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目次

現行Scratch利用規約に基づく音源の判定

Scratchに、Scratch外で作成または取得した音源を含む歌ってみた作品を投稿する場合は、 音源の利用許可 や 音源の入手先の利用規約 だけでなく、音源に関係する原曲、歌詞、メロディー、編曲、実演、録音物その他の権利について、必要な権利・許諾が確保されているかを確認する必要がある。

また、 Scratchの利用規約 、音源のライセンス条件、および 適用される著作権法その他の法令 も確認しなければならない。

原則として、投稿者が必要な権利・許諾を有し、かつ各利用規約・ライセンスの条件をすべて満たしているものだけが、Scratchで使用・公開できる。

ここでいう「外部音源」には、オフボーカル音源、公式音源、CDや配信音源、他人が作成した伴奏、他人のカバー音源、効果音などだけでなく、Scratch外で自分が録音したアカペラの歌唱音源も含まれる。

ただし、完全なアカペラで自分の歌声だけを録音した場合と、既存の伴奏、原盤、他人の録音音源を使用した場合では、関係する権利が異なる。

この確認はオフボーカル音源に限らず、インターネット上の音源、画像、動画、効果音その他の素材をScratchで使用する場合にも必要となる。

Scratch利用規約8.2および8.5

8.2(a) 他の利用者に対するライセンス

現行Scratch利用規約8.2(a)では、ユーザーコンテンツを投稿することによって、投稿者がそのようなライセンスを付与できる権利を有する最大限の範囲で、他のScratch利用者に対し、Scratchサービス内で個人的に利用するためのライセンスを付与することが定められている。

+ 現行Scratch利用規約8.2(a)

2. Limited License Grant.

By Posting User Content to or via the Service, to the maximum extent of your rights to do so, including under applicable law, you hereby grant: (a) other users of the Service a non-exclusive license to use, reproduce, modify, and create derivative works of such User Content solely for personal use within the Service and subject to these Terms; and【(b)に続く】

引用:現行Scratch利用規約8.2(a)


非公式翻訳

2. 限定的なライセンスの付与

本サービス上または本サービスを通じてユーザーコンテンツを投稿することにより、適用法に基づく権利を含め、投稿者がそのような投稿およびライセンスの付与を行う権利を有する最大限の範囲で、投稿者は、本サービスの他の利用者に対し、当該ユーザーコンテンツを使用、複製、改変し、派生作品を作成するための非独占的なライセンスを付与するものとします。

ただし、このライセンスは、本サービス内での個人的な利用に限られ、本規約に従うものとします。


ここで重要なのは、8.2(a)のライセンスが、投稿者が実際に権利を有している範囲に限られている点である。

また、他の利用者に認められる利用も、引用文上は、 Scratchサービス内での個人的な利用 に限定されている。

したがって、8.2(a)は、他の利用者に対してScratch外での自由な再配布、商用利用、または無制限の利用を認める条項ではない。

また、8.2(a)の英文に「リミックス」という語が直接記載されているわけではない。しかし、「modify(改変)」および「create derivative works(派生作品を作成すること)」には、Scratch内でのリミックスに相当する利用が含まれる可能性がある。

ただし、投稿者が第三者の音源について権利を有していない場合、8.2(a)によってその権利が新たに発生したり、投稿者が第三者の権利をScratch利用者に許諾できるようになったりするわけではない。

8.2(b) Scratch側に対するライセンス

現行Scratch利用規約8.2(b)では、投稿者がScratch側に対して、ユーザーコンテンツを次のような目的で利用するための、非独占的、永続的、取消不能、ロイヤリティフリーのライセンスを付与することが定められている。

  • ユーザーコンテンツを公に表示すること
  • ユーザーコンテンツを公に実演すること
  • デジタル音声送信を含めて利用すること
  • ユーザーコンテンツを複製すること
  • ユーザーコンテンツを配布すること
  • ユーザーコンテンツから派生作品を作成すること
  • 本サービスを提供すること
  • Scratch側の内部業務上の目的で利用すること
  • Scratchの広告、マーケティング、プロモーションに利用すること
  • 製品およびサービスを改善すること
  • 新しい製品およびサービスを開発すること
  • AIモデルの訓練を含む方法で利用すること

