「よくやった。あんたのおかげですぐに駆け付けることができたよ」
「う、うん」
にとりがスターサファイアに労いの言葉を掛けるのを聞く永琳の心の内は焦りで満ち満ちていた。
考え得る最悪の状況だった。
目の前の襲撃者を永琳は見遣る。
鬼、伊吹萃香の打撃は瞬時に後ろへと逃げることで衝撃を和らげることができた。痛みはひどいが、一時間もすればそれもなくなる。
それよりも今考えるべきはこの状況をどうやって乗り越えるかだ。
永琳は知らず知らずの内に叫んでいた。理性ではなく、感性での訴えだ。
「待って! 私は別に────」
「問答無用!!」
が、最後まで言葉を繋げさせてはくれない。
萃香の猛攻が永琳を襲った。
先程はフランを気遣って積極的に攻めることはしなかったが今度は違う。萃香は何の心配もせずに永琳に拳を浴びせることができた。
萃香から放たれる拳。その圧倒的なまでの圧力は鬼の気迫の為せる技なのだろうが、永琳はそれ以上のものを感じ取っていた。
怒り。萃香の拳からはその怒りの感情がひしひしと伝わってきた。
だが今の永琳にとってそんなことは重要ではない。永琳はその拳をどうにか直撃を受けないように捌くのが精一杯だった。
フランに行ったような間接技を繰り出すこともできない。防戦一方とはこのことだ。一瞬でも気を抜くことはできない。
背後から何者かが跳躍する。フランだ。
「レーヴァテイン!!!」
永琳の瞳に桃色の閃光が映った。
閃光が地面を穿ち、人工の直線を作り出す。
まるで打ち合わせでもしていたかのように、レーヴァテインが放たれる直前に戦線から離脱していた萃香は無傷。
一方、萃香の攻撃だけで一杯一杯だった永琳は直撃こそしなかったもののその反動を直に受けてしまった。
膝をついた永琳の頭部からは血が滴り落ち、体中には痛々しい擦りキズが見てとれた。
絶体絶命とはこのことだ。単純な戦闘力でいえば、一対一でも雲泥の差がある。
それほどの実力者が二人。さらに相手はこちらを完全に敵視しており、フランの一件で不意打ちはおいそれと期待できない。
ここまでか。そう思う中で、永琳はこれからやってくる未来を想像した。
このまま捕まればどうなるだろうか。
命までは取らないだろう。私は主催者で、彼女達にとっては殺し合いから脱出する為のまたとない手段だ。そういう意味では私の生存は確約されている。
でも、それだけだ。それ以上の保障は何もない。何故なら彼女達にとって重要な要素、『首輪の解除』と『殺し合いからの脱出』に私は何の手助けもできないのだから。
首輪を外せないことを外さないのだと勘違いしてあらぬ暴挙に走ってもおかしくはない。
中途半端に終わった矯正のおかげでフランには恨みを買っている上に、あの鬼の怒りも尋常ではない。
この状況で良心的な対応をしてくれると思う程私は楽観的ではない。
そして相手側が良心的でないのなら、説得も聞いてくれる可能性は限りなく零。信用を得るどころかむしろ余計に反感を買うだろう。
それ程に私の心証は悪い。だからこそ接触する相手は選んできたのだ。
拷問はまず間違いなく受けることになるだろう。その過程で死ぬ可能性もかなり高いな。
まるで他人事のように永琳は思っていた。
不死であった期間が長い為か、死への忌避感が他者に比べて薄いことも原因としてあるのだろう。
だがそれ以上に、彼女には自分の命よりも大事なものがあるということの方がこの淡泊な感情を作る要因となっていた。優先順位は何も変わらない。
八意永琳が何よりも重要視するのは、蓬莱山輝夜のことだった。
彼女を救いたい。殺し合いなんて馬鹿な真似を止めさせ、ここから逃がしたい。
それが、何を置いても叶えたい永琳の最終目的だった。
彼女は今、自分でも驚く程に冷静だった。
先程までの焦りも消え去っていた。
その心に秘めた想いは、自分の身ではなく、輝夜の身を案じる慈しみ。
それを改めて実感する。
ならば今、自分の出来ることは何だ?
