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  • 大いなる意志1B

大いなる意志1B

最終更新:2013年07月06日 01:54

jelly

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第一章B「旧式機出撃」


 ここは大樹大陸の中央にそびえる偉大なる樹のふもとに設置された公会議場、アルバール。そこにこの大陸の三国、すなわちマキナ、フィーティン、ヴェルスタンドの要人たちが顔を揃えていた。
 かつてこの大陸には様々な戦争が起こり、これら三国はいつも互いに争い合って来たが、そんな彼らが初めて互いに手を取り合って危機に立ち向かったことがあった。『HiveMind』と呼ばれているその一件で彼らはともに協力することを学んだのだ。
 過去の戦争で、ヴェルスタンドは精神体という魂のエネルギーを活用する技術を生み出した。その技術はガイスト博士によって発明されたのだが、時の大統領はそれを兵器転用して戦争の道具に貶めてしまった。その精神兵器が後に暴走を起こして大陸中に大被害を与える事件、それが『HiveMind』だった。
 ガイストはこの事態に責任を感じ、三国の協力を取り付けてついに精神体の暴走を食い止めることに成功した。その際に活躍したガイストを初めとする四人の者たちは今では救国の英雄として大陸の者なら誰にでも知られている。
 まずはゲンダー。ガイストの先輩にあたるヘイヴ博士が発明したサボテン型の自走式機械で、『HiveMind』ではフィーティン軍と共に戦い、精神体を退けるのに活躍した。次にヘルツ。彼はヴェルスタンドの医師で、ガイストの友として彼をサポートした。続いてメイヴ。ゲンダー同様ヘイヴに作られた超高性能機であり、ブラックボックスを搭載している。彼は頭脳としても戦力としてもとても心強い存在だったが、精神体との戦いの最中に失われてしまった。そして最後にガイスト。彼は『HiveMind』に際して、精神体の扱い方について三国連合軍にアドバイスしたが、それだけではなく責任を果たすために自ら最前線に立って精神体との戦いに臨んだ。その結果、彼は英雄の称号を得たが、引き換えに命を失ってしまった。
 あれから20数年経った今、大樹大陸は技術革新によるさらなる進歩を遂げて目覚ましく発展したが、一方で荒地や砂漠化が広がり、人々の心も荒んでしまっていた。そんな彼らは今、再び大陸の危機にさらされている。
 アルバール公会議場は大樹のすぐふもとに立てられた建物だ。その入口は三国のどれにも属さない、特別配備された衛兵たちが守っている。会議場敷地内への門では二人の衛兵が警槍を片手に警備を行っている。そのうちの一人が呟いた。
「しっかし、あれだな。どうしてこうもお偉い方は腰が重いんだろうなぁ。ヴェルスタンドの科学力とマキナの機械で最高の兵器を作って、フィーティンの軍事力で一気に吹き飛ばしちまえばすぐに解決するだろうに」
 するともう一人がため息を吐きながら答える。
「そりゃあおまえ、アレだろ。俺たちにはわからないような、なんか難しい理由みたいなのがあるんだろ」
「へぇ、そりゃどんな?」
「知るかよ。俺たちが気にするようなことじゃないさ。俺はちゃんと給料がもらえるんならそれでいいよ」
 彼らが警備するこの会議場の中では今でも三国のお偉い方が難しい議論を続けている。議題はすなわちグメーシス亜種の対処だった。
 過去の戦争でヴェルスタンドが生み出した精神兵器の中にはグメーシスと呼ばれるものがあった。銀色の身体に鰭状の手。足はなく、流線型の身体からはすらりと尾が伸びる。それぞれの個体の胴体にはなぜか文字の刻印があり、グメーシスには「罪」の刻印があった。
 グメーシスには触れたものをなんでも塩に変えてしまう恐ろしい能力があり、その能力は猛威を振るったという。
 『HiveMind』以来しばらくグメーシスの姿を見ることはなかったのだが、それが今になって突然現れて各地で人々を襲い始めた。刻印が異なるためこれらはグメーシス亜種と呼ばれたが、人々はグメーシスからすぐにヴェルスタンドを連想した。そしてこの問題を解決するために、三国の代表は急遽このアルバールに協議の機会を設けたというわけだった。
「で、何だっけ? ここにそのHiveMindの英雄様がこれから来るんだって?」
「ああ。そんな感じの連絡だったな。本当は精神体に詳しいガイスト博士に来てほしいところだが、彼はもう死んじゃったからな。同じく英雄の一人、ヴェルスタンドのヘルツ大統領はまるで役に立たないらしいし、メイヴっていう凄い機械ももう残ってないんだったよな? それで、あと一人残ってる英雄のゲンダーを代わりに呼んだって話だ」
「ゲンダーね。サボテンの形をした機械だっけ? まぁ英雄って言うからには凄いんだろうな。でもなんでサボテンなんだ?」
「俺に訊くなよ。きっと作ったやつがサボテン好きだったんだよ」
 グメーシスは精神兵器の一種だった。それならば亜種も同様だろうと考え、お偉い方は精神体に詳しい者の助言を求めることにした。しかし精神体の権威ガイストはもういない。そしてメイヴも失われてしまって久しい。ヘルツは精神体についてはあまり詳しくなかったため、最後の頼みの綱としてゲンダーが呼び出されることになったのだ。
 ゲンダーはガイストやメイヴの友だった。しかし、その二人は精神体との戦いでこの世から永遠に失われてしまった。それを悲しんだゲンダーは「あいつらのことダから、いつかきっと無事に帰ってきてくれる」と自分に言い聞かせながらも、寂しさを紛らわせるためか、一人どこかへ旅立ってしまった。
 そこでフィーティン王は兵たちに命令して大陸中を捜索させた。ゲンダーが見つかったと連絡が入ったのは少し前のことだった。
「大陸中だろ? まったくフィーティン王様も無茶な命令をなさるもんだね」
「まぁ、実際に見つかったっていうんだから凄いよな。なんて言ってる間に……見ろ。英雄様のご帰還だ」
 彼らの前にはフィーティンの兵士たち数人と、サボテンの英雄の姿があった。
「ゲンダー殿をお連れした。門を開けろ」
「はっ、畏まりました」
 門を開けると、兵士たちに促されてゲンダーは何を言わずに通り過ぎて行った。一歩進むごとにその身体からはギシギシと音を軋ませ、その様子はどこかくたびれているようにも見える。兵士たちが通り過ぎたのを確認すると、門を閉めながら衛兵の一人が言った。
「あれが英雄様なのか…? ずいぶんポンコツなんだな」
「しっ、聞こえるぞ。まぁ、20ウン年前の機械だからな…。旧式なのは仕方ないさ」
 ギシギシと歩いていくゲンダーの背中を見送りながら、二人は顔を見合わせた。


