パチェ「今日のお題は小説を書くこと。審査員は私と」
阿求「私と」
霖之助「僕だ」
パチェ「私たち三人が読んで、主観的に面白かったと思うものにそれぞれ投票するわ。
それぞれ、一番面白いと思ったものに2ポイント、2番目に面白いと思ったものに1ポイント入る。
そのポイントが一番多かったコンビの勝ちということになるわ」
咲夜「主観なのですね」
パチェ「小説の面白さに客観的基準を求めることほど愚かなことは無いと私は常々思っているの。
他に質問は? できれば執筆に入る前に、気になることは全部質問しておいてね」
阿求「私と」
霖之助「僕だ」
パチェ「私たち三人が読んで、主観的に面白かったと思うものにそれぞれ投票するわ。
それぞれ、一番面白いと思ったものに2ポイント、2番目に面白いと思ったものに1ポイント入る。
そのポイントが一番多かったコンビの勝ちということになるわ」
咲夜「主観なのですね」
パチェ「小説の面白さに客観的基準を求めることほど愚かなことは無いと私は常々思っているの。
他に質問は? できれば執筆に入る前に、気になることは全部質問しておいてね」
それぞれの質問にパチェさん答えて曰く。
書く場所は、永琳と輝夜が共同で用意した「精神と時の部屋・環境は快適バージョン」。
なので、書く時間はほぼ丸二年用意されている。実質、時間制限は無い。
書く小説の内容は自由、長さも長編でも短編でも何でもあり、ただし盗作やネチョいのはそこまでよ。
能力の使用も自由。あんまり意味無いと思うけど。
その他、欲しい資料などがあれば可能な限り用意する、と、
ほぼ至れり尽くせりの内容だ。
書く場所は、永琳と輝夜が共同で用意した「精神と時の部屋・環境は快適バージョン」。
なので、書く時間はほぼ丸二年用意されている。実質、時間制限は無い。
書く小説の内容は自由、長さも長編でも短編でも何でもあり、ただし盗作やネチョいのはそこまでよ。
能力の使用も自由。あんまり意味無いと思うけど。
その他、欲しい資料などがあれば可能な限り用意する、と、
ほぼ至れり尽くせりの内容だ。
一輪「それはいいんだけど、この服装の指定はどうにかならないでしょうか?」
パチェ「大丈夫よ。紐でできた水着でさえあればいいんだから、紐をいっぱい何重にもより合わせて水着にしてしまえばいいのよ。
まあそれでも水着には違いないんだけど」
白蓮「しかし、その格好のままずっと小説を書き続けるというのは……確かに私も一輪も、寒さで風邪を引いたりはしませんけど」
パチェ「執筆中はあんたたち四人しか周りにいないんだからそのくらい我慢して。
執筆部屋は、あの竹林のお姫様も太鼓判を押すほどの快適バージョンよ。服のせいで不快感を覚えることはないわ。
書きあがって私たちのところに持ってくるときは、普通の格好に戻っていいから」
パチェ「大丈夫よ。紐でできた水着でさえあればいいんだから、紐をいっぱい何重にもより合わせて水着にしてしまえばいいのよ。
まあそれでも水着には違いないんだけど」
白蓮「しかし、その格好のままずっと小説を書き続けるというのは……確かに私も一輪も、寒さで風邪を引いたりはしませんけど」
パチェ「執筆中はあんたたち四人しか周りにいないんだからそのくらい我慢して。
執筆部屋は、あの竹林のお姫様も太鼓判を押すほどの快適バージョンよ。服のせいで不快感を覚えることはないわ。
書きあがって私たちのところに持ってくるときは、普通の格好に戻っていいから」
と、いうわけで、各々執筆作業のために缶詰されるのでした。
咲・妖・一・白『書けましたー』
咲夜の小説:
不思議の国のアリスをモチーフにした漂流譚。
ある日、世界の裏側の扉を開けてしまった普通の女の子のミーリアは、
執事の格好をした人型兎、イザヤの道案内を受け、世界の裏側を巡ることに。
真っ黒な太陽の輝く砂漠、時計だけで作られた大陸、誰でも魔法が使える洞窟、
液体の生物しかいない海、絶対まっすぐに進めない道、夢を蒐集する刑務所……
次々と現れる不思議な世界と、その世界に順応していくミーリア、世界の影響を受けないイザヤ……
旅を続ける先に、ミーリアを待ち受けていたのは、幼い妹が作り上げた王国だった。
旅で得た様々な経験の後に、ミーリアの出した結論は、そして全てを見届けたイザヤは?