このライセンスには、Scratch側が第三者に再許諾する権利も含まれている。

+ 現行Scratch利用規約8.2(b)

2. Limited License Grant.

【(a)の続き】

(b) us a non-exclusive, perpetual, irrevocable, royalty-free license (with the right to grant and authorize sublicenses) to publicly display, publicly perform (including by means of a digital audio transmission), reproduce, distribute, create derivative works of, and otherwise use and exploit the User Content to provide the Service, for internal business purposes, to advertise, market, and promote the service, and to otherwise improve our products and services and create new products and services, including through the training of AI models. You agree to pay all monies owing to any person or entity resulting from Posting your User Content and from our exercise of the license set forth in this Section.

引用:現行Scratch利用規約8.2(b)


非公式翻訳

【(a)の続き】

(b) Scratch側に対し、ユーザーコンテンツを公に表示し、公に実演し、デジタル音声送信によるものを含めて利用し、複製し、配布し、派生作品を作成し、その他の方法で利用・活用するための、非独占的、永続的、取消不能、ロイヤリティフリーのライセンスを付与するものとします。

このライセンスには、Scratch側が第三者に再許諾する権利も含まれます。

このライセンスは、サービスの提供、内部業務上の目的、サービスの広告、マーケティング、プロモーション、製品およびサービスの改善、新しい製品およびサービスの開発を目的とする利用を含みます。また、AIモデルの訓練を通じた利用も含まれます。

投稿者は、ユーザーコンテンツの投稿および本項に定めるライセンスの行使に起因して、いかなる個人または法人に対しても支払うべき金銭がある場合、その支払いについて責任を負うことに同意するものとします。


ここで重要なのは、8.2(b)が、第三者の著作物について投稿者が持っていない権利をScratch側に与える条項ではないという点である。

投稿者は、ユーザーコンテンツに含まれる第三者の著作物や録音物について、Scratch側が上記のような利用を行うことを許可できる権利・ライセンス・同意・許可を、あらかじめ有していなければならない。

例えば、音源の配布者から「歌ってみたに使用してよい」という許可だけを受けていても、その許可が次のような利用まで認めていない場合、8.2(b)に基づくScratch側へのライセンスを十分に付与できない可能性がある。

  • Scratchでの公開・共有
  • 公開表示
  • 公開実演
  • デジタル音声送信
  • 複製
  • 配布
  • 派生作品の作成
  • Scratchによる宣伝、マーケティング、プロモーション
  • 製品・サービスの改善
  • 新しい製品・サービスの開発
  • AIモデルの訓練を含む利用

8.5 投稿者が投稿コンテンツについて権利を持っていることの表明・保証

現行Scratch利用規約8.5では、投稿者が、投稿するユーザーコンテンツのすべての要素について、権利者であるか、または必要な権利・ライセンス・同意・許可を有していなければならないと定めている。

投稿者自身が、ユーザーコンテンツに含まれるすべての権利の所有者である必要があるとは限らない。

しかし、少なくとも、Scratch側および本サービスの他の利用者が、利用規約で想定された方法でユーザーコンテンツを利用・配布できるようにするための、必要な権利・ライセンス・同意・許可を有していなければならない。

この対象には、録音物に含まれる背景音楽その他の音楽、録音物に収録された基礎となる音楽著作物、歌詞、メロディー、編曲、実演および録音物などが含まれ得る。

+ 現行Scratch利用規約8.5

2. Limited License Grant.

5. You Must Have Rights to the Content You Post; User Content Representations and Warranties

You must not Post User Content if you are not the owner of or are not fully authorized to grant rights in all of the elements of that User Content, including in all ambient music and underlying musical works embodied in any sound recording. The Scratch Team disclaims any and all liability in connection with User Content. You are solely responsible for your User Content and the consequences of providing User Content via the Service. By providing User Content via the Service, you affirm, represent, and warrant to us that:

a.you are the creator and owner of the User Content, or have the necessary licenses, rights, consents, and permissions to authorize us and users of the Service to use and distribute your User Content as necessary to exercise the licenses granted by you in this Section, in the manner contemplated by us, the Service, and these Terms;

