~ダブルクロス3rdの場合~
ダブルクロスで、SW2.0やアサルトエンジンのシナリオ進行と大きく違う点と言えばやはりシーン制であることだろう。
ドラマや演劇のように、それぞれのPCの動向やシナリオの進行具合によって大きく場面は変化する。
シーンはそれを端的に、分かりやすく表したものであろう。
そしてさらにもう一つ外せない要素がある。今回予告とも呼ばれるシナリオのあらすじを示すトレーラー。
そしてPL達にキャラの方向性を定めさせるハンドアウトである。
ここでは、ハンドアウトとトレーラー、それによるシーン進行のちょっとした指標を書いてみたいと思います。
まずシナリオの開始時点、準備であるトレーラーとハンドアウトについて。
先述の通り、トレーラーとはいわゆる今回予告。
そのシナリオでどういった事件が発生しているのか、どういった人物が関わっているかをネタバレしない程度に荒く綴るものです。
このトレーラーの内容ですが、正直あまりこだわらなくてもいいです。
極論を言ってしまえばそれっぽい文や言葉まわし、小難しい用法さえしていればそれっぽく見えてしまうものです。
ボ○ムズ風味にむせるようなトレーラーもオッケイ。Gガ○ダム最終回予告みたいにもはやネタバレの範疇になってもそれはそれでオッケイ。
大事なのは「それがシナリオ内容に沿ったものであるか」と「PLにやりたいと思わせられるか」です。
それを踏まえるとすれば、先ほど例に挙げたボ○ムズやGガ○ダムはもちろん、少年漫画の次回予告というものも大変参考になります。
ダブルクロスは独特の雰囲気というものがありますので、その雰囲気も醸し出せればさらにグッド。
ここら辺はフィーリングで書いてもいいと思います。自分がかっこいいと思う厨二臭いトレーラーを書いてみましょう。
次にハンドアウトについて。これはPLへのお願い、といえば聞こえはいいのでしょうか。
シナリオに参加してもらおうキャラクターの方向性を定めるプロセスです。
ハンドアウトがないセッションというのもありますが、これは慣れてからやってみるのをお勧めします。
このハンドアウトの部分で、大体のシナリオの基盤が完成してしまうと行っても過言ではありません。
どういったキャラクター達が、どういった経緯で出会うのか。
主にオープニングからミドルにかけてのシナリオのベースを構成するのがこのハンドアウトです。
内容についてですが、これは主に各キャラクターのオープニング、物語の始まりを書くことが多いです。
「あなたのキャラはこのキャラと出会い、こういったことが起こります」とか「あなたは上司からこの事件の調査を頼まれました」など。
書いてある情報は単純ですが、先述の通り、この書かれた内容でシナリオの序盤から中盤にかけてが構成されます。
主人公を今回のヒロインと遭遇させたり、事件に巻き込ませたり、終盤への伏線を忍ばせる等、個人的にはかなり重要なプロセスであると思っています。
シナリオが完成し、エネミーのデータも完成させた後に、じっくり考えて、
どういった展開がシナリオにいい方向性を持たせられるかをじっくり考えながら書くことをお勧めします。
そしてシーンについてです。各々の場面、物語の進行の仕方や、どういった風にシナリオが起承転結していくか。それを示したものです。
とはいっても難しいものではありません。これに関してはドラマや演劇と同じように構成することが出来ます。
各シーンの集まりをフェイズで表し、場面を大きく3つに分割させてみましょう。
まずはオープニングフェイズ。これは文字通りオープニング、各キャラクターの物語の始まりです。
上司に命令されるシーン。依頼人から依頼を受け取るシーン。はたまた過去に事件についての回想シーン。
キャラクターのハンドアウトによって内容は様々でしょう。
ここでの目的はたとえどんな方向でも、キャラクターにシナリオへと関わらせる理由を作ることです。
可愛いヒロインと主人公を知り合いにさせて、そのヒロインを事件の被害者及びキーパーソンにする。
何か因縁の相手を事件の関係者にして、敵対心や競争心を刺激させる。
キャラクターにモチベーションを持たせるフェイズ、と言えば簡単でしょうか
その次にやってくるのがミドルフェイズ。物語の中盤に位置するフェイズです。
