あんた、あの娘のなんなのさ ◆ZbV3TMNKJw
☆
「禰豆子と会ったのか?」
ポカンと口を開けた義勇の唐突な問いに、今度は雅貴がポカンと口を開けられる番だった。
「へっ?あ、ああ。会ったけど」
なんとなしに返した答えに、しかし義勇は答えない。
「もしも~し、聞こえてますかぁ」
わざとらしく目の前で手を振り、反応を伺うが、やはり変化なし。
(どういう気持ちの顔だそれ)
「...彼女の傍に竃門炭次郎はいたか?」
「ようやく返事がきた...いや、そいつは俺も探しているところ」
「そうか」
「ようやく返事がきた...いや、そいつは俺も探しているところ」
「そうか」
再びの沈黙。
そんな情報の量も大してないのに、なんで質問する方が黙りこくるかなあ、と雅貴はハァ、小さく息をはいた。
そんな情報の量も大してないのに、なんで質問する方が黙りこくるかなあ、と雅貴はハァ、小さく息をはいた。
「なあ、あんたもう少しコミュニケーションって奴を」
「彼女はいまどういう状況だ」
「彼女はいまどういう状況だ」
今度は被った。
なんだろう。なんでこいつはこんなに間が悪いんだろう。
なんだろう。なんでこいつはこんなに間が悪いんだろう。
雅貴は考える。果たして義勇に禰豆子のことを教えてもいいのだろうかと。
(いや、悪い奴じゃないのはわかってんだ。俺のことも助けてくれたし。けど禰豆子ちゃんとの関係がどうかなのまではわからないしなぁ)
仲間の仲間は皆仲間、とは限らない。
自分の敵が実はツレの親友だった、なんてことはよくあるし、環境が違えば関係性も変わってくるというもの。
自分の敵が実はツレの親友だった、なんてことはよくあるし、環境が違えば関係性も変わってくるというもの。
「なあ、あんたあの娘のなんなのさ」
とりあえず雅貴は問いかけた。義勇は黙った。
(そこで黙るなよ。友達でも恋人でも仇でもなんでもいいから答えろよ)
沈黙。三十秒。四十秒。
義勇の表情に変化はない。ただぼんやりと虚空を見つめ口を噤んでいる。
義勇の表情に変化はない。ただぼんやりと虚空を見つめ口を噤んでいる。
(だからどういう気持ちの顔だそれ)
それでも義勇は答えない。
そんな状況に、雅貴は痺れを切らした。
そんな状況に、雅貴は痺れを切らした。
「じゃあもっと簡単なことを聞くわ。あんたはあの子をどう思ってるんだ?」
「...なに?」
「禰豆子ちゃんのこと好きか嫌いか。それくらいなら答えられるだろ」
「......」
「...なに?」
「禰豆子ちゃんのこと好きか嫌いか。それくらいなら答えられるだろ」
「......」
尚も沈黙する義勇。しかし、表情こそはそのままであるものの、明らかに俯いている。これは確かな変化だ。
だから雅貴は待ってみた。今度こそちゃんとした返事があるのを期待して。
だから雅貴は待ってみた。今度こそちゃんとした返事があるのを期待して。
それから数十秒後、義勇はその重たい口を開いた。
「俺に彼女へ好意を抱く資格はない」
「なんでそうなんの!?俺好きか嫌いか聞いただけだよね?人を好きになるのに資格なんかいらねえだろ!あっ、俺いまいいこと言ったかも」
「資格以前の問題だ。俺はそんな価値のある人間じゃない」
「資格の次は価値かい。あ~、もういいわ。そこまでごちゃごちゃ考えるくらいだからあんたはあの子のこと好きだ。絶対好きだわ。あんたがどう思おうがあの子が好きかどうかは俺が決めることにするからな」
「なんでそうなんの!?俺好きか嫌いか聞いただけだよね?人を好きになるのに資格なんかいらねえだろ!あっ、俺いまいいこと言ったかも」
「資格以前の問題だ。俺はそんな価値のある人間じゃない」
「資格の次は価値かい。あ~、もういいわ。そこまでごちゃごちゃ考えるくらいだからあんたはあの子のこと好きだ。絶対好きだわ。あんたがどう思おうがあの子が好きかどうかは俺が決めることにするからな」
唖然とし、雅貴を見つめる義勇。
そんな彼を見て、雅貴は『勝った』と内心でガッツポーズを決めた。
なにに勝ったのかは彼自身もわかってはいなかったが。
そんな彼を見て、雅貴は『勝った』と内心でガッツポーズを決めた。
なにに勝ったのかは彼自身もわかってはいなかったが。
・
・
・
「......」