b.your User Content, and the Posting or other use of your User Content as contemplated by these Terms, does not and will not: (i) infringe, violate, misappropriate, or otherwise breach any third-party right, including any copyright, trademark, patent, trade secret, moral right, privacy right, right of publicity, or any other intellectual property, contract, or proprietary right; (ii) slander, defame, libel, or invade the right of privacy, publicity or other property rights of any other person; (iii) contain or cause the Scratch Team to handle or process any personal, health, financial, or other sensitive information; or (iv) cause the Scratch Team to violate any law or regulation or require us to obtain any further licenses from or pay any royalties, fees, compensation or other amounts or provide any attribution to any third parties; and

c.your User Content could not be deemed by a reasonable person to be objectionable, profane, indecent, pornographic, harassing, threatening, hateful, or otherwise inappropriate.

引用:現行Scratch利用規約8.5


非公式翻訳

5. 投稿するコンテンツについて権利を有している必要があります。ユーザーコンテンツに関する表明および保証

投稿者は、投稿するユーザーコンテンツのすべての要素について、その所有者でない場合、またはそれらについて必要な権利を許諾する完全な権限を有していない場合、そのユーザーコンテンツを投稿してはならないものとします。

これには、録音物に含まれる背景音楽その他の音楽、および録音物に収録された基礎となる音楽著作物も含まれます。

Scratchチームは、ユーザーコンテンツに関連して生じる一切の責任を負わないものとします。投稿者は、自身のユーザーコンテンツおよび本サービスを通じてユーザーコンテンツを提供したことによる結果について、単独で責任を負います。

投稿者は、本サービスを通じてユーザーコンテンツを提供することにより、Scratch側に対して、次の事項を表明し、保証するものとします。

a. 投稿者は、ユーザーコンテンツの作成者かつ所有者であるか、または、この条項に基づいて投稿者が付与するライセンスを行使するために必要な範囲で、Scratch側および本サービスの利用者が、Scratch、本サービスおよび本規約で想定される方法により、ユーザーコンテンツを使用・配布することを許可するために必要なライセンス、権利、同意および許可を有していること。

b. 投稿者のユーザーコンテンツ、ならびに本規約で想定されるユーザーコンテンツの投稿またはその他の利用が、次のいずれにも該当せず、将来においても該当しないこと。

(i) 著作権、商標権、特許権、営業秘密、著作者人格権、プライバシー権、パブリシティ権その他の知的財産権、契約上の権利または財産権を含む、第三者のいかなる権利も侵害、違反、不正使用その他の方法で損なうこと。

(ii) 他人を中傷し、名誉を毀損し、侮辱し、または他人のプライバシー権、パブリシティ権その他の財産権を侵害すること。

(iii) 個人情報、健康情報、財務情報その他の機密性の高い情報を含み、またはScratchチームにこれらの情報を取り扱わせ、処理させること。

(iv) Scratchチームに法令または規則への違反を生じさせ、またはScratch側に第三者から追加のライセンスを取得させたり、ロイヤリティ、料金、補償金その他の金銭を支払わせたり、第三者の表示やクレジットを付けさせたりすること。

c. 投稿者のユーザーコンテンツが、一般的な社会通念に照らして、通常の判断力を持つ人から見ても、不快、冒とく的、わいせつ、ポルノ的、嫌がらせ、脅迫的、憎悪を煽る、その他不適切なものとみなされないこと。


外部音源を含む歌ってみた作品で確認すべき利用範囲

外部音源を含む歌ってみた作品を投稿する場合、投稿者は、単に「歌ってみたに使用してよい」という許可を得るだけでは不十分な場合がある。

投稿者は、音源に含まれる原曲、歌詞、メロディー、編曲、実演および録音物について、必要な権利・ライセンス・同意・許可を有していなければならない。

さらに、その権利・許諾は、少なくとも次のような利用を許可できる範囲のものでなければならない。

  • Scratchで作品を公開・共有すること
  • Scratch上で作品を表示・再生できるようにすること
  • Scratchの機能および利用規約の範囲内で、他の利用者が作品を使用、複製、改変すること
  • Scratch内で、作品をもとに派生作品を作成すること
  • Scratch側が、サービス提供のためにユーザーコンテンツを表示、実演、複製、配布、改変、変換その他の方法で利用すること
  • Scratch側がユーザーコンテンツから派生作品を作成すること
  • Scratch側がサービスの広告、マーケティング、プロモーション、改善などのためにユーザーコンテンツを利用すること
  • Scratchの規約に定められた範囲で、AIモデルの訓練を含む利用が行われること

