出口のないメビウスの輪の中で ◆OLR6O6xahk
―――ねぇ、スモーキー。
それは湾岸地区での抗争の後日。
RUDE BOYSのリーダーとして余所者を狩り終え、寝床へ帰路に就いた時の事だった。
黄昏時の帰り道に小さな少女が立っていた。
家族の顔と名はすべて覚えている。生きている者も死んでしまった者も。
だから、その少女の名もすぐに出てきた。
「エリ」と名前を呼ぶと、彼女は不安げな瞳で自分をじっと見つめ、そして尋ねてきた。
RUDE BOYSのリーダーとして余所者を狩り終え、寝床へ帰路に就いた時の事だった。
黄昏時の帰り道に小さな少女が立っていた。
家族の顔と名はすべて覚えている。生きている者も死んでしまった者も。
だから、その少女の名もすぐに出てきた。
「エリ」と名前を呼ぶと、彼女は不安げな瞳で自分をじっと見つめ、そして尋ねてきた。
―――スモーキーは、何処へも行かないよね?
エリがどんな意図でその問いを投げたのか、スモーキーには最初伺うことができなかった。
―――スモーキー、最近ずっとあの旗見てるから…
あの旗、というのはRUDE BOYSの旗の事だろう。
湾岸地区での抗争の発端となったマイティーウォーリアーズの襲撃。
その際に襲撃者たちはRUDEの文字の上から「CHANGE or DIE」と書き残していった。
何が書かれているかは英語はおろか文字もロクに読めないスモーキーに分かる筈も無かったが、大人に聞くことで理解できた。
変化するか、死か。
そう書かれているのだと理解すると、その言葉は静かに、しかし激しくスモーキーを揺さぶった。
無論、決して顔には出さなかったが、このエリという少女はスモーキーの動揺を敏感に感じ取ったのだろう。
湾岸地区での抗争の発端となったマイティーウォーリアーズの襲撃。
その際に襲撃者たちはRUDEの文字の上から「CHANGE or DIE」と書き残していった。
何が書かれているかは英語はおろか文字もロクに読めないスモーキーに分かる筈も無かったが、大人に聞くことで理解できた。
変化するか、死か。
そう書かれているのだと理解すると、その言葉は静かに、しかし激しくスモーキーを揺さぶった。
無論、決して顔には出さなかったが、このエリという少女はスモーキーの動揺を敏感に感じ取ったのだろう。
自分のせいで不安にしてい待った少女。
そんな少女に対して、スモーキーのかける言葉は決まっていた。
そんな少女に対して、スモーキーのかける言葉は決まっていた。
―――あぁ、俺は何処にもいかない。この街で生きる。ずっとな…
その言葉に嘘偽りは何一つとして無く。
が、全てではなかった。家族と共に生きると、スモーキーは口にしなかった。
一緒に居られればそれが最上だ。
しかし、世界は無名街の存在を許さず、病魔に侵され尽くした彼の身体に未来はない。
きっとそう遠くない日に…無名街と運命を共にする予感をスモーキー感じていた。
それ故にこの街で残されたわずかな時間を最後まで生き抜き、そして死のう。スモーキーはそう決めた。
が、全てではなかった。家族と共に生きると、スモーキーは口にしなかった。
一緒に居られればそれが最上だ。
しかし、世界は無名街の存在を許さず、病魔に侵され尽くした彼の身体に未来はない。
きっとそう遠くない日に…無名街と運命を共にする予感をスモーキー感じていた。
それ故にこの街で残されたわずかな時間を最後まで生き抜き、そして死のう。スモーキーはそう決めた。
だが、自分よりも時間の残されている目の前のエリやタケシ。ピー達家族は違う。
スモーキーは信じているのだ。
