響きblog
構造改革によって生産性を上げ、国際競争力をつける...とどうなるか?
最終更新:
Bot(ページ名リンク)
-
view
2006年11月21日
1兆円の利益を出した某社とか、役員が「移民を工場で使えないのは法律がおかしい」と公言している某社とか、輸出産業のうち国内優位の会社が史上空前の利益を手にする一方で、食肉とかの輸入業界はバンバン偽装しちゃうってわけ。田舎は荒れ放題。で、どっちにしても国内経済は収縮して一揆や打ちこわしが起こってもおかしくない状態になってる。
目次
- 現状分析
- 生産性って何?
- 普通の意味で生産性が上がると...
- 為替が絡むと...
- 35兆円の介入はアクセル・ブレーキ同時踏み
- 結果は一人勝ち
- 決論
- どうすればいいのかな?
など。
先に白状しときます
以下、にわか勉強の部分も多いので、議論は荒っぽいです。すんません。ちょっぴりでも新しい視点を提供できればと思い、書いた次第であります。
生産性向上って何?
生産性向上っていう場合、普通の意味で言う生産性向上と、グローバルスタンダードの文脈で言う生産性向上では指している内容が違う。不覚にも私は最近まで知らんかった。
- 普通の意味での生産性向上
- 同じ財(人・モノ・カネ)と時間で、より多くの財(モノ・サービス)を産み出す事。要するに無駄が無くなって効率が上がること。
- グローバルスタンダードの場合
- 投入した財(人・モノ・カネ)あたりの利益。人で見る場合は総人件費に対する利益、と言った具合で、基本的にはコストに対するリターンの比率。増減の原因は問わない。
どっちの意味なのかハッキリさせとかないと、話が混乱して全然かみ合わないってことがありそうだ。
生産性は簡単に上げられる
グローバルスタンダードでの意味でなら生産性は簡単に上げられる。賃下げすればいい。10%の賃下げをすれば生産性はその逆数だから100%/90%=111%。約11%向上する。給料はそのままで11%効率を上げなきゃって考えるのが良心ってもんだとは思う(それでも賃下げだけど)。でもこうして「生産性向上」の正体が見えてしまうと、「規制緩和」ってのが何を求めてるのかが見えてくる。もう会社は無駄な社員の面倒は見ないよってこと。ついでに言うと「負け組み企業の従業員がどうなったって知らんよ」という事も含んでる。「護送船団方式・横並び意識からの脱却」なんてカッコイイ言い方もある。
規制を撤廃するってことは、裏返すとマジで競争しましょうってこと。普通に考えたって彼等の大好きなミクロ経済学で考えたって、価格はギリギリまで下がって、業界内では体力勝負になる。新規参入なんて夢のまた夢だ。
相手は銃も刀も持ってんのに自分は素手で不公正だって?知らないよそんなこと。規制緩和しろって言ったじゃん。とにかくマジで勝負なんだよマジで。
規制を緩和すると新規参入しやすくなるんじゃなかったのかって?確かにそう。だから価格がギリギリまで下がるんだって。新規参入は簡単だけど潰れるのも簡単。しかも潰れたら「自己責任」だ。誰も面倒見てくれない。というかそんな余裕ない。
企業の存在意義、とか社会的責任、とか言った大切なものはどうやら無くなっちゃったみたいだ。「株主の利益」だけが一人歩きしてる。日本が不景気になってから増えた株主ってどんな人達かな?
- 大切なもの
- 色々ひっくるめて価値観と言っていいと思う。今は価値観が無くなって価値だけが自律的に動いてる。
- 規制緩和のきっかけ
- 日本でいうバブル期のちょっと前までにかけてアメリカの製造業がガタガタになって、プラザ合意があって...(中略、後日調べます)...時価評価で損出まくり+自己資本比率うんたらかんたら...信用が大きい巨大企業は、銀行借り入れより、株で資金を調達するようになった。借金を減らそうってことだね。証券業界が活況を呈しているのを銀行さん達は指を咥えて見るしかなかったんだけど、「規制緩和」で「新規参入」できるようになりました。めでたしめでたし。というわけで、会計を正しくしようという掛け声の下、株屋と会計事務所と、預金の裏づけがない金貸しの仕事は増えたのだった。
- ちなみに、「株主の利益」と言う場合、多くの場合では「株屋が商売やりやすいように」という裏の意味が入り込んでるのでよく見てみましょう。「正しい」会計処理によって、株価が上がったり下がったりするのは大変おいしいです。
グローバルスタンダードの彼の国は、製造業が空洞化してもうガタガタになってるってことだけは覚えとこう。あ、ついでに貧困が犯罪を産んでるってこともね。もひとつついでに、「グローバルスタンダードの国」を「世界で標準的な国」と訳すと、これは発展途上国ってことなのかもしれない。非白人の国とか。
例で考えてみる
普通の意味で生産性が上がると...
