チェンジ・ザ・ワールド☆
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帝都を出発したフレンは途中馬を乗り換え、ほとんど不眠不休でスクワントへと戻った。
倒れるように町へ入り、フレンを迎えに出たカイとアシュレイにコアを渡すと、そこで倒れ気を失うように眠った。
目を覚ました時、ユウキのブラスティアが無事に作動してエアルの大量放出が止まった事を知った。
「よくやった、フレン」
ようやく目を覚ましたフレンの部屋を訪れたカイが笑う。
「しかし、隊長と戻って来る事が出来ませんでした……」
「それはお前の責任じゃない。心配するな、あいつは大抵の事じゃびくともしない」
「はい……。帝都から何か通達はありましたか?」
「ユウキからの連絡はないな。取りあえず、一月以内に魔導士を派遣するという旨の通達は受けた」
フレンが寝ているベッドの向こうの景色を見て、カイはため息を吐く。
「ユウキの強さはお前も知っているだろう」
「はい」
「アレクセイ閣下はユウキの力を必要としている。閣下自らユウキを指名してアレクセイ隊に入隊させたのも、その実力が騎士団の中でも抜きん出ていたからだ」
「隊長の力は、国を守る為には必要不可欠だと思います」
「ああ、俺も思う。でもな、あいつはいつも一人で無理をするんだ」
「ええ……そうですね」
「俺にはあいつを側で守ってやる事が出来ないが、お前なら出来る」
「ーーーどういう、事ですか?」
「さあて、回復したならさっさと仕事に戻れよ。じゃあな」
ポンとフレンの方を叩くと、手を振って部屋を出て行った。
カイが言おうとしていた事の意味が気になる。フレンにならユウキを守る事が出来る。そう、カイは言った。
こんな、帝都からほとんど寝ずにスクワントへ戻ってきただけで倒れてしまう様な弱い自分に、一体ユウキをどう守る事が出来るのだろうか。
ふと考えた。
もし、ユーリがいたなら、こんな情けない姿を見て何と言っただろう。
それくらいのことでへばるなんて、まだまだ鍛え方が足りないんじゃないの?
とでも言ってバカにしたように肩をすくめるだろうか。
「大丈夫。ユーリ、僕はもう迷わないよ……」
強くなると決めたのだ。どうユウキを守るのかとこんな所でくすぶっていても仕方ない。
フレンはベッドから降りると、すぐに隊服を羽織った。
一ヶ月後、帝都から魔導士が派遣され、本格的なエアルの調査が始まった。
フレンには詳しく分からないが、やはりユウキのエアル抑制装置は使い続けるのは難しいらしく、調査も難航しているようだ。
そんな中、フレンはカイに呼ばれ隊長室へとやってきていた。
「失礼します」
「おお、入れ」
部屋に入ると、カイが机に座って頭を抱えていた。
「悪かったな、呼び出したりして」
ほんの数日前まではユウキが使っていた部屋。その部屋の主はいない。
「いいえ。何か任務でしょうか?」
「ああ、そうだな」
そこで顔を上げると、立ち上がってフレンに封書を手渡した。
「フレン、帝都から移動命令が出ている」
「移動ですか?」
「そうだ、帝都へ配置転換だ」
「帝都へ……」
「ユウキの副官として、ザーフィアス城へ戻るようにと書いてある。準備が終わり次第、明日帝都へ出発しろ」
「はい」
カイが以前言っていたユウキを守る事がフレンには出来る。というのは、このことだったのだろうか。
「隊長……まさか、移動の事をご存知だったのですか?」
「あ? いや、知っていた訳じゃない」
「では、何故」
「ーーーなんだろうな。何となく、そんな気がしただけだ。それよりフレン、ユウキの事を頼んだぞ」
「ーーーはい」
力強く頷くと、フレンは頭を下げてカイの部屋を出た。
帝都へ行く事が出来る。
複雑な思いが絡まり、廊下から見えるスクワントの町を見ながらフレンは手に持った封書を握りしめていた。
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