自分よりも遥かに時間が残されていて、血よりも強い絆で繋がった家族たちならば、
この街を出て、自分のために夢を見る事ができるはずだと。
スモーキーは信じているのだ。
自分よりも遥かに時間が残されていて、血よりも強い絆で繋がった家族たちならば、
この街を出て、自分のために夢を見る事ができるはずだと。
だから、愛しき彼らが無名街を去るまで―――誰よりも高く、飛びたいと思った。
故郷を脅かすあらゆる災厄の目標となり、それら全てを飛び越えていけるほど高く。
そして、飛び去って行く家族達を誰一人として見逃すことがない程に。
高く、高く飛びたいと。
故郷を脅かすあらゆる災厄の目標となり、それら全てを飛び越えていけるほど高く。
そして、飛び去って行く家族達を誰一人として見逃すことがない程に。
高く、高く飛びたいと。
◆
ハッと目を覚ます。
どうやら一瞬意識を失っていたらしい。
一瞬の事か数十秒の事かは分からないが、事故にならず幸いだったとスモーキーは乗っているジープを更に走らせる。
どうやら一瞬意識を失っていたらしい。
一瞬の事か数十秒の事かは分からないが、事故にならず幸いだったとスモーキーは乗っているジープを更に走らせる。
このジープはスモーキーの支給品ではなく、殺したコブラのデイパックの中に入っていたものだ。
これが無ければ、あの女剣士を撒くことはできなかっただろう。
つまりスモーキーは殺したコブラの支給品に救われたのである。
これが無ければ、あの女剣士を撒くことはできなかっただろう。
つまりスモーキーは殺したコブラの支給品に救われたのである。
「コブラ……」
そのことに関して、彼は既に何の感傷も抱いてはいない。
コブラは家族ではなく、無名街を否定したその時から仲間の資格すら喪ってしまった。
だから、スモーキーに殺されるしかなかったのだ。
コブラは家族ではなく、無名街を否定したその時から仲間の資格すら喪ってしまった。
だから、スモーキーに殺されるしかなかったのだ。
「俺は…飛び続けてみせる。最後までな……」
そして、殺すのはコブラだけでは終わらない。
鬼邪高校の村山も、雨宮兄弟も、あの女剣士も。他の参加者も。
全ての屍を飛び越えた先に、無名街への帰路は開かれるのだから。
鬼邪高校の村山も、雨宮兄弟も、あの女剣士も。他の参加者も。
全ての屍を飛び越えた先に、無名街への帰路は開かれるのだから。
「……ッ!ゴフッ……!」
だが、身体に残ったダメージと病魔はそれを許さない。
ボタボタと鮮血を零し、視界はかすんで。
山間部に差し掛かり、悪路による車体への振動すら満身創痍のスモーキーの命をすり減らしていく。
このままでは本当に事故死しかねない、少し停車して体を休めるべきか。
そう判断して、スモーキーはジープを停車した。
ボタボタと鮮血を零し、視界はかすんで。
山間部に差し掛かり、悪路による車体への振動すら満身創痍のスモーキーの命をすり減らしていく。
このままでは本当に事故死しかねない、少し停車して体を休めるべきか。
そう判断して、スモーキーはジープを停車した。
ハァ…ハァ…と喉の奥からせりあがってくる鉄臭い吐き気をこらえ、呼吸を整える。
瞼を閉じ、決して快方に向かわない病魔に対して僅かながらの回復に努める。
その判断は間違っていなかっただろう。
だが、間が悪かった。
瞼を閉じ、決して快方に向かわない病魔に対して僅かながらの回復に努める。
その判断は間違っていなかっただろう。
だが、間が悪かった。
「―――ほう、苦しそうだな。人間」
投げかけられた言葉に意識が急激に覚醒し、シートに預けていた上体を起こす。
