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  • 第五話 強襲 その三

vipac @Wiki

第五話 強襲 その三

最終更新:2006年07月02日 18:23

匿名ユーザー

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 カラスが地上を時速四百越えのスピードで滑り、ジャンプする。物理学者が見たら卒倒するような速度と機動でつま先でピンチベックの頭を突き潰す。ガラスにヒビが入って真ん中から頭が割れて首から上がまとめてばらばらになって散った。
 一秒かからない。即座の旋回ブースト起動、ピンチベックを飛び越えて着地してから、頭を失ってセンサー類のほとんどを失ったACのコクピット裏を余裕を持ってマシンガンで接射する。いくら一発一発の威力が低いマシンガンであろうとも同じ点に当てれば、石を穿つ水の如く、そして水の何千倍もの速さで着弾点に穴を開ける。
 ノブレスはこれで二機のピンチベックを潰したことになる。この場に何機の敵がいるかは知らないが、まだまだ先は長い。
 どうやらシーラ達はもうターミナルエリアを抜けたようで、さっきからジャミング波が弱くなっている。ターミナルエリアから最深部へ続く扉は特別製なようで、送った電波が全て跳ね返ってきた。レーダーでは扉の先をうかがい知る事は出来ない。
 荒れ狂う電波が細くなってから変わった事と言えば、ピンチベックたちの動きが俊敏になった事ぐらいだろうか。
 どういう事かはわからないが、ジャミングを受ける事で動きが鈍くなったと言う事は目の前のピンチベックは多分、遠隔操作かAI制御かのどっちかだろう。
 遠隔操作だと、ジャミングがかかっていれば全く動けないはずだから違うとは思うのだが、現在の人類にはACを動かす事の出来るAIを作る術を失っている。
 それが出来るのは五十年以上前の人類、それかもしくは千年前とか万年前の人類だろう。虚を突いて火星人なんてのもアリか。
 とにかく、人が乗らないことにはACを動かす事は出来るはずが無いのに、目の前にはその実例がいる。
 一機のピンチベックがブレードをかざしてブースト。マシンガンを撃つと、俊敏に跳躍して身をかわし、振り上げた左腕で切りつけて来る。
 明らかなオーバーアクションで、脚部にかかる重圧も無視した高度からの落下だが、動きそのものは悪くない。カラスは左足を引いて、旋回の後に一歩後退。最低限の動き、紙一重でブレードを避ける。
 ピンチベックはオートバランサーの姿勢制御動作。大きく動くわけではないが、内部機構が機体への負担を最大限考慮するための動作をする。傍目から見れば、あまりにも長い硬直時間だ。
 このようなものをプログラム上に残すのは素人のすることだと、熟練者は言う。機体の磨耗度を下げるための動作は、ぎりぎりまで減らすのがレイヴンの常識だ。
 それを知らないのは一般人とか技術者畑の人間くらいのもので、いまや意味も解らないくせにバランサーを削る玄人思考のアホMT乗りだっている。
 どうもその処理をこのACはしてないらしい。使用者がろくに手入れをしてない証拠だ。
 突き出されたままの左手を握って足払いをかける。重力以外に大きな力を受けず、ただ突っ立ってるだけになったACは意外に軽い。別のACが体重を制御してやれば放り投げる事も容易いのだ。
 また旋回ブーストに点火、宙に浮いたピンチベックはアッサリと振り回され、カラスは回転中に握った手を離す。
 他のピンチベックを巻き込んで吹っ飛ぶACの背後にはレーザーキャノン構えたオラクルの姿がある。
 集中した電子により力を分け与えてもらうレールガンと違って、レーザーキャノンは電子そのものをENとする。純粋な力そのものを発射するので、考えようによってはレールガンとは比べ物にならないほど高威力な装備でもある。
 磨かれた宝石のような光、キャノンから放たれるENの奔流は周りの大気にも電流を走らせ、無防備なピンチベックの胸を貫く。
 貫かれる寸前まで稼動していたジェネレーターはその内にたっぷりとENを蓄えていて、そのENの全てが抑えを失くして荒れ狂う。
 微量の電気を流すだけでその何倍もの電力を生み出す、半無限機関とも言われるジェネレーターが溜め込んだENの暴走は爆破と言う形をとって現世に生まれ変わる。
