
新顔のコブラはゲイブに代わるプレイヤーの映し身で、トレーニングを修了して戦闘部隊に配属された。性別や顔を選べる。ストーリー上の影は薄い。
イマニ・グレイに率いられたコブラたちエージェンシーのチームが、フィールドワーク中に連絡が途絶えた作戦参謀ローレンス・ムジャリを探しにミシガン州に派遣される。
州保健当局のブルサードは賄賂と引き換えに検疫をパスして密輸をスルーさせてきたひどい汚職役人で、フランスの過激派組織ALAアナーキスト解放軍に押収品のオメガ株を多額の金で売り渡す契約を結んでいたが、液漏れした容器からウイルスのアウトブレイクが発生し、自分がしようとした事の恐ろしさを目の当たりにして再考し、取引から手を引いた。約束を反故にされ、隔離区域からウイルスを強奪すべくカーセッジの街を襲撃したALAのテロリストを倒し、オメガ株に感染して衰弱したムジャリを救出した。
ゲイリー・ストーンマンは、狙撃手としての腕前を存分に発揮し、イタリア人にオメガ株を入手させないためにマフィア「コーザ・ノストラ」の家長、ディミトリ・アレクソポウラスを除去した。
コブラたちエージェンシーのチームはイタリアで発見されたウイルスに感染した牛の出荷元を追跡してベラルーシに向かう。そこで(ニクレスクと抗争状態にある)CDPと交戦するが、エージェンシーのパイロット、アリマ・ハダッドがチェチェン人たちの捕虜となってしまい、ストーンは奪還を試みるが失敗し最悪の事態を想定せざるを得なくなる。
CDPのリーダー、イヴァンコフの側近ユーシェンコが彼の代理人、運び屋として働きオメガ株を世界中に営業販売していることが判明する。
リアンは北朝鮮がウイルスを購入しようとしていることを突き止めた経緯を語った。 彼女はキルギスの地方軍閥で中央アジアから東ヨーロッパに跨がるブラックマーケットチェーンの一員アスカー・サイダーマットの支配地域に変装して潜入し、彼らがユーシェンコから仕入れたオメガ株を北朝鮮の工作員ヤン・ソクジュに転売しようとしているのを発見した。 リアンは関係者全員を抹殺して予防措置を取った。
次にゲイブは、ユーシェンコがオメガ株をイエメンの独裁者ファタ・アル・ハッサンに売ろうとしていると知り、イスラエルの対外特務庁モサドのエフード・ベン・ゾハルに協力を要請した。モサドとの協力関係は少々危ういもので、対アラブ強硬派のゾハルはテロリストとその支援国家のつながりを断つことしか考えていないため、殺害したユーシェンコからウイルスの容器を回収した後、それを逆手に取り、ゲイブの部下たちにこれが欲しければ自分の任務に協力するよう強要する。
モサドとエージェンシーの゙混成チームはチェチェン人を装ってタハリール宮殿に入る。アル・ハッサンを暗殺してイエメンの民衆を恐怖政治から解放した後、同国の政権与党YLAイエメン解放機構による違法な武器取引の証拠を探すことになった。ゾハルがこれ以上良からぬ企みを思いついて押し付けてこないよう、チームを無事帰国させるためにゲイブが手を打って派遣したストーンが到着し、契約書とウイルスを交換する。
エージェンシーはベラルーシのミンスク国際大学でニコライ・ジャンドラン博士がウイルス実験を行っていることを示す手がかりを調査する。
ジャンドランは偽名で、本名は旧東独ライプチヒ大学で教え子だったエルザ・ヴァイゼンガーに世界の変革思想を吹き込んだカウフマン教授。ファーコム社の主任研究員だった彼はエーリッヒ・ローマーの拉致から逃れるため形成外科医の協力を得て死を偽装していた。その後メタ・グローバル・ファンドからの資金提供を受けてウイルス研究を続け、大西洋のSSローレライ沈没現場からサイフォン・フィルターを回収して自分のラボに運ばせ、感染させた牛の血液サンプルからウイルスの治癒に不可欠な成分を抽出しオメガ株の血清を合成した。
エージェンシーはジャンドランの地下研究施設に侵入するステルスミッションを実行する。
ジャンドランはニクレスクから施設全体を閉鎖し移動するように指令を受ける。ジャンドランはイヴァンコフの襲撃を阻止するため警備を強化するよう指示し、自分は新しい研究所が建設されるパリに行くと告げ車を走らせた。証拠を隠滅するため火が放たれる。チームは可能な限りの情報と血清を入手し、炎上する研究施設から脱出した。