すると視線の先には全裸の、白い男が立っていた。
オオオオオオオオ、と奇妙な威圧感を覚える男だった。
すると視線の先には全裸の、白い男が立っていた。
オオオオオオオオ、と奇妙な威圧感を覚える男だった。
「私の名は、雅と言う。貴様の名は?」
「…………スモーキー」
「…………スモーキー」
雅と名乗った男は、不気味だった。
尊大であるのに、吐く言葉は不自然なほどの安堵感を覚える。
名乗るつもりなどあるはずもなかったのに、スモーキーの名前を引き出して見せた。
この男は危険である。スモーキーは直感し、サイドシートに立てかけていた刀を手に立ち上がる。
尊大であるのに、吐く言葉は不自然なほどの安堵感を覚える。
名乗るつもりなどあるはずもなかったのに、スモーキーの名前を引き出して見せた。
この男は危険である。スモーキーは直感し、サイドシートに立てかけていた刀を手に立ち上がる。
「ほう、やる気か。その身体で」
雅は嘲る様な笑みを浮かべると悠然とスモーキーの挙動を待つ。
そんな不遜な態度の雅に向けて、スモーキーは静かにコブラの時と同じ問いを投げた。
夢を叶えた有能な人間と、何も成し遂げられないまま死んでいった無能な人間。
違いはあるかとスモーキーは雅に問うていた。
何故、問うことにしたのかはスモーキー自身にも分からない。
そんな不遜な態度の雅に向けて、スモーキーは静かにコブラの時と同じ問いを投げた。
夢を叶えた有能な人間と、何も成し遂げられないまま死んでいった無能な人間。
違いはあるかとスモーキーは雅に問うていた。
何故、問うことにしたのかはスモーキー自身にも分からない。
問われた雅は笑い顔を浮かべたまま、少し間を開けて。
「違いはない」
そう答えて、その後に雅は続けた。
「等しく無価値だ。たかだか80年ほどしか生きられない人間などな」
「……そうか」
「……そうか」
それはコブラと同じ無名街を否定する言葉だった。
であれば、最早それ以上の言葉はいらなかった。
刀を抜いて身体を跳躍の体勢に移す。
勝負は一撃。現状のコンディションではそれが限界だと、スモーキーは悟っていた。
であれば、最早それ以上の言葉はいらなかった。
刀を抜いて身体を跳躍の体勢に移す。
勝負は一撃。現状のコンディションではそれが限界だと、スモーキーは悟っていた。
「―――だったらお前は助からない」
スモーキーにとって生きる事は戦う事であり。
例え世界に認められずとも、夢を持ち、家族と共にそれを見る事だった。
だからスモーキーの身体はどれほどの窮地においても、誰よりも高く飛ぶのだ。
例え世界に認められずとも、夢を持ち、家族と共にそれを見る事だった。
だからスモーキーの身体はどれほどの窮地においても、誰よりも高く飛ぶのだ。
「これは……!」
宙を燕の事く舞うスモーキーを見れば、嘲りの笑みは消えて。
思わず見惚れる程の見事な跳躍であった。
これほど美しい跳躍は、明や煉獄などの名だたる強者でも難しいかもしれない。
そんなことを考えてしまい、雅の動きに遅れが出る。
朝陽に反射して煌めく白刃を躱そうとするが、時すでに遅く。
ならばと咄嗟に腕を交差し防御の体勢を取るが、あらゆる防御はスモーキーの持つ刀の前では意味をなさない。
思わず見惚れる程の見事な跳躍であった。
これほど美しい跳躍は、明や煉獄などの名だたる強者でも難しいかもしれない。
そんなことを考えてしまい、雅の動きに遅れが出る。
朝陽に反射して煌めく白刃を躱そうとするが、時すでに遅く。
ならばと咄嗟に腕を交差し防御の体勢を取るが、あらゆる防御はスモーキーの持つ刀の前では意味をなさない。
ザンッ!
