BEAST INSIDE ◆ykxSdgXaYc
「どうしましょうか……」
月の光も朧な森の中、物憂げに佇む少女が一人。
野外には似つかわしくない典雅な着物に身を包む、その少女の名は清姫といった。
少女は夜闇を恐れる素振りもなく、口元に手を当てて思案する。
どこからともなく取り出した扇子をひらと振り開き、その先端にふっと息を吹きかけた。ぼう、と火が灯り、闇を押し流す。即席の照明。視界の確保。
野外には似つかわしくない典雅な着物に身を包む、その少女の名は清姫といった。
少女は夜闇を恐れる素振りもなく、口元に手を当てて思案する。
どこからともなく取り出した扇子をひらと振り開き、その先端にふっと息を吹きかけた。ぼう、と火が灯り、闇を押し流す。即席の照明。視界の確保。
「ねえ、どうしたら良いと思います?」
つい、と視線をやった木陰に言葉を投げる。そこは灯りに照らされ、まるで悪魔のように大きな影が伸びていた。
一見して線の細い、無害な少女に見えて清姫は人間ではない。
サーヴァントと呼ばれる魔術師の使い魔。かつて存在した英霊の影。人間を遥かに超越した力の塊。そういった存在だ。
感覚も常人よりは鋭い。
一見して線の細い、無害な少女に見えて清姫は人間ではない。
サーヴァントと呼ばれる魔術師の使い魔。かつて存在した英霊の影。人間を遥かに超越した力の塊。そういった存在だ。
感覚も常人よりは鋭い。
「なんだ、バレてたのか。まあこの図体じゃ隠れんぼは向いてねえわな」
清姫の問いかけに、木陰から答えが返る。
ぬっ、と進み出てきたのは小柄な清姫でなくとも目いっぱい見上げるほどの大男だった。
それこそ清姫の倍はあろう大男は、ハァ、ハァと荒い息を吐き清姫へと歩み寄る。
ぬっ、と進み出てきたのは小柄な清姫でなくとも目いっぱい見上げるほどの大男だった。
それこそ清姫の倍はあろう大男は、ハァ、ハァと荒い息を吐き清姫へと歩み寄る。
「怖がらせちまったなら悪いな。俺も初めて見つけたのがお嬢ちゃんだから警戒しててよ」
「左様でございますか。ええ、このような状況ですもの、警戒なさるのは無理もない事ですわ」
「左様でございますか。ええ、このような状況ですもの、警戒なさるのは無理もない事ですわ」
清姫はバーサーカー、狂戦士のクラスとして召喚されている。狂戦士、といっても例外のように理性はあり、意思疎通も可能である。
故に、清姫はいまが異常事態であることを把握していたし、何をすべきかも理解していた。
故に、清姫はいまが異常事態であることを把握していたし、何をすべきかも理解していた。
「わたくしは清姫と申します。あなたは……?」
「俺か、俺は鮫島ってんだ。ええとだな、俺はお嬢ちゃんに聞きたいことがあってな」
「俺か、俺は鮫島ってんだ。ええとだな、俺はお嬢ちゃんに聞きたいことがあってな」
火の灯った扇子をじっと見つめ、右目を眼帯で覆い軍服を着た大男――鮫島が清姫の眼前に立つ。
息が荒い。清姫は嘆息し、扇子からぱっと手を離した。
扇子が地面に落ちるより早く飛び退る。
息が荒い。清姫は嘆息し、扇子からぱっと手を離した。
扇子が地面に落ちるより早く飛び退る。
「ふんっ!」
清姫の髪の一房が宙に舞い散る。
鮫島の振るった剣――炎が波打つような刀身、中心が空洞になり二つの柄となる石の刀が清姫の眼前を行き過ぎた。
石刀はそのまま横手の木に衝突、しかし勢いは止まらず真っ二つにへし折った。枝ではない、清姫の両手でようやく抱えきれるかという太さの幹である。