雅貴が運転するバイクの後部座席に乗る義勇。相も変わらず二人の間に弾んだ会話はなく、この光景も代り映えはしない。
行動指針も、当初の目的通りにコブラを探し、その後に義勇を禰豆子のもとへと連れていくと定めたためあまり変わらない。
違うのは、彼らの互いへの心情だ。
行動指針も、当初の目的通りにコブラを探し、その後に義勇を禰豆子のもとへと連れていくと定めたためあまり変わらない。
違うのは、彼らの互いへの心情だ。
雅貴は、義勇のことを少しだけ見直していた。
幻之介のこともそうだが、彼は間違いなく他者を思いやれる人間だ。
禰豆子へ好意を抱く資格がないというのは、彼女が好意を抱かれた時どう思うかを考慮したからだ。
そんなことを考える奴が悪人のはずが、危害を加えようとする奴のはずがない。
だから雅貴は彼女たちと遭遇した時のことを簡潔に話した。
それを聞いた義勇は「そうか」と短く返したきりだが、彼が不器用でコミュニケーションをとるのが苦手なだけなのはわかってきたので、気に留めなかった。
幻之介のこともそうだが、彼は間違いなく他者を思いやれる人間だ。
禰豆子へ好意を抱く資格がないというのは、彼女が好意を抱かれた時どう思うかを考慮したからだ。
そんなことを考える奴が悪人のはずが、危害を加えようとする奴のはずがない。
だから雅貴は彼女たちと遭遇した時のことを簡潔に話した。
それを聞いた義勇は「そうか」と短く返したきりだが、彼が不器用でコミュニケーションをとるのが苦手なだけなのはわかってきたので、気に留めなかった。
義勇は、その思考の大半が禰豆子で占められていた。
彼が雅貴の質問に沈黙したのは、答えたくなかったのではなく、答えられなかったからだった。
彼が雅貴の質問に沈黙したのは、答えたくなかったのではなく、答えられなかったからだった。
自分があの娘のなんなのか―――恩人、などとは口が裂けても言えない。
禰豆子を鬼にし、炭治郎以外の家族を皆殺しにしたのは鬼舞辻無惨だ。元凶はあの男なのは間違いない。
だが、義勇があと半日早く現場にたどり着けていればなにかが変わっていたかもしれない。
彼が殺されたとしても、禰豆子は鬼にならず、家族も誰も死なない。そんな未来があったかもしれない。
けれど義勇は間に合わなかった。被害者たちもそれを仕方ないで済ませられるはずがない。
そんな、仇も同然である男が、禰豆子に『人を襲わない鬼になれるかもしれない』という希望を抱いているなどとどの口が言えるものか。
そんな想いを彼女が知ればどう思うか。
間違いなく嫌悪するだろう。いや、そもそも自分が視界に入ることさえ拒んでいるかもしれない。
それほど疎まれていても仕方のないことだ。
禰豆子を鬼にし、炭治郎以外の家族を皆殺しにしたのは鬼舞辻無惨だ。元凶はあの男なのは間違いない。
だが、義勇があと半日早く現場にたどり着けていればなにかが変わっていたかもしれない。
彼が殺されたとしても、禰豆子は鬼にならず、家族も誰も死なない。そんな未来があったかもしれない。
けれど義勇は間に合わなかった。被害者たちもそれを仕方ないで済ませられるはずがない。
そんな、仇も同然である男が、禰豆子に『人を襲わない鬼になれるかもしれない』という希望を抱いているなどとどの口が言えるものか。
そんな想いを彼女が知ればどう思うか。
間違いなく嫌悪するだろう。いや、そもそも自分が視界に入ることさえ拒んでいるかもしれない。
それほど疎まれていても仕方のないことだ。
そしてそれは雅貴にも言えることで、彼が義勇と禰豆子の経緯を知れば、ますます禰豆子から遠ざけるのは想像に難くなかった。
それだけは避けねばならなかった。彼女に疎まれようとも、会わなければならない理由があるからだ。
それだけは避けねばならなかった。彼女に疎まれようとも、会わなければならない理由があるからだ。
雅貴は語った。
『ひと悶着あったが、悠と共に抑え込んだため、いまは落ち着いている』と。
雅貴も認め、わざわざ禰豆子を保護し連れ歩いていることから、悠という青年が殺し合いに乗る輩ではないのはわかる。
ならば、禰豆子が暴れたのは何故だ?想像に難くない。悠と雅貴、どちらかの血の匂いに惹かれ、鬼としての本能が目覚めたのだろう。
