今しがたドロップしたアイテムを回収する間、揺光は無言であった。
脱落したプレイヤーのアイテムはその場に散らばるらしく、フレイムマンとクラインが遺した物を一つ一つアイテムストレージに移した。
助けに来てくれた青い人――ロックマンというらしい――は自分のことを慮ってか何も言わず、ただ近くに寄り添ったまま周りに注意を払っている。
これはバトルロワイアルだ。何とか敵を退けた直後に、また別のPKがやってくるとも分からない。そのことを思うと、疲弊した心身が更に重くなった気がした。
赤黒いパネルに座り込み、何もない空間を見る。PCもアイテムも消え失せて、そこにあの剣士が居たことを、彼女はもう記憶の中でしか知ることができない。

「終わりじゃないんだよな。これで」

自分に言い聞かせるように彼女は呟いた。
そんなことは確認するまでもないことだ。明白で、疑いようがない。
何とか生き延びることができただけで、現状は何も変わっていないのだ。
これがただのゲームなら、疲れたとPTメンバーに告げてログアウトすればいい。そうすれば自分の部屋だ。
そして好きな時間にまたログインして、また冒険の続きを始めればいい。

「なら、頑張んないとね」

しかし、今はそれができない。その場その場を生き延びればいい訳じゃない。このゲームはずっと続くのだ。根本を破壊するまで、ずっと。
生き延びて生き延びて、GMを叩きのめして、それでやっと生き残ったといえる。
ならばずっと立ち止まってる訳には行かない。

そう思い、立ち上がろうとする。
だが、そうしようとすると、すっと身体から力が抜けてしまった。
膝を吐き、ふぅと息を吐く。

(そうは言っても、やっぱそう簡単に行くもんじゃないね)

これが本当にゲームの中の登場人物なら、また違ったのだろう。
仲間の死を乗り越え、より強い意志を持って巨悪に立ち向かおうとする――なんてことをやってのけるのがRPGの主人公たちだ。
だけど、自分は違う。こうして揺光という剣士のアバターを纏ってはいるけど、結局のところ自分はただの女子高生に過ぎない。
そう簡単に、仲間の死に直面し、それを克服するなんてできはしない。

クライン。このデスゲームで初めて出会い、同行し、共闘し、そして離別することになった剣士。
彼と過ごした時間は、それほど長い訳ではなかった。
しかし、その間に自分は確かに彼の本質に触れることができていたと思う。
フレイムマンに再戦を挑もうという申し出を快く引き受け、自分に貴重なアイテムを委ねてくれた時、自分は彼を本当に信頼することができた。
彼の意志を、彼という人間を、信じることができたのだ。

そんな彼が、こうして死んでしまった。もう二度と会うことはできないのだ。
そのことを思うと、揺光の胸に鋭利な痛みが現れた。

(ハセヲも……こんな感じだったのかな)

かつてハセヲが見せた痛切な様子を想起する
揺光が正体不明の力でPKされた時のこと、消えゆく彼女に対しハセヲは力なく呼びかけた。
その時の声はあまりにも悲しそうで、普段の彼からは信じられないほど弱々しくて、きっと彼があの時抱えていた感情は、こういうものだ。
絆を築いた者との別れは、ずっとつらく悲しく、唐突に思える。

「大丈夫?」

座り込む揺光を見かねたのか、ロックマンが気遣うように声を掛けてきた。
揺光は一拍遅れて「大丈夫」と精一杯力を込めて返す。

「ごめん。待たせたね。立ち止まってる時間なんかないのにさ」

そう言って揺光はロックマンに薄く笑って見せた。そして立ち上がる。
その間もロックマンは気遣いの籠った視線を忘れなかった。

「さ、行こう。さっきはありがとね」
「……うん、そうだね」

当初の予定通りウラインターネットを調査しなくてはならない。
暗い暗い迷宮の奥へ、そうして彼らは歩き出した。








「えーと、でここはロックマンが知ってる場所なのか?」
「うん。僕は何度か訪れたことがあるけど、柄の悪いネットナビの溜り場みたいになってる場所なんだ」

ウラインターネットの中を進みつつも、揺光は新たな相棒となったロックマンと言葉を交わしている。
情報交換や今後の方針などを話そうとしていたのだが、早速齟齬が現れていた。

「ふぅん、ネットナビね」

ぽりぽりと頬を掻きながら揺光はそう口にした。
聞きなれない単語だが、ロックマンは言うにはそれは現代社会において至極ありふれた者らしい。
というか彼自身がネットナビだという。