ボリュームは文庫全三巻、綺麗にまとまった隙の無い物語。
不思議の国のアリスをモチーフにした漂流譚。
ある日、世界の裏側の扉を開けてしまった普通の女の子のミーリアは、
執事の格好をした人型兎、イザヤの道案内を受け、世界の裏側を巡ることに。
真っ黒な太陽の輝く砂漠、時計だけで作られた大陸、誰でも魔法が使える洞窟、
液体の生物しかいない海、絶対まっすぐに進めない道、夢を蒐集する刑務所……
次々と現れる不思議な世界と、その世界に順応していくミーリア、世界の影響を受けないイザヤ……
旅を続ける先に、ミーリアを待ち受けていたのは、幼い妹が作り上げた王国だった。
旅で得た様々な経験の後に、ミーリアの出した結論は、そして全てを見届けたイザヤは?
ボリュームは文庫全三巻、綺麗にまとまった隙の無い物語。
妖夢の小説:
時代は江戸時代初期、剣豪たちが技を極めようとしていた時代。
少女剣士・白玉コハクは、自らの非力を嘆いていた。
並みの男たちに負けない自信は既についた。だが、道場でも特に強い男たちに勝てるほどの技量が、未だ備わらない。
やはり力で劣る自分は、男衆には敵わないのか――
悩んでいたコハクは、ある日、不思議な男と出会う。
身の丈は高いが、体はひょろりと細長い。力が強いようにはとても見えない。
だというのに、その男は腰に差した長刀さえ抜かずに、酒に酔って暴れていた暴漢たちをいとも簡単に圧倒したのだ。
その日から、コハクはその剣士に師事することを心に決めた。
男の名は、佐々木小次郎と言った――
少女の、剣にかけるひたむきな思いと、仄かな恋心を描く武侠活劇、
全15巻にも及ぶひたすらに熱いアクション小説、ここに完結!
時代は江戸時代初期、剣豪たちが技を極めようとしていた時代。
少女剣士・白玉コハクは、自らの非力を嘆いていた。
並みの男たちに負けない自信は既についた。だが、道場でも特に強い男たちに勝てるほどの技量が、未だ備わらない。
やはり力で劣る自分は、男衆には敵わないのか――
悩んでいたコハクは、ある日、不思議な男と出会う。
身の丈は高いが、体はひょろりと細長い。力が強いようにはとても見えない。
だというのに、その男は腰に差した長刀さえ抜かずに、酒に酔って暴れていた暴漢たちをいとも簡単に圧倒したのだ。
その日から、コハクはその剣士に師事することを心に決めた。
男の名は、佐々木小次郎と言った――
少女の、剣にかけるひたむきな思いと、仄かな恋心を描く武侠活劇、
全15巻にも及ぶひたすらに熱いアクション小説、ここに完結!
一輪の小説:
舞台は何と現代の外の世界の女学校。
そこでは弾幕など無く、少女たちはひたすら、淑女らしく過ごすことを教えられる。
その学校に入学した、一年生の雲谷一子は、漠然とした不安に捉われていた。
――育ちの良いお嬢様の集まる進学校、ひたすらに良い子であることを求められる三年間。
本当に自分は、望んでここにいるのだろうか――?
だが、その不安は、入学式のその日に拭い去られることになった。
入学式の演説に立った、その人の言葉――
「私は全校生徒の皆さんを幸せにしたいと思っています、
そしてゆくゆくは、全世界を平和にしたいと思っています。
ですから皆さん、どうか私に少しだけ協力してください!」
二年生にして、既に生徒会長の白井蓮の言葉に、一子の心は揺さぶられた!
