常識的に考えて ◆ruUfluZk5M
「死んだか、人間ども」
あっちへフラフラ、こっちへフラフラと谷底を散策しながら能天気に全裸で歩く吸血鬼……雅はまあそうだろうな、とでも言いたげに呟いた。
放送を聞いて。名簿での「雅」や「宮本明」のそばにある名前の順序から類推できる、自分の世界から共に連れてこられたであろう……見覚えの無い名。
恐らくは名を知らぬだけで、明の仲間か何かだろう。それらの脱落が確認されたのだ。
雅にとってその死自体にはなんの感慨もない。
むしろ無惨や煉獄と言った者が呼ばれていない事実の方にこそ、期待と納得を覚えていた。
あっちへフラフラ、こっちへフラフラと谷底を散策しながら能天気に全裸で歩く吸血鬼……雅はまあそうだろうな、とでも言いたげに呟いた。
放送を聞いて。名簿での「雅」や「宮本明」のそばにある名前の順序から類推できる、自分の世界から共に連れてこられたであろう……見覚えの無い名。
恐らくは名を知らぬだけで、明の仲間か何かだろう。それらの脱落が確認されたのだ。
雅にとってその死自体にはなんの感慨もない。
むしろ無惨や煉獄と言った者が呼ばれていない事実の方にこそ、期待と納得を覚えていた。
「ノリの良い女は嫌いではないが――しかしなぜBBも私の世界からゴミのような人間をわざわざ選んだのだろうな。明を奮起させるためか……?
確かに金剛や斧神を連れてきてしまうと、いささか私に有利すぎるだろうが。なら邪鬼の十体もそこらへんに野生させておけばもう少し面白かっただろうに」
まるでゲームをやる友人のプレイスタイルに対し、ふざけつつも少し辛口で評するかのように、BBの采配に疑問を抱く雅。
BB当人が聞けば『それを「面白い」と考える感性はあなただけだと思いまーす!』とでも自分を棚にあげてつっこむであろう言葉だ。
確かに金剛や斧神を連れてきてしまうと、いささか私に有利すぎるだろうが。なら邪鬼の十体もそこらへんに野生させておけばもう少し面白かっただろうに」
まるでゲームをやる友人のプレイスタイルに対し、ふざけつつも少し辛口で評するかのように、BBの采配に疑問を抱く雅。
BB当人が聞けば『それを「面白い」と考える感性はあなただけだと思いまーす!』とでも自分を棚にあげてつっこむであろう言葉だ。
にしても、やはり不死でない人の身にも関わらず生死の境界を幾度となく越えられるのは明だけか――と雅は再認する。
あらゆる条理を踏破し、その道を遮るいかなる存在をも叩き斬る男。
技を超えた理不尽。
生命を超えた執念。
動けぬハズなのに動く。戦えぬハズなのに戦う。邪鬼よりもなお地獄の悪鬼のような救世主、それが宮本明。
「私を本当に楽しませられるのは……お前だけなのだろうな、明」
自身を憎悪し、その存在を揺るがしかねない男を雅はまるで、旧友でも思い返すように噛みしめる。
あらゆる条理を踏破し、その道を遮るいかなる存在をも叩き斬る男。
技を超えた理不尽。
生命を超えた執念。
動けぬハズなのに動く。戦えぬハズなのに戦う。邪鬼よりもなお地獄の悪鬼のような救世主、それが宮本明。
「私を本当に楽しませられるのは……お前だけなのだろうな、明」
自身を憎悪し、その存在を揺るがしかねない男を雅はまるで、旧友でも思い返すように噛みしめる。
このように今まで出会った強者や黒幕を認めてはいるが、雅は別段謙虚というわけではない。むしろ傲慢にも己こそ全ての生命の頂点と考えている。
雅は力を欲する。
雅は権威を欲する。
雅は強敵を求める。
雅は不死を求める。