ここで捕まるのが姫にとって最善か?
答えは否だ。
姫を救えるのは私だけ。こんなところで戦闘不能になってたまるものか。
永琳の瞳に炎が戻ってきた。その炎は、自分の目的を見据え、がむしゃらにでもそれを掴み取ろうとする情熱の炎だ。
その炎が点ったのとほぼ同時に相手は動いた。フランと鬼は永琳の距離を急速に縮めていく。
永琳は焦りを押さえつけ、必死に考えを巡らせる。
捕まることが悪手だと判断した以上、現段階で最善手なのが逃げること。
だがそれが難しい。相手は吸血鬼と鬼。単純に逃げるだけなら数分もしないうちに捕まるだけ。
逃げるには策が必要だ。身体的に劣るのならばそれをカバーするための舞台を整える必要がある。
何か、何かないか! この場から逃げる為の舞台を作る要素は!!
相手はほんの数メートル。
瞳に移る萃香とフランは嫌になるほど鮮明に映る。背けたくなる現実ほどそれは如実に浮き上がる。
その事実に辟易していた永琳に電撃が走った。
────鮮明?
萃香とフランだけでなく遠くで見守っているスターとにとりを見遣る。明らかに違う。さっきとは違う。
そうだ、確かに周りが“明るくなっている”。
その時、永琳は1秒にも満たない時間に高速で頭を回転させた。
そして、たった一つの逃げる策を思い付いた。
生命遊戯 ライフゲーム
一瞬にして青の弾幕がフランと萃香を包み、侵攻を拒ませた。
だがそれ以上弾幕を生成することはない。
フランの真似だ。これはただの挨拶代わり。
咄嗟に距離を取る萃香とフラン。彼女達は慎重だ。慎重に、しかし確実にこちらを逃がすまいとしている。
そんな彼女達に対抗する手段は、その慎重さを“逆手に取る”ことだ。
私も霊夢を見習わないとね。
そんなことを思いながら、永琳は立ち上がる。
自分の慈悲の心が引き起こした最悪の事態を前に、永琳はようやく気付くことが出来た。
ここは殺し合いの場。騙し騙され、命のやり取りをする場。そんな場所で、他人を信じるということがどれほど難しいことか。
知人が容赦なく他者の命を奪うような場所で、誰が赤の他人を信じられるというのだ。
それが殺し合いに乗っている参加者以上に黒だと断定された人物なら尚更だ。
そうなれば論理的な説明も、最早無意味だ。わだかまりは確実に残り、疑心暗鬼の種になる。
…とどのつまり、永琳にとって誰かと共有する居場所などというものはなかったのだ。
ここに放り込まれた時点で、永琳は孤独の道を進むしかなかったのだ。
孤独の道を歩むのみ。ならば、そんな私でも出来る事をしよう。私にしか出来ないことをしよう。
例えどんな目に遭ったとしても、きっと姫を救えるように。きっと、生き延びてもらえるように。
これからの行動に不安はない。孤独を運命づけられた今の自分にとって、これから起こそうと考える行動に不安がある筈がない。
これは自身を守る最高の手段で、それが姫を救うことに繋がると信じている。
過程などに意味はない。本当に勝ち取るべき結果を残す為、行動するのみだ。
永琳の眼光が鋭く光り、相手を睨みつけた。年の業、とでも言うのだろうか。有無を言わさぬその決意の瞳に、萃香は一瞬たじろいだ。
最悪の印象しかないのなら、その印象を利用してやればいい。
永琳は大きく息を吸い込み、笑った。
本当におかしそうに、笑った。
徐々に変わっていく空気。形勢逆転だった“正義”のチームは、どす黒く汚れた“悪”の笑みに唾を飲んだ。
「何がおかしい!?」
「…ごめんなさい。あなた達が思った以上にやるものだから、つい嬉しくなってしまって」
(できるだけ厳かに。尊大に)
「改めて自己紹介するわ。私の名は八意永琳」
裾を持ち上げ、英国式の挨拶を済ます。
