命ノゼンマイ ◆ZbV3TMNKJw
・
・
・
明さんと俺で球磨川の墓穴を掘っているときに、新たな同行者、竈門炭治郎は目を覚ました。
彼は目を覚ますなり、状況を把握し自分にも手伝わせてほしいと申し出たが、明さんと俺はどうにか押しとどめた。
おれ達三人の中で最も重傷・疲労しているのは炭治郎だ。そんな彼は、いまはとにかく身体を休ませるべきだし、球磨川の墓はあいつと一番関わりの深い自分たちがやるべきだろう。
そんな旨を伝えれば、炭治郎も納得し、それなら他に命を落とした仲間...城戸さんと沖田さんがいるので共に埋葬したいというので、俺は墓穴を掘るのを続け、明さんは炭治郎と共に遺体を探しにいった。
時間にして、5分もかからなかっただろう。炭治郎は城戸さんの場所を知っていたし、沖田さんは傍にいたようで、二人とも明さんが背負ってきた。
彼は目を覚ますなり、状況を把握し自分にも手伝わせてほしいと申し出たが、明さんと俺はどうにか押しとどめた。
おれ達三人の中で最も重傷・疲労しているのは炭治郎だ。そんな彼は、いまはとにかく身体を休ませるべきだし、球磨川の墓はあいつと一番関わりの深い自分たちがやるべきだろう。
そんな旨を伝えれば、炭治郎も納得し、それなら他に命を落とした仲間...城戸さんと沖田さんがいるので共に埋葬したいというので、俺は墓穴を掘るのを続け、明さんは炭治郎と共に遺体を探しにいった。
時間にして、5分もかからなかっただろう。炭治郎は城戸さんの場所を知っていたし、沖田さんは傍にいたようで、二人とも明さんが背負ってきた。
ザクッ。ザクッ。ポイッ。
三つの墓穴を掘り終えた俺は、道中に拾ったスコップを投げ捨て、明さんが球磨川だった残骸と二人の男たちの遺体を傍に並べた。
残骸―――そう。佐藤の攻撃で吹き飛んだ球磨川は終ぞ戻らなかった。
爆弾で吹き飛ばされても『なかった』ことにしてきたあいつだ。万が一にもあのヘラヘラとした笑みと共に戻ってくるかもしれない。そんな考えは見事に打ち砕かれてしまった。
当然だ。ここが殺し合いである以上、死そのものを『なかった』ことにされればゲームが成り立たなくなってしまう。
そこのところを考えれば、下手な不死身よりも球磨川を重点的にマークするのは当たり前だ。
残骸―――そう。佐藤の攻撃で吹き飛んだ球磨川は終ぞ戻らなかった。
爆弾で吹き飛ばされても『なかった』ことにしてきたあいつだ。万が一にもあのヘラヘラとした笑みと共に戻ってくるかもしれない。そんな考えは見事に打ち砕かれてしまった。
当然だ。ここが殺し合いである以上、死そのものを『なかった』ことにされればゲームが成り立たなくなってしまう。
そこのところを考えれば、下手な不死身よりも球磨川を重点的にマークするのは当たり前だ。
そして、いよいよ埋葬...なのだが、その前にやるべきことがあった。
首輪の回収。
これを解析しなければ、俺たちは首輪を外すことなどできないしいざ主催のもとへ向かった時にあっさり爆破されてしまう。
ほぼ残骸だった球磨川からは容易く取れたが、問題は残る二人のぶんだ。
遺体の首を斬る―――それは仏を辱めるのに他ならない。既に死んでいるとはいえそれに拒否感を持ってしまうのは致し方ないことだろう。
首輪の回収。
これを解析しなければ、俺たちは首輪を外すことなどできないしいざ主催のもとへ向かった時にあっさり爆破されてしまう。
ほぼ残骸だった球磨川からは容易く取れたが、問題は残る二人のぶんだ。
遺体の首を斬る―――それは仏を辱めるのに他ならない。既に死んでいるとはいえそれに拒否感を持ってしまうのは致し方ないことだろう。
「二人とも。あまり見るな、気分を悪くするぞ」
その役を進んで買って出たのは明さんだ。
炭治郎は二人と関わりが深く、俺は人の肉を綺麗に斬れるような技術を持っていない。
それを明さんは即座に判断したのだろう。
炭治郎は二人と関わりが深く、俺は人の肉を綺麗に斬れるような技術を持っていない。
それを明さんは即座に判断したのだろう。
「いえ。俺にやらせてください」
しかし炭治郎はそれを断った。明さんの気遣いに気が付いていない...というわけではないらしい。
「沖田さんも城戸さんも俺の仲間です。二人の想いを背負うためにも、俺がやらなくちゃダメなんです」
「...そうか」
「...そうか」
明さんは特に反論などはせず、炭治郎に役を譲った。
彼が覚悟をしているのなら止める必要はない、ということだろう。
彼が覚悟をしているのなら止める必要はない、ということだろう。
「沖田さん、城戸さん」
炭治郎は片膝を地に着け、二人に語り掛けるように口を開いた。
「後につなぎます。あなたたちに守られたこの命で、俺が」
ピタリ、と沖田さんの首元に剣が宛がわれる。そして
「ありがとうございました」
シャッ
一瞬、風が吹いたかと思えば、沖田の首から小さく血が滲み出た。
次いで、城戸の遺体にも同様の挨拶をかわし、刀を振るった。
静かな介錯だった。
透き通る水のような、優しささえ感じるほどの太刀筋だった。
透き通る水のような、優しささえ感じるほどの太刀筋だった。
けれど。
それを振るった炭治郎の心境は如何なるものだったのか。
あの、俺よりも小さな背中でどれほどのものを背負っているのだろうか。
俺では彼の感情を測れない。
それを振るった炭治郎の心境は如何なるものだったのか。
あの、俺よりも小さな背中でどれほどのものを背負っているのだろうか。
俺では彼の感情を測れない。
俺は、彼になんの慰めの声もかけることはできなかった。