彼女はロックマンの身体を改めて見た。
スカーフの向こうに見える顔こそ人間とそう違わないが、それ以外はロボット的な意匠の鮮やかな青いボディをしている。
出会った直後はそういうゲームのアバターなのだと思ったが、話を聞くにどうやらまた違うらしい。

彼らには『リアルの身体』というものがないのだという。
何かしらのマシンを媒介にして仮想の身体を得てネット上に現れているのではなく、最初からネットに生きるものとして創造された、要するにAIという奴らしい。
彼らは人間をサポートし、現代社会に欠かせないパートナーとして存在するAI、それがネットナビだ。
揺光の知る2017年でも似たようなものの開発の話くらいならあった。だが逆にいえば話止まりなわけで、そんな本格的に導入されていたなどという話は聞いたことがない。

だからこれはまた齟齬な訳だ。クラインの時と同じ、否もっと大きな規模でのもの。
クラインの話は時代の不一致という決定的な点があったにせよ、基本的に揺光の知る常識から外れたものではなかった。
ネットゲームに閉じ込められる大事件という話は信じ難かったが、しかしそれでも基幹となる社会にそこまでの差異はなかった。少なくとも途中まで気付かずに話が進む程度には。

しかし、ロックマンとの話はすぐに噛み合わないことが分かった。
根本的に社会の在りようが違うのだから、それも当然のことかもしれない。

(これはいよいよ……さっき浮かんだ考えを信じないと駄目かもね)

ロックマンが出鱈目を言っているとは思わなかった。そんなことをする意味が感じられないというのもあるが、こうして少し話しただけでも彼の誠実な人柄は分かる。
となると、導き出されるのは先ほど考えた『最後まで残ったあり得なさそうな選択肢』な訳だ。

「……別の世界かぁ。まさかそんなことがあるなんて」

その考えをロックマンに告げると、彼はそう曖昧に言葉を漏らした。
その様子は半信半疑、というより困惑しているといった感じだ。自分もそうだ。
信じる信じないではなく、そもそもそんなスケールで物を考えるということ自体、あまりに現実味がない。
とはいえ現実味がないものを、ただそれだけの理由で否定するのはあまりにも狭量のようにも思える。

「まだ分かんないけどね。でも、アンタとアタシの生きてた世界が違うってことは確か、だと思う」
「そうだね。じゃあちょっとお互いの世界について色々教えて合おうよ」

そうして二人は言葉を交わし、それぞれの知ることを伝え合った。
どのような社会が構築され、そこで人がどう生きているのか。
それは知れば知る程興味深い経験であった。自分たちと似ているようで、どこか違う世界の話。
異文化接触どころではない。異世界接触というのだから貴重な経験かもしれない。

一通り話し終えた後は、二人は今後の進路の話に移った。このバトルロワイアルでの一先ずの目的地である。
だが、これは意外とすんなりと決まった。
ウラインターネット上に記された異物、ネットスラムだ。
揺光にしてみればここに呼ばれる直前、向かおうとしていた場所である訳だし、
ロックマンにとっても自分の知る空間に一か所だけ妙なものがあるのだから調べない訳にはいかない。

「ネットスラムってどういうところなの?」
「……ごめん。アタシもよくは分からない。さっきも言ったけど、私は最近まで意識を失ってたし、一プレイヤーとして招集されただけなんだ。
 ただ呼び出し先のサーバー名がネットスラムだった筈だから、The Worldの一部であることは確かだと思う。
 でも、そんなサーバー聞いたことないんだよね」
「分かった。とにかく行ってみようよ」

北に進路を取る。
ロックマンはこのウラインターネットという場に縁があるらしく、その足取りに迷いはない。
またその物腰も柔らかく、成程ナビゲーターという言葉がしっかりくる様子だ。

「……待って、揺光ちゃん」
「ちゃんって……まぁいいや、どうしたんだい」

不意に、ロックマンは足を止めた。
その様子にただならぬものを感じ取った揺光もまた立ち止まり、周りに注意を向ける。
緊張の糸がぴんと張りつめた静寂が訪れ、

「そこだ!」

そしてロックマンがバスターを放ち、その静寂を打ち破った。
短い銃声と共に放たれたバスターは、ウラインターネットのある一点を穿つ。
上後方だ。上の階層から自分たちの背中を狙っていたソイツを揺光もまた見ることができた。

ソイツは白かった。
白いスーツ、白い髪、病的なほどに白い肌。かなり特徴的だ。
暗いウラインターネットから浮き上がるほどに白いPCを持ったソイツは、バスターをさっと避ける。
奇襲しようとしていたであろうソイツは、気付かれたことに苛立たしげに舌打ちをした。