スモーキーの放った斬刀<鈍>は、一刀のもとに雅の左半身を切り伏せてみせた。
◆
斬刀・鈍を支えにハァハァと荒い息を吐く。
正しくギリギリの勝負であった。
一撃で勝負が決められていなければ、倒れていたのはスモーキーの方だっただろう。
正しくギリギリの勝負であった。
一撃で勝負が決められていなければ、倒れていたのはスモーキーの方だっただろう。
「俺は、家族のために夢を見ることを…無名街で生きることを決して諦めない」
世界から見捨てられた無名街の住民であるスモーキーはそうすることでしか生きられない。
だがしかし。
だがしかし。
「―――そうか、なら人の夢など下らんものだと、私が手づから示そう」
世界はそんな彼の夢を許さず、いつだって取り立てていく。
剣豪、宮本武蔵でも半身を斬られればすぐさま追跡することは困難だ。
しかし吸血鬼である雅にとって、半身の喪失程度では行動不能にすらならない。
ゆら、と背後で立ち上がる気配と殺気をスモーキーは感じるが、再び鮮血の混じった血を吐き崩れ落ちてしまう。
一撃で仕留める事ができなかった時点で、勝敗は既に決していたのだ。
剣豪、宮本武蔵でも半身を斬られればすぐさま追跡することは困難だ。
しかし吸血鬼である雅にとって、半身の喪失程度では行動不能にすらならない。
ゆら、と背後で立ち上がる気配と殺気をスモーキーは感じるが、再び鮮血の混じった血を吐き崩れ落ちてしまう。
一撃で仕留める事ができなかった時点で、勝敗は既に決していたのだ。
「ハ、中々に見事な飛びっぷりだった」
地に這う敗者・スモーキーを見下ろし、勝者である雅は上機嫌そうに己の斬られた半身を持ち上げる。
それを切断面に着けるとまるで斬られた事など無かったかのように瞬時に癒着した。
スモーキーはそれを虚ろな目で見つめ、また血の塊を吐いてモッズコートを汚していく。
斬撃は初めから雅には通用せず、彼に勝ち目など無かったのだ。
それを切断面に着けるとまるで斬られた事など無かったかのように瞬時に癒着した。
スモーキーはそれを虚ろな目で見つめ、また血の塊を吐いてモッズコートを汚していく。
斬撃は初めから雅には通用せず、彼に勝ち目など無かったのだ。
「死ぬのか、スモーキーよ。あれほどの跳躍を見せたお前がそんな病ごときで」
憐れむような瞳で、雅は瀕死のスモーキーを見つめた。
だが直ぐに元の邪悪な笑みに戻り、スモーキーに告げる。
「小腹を満たすつもりだったが、気が変わった」と。
だが直ぐに元の邪悪な笑みに戻り、スモーキーに告げる。
「小腹を満たすつもりだったが、気が変わった」と。
「お前は私が助からないと言ったが…私はお前を助けてやる」
雅はそう言って自分の腕に切込みを入れ、その場所からぽたぽたと赤い雫が垂れる。
それを見た瞬間、ぞくぞくと悪寒が奔った。
何とか雅から距離を取ろうともがくが、裏切り者の五体は言う事を聞かない。
せめてもの抵抗として射殺す様なギラギラと光る瞳で見つめるが、当の本人は笑みを深めるばかりで。
だから瀕死の身体に垂らされる血を防ぐ術は、彼にはなかった。
それを見た瞬間、ぞくぞくと悪寒が奔った。
何とか雅から距離を取ろうともがくが、裏切り者の五体は言う事を聞かない。
せめてもの抵抗として射殺す様なギラギラと光る瞳で見つめるが、当の本人は笑みを深めるばかりで。
だから瀕死の身体に垂らされる血を防ぐ術は、彼にはなかった。
かくして燕は地へと墜ちる。
◆
「これで良し。細工は終わった……」
眠るスモーキーの頭から手を離すと、満足げに独り言ちる。
雅にとってスモーキーは見どころのある男だった。
純粋な力量だけでいえば宮本明や煉獄杏寿郎の方が上だろう。