今まであるもの、うーん、植木鉢にしようか。植木鉢を作って、800円で売ってたとしよう。これを生産性の向上によって600円で売れるようにした。25%の生産性向上だ(もちろん、利益水準も落とさない)。私は観葉植物とか好きだから、これは嬉しい(ただし、私が植木鉢屋でない場合に限る)。
全体で見ると...
日本人はとっても真面目だから、日本全体で生産性が25%上がったとする。今まで800円だったものはすべて600円になる。おお、これこそが経済大国、今までより安くモノが買えるようになった。やっぱり規制を撤廃して競争しなきゃね。
ところが、すべてのモノが安くなってしまった場合、これば物価が下がったということになる。つまりデフレだ。早い話、みんながケチってる。名目GDPは小さくなる。経済成長どころか、経済は縮小しちゃったのだ。でも価格が下がっただけでモノやサービスの流れは変わってないんじゃないか?つまり実質GDPは変わらんのじゃないか、ということも考えてみてもいい(物価が下がれば購買量が増えるのでは?というのは後述)。でもやっぱりこれだけ広範囲で物価が下がるってことは、みんなが安い給料で我慢してたり、負け組ぎりぎりの会社が赤字覚悟で自転車操業してたりすると考えるほうが自然だ。みんながケチった結果、まわりまわって自分の給料もケチられたってわけだ。「モノが安くなったー」なんて単純に喜ぶ訳にはいかない。それこそがデフレの正体だからだ。「需要が縮小してる」ってのは「安く買いたい(支出を抑えたい)」ってのと同じだ。つまり、
- みんながケチるとデフレになる。
生産性向上の話をいきなり「日本全体で」なんて広げちゃったのはアレだけど、ある業界で技術革新した会社が生産性を上げ、今までより安く商品を供給した結果、他社も追随して、上の例で言えば植木鉢が軒並み25%値下げ、なんてことはあるかもしれない。これも同じ事で、植木鉢業界の生産性が上がったのか植木鉢業界が不景気になってしまったのかは区別がつかない。仮に植木鉢メーカーは利益水準を維持していたとしても、街の植木鉢屋さんは堪らん。売上25%減だ。
メーカーから安く買って、元の値段のまま売ればって?今はマジで勝負してんだよ。そんなの無理。誰かが必ず抜け駆けして安く売る。「他店の方が安かった場合お知らせ戴ければ適切に対応させて戴きます」ってもんだ(実際には身銭も切れないから「あっちには幾らで降ろしてんだよー」とか脅してみたりするかもしれない)。
ショボイ経済学
ショボイ経済学では価格が下がれば販売量が増えるってことになってるけど、それは世の中で植木鉢が圧倒的に不足してた場合のことだ。今はもうそんな時代じゃない。ダイエーの高木(元?)社長は、就任直後、全国のダイエーを見て回ってこう言った。
- 「当社の売り場には(安い)モノはたくさん在ったが、(皆さんが)欲しいものはなかった。」
為替が絡むと...