三人に土を被せ、手を合わせ黙祷する明さん。それに合わせて俺も炭治郎も共に黙祷をささげた。
「...球磨川、俺はおまえのことが嫌いだったよ」
明さんが、ぽつりと小さな声でつぶやいた。
「お前がなにを考えているか、最後までサッパリわからなかったし、ずっとヘラヘラしてるその顔も不気味でしょうがなかった」
明さんの言葉に概ね同意だった。
この殺し合いで初めて出会い、数時間を共に過ごした俺でも、やはり球磨川にあまりいい印象はない。
死んでしまったいまも、涙なんかも出やしなかった。
死んでしまったいまも、涙なんかも出やしなかった。
「けどなんでだろうな...お前がいなくなって、心に穴が空いたようだ。まるで自分の何かが欠けたような...」
そこで明さんは言葉を止め、黙祷に集中した。
俺も似たような気持ちだった。
いや、終始警戒していた明さんよりは、自分の本心に気づかされた俺の方がその気持ちは大きいか。
人間であれば誰もが持っている弱い部分、あるいは負の側面。
それを鏡のように映しだすのが球磨川禊だ。俺も明さんも、あいつを通して負の面を見せつけられていた。
明さんはどうかはわからないが、俺は、その負の面も切り捨ててはいけないと思い知らされた。
だから、あいつを失うというのは自分の一部を喪うのも同様だった...んだろうな。ハッキリとは言えないが。
俺も似たような気持ちだった。
いや、終始警戒していた明さんよりは、自分の本心に気づかされた俺の方がその気持ちは大きいか。
人間であれば誰もが持っている弱い部分、あるいは負の側面。
それを鏡のように映しだすのが球磨川禊だ。俺も明さんも、あいつを通して負の面を見せつけられていた。
明さんはどうかはわからないが、俺は、その負の面も切り捨ててはいけないと思い知らされた。
だから、あいつを失うというのは自分の一部を喪うのも同様だった...んだろうな。ハッキリとは言えないが。
1分ほど黙祷を続けたところで、明さんは手を下ろし立ち上がった。
「ひとまずここから離れよう。二人とも、歩けるか?」
明さんの言葉に肯定の意を示し、万が一のことを考え三つの首輪を三人で分け、俺たち三人はその場を後にした。
歩きながら、遅ればせながらの簡潔な自己紹介と情報交換にしゃれこむ俺たち三人。
収穫はおおいにあった。
まずは、炭治郎の同行者たちがこの付近にいて、北の方で合流する予定であること。
そして、俺の探し人である三人が纏まって行動していること。
収穫はおおいにあった。
まずは、炭治郎の同行者たちがこの付近にいて、北の方で合流する予定であること。
そして、俺の探し人である三人が纏まって行動していること。
それを知った炭治郎は「良かった」と殊更に喜び、俺の目を真っすぐに見据えて言った。
必ず会わせる、あなたを守り抜く、と。
必ず会わせる、あなたを守り抜く、と。
俺は少し顔が赤くなり、思わず目を逸らした。
恋愛ドラマでヒロインが言われるような言葉を俺が言われるとは思わなかった。
同時に、俺も彼のように言えたらいいのに、と羨望した。
同時に、俺も彼のように言えたらいいのに、と羨望した。
俺にも炭治郎や明さんのような勇気が、力があれば。
―――『おいおい』『それじゃあラブコメじゃなくてバトル漫画のキャラクターだぜ』『弱い僕らは遍く争いを愛情の力でぐだぐだにしてやろうって誓いあったじゃないか』
球磨川が生きていればこんな言葉をかけられただろうな。
ただ、収穫とはいい知らせばかりじゃない。
炭治郎が齎した『鬼』という存在。
どうやら、明さんが語った吸血鬼とは別物らしく、その一体一体が首を斬るか日光に当てないと死なない、ほぼ不死身の人を食う生物らしい。
その元凶たる存在もこの殺し合いに参加させられている。鬼舞辻無惨。そいつを殺すことが、鬼殺隊とかいう炭治郎の所属する部隊の存在意義らしい。
炭治郎が齎した『鬼』という存在。
どうやら、明さんが語った吸血鬼とは別物らしく、その一体一体が首を斬るか日光に当てないと死なない、ほぼ不死身の人を食う生物らしい。
その元凶たる存在もこの殺し合いに参加させられている。鬼舞辻無惨。そいつを殺すことが、鬼殺隊とかいう炭治郎の所属する部隊の存在意義らしい。
クラゲの化け物。吸血鬼。鬼。それに、さっきの爺さんみたいな生態系がよくわからない奴もいるかもしれない。
とんでもないことになった。
知らないまま関わるよりはマシだったが、こんな超常現象ごった煮な状況を突き付けられて平然としていられる訳がない。
知らないまま関わるよりはマシだったが、こんな超常現象ごった煮な状況を突き付けられて平然としていられる訳がない。
俺は、チラ、と明さんへと視線を移した。
「―――ハ。奇遇だな。俺にも、殺さねェと生きていけねェ雅という男がいるんだよ」
笑みを浮かべていた。
俺にも球磨川にも見せなかった、凶悪で、けれどどこか哀愁を漂わせる笑みを。
俺にも球磨川にも見せなかった、凶悪で、けれどどこか哀愁を漂わせる笑みを。
「同志ってやつだな。一緒に戦おう。奴らを、殺すために」
「はい!よろしくお願いします!」
「はい!よろしくお願いします!」
初めてだった。明さんが共に戦おうと言ったのは。
炭治郎が敵を殺す力を持った少年だからか?いや、それだけじゃない。
仮に、俺や球磨川が炭治郎のような身体能力や剣技を持っていても、明さんは同行を申し出ることはなかっただろう。
炭治郎が敵を殺す力を持った少年だからか?いや、それだけじゃない。
仮に、俺や球磨川が炭治郎のような身体能力や剣技を持っていても、明さんは同行を申し出ることはなかっただろう。
