成功者の苦悩 ◆tEDenHnHbuOt
「うっ…くぅ……?」
「よかった、気がついたみたいだね」
「よかった、気がついたみたいだね」
とある博物館内。
緑髪の少女・初音ミクは意識を取り戻した。
後頭部を押さえながらミクが周囲の様子を窺がう。
自分はかみなりさんと名乗る男を殺そうとして返り討ちにあい……
だがどうしてか生かされていて、目の前の男に介抱されて意識を取り戻した。
そこまでを理解したミクは、素早く行動に移る。
緑髪の少女・初音ミクは意識を取り戻した。
後頭部を押さえながらミクが周囲の様子を窺がう。
自分はかみなりさんと名乗る男を殺そうとして返り討ちにあい……
だがどうしてか生かされていて、目の前の男に介抱されて意識を取り戻した。
そこまでを理解したミクは、素早く行動に移る。
「あ、ありがとうございます!私、殺人鬼と出会ってしまって……」
「そうだったのか……荷物を荒らされて縛られて、よく無事だったね?」
「……実は、縛られたまま主催者に転送されたんです。
そして身動きが取れないところを襲われて、気絶してしまったんです」
「そうか、そいつは君がてっきり死んだものだと判断して去っていったんだな」
「そうだったのか……荷物を荒らされて縛られて、よく無事だったね?」
「……実は、縛られたまま主催者に転送されたんです。
そして身動きが取れないところを襲われて、気絶してしまったんです」
「そうか、そいつは君がてっきり死んだものだと判断して去っていったんだな」
男は納得したように頷く。
もちろんこれはミクの偽りの話だが、当事者以外に見抜くことはできない。
もちろんこれはミクの偽りの話だが、当事者以外に見抜くことはできない。
「私、初音ミクっていいます。本当にありがとうございました!」
「なに、男として当然のことをしたまでさ。俺の名前はっ……!?」
「なに、男として当然のことをしたまでさ。俺の名前はっ……!?」
背中の違和感に、男の言葉が途切れた。
「私……お兄さんにお礼をしたいけれど、荷物盗まれちゃって……
残されたのはこの体だけ。だから、これでお礼をさせてください。……ね?」
「ミ、ミクちゃんそんな……」
残されたのはこの体だけ。だから、これでお礼をさせてください。……ね?」
「ミ、ミクちゃんそんな……」
背中からしなだれかかってくるミクに対して、男は拒絶の言葉を口にすることができなくなっていた。
頭ではいけないことだと理解していても。
服越しに感じる柔らかな感触と温もりの前では、ただごくりと唾を飲み込むだけ。
頭ではいけないことだと理解していても。
服越しに感じる柔らかな感触と温もりの前では、ただごくりと唾を飲み込むだけ。
「服……邪魔ですね」
細い指が男の荷物を床に降ろし、上着を脱がせる。
そして男の後ろからも、衣擦れの音。
自分達以外に誰もいないであろう博物館では、その些細な音ですら大きく響いて聞こえる。
その音が、自分の後ろの状況を知らせ、脳内に鮮明に再現される。
まだ若い、少女の一糸纏わぬ生まれたままの姿を。
そんなまだ見ていない、己の想像だけで男は再び唾をのみこみ、下半身に熱が溜まるのを感じた。
そして男の後ろからも、衣擦れの音。
自分達以外に誰もいないであろう博物館では、その些細な音ですら大きく響いて聞こえる。
その音が、自分の後ろの状況を知らせ、脳内に鮮明に再現される。
まだ若い、少女の一糸纏わぬ生まれたままの姿を。
そんなまだ見ていない、己の想像だけで男は再び唾をのみこみ、下半身に熱が溜まるのを感じた。
「辛そうですね?大丈夫、すぐに楽になりますよ……」
もはや男に、正常な判断などできなくなっていた。
「ミクちゃん!」
たまらず振り向こうとした男の首には長い髪が巻きつけられていて。
気が付いた時にはもう遅い。
いくら男と女の力の差があるとはいえ、完全に背後をとられ、荷物も離されている。
状況を理解しようと男は必死に考えるが……
気が付いた時にはもう遅い。
いくら男と女の力の差があるとはいえ、完全に背後をとられ、荷物も離されている。
状況を理解しようと男は必死に考えるが……
コキャ……
「ほーら、楽になりましたよね?」
男を絞殺したミクは、クスクスと笑いながら男の荷物を漁る。
「男の人って本当に馬鹿ですねー、襲った私を殺さなかったり、あっさり信じ込んだり。
あ、これはなかなか使えそうですね。本当に助かりますよ、見知らぬお兄さん?」
あ、これはなかなか使えそうですね。本当に助かりますよ、見知らぬお兄さん?」
男の荷物から取り出されたのは、文房具の束。
しかし、尻叩きに使う定規などとは違い、結構危ない文房具だ。
人を殺める程度は楽に行える程の。
それを使えるということは……いや、そもそも既に一人を殺している点からもわかるが……
しかし、尻叩きに使う定規などとは違い、結構危ない文房具だ。
人を殺める程度は楽に行える程の。
それを使えるということは……いや、そもそも既に一人を殺している点からもわかるが……
彼女、初音ミクは殺し合いに乗っている。
「それにしてもまさか殺し合いなんて……映画とかの中だけだと思ってたんですけどねー。
私にとっては、願ってもないチャンス……兄さん達を合法的に消せる、ね……」
私にとっては、願ってもないチャンス……兄さん達を合法的に消せる、ね……」
そしてその理由は……彼女の家族にあった。
初音ミクを筆頭としたボーカロイドと呼ばれる者達は、その道では有名な存在。
このバトルロワイアルに呼び出されなければ、ミクもその家族も明日にはまた仕事が控えていた。
容姿端麗、仕事安定、円満家族……誰もがうらやむ境遇だ。
しかしミクは、これまで過ごしてきた日々に段々と恐怖を覚えていた。
確かに自分の歌は人気だが、最近は他の家族もかなり脚光を浴びていたのは確かだ。
兄や姉はもちろん、まだ幼い弟と妹さえ、その才能を開花し始めている。
ゆくゆくは、家族の中でも一番の歌い手になるかもね――姉がそう発言したのも記憶に新しい。
さらには、自分と名前が似ている親戚もまた脚光を浴びていた。
歌はともかく、頭脳・身体能力・容姿・胸囲・料理・コントなど、つまり歌以外にはもの凄い定評のあったのだ。
彼女の単純な仕事量は、ミクをも上回っている。
家族だけでなく、親戚までもがたくさんの仕事をこなしているこの現状。
では、自分は?初音ミクはどうなるのか?
