「まったく、案の定威勢の良さそうなのが集まっているな」
ため息混じりにつぶやく主任教官の言葉に、すぐ横に佇む補佐役の軍曹は尋ねた。
「そう言う氷室軍曹も初日からずいぶんと気合いが入っているんですね」
同じ階級ながら後任であるその男は、少し意地の悪い笑みを浮かべる。
「私もこの訓練校の意味を理解しているつもりだ。それを担うガキ共がこうも天狗揃いでは困るんでな」
その笑みをどう受け取ったのか氷室はさらに冷たく言い放った。
この訓練校は他とは違う――今走っている連中には少なからずそんな思考がある。
普通ならば徴兵されて強制的に配属される基地に彼らは『選ばれて』配属されたのだ。
基礎教育の方針についてはある程度の自由を許されたので、まずはその傲慢な鼻っ面をへし折ってやることが必要だと彼女は判断した。
「訓練兵にはよくあることですし、そのあたりはいずれ修正できるでしょう。何しろ優秀な教官達ですから」
グラウンドを走る訓練兵を罵る教官達はさながら馬に鞭打つ騎兵の様相である。
その様子を見て満足したのか、氷室はふっと鼻で笑い
「この計画にはいろいろとキナ臭い動きもある。優秀な衛士は多いに越したことはないさ」
と独り言のようにつぶやき、先ほど目をつけた一人の青年を怒鳴りつけるのであった。
最終更新:2009年12月21日 08:30