東方ファイトスレ @まとめウィキ

44スレ第36戦(2)

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匿名ユーザー

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朝の目覚め。寝ぼけた頭をすっきりさせようと洗面台に向かい、
そして鏡の中にあまり会いたくないやつの顔が見え、なんじゃこりゃと思いつつ顔を洗う。
鏡を見た。嘘でも夢でもない。朝起きたら、幽香の姿になっていた。

アリマリ「「ああ。ファイトの安価指定か」」

別々の家で、二人ともが同時に呟いた。こういった異常事態にも随分慣れてしまって、ちょっと悲しかった。
やがて、双方の家に連絡が届いた。今回のファイトは、他の誰にも怪しまれないようにする、というもの。

魔理沙「対戦相手はアリスか……つまり今、私とアリス、そして本物の幽香、三人の『幽香』がいるわけだ」

さて、と作戦を考える。
一番確実な方法は、最初に思いついた。つまり、誰にも見つからないよう、雲隠れする、というもの。
誰かに怪しまれた時点で負けなら、誰にも会わなければいい。それが最も確実な方法だ。だが。

魔理沙「対戦相手はアリスだ、この程度の作戦、すぐに読まれるに決まってるぜ」

魔理沙は、対アリス用の作戦を考えた。





アリス「くっ、既にもぬけの殻か」

対戦方法を聞かされた後のアリスの行動は早かった。一目散に、魔理沙の家を訪ねたのだ。
今回の対戦は、先に誰かに怪しまれたほうが負け。逆に言えば、先に怪しまれさえしなければいい。
なら一番手っ取り早い方法は、対戦相手をとっ捕まえて、偽物として晒し者にすること……だが、その目論見は外れた。

アリス(私が予測した魔理沙の行動――
    一番は、先手必勝で私に攻撃を仕掛けてくること、二番目は、家に引きこもること。
    そのどちらでも無かった――どうやら少し甘く見ていたようね。
    私の行動は読まれているかしら? ならば、魔理沙はどう出る――)

魔理沙の思考パターンをいくつもシミュレートしながら、アリスもまた次の行動に移る。





メディ「コンパロコンパロ~~。あ、幽香じゃない、おはよう!」
魔理沙「ええ、おはようメディ。今日もご機嫌ね」
メディ「えへへ、幽香は今日はどうしたの? こんな朝早くに、珍しいじゃない」
魔理沙「ええ、ちょっと今日は、教えておきたいことがあって。
    実は、私の偽物がこのへんをうろちょろしてる、って小耳に挟んだの」
メディ「幽香の、偽物?」
魔理沙「ええ。だから、私の姿だけどなんだか様子が変なやつを見かけたら気をつけなさい。
    攻撃してもいいけど、危ないと思ったらすぐ逃げること。いいわね?」
メディ「はーい! 幽香はどうするの?」
魔理沙「私はもうちょっと、他を探してみるわ。もしかしたら、その偽物を捕まえられるかも知れないから」
メディ「わかった、気をつけてね!」

魔理沙「……蟲っ子、紅魔館の門番、阿求、毒人形、と。あいつの交友範囲は他には……
    そういえば、あの騒がしい三姉妹とも親しげだったな。そっちにも行ってみるか」





アリス「なるほど、そのパターンで来たか……」

危ないところだった、とアリスは一息つく。
アリスも先ほど、リグルに接触を持ったところだった。
幽香の交友関係から情報を得ることで、対幽香の戦術を考えようとしたのだ。そうしたらリグルが、

リグル「あれ、幽香、どうしたの? もしかして、もう偽物見つかった?」

つまり魔理沙は、本物になりすまし、自ら偽物の情報を広めることで、
後から現れるアリスをお縄にしようと考えたのだ。
リグルを上手く誤魔化せたのは、上出来を通り越してラッキーとさえ言えた。アドリブだけで、何とかその場をしのいできた。
だがこれでアリスは、行動が難しくなる――

アリス「と、あんたは考えてるんでしょ? だったら――」

アリスの逆襲が始まる。





魔理沙「……よし、一通り回ったな。これでアリスが上手くハマってくれれば言うことなしだけど」

地底から地上に向かいながら、魔理沙は一人ごちる。
地底の鬼、星熊勇儀にも警戒するよう教えてきた。強者同士で通じるものがあるのか、何かと幽香とは因縁のある相手だった。
鬼を相手に嘘をつき通すのは心臓に悪かったが――それによって得られるアドバンテージは、大きい。