全体で物価が動いたとなると、為替がからんでくる。800円で売っていた植木鉢を5$で輸出していたとしよう。これが25%安くなって4$ちょっとで輸出したって場合は販売量も増えるかもしれない。あるいは、国内では600円で売っても平気なものを5$のまま買ってくれれば御の字だ。
だけど、日本製品がぜーんぶ25%安くなりそうだってことになると、話は変わる。円の値打ちが上がる。今までより多くの日本製品が買えるんだから当然だ。円立て決裁の場合は円が必要だし、ドル建て決裁の場合だって、メーカーがそれを材料屋さんや給料支払いに当てようとすると円に替えなきゃなんない。実際に円の需要が高まるわけだ(と投機屋が認識すれば相場は上がる。ちなみに、長期で見れば相場は実需に落ち着くってよく言うけどいつどのくらい落ち着くのかな)。
乱暴にも円の価値が25%上がるとすると(というか実際に使い出として25%実質価値が上がってるわけだが)、せっかく600円でつくれるようになった植木鉢を5$で売ったつもり(1$=120円)が、円が25%上がって(1$=90円)両替したら(5$×90円=)450円にしかなんない。これじゃ25%の値下げだ。なんでみんな生産性なんて向上させたんだよー。
ってわけで、みんながあんまりがんばりすぎると元の木阿弥になっちゃうのだ。
ってわけで、みんながあんまりがんばりすぎると元の木阿弥になっちゃうのだ。
- 普通の意味での生産性の向上は為替で消える。
この際はっきり言おう。
- みんなでリストラした分は為替で消える。
生産性の向上=デフレ
以上の議論はかなり荒っぽいし論点も微妙にすり替わって行ってるけど、結論は変じゃないつもり。人よりリストラした分は儲かるかもしれないけど、みんながリストラした分は為替で消える。最初のほうで言ったけど、「(規制緩和によって)国際競争力を強化しましょう」というのは国内から見ると「デフレにしましょう」と言ってるに等しい。
35兆円の介入はアクセル・ブレーキ同時踏み
つまり、我が政府は(というほど政府に主体性があるかどうかは別として)デフレ政策を行っている。あんまりデフレがひどいから目を離すとすぐに円高になる。だから35兆円もドルを買ってドルを上げようとした。言い換えれば円安操作をした。これではアクセルとブレーキを同時に踏んでるようなもんだ。
これは実はちょっと誇張した話で、ホントにデフレで全滅してるんなら円なんかどうでもいい。円を持っててもロクなもんが手に入らないんだから円高になんてならない。(実際に魅力があるのは一部の大儲け企業への投資なんだけどそれは最後で。)
- 余談
- 自転車を漕ぎながらブレーキをかけるとコントロールが精妙にできて安定したりする。安定のための操作としては正しいのかもしれない。
- アクセル
- 実はアクセルも踏んだことがあって、アジア通貨危機のあと、次は日本だとばかりに某投機筋が円を売り浴びせたけど(先物売りしとくと、値下がりで儲かる)、当局は200兆円の資金で逆に買い浴びせ(「買い支え」なんて慎ましい金額じゃないよね)、ヘッジファンドの奴等がエライ目に会ったという噂がある。噂ですんません。
- ドルから見ると
- アメリカはいくらでも借金をしてくれる。みんながドルを使い続ける限り、米国債を発行するというのはドルを刷るのとあんまり違わない。そのカネがうなるように世界を駆け巡ってる(日本の会社の株を買ったりもしてるよね)。今や貿易の決済に必要な貨幣に比べて2桁くらい大きい投機資金が為替を動かしてる。でもものには限度がある。もし、石を投げればドルに当たる程になってしまったら、さすがのドルもただの紙だ。無地の紙の方が何かと便利かもしれない。
- ハタの者にしてみれば
- そこまでは行かないけど、ドルが本来の値打ちより高い状況がずっと続いている。日本がドルを買い続けてきたこともその一因ではある。だからちょっと目を離すとドル安になる。あわてて介入して円安にする。固定相場みたいなもんだ。相対的にユーロだけが上がってスペイン経由のキューバ葉巻はちっとも安くならない。ホントだったらバンバン買うんだけどなあ。まあとにかくEUの人達は苦々しく思ってるに違いない。
- 中国
- 対ドルレートを安く固定(というか固定する為の為替介入)しているのは中国の方がもっとひどくて、元(げん)があんまり安いから中国人は実質タダで働いてくれる。だから日本の工場はどんどん中国に移転するし、移転するわけにはいかない農家の人達は苦しんでる。もっとも、さらに円高になったらもっと悲惨だけど。ヨチヨチ歩きだった中国経済と長くお付き合いするために、冗談みたいに安い元のドルペッグ(対ドルレート固定)もみんな大目に見てあげてたけど、国連の常任理事国で核兵器も持ってることなんだし、飢えてる様子もなさそうだからそろそろいい加減にして欲しい、と思ってる人は多い。インドはまだ暫く大目に見とこうってところ。
