壊音 ◆0zvBiGoI0k
◀ ▷
【愛月しの】
「――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――、あ?」
◀ ▷
放送が終わった。
企画の恙ない進行を知らせるカウントダウン。
嗤うように、嘲るように、煽るように、戯けるように。
BBの過度にまで甘辛い声は参加者に遍く届いた。
殺し合いの打破を目指す者も。陽光の届かない夜闇に潜む者も。ただ生きる事を望む者も。
そして無論、不死なる者にも、例外なく。
企画の恙ない進行を知らせるカウントダウン。
嗤うように、嘲るように、煽るように、戯けるように。
BBの過度にまで甘辛い声は参加者に遍く届いた。
殺し合いの打破を目指す者も。陽光の届かない夜闇に潜む者も。ただ生きる事を望む者も。
そして無論、不死なる者にも、例外なく。
「よしと。それじゃあやるか」
放送の内容をチェックし終えたハンチング帽を被った男は気軽にそう言った。
休み時間を告げるチャイムが鳴ったから昼食でも買ってこよう、ぐらいの気軽さだった。
事実、上手い飯屋を探すのも爆撃をかますのも、佐藤には大差ない。思わぬ穴場を見つけた喜びと、標的を上手に粉砕出来た喜びにも違いがないように。
この殺し合いが始まってから数時間。まず間違いなく最も現状を楽しんでいる参加者の一人だった。
休み時間を告げるチャイムが鳴ったから昼食でも買ってこよう、ぐらいの気軽さだった。
事実、上手い飯屋を探すのも爆撃をかますのも、佐藤には大差ない。思わぬ穴場を見つけた喜びと、標的を上手に粉砕出来た喜びにも違いがないように。
この殺し合いが始まってから数時間。まず間違いなく最も現状を楽しんでいる参加者の一人だった。
「永井君は呼ばれてなくてよかったよかった。ここじゃ唯一の知り合いだからねえ。
まあ僕ら死なないんだけどね」
まあ僕ら死なないんだけどね」
直接見知った、どころか直に殺し合った仲の相手の無事をひとまず喜ぶ。
まだまだ未確認の相手が多い状況で、一人確かに自分を狙いに来る敵がいるのは程よいスリルを与えてくれる。
こうしてのほほんとマンション爆破を目論んでる最中にも、佐藤を仕留める算段を立ててるのかもしれないのだ。そう思えばこそやる気も湧いてくる。
なので佐藤は呼ばれた名前や、放送の内容をさして気に留めてなかった。せいぜいが入った時点で強制的に首輪を爆破させられるという禁止エリアくらいだ。
首が飛んだ程度で亜人は死なないが、そこはあのBBという少女がなにか仕掛けを施しているだろう。
例えば、エリア内で連続して首が爆破されるようになっていたとすれば、これは成す術がない。
まだまだ未確認の相手が多い状況で、一人確かに自分を狙いに来る敵がいるのは程よいスリルを与えてくれる。
こうしてのほほんとマンション爆破を目論んでる最中にも、佐藤を仕留める算段を立ててるのかもしれないのだ。そう思えばこそやる気も湧いてくる。
なので佐藤は呼ばれた名前や、放送の内容をさして気に留めてなかった。せいぜいが入った時点で強制的に首輪を爆破させられるという禁止エリアくらいだ。
首が飛んだ程度で亜人は死なないが、そこはあのBBという少女がなにか仕掛けを施しているだろう。
例えば、エリア内で連続して首が爆破されるようになっていたとすれば、これは成す術がない。
とはいえ、呼ばれていたらそれはそれでまた面白かっただろう。
死なない人間。自分と同じ、完全な不死身とされる亜人の名前が呼ばれる。
それは今まで信じ切っていた亜人の不死性が絶対でないという事実に繋がる。
殺さずに亜人を無力化させる方法、それもあるにhある。
それが決まった場合にも名を挙げるのかもしれないが、もし本当に殺せるのだとしたら。
ゲームの難易度は一気に上がる。コインを入れてもコンティニューのきかない一回勝負。これまでにないVERY HARDなモードだ。
死なない人間。自分と同じ、完全な不死身とされる亜人の名前が呼ばれる。