 会議場の中は怒号の嵐だった。
 グメーシスといえば精神体。精神体といえばヴェルスタンド。ゆえに今回の問題の責任はヴェルスタンドにある。
 そう言ってマキナやフィーティンの要人たちはヴェルスタンドを責め立てる。大臣たちが必死に反論する中、大統領ヘルツはただ黙して虚空を見つめるのみだ。その表情はどこか悲しそうにも見える。
 そこに一人の兵士が英雄の到着を知らせる。と、それまで騒がしかった会議室内はしんと静まり返り、息を呑んで英雄の帰還に臨んだ。
 ギシギシ、と軋むような音が響く。それから少ししてそこにゲンダーが姿を見せた。薄汚れた身体、ヒビの入った腕、ところどころ剥げてしまっている塗装。とても英雄とは思えない、そのみすぼらしい姿に誰もが言葉を失っていた。
 そこで最初にゲンダーを迎え入れたのはフィーティン王だった。
「ゲンダー殿、だな? よくぞ来てくれた。私はウォーレン、フィーティン国王だ」
「ああ…。王様直々にオレをご指名してくれるとはありがたいことダ。ようヘルツ、見ない間にずいぶん老けたようダ。大統領になったんダってな。お祝いが遅れちまったが元気にやってるか? それからマキナの人も。もうしばらく戻ってないが、今でもマキナは栄えてるかい?」
 ヘルツもマキナの首相ガソイールも何も答えなかった。そこで誰もが思った疑問をフィーティン王が代表して訊いた。
「ところでゲンダー殿。見たところ、貴殿はずいぶんとくたびれているようだが、一体何があったのだね?」
 するとゲンダーは哀しそうに言った。
「いやぁ…。オレにも自己修復機能があったんダが、いつの間にか故障しちまったみたいでな。ガイストやメイヴがいれば直してくれたかもしれないけど、どこにもあいつらの姿を見つけられなかったんダ。おかしいな、北極から南極まで全部捜したのに…。もしかしたら大陸に戻ってるかも、と思って来たんだがオレが呼ばれたってことは、やはりガイストたちはいないんダな?」
 誰もゲンダーにかける言葉が浮かばなかった。ゲンダーは続ける。
「まぁ、オレのことはいいんダ。だいたいのことは道中に兵士から聞いた。グメーシスの亜種ダって?」
「うむ。ガイスト殿やメイヴ殿がいない今、頼りになるのは貴殿だけだ。グメーシス亜種が発生して大陸全土であらゆる被害を引き起こしている。我々は是非とも英雄たる貴殿の助けを借りたいのだが…」
「返事はもう考えて来た。もちろんイエスに決まってる。それに……もしかしたらグメーに会えるかもしれないしな…」
 グメーシスは例外なく危険な精神兵器だ。触れたものは何であれ塩に変えられてしまう。それは機械のゲンダーであっても例外ではない。
 だが別の意味での例外はあった。かつてゲンダーとメイヴが初めて大樹大陸にやってきたとき、二人はその旅の道中で一匹のグメーシスを助けている。そのグメーシスはグメーと名付けられ、彼らの戦いを何度も助けてくれた。グメーはとくにゲンダーによく懐いていたのだ。しかし、そのグメーもHiveMindの一件以来はまったく姿を見せていなかった。
「それでグメーシスの亜種っていうのはどんなやつなんダ? オレは大樹大陸に戻って来たばかりで、まだ見てないんダ」
「ふむ……そうだな。たしかにまずは情報が必要だ。それなら、ちょうどいいものがある」
 彼らは各国の兵士たちから構成される調査団を組織して、大陸全土に出没しているグメーシス亜種のデータを集めようとしているところだった。これが終われば情報が入ってくる。それがあればゲンダーもすぐにグメーシス亜種のことを知ることができるだろう。そして彼らはどう対処するべきかをゲンダーに相談するつもりでいた。
 だがゲンダーはこう言った。
「わかった。じゃあオレもその調査団に同行する」
「な、何を言ってるんだ、ゲンダー!?」
 一番に驚いた声を上げたのはヘルツだった。
「お、やっとしゃべったな。大統領業に疲れて話せなくなったのかと思った」
「おまえはそんなにもボロボロじゃないか! そんな身体で何ができる。無理をしてはいかん。おまえはここで待つべきだ」
「何言ってんダ。実際に見たほうがよくわかるし、そのほうが早いダろ?」
「いいや、ここに残れ。せっかくだからマキナの者に修理してもらうといい。そうするべきだ!」
 実はヘルツもまた寂しかったのだ。
 たしかに共に過ごした時間がそんなに長いわけではなかったが、それでもガイストたちは彼にとっても大切な友だった。そんな友を失って彼も悲しんでいた。だからこそ、これ以上友を失いたくはなかった。ゲンダーが機械だということはよくわかっている。機械は壊れても修理すれば死ぬことはない。だがゲンダーに宿った記憶、精神。それは紛れもなくゲンダーという心だ。たとえそれが蓄積されたただのデータに過ぎないとしても、それは間違いなくゲンダーの心。修理すれば機械の身体は死なないが、記憶がリセットされてしまえばヘルツの知っているゲンダーは死んだも同然なのだ。
 ヘルツは心配していた。グメーシスは機械のゲンダーも例外なく塩にしてしまう。亜種はそれぞれ異なる能力を持つが、それによってゲンダーがやられてしまう可能性がないとも言えない。とくにゲンダーの現状を考えればなおさらだった。
「だからおまえはここに残って修理を…」
「相変わらず頑固だな、ヘルツは。でも駄目ダ。オレはもう旧式すぎて誰にも修理できないってことはオレ自身がよくわかってる。それにオレはじっとしてるよりも動いていたいんダ。そのほうが役に立てるからな」
「ゲンダー…」
 ゲンダーはよく知っていた。自分の身体がもうボロボロだということを。そしてゲンダーは恐れていた。自分の身体が動かなくなることを。一度立ち止まったら、次はもう動けないかもしれない。それをゲンダーは恐れていた。
 彼らの話を聞きながらウォーレンはしばらく考え込んでいたが、ひとつ頷いて言った。
「なるほど、貴殿もなかなか頑固者のようだ。良いだろう、そこまで言うのなら調査団と同行するがいい」
「ウォーレン殿!? だがこいつ……いや、ゲンダーは…!」
「だがひとつだけ約束してくれ。ガイスト博士亡き今、頼りになるのはもはや貴殿だけだ。決して倒れることは許されない。必ず無事に帰ってくると約束してほしい。……できるな?」
 ゲンダーは力強く頷いた。
「わかった。オレは絶対に生きて帰る」
 こうしてグメーシス亜種を調べるための調査団が結成され、ゲンダーもそこに加わり実地調査に臨むことになった。三国からそれぞれ一小隊ずつの三隊が合流して一調査団となる。ゲンダーが所属するのはブラボーチーム。ブラボーは目撃情報に従い南方のフィーティン荒野へと赴く。これまでの情報で攻撃的なグメーシスだということがわかっているため、ブラボーチームにはフィーティンの戦車隊も同行することになっている。
「大丈夫、オレは精神体とも戦った経験があるんダ。オレの必殺技、汁千本で蹴散らしてやるさ」
 その日は調査団の編成と準備に充てられ、翌日メンバーは出発に際して初めて顔を揃えることになった。


