禁断の華を手折るのならば ◆UdKZwyICZM
動けなかった。
いや、動かなかった。
思いっきり叩きつけられて大きく息を吐き出しこそしたが、その程度で気を失うような鍛え方はしていない。
だから動こうと思えばすぐに動けたんだろうけれど、おれは立ち上がろうだなんて思えなかった。
みっともなく言い訳をしてしまうと、おれは姉ちゃんが怖かった。
だってあんなに怒った姉ちゃんは初めて見る。
だけど、それ以上におれは姉ちゃんがわからなかった。
姉ちゃんがそんなふうに怒ることが。
姉ちゃんがなんで怒っているのか。
姉ちゃんが何に怒っているのか。
姉ちゃんが言っていることが。
姉ちゃんに言われたことが。
おれにはてんでわからなかった。
姉ちゃんだって怒るときは怒る。
幼い頃受けた拷問、じゃなかった、躾を思い出してしまい身震いする。
その躾のときもそうだったけど、姉ちゃんが怒るときはなんというか、静かに怒るんだ。
さっきみたいに力まかせに捩じ伏せようとしたことは一度もなかった。
そもそも姉ちゃんにそんな力はなかった。
それがわからなくて。
それもわからなくて。
わからないことだらけの頭の中で姉ちゃんの言葉だけが残り続けてる。
いや、動かなかった。
思いっきり叩きつけられて大きく息を吐き出しこそしたが、その程度で気を失うような鍛え方はしていない。
だから動こうと思えばすぐに動けたんだろうけれど、おれは立ち上がろうだなんて思えなかった。
みっともなく言い訳をしてしまうと、おれは姉ちゃんが怖かった。
だってあんなに怒った姉ちゃんは初めて見る。
だけど、それ以上におれは姉ちゃんがわからなかった。
姉ちゃんがそんなふうに怒ることが。
姉ちゃんがなんで怒っているのか。
姉ちゃんが何に怒っているのか。
姉ちゃんが言っていることが。
姉ちゃんに言われたことが。
おれにはてんでわからなかった。
姉ちゃんだって怒るときは怒る。
幼い頃受けた拷問、じゃなかった、躾を思い出してしまい身震いする。
その躾のときもそうだったけど、姉ちゃんが怒るときはなんというか、静かに怒るんだ。
さっきみたいに力まかせに捩じ伏せようとしたことは一度もなかった。
そもそも姉ちゃんにそんな力はなかった。
それがわからなくて。
それもわからなくて。
わからないことだらけの頭の中で姉ちゃんの言葉だけが残り続けてる。
「弱くなった」
「もう一度」
「今のあなた」
「もう一度」
「今のあなた」
なんだよ。
まるで一度目があったみたいじゃないか。
強いおれに殺されたとでも言いたげじゃないか。
そんなこと、できるわけがないのに。
強くなることはできても、おれに姉ちゃんを殺せるはずがない。
姉ちゃんの強さはおれが一番よく知っている。
戦い続けられないという弱点なんて、反撃されても死なないやつしか突けない意味のない弱点だ。
そんなやついるわけがない。
もしそんなやつがいたら──いたら、どうしよう?
……やめだ、苦手なことをいつまでもやるもんじゃない。
いくら考えたところでおれにわかるわけがないのだ。
ただでさえ頭の悪いおれがこんなわからないことだらけの中で結論にたどり着けるはずもない。
だったら、いつまでも意味のないことをするわけにもいかないよな。
よし。
考えるのはやめだ。
まるで一度目があったみたいじゃないか。
強いおれに殺されたとでも言いたげじゃないか。
そんなこと、できるわけがないのに。
強くなることはできても、おれに姉ちゃんを殺せるはずがない。
姉ちゃんの強さはおれが一番よく知っている。
戦い続けられないという弱点なんて、反撃されても死なないやつしか突けない意味のない弱点だ。
そんなやついるわけがない。
もしそんなやつがいたら──いたら、どうしよう?
……やめだ、苦手なことをいつまでもやるもんじゃない。
いくら考えたところでおれにわかるわけがないのだ。
ただでさえ頭の悪いおれがこんなわからないことだらけの中で結論にたどり着けるはずもない。
だったら、いつまでも意味のないことをするわけにもいかないよな。
よし。
考えるのはやめだ。
■ ■
姉ちゃんのことを考えるのはやめたとはいえ、とがめをどうやって取り戻すかは考えないといけない。
手っ取り早いのは姉ちゃんに言われた通りに強くなって正攻法で力ずく──できるのか、そんなこと?
錆白兵を倒すのだって島を出て4ヶ月もかかったというのに。
それもおれ一人の力だけじゃなくとがめの奇策あってやっと勝てた相手だ。
姉ちゃんに勝つにはとがめの奇策は絶対だ。
でもとがめの奇策を実行するには姉ちゃんからとがめを取り戻さないといけない。
仮にとがめが奇策を思いついていたところで姉ちゃんに気づかれずおれにだけ伝えるとか、無理だ。
つまり不可能ってことだ。
闇雲に姉ちゃんを追いかけたところで、今度こそおれが殺されておしまいだろう。
それくらいはおれにだってわかる。
となると、おれにできることは一つしかない。
手っ取り早いのは姉ちゃんに言われた通りに強くなって正攻法で力ずく──できるのか、そんなこと?
