赤緑黒白 - exTANAl Storage@Wiki

赤緑黒白

森博嗣 講談社ノベルス

S&M（犀川&萌）シリーズに続く、V（紅子）シリーズ完結編。
大前提は両シリーズをすでに既読である事。

個人的にはS&Mの方がミステリしてたなー、と。Vはキャラクタとかストーリィ寄りな感じ。
でも森センセーは真逆のつもりで書いてるのがよく分からん。

本作はあんまりクライマックスって感じがしなかったのがちょっと気になった。
S&M最終巻である有限と微小のパンみたいなカタルシスを期待してたんだけどな。
ミステリとしてもう～んって感じ。いや大胆なネタ使ったな、とは思うけど。
しいて言えば、理不尽であり、リアルである。
好き嫌いは分かれるだろうけれど、森センセーの書くリアルは読者の理解やドラマ性を隔離して淡々と客観的事実を突きつける感じであり、非常に無機質なイメージを読者に抱かせる。これを好むかどうかは読者次第なのだけれど･･･まぁ、俺は嫌いじゃない。

本作最大のトリックは、今までのシリーズを読んでいて初めて機能する大掛かりなネタである。相変わらずサラっとやってしまうところが心憎いけど。

個人的にはやはり、有限と微小のパンと今はもうないがベスト作だなぁ。
あとベストキャラは瀬戸千衣です。フフ。

「じゃあ、さようならは、やめておこう」紅子は最後にそう言った。