そして睨みつける四人に対し、敢えて聞かせるかのように、言った。
「今回の異変を引き起こした張本人です」
風が靡き、草木が揺れる。冷え冷えとした空気が、その風と共に辺りを包みこんだ。
四人が四人とも、不快感を露わにする。
(それでいい。今の私は、狂いに狂った異常な主催者)
「あなた達には本当に感謝してるわ。こんなに楽しい御遊戯も、あなた達なくしては成立しないんだものね」
萃香がその言葉に噛み付いた。
「ふざけるな。何が御遊戯だ。何が殺し合いだ。こんなことして何が楽しい!」
永琳に襲いかからんとする萃香をにとりが慌てて止めた。
「待って待って! あの余裕には何かある。今手を出すのは危険だよ」
これは永琳にとってただの時間稼ぎ。ただ一瞬、唯一逃げられる瞬間を作り出す為の。
「よく分かってるじゃない。その通りよ。敵の余裕は策がある証拠。ねぇフラン?」
フランは黙って永琳を睨みつけている。
「…聞きたかったことがあるんだけど、何であなたはここにいるの? あなたがこんなところにいても狙われるだけじゃないかしら」
スターサファイアがフランの影に隠れたまま言った。
「だって暇じゃない。せっかく異変起こしてもずっと部屋に引きこもってるだけじゃつまらない。そうでしょ?」
「…狂ってるよ、あんた」
「褒め言葉として受け取っておくわ」
これで私は完全に悪者ね。まぁ、そうなるように誘導してるんだけど。誰にも気付かれないように周りの景色に目を配る。
まだだ。まだ彼女を焚き付ける“時間”じゃない。
「…話はそれでおしまい? なら早速殺してあげる」
フランが言った。
今度はにとりの止めは入らない。もちろんフランが怖いからだ。
「随分と剣呑ね。それとも、何か焦る理由でもあるのかしら?」
黙り込むフラン。それは理由があるという証拠。それは永琳にとって、とても重要なことだ。ここから逃げ出す一手を導き出す為の重要な要素。
「これだけの異変を引き起こした私が何の下準備もなしにこんなところに居ると思う? 何でわざわざあなたたちと同じ、不格好な首輪をしてるのか少し考えなさいよ」
永琳はトン、と自身の首輪を突いた。
「この首輪には生体反応を感知する装置が組み込まれてる。もしも私が死んだらどうなるか。何の保障もできないわよ」
一同の顔が青ざめる。
「さらに! あなた達の命は私の手の内にある。今この瞬間にも、全参加者の首輪を正確に爆破させることができるわ。ちょっとした動作一つでね」
ゴクリ、という音がどこかから聞こえた。
パン
「…っっ!!」
「例えば手を叩くとか?」
永琳は薄笑いを浮かべながら四人を見つめた。
怯えの表情がフラン以外の三人からは見てとれた。
(よし。完全に流れが変わった)
永琳の目的はあくまでも時間稼ぎ。
あとは適当に会話して、相手をあしらっておけばいい。
策があると思わせないよう、相手をからかい遊んでいるかのように見せかけながら。
「鬱陶しいわね。それで脅したつもり?」
「ええ。そのつもりよ。何なら試してみようかしら? そうねぇ、あなたの大切なお姉さんでも実験体にしてみましょうか」
フランの眼の色が変わった。
『アイツ』呼ばわりしていても、やはりフランにとって姉は大切な存在だった。
それなりに慕ってもいた。
だからこそ、この永琳の言葉は不愉快極まりなかった。
「こいつ……!」
「そう睨まないの。ただの冗談よ。私としてはこの殺し合い、できるだけ長引かせて遊びたいんだから、そんなことするメリットはないでしょ?」
大袈裟に肩をすくめてみせる。
周りに映る色合いを悟られないように確認する。
(さて、時間も頃合いね)
徐々に明るみを帯びてくる景色からそう判断し、この事態を打破する唯一の策を講じにかかった。