錆白兵を倒すのだって島を出て4ヶ月もかかったというのに。
それもおれ一人の力だけじゃなくとがめの奇策あってやっと勝てた相手だ。
姉ちゃんに勝つにはとがめの奇策は絶対だ。
でもとがめの奇策を実行するには姉ちゃんからとがめを取り戻さないといけない。
仮にとがめが奇策を思いついていたところで姉ちゃんに気づかれずおれにだけ伝えるとか、無理だ。
つまり不可能ってことだ。
闇雲に姉ちゃんを追いかけたところで、今度こそおれが殺されておしまいだろう。
それくらいはおれにだってわかる。
となると、おれにできることは一つしかない。
おれを使う誰かを探す。
おれはとがめ以外の誰かに使われる。
とがめのために、とがめではない誰かに使われる。
おれはとがめ以外の誰かに使われる。
とがめのために、とがめではない誰かに使われる。
とがめ以外がおれを十全に使えるなんて思っちゃいない。
おれを使いこなすことができるのはとがめだけ、そう信じてる。
だけど、こんな奇っ怪な催しに集められたからには多少はおれを使えるやつもいるんだろう。
例えば、おれの袋の中に入っていた「たぶれっと」とかいう光る板。
真っ暗闇の中では光りすぎて目立つから周りが明るくなってから確かめよう、と二人で決めたそれ。
おれには使い方の検討もつかないそれを、簡単に使いこなせるやつがいるんだろうな。
まあ、道具というのは使われてやっと価値を発揮できるものだ。
それはおれも同じことで、人を斬れない刀に存在価値などないように。
結局のところ、誰でもいいから誰かと出会わなければ状況は進展しないのだ。
獲物として切るにしても、得物として振るってもらうにしても。
んじゃまあそんなところでこんなところだ。
日も出てきたし、いいかげんどこかに向かう頃合いだろう。
山の方と病院とやらの方と、遠くからでも目を引くやたら高い塔と。
ざっくり三方向に候補をまとめたけど、どこに向かったところでおれにとっては大した違いはない。
色々御託は並べたが、正直なところ戦闘になってくれた方が楽だと思ってるくらいだ。
交渉なんて頭を使うこと、おれにできるはずないのに。
もしもそうなってしまったら、と思うとつい口にしてしまった。
おれを使いこなすことができるのはとがめだけ、そう信じてる。
だけど、こんな奇っ怪な催しに集められたからには多少はおれを使えるやつもいるんだろう。
例えば、おれの袋の中に入っていた「たぶれっと」とかいう光る板。
真っ暗闇の中では光りすぎて目立つから周りが明るくなってから確かめよう、と二人で決めたそれ。
おれには使い方の検討もつかないそれを、簡単に使いこなせるやつがいるんだろうな。
まあ、道具というのは使われてやっと価値を発揮できるものだ。
それはおれも同じことで、人を斬れない刀に存在価値などないように。
結局のところ、誰でもいいから誰かと出会わなければ状況は進展しないのだ。
獲物として切るにしても、得物として振るってもらうにしても。
んじゃまあそんなところでこんなところだ。
日も出てきたし、いいかげんどこかに向かう頃合いだろう。
山の方と病院とやらの方と、遠くからでも目を引くやたら高い塔と。
ざっくり三方向に候補をまとめたけど、どこに向かったところでおれにとっては大した違いはない。
色々御託は並べたが、正直なところ戦闘になってくれた方が楽だと思ってるくらいだ。
交渉なんて頭を使うこと、おれにできるはずないのに。
もしもそうなってしまったら、と思うとつい口にしてしまった。
「めんどうだ」
と。
【C-7/1日目・早朝】
【鑢七花@刀語】
[状態]:健康
[道具]:基本支給品一式、アンデルセンのタブレット@Fate/Grand Order、ランダム支給品0~1(確認済)
[思考・状況]
基本方針:姉ちゃんからとがめを取り戻す。姉ちゃんから。あの姉ちゃんから……
1:おれの持ち主を探す。とがめ以外の、持ち主を。
2:山と病院と高い塔、どこに向かおう。
3:いっぱい考えて、疲れた。
4:姉ちゃん……
[備考]
※作品前半、とがめの髪がまだ長い頃。5話より前
【鑢七花@刀語】
[状態]:健康
[道具]:基本支給品一式、アンデルセンのタブレット@Fate/Grand Order、ランダム支給品0~1(確認済)
[思考・状況]
基本方針:姉ちゃんからとがめを取り戻す。姉ちゃんから。あの姉ちゃんから……
1:おれの持ち主を探す。とがめ以外の、持ち主を。
2:山と病院と高い塔、どこに向かおう。
3:いっぱい考えて、疲れた。
4:姉ちゃん……
[備考]
※作品前半、とがめの髪がまだ長い頃。5話より前
【支給品紹介】
【アンデルセンのタブレット@Fate/Grand Order】
本人いわく「俺も物書きの端くれ、きっちり流行りものは押さえておくのさ」とのこと。
執筆用なので謎の光弾が出たりはしない。
何かしらのアプリはインストールされているようだが詳細は不明。
本人いわく「俺も物書きの端くれ、きっちり流行りものは押さえておくのさ」とのこと。
執筆用なので謎の光弾が出たりはしない。
何かしらのアプリはインストールされているようだが詳細は不明。
| 前話 | お名前 | 次話 |
| 姉弟 | 鑢七花 | それを知らず |