メキメキと音を立てて倒れてくる木が清姫と鮫島を分かつ。再び目が合った時、清姫はそこに明確な敵意を見た。
鮫島の振るった剣――炎が波打つような刀身、中心が空洞になり二つの柄となる石の刀が清姫の眼前を行き過ぎた。
石刀はそのまま横手の木に衝突、しかし勢いは止まらず真っ二つにへし折った。枝ではない、清姫の両手でようやく抱えきれるかという太さの幹である。
メキメキと音を立てて倒れてくる木が清姫と鮫島を分かつ。再び目が合った時、清姫はそこに明確な敵意を見た。
「一応、聞いておきましょうか。どういうおつもりで?」
「どうもこうもねえ、化物め。ガキみてえな姿したって俺は騙されねえぞ。その角、飾りってわけじゃねえんだろ」
「どうもこうもねえ、化物め。ガキみてえな姿したって俺は騙されねえぞ。その角、飾りってわけじゃねえんだろ」
倒木を乗り越え、石の刀を地に突き立てて鮫島が言う。
鮫島が手にする石の刀は、清姫が見たところ宝具ではない。真名を開放する以前に魔力や神秘というものが感じられない。
しかし、受けられない。そう直感したからこそ清姫は退いた。
通常時の清姫は肉弾戦を得意とするタイプではないが、それを差し引いても受ければ死ぬという直感が確かなものとしてある。
意識してみると、霊体化もできなくなっている。サーヴァントが受肉したという訳でもなかろうが、とにかく今の清姫は単純に殴られただけでもダメージを負うようだ。
容姿相応に頑強さに乏しい清姫の身体はあの巨大な石刀の一撃で容易く弾け飛ぶ。
しかし、真に恐るべきは石刀そのものではなく、それを振るった鮫島の容姿相応の剛力だ。
石刀に刃はなく、先の一撃は斬撃ではなく打撃である。それが苦もなく樹木を砕き得たのは、その常軌を逸した重量故だ。
鮫島が突き立てた石刀の先端は地面に沈み込んでいる。僅かずつ、しかし着実にいまも。
放っておけば刀身の半ばまでめり込んでいくのでないか。それを押し留めているのは鮫島の血管が浮き出た太い腕だ。
ともすれば持ち主より重いかもしれない武器を、この巨漢はその豪腕で以って振り回すことができる。
サーヴァントである清姫にとっても十分な脅威であることは間違いない。
鮫島が手にする石の刀は、清姫が見たところ宝具ではない。真名を開放する以前に魔力や神秘というものが感じられない。
しかし、受けられない。そう直感したからこそ清姫は退いた。
通常時の清姫は肉弾戦を得意とするタイプではないが、それを差し引いても受ければ死ぬという直感が確かなものとしてある。
意識してみると、霊体化もできなくなっている。サーヴァントが受肉したという訳でもなかろうが、とにかく今の清姫は単純に殴られただけでもダメージを負うようだ。
容姿相応に頑強さに乏しい清姫の身体はあの巨大な石刀の一撃で容易く弾け飛ぶ。
しかし、真に恐るべきは石刀そのものではなく、それを振るった鮫島の容姿相応の剛力だ。
石刀に刃はなく、先の一撃は斬撃ではなく打撃である。それが苦もなく樹木を砕き得たのは、その常軌を逸した重量故だ。
鮫島が突き立てた石刀の先端は地面に沈み込んでいる。僅かずつ、しかし着実にいまも。
放っておけば刀身の半ばまでめり込んでいくのでないか。それを押し留めているのは鮫島の血管が浮き出た太い腕だ。
ともすれば持ち主より重いかもしれない武器を、この巨漢はその豪腕で以って振り回すことができる。
サーヴァントである清姫にとっても十分な脅威であることは間違いない。
「はあ、化物……わたくしが人間でないのは仰るとおり、間違いではありませんが」
