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ミキサーの仕組みと操作
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PAオペレータとして、本番で最も頻繁に触れることになるのがミキサー(ミキシング・コンソール)である。
ミキサーは音響システムの加工部における中核を担っており、入力部からのすべての信号はまずミキサーに入る。
ここでは、アナログミキサーの基本的な仕組みとその操作などについて解説する。
ミキサーは音響システムの加工部における中核を担っており、入力部からのすべての信号はまずミキサーに入る。
ここでは、アナログミキサーの基本的な仕組みとその操作などについて解説する。
ミキサーの仕組み
ミキサーの主な役割は(1)入力された信号のレベルを均一にすること、(2)信号の音量や音質を制御すること、(3)信号を分岐・混合して出力することである。
インプットチャンネルとマスターチャンネル
例えばボーカル、ギター、ベース、スネア、バスドラム、ハイハット・・・といったそれぞれの音源からの信号は、それぞれ独立してミキサーのインプットチャンネルに入る(TOJO K-ONの保有ミキサーYAMAHA GF24/12は、最大24chの入力に対応している)。これらの信号レベルや音質、音量を制御する部分がインプットチャンネル部である。各チャンネルで調整された信号は最終的に混合されてマスターチャンネルに送られ、2chのステレオ信号として出力される。
BUS
BUSは複数のインプットチャンネルの信号をまとめる回路のことである。乗客(チャンネル)をまとめて乗せるってことでBUSらしい。マスターチャンネルもBUSの一種であるが、他には目的によって、GROUPとAUXがある。
GROUP
GROUPは複数チャンネルの信号をまとめてマスターチャンネルへ送ったり、個別の出力へ送ったりする回路である。たとえばスネア、バスドラム、ハイハットといったドラムセットの各チャンネルを一つのGROUPにまとめておけば、いちいち個別に操作をしなくても、一気にドラム全体の音量を制御することが可能になる。
AUX
AUXはオグジュアリ(Auxiliary)の略記で、各チャンネルの信号を分岐させるための回路である。各チャンネルのAUXコントロールを操作することで、分岐させる量を決めることができる。分岐させてどんな場合に嬉しいのかと言えば、空間系エフェクタをセンドリターンで接続する場合や、演奏者へのモニター送りをする場合である。マスターチャンネルやGROUPとは独立した出力として、各インプットチャンネル毎に音量を制御することができるのがポイントである。センド(Send)とも呼ばれる。
各部の働きと操作
ここでは、ミキサー各部の働きと操作方法を解説する。
以下YAMAHA GF24/12を例にして説明するが、だいたいどのミキサーでもおんなじである。基本的に各部は、信号の流れに沿って上から下へと並んでいる。
※以下の説明で、「プリ」や「ポスト」が分からなかったら用語集を見てちょうだい。
以下YAMAHA GF24/12を例にして説明するが、だいたいどのミキサーでもおんなじである。基本的に各部は、信号の流れに沿って上から下へと並んでいる。
※以下の説明で、「プリ」や「ポスト」が分からなかったら用語集を見てちょうだい。
インプットチャンネル部

①GAINコントロール
GAIN(ゲイン)とは増幅度であり、ここを調節することでこのインプットチャンネルにどのくらいの大きさの信号を入れるかが決まる。各インプットチャンネルの先頭にはそれぞれ小さなアンプ(ヘッドアンプ)があって、GAINはそこでの増幅量を決めるのだな。簡単に言えば元栓みたいなもの。
②③フィルタースイッチ
フィルターを使うと、スイッチのON/OFFで一気に入力感度を調節できる。②はパッドといい、信号を弱めるフィルター。この例では押すと信号を26dB減衰させる。ベースのライン取りとかiPodの信号とか、ラインレベルの信号に対して使うことが多い。③はハイパスフィルターあるいはローカットフィルターといい、低い周波数を通さなくするフィルター。この例では押すと80Hz以下の信号をカットする。低音ノイズや吹かれの防止に有効。
④PEAKインジケーター
ポストEQの信号がクリップすると(正確には、クリップの3dB手前になると)点灯する。
⑤EQコントロール
EQ(=Equalizer;イコライザー)てえのは、信号を周波数の帯域別にブーストする(強める)/カットする(弱める)エフェクター。HIGH, MID, LOWはそれぞれ高、中、低音域を意味する。HIGH/LOWはツマミを回すことで、基準周波数(HIGH: 10kHz, LOW:100Hz)より高い/低い帯域をまとめてブーストまたはカットすることができる。このタイプをシェルビングイコライザーという。MIDは上のツマミで基準周波数を選び(250Hz〜5kHz)、下のツマミでそこを中心とした部分をブーストまたはカットすることができる。このタイプをピーキングイコライザーという。
イコライザーをうまく駆使することで目的の音質にすることができるが、そのためにはパートごとの周波数分布や帯域別の音質の特徴をつかんでおくことが不可欠だ(エフェクターの基礎知識が参考になる)。イコライジングはやりすぎると酷いことになるので、いじる際はほどほどに。
イコライザーをうまく駆使することで目的の音質にすることができるが、そのためにはパートごとの周波数分布や帯域別の音質の特徴をつかんでおくことが不可欠だ(エフェクターの基礎知識が参考になる)。イコライジングはやりすぎると酷いことになるので、いじる際はほどほどに。
⑥⑦AUXコントロール
⑥はインプットチャンネルの信号をAUX(オグジュアリ)1〜6に送る量をコントロールするツマミ。3時の位置で同じ大きさの信号を送ることになる。また⑦PREスイッチを押すことで、該当するAUXはプリフェーダーとなり、⑬チャンネルフェーダーの状態に関係のない出力となる(⑨ONスイッチは関係あり)。
⑧PANコントロール
2つのBUS間での、音の振り分け量を決めるツマミ。マスターチャンネルではLとR、GROUPでは1/3と2/4への振り分け量を決める。
⑨ONスイッチ
インプットチャンネルの出力をON/OFFするスイッチ。OFFにするとこのチャンネルの信号がマスターチャンネル、AUX、GROUPに一切送られなくなる。ただしPFLスイッチがONなら、ヘッドフォン端子からはプリフェーダーの音が出る。
⑩⑪⑫アサインスイッチ
アサインスイッチとは、インプットチャンネルの信号をどのBUSに送るかを決めるスイッチである。⑩を押せばGROUP1,2/3,4に、⑪を押せばマスターチャンネルにそれぞれ信号が送られる(いずれもポストフェーダーである)。⑫PFL(=Pre-Fader Listen;プリフェーダーリスン)スイッチを押すと、⑨ONスイッチや⑬チャンネルフェーダーの状態に関係なくヘッドフォン端子からプリフェーダーの音が出る。⑩〜⑫は、もちろん複数を同時にONにできる。
⑬チャンネルフェーダー
ここを上下させて、インプットチャンネルから最終的にBUSへ送る音量を調節する。ミキサー内部にはフェーダーの前後にも小さなアンプが内蔵されていて、フェーダーは後ろのアンプに入る量を決めることになる。GAINが元栓ならこれは蛇口といったところだ。ゼロの位置が基本で、あんまり上下に振りきれそうならGAINやフィルターの設定を見直した方がいい。
AUX, AUX RETURN部