それは今まで信じ切っていた亜人の不死性が絶対でないという事実に繋がる。
殺さずに亜人を無力化させる方法、それもあるにhある。
それが決まった場合にも名を挙げるのかもしれないが、もし本当に殺せるのだとしたら。
ゲームの難易度は一気に上がる。コインを入れてもコンティニューのきかない一回勝負。これまでにないVERY HARDなモードだ。
それはきっと、楽しいだろう。乗り越えたクリアの達成感は素晴らしいものとなるだろう。
楽しいと。そう思う以外、何も浮かばない。
つまりどう転んでも、佐藤にとっては吉報でしかない。
楽しいと。そう思う以外、何も浮かばない。
つまりどう転んでも、佐藤にとっては吉報でしかない。
「そんなわけで、景気づけに一発いってみようかな」
ポケットから取り出した牛の文様の入った緑の小箱、ゾルダのデッキをサイドミラーに向けて掲げる。
鏡面に映し出された佐藤の腰にベルトが装着される。何度見ても不思議な現象だが特に気にしてない。
あとは真ん中の空白にデッキを挿し込めば変身は完了する。が、その前にやっておきたい事があった。
せっかく変身ヒーローになれるのだ。ゲームよろしく決まったポーズなんかも入れたくなるのが男だというものだ。
『特に必要ありませんが、思い思いの最高にカッコイイポーズを決めちゃってください♪アナタの胸の厨ニ力(コスモ)を燃やせ!』
説明書にもわざわざ書かれていたし、どうせなら気分よく決めたい。そのために結構拘って考案してみたりしたのだ。
鏡面に映し出された佐藤の腰にベルトが装着される。何度見ても不思議な現象だが特に気にしてない。
あとは真ん中の空白にデッキを挿し込めば変身は完了する。が、その前にやっておきたい事があった。
せっかく変身ヒーローになれるのだ。ゲームよろしく決まったポーズなんかも入れたくなるのが男だというものだ。
『特に必要ありませんが、思い思いの最高にカッコイイポーズを決めちゃってください♪アナタの胸の厨ニ力(コスモ)を燃やせ!』
説明書にもわざわざ書かれていたし、どうせなら気分よく決めたい。そのために結構拘って考案してみたりしたのだ。
「変し――――――お?」
渾身の構えを取りいざ―――というところで、前方の動く影に咄嗟に中断してしまう。
放送といい、どうもさっきから決めさせてくれないようだ。
放送といい、どうもさっきから決めさせてくれないようだ。
ふらふらとおぼつかない足取りで、佐藤に気づいてもないのか無防備に近づいてくる。
佐藤との距離は20メートルもない。遮蔽物なし、逸れる横道もない路地での正面からの対峙。
銃弾の有効範囲。握った刃を飛びかかって振るう間合い。
命のやり取りが行われる領域(ライン)に、完全に足を踏み入れている。
佐藤との距離は20メートルもない。遮蔽物なし、逸れる横道もない路地での正面からの対峙。
銃弾の有効範囲。握った刃を飛びかかって振るう間合い。
命のやり取りが行われる領域(ライン)に、完全に足を踏み入れている。
「――――――、――――――――――――――…………」
それでも一向に反応はない。
距離が狭まってきて、ぶつぶつと、口から漏れ出る言葉が聞こえてくる。
距離が狭まってきて、ぶつぶつと、口から漏れ出る言葉が聞こえてくる。
「…終わりだ…………………………なにもかも、全て…………………………ぜんぶ……………………………………」
意味など無い、壊れたゲーム機が同じセリフを繰り返してるみたいだと佐藤は思った。
白髪の少年の容姿は、佐藤が記憶しているマンションで見かけた先客と一致していた。
そして少年の様子にも、佐藤は思い当たる節があった。
だから思った。よくあることだ、と。
白髪の少年の容姿は、佐藤が記憶しているマンションで見かけた先客と一致していた。
そして少年の様子にも、佐藤は思い当たる節があった。
だから思った。よくあることだ、と。
このまま撃ってもよかった。
見るからに隙だらけで、誘ってるでもない。変身するまでもなく、生身のまま刀で首を落とせた。