あの人は本気で言っている! そして私は、あの人の手助けをしたいと思っている!
――それが、一子と蓮の数奇な宿命の始まりだった。
閉鎖的な女学校で起こる数々のトラブルに、生徒会一同が挑む!
現代学園青春小説、堂々の全24巻でここに登場!
舞台は何と現代の外の世界の女学校。
そこでは弾幕など無く、少女たちはひたすら、淑女らしく過ごすことを教えられる。
その学校に入学した、一年生の雲谷一子は、漠然とした不安に捉われていた。
――育ちの良いお嬢様の集まる進学校、ひたすらに良い子であることを求められる三年間。
本当に自分は、望んでここにいるのだろうか――?
だが、その不安は、入学式のその日に拭い去られることになった。
入学式の演説に立った、その人の言葉――
「私は全校生徒の皆さんを幸せにしたいと思っています、
そしてゆくゆくは、全世界を平和にしたいと思っています。
ですから皆さん、どうか私に少しだけ協力してください!」
二年生にして、既に生徒会長の白井蓮の言葉に、一子の心は揺さぶられた!
あの人は本気で言っている! そして私は、あの人の手助けをしたいと思っている!
――それが、一子と蓮の数奇な宿命の始まりだった。
閉鎖的な女学校で起こる数々のトラブルに、生徒会一同が挑む!
現代学園青春小説、堂々の全24巻でここに登場!
白蓮の小説:
私は人々を救いたい。そう願った妹がいた。
俺は君を救いたい。そう願った兄がいた。
妹は世界中を巡り、恵まれない人々のために働いた。
時に汗を流し、時には涙を流したが、その汗と涙によって、救われる人々は増え続けた。
兄は妹のそばにずっといた。そして、妹を狙うテロリストと死闘を繰り返した。
戦争を商売にし、貧しい人を食い物にするような輩にとって、その妹は邪魔にしかならなかった。
兄はそういう輩から妹を守り続けた。そのために、自らの手を血で汚し続けた。
綺麗なままで人を救う妹、妹を守って穢れ続ける兄――
その旅路の先に待ち受ける、避けられなかった悲しい別れとは。
文庫一冊で完結、短いながらもぎっしりと凝縮された魂の一冊。人とはいかに生きるべきかを問う問題作である。
私は人々を救いたい。そう願った妹がいた。
俺は君を救いたい。そう願った兄がいた。
妹は世界中を巡り、恵まれない人々のために働いた。
時に汗を流し、時には涙を流したが、その汗と涙によって、救われる人々は増え続けた。
兄は妹のそばにずっといた。そして、妹を狙うテロリストと死闘を繰り返した。
戦争を商売にし、貧しい人を食い物にするような輩にとって、その妹は邪魔にしかならなかった。
兄はそういう輩から妹を守り続けた。そのために、自らの手を血で汚し続けた。
綺麗なままで人を救う妹、妹を守って穢れ続ける兄――
その旅路の先に待ち受ける、避けられなかった悲しい別れとは。
文庫一冊で完結、短いながらもぎっしりと凝縮された魂の一冊。人とはいかに生きるべきかを問う問題作である。
それぞれの感想
パチェ「白蓮に2ポイント、咲夜に1ポイントよ。
妖夢に一輪、あなたたち二人は自分の小説に自分で感情移入しすぎ。
自分の経験をモチーフにしているという点では白蓮や咲夜も同じだけど、こっちの二人はそれを上手く小説に昇華しているわ。
咲夜の小説は、とりとめも無い世界観を、少女ミーリアの経験として必要だった、という形で上手くまとめているわね。
白蓮の小説は、二人を対比的に書き、人間のエゴという深い論点をこれでもかとえぐっているわね。
どちらも素晴らしい作品だったけど、より深く印象に残ったという意味で、白蓮の作品を一番とさせてもらうわ」
妖夢に一輪、あなたたち二人は自分の小説に自分で感情移入しすぎ。
自分の経験をモチーフにしているという点では白蓮や咲夜も同じだけど、こっちの二人はそれを上手く小説に昇華しているわ。