8.2(a)に基づく他の利用者へのライセンスは、引用文上、Scratchサービス内での個人的な利用に限られる。

そのため、ここでいう「他の利用者による利用、複製、改変」には、Scratch外での自由な再配布や商用利用まで含まれるわけではない。

また、Scratchの仕様上、プロジェクトの構成要素が他の利用者から閲覧、利用、複製または改変可能となる場合がある。

したがって、投稿者は、Scratchの仕様および利用規約の範囲内で、作品やその構成要素が他の利用者に利用され得ることを踏まえ、その利用について必要な権利を有していなければならない。

ただし、8.2(a)または8.5の条文だけから、他の利用者に対してScratch外での音源ファイルの自由な取得、再配布または商用利用まで許可されていると解釈することはできない。

音源の入手先の利用規約・ライセンスの確認

音源を外部サイト、配布ページ、動画サイト、素材サイトその他の場所から取得した場合は、著作権者や音源配布者が定める利用規約・ライセンス条件も確認する必要がある。

例えば、次のような条件が定められている場合がある。

  • 個人利用のみ許可
  • 非商用利用のみ許可
  • Scratchでの利用を禁止
  • インターネット上での再公開を禁止
  • 改変を禁止
  • 再配布を禁止
  • クレジット表記を要求
  • 原曲の権利者への確認を要求
  • 歌唱、公開、リミックス、派生作品の作成の一部または全部を禁止

音源配布者が「歌ってみたに使用してよい」と説明していても、その配布者が原曲の著作権、歌詞、編曲、録音物などについて必要な権限を持っているとは限らない。

したがって、配布者から許可を得ているだけで、原曲に関するすべての権利や、Scratchでの利用まで認められるとは限らない。

完全なアカペラの場合

完全なアカペラで、自分の歌声だけをScratch外で新たに録音する場合、CD、配信音源、公式カラオケ音源、他人が作成した伴奏、他人のカバー音源などの既存の録音物は使用しない。

そのため、通常、元の録音物についてのレコード製作者の権利や、元の録音に参加した実演家の権利を、既存の録音物の利用によって直接侵害する問題は避けやすい。

しかし、元曲の歌詞やメロディーを使用して歌唱・録音する場合は、原曲の音楽著作物に関する権利の問題が残る。

また、そのアカペラの歌唱録音をScratchで公開・共有する場合は、Scratch側および他の利用者が、利用規約で定められた範囲でそのユーザーコンテンツを利用できるようにするための権利・許諾が必要となる。

自分の歌声や自分で作成した録音物について権利を持っていても、それだけで元曲の作詞者・作曲者が持つ権利や、元曲をScratchで公開するための権利まで取得したことにはならない。

なお、元曲が著作権の保護期間を満了している場合や、権利者から適切なライセンスを得ている場合などは、判断が異なることがある。

権利を確認できない音源の扱い

投稿者が次の権限を与えられる根拠を確認できない場合、Scratch利用規約8.5に定められた表明・保証を適切に行えない可能性がある。

  • Scratchで作品を公開・共有する権限
  • Scratch上で作品を表示・再生する権限
  • Scratch内で作品を複製・改変・リミックスする権限
  • Scratch内で派生作品を作成・公開する権限
  • Scratch側に作品の表示、実演、複製、配布、改変、派生作品の作成などを許可する権限
  • Scratch側にサービスの提供、宣伝、マーケティング、改善などのための利用を許可する権限
  • 必要に応じて、Scratch側にAIモデルの訓練を含む利用を許可する権限

このような権限を投稿者が持っていることを確認できない音源は、Scratchに投稿してはならない。

少なくとも、必要な権利・許諾を有していない状態で、利用規約8.5の表明・保証を行ってはならない。

なお、8.2(b)に定められたScratch側へのライセンスは、投稿者が第三者の著作物について持っていない権利を補うものではない。

また、クレジット表記、原曲URL、音源URL、非営利であること、または「権利は原作者に帰属する」という記載だけで、必要な許可が得られるわけではない。

著作権法上の問題

著作権法上の問題は、楽曲や音源の内容、利用方法、権利者の許諾、ライセンス条件、適用される権利制限規定などによって異なる。

以下は、日本の著作権法を前提とした一般的な整理であり、個別の事例についての最終的な法律判断ではない。

著作権法上の問題(オフボーカルを使用して歌ってみたをする場合)