見るからに隙だらけで、誘ってるでもない。変身するまでもなく、生身のまま刀で首を落とせた。
「やあ。お互い大変な催しに巻き込まれて災難だね」
だが佐藤は撃たずに、声をかけた。
それは打算や情に基づくものでなく、やはり駅の待ち合わせ場所で隣り合う他人に声をかけてみたような気まぐれだった。
それは打算や情に基づくものでなく、やはり駅の待ち合わせ場所で隣り合う他人に声をかけてみたような気まぐれだった。
佐藤が声をかけて、ようやく少年は気づいたのか視線を向けた。
死んでいる眼だ。こちらに関心を持ったのではなく外からの刺激に反射的に動いただけ。佐藤の予想通りだ。
死んでいる眼だ。こちらに関心を持ったのではなく外からの刺激に反射的に動いただけ。佐藤の予想通りだ。
「僕さ、これからさ。あのマンションを壊そうと思ってるんだよ。
で物は試しなんだけど、君、爆弾とかそういうの持ってないかな?」
で物は試しなんだけど、君、爆弾とかそういうの持ってないかな?」
事も無げに放たれた物騒極まりない発言を、少年は一切の反応も見せず俯いたままで無視している。
やがて肩にずりさげていったデイバッグを逆さに掲げ、内容物を地面に無造作に落とした。
やがて肩にずりさげていったデイバッグを逆さに掲げ、内容物を地面に無造作に落とした。
「おお。言ってみるもんだね」
言い出しっぺの佐藤にしても、まさか本気で期待したわけでもないだけに意外な声を漏らす。
果たして、中身は佐藤が言ったままの品であった。
どこの誰がどう見ようとも爆弾としか言えない造形のそれが束になって纏められている。
間違っても投げ捨てていい代物ではないのだが、当人には誤爆する危険性すら思考に入ってないのだろう。
一応妙な動きをしないよう意識を向けつつ爆弾を確認する。
果たして、中身は佐藤が言ったままの品であった。
どこの誰がどう見ようとも爆弾としか言えない造形のそれが束になって纏められている。
間違っても投げ捨てていい代物ではないのだが、当人には誤爆する危険性すら思考に入ってないのだろう。
一応妙な動きをしないよう意識を向けつつ爆弾を確認する。
「うん、本物だね。質もいい。
しっかしこの量、下手したら都市区画ひとつ吹っ飛ばせるだけないか?インフレさせ過ぎじゃないかな」
しっかしこの量、下手したら都市区画ひとつ吹っ飛ばせるだけないか?インフレさせ過ぎじゃないかな」
佐藤に支給されたゾルダといい、どうもBBはこのゲームのパワーバランスというものをはじめから投げ捨ててるらしい。
あるいは、これだけ投入してなお拮抗するだけのバランス、とも言えるが。
ともあれこれだけの爆弾とゾルダの火力。【セレモニー】はより派手になるだろう。
爆破のプランを脳内で上方修正してるところで、自分から遠ざかる足音を拾った。
あるいは、これだけ投入してなお拮抗するだけのバランス、とも言えるが。
ともあれこれだけの爆弾とゾルダの火力。【セレモニー】はより派手になるだろう。
爆破のプランを脳内で上方修正してるところで、自分から遠ざかる足音を拾った。
「おや、行くのかい。折角だから見ていけばいいのに。今なら特等席も空けとくよ」
背中にそう呼びかけてもやはり返ってくるものはなく。ただ代わりに呪言めいたうわ言だけが掠れて聞こえた。
「……も……う………………もう…………どうでもいい…………全てが…………」
よくあることだ。
特殊部隊の軍人として幾多の戦場を渡り歩いた経験のある佐藤にとって、戦場で心神喪失に至った人間を見る機会は扱った銃器の数より多い。
放送後のタイミング、死者の情報。こうなるに至った経緯を推し量るのは容易い。
物質的、精神的に守るものを失った瞬間の人間の隙は致命的に膨大であり、作戦中にそれを狙ったことも少なからずある。
その点で言えばこの子は最早抜け殻だ。恐らく現時点でどんな弱小な参加者よりも死に瀕している。
不死身の亜人ですら精神的な死を迎える。いわんや普通の人間では。