だが、体捌きや最後に見せた三次元的な動きは目を見張るものがあった。
何より満身創痍の身体で生に執着するその眼光と殺意は、凡庸な人間とは一線を画すものを感じたのだ。
純粋な力量だけでいえば宮本明や煉獄杏寿郎の方が上だろう。
だが、体捌きや最後に見せた三次元的な動きは目を見張るものがあった。
何より満身創痍の身体で生に執着するその眼光と殺意は、凡庸な人間とは一線を画すものを感じたのだ。
そんな男が病魔程度で失われるというのは余りにも惜しい。
故に、自分の血を分け与えることに躊躇はなかった。
何時もよりも復活までのインターバルが長い事が少し気がかりではあったが、先程より遥かに穏やかな男の呼吸を見れば心配はないだろう。
じきに復活するはずだ。
そう考えて。
凄まじい轟音と衝撃が大地を揺らしたのはその直後の事だった。
震源地を見れば、雅が征服した東京の一等地に立っているような高層マンションが音を立てて崩れていく。
大きな闘争があったのは明白だった。
故に、自分の血を分け与えることに躊躇はなかった。
何時もよりも復活までのインターバルが長い事が少し気がかりではあったが、先程より遥かに穏やかな男の呼吸を見れば心配はないだろう。
じきに復活するはずだ。
そう考えて。
凄まじい轟音と衝撃が大地を揺らしたのはその直後の事だった。
震源地を見れば、雅が征服した東京の一等地に立っているような高層マンションが音を立てて崩れていく。
大きな闘争があったのは明白だった。
「では、先を急ぐとしよう。
参加者を狩り、吸血鬼として更に強くなったら…また会おう。スモーキーよ」
参加者を狩り、吸血鬼として更に強くなったら…また会おう。スモーキーよ」
返事は当然ないが、雅はスモーキーの覚醒を待つつもりもなかった。
自分と相対した時の態度を見れば、この男が素直に自分の軍門に下るとは思えなかったからだ。
例え吸血鬼となっても稀に自分の支配に抵抗する者がいる。この男もきっとそうなのだろう。
自身のサイコジャックであれば自由意思を奪い完全に操縦することもできるが…それではつまらない。
折角この地に来て初となる眷属だ、どう動くかは分からないが暫く好きにさせる事とする。
その代わりとして、二つあったデイパックの片方を献上品として貰って行く事とした。
自分と相対した時の態度を見れば、この男が素直に自分の軍門に下るとは思えなかったからだ。
例え吸血鬼となっても稀に自分の支配に抵抗する者がいる。この男もきっとそうなのだろう。
自身のサイコジャックであれば自由意思を奪い完全に操縦することもできるが…それではつまらない。
折角この地に来て初となる眷属だ、どう動くかは分からないが暫く好きにさせる事とする。
その代わりとして、二つあったデイパックの片方を献上品として貰って行く事とした。
「中々いいデザインの服じゃないか」
ジープのシートに収まり、ごそごそと中を漁ってみれば中を漁れば求めていた服が出てきた。
変わったデザインだが、そもそも服のセンスが昭和で止まっている雅からすれば些細な事だった。
袖を通してみると、サイズも少々胸部分が苦しいくらいで問題はない。
着替え終わると、本土を征服し暇つぶしに得た知識をもとにジープのエンジンをかけた。
よく利用する乗り物はもっぱら神輿の彼にとって運転は初体験だが、恐れる事無くアクセルを踏む。
変わったデザインだが、そもそも服のセンスが昭和で止まっている雅からすれば些細な事だった。
袖を通してみると、サイズも少々胸部分が苦しいくらいで問題はない。
着替え終わると、本土を征服し暇つぶしに得た知識をもとにジープのエンジンをかけた。
よく利用する乗り物はもっぱら神輿の彼にとって運転は初体験だが、恐れる事無くアクセルを踏む。