「敵、だね」

揺光はぽつりと漏らした。
また新たな戦いだ。ならば戦わなければならない。そう思い、メニューから刀を呼び出して構える。
フレイムマンの支給品にも双剣はなかった。その為またこの刀で戦わなければならない。
クラインが最期に振るっていた、この刀で。

「揺光ちゃん」
「……大丈夫だ。足手まといかもしんないけどさ、自分の身くらいは自分で守るから」

そのことを思うと刀を握りしめる腕が震えそうになった。
だが、決して下を向くことなく、前を、敵を見据えた。

白いソイツは姿をかき消したかと思うと、揺光たちの前にすぅっと現れた。
ソイツは鎌を――揺光にとっては見慣れた武器種だ――を構え、こちらと対峙する。
そして、動いた。

敵が鎌を薙ぐ。大振りなそれをロックマンと揺光はさっと避ける。
揺光はそのまま下がるが、ロックマンは違う。攻撃後の隙を突くべく、近づきバスターを連射する。
敵は先と同じくその身をすっとかき消し、少し離れた場に現れる。その様はまるで幽霊のようだ。
そうしてバスターを回避した敵だが、そこにロックマンが追撃を加える。
地を蹴り敵へと迫る。現れたばかりの敵にバスターを放とうとして――

「危ない、ロックマン!」

その瞬間、後ろから迫るもう一つの白を揺光は見た。
一見して全く同じ外見をした白い影がもう一体現れ、ロックマンの背中を狙う。
攻勢から一転、挟撃に晒されることになったロックマンだが、彼はそこで焦りを見せなかった。
背中に迫る攻撃を受けた、と思った瞬間、「ボン」と音がして彼の姿が消えた。
そして再び現れたのは――敵の遥か上空。上空へ現れたロックマンはスカーフを揺らし宙を舞い、そして白い影へ手裏剣を放った。

カワリミマジック。ロックマン・シャドースタイルに組み込まれたプログラムであり、高度なカウンター技でもある。
後ろから奇襲をしようとして逆に背中を取られる形となった敵は、手裏剣を受け地面に転がった。
もう一方の敵が前にでようとするが、そこにロックマンのバスターが放たれる。

「強い……」

揺光は思わず声を漏らしていた。ロックマンは二重の奇襲を難なく躱し、どころか逆に反撃して見せた。
多くの経験を積んでいなければあの動きはできないだろう。これで彼の言っていたオペレーターの力が加わればどうなるのか。

「……っと!」

呆としている場合ではなかった。攻撃を受けた敵が立ち上がり、揺光の方を見たのだ。
自分は観客ではない。ここは戦いの場であり、そして自分もまた戦士としてこの場に立っている。
白い敵は幽霊のような移動を繰り出し、揺光の前に現れる。

「揺光ちゃん!」

ロックマンの声がした。彼は今もう一方の敵を抑えている。敵とて馬鹿ではない。先の奇襲を警戒しつつも、無駄のない動きでロックマンを攻めていた。
自分で何とかしなくては。そう思った揺光は「はぁ!」と声を立て刀を走らせた。
だが白い敵はそれを避けてみせ、そしてがら空きとなった身体に拳を振るう。
うめき声を上げ揺光は吹っ飛ばされた。喉の奥からせり上げるような不快感が彼女を襲う。
それを見た敵の顔には嘲笑が浮かんでいるように見えた。

(所詮、素人の技って訳か)

可能な限り早く立ち上がり、揺光は再び刀を構える。
が、この刀で敵を迎撃などということは考えない方がいいのかもしれない。
ゲームとして定められたモーションが触れるのならまだしも、何のアシストもない状況では自分はこと戦いに関しては素人に過ぎない。
それでもゲームPCだけあって普段よりは丈夫だし筋肉なんかもあるようだが、しかし技を自分は持っていないのだ。
先のジョブエクステンド状態ならまた別だっただろうが、今の自分でこの敵に対抗するのは難しいように思えた。

「……っ!」

と、そうこうしている内に二撃目が来た。
白い影が不気味ににじり寄り、そして目にもとまらぬ速さで拳を振るった。
揺光はアリーナ戦で鍛えた反射神経を活かし、それを必死に回避していく。
一撃二撃三撃、と躱していくが、じり貧であることは明白だ。ギリギリで避けてはいるが、カウンターの機会は掴めず、防戦一方だ。
危惧した通り、揺光は再度吹き飛ばされ、地を転がった。

「揺光ちゃん!」

ロックマンの声が響く。
彼も必死にこちらに向かおうとしているのが見て取れたが、しかしもう一方の敵に阻まれできないでいる。
一方が足止めすることに集中し、もう一方が弱者である揺光を先ず落とそうという魂胆らしい。
足を引っ張っている、そう思い揺光は歯噛みした。