血清とエルザの治療でウイルスから回復したムジャリは、イヴァンコフの邸宅を捜索し自身の調査結果を述べる。イヴァンコフがロシアからの独立を望んで行動していることを報告する。オメガ株の商品化はロシアと戦う軍資金を調達するためだった。チェチェン紛争下、ロシア人はイヴァンコフの故郷で反乱分子を投獄して残虐行為に及んでいた。南アフリカ出身のムジャリは、双方に掲げる正義の理由、復讐の動機があり、状況は白か黒かではないことを肌身で理解している。
その後、ムジャリは大義のための犠牲は已むを得ないのか逡巡しつつもコブラたちチームを指揮し、大西洋のサルベージ・リグで引き揚げられたSSローレライの残骸を戦術核兵器で完全破壊し、サイフォン・フィルターの痕跡を永久に封印する。
一方、拘束したジャンドラン博士は尋問のためアメリカに連行される前にエルザに念の為などと血清を打たれて急死してしまった。エルザは過剰な副反応によるものだと説明するが…どう考えても怪しい。
エージェンシーとゲイブはウォーレン大統領の法律顧問、ホワイトハウス事務局のアレクサンダー・バーチムからの圧力にしばしば直面していた。IPCAの作戦の法的根拠、適法性などについて兎や角追求されるが、調査活動を故意に妨害しているかのようだ。
マーラ・アラモフは韓国人ビジネスマンを装った北朝鮮の工作員キム・ヨンジュンと何らかの会合をしていた。 リアンは彼女を尾行しようとしたが、バンコク、そしてモスクワまで追跡して見失う。
代わりにゲイブはリアンとチームを、日本の村川産業〔ムラカワ・インダストリーズ〕とつながりのある北朝鮮の工作員、キム・ヨンジュンを追跡するよう東京へ派遣する。調査の結果、ヤクザの企業舎弟でもある村川産業がオメガ株の開発に協力していたことが明らかになる。マーラはリアンより先回りして東京に到着し、村川三蔵CEOに自殺を強要した。
チームは日本のバイオ研究所を破壊した後、悲報を聞く。キム・ヨンジュンと、彼を尾行中のイマニが乗り合わせた旅客機がフライト中に消息を絶ったのだ。
アジア航空313便は、インド国境から60マイル離れたイラワジ川流域のミャンマー北部熱帯雨林に墜落した。現地の反乱軍に発見される前にキム・ヨンジュンが運んでいたサンプルを回収すべく、また他の290人の乗客・乗員とともに亡くなったイマニ・グレイの遺体を収容すべくチームを派遣する。
悪天候がジェット機を墜落させたという運輸事故調査委員会の主張にもかかわらず、後にエージェンシーはマーラ・アラモフがミャンマー軍に旅客機を撃墜するよう金を払ったことを示す証拠を見つけた。
ゲイブは陰謀の本丸と思われるメタ・グローバル・ファンドの調査が遅々として進まないことに苛立ちを募らせる。ジャンドランはメタ・グローバル・ファンドから潤沢な研究資金を融通されていた。メタ・グローバル・ファンドによるムラカワ・インダストリーズの買収は、秘密主義の国際銀行家ミハイ・ニクレスクを通じたものだ。彼には強大な影響力があり…ゲイブはようやくニクレスクがサイフォン・フィルター事件の真の黒幕なのではないかと薄々気づき始める。
バーチムの停止命令に反して、ゲイブはコブラたちチームをスイス、チューリッヒのメタ・グローバル・ファンド本社ビルに侵入させる。案の定、あのホワイトハウスの汚職官僚とニクレスクを結びつける反論の余地がない贈収賄の証拠を見つけたが、逆にそれ以外は実を結ばなかった。
ヨーロッパで最も裕福な家柄のひとつ、ニクレスク家で育ったミハイは、企業家の階段を登り、メタ・グローバル・ファンドのCEOに上り詰めた。 世界で3番目の富豪にランクされる彼の経済的影響力は、国連、EUの財務委員会、オリンピック理事会など数多くの国際的な理事会の役職に就くことにつながり、その名声は彼を聖人のように白く半透明な存在にした。
隠者として世界情勢を操りたいという彼の歪んだ権力欲は国際兵器コンソーシアムの結成とサイフォン・フィルター・ウイルスの作成計画へと発展していった。
ニクレスクは自分達からウイルスを盗んで勝手に売買するイヴァンコフの始末をマーラに命じたにもかかわらず、後になって思い直し、それならばジャンドランが開発したオメガ株の血清を売ってマッチポンプで利益を得るほうが良いとの悪巧みからイヴァンコフから手を引き、チェチェン人によるモスクワへのテロ攻撃を許可した。