 なめてはいけない。簡単なEN変換でACを穿つ光を生み出すENだ。威力もACなど軽く飲み込んでしまう。
 一緒になって吹き飛んだACは爆発に巻き込まれ、連鎖的に二つ目の光球を生む。
 その光は部屋中を照らし、人であれば本能的な危険を感じ、腰を抜かすか逃げ出すかしそうなものだが、ピンチベック達にはさしたる反応の兆候も見られない。
 無機質なカメラアイは殲滅に躍起になる人間をあざ笑うかのようにも見えて気持ちが悪かった。
 兵器は戦うためのものであって、退く事を知らない。撤退は兵器としての欠陥だ、命令されない限り戦い続けるのが機械、不器用な人間の奴隷だ。
 また一機のピンチベックがグレネードを撃つ。FCSの制御を受け入れた、理論的には最も効果的な射撃。
 しかし、人間が本能に従って培ってきた争いの歴史を理論で分解する事が出来ないように、戦闘において最も効果的な射撃は理論では計れない。
 戦うのは理論命のコンピューターでなく、長年争ってきた獣としての人間である。
 0と1だけで定められた照準は決してオラクルもカラスも捉えることが出来ない。
 グレネードが無駄に弾丸を発射し、しなくてもいい破壊を撒き散らすが、そんな時も長続きはしない。
 オラクルのコアに設置されたEOが自動照準で針のような弾丸を発射する。
 人間と戦う際には理論なんて屁の役にも立つまいが、コンピューター対コンピューターなら話は別だ。貫通力のある弾丸は飽きるほど装甲に虫食い穴を作ってACを沈黙させた。
 グレネードの雨が止んでも、敵がいなくなったわけではない。カラスにも、オラクルにも二機のACが左右から襲い掛かる。
 各機ともブレードを展開させていて、今にも斬りかかろうというところだった。オラクルはしゃがみ、曲げた左腕を外側に放り投げるように振り回してブレード展開。
 左のピンチベックの間合いの範囲外から斬りつけ、向きも変えずに前方にダッシュして、少し遅れてオラクルについていくEOがブレードを空振りしたピンチベックのコクピットを貫く。そして見た目の割りに軽いリニアガンをカラスのいる方向に向けて構えて撃つ。
 左右の敵を同時に相手にする武装をカラスは装備していない。取り敢えずの生存のためブーストを噴かそうとすれば、後ろから組み付いてくるヤツがいる。
 移動を封じたつもりだろうが、ノブレスにとっては好都合だった。
 ACが人と同じ形をしているのが最大の幸運である。ならばこそ、体を裁く術も人と同じもので事足りる。細かい事は考えず、柔術でも構わないのだ。
 左足を引いて、背後のピンチベックの股にいれる。固定されたと見える体も、バランスを保ち、全体の動きを封じる事で得られる姿勢だ。そんな姿勢は左右の均衡を崩してしまえば簡単に崩れる。
 左右の均衡を崩す力は体を回す力、腰を回転させる力ではまだ足りないが、旋回用ブースターならば十分。
 ブースターを起動しただけで後ろの機体がバランスを崩し、引いたカラスの左足に引っかかってバランスを崩す。
 そうなれば思うまま。ダガーと呼ばれるブレードを最短距離で振り抜こうとするピンチベックの一方に背後のピンチベックを振り回してぶつける。
 もう一方を正面に捉えて、右腕小さく引く。
 正面のピンチベックは与える被害と接触までの最短距離の及第点を狙った、これまた論理的に言えば最も効果的な斬撃のフォームに入っている。
 だから論理で戦闘は測れないと言うのだ。機械を作ったやつに虫唾が走る。戦闘において最も大切な事は自らの保身であるとノブレスは考える。その二に敵へのダメージだ。
 量産出来る機械ならば、保身の必要が無いのかもしれない。ならば、一番重要なのは敵に打撃を与える事だ。
 敵を傷つけるに当たって、論理的に効果的な攻撃はパッと見、現実においても最も効果的な攻撃に見えてしまうから質が悪い。
 平均値は只の目安でしかない事に気付けない連中は、それが最も正しいと思ってしまいがちだが、厳密に言えばそれは間違っている。
 単純計算だけでは現実は測れない。
 戦いで相手を傷つけるに当たって最も大事なのは相手に打撃を当てる事だ。
 そのためには薙ぎ払いなど生ぬるい。大事なのは最短距離で相手を正確に貫く事だ。時にそれは先にあった行動と後にあった行動の順番をひっくり返す事すらある。