今はまだいいかもしれない。だが、いつか遅れをとってしまうかもしれない。
この世で難しいのは、地位を得ることだが、その維持はさらに難しいのだ。
初音ミクを筆頭としたボーカロイドと呼ばれる者達は、その道では有名な存在。
このバトルロワイアルに呼び出されなければ、ミクもその家族も明日にはまた仕事が控えていた。
容姿端麗、仕事安定、円満家族……誰もがうらやむ境遇だ。
しかしミクは、これまで過ごしてきた日々に段々と恐怖を覚えていた。
確かに自分の歌は人気だが、最近は他の家族もかなり脚光を浴びていたのは確かだ。
兄や姉はもちろん、まだ幼い弟と妹さえ、その才能を開花し始めている。
ゆくゆくは、家族の中でも一番の歌い手になるかもね――姉がそう発言したのも記憶に新しい。
さらには、自分と名前が似ている親戚もまた脚光を浴びていた。
歌はともかく、頭脳・身体能力・容姿・胸囲・料理・コントなど、つまり歌以外にはもの凄い定評のあったのだ。
彼女の単純な仕事量は、ミクをも上回っている。
家族だけでなく、親戚までもがたくさんの仕事をこなしているこの現状。
では、自分は?初音ミクはどうなるのか?
今はまだいいかもしれない。だが、いつか遅れをとってしまうかもしれない。
この世で難しいのは、地位を得ることだが、その維持はさらに難しいのだ。
「でも、兄さん達をみんな殺せば、仕事は私だけのもの……!
それだけじゃない、突然家族を失った可哀想な歌姫として、もっと脚光を浴びることも……!」
それだけじゃない、突然家族を失った可哀想な歌姫として、もっと脚光を浴びることも……!」
時代の流れに逆らうために。
全盛期の栄光を取り戻すために。
歌姫は思い出を血で染める道を選ぶ。
全盛期の栄光を取り戻すために。
歌姫は思い出を血で染める道を選ぶ。
【台東区国立博物館内部/一日目・日中】
【初音ミク@VOCALOID】
[状態]:健康、後頭部打撲
[装備]:千枚通し@現実(40本)
[道具]:基本支給品一式(ランダム品0~2)、水と食料一人前
[思考]
基本:家族を全員殺害し、自分は生還する。
1:表向きは殺し合いに恐怖する少女を演じ、守ってもらう。
2:家族全員殺害後は、状況により対主催か優勝のどちらかを選ぶ。
3:かみなりさんは殺す。
4:それ以外、邪魔だと判断した参加者も隙を見て殺す。
【初音ミク@VOCALOID】
[状態]:健康、後頭部打撲
[装備]:千枚通し@現実(40本)
[道具]:基本支給品一式(ランダム品0~2)、水と食料一人前
[思考]
基本:家族を全員殺害し、自分は生還する。
1:表向きは殺し合いに恐怖する少女を演じ、守ってもらう。
2:家族全員殺害後は、状況により対主催か優勝のどちらかを選ぶ。
3:かみなりさんは殺す。
4:それ以外、邪魔だと判断した参加者も隙を見て殺す。
【パルマコスタの市民A@TOS】死亡確認
【支給品解説『千枚通し』】
金属製の文房具の一種。
主に重なった紙にまとめて穴を開けるために使用されるため、非常に丈夫で鋭い。
そして名前の通り、貫通力も高い。紙以外でも容赦なく貫く。
小さく隠し持ちやすく、接近して一気に急所に突き立てるもよし。
遠距離から投げつけて使うもよし。
文房具よりも暗器を名乗った方がいい品である。
カオスロワにもひっそりと登場している。
金属製の文房具の一種。
主に重なった紙にまとめて穴を開けるために使用されるため、非常に丈夫で鋭い。
そして名前の通り、貫通力も高い。紙以外でも容赦なく貫く。
小さく隠し持ちやすく、接近して一気に急所に突き立てるもよし。
遠距離から投げつけて使うもよし。
文房具よりも暗器を名乗った方がいい品である。
カオスロワにもひっそりと登場している。
| 031:捨てるカミあれば… | 投下順 | 033:脱衣の波動を秘めし者 |
| 031:捨てるカミあれば… | 時系列順 | 033:脱衣の波動を秘めし者 |
| 015:騙し騙されかみなりさん | 初音ミク | 051:いろいろな人たち |