咲夜の小説は、とりとめも無い世界観を、少女ミーリアの経験として必要だった、という形で上手くまとめているわね。
白蓮の小説は、二人を対比的に書き、人間のエゴという深い論点をこれでもかとえぐっているわね。
どちらも素晴らしい作品だったけど、より深く印象に残ったという意味で、白蓮の作品を一番とさせてもらうわ」
阿求「妖夢さんに2ポイント、一輪さんに1ポイントです。
妖夢さんの小説は、まず時代考証が随分詳細にされていることに驚きました。
のみならず、小説の中で、その人たちがその時代を生きているという感覚が事細かに伝わってきました。
その感覚が真に迫っていたからこそ、アクションシーンも映えたのでしょう。読んでいて手に汗を握りました。
丁寧で繊細な描写なのに、剣戟は大胆な筆致、お見事でした。
一輪さんのほうも、あまり知られていない外の世界をよくあそこまで描写できたものだと感心しました。
人物の心情も本当に少女たちらしく、わかりやすいものだったと思います」
妖夢さんの小説は、まず時代考証が随分詳細にされていることに驚きました。
のみならず、小説の中で、その人たちがその時代を生きているという感覚が事細かに伝わってきました。
その感覚が真に迫っていたからこそ、アクションシーンも映えたのでしょう。読んでいて手に汗を握りました。
丁寧で繊細な描写なのに、剣戟は大胆な筆致、お見事でした。
一輪さんのほうも、あまり知られていない外の世界をよくあそこまで描写できたものだと感心しました。
人物の心情も本当に少女たちらしく、わかりやすいものだったと思います」
霖之助「咲夜に2ポイント、一輪に1ポイントだ。
まず咲夜のほう、一つの世界ごとに、一つの物語。このスタイルを一貫したというのが大きい。
短編集でありながら続いていく長編、という意味でも興味深かったし、
一つ一つの短編が完結しているので、小気味良く読むことが出来た。
そして、その完結した短編が全て揃うことで、一つの長編という物語が、即ちミーリアの旅が完結する。
完成度という意味で、これ以上の物はそうそう無いだろう。文句なしの太鼓判だ。
一つ一つが完結している、という意味で、一輪の小説も実に面白かった。
一冊を通して一つの事件を追う、という手法はわかりやすいし、それを彩る人物たちも生き生きしている。
全24巻ということで少し中だるみがあったとも思うが、それでも最後まで読んで良かったと思える作品だったよ」
まず咲夜のほう、一つの世界ごとに、一つの物語。このスタイルを一貫したというのが大きい。
短編集でありながら続いていく長編、という意味でも興味深かったし、
一つ一つの短編が完結しているので、小気味良く読むことが出来た。
そして、その完結した短編が全て揃うことで、一つの長編という物語が、即ちミーリアの旅が完結する。
完成度という意味で、これ以上の物はそうそう無いだろう。文句なしの太鼓判だ。
一つ一つが完結している、という意味で、一輪の小説も実に面白かった。
一冊を通して一つの事件を追う、という手法はわかりやすいし、それを彩る人物たちも生き生きしている。
全24巻ということで少し中だるみがあったとも思うが、それでも最後まで読んで良かったと思える作品だったよ」
というわけで、結果は5対4で咲夜・妖夢チームの勝利となった。だが、四人には既に勝敗はどうでも良かった。
四人を包んでいたのは、大作を書き上げ、その評価を受け取った、満足感でいっぱいだったからだ。
四人を包んでいたのは、大作を書き上げ、その評価を受け取った、満足感でいっぱいだったからだ。
後日、四人の小説は霧雨道具店出版にて無事発売され、好評を博したという。
なお、小説を書くため缶詰となった環境があまりに快適だったためか、咲夜と妖夢の白髪が減ったことを付け加えておく。
なお、小説を書くため缶詰となった環境があまりに快適だったためか、咲夜と妖夢の白髪が減ったことを付け加えておく。