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鬼頭・後日談

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streetpoint

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私のやんごとなき王子様












〜後日談〜






 季節は夏。


 早いものであの感動の演劇祭から1年が経つ。私は星越学園を卒業し、大学へと進学していた。


「見てみて、あの人すんごい美形じゃない?」

「うわっ本当、素敵!」

「芸能人かな?」


 そんな女性達の声に吊られて、私は顔を上げた。

 前から歩いて来る男性の姿に、思わず笑顔になる。


「鬼頭さん」

「行くぞ」

「あ、はい」


 目の前に来て一言そう言うと、鬼頭静はさっさと改札口へと歩き出した。

 鬼頭さんを見て溜息を漏らしていた女性達は私達を見てヒソヒソ話。こんなことにはもう慣れっこだ。だって鬼頭さんは本当にカッコいいし、私みたいな子どもじゃつり合う訳が無い。

 でも、誰が何と言おうと私の彼氏である事には違いないんだもん!


 ――――って、あれ? そう言えば、私達って付き合ってる……のよね?





 演劇祭が終わって保健室に呼び出された私は、半ば強制的に鬼頭さんの愛情不足を補う役目を与えられた。

 もちろん私は鬼頭さんが好きだし、ずっと側にいられるならとお受けしたのだけど、その時から一度も「好き」だとか「付き合って欲しい」という言葉を聞いていない。

 ふと不安がよぎる。


「なんだ?」


 ぶしつけに睨んでいた私に気付いた鬼頭さんが振り向く。


「いえ、たいした事じゃないんですけど、私達の関係って一体なんでしょうか?」

「……あ?」


 うわ、怖い。本気で怒ってる……

 私の質問に目を細めた様子に一瞬しまったと思ったけど、でもここで引いたら駄目だ。


「だって、こうしてたまに一緒に出かけたりしますけど、鬼頭さんの口から私の事をどう思っているのか聞いたことがないから……」


 そうよ、一度でもいいから聞きたい。それが乙女心ってものでしょ?

 鬼頭さんが私の事をどう思っているのか分からないから、いつまでたっても「鬼頭さん」って呼ぶしか出来ない。さすがに卒業したから「先生」とは呼ばなくなったけど、「静さん」と呼ぶ勇気がないのだ。


「はあ……お前はいい加減成長しないな」


 面倒臭そうにそう言うと、鬼頭さんは私から視線を逸らしてちょうどホームに入ってきた電車に乗った。


「待って下さい! 言わなくても分かるとかいう言うつもりじゃないですよね? 心の中で何を考えているのかなんて、他人同士で分かるはずないじゃないですか! ちゃんと教えて下さい!」

「うるさい、静かにしろ」


 それを追いかけながら声を荒げる私を叱る鬼頭さん。

 周りに迷惑なのは分かってるけど、今日は引かないんだから。


「嫌です!」


 そこで私ははたと気付いた。


「あ……もしかして、言うのが恥ずかしいんですか?」


 怒られるのを覚悟で言ったその言葉に、鬼頭さんは座席に座って立ったままでいる私を睨んだ。


「いいだろう」


 そう言って急に私の腕を掴んで引っ張っると、自分の隣りに強制的に座らせた。











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