清姫は側頭部から生えた左右四本の角を撫でる。
火の息を吐きかけるところを見られたか。あるいはそれ以外の何かを以って察したか。
外見こそ人間に近くとも、サーヴァントは魔力の塊だ。多少勘が鋭い者や魔術の心得がある者になら見破られて当然。
いかにも蛮族めいた軍服の男にさほどの教養があるとも見えず、清姫はしばしの間を置いて得心した。
ぽん、と軽く手を打つ。
火の息を吐きかけるところを見られたか。あるいはそれ以外の何かを以って察したか。
外見こそ人間に近くとも、サーヴァントは魔力の塊だ。多少勘が鋭い者や魔術の心得がある者になら見破られて当然。
いかにも蛮族めいた軍服の男にさほどの教養があるとも見えず、清姫はしばしの間を置いて得心した。
ぽん、と軽く手を打つ。
「ああ、あなたも人間ではございませんのね」
人にあらざる者故の感覚がサーヴァントの異質さを嗅ぎ取ったか。
清姫としてはごく軽い確認の言だが、それが引き出した鮫島の反応は劇的だった。
清姫としてはごく軽い確認の言だが、それが引き出した鮫島の反応は劇的だった。
「黙れっ!」
元々険しかった鮫島の形相が、まさに鬼のそれへと変貌した。
ぶうん、と唸りを上げて石刀が振り回され、清姫へと殺到する。
なにやら清姫の一言は逆鱗に触れたようだ。人を化生呼ばわりして、そのくせ自分もそうだと指摘されると激昂するとは。
取り繕うことを止め、敵意をむき出しにした鮫島からは清姫の知る人間とは別の臭いがした。鮫島も清姫に嗅ぎ取ったであろう、濃い化生の臭い。
ぶうん、と唸りを上げて石刀が振り回され、清姫へと殺到する。
なにやら清姫の一言は逆鱗に触れたようだ。人を化生呼ばわりして、そのくせ自分もそうだと指摘されると激昂するとは。
取り繕うことを止め、敵意をむき出しにした鮫島からは清姫の知る人間とは別の臭いがした。鮫島も清姫に嗅ぎ取ったであろう、濃い化生の臭い。
「俺はお前らのような化物とは違う!」
「なぜ否定するのです? そうでないことはあなたが一番わかっているようですが」
「俺は人間だ! 人間を食ったりはしねえ!」
「わたくしも別に食べたりしませんが……ああ、丸呑みにすることはあるかもしれませんね」
「なぜ否定するのです? そうでないことはあなたが一番わかっているようですが」
「俺は人間だ! 人間を食ったりはしねえ!」
「わたくしも別に食べたりしませんが……ああ、丸呑みにすることはあるかもしれませんね」
返答が招いたのはさらなる猛攻、そして決定的な断絶だった。
枝生い茂る森の中にあって、鮫島の連撃は止まらない。凄まじい重量の石刀が縦横無尽に振るわれ、木々を薙ぎ倒し砕き散らす。
回避に徹していた清姫だが、徐々にその余地は削り取られていく。
筋力、耐久力といったサーヴァントの能力を示す数値が最低である清姫は、鮫島の攻撃をかわすだけでも大仕事だ。
軽く息が上がる。マスターからの魔力供給がない現状、清姫を駆動させるのは彼女自身の魔力しかない。
そしてそれは有限ではない。人間の体力と同じく。
鮫島が撒き散らした太い木の枝に躓き、清姫は転倒した。
枝生い茂る森の中にあって、鮫島の連撃は止まらない。凄まじい重量の石刀が縦横無尽に振るわれ、木々を薙ぎ倒し砕き散らす。
回避に徹していた清姫だが、徐々にその余地は削り取られていく。
筋力、耐久力といったサーヴァントの能力を示す数値が最低である清姫は、鮫島の攻撃をかわすだけでも大仕事だ。
軽く息が上がる。マスターからの魔力供給がない現状、清姫を駆動させるのは彼女自身の魔力しかない。