「マジカルアワー」
「何?」
「夜が明けるまでの数十分の時間のことよ。太陽の光が漏れ出て、空を薄白い紫に染めた時間。とても綺麗な光景だと思わない?」
ちょうど今のことだった。
永琳に唯一勝機を与える時間。太陽という存在を嫌でも思い出させ、フランという吸血鬼を心理的に追い詰めることができる唯一の時間帯だ。
「…もういいわ。時間の無駄よ。こいつを殺す」
「ちょ、ちょっと待って! あいつの言ってることは理屈に適ってるし多分本当だ。それはまずいよ。首輪の機能に生体感知が付いてるのは間違いないんだ」
止めに入るにとり。もう怖いなどと言ってられない。永琳の生死は自分達の生死と同じなのだ。
永琳はにとりのその言葉に、一つの確信を持った。
「どうでもいい。どっちにせよこいつを殺さなきゃ殺し合いは止まらない。一人が生きるか全員が死ぬか、大して変わらないじゃない」
「そうじゃない! まだ何か打開策があるかもしれないだろ!」
萃香は吠えた。
先程とは打って変わって穏健な主張。萃香にとって皆の命は、一時の感情で失ってしまっていいものではない。
皆で再び宴会をする。再び笑い合う。それが萃香の望む未来だった。
「生け捕りにしようなんて思ってるなら、それこそ愚の骨頂よ。手加減して私を捕まえられると本気で考えてるなら別だけど」
横槍を入れて、場を煽る。
戦術としては常套の手段だ。
これでフランはさらに焦りを強くする。太陽に焼かれる心配をしなければならない吸血鬼とは随分と不便な生き物だと永琳は内心同情した。
「…とにかく、私はこいつを殺すから」
「このっ、待てって言ってるだろ!!」
思わず萃香はフランの腕を掴んだ。
「離して! 今あなたと口論してる暇なんて────」
一瞬だった。本当に一瞬、永琳から二人の注意が外れた。
この瞬間を、永琳は手をこまねいて待っていたのだ。
一呼吸で距離を詰める。
狙うは萃香。彼女の小さな肺に掌底が打ち込まれる。
「がはっ!」
呼吸を乱し、膝をつく萃香を尻目に、応戦体制に入ろうとするフランに対し肘を使って顎を正確に打ち上げる。
「ぐっ!」
脳を揺さぶる衝撃にたたらを踏む。それだけで永琳が逃げ出す時間には十分過ぎるものがある。
目の前にはにとり。彼女の怯えた表情を覆い隠すかのように永琳は袋から“とある布”を取り出してにとりに被せた。
「ぶわっ! な、何だ!?」
もがくにとりの横を通り過ぎる。
何もできず呆然としているスターサファイアは放っておき、永琳はそのまま走って四人から逃げおおせた。
「くそっ! 逃げられた!!」
萃香は地面に拳をぶつけながら嘆いた。
彼女を倒せば終わりだったのに。この殺し合いから解放されたのに。
…恐怖してしまったのだ。彼女、八意永琳に。それが堪らなく悔しかった。
「……あいつ、どうして首輪なんていう防護策を作ったんだろ」
ふいにフランが呟いた。
「あいつ自身が言ってただろ。保険なんだよ。殺されない為の」
未だ悔しそうに地面を見つめながらも、萃香は言った。
「不老不死なのに?」
「え?」
「あいつは不老不死なの。死なないの。だから自分が死ぬことに対する保険なんて意味ない」
「…案外、自分で枷をはめたのかも。遊びたいだけだって言ってたし」
フランの脳裏に永琳の言葉が浮かび上がってきた。
『これは遊びなんかじゃない。“殺し合い”なの』
「そうだよ。あいつは狂ってる。だから私達があいつを倒さなきゃいけないんだ」
『あなたはそれを理解してない。でもね、理解しなくちゃいけないの』
あれは、私に対する忠告だったのではないか? この殺し合いに対する姿勢を変えさせる為に、あんなことを言ったのではないか?