きっと、炭治郎は明さんと似ているのだろう。異形の者に親しい者を奪われ、その怒りと悲しみに苛まれた。でなければ、あれほどの殺意と執念を抱くことが出来ない。
それは俺が決して到達できない領域だ。俺には、四葉と五月を殺した奴への殺意と執念も、殺意に見合った力もない。
手を伸ばせばそこにある背中が遠く見える。
俺はあの二人の隣に並び立てない。ただ守られることしかできない。それがひどく悔しかった。
それは俺が決して到達できない領域だ。俺には、四葉と五月を殺した奴への殺意と執念も、殺意に見合った力もない。
手を伸ばせばそこにある背中が遠く見える。
俺はあの二人の隣に並び立てない。ただ守られることしかできない。それがひどく悔しかった。
―――『人間誰しもできないことってのはあるんだぜ』『弱いなら弱いなりにやれることはたくさんあるんだし』『だからきみは悪くない』
また脳内の球磨川が囁いてきた。死んでなお楽な方に気持ちを引き込もうとするのは流石と言うべきなのだろうか。
ブ オ オ オ オ オ オ オ
どこからか、エンジンの音が耳に届いた。
俺が思わず目をやると、一台のジープが迫ってきていた。
こちらに気づいていないのか、あるいは気づきながらか。ジープはかなりのスピードを出している。
俺が思わず目をやると、一台のジープが迫ってきていた。
こちらに気づいていないのか、あるいは気づきながらか。ジープはかなりのスピードを出している。
このままでは衝突する。俺は慌ててどこうとするも、炭治郎が俺を護るように剣を構えジープと向き合い、その前へと明さんが進み出る。
「まさか斬るつもりなのか、明さん、炭治郎!」
「止まってくれ、俺の名は竈門炭治郎!!俺たちは殺し合いには乗るつもりはない!!」
「止まってくれ、俺の名は竈門炭治郎!!俺たちは殺し合いには乗るつもりはない!!」
炭治郎はあくまでも最終手段として車に剣を振るうつもりのようだ。
だが、明さんは。
だが、明さんは。
「動くな、二人とも」
それだけを告げ、俺たちへと振り返ることなく刀を構える。
そして。
ザワッ
空気が変わった。空間が歪んでいると錯覚するほどの濃い殺気だ。
その主は明さん。球磨川や爺さんの時にすら見せなかったほどの殺気が俺たちにも降りかかる。
もしかしたらあの車のドライバーは恐怖で錯乱しているのでは。そんなあり得るかもしれない可能性を口にするのも憚られるようだ。
まるで、明さんはこの車の主が止まらないことを知っていたかのように、殺気を抑える素振りすらみせない。
いよいよ目前にまで接近するジープ。
そして。
その主は明さん。球磨川や爺さんの時にすら見せなかったほどの殺気が俺たちにも降りかかる。
もしかしたらあの車のドライバーは恐怖で錯乱しているのでは。そんなあり得るかもしれない可能性を口にするのも憚られるようだ。
まるで、明さんはこの車の主が止まらないことを知っていたかのように、殺気を抑える素振りすらみせない。
いよいよ目前にまで接近するジープ。
そして。
ザ ン ッ
斬った。高速で迫る鉄の塊は、明さんの一太刀で真っ二つになった。
縦に裂かれたジープは、慣性の法則に従い俺たちを通り過ぎ、数メートル後ろで爆発した。
縦に裂かれたジープは、慣性の法則に従い俺たちを通り過ぎ、数メートル後ろで爆発した。
ブ ワ ッ
爆風の勢いで俺たち三人はもみくちゃになり地面に転がった。
幸い、俺たちに大したダメージはなく、ただ体勢が崩れただけだった。
幸い、俺たちに大したダメージはなく、ただ体勢が崩れただけだった。
真っ先に立ち上がったのは明さんだった。
俺たちよりも前に進みでて、メラメラと立ち上がる炎、その先をジッと見据えている。
俺たちよりも前に進みでて、メラメラと立ち上がる炎、その先をジッと見据えている。
ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、ハァ。
明さんの呼吸につられて、俺たちもそんな呼吸になる。
ザッ。
地面を踏みしめる音がした。
ザッ。ザッ。ザッ。
うねる炎の渦、その燃え盛る炎の音すら踏みしめるような音が。
オ オ オ オ オ オ オ オ オ オ オ オ
ザッ。ザッ。ザッ。ザッ。ザッ。ザッ
ザッ。ザッ。ザッ。ザッ。ザッ。ザッ
炎の音が、負けてたまるかと主張するように勢いを増した。
オ オ オ オ オ オ オ オ オ オ オ オ オ オ オ オ
炎の音が、足音を塗りつぶした。
同時に人影が、炎の中より浮かび上がる。
同時に人影が、炎の中より浮かび上がる。
「嬉しい挨拶じゃないか...会いたかったぞ、明」
ヌッ、と炎の中から現れたのは、男だった。
白い髪と白い肌。そして赤い眼窩が特徴的な男だった。
白い髪と白い肌。そして赤い眼窩が特徴的な男だった。
「俺もだよ」
明さんの続く言葉を聞いたとき、俺は理解した。
「ずっとお前を殺したかった」
こいつが、この男が雅だと。
★
パチ パチ パチ。
炎が生み出す熱気は風太郎の呼吸を阻害し肺に熱をもたらす。
だが、その熱すら忘れるほど、風太郎は明と雅の一挙一動に見入っていた。
だが、その熱すら忘れるほど、風太郎は明と雅の一挙一動に見入っていた。
雅の口ぶりからして、あちらも明を探しているようだった。
求めていたのは同じ。ならば、彼らはどう出るのか。
求めていたのは同じ。ならば、彼らはどう出るのか。
タッ。
明が走った。先ほどまで足を引きずっていた男とは思えないほどの速さで。
(殺す)
明の脳内にあるのは純然たる殺意だけだった。
(彼岸島の、俺たちの悲劇のすべての元凶!!)