雅は女色を好む。
雅は座興を好む。
雅は人を厭う。
雅は退屈を厭う。
そして――雅は時に人を愉快に思う。
雅は権威を欲する。
雅は強敵を求める。
雅は不死を求める。
雅は女色を好む。
雅は座興を好む。
雅は人を厭う。
雅は退屈を厭う。
そして――雅は時に人を愉快に思う。
それら全てに矛盾は無い。要は雅にとって面白いことがあって、なおかつ自分が君臨できればそれでよいのだ。
極端な話、時には己が生命すら楽しむためのオモチャに過ぎない。
無論雅は人を嫌ってはいる。纏めて病も苦しみからも縁遠い自由な吸血鬼にでもなってしまえと考えている。
だが人の中に面白い敵がいるに越したことは無い。
極端な話、時には己が生命すら楽しむためのオモチャに過ぎない。
無論雅は人を嫌ってはいる。纏めて病も苦しみからも縁遠い自由な吸血鬼にでもなってしまえと考えている。
だが人の中に面白い敵がいるに越したことは無い。
俗物にして超越的。小物にして鷹揚。短気なようでいて神経が図太い。それ故に雅の行動を完全に予測しきる事は誰にも――あるいはおそらく神にすらできない。
だから雅は特に意味なくぶらぶら散歩をするし、気分次第で湧水でも飲む。人も喰らう。
戦いの最中うっかり滑って転びもする。あるいは異常な強さと冴えであっさりと人間側の色々な作戦をひっくり返す。
どうしようもなく大雑把で適当なところを見せ苦悶と激昂の醜態をさらしたかと思えば、
吸血蚊を培養し国家単位で吸血鬼を蔓延させるなど、悪辣にして凶悪な策をさらりと実行せしめる。
戦いの最中うっかり滑って転びもする。あるいは異常な強さと冴えであっさりと人間側の色々な作戦をひっくり返す。
どうしようもなく大雑把で適当なところを見せ苦悶と激昂の醜態をさらしたかと思えば、
吸血蚊を培養し国家単位で吸血鬼を蔓延させるなど、悪辣にして凶悪な策をさらりと実行せしめる。
その雅が今は何を考えているかと言うと。思索にふけっては谷を見回し……少し、この殺し合いに対して呆れていた。
「大体けち臭いぞ、BB。見た限りロクに刀すら無いとは――不可思議な支給品でそこはハンデや殺し合いが進むよう差異を付けているのだろうが」
殺し合いが始まってから放送になるまで色々と練り歩いたが、まだ刀剣のひとつも見つけられない。
この時点で雅からすると「しけている」と言うほかなかった。
「大体けち臭いぞ、BB。見た限りロクに刀すら無いとは――不可思議な支給品でそこはハンデや殺し合いが進むよう差異を付けているのだろうが」
殺し合いが始まってから放送になるまで色々と練り歩いたが、まだ刀剣のひとつも見つけられない。
この時点で雅からすると「しけている」と言うほかなかった。
彼岸島ならば、少なくともそこらへんの民家や施設や谷底にはそういった武器に使える物がごく普通にあったものである。
「いや、本気で殺し合いをさせる気があるのか? あの女……」
己に支給されたこのガトリングガンも趣向としてはそれなりに面白いと言えば面白い。
が、アマルガムの真骨頂は大体がもっと直接的な武具を使ってこそ発揮される。
己に支給されたこのガトリングガンも趣向としてはそれなりに面白いと言えば面白い。
が、アマルガムの真骨頂は大体がもっと直接的な武具を使ってこそ発揮される。
アマルガムとは、吸血鬼が更に別の吸血鬼の血を取り込んだ混血種。
ほとんどの個体は失敗し巨体の化物たる知性無き「邪鬼」と化す。
だが僅か1%未満の確率を潜り抜けた個体は、知性と人に近しい体格を保ちつつも、特殊能力と剛力を兼ね備えた異形の吸血鬼として覚醒する。