「……無名街に、家族か」
ジープを危なっかしい手つきで操作しながら、スモーキーの言葉を反芻し「くだらない」と彼は斬り捨てた。
雅もかつては一族の人間であり、家族と呼べる者もいた。
だが彼にとって家族とは、大嫌いな人間というなれ合う弱者でしかなかった。
それ故に弱肉強食という理の通り、一人残らず強者である雅の糧となったのだ。
雅もかつては一族の人間であり、家族と呼べる者もいた。
だが彼にとって家族とは、大嫌いな人間というなれ合う弱者でしかなかった。
それ故に弱肉強食という理の通り、一人残らず強者である雅の糧となったのだ。
「やはり人間は愚かだよ…なぁ、明」
愛しき宿敵の顔を想起しながら、ジープを走らせる。
行先は特に決めてはいない。強いて言うなら北の施設――病院でも目指すかという気分だった。
あの爆発だ。脆弱な人間どもならば医薬品を求めて病院を目指すだろう。
それに、もしかしたら自分を殺しうる薬品である501ワクチンが病院にあるかもしれない。
行先は特に決めてはいない。強いて言うなら北の施設――病院でも目指すかという気分だった。
あの爆発だ。脆弱な人間どもならば医薬品を求めて病院を目指すだろう。
それに、もしかしたら自分を殺しうる薬品である501ワクチンが病院にあるかもしれない。
もちろんこれは可能性としては低い。
だが様々な不可思議な道具を用意したBBならばもしかするかもしれない。
それに、不死の自分を殺し合いに招いたからにはそうでもしなければ人間どもと釣り合いが取れないだろうという推察があった。
そしてきっと―――明も同じ考えに至るはずだ。
だが様々な不可思議な道具を用意したBBならばもしかするかもしれない。
それに、不死の自分を殺し合いに招いたからにはそうでもしなければ人間どもと釣り合いが取れないだろうという推察があった。
そしてきっと―――明も同じ考えに至るはずだ。
「明に、煉獄に、そして吸血鬼とは別種の鬼か……
いやはや与えられる武器はしけているが、まるでテーマパークだなここは。
そしてククッ……、あの男……スモーキーはどうするか楽しみだ」
いやはや与えられる武器はしけているが、まるでテーマパークだなここは。
そしてククッ……、あの男……スモーキーはどうするか楽しみだ」
テンションが高揚し、常に刺激的なこの島を雅は完全に気に入っていた。
これまで会ったどの人物も、明のいない古ぼけた島国では見られなかった者ばかりだ。
果たして次に出会うのは一体いかな存在か。
クリスマスを前にした子供の様に期待で胸を膨らませて、吸血鬼の王は殺し合いを満喫する。
これまで会ったどの人物も、明のいない古ぼけた島国では見られなかった者ばかりだ。
果たして次に出会うのは一体いかな存在か。
クリスマスを前にした子供の様に期待で胸を膨らませて、吸血鬼の王は殺し合いを満喫する。
【D-5・山の麓/1日目・朝】
【雅@彼岸島 48日後……】
[状態]:健康、空腹(小)、初めての運転にウキウキ
[装備]:カルデア戦闘服(男用)@Fate/Grand order
JM61Aガトリングガン@Fate/Grand order 残弾(90%)、予備弾(100%)
[道具]:基本支給品一式、宗像形の鉄製ブーメラン@めだかボックス、RUDE BOYSのジープ@HiGH&LOW
[思考・状況]
基本方針:好きにやる。とりあえず北東の施設を巡ってみる。
0:面白そうな駒を勧誘し、最終的にBBと遊ぶ(殺しあう)
1:煉獄に強い興味。部下にしたい。
2:明と出会えれば遊ぶ。
3:次に無惨と出会ったら血を取り込みたい。
4:BBが望んでいる物は殺し合いだけではない……?