雅は動かない。ただ変わらず笑みを浮かべているだけだ。
二人の距離はみるみるうちに縮まっていく。
二人の距離はみるみるうちに縮まっていく。
その数秒程度の、しかし右腕を斬られてより焦がれ続けてきたこの瞬間。明は叫んだ。
「雅ィィィィィィィィ!!!!!」
明の日輪刀が、雅の頭を裂かんと振り下ろされた。
キ ン ッ
鳴り響く金属音。
明の刀が届く寸前、雅がブーメランで受け止めた音だ。
明の刀が届く寸前、雅がブーメランで受け止めた音だ。
互いの刃を挟み、交わる互いの双眸。
始まる鍔迫り合いに、両者は一歩も引かない。
始まる鍔迫り合いに、両者は一歩も引かない。
「面白い。また、一段と腕をあげたようだな明よ」
「ほざけ!!」
「ほざけ!!」
グンッ
一歩引き、鍔迫り合いの硬直状態から抜け出す雅に、追い打ちの斬撃を放つ明。
雅は身を翻し、ひらりと躱す。
雅は身を翻し、ひらりと躱す。
「うおおおおおお!!」
幾度振るおうが、刃は雅にかすりもしない。
「ハハハハハ、かすりもしないじゃないか明!これでは前とあまり変わらんぞ。私の想像よりも伸びしろは少なかったか?」
「黙れ!」
「黙れ!」
憎悪の形相で刀を振るう明と笑みすら浮かべて回避し続ける雅。
どちらが優勢か、第三者が見れば明らかだろう。
どちらが優勢か、第三者が見れば明らかだろう。
そう。第三者から見れば、だ。
ドンッ。
雅の背中になにかが当たる。
雅の背中になにかが当たる。
「なっ、これは大木!」
いつの間にかあった大木に、雅は思わず動きを止める。
「貴様、ここに誘導していたか!闇雲に剣を振るっていたわけではないな!?」
「うおおおおおお!」
「うおおおおおお!」
腕を横なぎに振るい、足元と胴体に放たれる連刃。同時二撃の斬撃だ。雅の武器は一つ。ならば、ひとつは受け止められてもどちらかは当たる。
身を屈めても、跳躍しても躱せぬこの斬撃、後退しようにもその選択肢は大木に潰されている。
身を屈めても、跳躍しても躱せぬこの斬撃、後退しようにもその選択肢は大木に潰されている。
(斬る!このまま―――)
パンッ。
否。雅は回避も防御による軽減も選ばず。
右手足を同時に上げ、右足で足元の刃を、右手のブーメランで胴体への刃をかちあげた。
吸血鬼の身体能力が無ければ為しえない荒業である。
右手足を同時に上げ、右足で足元の刃を、右手のブーメランで胴体への刃をかちあげた。
吸血鬼の身体能力が無ければ為しえない荒業である。
「なっ」
流石にこの防ぎ方を想定していなかった明の動きが思わず止まる。
その隙を突き、放たれる雅の左掌が、パァン、と小気味よい音と共に明の頬を叩く。
その隙を突き、放たれる雅の左掌が、パァン、と小気味よい音と共に明の頬を叩く。
「ぐあっ」
「惜しかったな、明」
「惜しかったな、明」
地面に倒れた明へと振るわれるブーメランでの斬撃。
それを防ぐのは、明には不可能。
それを防ぐのは、明には不可能。
故に、防いだのは柔軟な型である水の呼吸を使える炭治郎だった。
「ぐ、うううぅぅ!!」
「ほう。私の一撃を受け止めるか。なかなかやるじゃないか小僧」
「ほう。私の一撃を受け止めるか。なかなかやるじゃないか小僧」
雅の斬撃を受け止める炭治郎の手が震える。
見かけ以上に重い。自分が疲労しているぶんを差し引いても、この男の腕力は自分よりかなり上だ。
見かけ以上に重い。自分が疲労しているぶんを差し引いても、この男の腕力は自分よりかなり上だ。
(明さんはこんな奴と打ち合っていたのか...!)
当然、耐えきれる限界の力で振り下ろされる斬撃を受け止めていれば、他の部位への集中力は削られる。
雅の蹴りが、炭治郎の腹部へと無造作に放たれるが、それを避ける術はない。
雅の蹴りが、炭治郎の腹部へと無造作に放たれるが、それを避ける術はない。
明が咄嗟に左掌を挟み込み、直接のダメージを軽減、加えて弾かれる勢いを利用し炭治郎の服を掴み、後方へと投げる。
左掌に走る痛みに耐えつつ、明は右手で残された雅の足を掬い上げる。
そのまま倒れた雅は、受け身をとる間もなく後頭部を地面にぶつけた。
そのまま倒れた雅は、受け身をとる間もなく後頭部を地面にぶつけた。
「ぐあっ」
苦悶の声をあげる雅だが、そのまま首を支点にし、後転しつつ蹴り上げを放つことで明を牽制、明も後退し、炭治郎と共に体勢を立て直した。
ハー ハー
ハァ ハァ
ハァ ハァ
一坦の静寂に、雅と明の呼吸が溶けていく。
「す...すげェ...」
一部始終を見ていた風太郎は、思わず呟いていた。
それはあの攻防に割って入れた炭治郎であり、猛攻を仕掛け続けた明であり、それを悠々と捌いて見せた雅に対してである。
改めて思い知らされる。
彼らとは生きている世界が違い、自分がどれほどちっぽけな存在であるかを。
それはあの攻防に割って入れた炭治郎であり、猛攻を仕掛け続けた明であり、それを悠々と捌いて見せた雅に対してである。
改めて思い知らされる。
彼らとは生きている世界が違い、自分がどれほどちっぽけな存在であるかを。
「小僧、貴様その服の一文字...どこかで見た覚えがある」
「俺は鬼殺隊の一人、竈門炭治郎だ」
「鬼殺隊...確か煉獄もそう名乗っていたな。ハッ、奴の言う通り、確かに頼れる男のようだ」
「煉獄さんを知っているのか!?」
「俺は鬼殺隊の一人、竈門炭治郎だ」
「鬼殺隊...確か煉獄もそう名乗っていたな。ハッ、奴の言う通り、確かに頼れる男のようだ」
「煉獄さんを知っているのか!?」
炭治郎の煉獄の名への反応に、雅はニィ、と口角を吊り上げ嗤った。
「この殺し合いで初めて会った男だ。ヒトヨシだかヒトキチだかいう小僧を守ろうとしたのでな。食ってやったよ」
「嘘だ。お前からは俺を嘲る匂いがする」
「嘘だ。お前からは俺を嘲る匂いがする」
炭治郎を怒らせその反応を楽しむつもりだったが、すぐに看破された雅の笑みが薄くなる。
別に騙しきれるとまでは思わなかったが、こうまであっさりとばれてしまっては面白くない。
そんな感情がありありと表情に表れている。
別に騙しきれるとまでは思わなかったが、こうまであっさりとばれてしまっては面白くない。
