素直じゃない私を ◆rjD2cwIMXU
「死にたいのか、女」
かぐやが歩みを始めたほんの十秒後のことである。
まるで狙い澄ましたかのように彼女は声をかけられた。
まるで狙い澄ましたかのように彼女は声をかけられた。
森の闇が具現化したような男だった。
深い緑のコートを纏い、枝のように髪を伸ばし、大木に身を任せる姿はどうにも様になっている。
瞳をまじまじと見つめてしまえば、果てのない暗闇の奥深くに吸い込まれ二度と戻っては来れないような錯覚を得る。
何故か、よく燃えそうという感想が浮かんだ。
瞳をまじまじと見つめてしまえば、果てのない暗闇の奥深くに吸い込まれ二度と戻っては来れないような錯覚を得る。
何故か、よく燃えそうという感想が浮かんだ。
唐突に現れたそんな男は、礼も何も持ち合わせていない傲岸不遜さでいきなり四宮かぐやを詰ったのだった。
「ようやく泣き止んだかと思えば、武器も持たず、目的地も定めず」
謎の男の登場に面食らっていたかぐやの顔が数瞬遅れてさっと紅潮した。
言葉を額面通り受け取るならば、彼はかなり前からかぐやを見ていたことになる。
泣いている姿を観察されるなど破廉恥な、と思うし、恥ずかしい、とも思ってしまう。
更に遅れて、確かにかぐやは何の準備も出来ていないことに気付く。
支給されたリュックの中身をロクに検めてもいないし、そもそもここがどこなのかもわかっていない。
いつもの四宮かぐやならばあり得ない失態。観察されていたことに加えて二重の意味で赤面してしまう。
もっとも、藤原を喪ったことによるショックでかぐやの脳内が「アホ」寄りになってしまっていた、というのが原因の一つでもあるのだが。
親友を失ってすぐに平常に、ましてや氷のかぐや姫と呼ばれていた中学時代のようにはなれないというのが「生徒会での幸せな日々を送った四宮かぐや」である。
言葉を額面通り受け取るならば、彼はかなり前からかぐやを見ていたことになる。
泣いている姿を観察されるなど破廉恥な、と思うし、恥ずかしい、とも思ってしまう。
更に遅れて、確かにかぐやは何の準備も出来ていないことに気付く。
支給されたリュックの中身をロクに検めてもいないし、そもそもここがどこなのかもわかっていない。
いつもの四宮かぐやならばあり得ない失態。観察されていたことに加えて二重の意味で赤面してしまう。
もっとも、藤原を喪ったことによるショックでかぐやの脳内が「アホ」寄りになってしまっていた、というのが原因の一つでもあるのだが。
親友を失ってすぐに平常に、ましてや氷のかぐや姫と呼ばれていた中学時代のようにはなれないというのが「生徒会での幸せな日々を送った四宮かぐや」である。
「したいこと、成すべきことも定まらず、覚悟もなければ決意もないと来ている」
この殺し合いで何がしたいのか。何を成すべきか。
したいことは決まっている。
会長に会いたい。
したいことは決まっている。
会長に会いたい。
だが、そのために何を成すべきなのか。
友人を失ってから未だ10分も経っていないかぐやには荷が重すぎる設問。
悲しみは心を凍てつかせ、考えようという意志そのものを封じ込めていた。
だから彼女は今まで、心の中にぽっかりと空いた穴を見つめながら、まるで初めて見るタイプの心理テストを前にしたように途方に暮れるしかなかった。
もしも自分一人でこのまま彷徨い続けていたならば、一向に穴は埋められず、もしかしたらその穴に吸い込まれるように死んでしまっていたかもしれない。
友人を失ってから未だ10分も経っていないかぐやには荷が重すぎる設問。
悲しみは心を凍てつかせ、考えようという意志そのものを封じ込めていた。
だから彼女は今まで、心の中にぽっかりと空いた穴を見つめながら、まるで初めて見るタイプの心理テストを前にしたように途方に暮れるしかなかった。
もしも自分一人でこのまま彷徨い続けていたならば、一向に穴は埋められず、もしかしたらその穴に吸い込まれるように死んでしまっていたかもしれない。