そしてそれは有限ではない。人間の体力と同じく。
鮫島が撒き散らした太い木の枝に躓き、清姫は転倒した。
「もう逃げられねえぞ」
ハァ、ハァと荒く息を吐く鮫島は、血に酔ったように嗤う。
清姫は地面に落ちてなお辺りを照らし続ける扇子に目をやった。
逃がしてくれそうにはなく、説得が通じるとも思えない。清姫はここに来て、決めかねていた方針を決することにした。
こういう輩がいるのならば、この地は死鬼が跋扈する地獄の底に相違なく。
生かしておけばそれだけ主に危険が迫る。
清姫がただ一人命を預けるに値すると信ずる主、すなわち彼女の最愛のマスターに。
もちろん、それ抜きにしても清姫の前で己を偽ったこの男を――嘘をついたこの男を――生かしておく理由は何一つなかったが。
清姫は地面に落ちてなお辺りを照らし続ける扇子に目をやった。
逃がしてくれそうにはなく、説得が通じるとも思えない。清姫はここに来て、決めかねていた方針を決することにした。
こういう輩がいるのならば、この地は死鬼が跋扈する地獄の底に相違なく。
生かしておけばそれだけ主に危険が迫る。
清姫がただ一人命を預けるに値すると信ずる主、すなわち彼女の最愛のマスターに。
もちろん、それ抜きにしても清姫の前で己を偽ったこの男を――嘘をついたこの男を――生かしておく理由は何一つなかったが。
「残念です。ええ、残念です。ですが先に手を出したのはあなたなのですから」
「何をごちゃごちゃと、」
「フッ――!」
「何をごちゃごちゃと、」
「フッ――!」
鮫島が振り上げた石刀が清姫の頭蓋を粉砕する、その直前に。
清姫の吹き出した息は業火となり、鮫島の巨躯を呑み込んだ。
清姫の吹き出した息は業火となり、鮫島の巨躯を呑み込んだ。
「が……ガアアアアアアア! ハガアアアアアアア!」
覆い被さるような態勢が仇となり、鮫島の全身は余すところなく炎熱の洗礼を受ける。
火だるまになり悶え苦しむ鮫島に憐憫の視線を向け、清姫は立ち上がる。
火だるまになり悶え苦しむ鮫島に憐憫の視線を向け、清姫は立ち上がる。
「正当防衛とはいえ、苦しいでしょうね。楽にしてさしあげます」
拾い上げた扇子が炎に包まれ、さながら鳳凰の翼のごとく燃え広がる。
森を焼き払わないようかなり加減した先ほどの息と違い、骨まで炭化しかねないほどの超高熱。
森を焼き払わないようかなり加減した先ほどの息と違い、骨まで炭化しかねないほどの超高熱。
「それでは……っ!?」
それを鮫島に叩きつけようとした清姫は、寸前に腕を後ろへと振り抜いた。
手加減抜きの炎熱の翼。化生やサーヴァントすらも焼き払うその攻撃を。
手加減抜きの炎熱の翼。化生やサーヴァントすらも焼き払うその攻撃を。
「――アマゾンッ!」
聞き覚えのない男の声が、炎の奥から響いてきた。それが聞こえたと思った瞬間、森は炎に包まれた。
「なっ」
清姫の炎によって、ではない。別の何かが放射した熱波が、木々や木の葉に発火したのだ。
そしてその何かは、清姫の放った炎を正面から突き抜けてすぐ傍にいた。
小柄な清姫よりずっと低い位置。だが小さいのではない。身を沈めている。
獣が獲物を狙うがごとく。赤く輝くその複眼が、清姫の白い首筋を見据えている――!
そしてその何かは、清姫の放った炎を正面から突き抜けてすぐ傍にいた。
小柄な清姫よりずっと低い位置。だが小さいのではない。身を沈めている。
獣が獲物を狙うがごとく。赤く輝くその複眼が、清姫の白い首筋を見据えている――!