①AUXフェーダー
AUX OUT端子から出力するレベルを調整する。すなわち、返しやセンドリターンでつないだエフェクターへの送り量を決める。AUX OUTの代わりにAUX SENDあるいは単にSENDと表記されていることもある。
②AFLスイッチ
AFL(=After-Fader Listen;アフターフェーダーリスン)スイッチを押すと、AUXのアフターフェーダー信号をヘッドフォン端子から出力する。
③④GROUP/AUXミックスコントロール
AUX RETURN端子からの入力信号を、GROUP/AUXに戻す量を決める。③ではAUX RETURN端子1→GROUP/AUXの1/2へ、④ではAUX RETURN端子2→GROUP/AUXの3/4へ戻す量をコントロールできる。
⑤STコントロール
AUX RETURN端子からの入力信号を、マスターチャンネル(このミキサーではST=STEREOと呼ぶ)に戻す量を決める。普通はここを操作して、センドリターンでつないだエフェクターからのウェット音をマスターに混ぜる量を決める。詳しくは後述。
⑥PFLスイッチ
②PFL(=Pre-Fader Listen;プリフェーダーリスン)スイッチを押すと、AUX RETURN端子からの入力信号をヘッドフォン端子から出力する。
GROUP, STEREO部

①PANコントロール
GROUPの信号をマスターチャンネルに送るときの左右の定位を調節する。インプットチャンネルのPANコントロールとの関係で、GROUP1/3は左に、GROUP2/4は右に振り分けることが多い。
②TO STスイッチ
ONにすると、該当するGROUPの信号がマスターチャンネルに送られる。
③GROUPフェーダー
GROUP OUP端子、(②④がONの場合には)マスターチャンネルやヘッドフォン端子へ送られる信号の量を調整する。
④AFLスイッチ
AFL(=After-Fader Listen;アフターフェーダーリスン)スイッチを押すと、GROUPのアフターフェーダー信号をヘッドフォン端子から出力する。
⑤MONOコントロール
MONO OUT端子から出力されるモノラル信号のレベルを調節する。STEREO OUT端子からの出力には影響しない。
⑥POSTスイッチ
ONにすると、MONO OUT端子から出力される信号がポストフェーダーになる。
⑦STEREOフェーダー
STEREO OUT端子から出力されるステレオ信号(マスターチャンネルの出力)のレベルを調節する。通常はメインスピーカーへ送る出力。
⑧AFLスイッチ
AFL(=After-Fader Listen;アフターフェーダーリスン)スイッチを押すと、STEREOのアフターフェーダー信号をヘッドフォン端子から出力する。
ミキサーとエフェクターとの接続方法
センド・リターン
ミキサーにおけるセンド・リターン…マイクから入る音はエフェクタへ流れるものと、そのままパワーアンプへ流れるものがある。リバーブをかけるためにエフェクタへミキサーからsendを使って送り、リバーブをかけた音の信号がreturnを使ってミキサーに戻り、マイクから直接送られる音の信号と一緒にパワーアンプへ流れる。ちなみにこの2つにわかれる回路をAUX回路という。つまり、AUX回路を用いてセンドリターンを行っているということである。
インサート
ギターアンプにはプリアンプとパワーアンプが入っていて、その間にエフェクタをいれるために使うのがsend/return端子である。つまり、ギターアンプの場合、センドリターン端子を用いてインサートをしているということである。