そんな感情がありありと表情に表れている。
ただ、煉獄と会ったのは本当なのだろう。それに、この場においても人を守ろうとしたというのも。でなければ、ピンポイントでその名前を出すとは思えない。
やはり本物の煉獄さんだ―――その事実に、炭治郎は密かに喜ぶ。
早く共に戦いたい。剣を並べたい。あの時の感謝を、ちゃんと伝えたい。
逸る気持ちを抑え、炭治郎は刀を握りしめる。
やはり本物の煉獄さんだ―――その事実に、炭治郎は密かに喜ぶ。
早く共に戦いたい。剣を並べたい。あの時の感謝を、ちゃんと伝えたい。
逸る気持ちを抑え、炭治郎は刀を握りしめる。
煉獄が雅と相いれる筈もなく、であるならば交戦はあったはず。それはつまり、この男は煉獄ですら仕留めきれなかったということだ。
先のやり取りで実力を測りきるのは無理だろう。未だに未知数の相手だ。けれど逃げる訳にはいかない。
先のやり取りで実力を測りきるのは無理だろう。未だに未知数の相手だ。けれど逃げる訳にはいかない。
明との情報交換で、この男が危険人物であることはわかっていた。
けれど、こうして向き合うことで改めて思い知らされる。
この男から漂ってくる匂いは、鬼舞辻無惨と同じだ。夥しいほどの血肉と屍の匂い、悪意が服を着ているような醜悪な匂い。
仕留めねば、確実に多くの人が犠牲になる。
悪鬼滅殺。その信念のもと、炭治郎は両脚に力を籠める。
けれど、こうして向き合うことで改めて思い知らされる。
この男から漂ってくる匂いは、鬼舞辻無惨と同じだ。夥しいほどの血肉と屍の匂い、悪意が服を着ているような醜悪な匂い。
仕留めねば、確実に多くの人が犠牲になる。
悪鬼滅殺。その信念のもと、炭治郎は両脚に力を籠める。
「炭治郎、お前は上杉を連れて仲間たちと合流しろ」
それを制したのは、明の腕だった。
「なっ、なんで...」
「いいのか明?そこの小僧はお前ほどではないが、確かに腕が立つ。私に勝つ千載一遇のチャンスを失うことになるぞ?」
「いいのか明?そこの小僧はお前ほどではないが、確かに腕が立つ。私に勝つ千載一遇のチャンスを失うことになるぞ?」
雅の言う通りだ。
自分はまだ動ける。戦える。
いかに明といえど、あの男に一人で勝てるとは思えない。
自分はまだ動ける。戦える。
いかに明といえど、あの男に一人で勝てるとは思えない。
「奴の血は他者に感染する。ひとたび奴の血が身体に入れば、吸血鬼となり奴と同類になってしまう。奴に、戦力の差など関係ないんだ」
それに、と言葉を切り、炭治郎へと真っすぐに向き合う。
「これは俺たちの問題なんだ。だから、俺の手で決着を着けさせてくれ」
そして、くるりと背を向け改めて雅と向き合う。
炭治郎が共に戦ってくれようとするのは嬉しかった。力不足ではないとも思っている。
だが、既に至る箇所に傷口を刻まれている炭治郎では感染のリスクが高すぎる。上杉を守りながらではなおさらだ。
なにより奴との決着はこの手で着けたい。数多の墓前の前で誓った自分の手で奴を斬りたい。
そんな子供じみた我が儘を、明は譲ることはできなかった。
炭治郎が共に戦ってくれようとするのは嬉しかった。力不足ではないとも思っている。
だが、既に至る箇所に傷口を刻まれている炭治郎では感染のリスクが高すぎる。上杉を守りながらではなおさらだ。
なにより奴との決着はこの手で着けたい。数多の墓前の前で誓った自分の手で奴を斬りたい。
そんな子供じみた我が儘を、明は譲ることはできなかった。
炭治郎は思う。
沖田さんは自分と別れたところで死んでしまった。城戸さんは、自分が気を失っている時に死んでしまった。
いま、ここではいと頷けば、明さんも死んでしまうかもしれない。
けれど。
彼も言った通り、雅の血が感染するのなら、下手に組んで戦わない方がいい。
それも、一般人である風太郎を守りつつ、自分に明に類するの実力がないのならばなおさらだ。
沖田さんは自分と別れたところで死んでしまった。城戸さんは、自分が気を失っている時に死んでしまった。
いま、ここではいと頷けば、明さんも死んでしまうかもしれない。
けれど。
彼も言った通り、雅の血が感染するのなら、下手に組んで戦わない方がいい。
それも、一般人である風太郎を守りつつ、自分に明に類するの実力がないのならばなおさらだ。
悔しい。自分は、煉獄の言葉を受けてから経験を積み、確かに強くなった。
けれども遠い。
もしもこの場にいるのが煉獄さんなら。義勇さんなら。しのぶさんなら。城戸さんなら。沖田さんなら。
明さんも、素直に背中を預けてくれたかもしれない。
自分はまだ未熟だ。
肝心な時に、いつも力が足りない。
けれども遠い。
もしもこの場にいるのが煉獄さんなら。義勇さんなら。しのぶさんなら。城戸さんなら。沖田さんなら。
明さんも、素直に背中を預けてくれたかもしれない。
自分はまだ未熟だ。
肝心な時に、いつも力が足りない。
炭治郎はぐっ、と息を呑み、言葉を吐き出した。
「一花さんたちと合流したらすぐに迎えに来ます!だから絶対に死なないでくれ!!」
炭治郎の叫びを背に受けた明は、そのまま返事を返した。
「お前の方こそ死ぬんじゃないぞ!上杉もだ。こんなところで死んだら球磨川に笑われるからな!」
明の激励を聞いた炭治郎は、風太郎のもとへと向かい、手をとり駆け出した。
これを今生の別れにするつもりはない。けれど、こんなギリギリの極限の状況では、否が応にも背筋が冷たくなってしまう。
炎の産む熱気すら凌ぐ、悪寒が。
これを今生の別れにするつもりはない。けれど、こんなギリギリの極限の状況では、否が応にも背筋が冷たくなってしまう。
炎の産む熱気すら凌ぐ、悪寒が。
「―――ッ!」
慌てて風太郎を抱き抱え跳躍する。
遅れて、彼らのいた場所に、氷の粒てが降り注いだ。
遅れて、彼らのいた場所に、氷の粒てが降り注いだ。
「な、なんだアレ...」
風太郎の視線の先に佇むのは、透明な氷で出来た、1尺から2尺の中間程度の大きさの氷人形。
まさかあんなものが先の攻撃を放ったのか?あれは雅の支給品か?あるいは参加者か?