 地平線の向こうから太陽が昇り、大樹の陰を明るく照らす。空は快晴、絶好の調査日和だ。
 アルバール公会議場を背景に、ゲンダーは地平線の向こうを見つめて感傷にふけっていた。
「ここはたしか、レティスやブロウティスに初めて襲われたあたりダったな。ってことはガイストクッペルの近くか。メイヴ……それからガイスト……。いろいろ大変なこともあったけど、オレはあのころが一番楽しかったよ…」
 空を見上げてもういない仲間のことを想う。身体はギシギシと音を上げた。
「けど、悲しんでいても何も変わらないよな。今は前を見ないと。さて、そろそろチームの仲間が来る頃ダが…」
 隣ではすでにアルファチームやチャーリーチームが出発して行った。それなのに、ブラボーチームの仲間たちはまだ現れない。
 不思議に思ってアルバールの兵士駐屯所を覗いてみると何やら騒ぎが起きている様子だった。
「な、何をやってんダァ!?」
 そこにはおろおろした様子の兵士たちが輪になって集まり、その中心で三人の男女が口論を飛ばしていた。
「おまえらモタモタしすぎなんじゃねーの!? 俺たちはピクニックに行くんじゃねーぜ!」
「何よ! 荒野なんて行ったら乾燥でお肌が荒れちゃうわ。念入りにケアするのは当然でしょ」
「僕も彼女に同意だね。この美しい僕の髪が傷んでしまっちゃあ、もう人前に顔を出せなくなってしまう」
「Whatever! なんでおまえらみたいなのが兵隊やってんだよ? フィーティンもヴェルスタンドもどうかしてるぜ!」
「はぁ!? なんですって! 祖国を侮辱すんじゃないわよ! あんまり度が過ぎるようならただじゃおかないわよ!!」
「そんなことよりも見たまえよ、僕の髪を。念入りなケアのかいあって、今日も艶やかに輝いている。ああ、なんて美しい…」
(な、なんダこいつら)
 世の中にはいろんなやつがいるというが、こんな兵士がいるなんて、とゲンダーは思った。
「あいつらと一緒のチームのやつは災難ダな」
 戦車隊とは現地で合流することになっている。あまり待たせてしまってはいけない。そこでゲンダーは目の前の騒ぎにはかまわずに、まだ現れない仲間を呼び集めてすぐに出発してしまうことにした。
「まあいいや。それよりも先を急ごう。おーい、ブラボーチームのやつらは何やってんダ!」
 すると周囲に集まっていた兵士たちが「呼んだか」という表情で一斉に振り返った。
 まさかそんな冗談だろう、と思うところにこんどは中央で喧嘩していた三人が近づいてきて次々と挨拶を始める。
(ま、まじかよ…)
 災難なやつ。それは紛れもなく自分であった。