ここでの主な目的はキャラクターの合流、その後の事件や出来ごとの調査。よりシナリオに深く関わらせることです。
- キャラクター達がなにかのきっかけによって合流する合流シーン
- 事件への関心を深くし、事件の真相や背景へと迫る情報収集シーン
- 敵陣営の妨害や事件の弊害によって発生するミドル戦闘シーン
- 敵側の事情や事件の理由、後の展開への伏線を直接的に示すマスターシーン
ミドルフェイズを構成するのは主にこれらのシーンとなります。
特に重要なのは合流シーン。合流がどれだけスムーズに行えるか、どれだけ自然に行えるかが重要となってきます。
これをより簡単にするのがハンドアウトやオープニングです。
ハンドアウトで指定するシナリオロイスに他のプレイヤーキャラクターを指定すれば、
そのキャラクター同士で容易に合流することが可能となります。
またオープニングで、たとえば上司の命令を受けるシーンにて上司から「○○と合流しろ」と指令をすれば、
それだけでキャラクターは合流しようと自ら動いてくれます。
また合流については、案外プレイヤーのロールプレイでどうにかなることが多いです。
セッションの主な流れを作るのはGMであってプレイヤーでもあるので、プレイヤー達に頼ってみるのも一つの手でしょう。
次に情報収集シーン。これは事件についての背景や、関連人物についての情報を集めてもらうシーンです。
ここは実はあまり作りこまなくてもオッケイだったりします。情報の技能を適当なものに設定し、
それ相応の目標値をセットし、事件についてのプレイヤーがまだ知る由もない内容を書けばいいのです。
このシーンで重要とすべきなのは、最終的にクライマックスへとつながるように情報を設定することです。
シナリオボスの居場所や拠点といった情報を紛れ込ませ、キャラクター達にその場所へと向かってもらう。
事件の核心について判明した時にボスの襲撃を受けてもらう等、このシーンはミドルからクライマックスへと移行するつなぎ
となることが多いでしょう。
ミドル戦闘シーンは書いてある通り、敵側の妨害や事件の弊害によって起こるクライマックス以外の戦闘です。
これに関しては導入するかしないかは個人の判断でしょう。このシーンは主にキャラクターの侵食率やHPの調整を戦闘を介してするシーンなので、
必ず入るシーン、というわけではありません。
オンラインセッションの場合、特にダブルクロスは戦闘時の処理に関して時間がかかってしまうので、
ここではあまり導入しない方向の方がいいかもしれません。
導入した場合も、キャラクターが苦戦しない程度、1,2ラウンド程度で終了するエネミーの設定にすると
捗ることでしょう。
マスターシーンも同じようなものです。
マスターシーンとは、より深く敵側についての事情や背景を、NPC同士の会話によって理解してもらうシーンです。
つまりプレイヤーキャラクターが一切関わらないシーンですね。
必須、ではありませんが、導入するとよりクライマックスへの緊張感や、ヒロインへの同情を高めることも期待出来ます。
ダブルクロスのシナリオはそういった人間ドラマも楽しむものなので、効果的かもしれません。
ですがオンラインセッションが主なので、プレイヤーが少しばかりの時間暇を持て余してしまう
マスターシーンはあまり導入しない、導入しても短く1シーンに収めることをお勧めします。
その後はクライマックス、そしてバックトラックを挟んでエンディングとなりますが、これについては詳しく言及しません。
クライマックスはボスとの戦闘、エンディングはシナリオの締めくくり、その後のキャラクター達の日常をプレイしていきます。
これらの外枠を作れば、後はエネミーの詳細なデータやNPCのデータ、情報判定の項目などといった細かい中身を作っていきます。
ですがこれらのデータはルールブックを参照にすれば問題ないでしょう。
今回はこの前質問があったシーンの構成やキャラクターの合流などといった面を説明させてもらいました。
これらの解説が必ずしも絶対ではないので、あくまで参考程度に見てもらえれば幸いです。
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