「――ハァッ!」
鋭利な刃が生えた四肢。金属とは違う、しかし高い硬度を感じさせる緑の皮膚。肉を喰らい骨を噛み砕く牙。それはまさに獣だった。
鋭い呼気とともに、獣の腕が跳ね上がってくる。
鋭い呼気とともに、獣の腕が跳ね上がってくる。
「あぅっ!」
間一髪、全力で身を反らした清姫は刃から逃れることに成功した。しかしほぼ同時に腹部に叩き込まれた重い衝撃、獣の蹴りまでは避けられなかった。
身体が胴から真っ二つになるのではないかという衝撃に耐え、清姫は何とか立ち上がろうとする。
そのとき既に獣は踏み込んでいた。清姫の首を落とすべく、鋭い鎌を振り上げて。
身体が胴から真っ二つになるのではないかという衝撃に耐え、清姫は何とか立ち上がろうとする。
そのとき既に獣は踏み込んでいた。清姫の首を落とすべく、鋭い鎌を振り上げて。
「――シャアアアッ!」
清姫は躊躇なくサーヴァントの切り札を開放する。その身を火竜に変貌させ、敵を焼き払う清姫の宝具――転身火生三昧。
鮫島に人ならざる臭いを感じたように、この獣には自身の最大火力を以って当たらねば喰われると直感したのだった。
炎と化した清姫を獣の腕が薙ぐ。が、炎を斬ることはできない。
赤い庭園と化した森に一際大きい炎が、炎で構成された大蛇が首をもたげる。
獣めがけ、大きく吸い込んだ息を放つ。城壁すら焼き溶かす火竜の吐息を、全力で。
指向性を持った火焔が地を舐め、木々を焼却し、獣へと迫る。
鮫島に人ならざる臭いを感じたように、この獣には自身の最大火力を以って当たらねば喰われると直感したのだった。
炎と化した清姫を獣の腕が薙ぐ。が、炎を斬ることはできない。
赤い庭園と化した森に一際大きい炎が、炎で構成された大蛇が首をもたげる。
獣めがけ、大きく吸い込んだ息を放つ。城壁すら焼き溶かす火竜の吐息を、全力で。
指向性を持った火焔が地を舐め、木々を焼却し、獣へと迫る。
「ゥルル……!」
かすかな唸り声を上げ、獣は鎌を放り出し飛び退った。そして後退しつつほとんど炭化し終わった鮫島を引っ掴み、跳躍する。
その後を追うように火竜は息を吐き続けるが、ジグザグに飛び跳ねる獣の動きには追いつけない。
追えば追いつくかもしれないが、清姫はそうしなかった。
その後を追うように火竜は息を吐き続けるが、ジグザグに飛び跳ねる獣の動きには追いつけない。
追えば追いつくかもしれないが、清姫はそうしなかった。
「サーヴァントではなさそうですが、ああいう手合いもいるのですね」
転身を解き、再び少女の姿に戻った清姫は蹴られた腹部に手をやり痛みに顔をしかめる。
鮫島、そして獣。この悪趣味な遊戯が始まってすぐ、清姫は敵対存在と立て続けに遭遇した。
同じくカルデアのサーヴァントであるBBが何を思ってこんな所業に至ったのかはわからない。
しかし清姫には、BBの思惑を解き明かすより重要な使命がある。
鮫島、そして獣。この悪趣味な遊戯が始まってすぐ、清姫は敵対存在と立て続けに遭遇した。
同じくカルデアのサーヴァントであるBBが何を思ってこんな所業に至ったのかはわからない。
しかし清姫には、BBの思惑を解き明かすより重要な使命がある。
「ますたぁを、探さなければ……」
名簿を見るまでもなく、マスターとサーヴァントの間にある繋がりゆえ、清姫の最愛のマスターはこの地にいると感じられる。
清姫のマスター、藤丸立香は数多のサーヴァントを率い数々の死地を潜り抜けた歴戦の勇者だ。
だがその強さは指揮者、司令塔としてのそれであり、単体の強さではない。
獣は言うまでもなく、常人を超越した膂力の持ち主である鮫島もマスターにとっては重大な脅威である。