雅もそのアマルガムが一人にして先駆けである。
ただ巨体と獣性のみの怪物然とした邪鬼と違い、アマルガムは特殊能力の他にも人を超越した膂力と知性、技巧を保つ。
つまりは凶器――鈍器や刃物を用いることで更に凶悪な威力の攻撃を可能とするのだ。
雅自身、鉄扇を使った際の戦闘力は時に刀を使う宮本明すら圧倒するほど、常軌を逸していた。
ほとんどの個体は失敗し巨体の化物たる知性無き「邪鬼」と化す。
だが僅か1%未満の確率を潜り抜けた個体は、知性と人に近しい体格を保ちつつも、特殊能力と剛力を兼ね備えた異形の吸血鬼として覚醒する。
雅もそのアマルガムが一人にして先駆けである。
ただ巨体と獣性のみの怪物然とした邪鬼と違い、アマルガムは特殊能力の他にも人を超越した膂力と知性、技巧を保つ。
つまりは凶器――鈍器や刃物を用いることで更に凶悪な威力の攻撃を可能とするのだ。
雅自身、鉄扇を使った際の戦闘力は時に刀を使う宮本明すら圧倒するほど、常軌を逸していた。
というか。元々彼岸島の戦いを経験した者らの価値観においては、武器を持った人間や吸血鬼がアマルガム程でないにせよ異常に強くなるのはいわば「当たり前」のことである。
弓矢を持たせれば矢で吸血鬼の顔を埋め尽くすほど蜂の巣にしてみせる娘が居る。
鋼線を罠として細工し、象もかくやの巨体を持つ邪鬼をも切断せしめるメガネの非戦闘員らしき男が居る。
凡百の人間ですらそこに丸太があれば振り回し、ただの吸血鬼や亡者程度ならば殺し得る。
常識である。
そういうヤツらと吸血鬼が殺し合うのが、彼岸島である。
それでもなお、死ぬ時は所詮人間とあっさり死んでいくのが――彼岸島である。
鋼線を罠として細工し、象もかくやの巨体を持つ邪鬼をも切断せしめるメガネの非戦闘員らしき男が居る。
凡百の人間ですらそこに丸太があれば振り回し、ただの吸血鬼や亡者程度ならば殺し得る。
常識である。
そういうヤツらと吸血鬼が殺し合うのが、彼岸島である。
それでもなお、死ぬ時は所詮人間とあっさり死んでいくのが――彼岸島である。
先に会った煉獄すらその強さ、その剣技の冴えすら雅にとって嬉しい誤算としての愉快な脅威であれこそすれ、決して意外ではない。
彼岸島の戦いにおいてそれら『武装者』としての頂点。
つまり暴力の頂点が雅をはじめとするアマルガム――あるいは人の身にも関わらずアマルガムすら屠り得る男、宮本明なのだ。
彼岸島の戦いにおいてそれら『武装者』としての頂点。
つまり暴力の頂点が雅をはじめとするアマルガム――あるいは人の身にも関わらずアマルガムすら屠り得る男、宮本明なのだ。
だからこそ。不可思議な支給品を与える一方で、フィールドに通常人でも扱いやすいサブウェポンたる丸太ひとつロクに用意していないこの殺し合いは。
雅の目からするとやけにチグハグな物にも見えた。
雅の目からするとやけにチグハグな物にも見えた。
とはいえ刀があれば丸太はそこらの木から造れるし、自分ならばどのような巨木であろうと引き抜いて丸太として振り回せるが。
やはり肝心の刀すらロクに無いのでは普通の人間には逆境すぎると言わざるを得ない。
これでは彼岸島どころか本土にも劣る武装の貧弱さだ。
あるいは。
やはり肝心の刀すらロクに無いのでは普通の人間には逆境すぎると言わざるを得ない。
これでは彼岸島どころか本土にも劣る武装の貧弱さだ。
あるいは。
(もしや、殺し合いそのものではなく異なる力や異質な不死を競わせること。あるいは邂逅こそが重要なのか……?)