特殊部隊の軍人として幾多の戦場を渡り歩いた経験のある佐藤にとって、戦場で心神喪失に至った人間を見る機会は扱った銃器の数より多い。
放送後のタイミング、死者の情報。こうなるに至った経緯を推し量るのは容易い。
物質的、精神的に守るものを失った瞬間の人間の隙は致命的に膨大であり、作戦中にそれを狙ったことも少なからずある。
その点で言えばこの子は最早抜け殻だ。恐らく現時点でどんな弱小な参加者よりも死に瀕している。
不死身の亜人ですら精神的な死を迎える。いわんや普通の人間では。
ならばとっとと始末してしまえばいいのだが、今の佐藤はどうもその気が向かないでいた。
スコアが低すぎて物足りないのもある。爆弾を無償でくれた手前、恩もないでもない。
佐藤が殺さない理由。それは―――
スコアが低すぎて物足りないのもある。爆弾を無償でくれた手前、恩もないでもない。
佐藤が殺さない理由。それは―――
「まあ爆発を見た君の友達が近寄ってくるかもしれないし、適当に見ておいてくれればいいよ」
その佐藤の言葉のどこに意味を見出したのか、はじめて少年は人間らしい反応をした。
立ち止まり、佐藤に振り向き―――だが結局思い直して再び目を背け視線を虚空に据えて歩き出した。
立ち止まり、佐藤に振り向き―――だが結局思い直して再び目を背け視線を虚空に据えて歩き出した。
「なんだ、まだまだいけそうじゃないか」
あの子供。
抜け殻ではあるが、ただの学生、というわけではなさそうだ。
根拠のない、いわば兵士やテロリストとして生きてきた直感だが、自分のこういうのは大抵当たる。
抜け殻ではあるが、ただの学生、というわけではなさそうだ。
根拠のない、いわば兵士やテロリストとして生きてきた直感だが、自分のこういうのは大抵当たる。
分かるのだ。佐藤には、あの子の眼を見た瞬間に。
あの眼は、人殺しの眼だ。
殺人者の眼だ。
肉体に染み付いてどうしようもなく離れない、多量に浴びた血の匂いを嗅ぎ取っていた。
いま自分をはっきりと捉えた時の眼が、放送が始まる前の彼本来の表情(かお)だ。
自分の台詞に反応した部分を見るに、どうやらまだ火種があれば燃え上がってくれそうだ。
せめてものお礼に、火はこちらで用意してあげるとしよう。そして大いに炎上してくれればいい。
乱戦混戦大入り結構。
呼び水であろうと、火に飛び込む虫であろうとも。
戦場に集まるプレイヤーは、多いに越したことはないのだから。
あの眼は、人殺しの眼だ。
殺人者の眼だ。
肉体に染み付いてどうしようもなく離れない、多量に浴びた血の匂いを嗅ぎ取っていた。
いま自分をはっきりと捉えた時の眼が、放送が始まる前の彼本来の表情(かお)だ。
自分の台詞に反応した部分を見るに、どうやらまだ火種があれば燃え上がってくれそうだ。
せめてものお礼に、火はこちらで用意してあげるとしよう。そして大いに炎上してくれればいい。
乱戦混戦大入り結構。
呼び水であろうと、火に飛び込む虫であろうとも。
戦場に集まるプレイヤーは、多いに越したことはないのだから。
「あそこで見た時に声をかけておけばよかったよ。まともに話せてたら気が合いそうだったのに。
まあNPCを上手く使うのもゲームの醍醐味だよね。経験値泥棒されても困るし適当なところで退場して欲しいけど」
まあNPCを上手く使うのもゲームの醍醐味だよね。経験値泥棒されても困るし適当なところで退場して欲しいけど」
【E-7/PENTAGON付近/1日目・朝】
【佐藤@亜人】
[状態]:健康
[装備]:ゾルダのデッキ@仮面ライダー龍騎、無名街爆破セレモニーで使用された爆弾@HiGH&LOW
[道具]:基本支給品一式、日本刀@現実
[思考・状況]
基本方針:ゲームに乗る。
1.PENTAGONが勝つか、花火が勝つか、実験だよ実験。その前に爆弾設置しとこ。
2. 飛んでいたライダーに興味。
3. PENTAGONの前でふたりの参加者を殺した犯人に興味。
[備考]