何故かフランはそんなことを考えていた。
腕をぐるぐると回してみる。まったく痛みはなかった。あれほど痛いと感じた永琳の絞め技は、実はフランに一つも傷をつけるものではなかった。
「…それだけじゃない。あいつ、私達を殺さなかった。やろうと思えば四人とも殺されてた。…少なくとも、私を殺すチャンスはいっぱいあった。それをしなかったのは何故かしら?」
次から次へと言葉が、永琳の矛盾が飛び出てくる。冷静になって考えれば考える程、永琳はどこか不自然に思えた。
「あいつも言ってただろ。この殺し合いを少しでも長く楽しむ為だ」
「……そうね」
フランはそれだけ呟いた。それは萃香の意見を認めたということだった。
「とにかく、今はそんなことを言ってる時じゃない。すぐに永琳を追おう」
「ごめんなさい。タイムアップだわ」
フランはそう言って、自身の袋を弄ると、とある物を取り出した。
傘だった。別段変わった風でもないただの傘。それをフランはおもむろに広げた。
数秒後、さっと辺りが光に包まれた。
夜明けだ。
「私は昼に行動することができないの。彼女を追えないわ」
「…ああ、道理で見たことあるような顔だと思ったら、レミリアの妹か。それなら仕方ないね」
アイツと似てる。スターに言われた時はあれほど腹が立ったというのに、今は別にそんなこともない。
「そういえば、紅白が乗ってるみたいなこと言ってたけど、本当?」
「…ああ。本当だ」
「ふーん」
意外だ。一番乗りそうにない人間なのに。
アイツはそれを知ってどうするだろうか。いや、それよりも。アイツ、ちゃんと分かってるのかな。この殺し合いのこと。
霊夢相手に油断して殺される所が容易に想像できる。
「あー! これ私の光学迷彩服じゃないか! あのバカ女、こんな上物落していくなんて信じられないよ」
にとりが被せられた布。それを嬉しそうに掴みながらにとりは一人叫んでいた。
「…私は一応、にとりと一緒にあいつを追うよ。あんたはどうするんだ?」
フランは傘を、レミリアがいつも使っている日傘をくるくると回しながら言った。
「そうね。一応紅魔館に行ってみるわ。“お姉様”がいるかもしれないし」
「そっか。わかった。私達もあいつを追いかけて、まったく見当がつかなくなったらそっちに向かうよ」
萃香はそれだけ言って、にとりを連れて永琳の向った方向へと走り去った。
フランはしばらくそれをボーっと眺めていると、やがてくるりと反転した。
「じゃ、スター。行こっか」
「う、うん」
フランの足は紅魔館に向いて歩いた。そして、スターもそれに付いて行った。
フランの心に、少しモヤモヤとした気持ちを残したまま。
【E-6 一日目・早朝】
【伊吹萃香】
[状態]かすり傷 精神疲労(小)
[装備]なし
[道具]支給品一式 盃
[思考・状況]基本方針;意味のない殺し合いはしない
1. 永琳を追う
2. 永琳が見つからない場合は紅魔館へ向う
3. 仲間を探して霊夢の目を覚まさせる
4. お酒を探したい
※永琳が死ねば全員が死ぬと思っています
【河城にとり】
[状態]精神疲労(小)
[装備]光学迷彩
[道具]支給品一式 ランダムアイテム1~2
[思考・状況]基本方針;萃香と一緒に仲間や武器を探す
1. 永琳を追っかけるのはちょっと怖いな…
2. 首輪を調べる
3. 霊夢には会いたくない
4. 敵と出会ったら萃香に任せる
※首輪に生体感知機能が付いてることに気づいています
※永琳が死ねば全員死ぬと思っています
【E-5 一日目・早朝】
【
フランドール・スカーレット】
[状態]頬に切り傷
[装備]レミリアの日傘
[道具]支給品一式 機動隊の盾(多少のへこみ)
[思考・状況]基本方針;とりあえず紅魔館へ向う
1. 殺し合いを少し意識。そのためレミリアが少し心配。遊びは控える?