マスターを探し出し、護る。それが清姫の何よりも優先させるべき指針。BBにどう対処するかはマスターの指示を仰げばいいことだ。
清姫のマスター、藤丸立香は数多のサーヴァントを率い数々の死地を潜り抜けた歴戦の勇者だ。
だがその強さは指揮者、司令塔としてのそれであり、単体の強さではない。
獣は言うまでもなく、常人を超越した膂力の持ち主である鮫島もマスターにとっては重大な脅威である。
マスターを探し出し、護る。それが清姫の何よりも優先させるべき指針。BBにどう対処するかはマスターの指示を仰げばいいことだ。
「わたくしが、守らなければ」
善良なマスターは、清姫が人を殺せば悲しむだろう。
しかし攻撃されて黙っているつもりはないし、そういった輩を排除することは間接的にマスターの安全を確保することにも繋がる。
次も好戦的な人物と行き当たるとは限らない。もしかしたら対話を望むかもしれない。清姫は頷き、炎上する森から離れるべく歩み出した。
バーサーカーといえど清姫は言葉を解する。であれば平和的に接触することもできるはずだ。
その相手が、嘘をつかない限りは。
しかし攻撃されて黙っているつもりはないし、そういった輩を排除することは間接的にマスターの安全を確保することにも繋がる。
次も好戦的な人物と行き当たるとは限らない。もしかしたら対話を望むかもしれない。清姫は頷き、炎上する森から離れるべく歩み出した。
バーサーカーといえど清姫は言葉を解する。であれば平和的に接触することもできるはずだ。
その相手が、嘘をつかない限りは。
【B-2・森/1日目・深夜】
【清姫@Fate/Grand Order】
[状態]:腹部にダメージ(小)
[装備]:双刀「鎚」(ソウトウ・カナヅチ)@刀語
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1~3
[思考・状況]
基本方針:藤丸立香を探し、守る。
1:とりあえずは平和的に交渉してみる。
2:嘘は許さない。
[備考]
[状態]:腹部にダメージ(小)
[装備]:双刀「鎚」(ソウトウ・カナヅチ)@刀語
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1~3
[思考・状況]
基本方針:藤丸立香を探し、守る。
1:とりあえずは平和的に交渉してみる。
2:嘘は許さない。
[備考]
双刀「鎚」(ソウトウ・カナヅチ)@刀語
天才刀鍛冶四季崎記紀が生涯で作った十二本の「完成形変体刀」の一つ。
重さに重点を置いた刀。すさまじい質量のかたまりであり、常人には持ち上げることさえ満足に敵わない。
天才刀鍛冶四季崎記紀が生涯で作った十二本の「完成形変体刀」の一つ。
重さに重点を置いた刀。すさまじい質量のかたまりであり、常人には持ち上げることさえ満足に敵わない。
「明……すまねえ、明……」
うわ言のように誰かの名を呟く巨漢から伝わる鼓動は弱々しい。
炎を操る少女から男を助け出した獣――アマゾンオメガは、安全な場所に着いたと判断して男、鮫島を横たえた。
メタリックグリーンの輝きが瞬時に失せ、そこに立っていたのは若い男。水澤悠という青年だ。
悠は下ろした男の様子をざっと観察し、唇を噛んだ。全身に重度の熱傷だ。もう助からない。
炎を操る少女から男を助け出した獣――アマゾンオメガは、安全な場所に着いたと判断して男、鮫島を横たえた。
メタリックグリーンの輝きが瞬時に失せ、そこに立っていたのは若い男。水澤悠という青年だ。
悠は下ろした男の様子をざっと観察し、唇を噛んだ。全身に重度の熱傷だ。もう助からない。
「明……」
