今回のジャッジが決まるな否や、ルナサとジャッジメント・シーズンはいきなり無音の真っ暗なスキマに放り込まれた。
そこに用意されていたのはギブアップ用のボタンとパソコンとトイレ、そして紫が書いた手紙だけ。
手紙にはこのファイトの趣旨が書かれていた。「このボタンを押せば藍に伝わるので助けに来るのを待つように」とも。
当然、紫本人はいないし来る気もない。
そこに用意されていたのはギブアップ用のボタンとパソコンとトイレ、そして紫が書いた手紙だけ。
手紙にはこのファイトの趣旨が書かれていた。「このボタンを押せば藍に伝わるので助けに来るのを待つように」とも。
当然、紫本人はいないし来る気もない。
「審判すら来ていないとは、なんという適当なジャッジ……
このような暴挙を許すわけにはいかない! 必ずこのファイトを完結させてみせる、ジャッジメントの名に掛けて!」
「……気圧下がってきた」
このような暴挙を許すわけにはいかない! 必ずこのファイトを完結させてみせる、ジャッジメントの名に掛けて!」
「……気圧下がってきた」
相変わらず異様にテンションが高いシーズンと、異様にテンションが低いルナサ。
この違いは競技が始まった数分後に早くも決定的となった。
この違いは競技が始まった数分後に早くも決定的となった。
「……欝だ死のう」
「はや!?」
「はや!?」
ルナサ、あっさりと鬱る。アリスと同じポーズで座り込む彼女に呆れつつ、シーズンは少し安心した。これならあっさり勝てるだろう。
だがシーズンの思惑とは裏腹に、ルナサは鬱りながらも全くギブアップする様子を見せない。
暇つぶしにシーズンがスレを過去ログまで読みきること十数度、しかしそれでもルナサは健在だ。
だがシーズンの思惑とは裏腹に、ルナサは鬱りながらも全くギブアップする様子を見せない。
暇つぶしにシーズンがスレを過去ログまで読みきること十数度、しかしそれでもルナサは健在だ。
(バカな、彼女が鬱り始めてから既に数時間……それなのに彼女はまだギブアップしない!?)
焦り始めるシーズンだったが、これはある意味自然な結果だ。
そう、そもそもルナサにとって鬱期は慣れっこ。この程度の鬱でギブアップすることはない。
一方最初こそ鬱のうの字もなかったシーズンだが、空腹と孤独感から、その絶対の自信が揺らぎ始めた。
そう、そもそもルナサにとって鬱期は慣れっこ。この程度の鬱でギブアップすることはない。
一方最初こそ鬱のうの字もなかったシーズンだが、空腹と孤独感から、その絶対の自信が揺らぎ始めた。
(最近いろいろとはっちゃけて気分も晴れてきたけど……そう言えば人からはどう見られているんだろう……
もしや……イタい……いやいや、変人が多数登場するファイトスレでこのくらい。
それにイタかったとしても私の変装は完璧なはずだし、バレなければ私自身への影響は……
そもそも他の選手の飛ばしっぷりに比べればこれはだいぶまともなはず……
まさかダサいとか……まっさかぁ、ちゃんと格好いい服を選んだし……)
もしや……イタい……いやいや、変人が多数登場するファイトスレでこのくらい。
それにイタかったとしても私の変装は完璧なはずだし、バレなければ私自身への影響は……
そもそも他の選手の飛ばしっぷりに比べればこれはだいぶまともなはず……
まさかダサいとか……まっさかぁ、ちゃんと格好いい服を選んだし……)
白黒はっきりつけられずグレーに染まり始めるジャッジメント・シーズンの思考。
最初のほうは極めて白に近かったが、ほんの少し黒が混じった時点で既に手遅れ。
更に数時間後。空腹に加えて眠気が両者を襲い始めた頃には、
最初のほうは極めて白に近かったが、ほんの少し黒が混じった時点で既に手遅れ。
更に数時間後。空腹に加えて眠気が両者を襲い始めた頃には、
「鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱……」
「いいんです……どうせ私は職務を型どおりに果たすことしかできないんです……
私は空気読まずにいっつも真面目に振舞って嫌われることしかできないんです……」
「いいんです……どうせ私は職務を型どおりに果たすことしかできないんです……
私は空気読まずにいっつも真面目に振舞って嫌われることしかできないんです……」
両者とも完全に鬱っていた。
■
結局ジャッジメント・シーズンは鬱に耐え切れずにギブアップし、このファイトはルナサの勝利で終わる。
のだが……当然システム上、藍がスキマから出しに来てくれるまでにはタイムラグがある。
結果、慌てて藍が駆けつける頃には出られないのかと思ったシーズンがレーザーをぶっ放しながらマジ泣きしていた。
その後スキマから開放され逃げ出すように飛び出していったシーズンは、
小町を見るやいなや涙も拭かないで飛びつくのだった。
のだが……当然システム上、藍がスキマから出しに来てくれるまでにはタイムラグがある。
結果、慌てて藍が駆けつける頃には出られないのかと思ったシーズンがレーザーをぶっ放しながらマジ泣きしていた。
その後スキマから開放され逃げ出すように飛び出していったシーズンは、
小町を見るやいなや涙も拭かないで飛びつくのだった。
「うわああああああああん、小町ー!」
「……あちゃー」
「私、変じゃないですよね!? 変じゃないですよね!?
今まで散々迷惑被ったんだしこれ位やっても嫌われませんよね!?」
「はいはい変じゃないし嫌いもしないですから。後で薬師に薬貰ってきましょうね」
「……あちゃー」
「私、変じゃないですよね!? 変じゃないですよね!?
今まで散々迷惑被ったんだしこれ位やっても嫌われませんよね!?」
「はいはい変じゃないし嫌いもしないですから。後で薬師に薬貰ってきましょうね」