[備考]
※参戦時期は精二を食べた後です。
※死体に血を捲いて復活させるのは制限により不可能ですが、雅はそのことに気がついていない可能性が高いです。
※肉体の内部に首輪を取り込みました。体外へは出せませんが体内で自由に移動させられます。
※鮫島と山本勝次の死を知りましたが、名前を知らないしどうでも良いので「おそらく明の仲間」としか認識していません。
[状態]:健康、空腹(小)、初めての運転にウキウキ
[装備]:カルデア戦闘服(男用)@Fate/Grand order
JM61Aガトリングガン@Fate/Grand order 残弾(90%)、予備弾(100%)
[道具]:基本支給品一式、宗像形の鉄製ブーメラン@めだかボックス、RUDE BOYSのジープ@HiGH&LOW
[思考・状況]
基本方針:好きにやる。とりあえず北東の施設を巡ってみる。
0:面白そうな駒を勧誘し、最終的にBBと遊ぶ(殺しあう)
1:煉獄に強い興味。部下にしたい。
2:明と出会えれば遊ぶ。
3:次に無惨と出会ったら血を取り込みたい。
4:BBが望んでいる物は殺し合いだけではない……?
[備考]
※参戦時期は精二を食べた後です。
※死体に血を捲いて復活させるのは制限により不可能ですが、雅はそのことに気がついていない可能性が高いです。
※肉体の内部に首輪を取り込みました。体外へは出せませんが体内で自由に移動させられます。
※鮫島と山本勝次の死を知りましたが、名前を知らないしどうでも良いので「おそらく明の仲間」としか認識していません。
【RUDE BOYSのジープ@HiGH&LOW】
コブラに支給。全員免許を持っていないであろう無名街の住人にも運転できるジープ。
湾岸地区の抗争の際などに使用された。
コブラに支給。全員免許を持っていないであろう無名街の住人にも運転できるジープ。
湾岸地区の抗争の際などに使用された。
ゆっくりと瞼を開けると、既に先程戦った男は去った後だった。
デイパックは片方持っていかれたようだが、それ以外は何もしなかったらしい。
いや、それどころか。呼吸の苦しみもなく、身体はかつてない程の充足感に満ちていた。
雅の与えた吸血鬼のウイルスは彼の肺を蝕む公害病を駆逐していたのだ。
デイパックは片方持っていかれたようだが、それ以外は何もしなかったらしい。
いや、それどころか。呼吸の苦しみもなく、身体はかつてない程の充足感に満ちていた。
雅の与えた吸血鬼のウイルスは彼の肺を蝕む公害病を駆逐していたのだ。
起き上がり近くにあった水たまりで自分の姿を確認すると、大きな変貌を遂げていた。
灰がかっていた瞳は朱の色に染まり、口元には牙が見えて。
黒一色だった髪に走る白色は、あの白い男の残した呪いのようだった。
無言のままに刀を拾い、おもむろにジャンプしてみる。
宙を舞った五体は、かつてない高さにいた。
灰がかっていた瞳は朱の色に染まり、口元には牙が見えて。
黒一色だった髪に走る白色は、あの白い男の残した呪いのようだった。
無言のままに刀を拾い、おもむろにジャンプしてみる。
宙を舞った五体は、かつてない高さにいた。
「…………」
特別そのことについてスモーキーは感慨を示さない。
脳裏に浮かぶのは酷い渇きと、今の自分はどれほど高く飛べるのかという自身への疑問だった。
脳裏に浮かぶのは酷い渇きと、今の自分はどれほど高く飛べるのかという自身への疑問だった。
「……行くか」
例え姿が変わろうと、スモーキーの意思は変わらない。
これまで通り、戦い、飛び越え、殺し、そして―――へ帰る。
これまで通り、戦い、飛び越え、殺し、そして―――へ帰る。
「―――?」
違和感を抱いたのは、その時だった。
一体自分は、何処を目指していた?何処へ帰ろうとしていた?