煌々と輝く炎を目印に駆け付けた悠が見たのは、この男が少女に炎を浴びせかけられる光景だった。
見た目こそ少女であれ、あれは人間ではない。自らも人間とは違う、人を喰らう人工の生命体――アマゾンである悠にはわかる。
かといってアマゾンでもない。その臭いはしなかった。人間でもアマゾンでもない存在がいる。そして、人間を殺そうとする。
人間の味方というには語弊があるが、目の前で奪われる命を放ってはおけない。
守りたいものを守る。それが、悠が唯一己に課したルールだからだ。
しかし、とっさに介入した悠だが、手遅れだったのは明らかだ。何とか撤退してきたものの、鮫島の命はもうすぐ尽きる。
悠は男の手を握ってやった。肌が黒く炭化し、剥き出しの筋肉が焦げる手を。
見た目こそ少女であれ、あれは人間ではない。自らも人間とは違う、人を喰らう人工の生命体――アマゾンである悠にはわかる。
かといってアマゾンでもない。その臭いはしなかった。人間でもアマゾンでもない存在がいる。そして、人間を殺そうとする。
人間の味方というには語弊があるが、目の前で奪われる命を放ってはおけない。
守りたいものを守る。それが、悠が唯一己に課したルールだからだ。
しかし、とっさに介入した悠だが、手遅れだったのは明らかだ。何とか撤退してきたものの、鮫島の命はもうすぐ尽きる。
悠は男の手を握ってやった。肌が黒く炭化し、剥き出しの筋肉が焦げる手を。
「明という人に、なにか伝えることが?」
「あ……」
「あ……」
溶けた眼球にはもう何も映ってはいないだろう。だが握った手の感触が、声が、鮫島に最後の意思を与えた。
悠の手を強く握り返してくる。死に瀕しているとは思えない、強い力で。
悠の手を強く握り返してくる。死に瀕しているとは思えない、強い力で。
「清姫……人を喰う化物……!」
「さっきの女の子の名前?」
「そうだ……明に……伝えてくれ」
「わかりました。あなたの名前は?」
「鮫島……頼む。明に……俺達の希望に……!」
「さっきの女の子の名前?」
「そうだ……明に……伝えてくれ」
「わかりました。あなたの名前は?」
「鮫島……頼む。明に……俺達の希望に……!」
悠の手を握り潰さんばかりに、鮫島は魂を振り絞るように囁いた。
「化物どもを……皆殺しにしてくれ、明ぁ……!」
言い終えると、ふっと握り締めてきた力が緩み、なくなった。
悠は慎重に鮫島の指を剥がし、目蓋を閉じてやった。
悠は慎重に鮫島の指を剥がし、目蓋を閉じてやった。
「伝えます。必ず」
名簿を開き、鮫島という名に線を引く。そして、宮本明という名を丸で囲った。
人を喰う化物を皆殺しにする。
そんなことを頼むからには、明という人物は悠の知るアマゾン狩りの死神――鷹山仁――に近い存在なのかもしれない。
自らもその化物の内の一つである悠はずっしりと肩にのしかかる重さを感じていた。
悠にはやらなければならないことがある。名簿に再び目を落とす。
人を喰う化物を皆殺しにする。
そんなことを頼むからには、明という人物は悠の知るアマゾン狩りの死神――鷹山仁――に近い存在なのかもしれない。
自らもその化物の内の一つである悠はずっしりと肩にのしかかる重さを感じていた。
悠にはやらなければならないことがある。名簿に再び目を落とす。
鷹山仁。
千翼。
イユ。
クラゲアマゾン。
千翼。
イユ。
クラゲアマゾン。
悠が警戒していたアマゾン――千翼をめぐる関係者が勢揃いしているのは何の皮肉か。
鷹山仁は人を守るためにアマゾンを狩る存在だ。そして、千翼という少年の父でもある。
千翼は仁の息子であり、アマゾンであり、爆発的な感染力を示す溶原性細胞の保菌者――オリジナル。