存在自体に疑問を抱く代物だが、なんにせよこのまま背を向けて逃げられそうもない。
まさかあんなものが先の攻撃を放ったのか?あれは雅の支給品か?あるいは参加者か?
存在自体に疑問を抱く代物だが、なんにせよこのまま背を向けて逃げられそうもない。
「赤き龍、上杉さんを頼みます!」
炭治郎はドラグレッダーに風太郎の護衛を頼み、自らは人形へと駆け出す。
―――水の呼吸、拾の型 生生流転。
放たれる雪風に対し炭治郎が選ぶ型は、うねる龍のように回転しながら斬ることにより、走りながらも相手の技を斬れる、水の呼吸において最大の破壊力を生み出せる型。
迫りくる雪風を斬り、斬り、斬り続ける。
迫りくる雪風を斬り、斬り、斬り続ける。
「うおおおおおおおお!!」
炭治郎は、雄たけびと共に刀を振り下ろさんと地面を強く踏み込む。
が。
ツルリ。
炭治郎の足が滑り、顔から落下する。
氷だ。
人形の付近に、いつの間にか張り巡らされていた氷の床が、炭治郎の自由を奪ったのだ。
が。
ツルリ。
炭治郎の足が滑り、顔から落下する。
氷だ。
人形の付近に、いつの間にか張り巡らされていた氷の床が、炭治郎の自由を奪ったのだ。
顔面への強い衝撃に一瞬ひるむが、しかしすぐに体勢を立て直し、すぐに飛び退き、迫りくる雪風から再び距離をとる。
(あ、危なかった。俺の頭が硬くなかったら殺されていた!!)
「大丈夫か炭治郎!」
「大丈夫か炭治郎!」
駆け寄ろうとした風太郎を手で制し、呼びかける。
「俺があいつを引き付けます。その間に上杉さんは北に向かってください」
「そんなこと...!」
「そんなこと...!」
できるか、と言いかけた言葉は、口に出す前に飲み込んだ。
どう見ても炭治郎とあの人形の相性は悪い。このままでは間違いなく彼が負けるだろう。
だが、今まで何を見てきた。
佐藤も。雅も。あの人形も。自分ごときがなにかできるような相手じゃない。
むしろ、この場にいるだけで、明と炭治郎の足を引っ張ってしまう。
だったら、やることは決まっている。
どう見ても炭治郎とあの人形の相性は悪い。このままでは間違いなく彼が負けるだろう。
だが、今まで何を見てきた。
佐藤も。雅も。あの人形も。自分ごときがなにかできるような相手じゃない。
むしろ、この場にいるだけで、明と炭治郎の足を引っ張ってしまう。
だったら、やることは決まっている。
「炭治郎、俺に龍の護衛はいらない。戻してくれ」
「上杉さん?」
「もしも俺がなんの問題もなくあいつらと合流出来たら、この龍が俺に構っていた時間が無駄になる。それよりも、確実にこの力が必要な戦いに時間を割かせた方がいい」
「けど」
「どのみち、俺が逃げ切る前にお前たちが殺されたら俺も死んだようなものだ。だったら少しでも生存確率が高い方に賭けた方がいい...そう考えてくれ」
「上杉さん?」
「もしも俺がなんの問題もなくあいつらと合流出来たら、この龍が俺に構っていた時間が無駄になる。それよりも、確実にこの力が必要な戦いに時間を割かせた方がいい」
「けど」
「どのみち、俺が逃げ切る前にお前たちが殺されたら俺も死んだようなものだ。だったら少しでも生存確率が高い方に賭けた方がいい...そう考えてくれ」
風太郎の理詰めの反論には抗えず、炭治郎は一呼吸置いた後に、ドラグレッダーを再び譲り受けた。
「炭治郎。一花たちと合流したら、雅の言っていた煉獄って人を探して連れてくる。それまで絶対に無茶をするなよ」
「上杉さんも気を付けて」
「上杉さんも気を付けて」
炭治郎の言葉を受け、風太郎は駆け出した。
風太郎の背中が遠ざかっていくのを見つつ、炭治郎は呼吸を整える。
明との距離はまださほど離れておらず、ここからも見え、駆け出せばすぐに届く距離でもある。
明との距離はまださほど離れておらず、ここからも見え、駆け出せばすぐに届く距離でもある。
つまり、ここで炭治郎が人形に負ければ、風太郎どころか明さえも危機に陥ることになる。
絶対に負けられない。その為に、己を鼓舞する。
絶対に負けられない。その為に、己を鼓舞する。
(俺は繋ぐ...沖田さんの信念を、城戸さんの意志を。心を燃やせ。負けるな。折れるな。今、自分にできることを精一杯やれ!)