2. 永琳に多少の違和感。本当に主催者?
※2に準拠する範囲で、永琳が死ねば他の参加者も死ぬということは信じてます
(これは……想像していた以上に、なかなかきつい)
じくじくと鈍く痛む腹を抑えながら永琳は思った。
これからも参加者に会う度こんな窮地を乗り越えなければならないのかと考えると辟易する。
何故こうも貧乏くじばかり引かねばならないのか。そんなことを愚痴りたくなってくる。
「あーあ。本当にもったいないことしたわ」
光学迷彩。恐らくは支給されたアイテムの中で一番を誇る防御アイテムだろう。主催者に認定されている永琳にとってはこの上なく重宝するものだった。
だが永琳はそれをわざと手放した。いや、手放す前から使うつもりはなかった。
何故なら永琳の目的は輝夜を捜すこと。一分一秒でも早く、自身の身の危険も顧みずに、だ。
輝夜がこちらを見つけてくれる僅かな可能性を潰してまで自分の身を守ろうとは思わない。戦闘になっても先程のように相手を無力化してから輝夜の情報も聞き出せる。
いらない物を誰にあげようと大した痛手はない。だが、これで一つ策を立てる上で優位になる要素がなくなったのは確かだ。
そして新たに考えるのはにとりの言葉。首輪に関して何か掴んでいるようだった。こんな機械を少しでも把握できる存在は幻想郷には少ない。
恐らく彼女は、機械類に強い唯一の種族である河童なのだろう。
首輪の足がかりを掴める河童。その存在はこの殺し合いの中で希望になる。彼女は守らねばならない存在だ。
だからこそ、貴重なアイテムを彼女に与えたのだ。
にとりの同行者である萃香も、戦力人格ともに申し分ないものに思えた。少し頼りない気もするが、彼女ならにとりをうまく守り抜いてくれるだろう。
だが、あんな行動に出てしまった以上、にとりと信頼関係を結ぶのは絶望的だった。
拉致するという手もあるにはあったし、それだけの余裕もあったが、それをしなかったのは自分と共にいることがどれほど危険か理解していたから。
現についさっきだってほとんど問答無用の形で襲われた。
現段階で、唯一の希望となるにとり。彼女を拒否した永琳。それがどういうことを意味するのか。永琳自身が一番よくわかっていた。
何千年ぶりに感じる死への絶望的な恐怖が彼女の中にはあった。
震える手を見て、自嘲気味に笑う。しかし、その手で無理やり握り拳を作った。その恐怖を無理やり押し付けるかのように。
(それでも、私はやらなければ。姫を助ける為にも、今は生きなきゃいけない)
自身に喝を入れ、永琳は再び歩いた。
さらなる窮地が自分を待っていたとしても、永琳はきっと歩を止めることはない。
自分の為すべき事を知っている彼女は、歩を止めることはない。
輝夜を止める。そして、彼女をここから脱出させる。
その為にも永琳は進み続ける。たとえ自分がどうなろうとも。
【F-5 一日目・早朝】
【八意永琳】
[状態]腹部の痛み(一時間程で治癒)
[装備]ダーツ(24本)
[道具]支給品一式
[思考・状況]基本方針;輝夜とここから脱出する
1. 星の弾幕が放たれた箇所へ向う
2. 真昼(12時~14時)に約束の場所へ向う
※この場所が幻想郷でないと考えています
※自分の置かれた状況を理解しました
※この会場の周りに博霊大結界に似たものが展開されているかもしれないと考えています
最終更新:2009年07月02日 01:48