 今の状況が正にそれだ。論理基準のなまっちょろい振りかぶりの時間のうちに拳が引かれる。ピンチベックが振るブレードがカラスに到達するよりも遥かに早く逆手の拳は的確にピンチベックのコクピットを狙い、同時にノブレスがトリガーする。
 振り回された二機のピンチベックはオラクルの撃ったホローポイント弾によって動きを封じられて、その後の運命はもう誰の目にも明らかである。


 トラックでも全速力で走れば周りの光景が全部が全部、何でもかんでも後ろへ流れていく。時速三百キロでメインコンピュータールームへの道を走るジャウザー達。
 ジャミングをかけていると言うのに、自動の警備システムが作動している。一本道の搬入路の向こう側から、四つの足を天井のレールにはめ込んで走ってくる不細工なガードロボがいた。
 ヘヴンズレイが腕をいっぱいいっぱいに広げ、更にブレードを展開させれば、搬入路の天井まで簡単に届き、そのまま走り続ければおのずと搬入路天井にぶら下がるガードロボは真っ二つになる。
「ちょっとジャウザー君、ジャミング効いてないのはどういうことなの!」
 鬱屈した感情をはぜさせようとする怒鳴り声。思い通りにいっていなければ、誰だって八つ当たりぐらいしたくなるものだ。
 ジャウザーはアクセルを踏んだままで声を張り上げた。はやる気持ちが声を大きくさせる。
「最深部のセキュリティーシステムは特別なんです。 ここのガードロボの一部はその内部だけで構造が完結してるんです。外にネットワークが繋がってないからジャミングをかけてもアクセスも妨害も出来ない!」
 このシステムは工場から出荷されたその瞬間から電源を切られることが無い。ACのジェネレーターと同種の物を積んでいて、半永久可動で目標を追尾し続ける。
 モノによっちゃあ無差別なやつも存在するし止まらないから整備が出来ないし、触る事が出来ないんじゃ新しい認識番号を追加する事も出来ない。必然、IDの変更があった場合にはシステム全部を一旦破壊する必要がある。
 非常に面倒なシステムだが、何があっても確実に敵を迎撃する性能は考えようによれば払う金に釣り合う働きをもたらす。
「急がなきゃならんのならもうちょっとスピード上げられんのか?」
 ならばとリムファイヤーが急かす。
 それは出来ない。今回の作戦の重要ポストとなるのはシーラの乗るトラックだ。メインコンピューターの極一部と言えども、正面から張り合うにはトラックに乗っけたクソ重い演算装置が必要になる。
 いくらレイヴンと言えど、アライアンスを丸ごと相手に出来るわけじゃない。いまやアライアンスはレイヴンが四・五人集まったところで烏合の衆に過ぎないかもしれない、暗部の大きい得体の知れないものになっている。そんなものと正面からぶつかるなんて、正気の沙汰とは言えるわけが無く、だからと言ってココで反抗しないワケにも行かない。
 そこで重要になるのが、通常の資材運搬トラックの二倍ほどの大きさのシーラが乗るトラックだ。ノブレスの金回りがいい時にそろえたこのトラックには通常よりも高価で巨大な演算装置が乗っけられている。確実な任務遂行をこなすための装備の一つだが、そんなものをわざわざそろえるのも結構な事だ。
 巨大トラックの荷台には演算装置と簡単な仮眠室と補給用のパーツまで入っている。そこまでの装備が入るような高級トラックもその中身も、全部そろえようと思えば多分ACが丸々一機組みあがるだろう。常軌を逸した金の使い方だ。
 その演算装置はそれ自体が貴重なもので、結構無茶なスペックをしている。代わりは無いのだ。
 メインコンピューターの中心核にハッキングしてコントロールを奪い、アライアンスを事実上無力化するのが今回の作戦のねらい目だ。
「トラックが限界に来てる筈です。これ以上は急げませんよ。それより後ろから敵とか来てませんか?」
 軽い舌打ちが通信機越しにシーラの耳に入る。仕方ない事とはいえ、黙ってられることじゃない。
「聞こえてるわよ」
「それは失礼したな、しかし……」
 後ろで銃撃音。体ごとグルリと回転したバレットライフが右のチェーンガンで下のレールを走ってきた四脚ボールのガードロボを迎撃していた。体の中心にいくつも穴を開けた出来損ないの水生甲殻類が煙を吹く。
「弾薬には限りがある。まだ余裕があると言ってもそれは無限じゃない」
「わかってるわよンな事」
 バレットライフがまたクルリと回って、トラックと一定の距離を保つべくブーストの噴射を調節する。
 シーラがトラックから流す電波を強める。