パルスィ「ああ、ちょっと待って、花妖怪さん」
魔理沙「あら? 橋姫風情が、何の用かしら?」

その途中、パルスィに呼び止められた。
今の魔理沙は、少しでも怪しまれてはいけない。だから無視して心象を悪くするわけにはいかず、やむなくパルスィに向き合う。

パルスィ「なんか、貴方の偽物が出回ってるって話だけど――」
魔理沙「ええそうよ。耳が早いことね――」
パルスィ「貴方でしょ、その偽物」

何の前触れも無く、言い当てられた――
だが、魔理沙はすぐさま反応した。
にやりと笑みを浮かべ、手のひらをパルスィの顔面に向けたのだ。

魔理沙「いいや、私は本物だぜ――『マジックミサイル』」

魔弾が、パルスィの頭蓋を吹き飛ばした――否。それは、パルスィではない。
精巧に作られた、人形に過ぎない。

魔理沙「Jack Pot! 見つけたぜアリス!」

魔理沙は飛び立ちながら、目に魔力を集中させた。アリスの伸ばした、魔力の糸を辿るためだった。



アリス「見つけたわ、魔理沙……さあ、いらっしゃいな」



魔理沙(くっ……ハメられたか)

魔理沙の誤算。アリスが、人形の近くにいなかったことだ。
どうやら地底の外から糸を伸ばしていたらしい――つまり、魔理沙は誘き寄せられた格好になる。
おそらくアリスは、他にも各地に自分の人形を置いていたに違いない。そのうちの一つが、たまたま魔理沙を捕捉した過ぎない。
そして、魔理沙は見た――そいつの姿を見た瞬間、洞窟の岩肌の陰に自分の身を隠す。
魔理沙の見る、その先に。

幽香「……あら? 今、誰か、隠れたわね……出てらっしゃいな」

魔理沙の立場で考えると、そこにいる幽香の正体は、次の三通り。
一、幽香の姿のアリス。二、アリスの操る幽香人形。三、幽香本人。
どれであってもおかしくは無い――ならば。

魔理沙「ええいっ!」
幽香「あら?」

魔理沙が、植物魔法を発動させた。
幽香の能力を見てから研究していた魔法だ。植物の使役というのは、魔法使いから見ても興味深いテーマの一つだった。
その、魔理沙の研究の成果が、

幽香「私の真似事かしら? 随分ちゃちね」

同じ植物によって、踏みつぶされた。
もはや間違いない。そこにいるのは、幽香本人だ。
だからこそ、魔理沙は、一歩前に踏み出した。

魔理沙「待ってくれ幽香、私だ」
幽香「あら、魔理沙?」

薄暗い地底でのことだ。遠目に、顔を確認できなくても不思議ではない。
だから、現れた白黒の影を、幽香は、魔理沙そのものだと思ってしまった。
衣装変更魔法で、服装だけはいつもの白黒に戻ったのだ。詳しくは東方儚月抄(秋枝版9話)を参照。

魔理沙「悪かった、お前の偽物がいるって話だったからな。確認したかったんだ」
幽香「ああ、それは聞いたわ……よりによって私の偽物が、私の偽物の情報を触れ回ってるってね」
魔理沙「ああ。そのことだ――幽香。私は、そいつの正体を知っている」

――そうだ。ここで、幽香にアリスを疑わせれば、勝利に大きく近づく。
そう思った瞬間のことだ。

アリス人形「騙されないで幽香。そいつが偽物よ。よく見なさい、顔がおかしいわ」

幽香の背後――アリスの姿。
違う、と魔理沙は瞬時に判断した。あれは、アリスの人形だ。

幽香「え? 魔理沙が、え?」
魔理沙「――違うぜ幽香、あいつをよく見ろ。アリスそっくりの人形だ!
    もしあいつの言うことが本当なら、わざわざ人形を使うことは無い、本人が来ればいい!
    それができないのは、あいつが幽香の偽物になっちまってるからだ!」
幽香「え? え?」

いきなり与えられた情報に幽香が戸惑った。魔理沙を見て、人形を見て、きょろきょろと視線を動かす。
今だ、と魔理沙は動く。幽香の隙を突いてここを抜け出し、アリスを捕まえる!

魔理沙「見てろ、アリスを捕まえて潔白を証明してやる!」

いざ、アリスの人形の糸を追おうと、飛び立った瞬間。

幽香「――ああ、簡単なことじゃない。両方確かめればいいのよ」

幽香の操る植物のツタに、魔理沙の体が捉えられた。
まずは近くにいる魔理沙を捕まえる。それで魔理沙が潔白だったなら、その後でアリスを捕まえればいい。
勢い余って転ぶ魔理沙。とんがり帽子が落っこちて、顔が露わになる。

幽香「あら大当たり。あんたのほうが偽物だったのね」
魔理沙「くっ……負けちまったか」
幽香「ということは、ファイトのお題だったのね」
魔理沙「そういうことだぜ」

なるほどねぇ、と納得しながら、幽香は、植物による魔理沙の拘束をさらに強めた。

魔理沙「あれ?」
幽香「ファイトだからって、何でも許されるわけじゃないのよ?
   知ってる? 親しい人に偽物呼ばわりって、結構こたえるのよ?」
魔理沙「あー……いやそれはきっとアリスじゃないかなー、とかー」
幽香「あの臆病者がそんな思い切ったことするわけないでしょ。
   というわけで、お仕置き執行ー♪」

アリス人形のモニター越しに、魔理沙の断末魔を聞いて、アリスもまた震え上がったのだった。

結果:幽香を上手く呼び出して魔理沙をハメたアリスの勝利。




















































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