そんな炭治郎と人形を見て、笑みを浮かべる雅。
「ハッ。また愉快な奴が現れたじゃないか」
「余所見をするなよ、雅。お前の相手は俺だ」
「ああ、そうだな。明よ、今はお前との遊びを楽しもう」
「余所見をするなよ、雅。お前の相手は俺だ」
「ああ、そうだな。明よ、今はお前との遊びを楽しもう」
帝王の胸の高鳴りは、未だ鳴りやまない。
★
戦場から遠ざかりながら、俺は思う。
(なんてこった...これじゃ、まるでリレーだな)
明から逃げるように託され、炭治郎から逃げるように託されて。そのアンカーたる男を探す為に走っている。
得意の勉強が何一つ活かせない。運動が苦手な自分に対して嫌がらせのような試練の連続だ。
それでもやり遂げなければいけない。すべてはこの両脚にかかっているのだから。
得意の勉強が何一つ活かせない。運動が苦手な自分に対して嫌がらせのような試練の連続だ。
それでもやり遂げなければいけない。すべてはこの両脚にかかっているのだから。
「は、ははっ」
なぜだか笑みが浮かんでしまう。これが球磨川の言っていた、括弧つけなくちゃやってられない、という気持ちなのだろうか。
あるいは王道少年漫画か?あまり読んだ覚えはないが。
非常事態にこんな考えが浮かぶなんて、ずいぶんあいつに毒されちまったな、と自嘲した。
あるいは王道少年漫画か?あまり読んだ覚えはないが。
非常事態にこんな考えが浮かぶなんて、ずいぶんあいつに毒されちまったな、と自嘲した。
そんな、瞬きほどの一瞬の気のゆるみが運命を左右した。
通り過ぎようとした木の陰から、突如のど元に伸ばされた腕になんの反応もできず、地面に倒されてしまったのは。
「がっ」
敵か。そう思う間もなく、衝撃で俺の肺が締め付けられ、言葉を発することすらできなかった。
藻掻く暇すらなく、俺の身体はうつぶせに転がされる。
次いで、俺の右足―――アキレス腱に熱い感覚が走る。
遅れて、刃物のようなもので切られたのだと理解した。
同じように、左足の腱に灼熱が走る。
それが痛みに変わるのに、さほど時間はかからなかった。
藻掻く暇すらなく、俺の身体はうつぶせに転がされる。
次いで、俺の右足―――アキレス腱に熱い感覚が走る。
遅れて、刃物のようなもので切られたのだと理解した。
同じように、左足の腱に灼熱が走る。
それが痛みに変わるのに、さほど時間はかからなかった。
「ギッ...ああああああああ!!」
「大丈夫、きみは死なないよ」
「大丈夫、きみは死なないよ」
激痛に悲鳴を上げる俺にかけられる優し気な声。切られた場所に施される適切な応急処置。
ああ。それは確かに敵意なく、励ますようだった。
ああ。それは確かに敵意なく、励ますようだった。
「アキレス腱が切れても走れなくなるだけさ。慣れれば日常生活くらいできるし、こうやって止血さえしてしまえば失血死することもない。私も戦闘で片足を喪ったことがあるけどね、案外死ねないものだよ」
だが。その声は二度と聞くはずのない、聞きたくない男のものだった。
「わるいね。きみに恨みがあるわけじゃないんだ。ただ、きみがいてくれた方が彼らも逃げづらくなるだろう?」
この目で確かに見た。
炭治郎に首を斬られ、燃えカスになるところを確かに見た。
炭治郎に首を斬られ、燃えカスになるところを確かに見た。
「いやあ、爆発が起きたからもしやと思って足を運んでよかったよ」
ソイツは、俺たちと戦い球磨川禊を殺した男。
「準備は整った。さあ、コンティニューの時間だ」
怪人・佐藤は変わらぬ笑顔で宣戦した。
【D-6(禁止エリアに近い)/1日目・午前】
※球磨川、沖田、真司の死体がD-7に埋葬されました。
※RUDE BOYSのジープ@HiGH&LOWが真っ二つになり炎上しています。
※RUDE BOYSのジープ@HiGH&LOWが真っ二つになり炎上しています。
【宮本明@彼岸島 48日後…】
[状態]:ダメージ(小)、雅への殺意。
[道具]:基本支給品一式、宇髄天元の日輪刀@鬼滅の刃、不明支給品0~4、沖田の首輪
[思考・状況]
基本方針:雅を殺す。
1:雅を殺す。その後の事は雅を殺した後に考える。
[備考]
※少なくとも西山殺害後より参戦です。
[状態]:ダメージ(小)、雅への殺意。
[道具]:基本支給品一式、宇髄天元の日輪刀@鬼滅の刃、不明支給品0~4、沖田の首輪
[思考・状況]
基本方針:雅を殺す。
1:雅を殺す。その後の事は雅を殺した後に考える。
[備考]
※少なくとも西山殺害後より参戦です。
【雅@彼岸島 48日後……】
[状態]:後頭部にたんこぶ。高揚感。
[装備]:カルデア戦闘服(男用)@Fate/Grand order
JM61Aガトリングガン@Fate/Grand order 残弾(90%)、予備弾(100%)
[道具]:基本支給品一式、宗像形の鉄製ブーメラン@めだかボックス
[思考・状況]
基本方針:好きにやる。とりあえず北東の施設を巡ってみる。
0:明で遊ぶ。向こうの人形(結晶ノ御子)たちとも遊びたい。
1:面白そうな駒を勧誘し、最終的にBBと遊ぶ(殺しあう)
2:煉獄に強い興味。部下にしたい。
3:次に無惨と出会ったら血を取り込みたい。
4:BBが望んでいる物は殺し合いだけではない……?
[備考]
※参戦時期は精二を食べた後です。
※死体に血を捲いて復活させるのは制限により不可能ですが、雅はそのことに気がついていない可能性が高いです。
※肉体の内部に首輪を取り込みました。体外へは出せませんが体内で自由に移動させられます。
※鮫島と山本勝次の死を知りましたが、名前を知らないしどうでも良いので「おそらく明の仲間」としか認識していません。
[状態]:後頭部にたんこぶ。高揚感。
[装備]:カルデア戦闘服(男用)@Fate/Grand order
JM61Aガトリングガン@Fate/Grand order 残弾(90%)、予備弾(100%)
[道具]:基本支給品一式、宗像形の鉄製ブーメラン@めだかボックス
[思考・状況]
基本方針:好きにやる。とりあえず北東の施設を巡ってみる。
0:明で遊ぶ。向こうの人形(結晶ノ御子)たちとも遊びたい。
1:面白そうな駒を勧誘し、最終的にBBと遊ぶ(殺しあう)
2:煉獄に強い興味。部下にしたい。
3:次に無惨と出会ったら血を取り込みたい。
4:BBが望んでいる物は殺し合いだけではない……?