「こちらコング、モンキー、聞こえてる?」
 しかし、帰ってくるのはこちらから飛ばした電波ばかりで、何か変わったものはちっとも帰ってこない。
 コングもモンキーも大昔のテレビドラマに出てきたキャラの愛称のようなものだ。今言うコングはシーラ達、シーラ、ジャウザー、臨時のリムファイヤーの順にコング1、2、3。モンキーはノブレス、ジナイーダの順にモンキー1、2。要するにコードネームだ。
 今まで一回も使ってなかったのを今思い出して使ってみたが、やはり口の中にざらざらした感覚が残る。飛ばした電波はノブレスへ飛ばしたものだったが、返事が無かった。きっとそれはコードネームで呼んだからだろう。やはりなれていないことはするものでないと、思うことにする。
「こちらシーラ、ノブレス! 聞こえてる!?」
「無駄ですよ、あの扉は電波通さないんです」
「あのってどの?」
「ターミナルエリアのです」
 今度はシーラが舌打ちをする番だった。連絡が取れないのは気持ちが悪い。相方の安全もわからないのはとてつもなく心細くて、急に目隠しされたような気分になった。
「心配しても何もわからないっての……むかつく」
「自分の相方が信頼できないんですか?」
 シーラは自分が純粋に心配しているだけだと思いたかったが、ジャウザーの声は自分が相方離れできていない、と責めているように聞こえる。何も知らないくせに、余計イライラする。声が荒んだ。
「バカにしないで!」
 搬入路はとてつもなく長い。真っ白な壁で覆われていて照明はかなり強いのに、あまりにも長すぎるために通路の先は真っ暗に見えて、不安を掻き立てる。ふつふつとやり場の無い怒りが沸いて、どこにぶつければいいかもわからない。壁の白さが通路を思った以上に狭く感じさせて、もしかして通行者の心を圧迫するために白塗りにされたのではないかと思えた。
「だったら信じましょう。簡単に死ぬような人じゃないはずだ」
 ジャウザーはそれを一番知っているのはシーラ自身のはずだ、とでも付け加えたかったが、それは余計と言うものだろう。
「簡単に死なれちゃ俺が殺せなくなる、心配事を増やしてくれるなよ」
 それはリムなりの励ましだろう。不器用な言葉だが、彼なりの言葉であることは重要だった。ジャウザーはリムがこのような言葉を吐くヤツだと思っていなかったから意外に思っていたが。
 シーラには土に染み込む水のように、周りの心配が心にしみるのが少しだけつらい。ノブレスが簡単に死ぬようなヤツじゃないってのは自分が一番よく知ってるはずなのに、それを他人に指摘されるのが喪失感のようなものまで呼んだ。
「そんなの……解ってるよ……」
 地面と天井に敷かれたレールは多分、ガードロボを高速で確実に所定ポイントに送るためのものだろうが、寧ろ相手が来る位置を予測しやすくてジャウザーにとって便利だった。
 と、思っているのも束の間で、右と左の壁にもレールが現れる。流れてくるガードロボの量が二倍になって、バッテリーにエネルギーが溜まるのを待つ暇も無くENマシンガンを連射する。
 レール上でバグだらけになったガードロボは動きを停止させて、体のそこかしこを縦横に駆け回るカメラをむちゃくちゃにぶん回し始めた。レールをそのロボ達が占拠するなら後ろからの攻撃も減るだろう。
 十字路に突き当たる。最深部にはジャウザーも入った事が無くて具体的には何があるのかは知らないが、独自の調査とエヴァンジェからの情報によって、右が諜報部、左が格納庫、正面真っ直ぐがメインコンピュータールーム行きの通路なことは知っている。
 十字路から伸びるそれぞれの道にもレールが敷かれていて、その全てがメインコンピュータールームへの道で合流している。
 単純計算。それぞれの道には四方に一本づつのレールが敷かれている。即ち、天井、地面、右壁、左壁の四つだ。その全てが今ジャウザー達が通る道のレールとはわずかに異なる位置に設置されている。一本道をそのまま真っ直ぐ、レールが全て合流すれば三かける四の十二本のレールが一本の道に集まっている。
 今まで破壊したガードロボの数は十に届かなくて、しかし最深部を守るセキュリティがそれだけのはずは無い。何を意味するかはおのおのの判断に任せるとして、ジャウザーもシーラもリムもそれぞれなりの覚悟を決める。
 十字路を過ぎるとシーラからは見えない、後方で凄まじい発砲音が轟き出す。その音には止まる気配の一片も聞き出せず、攻撃が激化したことは誰の耳にも明らかだった。
