諏訪子は、きらきらと輝くような色の霊魂を呼び止め、船に乗せた。
彼はたくさんのお金を持っていた。
霊魂から零れ落ちたお金はずっしりとした存在感で船を僅かに沈め、
けれど船は滑るように進み出した。
「なるほど。お前はとても人徳のある人間だったようだね。
ここにあるお金の量と、この船の速さがそれを教えてくれる」
霊魂は実に嬉しそうに、その身を震わせた。
「生きている時分に何をしたんだろうね。これだけの交友の広さだ、
商いをしていたか、それとも村の顔役か何かか」
霊魂は肯定するように、その身を震わせた。
「まあ、その時の行いが今こうやって実を結んでいる訳だ。
良い事だね。これは実に良い事だ。
けれど、お前の蓄えはこれで尽きてしまった。
お前のふところには、あと何が残っている?」
霊魂は、ただじっとしていた。
彼はたくさんのお金を持っていた。
霊魂から零れ落ちたお金はずっしりとした存在感で船を僅かに沈め、
けれど船は滑るように進み出した。
「なるほど。お前はとても人徳のある人間だったようだね。
ここにあるお金の量と、この船の速さがそれを教えてくれる」
霊魂は実に嬉しそうに、その身を震わせた。
「生きている時分に何をしたんだろうね。これだけの交友の広さだ、
商いをしていたか、それとも村の顔役か何かか」
霊魂は肯定するように、その身を震わせた。
「まあ、その時の行いが今こうやって実を結んでいる訳だ。
良い事だね。これは実に良い事だ。
けれど、お前の蓄えはこれで尽きてしまった。
お前のふところには、あと何が残っている?」
霊魂は、ただじっとしていた。
リグルは、ぶよぶよと陰るような色の霊魂を呼び止め、船に乗せた。
彼女はほとんどお金を持っていなかった。
霊魂が落としたお金は僅かに1枚のみ。その錆付いた1枚が船の底に落ちると、
暗い木の色に紛れて見えなくなってしまった。
「まいったなぁ、船が全然進まないよ。死神に聞いたんだけどさ、
お金が無いとこの船はなかなか速くならないんだってさ」
霊魂は申し訳無さそうに、その身を震わせた。
「いいんけどね。私があんたを選んだのは、ぶよぶよしてて蟲が好きそう
だったからなんだ。あんたはきっと、蟲が多いところに住んでたんだね」
霊魂は肯定するように、その身を震わせた。
「でも、そのせいでお金が全然溜まらなかったんだろうなぁ。
三途の川を渡るにはあんまり良くないんだろうね。
でも――」
リグルは落ちたお金を見つけて拾い上げると、袖の端でごしごしと拭いた。
「ほら、このお金はこんなに綺麗だ。まるで蛍のようだし。
このお金をくれた誰かは、あんたをすごく好きだったんだろう」
霊魂は、ずっとぶよぶよとしていた。
彼女はほとんどお金を持っていなかった。
霊魂が落としたお金は僅かに1枚のみ。その錆付いた1枚が船の底に落ちると、
暗い木の色に紛れて見えなくなってしまった。
「まいったなぁ、船が全然進まないよ。死神に聞いたんだけどさ、
お金が無いとこの船はなかなか速くならないんだってさ」
霊魂は申し訳無さそうに、その身を震わせた。
「いいんけどね。私があんたを選んだのは、ぶよぶよしてて蟲が好きそう
だったからなんだ。あんたはきっと、蟲が多いところに住んでたんだね」
霊魂は肯定するように、その身を震わせた。
「でも、そのせいでお金が全然溜まらなかったんだろうなぁ。
三途の川を渡るにはあんまり良くないんだろうね。
でも――」
リグルは落ちたお金を見つけて拾い上げると、袖の端でごしごしと拭いた。
「ほら、このお金はこんなに綺麗だ。まるで蛍のようだし。
このお金をくれた誰かは、あんたをすごく好きだったんだろう」
霊魂は、ずっとぶよぶよとしていた。
諏訪子の運ぶ霊魂は皆たくさんお金を持っていて、舟も速かった。
リグルが逝って戻る間に諏訪子は3往復もし、
結果としてお金の量も諏訪子の圧勝であった。
リグルが逝って戻る間に諏訪子は3往復もし、
結果としてお金の量も諏訪子の圧勝であった。
結果:諏訪子の勝ち
その後、
きらきらと輝くような霊魂の男は地獄に生き、
ぶよぶよと陰るような霊魂の女は冥界に逝ったという。
きらきらと輝くような霊魂の男は地獄に生き、
ぶよぶよと陰るような霊魂の女は冥界に逝ったという。