「まだ、だ」

揺光は言って、そして身を翻し彼等から距離を取ろうとする。
ロックマンの邪魔だけはしたくなかった。彼が自分を救おうと必死になることで隙が生まれ、そしてこの敵に下される――そんな光景が脳裏を過った。

白い敵から逃げるべく走る。
攻撃は可能な限り避け、時節刀で反撃しようとしては吹き飛ばされ、その度に走る現実と相違ない痛みを噛みしめながら、それでも必死に走り続ける
HPゲージもジリジリと減っている。そしてそれ以上に彼女の精神に限界が来ていた。

がた、と音を立てて息を切らし膝を付く。
それを見つめるのは嘲笑を浮かべる白い敵。
何時しかロックマンたちと離れてしまったようで、彼らの姿は見えない。

その事実に僅かに安堵している自分に気づき、敵を前にして揺光は苦笑を浮かべたい気分になった。

(自分のせいだ――とでもアタシは思ってるのか)

クラインの死に対し、あそこで引き返そうなんて言いださなければ、などという考えを自分は捨てきれないでいる。
だからロックマンから離れられたことに安堵を覚えた。そういうことだ。

(やっぱ、すっぱりと割り切れてなかったんだね)

肩を並べて戦った者が死んでいく。それを見た時の得たあの感情を、自分はどう扱えばいいのか分からないでいる。
そのようなメンタルで戦えばこうなるのも必然だった。

「……ふぅ」

揺光は息を吐く。
落ち着け、そう自分に言い聞かせ立ち上がった。
そして再び刀を構える。それを見た白い敵は馬鹿にしたように笑いを漏らした。
これまで一太刀も浴びせられていないのだから当然の反応だろう。自分の剣など恐れるに足りないということだ。
そうだ。元々自分のジョブ以外の装備を無理に使おうとするからいけないのだ。
碌に戦える訳もないのに、自分はそれに固執してしまった。一重に乱れたメンタルのせいだ。

だが今の自分は冷静だ。少なくともそう言い聞かせている。
だから気付くことができた。自分にできる戦い方を、既に見たそれを、思い出すことができた。

「バトルチップ『ホールメテオ』」

フレイムマンが使い、そしてドロップしたアイテムを揺光は使用する。
ロックマンから話は聞いている。バトルチップという名のネットナビが使う戦闘用プログラムだ。
そしてその効果は敵として相対した自分が最もよく知っている。

目の前にシンプルなデザインの杖が出現する。
そして頭上から燃え盛る隕石が降り注ぎ敵を狙う。ごうごうと音を立てて炎が空間を舞った。

「What?」

白い敵がと驚きの声を漏らすのが分かった。彼にしてみれば突然の事態に困惑するしかない筈だ。
それでも何とか隕石を避けている。戦ってみて分かるが敵の技量もかなり高いのだ。
だが、そこに更なる一撃が加えられる。

「はぁ!」

揺光は敵へと突っ込み、刀を一閃する。その扱いは決して巧いとはいえない。
しかし隕石を避けることで精一杯だった敵を捉えるには十分であり、そしてついに彼女の刃は敵を捉えた。
斬られた敵は苦悶の表情を浮かべ、身体を霧散させその場から消え揺光から距離を取る。
その眼光に明確な憎悪が宿っているのが、サングラス越しでも分かった。

「揺光ちゃん!」

と、そこでよく張りのある声が聞こえてきた。
確かな強さの感じられるその響きに、揺光は胸が落ち着いていくのを感じた。

「大丈夫? ごめん、あの敵を追い払うのに少し時間が掛かった」

その声と共に、ロックマンは揺光の前へ駆けてきた。
スカーフはためくその姿に頼もしいものを感じ、揺光は口元を釣り上げた。
白い影は揺光とロックマンをしばし眺めていたが、ここは退くことにしたのか、現れたときと同じくすぅと姿を消し去って行った。
最後まで揺光を睨み付けながら。

「……行ったみたいだね。
 大丈夫だった? 揺光ちゃん」

自分を気遣うロックマンに、揺光は「大丈夫」と言い、そして今一度息を吐いた。
そして胸を落ち着けた後、ロックマンに向かい、

「その、ごめん。勝手に先走ったりして」
「今度からは気を付けてね。一人で勝手に行っちゃうなんて危ないよ」
「うん。それと、ありがと。助けてくれて」

そう礼を言いつつ、揺光は精一杯笑みを浮かべて見せた。
記憶にこびり付いたクラインの死の残滓は、未だに拭い去れたとは
そうすぐに切り替えることのできるものではない。だってこれはゲームではないのだから。
しかし、それを何時までも引きずっていては生き残ることなどできる筈もない。
そして何より、