権利者の許諾や有効なライセンスがなく、著作権法上の権利制限も適用されない場合、音源をScratchに投稿する行為は、実際の利用方法に応じて、次のような権利の問題となる可能性がある。

元曲の歌詞・メロディーを自分で歌唱・録音したり、既存の録音音源をプロジェクトにコピーしたりすること

+ 第21条の複製権

(複製権)

第二十一条 著作者は、その著作物を複製する権利を専有する。

引用:e-Gov法令検索

自分で元曲を歌って録音する場合、元曲の歌詞やメロディーを録音物に固定することについて、元曲の著作権に基づく複製権が問題となる可能性がある。

また、CD、配信音源、公式音源、他人が作成した伴奏音源などをプロジェクトに取り込む場合は、元曲の著作権に加えて、録音物に関する著作隣接権も問題となる可能性がある。

既存の録音物をコピー・アップロードすること

既存の録音物をコピーしてScratchのプロジェクトに使用する場合は、レコード製作者、実演家などが有する著作隣接権が問題となる可能性がある。

+ レコード製作者の複製権・送信可能化権

(複製権)

第九十六条 レコード製作者は、そのレコードを複製する権利を専有する。

(送信可能化権)

第九十六条の二 レコード製作者は、そのレコードを送信可能化する権利を専有する。

引用:e-Gov法令検索

使用する録音物に実演家の歌唱や演奏が含まれている場合は、実演家の権利も問題となる可能性がある。

そのため、既存のCD音源、配信音源、他人が作成した伴奏音源、他人のカバー音源などを使用する場合は、作詞者・作曲者などの著作権だけでなく、録音物および実演に関する権利も確認する必要がある。

Scratchで作品を公開・共有し、元曲を含む音声を他人がネットワーク経由で再生できる状態にすること

+ 第23条の公衆送信権等

(公衆送信権等)

第二十三条 著作者は、その著作物について、公衆送信(自動公衆送信の場合にあつては、送信可能化を含む。)を行う権利を専有する。

2 著作者は、公衆送信されるその著作物を受信装置を用いて公に伝達する権利を専有する。

引用:e-Gov法令検索

Scratchで作品を共有し、他の利用者が元曲を含む音声を再生できる状態にする場合、元曲の音楽著作物について、公衆送信権または送信可能化権が問題となる可能性がある。

既存の録音物を使用する場合は、これに加えて、レコード製作者や実演家の送信可能化に関する権利なども問題となる可能性がある。

元曲の翻訳、編曲、替え歌、メロディーや歌詞の大幅な改変など

+ 第27条の翻案権等

(翻訳権、翻案権等)

第二十七条 著作者は、その著作物を翻訳し、編曲し、若しくは変形し、又は脚色し、映画化し、その他翻案する権利を専有する。

引用:e-Gov法令検索

元曲を通常どおり歌唱するだけの場合、第27条の翻案権等が必ず問題になるわけではない。

一方、替え歌、歌詞の翻訳、メロディーの変更、大幅な編曲その他の改変を行う場合には、翻案権や編曲に関する権利が問題となる可能性がある。

また、歌詞やメロディーを作者の意に反して大きく変更する場合は、著作者人格権の一つである同一性保持権が問題となる可能性もある。

既存の録音音源をコピー・アップロード・送信可能化すること

既存の録音音源をScratchのプロジェクトにコピーし、そのプロジェクトを共有する場合は、録音物の複製や送信可能化に関する権利が問題となる可能性がある。

+ レコード製作者の複製権・送信可能化権

(複製権)

第九十六条 レコード製作者は、そのレコードを複製する権利を専有する。

(送信可能化権)

第九十六条の二 レコード製作者は、そのレコードを送信可能化する権利を専有する。

引用:e-Gov法令検索

この場合、レコード製作者の権利だけでなく、録音物に含まれる実演について実演家の権利が問題となる可能性もある。


著作権法上の問題(完全なアカペラの場合)

完全なアカペラで元曲を歌唱・録音すること

+ 第21条の複製権

(複製権)