 考える暇を敵は与えてくれない。当然だ。敵は敵だ。こちらの思考も都合も相手には全く理解する事なんてできないからこそ敵なのだ。
 滑ってくるガードロボは相も変わらずレッドカラーで足が四本の亜流のカニか何かのようなヤツ。カメラと胴体をがむしゃらに回しながら、脳天についているレーザー機銃だけは常時こちらを向いている。
 人からすれば巨大極まりないサイズだが、ACからすればひざにも及ばない。そんなガードロボのレーザー機銃でも、一撃でももらえば結構やばい。今スピードを落とすわけにはいかないから、システムエラーは食らいたくない。
 前方から七機。上三機が、右二機が、左と下一機が全部同じタイミングとリズムでカメラを回すのは正直に言おう、気持ち悪い。
 ガードロボが完全に停止する位のバグを生むには、ENマシンガンを最低でも五発は当てたい。悠長に狙っていればそれは無理な注文で、敵の数が多ければこそ、ジャウザーはFCSのスイッチを落とす気になった。
 下手にロックが切り替わる事も無く順調にマシンガンを連射できるが、七機ものロボが自分達に到達するまでに破壊する事は不可能だ。上三機は最後に回して、先にそのほかの四機を落とす。
 走りながら確実に、間違うことなく尚早に。撃ち漏らしは不可、遅れても不可。
 こういう時は一秒一秒がやけに長く感じる。脳内麻薬が分泌されてこうなっていると聞いたことがあるが、定かではない。
 麻薬は楽しむために使うものだが、この脳内麻薬というヤツは苦しむ時間を増やしてくれる。長くなくてもいい一秒を長く感じるのは酷というもので、確実に照準をつける猶予が与えられるならまだしも、体感時間ばかりを長くしてくれる。
 手が早く動くわけでも、筋肉が確実に動作する訳でもない。見ている時間を、聞こえる発射音を、トリガーの感触を長く錯覚するだけ。
 無数に発射されるENの一発一発を長く長く見つめ、一回一回の発射音を何度も何度も味わった。
 その時は右、左、下のガードロボのブレインが煙を上げるまで続いて、その瞬間が過ぎただけでほっとするのワケにもいかない。
 FCSのスイッチを指ではじいてON。武装をすぐに切り替えて、エクステンション起動。ロックが終了した瞬間にトリガー。
 発射されたミサイル群は発射直後は広がるように設定されている。その後に目標に向かう手筈だが、今はミサイルが集中するだけの時間も距離も無い。
 広がったまま天井に雨となって降り注ぎ、三機のガードロボが炎に包まれる。左の一機がバラバラになって飛び散ったが、右の一機が煙から飛び出す。真ん中の一機は三本の足を破壊され、一本きりの足でレールにぶら下がっており、今にも落ちて来そうだった。
 ジャウザーがしまったと思う暇も無く、ピンチベックはガードロボとその残骸を通り過ぎてしまう。その瞬間に、残骸の一本の足とレールの接合部分が耐え切れなくなって、剥がれ落ちる。
 残骸が形そのままにトラックの前に立ちふさがって、上からは傷一つ無いガードロボが機銃の狙いを定めていた。
 一方、ジナイーダもアクセルを踏み込む。こちらはトラックも仲間もいなくて、単独なために全速力で疾走していた。追いかけてくるガードロボのほとんどを振り切って、前から来るやつは一部だけを破壊する。
 逃げればこちらのもの。メインコンピュータールームまで駆け込んでしまえば勝ったも同然なのだ。
 さっきから、壁を走るレールの量が一本から三本に増えたが、こちらの目指すものは変わりようが無い。
 すなわち、カドルをぶん殴る事。
 カドルはディルガンで死んだはずで、この前までもそのつもりでいたが、今は生きているのだと確信を持って言える。
 なぜか。
 なぜだろう。
 自分の中に一ヶ月も、いや一ヶ月どころか半年以上も心の奥底で渦巻いていた不吉なものに自分は引っ張りまわされてきた。
 自分自身が望むものが一体何なのか、考えもしないままに、何故自分がカドルを殺そうとするのか、何故カドルだけを目標に半年も生き続けることが出来たのか、そしてカドルがいなくなった後のこの一ヶ月間の事。
 全部、自分のことでなかったような気がする。
 本当の自分はこの半年と一ヶ月の間、きっと死んでいたんだろう。そうじゃないと説明がつかない。