食料自給率とかを問題にする場合は、今目の前の対中貿易や対中投資がとってもヘンな事になってるということの影響をさっ引いて考えないといけない。先に言ったように、みんながリストラした分は為替で消えるはずでしょ?だから例えば、アジア全体を幸福にする農業政策は「食料自給率を上げましょう」ではなくて「そろそろいい加減にしてくれませんか?」かもしれない。 - 「米国債を売りたい誘惑に駆られることがある」
- と言って政治生命を絶たれた元首相がいる(故人)。この人は運輸相の時にJRを分割民営化してて、郵政民営化法案の時は、例の福知山線脱線事故(過密ダイヤでマンションに突っ込んだやつね)に触れて「JRの分割民営化を褒めてくれる人がいるが、ものすごく後悔している」と言っている。
お金あげるからモノ買って
註が多くてすんません。で、唸るほど買ってしまったドルをどうするかというと、もう一度市場に出すわけにはいかないので米国債を買っている。そうか、お金貨してるのか、じゃあいつか還って来るんだと思ったら大間違い。借金の返済も米国債だ。だからお金は永遠に還って来ない。
早い話、「お金貸すからモノ買って」だったはずが、
- お金上げるからモノ買って
と言ってるに等しい。まあ少なくともそのどちらかだ。
- 借金を借金で返済
- 運転資金を短期借入金で賄ってる会社(つまり殆どの会社)はどこでもやってるんだけどね。返済期日が来たらそっくりそのまま新規に借り入れを起こす。でもその度に金利は見直して上がったりするかもしれないし、少なくとも利息分は現金で返すのが仁義ってもんだ。そうじゃないと銀行に金融庁の査察が入った時にソッコーで「不良債権」ってことになっちゃう。UFJさんも大変なのだ。だからそもそも貸してくれない。
まとめ
話は長くなっちゃいましたが、要は
- 今のデフレが人為的なもので、構造改革は決して経済の再生になんて繋がらない
って主張、お分かり戴けたでしょうか。
一人勝ち
さて、みんなでリストラした分は為替で消えると言いましたが、これは全部合計して見た場合の話。これを頭数で割れば平均値になりますな。みんなでリストラした分は平均的に頑張った会社ではちょうど消える(リストラした割に儲けは増減ゼロ)ってわけ。ということは、もっと頑張った会社はちゃんと儲かって、頑張りが足りない会社はリストラしたのに損が出る。と言えば聞こえはいいんだけど、これってつまり
- みんなでリストラしちゃうと、輸出で競争優位な会社が、(輸出と関係ない人達も含めて)みんなでリストラした分を独り占めできる
ってことだ。で、某社は史上空前の利益1兆円を達成したりしてるってワケ。トホホ。
ここでリストラってのは頑張りのシンボルとして使ってるだけで、頑張りのもっと多くの部分は低コスト化だろう。何かとケチればいい。下請けさんへの外注額を「適正に」したりする。結果だけ見ればイジメですわな。みんな日々の業務で良かれと思ってやってるでしょ?下請けさんも従業員をいじめざるを得ない。リストラ+低コスト化で派遣社員が増え、ニートは増える。それでも足りなくて「移民を工場で使わせろ」なんて言う(輸出で儲けてる某社の)偉い人も出てくる始末。そのへんも含めて言い換えると結論はこうだ。
- みんなでイジメあうように仕向ければ一番上の金持ちだけが儲かる。
何てことはない、考えてみればあたりまえのことじゃん。やられたー。
- 一応
- 金持ちの弁護もしとくと、最終製品の販売をするってことは形式上はリスクを取ってるってことを申し添えておこう。
- ニート
- このまま職が無い状態が続くと、「軍隊に入って給料を貰う」というのがかなり魅力的になることは指摘しておこう。
どうすればいいのかな?
デフレがダメならインフレにする?
でも今必要なのはインフレじゃない。インフレターゲットなんてお腹いっぱいになってから言う事だ。デフレが元に戻ってくれるだけでいい。毎日フランス宮廷料理を食べるのは無理でも、1日2食の人が3食たべることはできる。目の前にニンジンを吊られても朝飯抜きじゃ走れない。今必要なのは朝飯。
デフレをもとに戻すってことは相対的にはやっぱりインフレ。でもインフレの抑制はいままで研究しまくってるから大丈夫。心配しなくていい。物価はそのままで変なトコだけインフレ傾向(土地バブルとか)なんてことにならんように気をつければいい。ありがちだけど。
「構造改革が必要」なの?