イユという少女は悠がかつて殺したアマゾンの娘であり、彼女もその際死亡していたが遺体を蘇生させられアマゾンとして使役されている。
そして最後のクラゲアマゾン、もう一体のオリジナルであるその正体はおそらく――。
鷹山仁は人を守るためにアマゾンを狩る存在だ。そして、千翼という少年の父でもある。
千翼は仁の息子であり、アマゾンであり、爆発的な感染力を示す溶原性細胞の保菌者――オリジナル。
イユという少女は悠がかつて殺したアマゾンの娘であり、彼女もその際死亡していたが遺体を蘇生させられアマゾンとして使役されている。
そして最後のクラゲアマゾン、もう一体のオリジナルであるその正体はおそらく――。
悠は急ぎ千翼、イユ、そしてクラゲアマゾンの三人を見つけ出し、殺す。そう決意していた。
彼らがこの地でどう行動するにせよ、溶原性細胞は危険過ぎる。もしかしたら人間全てがアマゾン化してもおかしくはないのだ。
イユについては、死を迎えてもなお利用され続ける彼女を解き放ってやりたいと、そう思っている。
彼らがこの地でどう行動するにせよ、溶原性細胞は危険過ぎる。もしかしたら人間全てがアマゾン化してもおかしくはないのだ。
イユについては、死を迎えてもなお利用され続ける彼女を解き放ってやりたいと、そう思っている。
「仁さんより早く……」
千翼とクラゲアマゾンを仁に会わせてはいけない。その前に殺さなければ。
もちろん、先ほどの少女のようにアマゾンではないが人を殺す者も放ってはおけない。
人を殺す者を殺す。人を喰うアマゾンも殺す。そうしていけば最後に何が残るか。
化物を皆殺しにするそのカウントに、自らも数えるのか。明という人物に会って、自分も化物だと告げられるのか。
今の悠に答えは出せなかった。
もちろん、先ほどの少女のようにアマゾンではないが人を殺す者も放ってはおけない。
人を殺す者を殺す。人を喰うアマゾンも殺す。そうしていけば最後に何が残るか。
化物を皆殺しにするそのカウントに、自らも数えるのか。明という人物に会って、自分も化物だと告げられるのか。
今の悠に答えは出せなかった。
【鮫島@彼岸島 48日後…… 死亡】
【A-2・平原/1日目・深夜】
【水澤悠@仮面ライダーアマゾンズ】
[状態]:やや空腹
[装備]:悠のアマゾンズドライバー@仮面ライダーアマゾンズ
[道具]:基本支給品一式×2、ランダム支給品0~2
[思考・状況]
基本方針:狩るべきものを狩り、守りたいものを守る
1:人を喰う、あるいは殺したモノを狩る
2:仁より先に千翼、イユ、クラゲアマゾンを殺す
3:明という人物に鮫島の最後を伝える
[備考]
[状態]:やや空腹
[装備]:悠のアマゾンズドライバー@仮面ライダーアマゾンズ
[道具]:基本支給品一式×2、ランダム支給品0~2
[思考・状況]
基本方針:狩るべきものを狩り、守りたいものを守る
1:人を喰う、あるいは殺したモノを狩る
2:仁より先に千翼、イユ、クラゲアマゾンを殺す
3:明という人物に鮫島の最後を伝える
[備考]
悠のアマゾンズドライバー@仮面ライダーアマゾンズ
アマゾン細胞を変質させ、より戦闘に特化した姿へと変化するベルト型ツール。
右側のハンドルを引き抜くことで数種類の武器を形成する。
アマゾン細胞を変質させ、より戦闘に特化した姿へと変化するベルト型ツール。
右側のハンドルを引き抜くことで数種類の武器を形成する。
| 前話 | お名前 | 次話 |
| Debut | 清姫 | 獣達の夢 |
| Debut | 鮫島 | Eliminated |
| Debut | 水澤悠 | 禰豆子/業苦 |