[備考]
※参戦時期は精二を食べた後です。
※死体に血を捲いて復活させるのは制限により不可能ですが、雅はそのことに気がついていない可能性が高いです。
※肉体の内部に首輪を取り込みました。体外へは出せませんが体内で自由に移動させられます。
※鮫島と山本勝次の死を知りましたが、名前を知らないしどうでも良いので「おそらく明の仲間」としか認識していません。
【竈門炭治郎@鬼滅の刃】
[状態]:疲労(大)、ダメージ(大)、全身に切り傷と打撲。 ドラグレッダーが同行中
[道具]:基本支給品一式、菊一文字@衛府の七忍、ランダム支給品0~1 、城戸の首輪
[思考・状況]
基本方針:禰豆子を見つけて守る。無惨を倒す。
0:結晶ノ御子を倒す。どうにかして明の方も手助けしたいが...
1:禰豆子や仲間に早く会いたい。
2:とりあえず北上して資料を集める
[備考]
※強化合宿訓練後、無惨の産屋敷襲撃前より参戦です。
※折れた日輪刀は半天狗戦で緑壱零式の刀を使う前のものでした。
※ドラグレッダーとは契約していませんが、炭治郎との関係が続く限り、同行してくれそうです。またマグナ・ギガを捕食しました
[状態]:疲労(大)、ダメージ(大)、全身に切り傷と打撲。 ドラグレッダーが同行中
[道具]:基本支給品一式、菊一文字@衛府の七忍、ランダム支給品0~1 、城戸の首輪
[思考・状況]
基本方針:禰豆子を見つけて守る。無惨を倒す。
0:結晶ノ御子を倒す。どうにかして明の方も手助けしたいが...
1:禰豆子や仲間に早く会いたい。
2:とりあえず北上して資料を集める
[備考]
※強化合宿訓練後、無惨の産屋敷襲撃前より参戦です。
※折れた日輪刀は半天狗戦で緑壱零式の刀を使う前のものでした。
※ドラグレッダーとは契約していませんが、炭治郎との関係が続く限り、同行してくれそうです。またマグナ・ギガを捕食しました
【結晶ノ御子@鬼滅の刃】
[状態]:ノーダメージ
[思考・状況]
1:童磨の指示に従い、参加者を見つけ次第攻撃を仕掛け情報を収集する。
[状態]:ノーダメージ
[思考・状況]
1:童磨の指示に従い、参加者を見つけ次第攻撃を仕掛け情報を収集する。
【佐藤@亜人】
[状態]:健康、ハンチング帽が燃えた、却本作りの影響あり
[装備]:無名街爆破セレモニーで使用された爆弾@HiGH&LOW
[道具]:基本支給品一式×2、秋山蓮のリュックサック、折れた日本刀@現実、手鏡、ランダム支給品1~3
[思考・状況]
基本方針:ゲームに乗る。
0.明と炭治郎に再戦を挑む。ついでに雅たちとも戦う。『勝ちたい』
1.PENTAGONが勝つか、花火が勝つか、実験だよ実験。その前に爆弾設置しとこ。
2. 飛んでいたライダーに興味。
3. PENTAGONの前でふたりの参加者を殺した犯人に興味。
[備考]
※少なくとも原作8巻、ビル攻防戦終了後からの参戦
※亜人の蘇生能力になんらかの制限があるのではないかと考えています。
※IBMを使用しました。使用に関する制限は後の書き手さんにお任せします。
※ゾルダに変身している間はIBMも強化されるようです。
→マグナ・ギガが倒され、デッキも破壊されました。
※変身中に限りIBMを二回以上出せるようです、どれ程出せるかは後続の書き手氏にお任せします。
※飛行中の龍騎の姿を確認しました。
[状態]:健康、ハンチング帽が燃えた、却本作りの影響あり
[装備]:無名街爆破セレモニーで使用された爆弾@HiGH&LOW
[道具]:基本支給品一式×2、秋山蓮のリュックサック、折れた日本刀@現実、手鏡、ランダム支給品1~3
[思考・状況]
基本方針:ゲームに乗る。
0.明と炭治郎に再戦を挑む。ついでに雅たちとも戦う。『勝ちたい』
1.PENTAGONが勝つか、花火が勝つか、実験だよ実験。その前に爆弾設置しとこ。
2. 飛んでいたライダーに興味。
3. PENTAGONの前でふたりの参加者を殺した犯人に興味。
[備考]
※少なくとも原作8巻、ビル攻防戦終了後からの参戦
※亜人の蘇生能力になんらかの制限があるのではないかと考えています。
※IBMを使用しました。使用に関する制限は後の書き手さんにお任せします。
※ゾルダに変身している間はIBMも強化されるようです。
→マグナ・ギガが倒され、デッキも破壊されました。
※変身中に限りIBMを二回以上出せるようです、どれ程出せるかは後続の書き手氏にお任せします。
※飛行中の龍騎の姿を確認しました。
【上杉風太郎@五等分の花嫁】
[状態]:疲労(大)、出血(中、止血済み)、両脚のアキレス腱断裂(歩いての移動が不可能ではない程度)
[装備]:制服
[道具]:基本支給品一式、CBR400R@現実、ランダム支給品0~1 球磨川の首輪、
[思考・状況]
基本方針:殺し合いからの脱出、生還を目指すが、具体的にどうするのかはわからん。
0:こ、コイツは...!
1:一花、二乃、三玖との合流。 その後、明たちの力になってくれる者を探す(候補は煉獄)。
2:PENTAGONを目指す。
[状態]:疲労(大)、出血(中、止血済み)、両脚のアキレス腱断裂(歩いての移動が不可能ではない程度)
[装備]:制服
[道具]:基本支給品一式、CBR400R@現実、ランダム支給品0~1 球磨川の首輪、
[思考・状況]
基本方針:殺し合いからの脱出、生還を目指すが、具体的にどうするのかはわからん。
0:こ、コイツは...!
1:一花、二乃、三玖との合流。 その後、明たちの力になってくれる者を探す(候補は煉獄)。
2:PENTAGONを目指す。
[備考]
※修学旅行中(少なくとも79話ラスト以降)からの参戦。
※修学旅行中(少なくとも79話ラスト以降)からの参戦。
| 前話 | お名前 | 次話 |
| Alive A life neo | 佐藤 | 悪鬼滅殺(1) |
| 竈門炭治郎 | ||
| 宮本明 | ||
| 上杉風太郎 | ||
| 出口のないメビウスの輪の中で | 雅 |