※少なくとも原作8巻、ビル攻防戦終了後からの参戦
※亜人の蘇生能力になんらかの制限があるのではないかと考えています。
※IBMを使用しました。使用に関する制限は後の書き手さんにお任せします。
※ゾルダに変身している間はIBMも強化されるようです。
※変身中に限りIBMを二回以上出せるようです、どれ程出せるかは後続の書き手氏にお任せします。
※飛行中の龍騎の姿を確認しました。
[状態]:健康
[装備]:ゾルダのデッキ@仮面ライダー龍騎、無名街爆破セレモニーで使用された爆弾@HiGH&LOW
[道具]:基本支給品一式、日本刀@現実
[思考・状況]
基本方針:ゲームに乗る。
1.PENTAGONが勝つか、花火が勝つか、実験だよ実験。その前に爆弾設置しとこ。
2. 飛んでいたライダーに興味。
3. PENTAGONの前でふたりの参加者を殺した犯人に興味。
[備考]
※少なくとも原作8巻、ビル攻防戦終了後からの参戦
※亜人の蘇生能力になんらかの制限があるのではないかと考えています。
※IBMを使用しました。使用に関する制限は後の書き手さんにお任せします。
※ゾルダに変身している間はIBMも強化されるようです。
※変身中に限りIBMを二回以上出せるようです、どれ程出せるかは後続の書き手氏にお任せします。
※飛行中の龍騎の姿を確認しました。
◀ ▷
朝の日差しに晒された総身を焼いて熔かす。なんでもない、爽やかとすらいえる気候なのに炎天下の砂漠に置かれたようだ。
鉛になった体は重く、鈍く、思うように動かない。極寒の氷山で遭難し手足の末端が壊死しているのと大差がない。
だが何よりも頭が痛い。頭蓋がハンマーで何度も叩かれたみたいに激しい衝撃が止まらない。
脳が思考を拒絶している。考えることは死ぬと生物的な本能だけで縛り上げている。
鉛になった体は重く、鈍く、思うように動かない。極寒の氷山で遭難し手足の末端が壊死しているのと大差がない。
だが何よりも頭が痛い。頭蓋がハンマーで何度も叩かれたみたいに激しい衝撃が止まらない。
脳が思考を拒絶している。考えることは死ぬと生物的な本能だけで縛り上げている。
なのに頭は考えていた。
痛いのに、嫌なのに、どうしても考えるしか出来なかった。
染み付いた勉学の習慣の弊害といえた。精神を蝕む思考を放り投げる選択こそが、皇城ジウそのものを捨てる行為に他ならなかった。
痛いのに、嫌なのに、どうしても考えるしか出来なかった。
染み付いた勉学の習慣の弊害といえた。精神を蝕む思考を放り投げる選択こそが、皇城ジウそのものを捨てる行為に他ならなかった。
愛月しのが、ジウがただひとり生かすと決めた最愛の人が、ジウより先に死んでいた。
なぜ。
なぜ死んだ。
死ななければいけない理由などないはずだ。
なぜ彼女だけが殺されたのか。
優しく、人を害するような考えを持ちようがないしのが。
ミクニより、姉切より、クロオより、猛田すらもが生きていながら、どうして。
なぜ死んだ。
死ななければいけない理由などないはずだ。
なぜ彼女だけが殺されたのか。
優しく、人を害するような考えを持ちようがないしのが。
ミクニより、姉切より、クロオより、猛田すらもが生きていながら、どうして。
答えなど出ようがない。理由なんてわかるはずもない。
だが原因はわかる。
これが殺し合いだからだ。
愛を図るラブデスター実験でなく、ただただ命を取り合う暴力的な機構に囚われていたからだ。
自分に落ち度はない。
ジウがたまたま運良く中野四葉を殺したように。
しのはたまたま運悪く悪意ある誰かによって食い物にされた、だけ。
だが原因はわかる。
これが殺し合いだからだ。
愛を図るラブデスター実験でなく、ただただ命を取り合う暴力的な機構に囚われていたからだ。
自分に落ち度はない。
ジウがたまたま運良く中野四葉を殺したように。
しのはたまたま運悪く悪意ある誰かによって食い物にされた、だけ。
自分は何をしているのか。何がしたかったのか?