 まず声をかけてきたのは、ヴェルスタンド人の裕福そうな女だ。
「ごきげんうるわしゅう、ゲンダー様。わたしはヴェルスタンド小隊をまとめるシルマと申します。どうぞお見知りおきくださいませ。こうして英雄と名高いあなた様とご同行できるなんて、この上ない光栄ですわ」
「オレのことを知ってるのか」
「ええ、それはもちろん! あなたは大樹大陸を精神体から救った英雄なんでしょう? 今やあなたのことを知らない者はおりませんわ」
「そうか、オレが旅に出ている間にそんなことになっていたんダな。そうダ、オレはゲンダー。よろしくダ」
 握手をしようとゲンダーは右手を伸ばす。が、シルマは苦笑しながら一礼しただけだった。
「ああ、そうか…。気が利かなくてすまない」
 つい最近までゲンダーは旅路にあり、フィーティン王に呼ばれて昨日ここへ来たばかり。その身体は泥と埃にまみれていた。たとえ兵士とは言っても目の前にいるのは女性、それもなかなか気品ある雰囲気だ。そんな彼女がゲンダーに触れるのをためらうのも仕方ないだろう。
 そこでゲンダーは彼女についてふと気になったことを訊いた。
「ところでシルマ。見たところ、おまえはまるでどこかのお嬢様みたいな立ち振る舞いダな。そんなおまえがどうしてヴェルスタンドの兵士なんてやってるんダ? それこそ力仕事しか能のないオレなんかに比べたら、もっと他にも仕事は選べそうなもんダが」
「そ、それは……わたしは祖国が何よりも大好きなんです。そんな祖国の力になりたいからわたしはここにいるんです」
「ふうん…? まぁいいか。オレは大樹大陸で生まれたわけじゃないけど、ここはオレの第二の故郷だと思ってる。そんなこの大陸を守りたいと思ってるのはオレも同じダ。これからよろしく頼む」
「もちろんですわ」
 何か事情があるのだろう。そう察したゲンダーは彼女にあまり深く追求することはやめた。