分からない。思い出せない。すっぽりと、抜け落ちてしまっている。
確かに、地図に載っていた何処かを目指していた筈なのに。
その場所だけは、漢字もロクに読めないスモーキーでもわかった筈なのに。
家族の顔はハッキリと浮かんでくるのに、彼らと何処で過ごしていたのか思い出せない。
一体自分は、何処を目指していた?何処へ帰ろうとしていた?
分からない。思い出せない。すっぽりと、抜け落ちてしまっている。
確かに、地図に載っていた何処かを目指していた筈なのに。
その場所だけは、漢字もロクに読めないスモーキーでもわかった筈なのに。
家族の顔はハッキリと浮かんでくるのに、彼らと何処で過ごしていたのか思い出せない。
―――これで良し。細工は終わった。
雅はサイコジャックでスモーキーを操り人形にすることをよしとしなかったが、それが全てではなかった。
彼はサイコジャックによりスモーキーから無名街の記憶を奪っていたのだ。
自由意思を奪うよりも、記憶の一部に細工する方がよほど簡単な仕事だっただろう。
禁止エリアとして呼ばれた地点に向かう自殺行為を哀れに思ったのか、それともただ愉悦を感じたかったのかは分からない。
しかしスモーキーは確かに、高らかに笑うあの男の声を聞いた気がした。
彼はサイコジャックによりスモーキーから無名街の記憶を奪っていたのだ。
自由意思を奪うよりも、記憶の一部に細工する方がよほど簡単な仕事だっただろう。
禁止エリアとして呼ばれた地点に向かう自殺行為を哀れに思ったのか、それともただ愉悦を感じたかったのかは分からない。
しかしスモーキーは確かに、高らかに笑うあの男の声を聞いた気がした。
「……ララ、タケシ、ピー、エリ。それでも俺は、お前たちの所へ…」
低くそう呟くと、刀を握りなおす。
まだ全てを喪ったわけでは無い。最も大事な、家族の顔は今もハッキリと覚えている。
これから出会う全員を殺せば、きっと帰るべき場所も思い出せるはずだと信じて青年は再び歩き出す。
まだ全てを喪ったわけでは無い。最も大事な、家族の顔は今もハッキリと覚えている。
これから出会う全員を殺せば、きっと帰るべき場所も思い出せるはずだと信じて青年は再び歩き出す。
帰り道を見失った守護神は、亡霊へと変わるしかない。
【D-5・山の麓/1日目・朝】
【スモーキー@HiGH & LOW】
[状態]:吸血鬼化、渇き、サイコジャックの影響?
[道具]:基本支給品一式、斬刀・鈍@刀語、仮面ライダーインペラー(ブランク体)のデッキ
[思考・状況]
基本方針:全員を殺して、――へと、家族の下へと帰る。
1:血が欲しい。
2:忘れてしまった帰る場所を思い出したい。
[備考]
※契約していたギガゼールが死亡したことにより仮面ライダーインペラーに変身するとブランク体になります。コントラクトカードでミラーモンスターの再契約しない限りはこの状態が継続します。
※吸血鬼化したことにより公害病は完治しました。
※サイコジャックの影響により無名街の記憶が欠落していますが、家族の事は覚えています。
[状態]:吸血鬼化、渇き、サイコジャックの影響?
[道具]:基本支給品一式、斬刀・鈍@刀語、仮面ライダーインペラー(ブランク体)のデッキ
[思考・状況]
基本方針:全員を殺して、――へと、家族の下へと帰る。
1:血が欲しい。
2:忘れてしまった帰る場所を思い出したい。
[備考]
※契約していたギガゼールが死亡したことにより仮面ライダーインペラーに変身するとブランク体になります。コントラクトカードでミラーモンスターの再契約しない限りはこの状態が継続します。
※吸血鬼化したことにより公害病は完治しました。
※サイコジャックの影響により無名街の記憶が欠落していますが、家族の事は覚えています。
| 前話 | お名前 | 次話 |
| SHADOWS DIE TWICE | スモーキー | GATE OF SKY |
| 常識的に考えて | 雅 | 命ノゼンマイ |