ただ放送で名前を呼ばれただけで、これまでジウが築き、あるいは捨ててまで手に入れた力が、意志が、木っ端微塵に砕け散らされた感触だけがあった。
守る人がいないままに殺し、理由がないままに戦うなんてそんなのはただの殺人者じゃ―――
ただ放送で名前を呼ばれただけで、これまでジウが築き、あるいは捨ててまで手に入れた力が、意志が、木っ端微塵に砕け散らされた感触だけがあった。
守る人がいないままに殺し、理由がないままに戦うなんてそんなのはただの殺人者じゃ―――
【あら、何を言ってるのかしら?】
【アナタはもうとっくの昔に人殺しでしょう?】
地の底から這い出てきた亡者じみた声が、背中のすぐ後ろからした。
ありえない幻聴に心臓が跳ね回る。
もう見えなくなったはずだ。とっくに聞こえなくなっていたはずだ。信じてきた人の決定的な断絶を突きつけられたあの時から。
なのにどうして今更、こんなモノが出てくるのか。
もう見えなくなったはずだ。とっくに聞こえなくなっていたはずだ。信じてきた人の決定的な断絶を突きつけられたあの時から。
なのにどうして今更、こんなモノが出てくるのか。
【理由なんていいじゃない】
【誰かなんていらないじゃない】
【アナタはただの醜い人殺し】
【言葉通りの女殺し】
【好きだった子の気持ちなんてもう無くなって、殺すだけしか無くなった哀れなお人形】
【滑稽ネ】
【愉快ダワ】
【誰かなんていらないじゃない】
【アナタはただの醜い人殺し】
【言葉通りの女殺し】
【好きだった子の気持ちなんてもう無くなって、殺すだけしか無くなった哀れなお人形】
【滑稽ネ】
【愉快ダワ】
うるさい。黙れ。消えろ。
もうお前達のことなんてどうでもいい。そのゲラゲラした笑いを止めろ。
もうお前達のことなんてどうでもいい。そのゲラゲラした笑いを止めろ。
デイバッグから千刀を引き抜く。
躊躇などするはずもない。仮想空間で憶えた技量のまま振り向きざまに亡霊の頸を両断しようと――――――
躊躇などするはずもない。仮想空間で憶えた技量のまま振り向きざまに亡霊の頸を両断しようと――――――
【ほら】
【新しい子が来たわよ】
【新しい子が来たわよ】
振り向いた先に
いた。
黒い孔が空いてた。
それはいわば、人体を丸ごと使った工芸品だった。
スプーンでごっそりとくり抜いたような跡の、闇の虚。
顎はない。喉はない。胸もない。
人間の輪郭は、手足があることと髪に結ばれたリボンぐらいだ。
それはいわば、人体を丸ごと使った工芸品だった。
スプーンでごっそりとくり抜いたような跡の、闇の虚。
顎はない。喉はない。胸もない。
人間の輪郭は、手足があることと髪に結ばれたリボンぐらいだ。
【■、■■■■■■■】
もがもがと、口裂けを超えた大口の化物の全身が震えた。
それが言葉だと知っているのはジウしかいなかった。
それが言葉だと知っているのはジウしかいなかった。
わ、凄いですねこれ
「■■■■■■■■■■■■■―――――――――――――――――――!!!!」
化物に負けず劣らずに口を限界まで広げて、ジウは絶叫した。
【E-7/PENTAGON付近/1日目・朝】
【皇城ジウ@ラブデスター】
[状態]:精神的ダメージ(???)、幻覚・幻聴
[装備]:千刀・『鎩』@刀語
[道具]:基本支給品一式、救急キット@Fate/Grand Order、ネクタール・ボンボン@Fate/Grand Order、ランダム支給品0~1(前述のものと合わせて支給品が合計3つ以下に見える状態)
[思考・状況]
基本方針:――――――――――
?:?????????????
[備考]
※参戦時期は細川ひさこの仮想空間(新選組のやつ)から帰還してミクニを殺害するまでの間です。
※中野四葉から彼女の知り合いについて話を聞きました。少なくとも林間学校以降の時系列のものです。
【皇城ジウ@ラブデスター】
[状態]:精神的ダメージ(???)、幻覚・幻聴
[装備]:千刀・『鎩』@刀語
[道具]:基本支給品一式、救急キット@Fate/Grand Order、ネクタール・ボンボン@Fate/Grand Order、ランダム支給品0~1(前述のものと合わせて支給品が合計3つ以下に見える状態)
[思考・状況]
基本方針:――――――――――
?:?????????????
[備考]
※参戦時期は細川ひさこの仮想空間(新選組のやつ)から帰還してミクニを殺害するまでの間です。
※中野四葉から彼女の知り合いについて話を聞きました。少なくとも林間学校以降の時系列のものです。
| 前話 | お名前 | 次話 |
| マジでXXする五秒前 | 佐藤 | 「衝戟に備えろ」 |
| 皇城ジウは知らない | 皇城ジウ | だんだん遠くなってく君を追いかけていく |