 次に話しかけてきたのは、フィーティン人の華奢な男だ。
「おやおや、君が噂のゲンダー君だね。僕はフィーティン小隊をまとめているイザールさ。ふーん、英雄って聞いていたけど、あんまり美しいとは言えないねぇ。君は水洗いしても大丈夫なのかい?」
「……大きなお世話ダ」
「そうだ。こうやってちょっと磨けば…」
 言って懐から布切れを取り出すと、ゲンダーの頭を擦ってみせる。すると汚れが落ちて、表面にイザールの顔が映るようになった。
「ほーらこれでいい。これで美しい」
「ああ、すまんな。自分じゃ手が届かなくて…」
「美しい…。君の頭に映った僕の顔……曲面でちょっと歪んで見えるが、それでもなお美しい。はぁ、なんと均整のとれた顔だろう…」
「なんなんダ、こいつは」
 そのままイザールは何度もポーズを変えたりしながら、ゲンダーに映った自分の姿に酔いしれている。まるで話にならなくなってので、ゲンダーは彼について考えることをやめた。

 最後に名乗ったのは、またもやフィーティン人のエネルギッシュな男だ。
「Hey, junkcactus! 俺はエラキス。マキナのガーネットスターとは俺様のことだぜ! 俺たちに同行するってのはおまえのことだな? おめーが英雄だろうがポンコツだろうが俺には関係ねー! 重要なのはクールかどうかってことさ。Stay dench!」
「あ、ああ。ジャンク…? ステイ電池が何ダって」
「Ha-ha! 機械だから電池ってか、こいつは面白いことを言うぜ。少なくともあの二人よりは気が合いそうだ。Have a nice time, ya!」
「駄目ダ。こいつの言ってることはよくわからん」
 今では大樹大陸といえばマキナ、フィーティン、ヴェルスタンドの三国だが、かつて大陸が統一される前はここにも様々な国があり、そして様々な言語が飛び交ったものだ。今となっては誰もが大陸共通語を話すが、地方のほうに行けばこういった昔ながらの言葉が飛び出すこともある。エラキスの話すそれはフィーティンの昔の言葉だ。大樹大陸を旅して回ったことのあるゲンダーは、そういうものが存在するということは知っていたが、もちろんその意味はわからない。
「もしここにメイヴがいてくれたら通訳してくれたダろうに…。頼むからオレにわかる言葉で話してくれ」
「Got it」
「やれやれダ…。ところでマキナって言ったよな。フィーティン人に見えるけど、おまえがマキナの小隊長なのか?」
「Yeah. 知らねえって顔してるから特別に教えてやるが、ガーネットスターってのはフィーティンの誇り高き走り屋のことだぜ。その腕を見込まれて俺はマキナの飛行艇パイロットにスカウトされたってわけさ。もちろん、そこでの俺の通称はガーネットスター! 誰も俺には追いつけねーぜ!」
「はぁ…。まぁ、よろしく頼むダ」