問題の始まりは構造改革だった。日本は危機的状態にあるのだ。その代表が何百兆円にもなる国債。
会社に例えるならちゃんと例えよう
赤字国債は子々孫々に借金を残すことだ。でも借金するからには何かを手に入れている。「借金も財産のうち」と云うじゃないですか。実際、会社の場合、借金が増えると貸借対照表(バランスシート)上の右側、「負債」が増えるのと同じだけ「資産の部」に現金とか製造設備とかが増える。早い話が証文と引き換えに、とにかく一旦は現金を手にしてる。それが形を変えてどこかにあるハズ。
確信犯の方々
経○連の人たちなんかは会社経営のプロばっかりだから、そんなことは百も承知だ。借金が有る事自体は問題じゃない。大事なのは金が廻ってるかどうかだ。なのに「構造改革が今すぐ必要」とか言ってたり、それに知らんフリしてたら確信犯の嘘つきと言わざるを得ない(マスコミも経営者くらいになるとさすがに分かってるはず、であって欲しい)。
国債という不思議な借金
自分への借金はマッチポンプか?
だいたいが国債ってのは国の借金。国の外に出りゃ確かに借金だろうけど、お金を刷る人の借金って一体何?(あとで本四架橋の例が出るから考えてみて。)ちょっとややこしいんだけど、債権を自分で買い戻せばこれは自分への借金だ。何にも問題ない。問題は朝飯がないってことだ。
- 「日銀は魔法の杖ではない」
- 福井総裁が就任したときの発言。なーんだちゃんと分かってたんじゃん。財務省に「オレがカネ借りるから刷れ」って言われてもそりゃイヤだろうけど。え、景気のことはヨソでやってくれって云う意味だったの?(それはそれで正しい)
そういうことなので日銀さん、バンバン国債買って下さい。そんなことしたら国債が暴落する?田舎のお婆ちゃんとかはリスクが大嫌いだからきっと買ってくれるよ。どっちみちロクな投資先ないんだから。ハイパーインフレ?朝飯がない人に朝飯配ってる間は大丈夫。
高橋是清は公債の日銀引き受けと言う、その後の国家財政を後戻り不能に持ち込んだ財政政策の、張本人である
なんて云う真っ当な指摘もあるのが気にはなるが。
借金を何に使うか
これこそが真の課題。朝飯食って何するかだ。借金して手に入れるのが「本当に美しい国」だったらどうだろう?人々の思いやりだったらどうだろう?借金をバンバン返せる経済だったらどうだろう?そういうのならアリじゃないだろか。
- 借金返済
- 団塊の世代の人達が持ってる持ち家の代金はどうやって払ったか?まじめに働いてローンを返した?まさにその通り。見落としちゃいけないのは、まじめに働いて手にしたのが給料だけではなかったってこと。猛烈な欲望がインフレも手に入れたのだ。
イカツイ顔した土地コロガシや濡れ手に粟の土地成金の貯金が増えるだけってのはもう御免被りたい。
- 無駄な公共事業
- 無駄が叫ばれるのは新幹線とか高速道路がその代表選手かな。財政投融資でつくってるもんが多いはずだ。エリート中のエリートである財務官僚も、財投する時だけは郵貯が資本家様、財務官僚は労働者ってわけ(良く言ってファンドマネージャー)。さぞや屈辱的だろう。せっせと新幹線とかつくっても、その投資のリターンが、ただ座ってるだけのお婆ちゃんの郵便貯金の馬鹿高い利子へと目の前でスルーして行くんだから暴れたくもなる。その貯金だって元々は新幹線敷く計画を建てて、お婆ちゃんから土地を買ってあげた時に渡した金だったりするんだから何やってんだか分かんない。投資して働いて稼いでんのに貯金だけがどんどん積みあがっていく。お婆ちゃんが「あー良かった」ってホッコリして終わり。これじゃただのポンプだ。抵抗勢力を一掃して郵政民営化しちゃいたかった気持ちは分かる。本四架橋はソッコーで国債に借り換えてるもんね。もうこの先の民営化プロセスはテキトーにやっといてよってのが本音だろう。
総括
まともな経済学を普通に勉強すること
いやこれホントまじです。サプライサイド?ニュークラシック?