「もう一度問おう」
「死にたいのか、女」
「覚悟もなく、決意もなく」
「目的も果たせないまま、何も成せずに死んでいくのか?」
だけど、今。
大切な彼女が抜け落ちた傷穴に、確かに怒りは注がれた。
出会ったばかりの自分を侮辱する眼前の男に対する怒りが。
萎び切っていた心の芯とも言うべき部分に熱が灯っていく。
熱は心を覆っていた氷を溶かし、天才の脳を活性化させていく。
四宮かぐやらしさを取り戻していく。
思考せよ。行動せよ。この場における最適解を弾き出せ。
大切な彼女が抜け落ちた傷穴に、確かに怒りは注がれた。
出会ったばかりの自分を侮辱する眼前の男に対する怒りが。
萎び切っていた心の芯とも言うべき部分に熱が灯っていく。
熱は心を覆っていた氷を溶かし、天才の脳を活性化させていく。
四宮かぐやらしさを取り戻していく。
思考せよ。行動せよ。この場における最適解を弾き出せ。
「死にたくもありませんし、女などと呼ばれるのも我慢なりません」
最初の問いにようやく答えを返す。
二つ目の問いは、まだ保留。
それよりも先に、行うべきことがあった。
二つ目の問いは、まだ保留。
それよりも先に、行うべきことがあった。
「私は、四宮かぐやと申します」
四宮かぐやは過たない。
既に調子を取り戻し始めた彼女は「アホ」ではあらず。
どれだけ相手に怒りを覚えようとも、自分がこの瞬間成すべきことを優先し、選択する。
まずは自己紹介。続けて。
既に調子を取り戻し始めた彼女は「アホ」ではあらず。
どれだけ相手に怒りを覚えようとも、自分がこの瞬間成すべきことを優先し、選択する。
まずは自己紹介。続けて。
「貴方との同行を希望します。お名前を伺っても?」
目の前の男は殺し合いには乗っていないと推測できる。
かぐやを殺すつもりならばとっくのとうに行動に移していただろう。
それこそ自分が泣いている間に近づくことなど、一切の気配をかぐやに気取らせなかったこの男には容易に見えた。
だが、ようやく歩き始めたかぐやに対してもコイツは芝居がかった口調で話しかけてくるばかりで、手を出してくる様子は見受けられない。
代わりに出してくるのは口。つまりは説教だ。
その内容も、まあ頑張って解釈すればギリギリ「檄を飛ばしている」内容と言えないこともない。
……そういうことにしておく。
かぐやを殺すつもりならばとっくのとうに行動に移していただろう。
それこそ自分が泣いている間に近づくことなど、一切の気配をかぐやに気取らせなかったこの男には容易に見えた。
だが、ようやく歩き始めたかぐやに対してもコイツは芝居がかった口調で話しかけてくるばかりで、手を出してくる様子は見受けられない。
代わりに出してくるのは口。つまりは説教だ。
その内容も、まあ頑張って解釈すればギリギリ「檄を飛ばしている」内容と言えないこともない。
……そういうことにしておく。
つまり。
「貴方も協力相手を求めていたのではありませんか?」
なんてことはない。
この男が自分に声をかけたのはそういうことだ。
その割にコイツの言葉はあまりにも鋭く、しかも要領を得ない話の運び方だったわけだが。
なんというか、石上君みたいに誤解を受けやすい性格をしていそうだと思った。
もっと素直に言えばいいのに。全くもって男という生き物は面倒くさいプライドの塊だ。
この男が自分に声をかけたのはそういうことだ。
その割にコイツの言葉はあまりにも鋭く、しかも要領を得ない話の運び方だったわけだが。
なんというか、石上君みたいに誤解を受けやすい性格をしていそうだと思った。
もっと素直に言えばいいのに。全くもって男という生き物は面倒くさいプライドの塊だ。
そんな風に溜息をついたかぐやを完全に無視して、遂に彼は名乗りを上げる。
「巌窟王」
名簿にはない名を、それでも男は息のように、毒のように、この世界に浸透させるように吐き出した。
名乗りは自嘲であり、決意であり、規定でもあった。
エドモン・ダンテスという名は名乗らない。