 一通りの挨拶を終えると、調査団ブラボーチーム一行は一路南へ。フィーティンの荒野へ向けて出発した。
 移動はフィーティンの装甲車で行い、ゲンダーたちの乗る車のハンドルを握るのはマキナのエラキスだ。小隊員たちの乗る装甲車が後に続く。
「Here we go! 飛行艇だろうが何だろうが変わんねーぜ。見てな、あくびしてる間に到着しちまうぜ!」
 言ってエラキスは勢いよくアクセルを踏み込んだ。瞬間、エンジンの低いうなり声とともに身体が後方へと引っ張られる。ゲンダーは車内を転がって、後ろに座るシルマにぶつかった。
「キャアッ! き、汚い! わたしに触らないで!!」
 シルマはゲンダーを投げた。ゲンダーは隣のイザールにぶつかった。
「おい、何をするんだ! 僕の顔に傷が付いたらどうする!!」
 イザールはゲンダーを跳ね飛ばした。ゲンダーは窓にぶつかって落ちた。ただえさえボロボロなゲンダーは落ちて使い物にならなくなっ「…てたまるかッ!! なぁ、オレって本当に英雄ってことになってんのか。なんだこの扱い…」
「いやぁ、ごめんよ。それはそれ、これはこれだからさ」
「あ、あら、ごめんなさいね。わたしったらつい…」
 窓の外にはどんどん後方へと流れていく木々が見える。装甲車は森の中の道なき道を走っていた。車体は右へ左へ大きく揺れて、機械であるにも関わらずゲンダーはなにやら気分が悪くなってきたような感じさえする。後方についてきているはずの隊員たちの車は一台も見当たらない。
「Hey hey heeeeey!! バリバリだぜぇー!」
 一方で運転席のエラキスは一人ご機嫌な様子だ。
「お、おい…。ちょっとスピード出しすぎなんじゃないか」
「誰も俺を追い越せない! 追いつけない! 抜けるもんなら抜いてみやがれ! Yeeeee haw!!」
「駄目ダこいつ、まるで聞いてない」
「いーや、聞こえてるぜ。Whassup, bro?」
 言ってエラキスはハンドル片手に身体ごと後方を振り返った。
「おい、何やってんダ! 前を見ろって!!」
 次の瞬間、車は木にぶつかって止まった。
「Shit! やっちまったぜ。空とはどうも勝手が違う。しかし邪魔な木だな……この俺を止めるとはいい度胸だ。トサカに来たぜ、切り倒してやる!」
 イザールの帯剣を奪うとエラキスは外へと飛び出した。何をするんだ、とイザールも後を追う。
「やめろ! せっかくの美しい剣が曲がってしまう! それじゃあ僕の顔が綺麗に映らない!」
 続いてシルマまで車外に飛び出すと、二人とは全く別の方向へとふらふら歩いていこうとする。
「おまえまでどこへ行くんダ!」
「さっき窓から綺麗な泉が見えたのよね。これから荒野に行くんだから、乾燥に備えて水を汲んでおこうと思って…。それにこういう自然の水は美容にも良いって噂よ! さあ、待っててわたしのお水ちゃん」
 止める間もなく、シルマは森の奥へと消えてしまった。背後ではさっそくエラキスとイザールが喧嘩を始めている。
「こ、こんなことで大丈夫なのか?」
 てんでばらばらの惨状にゲンダーは深くため息を吐いた。
 行く先には早くも不安を感じている。だが彼は行かなくてはならない。なぜなら、ゲンダーこそが唯一残されたグメーシス亜種の問題を解決するための最後の頼りだからだ。
 滅茶苦茶な仲間たちとともに、ゲンダーの新たな冒険が始まった。

第一章B 了

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