第二十一条 著作者は、その著作物を複製する権利を専有する。

引用:e-Gov法令検索

完全なアカペラであっても、元曲のメロディーや歌詞を使って自分で歌い、その歌唱を録音する場合、元曲の音楽著作物を録音物に固定することについて、著作権法第21条の複製権が問題となる可能性がある。

ここでいう「完全なアカペラ」とは、CD、配信音源、カラオケ音源、他人が作成した伴奏などを使わず、自分の歌声だけで歌う場合をいう。

アカペラにすることで、元の録音音源をコピーする問題は避けやすくなる。

しかし、元曲のメロディーや歌詞そのものを利用していることには変わりがないため、作曲者・作詞者などが持つ著作権の問題がなくなるわけではない。

アカペラの歌唱録音をScratchで公開すること

+ 第23条の公衆送信権等

(公衆送信権等)

第二十三条 著作者は、その著作物について、公衆送信(自動公衆送信の場合にあつては、送信可能化を含む。)を行う権利を専有する。

2 著作者は、公衆送信されるその著作物を受信装置を用いて公に伝達する権利を専有する。

引用:e-Gov法令検索

アカペラで録音した歌唱をScratchにアップロードし、作品を共有して他の利用者が再生できる状態にする場合、元曲を含む音声を公衆送信または送信可能化することについて、著作権法第23条の公衆送信権・送信可能化権が問題となる可能性がある。

自分の歌声だけを録音している場合でも、Scratch上で不特定多数または多数の利用者がアクセスして聴ける状態にすることは、個人的に歌うこととは異なる。

したがって、次の事情だけで、Scratch上での公開が自動的に許可されるわけではない。

  • 自分の声だけで歌うこと
  • 元のCDや配信音源を使わないこと
  • 非営利で公開すること
  • 原作者名や曲名を表示すること

替え歌、翻訳、メロディーの変更などを行う場合

+ 第27条の翻案権等

(翻訳権、翻案権等)

第二十七条 著作者は、その著作物を翻訳し、編曲し、若しくは変形し、又は脚色し、映画化し、その他翻案する権利を専有する。

引用:e-Gov法令検索

元曲の歌詞やメロディーを大きく変更せず、通常どおり自分で歌うだけの場合、第27条の翻案権等が必ず問題になるわけではない。

一方、次のような変更を行う場合は、翻案権や編曲に関する権利が問題となる可能性がある。

  • 歌詞を別の内容に変更する
  • 替え歌にする
  • 歌詞を翻訳する
  • メロディーを大きく変更する
  • 元曲に新しい構成や表現を加える
  • 元曲を別の作品として作り変える

また、歌詞やメロディーを作者の意に反して大きく変更する場合は、著作者人格権の一つである同一性保持権が問題となる可能性もある。

「再配布」という言葉について

「再配布」という言葉は、それだけで一つの権利を指すものではない。

音源をコピーしたのか、インターネット上に公開したのか、改変したのか、第三者が取得できる状態にしたのかなど、具体的な行為ごとに、複製、公衆送信、送信可能化、翻案、著作隣接権などの問題を判断する必要がある。

歌唱者が自分で歌って録音した場合でも、伴奏音源や原曲の作詞・作曲に関する権利がなくなるわけではない。

自分の歌声を加えたことだけで、伴奏音源の複製、公開、再利用について許可を得たことにはならない。

著作権者の許諾がある場合、または作品ごとのライセンスがScratchで必要となる利用範囲を明示的に認めている場合は、クレジット、原曲URL、音源URL、改変表示などの条件を守って利用する。

ただし、クレジット表記だけでは、許可されていない複製、公衆送信、送信可能化、改変、再配布が許可されることにはならない。

なお、適用される法律や権利関係は、国・地域、楽曲、音源、利用方法によって異なる。

このページは、Scratch利用規約および日本の著作権法をもとにした一般的な整理であり、個別の事例について法的な結論を保証するものではない。

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注釈

*1 出典:https://mitscratch.freshdesk.com/en/support/solutions/articles/4000219182-scratch-terms-of-service

*2 出典:https://laws.e-gov.go.jp/law/345AC0000000048/

*3 出典:https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/seidokaisetsu/gaiyo/chosaku_rinsetsuken.html