(アイツは……クラインはそんな奴じゃないよね)

彼は他人のために危険を承知でフレイムマンに挑むような男だ。
一緒に過ごすことができた時間は長くはなかったけれど、その思い、その信念は揺光にも確かに伝わった。
だから、彼の死に対し自分が罪悪感を抱くようなことは、寧ろ彼への冒涜だろう。
それが原因で死にでもしたら、彼はきっと自分を許さない。

だから、せめて今は前を進まなくてはならない。
ゆっくりでも、歩くような速さでも。

「じゃ、行こっか、ロックマン。とにかくネットスラムに行かないと――」
「ネットスラムならすぐそこだ」

不意に、背中から声が掛けられた。
揺光は思わず肩を震わせ、緊張をした面持ちを振り返った。
すると、そこには先の敵と対称的な黒いコートに身を包んだ屈強な男が居た。
見覚えのある男だ。確か最初の場で榊に問いかけていたのが彼だ。

「先ほどの奴らとはすれ違いになったようだな。
 俺ももう少し早く出てくるべきだったか――まぁいい」

彼はコツコツと靴音を立てながら近づき、

「問わせてもらう。お前たちは何だ?
 どこから来て、そしてどんな力を持っている」

そう感情の読めない平坦な口調で問いかけてきた。
彼の腹は読めない。どのような思惑で自分に接してきたのかも、敵なのか味方なのかも。
だがしかし、自分たちはこうして出会った。それだけは確かだった。

休んでいる暇などない。次から次へと変化し続ける世界に、対応しなくては生き延びることはできない。
敵を退けても、そこでセーブして電源を切ることなど許されないのだから。


【B-10/ウラインターネット/早朝】

【ロックマン@ロックマンエグゼ3】
[ステータス]:HP80%
[装備]:なし
[アイテム]:基本支給品一式、不明支給品1~3(本人確認済み)
[思考]
基本:殺し合いを止め、熱斗の所に帰る
1:揺光と行動する。
2:ネットスラムに行く。
[備考]
※プロトに取り込まれた後からの参加です。
※アクアシャドースタイルです。
※ナビカスタマイザーの状態は後の書き手さんにお任せします。
※榊をネットナビだと思っています。また、榊のオペレーターかその仲間が光祐一郎並みの技術者だと考えています。
※この殺し合いにパルストランスミッションシステムが使われていると考えています。
※.hack//世界の概要を知りました。

【揺光@.hack//G.U.】
[ステータス]:HP25%
[装備]:あの日の思い出@.hack//
[アイテム]:不明支給品0~5、ホールメテオ@ロックマンエグゼ3、基本支給品一式
[思考]
基本:この殺し合いから脱出する
1:ロックマンと行動する。
[備考]
※Vol.3にて、未帰還者状態から覚醒し、ハセヲのメールを確認した直後からの参戦です
※クラインと互いの情報を交換しました。時代、世界観の決定的なズレを認識しました。
※ハセヲが参加していることに気付いていません
※ロックマンエグゼの世界観を知りました。

【モーフィアス@マトリックスシリーズ】
[ステータス]:健康
[装備]:最後の裏切り@.hack//
[アイテム]:不明支給品0~2、基本支給品一式
[思考]
基本:この空間が何であるかを突き止める
1:(いるならば)ネオを探す
2:トリニティ、セラフを探す
3:ネオがいるのなら絶対に脱出させる
4:目の前の参加者と接触する。
[備考]
※参戦時期はレヴォリューションズ、メロビンジアンのアジトに殴り込みを掛けた直後

【ツインズ@マトリックスシリーズ】
[ステータス]:ダメージ(中)
[装備A]:大鎌・棘裂@.hack//G.U.
[装備B]:なし
[アイテム]:不明支給品0~2、基本支給品一式
[思考]
1:生き延びる為、他者を殺す
2:揺光に苛立ち(片割れのみ)
[備考]
※消滅後より参戦
※二人一組の存在であるが故に、遠く離れて別行動などはできません。


040:REVOLUTIONS 投下順に読む 042:串刺城塞
040:REVOLUTIONS 時系列順に読む 042:串刺城塞
25:Link ロックマン 066:夢見る蝶を追いかけて
25:Link 揺光 066:夢見る蝶を追いかけて
31:貴方の魂にやすらぎあれ モーフィアス 066:夢見る蝶を追いかけて
22:back into my world ツインズ 068:黒と白の果て(緑もいるけど)

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2013年12月20日 22:55