いや、悠も雅貴も食われておらず、襲われたことに対しても納得し許しているのなら問題ではない。
問題は、悠と禰豆子と出会う前に既に人を襲っていた場合だ。
『ひと悶着あったが、悠と共に抑え込んだため、いまは落ち着いている』と。
雅貴も認め、わざわざ禰豆子を保護し連れ歩いていることから、悠という青年が殺し合いに乗る輩ではないのはわかる。
ならば、禰豆子が暴れたのは何故だ?想像に難くない。悠と雅貴、どちらかの血の匂いに惹かれ、鬼としての本能が目覚めたのだろう。
いや、悠も雅貴も食われておらず、襲われたことに対しても納得し許しているのなら問題ではない。
問題は、悠と禰豆子と出会う前に既に人を襲っていた場合だ。
禰豆子の傍には炭治郎がいない。これは即ち、悠と禰豆子が出会うまでは、彼女を止める枷がないということだ。
仮に悠の前に禰豆子が他の参加者と遭遇していれば、そのまま襲っていたかもしれない。
...いや、既にそうなっていた可能性は零ではない。
仮に悠の前に禰豆子が他の参加者と遭遇していれば、そのまま襲っていたかもしれない。
...いや、既にそうなっていた可能性は零ではない。
ここは殺し合いの場だ。そのうえ、人間でも手練れの者がおり、手強い鬼や先ほどのクラゲのような怪物共もいる。
そんな中で、如何に鬼である禰豆子といえど無傷でいられるとは思えない。
鬼は基本的に不死身とはいえ、負った傷を回復させるにはそれなりのエネルギーを消費する。
そのエネルギー補充に手っ取り早く効率的な方法はただ一つ。人を食うことだ。
そして、一度人の味を覚えた熊が何度も里を下りて似たような事件を起こすように、鬼も段々と理性はなくなり人を食うことにも抵抗が無くなっていく。
今まで人を食わなかった禰豆子が人を食えば、おそらく他の鬼と同じ末路を辿ることになるだろう。
そんな中で、如何に鬼である禰豆子といえど無傷でいられるとは思えない。
鬼は基本的に不死身とはいえ、負った傷を回復させるにはそれなりのエネルギーを消費する。
そのエネルギー補充に手っ取り早く効率的な方法はただ一つ。人を食うことだ。
そして、一度人の味を覚えた熊が何度も里を下りて似たような事件を起こすように、鬼も段々と理性はなくなり人を食うことにも抵抗が無くなっていく。
今まで人を食わなかった禰豆子が人を食えば、おそらく他の鬼と同じ末路を辿ることになるだろう。
まだ初めてのことだしいいじゃないか、悠や炭治郎がいればこれ以上被害も出ないじゃないか。
そういう声もあるかもしれない。実際に、彼らがいれば禰豆子は人を襲わないだろう。
ならば最初に食われた者の想いはどうなる。痛みに、絶望に、恐怖に苛まれながら食われた者の無念はどう償えばいい。
もしもそれらに目を背け蓋をし、己の都合だけを考慮するならばそれはもはやただの鬼だ。今まで斬ってきた者たちとなんら変わりない。
そういう声もあるかもしれない。実際に、彼らがいれば禰豆子は人を襲わないだろう。
ならば最初に食われた者の想いはどうなる。痛みに、絶望に、恐怖に苛まれながら食われた者の無念はどう償えばいい。
もしもそれらに目を背け蓋をし、己の都合だけを考慮するならばそれはもはやただの鬼だ。今まで斬ってきた者たちとなんら変わりない。
だからこの目で確かめる。
恐らく雅貴も悠も、彼女が人を食っていても庇いだてするだろう。身内ならば庇っても当然だ。
故に、彼らからではなく己の目で判断しなければならない。禰豆子が人を食ったかどうかを。
恐らく雅貴も悠も、彼女が人を食っていても庇いだてするだろう。身内ならば庇っても当然だ。
故に、彼らからではなく己の目で判断しなければならない。禰豆子が人を食ったかどうかを。
もしも彼女が人を食っていれば。枷が無ければあっさりと本能を剥き出しにしてしまうのなら。
禰豆子(おに)を。鬼と知りながら育ててくれた師を。鬼を見逃し犠牲を出した自分を。彼女を守ると決めた炭治郎を。
禰豆子(おに)を。鬼と知りながら育ててくれた師を。鬼を見逃し犠牲を出した自分を。彼女を守ると決めた炭治郎を。
鬼殺隊として、この手で、斬らなければならない。
(三回目の放送までには間に合うだろ。...ほんと、悠も禰豆子ちゃんも呼ばれないでくれよ頼むからさ)
(禰豆子...炭治郎...)