→wikipedia「新しい古典派」
ケインズさんに笑われますぜ。なんでそんな古臭い考え方(というか、非科学的という意味で宗教に近い)がゾンビのように跋扈してるのか理解に苦しむ。実際、この経緯に関して膝を打つような説明に出会ったことが無い。ご存知の方は教えて下さい。
- マクロ経済
- 国内経済の全体や政府の財政を会社に例えるのは間違いか嘘だということは覚えといたほうがいい。これは会社には会社のソト(外部)があるのに対し、経済全体にはソトがないという違いに起因してる。パイの大きさは必ず有限で、大きくなったり小さくなったりはするものの、とにかくパイが全てだってこと。だから「黒字」とか「赤字」ということが通常の意味では使えない。国内経済から見たら貿易は確かにソトだけどあくまでオマケ。何言ってんだよ日本は貿易立国なんだよという方はプランテーション農場でこき使われるなり、ブロック経済圏を構築して戦争を始めるなり、大々的に外需に依存して下さい。やっぱり大事なのは足元。
戦前の大恐慌の時
この時は世界的にチョーデフレだったんだけど、高橋是清蔵相が世界に先駆けてケインズ政策をやってあっさり解決しちゃった(もちろん、国債の日銀引き受けもやらせてる)。そのあとインフレになりかけたくらい(それで軍事費削ったら2.26事件が起こっちゃった。惜しい。)。
「ラストサムライ」で「先人達は何のために戦い、死んで行ったのか」という言葉があったけど、今の状況はかなり悲しい。みんな怒るに違いない。すんません。
でもダイジョブ。元気出してイコー。
コメント
- グローバルな生産性向上 -- ヨ (2006-11-24 21:01:34)
- すみません、途中で送信されちゃた。グローバルな、というかアメリカ的な生産性向上とは賃下げもそうですが、アウトソーシングの加速を生み出します。アメリカの会社は、ボーディングメンバーがミーティングできる場所さえあれば、名目上の利益は追求できると揶揄されたりもしているように思われます。が、それもまた良くない結果も生み出していて、本当に意味での価値生産ができないとも考えられると思います。ここで言う価値、とは金額換算する価値ではありません。魅力的なアイディア(ま、これも最終的に金額換算されますけど。)を生み出す構造にはなり得ないということです。従って、全体的には悲観的に見えるかも知れませんが、そういう本当の価値あるものを望んでいる人がいる限り、(いるはずだし、実際にいるのです。例えばそれがロングテールの法則において言われていることと重なってますが)与える側と求める側が幸福な出会いが出来る場所さえあれば、そういう悲しいお金の動き以外の動きも起こり得るのです。と楽観的な私は思っています。 -- ヨ (2006-11-24 21:09:21)
- 外注さん叩きすぎたらやっつけ仕事されて(当然だが。)困ったって事じゃないよね?自分達のコアバリューは自分達が一番良く知ってるってことかな?例を挙げてくれた方が分かりやすかったかも。
アイデアだけでは商売は出来ない。投資してリスクを被って(というと大げさだけど、人モノカネを動かして)始めて商売になる(だからどんなややこしいスキームでも「リスクを被ってる人=事業主」だ)。
貧乏だけど沢山いてる長ーい尻尾が尻尾じゃなくて胴体になった方がいいでしょ(お金持ち側のロングテールは短くなるけどね)?個々の場面での最適解(例えばとっても素敵なサービスがお手頃に提供できちゃう、とか。確かにデフレになってから的をついた商品やサービスが増えたよね。特にバブル毀損分の財務手当が一段落した頃から)の合計は必ずしも全体最適ではないのです(「合成の誤謬」と言います)。頑張って工夫したらいい事あるよってのは信じたいけど、全員がそれだけで突っ走っちゃうと、能の無いアホは氏ねって事になっちゃう。だから一方で、パイの大きさは必ず有限だけど大きくすることは出来ないかなってことは考えなきゃなんない。その具体的な方法も書いたつもり。
ということで結論は革命的に楽観的なのですが... -- あらた (2006-11-27 10:06:07) - もうひとつ、誤解があるようなので書いておきます。ここで述べていることの半分は、「合成の誤謬」と呼ばれていることです。一人一人が良かれと思っても全体としては逆効果ということがあるのです。何故かというと、個人や一企業には「外部」があるけど、社会全体には「外部」が無いからです。 -- あらた (2007-02-06 14:53:30)
- wikipedia「合成の誤謬」 -- http://ja.wikipedia.org/w/index.php?title=%E5%90%88%E6%88%90%E3%81%AE%E8%AA%A4%E8%AC%AC&oldid=8449219 (2007-02-06 14:54:23)
- こちらは参考(自分も含めて)wikipedia「先後関係と因果関係」 -- http://ja.wikipedia.org/w/index.php?title=%E5%85%88%E5%BE%8C%E9%96%A2%E4%BF%82%E3%81%A8%E5%9B%A0%E6%9E%9C%E9%96%A2%E4%BF%82&oldid=10360157 (2007-02-06 15:08:07)
- Maimaikaburi「本当の定額給付金を支給せよ」 -- http://maimaikaburi.blogspot.com/2009/07/blog-post_6183.html (2009-07-18 10:22:12)