exTANAl Storage@Wiki

脳髄工場

最終更新:

匿名ユーザー

- view
メンバー限定 登録/ログイン

脳髄工場


小林 泰三 角川ホラー文庫


SFホラーとクトゥルー神話が持ち味の筆者。
初見の人はめんくらうだろーなー。生理的嫌悪感と心理的恐怖を引き出す作品ばっかだから。
前作の海を見る人から若干作風が変わったのかな?
惑乱されるような話が減り、時空系SFが多くなった気がする。

脳髄工場

著者っぽい作風の表題作。この人はこういった、致命的な視覚的なズレと倫理的なズレを内包した作品が得意なのです。それと、あっさりするほど簡単に人間関係が崩壊したり、ギャグとも捉えられるグロテスクな描写。これがダメだったら氏の作品は読めない。

友達

初期から氏が好んで書く、内的世界で完結しているお話。
オチは読めるけれど相変わらず内容が痛いなぁ。

停留所まで

氏っぽくない作品。怪談かな?
都市伝説を列挙する書き出しとその結末は結構好きかも。

同窓会

氏っぽくない作品その2。うーん、いまいち。

影の国

氏っぽい作品。内部世界関連。オチが理解できん。あの終章はなんか意味があるんだろうけれど…。

時空間もの。あーそうそう。こんな話もこの人好きだよね。
あんまり時間ものを読まない人なら結構楽しめるかも。

C市

小林泰三風味爆発。バリバリのクトゥルー神話ゆえに、基礎知識程度のクトゥルー神話を知らなければ完全に置いてきぼりである。グログロな描写と壊れた登場人物、異形の神々。
しばらくクトゥルーネタを抑えてた分が爆発したのかな?

アルデバランから来た男

前作の海を見る人を連想する作品。氏よりは星新一っぽいかな?なんだかすっごくショートショート。

綺麗な子

倫理観の捩れを叩きつけられる作品。"女"の描写にゾッとした。

写真

氏っぽくない作品その3。駄作。

タルトはいかが?

うーん。氏っぽい故にオチが読めてしまう。なんてーか、氏の好んで書く作品を凝縮した感じ。

総括するとイマイチかなー。前作の海を見る人の方が、氏のややこしい奇妙な話を感じられると思う。
個人的評価としては、
誰にでも薦められる代表作は玩具修理者
氏の作風が前面に出るのが人獣細工
長編ならば密室・殺人かなぁ。

「それとも、まさか、おまえ俺を自分から切り離して考えてるんじゃないだろうな」
「そんなことはないよ」僕は慌てて首を振った。
「それで安心した」ドッペルに笑顔が戻った。「俺はまた、おまえが俺に名前でもつけたんじゃないかと冷や冷やしたぜ」
僕の全身にゆっくりと鳥肌が広がる。
ウィキ募集バナー