(禰豆子...炭治郎...)
互いの心情の変化に気づかぬまま、バイクは走る。
その果てに破滅しかなくとも、いまはただ前へと進む。
その果てに破滅しかなくとも、いまはただ前へと進む。
【C-5/1日目・午前】
【雨宮雅貴@HiGH&LOW】
[状態]:疲労(中)
[装備]:ハーレー・ダビッドソン VRSCDX【ナイトロッドスペシャル】@HiGH&LOW、明神切村正@Fate/Grand Order
[道具]:基本支給品一式、コブラのスカーフ、カップヌードル 北海道ミルクシーフー道ヌードル×数個@現実、オルタナティブ・ゼロのカードデッキ(ブランク体)、ランダム支給品0~2
[思考・状況]
基本方針:弟、仲間と一緒に生還する
1:自衛隊入間基地でコブラの遺体を探す。 その後、禰豆子のもとへ義勇を連れていく
2:広斗との合流
3:中野姉妹、鑢姉妹、竃門炭治郎を探す
4:村山とスモーキーは……まあ余裕があったら探してもいいかな
5:いずれ水澤悠、竃門禰豆子と合流する
6:あのクラゲのバケモン、なんか気になるんだよな
[備考]
※水澤悠と情報を交換し、数時間後に落ち会う約束をしました。落ち会う日時は、第三回目の放送後のC-7・街(悠たちと別れた場所)です。
※鑢七花を女性だと確信しています。
[状態]:疲労(中)
[装備]:ハーレー・ダビッドソン VRSCDX【ナイトロッドスペシャル】@HiGH&LOW、明神切村正@Fate/Grand Order
[道具]:基本支給品一式、コブラのスカーフ、カップヌードル 北海道ミルクシーフー道ヌードル×数個@現実、オルタナティブ・ゼロのカードデッキ(ブランク体)、ランダム支給品0~2
[思考・状況]
基本方針:弟、仲間と一緒に生還する
1:自衛隊入間基地でコブラの遺体を探す。 その後、禰豆子のもとへ義勇を連れていく
2:広斗との合流
3:中野姉妹、鑢姉妹、竃門炭治郎を探す
4:村山とスモーキーは……まあ余裕があったら探してもいいかな
5:いずれ水澤悠、竃門禰豆子と合流する
6:あのクラゲのバケモン、なんか気になるんだよな
[備考]
※水澤悠と情報を交換し、数時間後に落ち会う約束をしました。落ち会う日時は、第三回目の放送後のC-7・街(悠たちと別れた場所)です。
※鑢七花を女性だと確信しています。
【冨岡義勇@鬼滅の刃】
[状態]:疲労(小)
[装備]:無毀なる湖光@FGO、
[道具]:基本支給品一式×2、木剣、ランダム支給品0~3、真っ二つの半半羽織(私物)@鬼滅の刃
[思考・状況]
基本方針:鬼舞辻無惨を討つ。鬼を切り、人を守る。
0:禰豆子と会い、人を食ったかどうかを見極める。もしも食っていれば斬り、炭治郎に伝えた後に共に切腹する。
1:鬼が潜んでいる可能性のある自衛隊入間基地に向かう。
[備考]
※参戦時期、柱稽古の頃。
[状態]:疲労(小)
[装備]:無毀なる湖光@FGO、
[道具]:基本支給品一式×2、木剣、ランダム支給品0~3、真っ二つの半半羽織(私物)@鬼滅の刃
[思考・状況]
基本方針:鬼舞辻無惨を討つ。鬼を切り、人を守る。
0:禰豆子と会い、人を食ったかどうかを見極める。もしも食っていれば斬り、炭治郎に伝えた後に共に切腹する。
1:鬼が潜んでいる可能性のある自衛隊入間基地に向かう。
[備考]
※参戦時期、柱稽古の頃。
| 前話 | お名前 | 次話 |
| 見えざる糸 | 冨岡義勇 | |
| 雨宮雅貴 |