これはロシア人のマーラにとっては許しがたい裏切り行為だった。
イヴァンコフは北朝鮮とウイルスを交換して核弾頭を手に入れ、ロシアにミサイルを発射しようとしている。
マーラは途方に暮れて何もかも手に負えないと告げるが、ミハイはすべてをコントロール下に置いていると主張する。二人の不和はニクレスクを裏切る原因となった。
彼女はクルスクの空港から電話しSVRに差し迫った危機を警告するためにモスクワに行くと告げたが、ニクレスクはまだ時間があると言って彼女を制し、その夜、自分の別荘で彼女に会いに来るよう言った。目障りに感じたミハイはマーラがエージェンシーに殺されるように仕向けたのだ。
ゲイブはモンテネグロのニクレスクの別荘に単独侵入して調べ、アートコレクターのニクレスクが絵画の裏に金庫を隠しているのを発見したが物的証拠はなにも見つからなかった。そこにマーラが現れて嘲笑する。
彼のファイル? なんて馬鹿。 ファイルなどない。 ミハイをフェイガンのような愚かな犬だと思っているのか? それともハッデン? ベッドの下に潜れば、"メタ・グローバル・ファンド "と書かれた書類でいっぱいの箱が見つかるとでも思っていた?
マーラはゲイブと交渉し、罪の不問と今後の身の安全を保証する代わりにエージェンシーに協力しイヴァンコフの居場所を教えた。
エージェンシーは、マーラの情報をもとにウクライナにあるCPDの基地を急襲し、チェチェン人たちの強力な抵抗を抑えてミサイル発射の阻止を試みる。ストーンは負傷しながらも監禁状態でまだ生きていたアリマを無事救出、チームは核兵器を無効化。森を通って逃げようとしたイヴァンコフもゲイブとの近接戦闘に倒れた。
ムジャリはオメガ株を克服し、サイフォン・フィルター・ウイルスを遂にこの世から根絶する。
エージェンシーはコンピューターウイルスを送り込んでメタ・グローバル・ファンドの銀行口座から違法な顧客の金をきれいさっぱりと消し去り、怒り心頭の犯罪者たちの手で間接的にニクレスクを排除した。
ゲイブがウォーレン大統領にバーチムとニクレスクとの蜜月ぶりを結びつけるファイルを見せ、連邦捜査官はバーチムを逮捕した。
ワシントンD.C.はさまざまな業界団体や富豪の影響を受けやすいものだが、バーチムはハッデン国務長官死後の後釜の政府内スリーパーとして多額の賄賂で誘い込まれていた。
前作の最後、マーラ・アラモフがキューバのグアンタナモ湾の厳重な警備網をすり抜け、脱獄できるよう画策したのもバーチムだった。
エリザはミハイ・ニクレスクと交際関係にあったこと、自分がジャンドランを殺したこと、過去を清算し、自分の運命は世界を変革することだと仄めかしてエージェンシーから姿を消す。ゲイブは彼女の思想、行動に不安を覚える。
エピローグにしてラストミッション。
『親愛なるマーラ、私はただ君の助けに感謝したかった。 それがなければ、罪のない多くの人々が死んでいただろうから。 君がミャンマー軍と交わした取引のコピーを同封した。 その結果、私の友人イマニ・グレイを含む291人の罪のない人々が亡くなった。 話し合いの通り、引退させたかったが、結局、代償は高すぎた。 君ならわかってくれると思う』 署名 ガブリエル・ローガン
オメガ・ストレイン・クライシスの後、ゲイブはマーラが平和に暮らすことを一度は許したが、やはり考えを変えた。 常にIPCAと敵対してきた魔女マーラ・アラモフは、この陰謀劇の主役であるエーリッヒ・ローマー、ヴィンセント・ハッデン、さらにはミハイ・ニクレスクに跨がり重要な役割を担っていた。そしてもうひとり…彼女らの生存は国家安全保障上の脅威だ。
ゲイブが承認を下したDPE (Discrete Personnel Elimination) 執行のため、ゲイリー・ストーンマンが派遣される。
フランス、南西部の街ソルボンヌの住宅 白昼のバルコニーで、ランジェリー姿のマーラとエルザは女性同士愛を交わしていた。
ストーン: 思うに、結局のところ、マーラは悪の化身だったかもしれないが、人と同じように心を持っていたんだな。
テレサ: 氷の心よ。警察が来る前に戻って。
ストーン: おやすみ(good night sweetheart)