 ただ忘れていただけ、では済まされないのだ。自分が最も大切に思った時間は取り戻せないけど、それは決して取り戻してはいけないものだ。
 なぜならば、過ぎ去ったものを求めるのは起こった現実そのものを否定するからだ。
 今の自分が存在するのは、この自分の覚醒した意識が、自分が死んでいた半年間が無ければ存在し得ないものだと言う事を知っている。
 だから決してあの頃と全く同じものは望まない。でも、違ったものは望む。
 たとえば、そう、互いの理解を深める、とか。
 何だか硬い言い方だな、と自分でも思わないでもないが、その言葉で表現する事が難しいような事を自分は望んでいる。
 それは簡単に出来るようなことではなく、すぐに望んでしまうのはですぎた真似だと自分でも思わないでもないが、それを望んでこその人生だ。
 望みはでっかく果てしなく。
 母の命を無駄にするわけじゃない。母の命を無駄にする行為は、もし母が死ななければ、を考えた時と、もし母が生き返ったならば、を考えた時だけだ。
 ifは罪なのだ。その罪は全ての罪を通り越してまで犯してはならない罪で、犯したならば魂魄十万回生まれ変わっても足りない足りない。
 カドルにあったら、どうするか。
 会ったその時、自分はどうなるか分からないが、いつか必ず一度だけはぶん殴ってやる。
 それが自分に出来ることだとジナイーダは思う。
 ジャウザー作の地図によれば、そろそろメインコンピュータールームに着く筈だ。
 先の見えないほど長い通路の前方から六機の敵機反応。
 バラバラの順番で攻めてくるガードロボをまず一機だけ抜く。二機目は下から来て、それをジナイーダは確認もしないでファシネイターに踏ませた。
 グシャリ、と音までなって、ガードロボのボディーが真ん中からへっこむ。
 三機目は左、四機目五機目が右から来る。
 ノーロックのマシンガンを撃ち漏らしの無いように通路を時計回りに撃って三機とも仕留め、煙塗れになった通路をダッシュして抜けるが、一緒に抜けてくるガードメカが一機だけいる。
 それに気付かないジナイーダではない。相手にしてみれば、がら空きの背中を見せられているように見えるが、衝撃の真実、ジナイーダは後ろにも目がついているのだ。
 ファシネイターがわずかに減速して後ろを振り向く。軽く狙いを定めて、腰のバッテリーをON。ジナイーダは即トリガーする。
 時を同じくして、別の通路で道をふさがれたトラックが急ブレーキをかけた。ドリフトの要領で左へ大きく頭を振って残骸を回避したトラックのコンテナ側面にはむき出しのロケット砲がくっついている。
 場所が違うのに、時間も中身も全く同じ。二人とも一緒に叫ぶ。
『人の女にぃ!』
 ファシネイターの構えたレールガンに緊急で電子が集まって、擬似バレル展開。弾丸が加速を始めたその瞬間、遠くでトラック側面のロケットも煙と火を噴いて一気に狙いへ一直線。
『手ェ出してんじゃねえ!!』


 「侵入者、メインコンピュータールームの手前まで来ています!」
 切迫した状況が研究室全体に知れ渡って、更に研究員がごった返すが、一部のものはそれが耳にも目にも入らないと言う風にキーを叩き、モニターを見つめて、メインターミナルエリアでの戦闘データを一心に採り続けるものがいる。また一部のスタッフは食い入るようにまた一つのモニターに映る、故・実験体モリ=カドルの姿を惚けたように見つめている。
 冷メガネは一見モニターを見つめているように見えるが、その実どちらの組にも属してはいなくて、その心は遥かなる宙をさまよっている。
 といっても、狂ってしまったわけではない。狂う、という時点においては既に彼は狂ってしまっている。
 彼は所在の無いような、しかし見るものを別の狂気に誘い込む瞳で笑った。
『あなた達に勝ち目は無い。僕は既に勝利を目前にしている、もう投降してください!』
 死人の声も狂人の意識を我が物にするには力不足。狂人はただ笑い続ける。
「あなたこそ負けです。もう止められないのですよ、私は既に勝っている。勝ちを目前でなく、既に勝利した後だ」
 笑いに少しだけの悲しみが混じった。どちらにせよ、研究室にある全てのものから水の中の油のように浮いてる事だけは確かだ。
「実りそのものをこの目で見届けられない事だけが残念だ……」





 その三終了。その四へ続く。

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