チェンジ・ザ・ワールド☆
act.21(明月院)
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就職難民 黙って俺についてこい!
信じられない事に、私は今、明月院さんと二人で会社近くにあるお洒落なショッピングストリートを歩いている。そして、通り過ぎる人(女の人)が、面白い位に明月院さんの顔を見て振り返っている。
そりゃそうよね、私も初めて明月院さんの顔見た時、あんまり綺麗でびっくりしたもの。
そんな美しいお顔の明月院さんは相変わらず無表情で、周囲の視線や声など聞こえていないようにさっさと歩いていた。
「あの……」
迷う事無く進む明月院さんの背中に、言葉を投げるとチラリと後ろの私を振り向いて首を傾げた。
「なに?」
「えっと、今、どちらへ向かっているんでしょうか?」
「新作発表会用の洋服を買いに来てるんだけど?」
「はあ、それは分かっているんですけど」
デパートとか、そういう所じゃないと洋服屋さんって思いつかないっていうか……
「ここ」
そう言って丁度立ち止まったお店は、とってもお洒落な店構えで、なんていうか、その―――。すごく高そうなお店だった。
「ここ、ですか……?」
尻込みする私を他所に、明月院さんは慣れた様子で中に入って行ってしまった。
ちょっと、待って下さい! 私、多分こんな高そうなお店の洋服を買うお金なんて持ってませんよぉ。
慌てて追いかけると、やっぱり店内もすごくお洒落で、落ち着いた大人の雰囲気だ。
「いらっしゃいませ」
店員さんが無駄の無い動きで近づいてきて、挨拶をする。
「どうも……」
「お久しぶりです、明月院様。今日はどういったお召し物をお探しですか?」
「こいつに似合うパーティー用の服を何点か見繕ってくれ」
「かしこまりました」
こいつ―――。つまり、私に二人の視線が集まると、もちろん私はドキっとした。明月院さんは固まった私を置いて、店の奥にあるソファに座ってしまった。
こんな訳の分からない状況に放置されて、どうしたらいいの? 私……
「お客様。こちらへどうぞ」
一瞬意識を遠くに向けていた私に、男性店員さんが声を掛けた。
「あ、あの。私、こういうお店は初めてで―――」
「そうですか、うちは海外のお店に買い付けに行っているセレクトショップなんです。あまり日本には流通していないこだわりのお洋服をご用意させて頂いていますから、ゆっくりくつろぎながらご覧下さいね」
笑顔で言われても困る。そんなセレクトショップなんて言われても、どうしていいのか分かんない!
「明月院様のお母様によく利用していただいているんです。―――そんなに緊張しなくても、うちの商品はそんなに高いものじゃないので心配なさらないでください」
クスリと笑われ、私は考えを見抜かれているという恥ずかしさで顔が赤くなった。
「こちらのワンピースなどいかがでしょうか? お客様によくお似合いだと思います」
「あ、可愛い」
店員さんが勧めてくれたワンピースは、カフェラテのような甘い色合いの柔らかいワンピースだった。
「どうぞ、ご試着してみてください」
「はい」
笑顔で言われ、私はフィッティングルームへ。
鏡の前に立ち、渡されたワンピースを見つめる。
今まで選んだ事の無い色と形に、少し勇気がいるけど、のろのろしてたら明月院さんに悪いもんね。ちょっと恥ずかしいけど、よし、着てみよう!
―――あ、このワンピース、すごくいい!
着てみるとすごく形も良くて、スタイルがよく見える。おまけに生地がいいから着ていて気持ちがいい!
「あの、どうですか? ーーーわっ?」
ちょっと嬉しくなってフィッティングルームを出ると、目の前に明月院さんが立っていて驚いた。
無表情の明月院さんはじいっと私を見ると、小さく頷く。
「そこのパンプスを履いてみて」
言われて足もとに並べてあったパンプスを履いて、店内に恐る恐る出て行くと、何だか背筋が伸びたような気がする。気が引き締まるっていうか……
「これでいい。包んでくれ」
「かしこまりました」
「えっ?」
私の意見はおかまいなしに、ワンピースとパンプス購入が決まってしまった。抗議しようにも明月院さんはもうさっさと元居たソファに戻ってしまった。
こういう所、自分勝手というか、何と言うか。
「それではお包み致しますね」
「はあ」
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