あの無惨という男もそうだ。素手の自分とは言え、この雅を圧倒するほどの戦闘力と不死性を持った存在が、たかが日光ごときをあそこまで避けている。
真に不死たる雅からすればどうにもおかしな存在だった。
真に不死たる雅からすればどうにもおかしな存在だった。
さて、となるとこれは壮大な実験の経過観察か。はたまた迂遠な儀式的要素が強いのか。
(何かの実験台になるのは久しぶりだな。面白い。面白いぞBB。ハハ、謎が多いほど女は魅力的と言うが本当らしいな)
得体の知れないBBの存在を謎解きのように楽しみはじめる雅。
明やまだ見ぬ強者とエンカウントするまでのヒマつぶし代わりに面白半分の推論が続くなか――雅は全く気付いていない。
(何かの実験台になるのは久しぶりだな。面白い。面白いぞBB。ハハ、謎が多いほど女は魅力的と言うが本当らしいな)
得体の知れないBBの存在を謎解きのように楽しみはじめる雅。
明やまだ見ぬ強者とエンカウントするまでのヒマつぶし代わりに面白半分の推論が続くなか――雅は全く気付いていない。
そもそも雅の居た元の世界以外では、達人ならばともかく常人では身の丈ほどの丸太など扱いきれないし、刀剣はそこらへんに落ちてない方が普通なのだという真実に。
傍から見ればいっそ不条理とも言える奇想天外で奇妙な強さでしかないのは宮本明だけでなく、雅自身もだということに。
傍から見ればいっそ不条理とも言える奇想天外で奇妙な強さでしかないのは宮本明だけでなく、雅自身もだということに。
なのに、雅はまるでデタラメな理屈の論法からあり得ない筋道でBBの本質や言動を見極めようとしている。
別に雅はこの殺し合いにおける謎や目論見や原理など一切解き明かしていない。
つまりはただの暴論に過ぎない。
あらゆる演算、計算も通じぬ理不尽が常にまかり通る、彼岸花が咲き乱れる島の首魁。そのおかしな思考回路。
だが、それでも動じず大筋の印象を捉えつつあるその理屈の通らなさこそが、雅の真の恐ろしさとも言えよう。
別に雅はこの殺し合いにおける謎や目論見や原理など一切解き明かしていない。
つまりはただの暴論に過ぎない。
あらゆる演算、計算も通じぬ理不尽が常にまかり通る、彼岸花が咲き乱れる島の首魁。そのおかしな思考回路。
だが、それでも動じず大筋の印象を捉えつつあるその理屈の通らなさこそが、雅の真の恐ろしさとも言えよう。
『いや、そっちの世界のノリで語られても困るんですけどぉ……』
と、雅は耳元でBBの困惑するような言葉が、ふと聞こえたかのような錯覚を覚えた。
真実彼女が雅にそう囁いたかは、定かではない。
と、雅は耳元でBBの困惑するような言葉が、ふと聞こえたかのような錯覚を覚えた。
真実彼女が雅にそう囁いたかは、定かではない。
さて、面白い物が無いかとここは大体探しつくした。いい加減にこの谷を出るかと、雅は歩いていった――堂々と、全裸のままで。
【D-4・谷底/1日目・早朝】
【雅@彼岸島 48日後……】
[状態]:健康、空腹(小)、全裸 、のんびり散歩中
[装備]:JM61Aガトリングガン@Fate/Grand order 残弾(90%)、予備弾(100%)
[道具]:基本支給品一式、宗像形の鉄製ブーメラン@めだかボックス
[思考・状況]
基本方針:好きにやる。
0:面白そうな駒を勧誘し、最終的にBBと遊ぶ(殺しあう)
1:煉獄に強い興味。部下にしたい。
2:明と出会えれば遊ぶ。
3:次に無惨と出会ったら血を取り込みたい。
4:BBが望んでいる物は殺し合いだけではない……?
[備考]
※参戦時期は精二を食べた後です。
※死体に血を捲いて復活させるのは制限により不可能ですが、雅はそのことに気がついていない可能性が高いです。
※肉体の内部に首輪を取り込みました。体外へは出せませんが体内で自由に移動させられます。
※鮫島と山本勝次の死を知りましたが、名前を知らないしどうでも良いので「おそらく明の仲間」としか認識していません。
[状態]:健康、空腹(小)、全裸 、のんびり散歩中
[装備]:JM61Aガトリングガン@Fate/Grand order 残弾(90%)、予備弾(100%)
[道具]:基本支給品一式、宗像形の鉄製ブーメラン@めだかボックス
[思考・状況]
基本方針:好きにやる。
0:面白そうな駒を勧誘し、最終的にBBと遊ぶ(殺しあう)
1:煉獄に強い興味。部下にしたい。
2:明と出会えれば遊ぶ。
3:次に無惨と出会ったら血を取り込みたい。
4:BBが望んでいる物は殺し合いだけではない……?
[備考]
※参戦時期は精二を食べた後です。
※死体に血を捲いて復活させるのは制限により不可能ですが、雅はそのことに気がついていない可能性が高いです。
※肉体の内部に首輪を取り込みました。体外へは出せませんが体内で自由に移動させられます。
※鮫島と山本勝次の死を知りましたが、名前を知らないしどうでも良いので「おそらく明の仲間」としか認識していません。
| 前話 | お名前 | 次話 |
| 紅蓮の華よ咲き誇れ | 雅 | 出口のないメビウスの輪の中で |