復讐の果てに幸福を掴んだ彼の名は『復讐者』たり続ける己には相応しくないと思うが故に。
殺し合いという監獄から逃れるべきは自分ではなく他の誰かだと思うが故に。
この霊基はそのためにこの場に存在するのだと思うが故に。
名乗りは自嘲であり、決意であり、規定でもあった。
エドモン・ダンテスという名は名乗らない。
復讐の果てに幸福を掴んだ彼の名は『復讐者』たり続ける己には相応しくないと思うが故に。
殺し合いという監獄から逃れるべきは自分ではなく他の誰かだと思うが故に。
この霊基はそのためにこの場に存在するのだと思うが故に。
「俺のことはそう呼べ、シノミヤ」
四宮家の教育は多岐にわたり、国内のみならず国外の文化を学ぶこともその一つである。
その一環として海外の蔵書にもある程度触れているかぐやは、即座に一つの小説を脳裏に浮かべた。
巌窟王。『モンテ・クリスト伯』
かの大文豪、アレクサンドル・デュマの作品の登場人物。
物語の中で1800年代に生き、それから200年以上経った現在、とっくのとうに死んだはずの男の名前を聞いて。
死者の復活、というワードが続けて浮かんで。
その一環として海外の蔵書にもある程度触れているかぐやは、即座に一つの小説を脳裏に浮かべた。
巌窟王。『モンテ・クリスト伯』
かの大文豪、アレクサンドル・デュマの作品の登場人物。
物語の中で1800年代に生き、それから200年以上経った現在、とっくのとうに死んだはずの男の名前を聞いて。
死者の復活、というワードが続けて浮かんで。
『どんな願いでも叶う……素敵ですね。まるで『聖杯』みたいです。
みなさんならどんな願いを叶えてもらいますか? 巨万の富? 恋の成就? 死者の蘇生?
オールオッケー! このバトルロワイアルで優勝さえすれば、今アナタが頭に浮かべた願いは必ず叶います!』
みなさんならどんな願いを叶えてもらいますか? 巨万の富? 恋の成就? 死者の蘇生?
オールオッケー! このバトルロワイアルで優勝さえすれば、今アナタが頭に浮かべた願いは必ず叶います!』
たった一人の友人を殺した憎い憎い相手の言葉が、耳元で小さく反響した気がした。
【C-7/1日目・深夜】
【四宮かぐや@かぐや様は告らせたい】
[状態]:憔悴(小)悲しみ
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1~3
[思考・状況]
基本方針:決めかねている
1:会長たちと合流したい
2:そのために巌窟王と協力する
[備考]
具体的な参戦時期は後続に任せます
[状態]:憔悴(小)悲しみ
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1~3
[思考・状況]
基本方針:決めかねている
1:会長たちと合流したい
2:そのために巌窟王と協力する
[備考]
具体的な参戦時期は後続に任せます
【エドモン・ダンテス@Fate/Grand Order】
[状態]:健康
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1~3
[思考・状況]
基本方針:復讐。脱獄。その手助け。
1: 巌窟王として行動する
[備考]
※参戦時期、他のFate/Grand Orderのキャラとの面識、制限は後続に任せます
[状態]:健康
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1~3
[思考・状況]
基本方針:復讐。脱獄。その手助け。
1: 巌窟王として行動する
[備考]
※参戦時期、他のFate/Grand Orderのキャラとの面識、制限は後続に任せます
| 前話 | お名前 | 次話 |
| 心、わたしの胸のどこに | 四宮かぐや | LOVE BULLET KAGUYA SAMA |
| Debut | エドモン・ダンテス | LOVE BULLET KAGUYA SAMA |