白銀の雷光

Facing each other world6

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thrones

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6:光向かう先

 辺りはまだ薄暗かった。
行き交う人もこの時間はいない。
人目につくことなく街を出た<カイ>は、予定を変更し倫敦へ向かうことにした。
情報を手に入れるなら、なるべく都会の方が都合がいい。
巴里のほうがいいのだろうが…
あいにく自分が目を光らせているだろうから、近づくのは容易ではない。
倫敦なら巴里から近い。
情報も集めやすそうだった。
とりあえずここ近日に起きた事件について、情報を集めようと<カイ>は考えた。
恐らくは見えないギアの事件だ。
きっと1度や2度はおきているだろう。
得体の知れない事件になっているだろうことで、大きく報じられているかも知れない。
なるべく人目を避けて倫敦へー
船は記録が残る。
しかも、もしものときに逃げ場がない。
海を越えなければならないので、船が使えないとなると方法は1つしかなかった。
しかも、恐ろしく危険な方法で。

以前、一度だけ空賊の頭と連絡を取った。
お互いの利害が一致したための、一時的な協力という形で。
空賊への連絡は執事が行ったが、その方法は<カイ>も知っている。
<カイ>は何度か逡巡したのち、腹を括った。


空賊挺の通信機が鳴ったのは、早朝だった。
こんな時間に一体誰だ?
頭のジョニーは呼び出しを食らい、いささか不機嫌な状態で通信室に向かった。
なんでも特殊コードでの呼び出しらしい。
ジョニーは嫌な予感を覚えていた。
特殊コード。
極一部の外部のものが、連絡用に使う手段だ。
気が乗らないまま通信を代わる。
「何の用だ?」
相手は恐らく自分が知っている人物。
不機嫌を隠すことなく相手を威嚇する。
『すいません。こんな時間に。』
「驚いた。お前さんから連絡がくるとはな」
声で相手が誰か検討がついた。
『頼みがあるんです。』
…嫌な予感的中ってところだな。などといささか呑気に考える。
「一応聞こうか?」
『今、訳あってスイスの近郊なんですが、倫敦まで送ってほしいんです。』
「は?」
『ですから、倫敦までお願いします。』
「あのなぁ、自分のところの飛空挺使えばすむ話じゃないのか?」
しばしの沈黙が流れた。
『訳あり…なんです。そのことについては後でお話しますから』
ふーん。訳アリねぇ。
あのお堅い団長様に訳ありとは。
ジョニーは少し考え込み、この話伸るか反るか天秤にかけた。
「わかった。近くで拾ってやる。その話、聞かせてもらおうか」
好奇心に負けてジョニーは承諾を伝えると、近くの離発着できるポイントを伝え通信を切る。
「針路変更だ。スイスへ向かう!ポイントへ着いたら起こしてくれ」
操舵室にそれだけを伝えると部屋へと向かう。
今度こそゆっくり眠るために。


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