今日も一日、通っている高校での授業が終わり、放課後となった。
俺はホームルームを終え帰宅しようとしたが、自分の携帯にこのようなメールが届いていることに気付いた。
《今日の放課後、高校の体育用具室に集まること!》
そのメールの差出人は同じ高校の三年生である姉の美佳からのものだった。そしてそのメールは同時に三人の人物に送信されている。俺と、俺の二人の妹、美紀と真紀へであった。妹は二卵性双生児で現在中学三年生。性格が似通っているとはとても言えず、美紀は活発、真紀は物静かということで近所には知れ渡っていた。
どうして俺達の兄妹に姉からメールが送られてきたかは、まったくもって謎だった。
体育用具室に向かうと、そこには既に三人の人影があった。俺の姉妹達だ。
「おいおい、中学生なのに高校の敷地内に入ってきちゃ駄目だろ」
俺は二人の妹に言う。しかし美紀の方は悪びれた様子もなく
「だって美佳お姉ちゃんが入ってもいいって言ったもん」
と笑顔だ。
真紀も
「誰もいないから、大丈夫だと思うよ」
と微笑んでいる。
俺は二人を相手にすることを諦め、今度は姉の方を向く。
「で、姉さん、なんで俺達はこんなところに呼ばれたわけ?」
すると姉は
「決まってるでしょ?ここに誰もいないからよ」
と答えになっていない言葉を投げかけた。意味深だ。こういう言葉を姉が口にするときは、必ず何かがある。
「意味が分からないっていう顔してるわね。じゃあ、意味が分かるように三人に説明してあげる」
姉はそう言いながら、体育用具室の扉を閉めた。とたんに周りがまっ暗になる。姉が電気のスイッチを入れるまでの数秒間、室内は本当に闇の状態だった。つまり、ここは外界から隔離された場所である、ということだ。
「そうね、美紀、真紀。二人とも、よく聞いてね」
そういう姉の方を向いて、二人の妹は真面目な顔を見せている。そんな二人に、姉は言う。
「二人とも、お兄ちゃんのこと、好きでしょ?」
・・・・・いきなり何を言うかと思えば。
そう呆れている俺を余所に、意外にも二人の妹は真剣だった。
「うん、もちろん!」
「好き・・・・・、かな」
二人の答えに姉は満足そうに微笑む。
「じゃあ、お兄ちゃんのことを自分のものにしたいわよね?他の誰のものでもない、自分のものに・・・・・」
「お兄ちゃんが、私だけのもの?」
「・・・・・したい」
今度も二人は肯定を示した。
俺が関係しているのに、俺がまったく加えられない議論が続いているような気がして、どうしていいのかわからない。そんな状況で俺は右往左往することしかできなかった。
「それじゃあ、決まりね!」
姉はぽんと手を叩く。
「これからお兄ちゃん争奪戦をしましょう!ルールは簡単。より臭いオナラをお兄ちゃんに嗅がせた方の勝ち!」
・・・・・は?
おそらく今のは俺の聞き間違いだろう。そう信じたかった。より臭いオナラ?この二人が?俺に嗅がせる?・・・・・わけがわからない。そんなことを、この二人がするはずないじゃないか。
俺はそう思った。俺は、思ったのだ。しかし、二人の妹の反応は、俺の予想の正反対を行っていた。
「わかった、それでお兄ちゃんが私のものになるのなら」
「うん、私も、それでいい・・・・・・」
状況が飲み込めない俺を前にして、話はどんどん先へ進んでいた。俺はやっと口を出す。
「ちょっとまってくれ、何がなんだか、訳が分からないって。俺は何をすればいいわけ?っていうか、俺は何をされるわけ?」
「もう、さっきこの子達に言ったじゃない」
姉は俺の方に向いて、人差し指を立てて咎めるようなポーズを作って言う。
「今から美紀と真紀がオナラをするから、それをあんたが嗅げばいいの。で、どっちが臭かったか、私とあんたが判定するわけ。いい?これで分かった?」
「言葉の意味は分かった。でも、なんでそんなことをするのか、全然分からない」
「もう、そんなの決まってるじゃない・・・・・」
俺の反論に、姉はさも当然のごとく答える。
「私が楽しむためよ」
・・・・・この言葉は、いつも姉の口癖だった。
数分後、俺は姉の華麗な合気道技によって仰向けに横たわっていた。姉弟喧嘩のときはいつもこれでやられる。これを食らうと、数分間動けなくなる。痛みはない。しかし、身体が動かなくなるのだ。
そんな俺の前に、美紀と真紀が仁王立ちしている。上から見下ろされているこの状態では、かなりの圧迫感を感じる。自分より年も身長も下の妹二人でも、若干の恐怖を感じるほどだった。
「はい、じゃあ、じゃんけんして」
姉の言葉に、美紀と真紀はお互いじゃんけんをする。結果、美紀の勝利。真紀はおずおずと下がり、美紀が一歩前に出た。どうやら美紀が先攻ということらしい。
今まで共に暮らしてきた妹達であったが、俺は二人のオナラなど嗅いだこともないし聞いたこともない。だからといって興味があったわけでもない。俺は二人のことをあくまで妹として考えていたからだ。
だから、姉に
「言っておくけど、覚悟した方がいいわよ。この二人のオナラって、かなり強烈だから」
と言われても、全く実感が湧かなかった。
「私からだよね、お兄ちゃん」
そう言うと美紀は俺の顔の上に跨るように立った。制服のスカートの中にあるピンクのパンツが丸見えだ。少し汚れが見えるそのパンツには、少しだけそそられるものがあったが、しかしこれは妹のものだ、と考えればどうということはなかった。
「よいしょ」
そう言うと美紀は俺の顔に腰を下ろした。しかし俺の顔と美紀の尻が接することはなかった。俺の顔面の僅か上方で尻の落下を止めると、美紀は中腰の状態で静止した。
状況としては何の変化もなかったように思えた。しかし、もっとも変わったのが、においだ。美紀のパンツが俺の目の前に現れたとたん、アンモニアや硫黄と言った類のにおいが俺の鼻を刺した。予想以上に臭い。が、目の前にあるのは生理的現象として排泄を行う場所だ。それくらいはしかたないだろう。俺はそう考えることにした。
「じゃあ、手始めに一発いってみましょうか、美紀」
姉の声が聞こえる。声しか聞こえない。と、いうのも、視界は美紀のピンク色のパンツで覆われているからだ。
「分かったよ、お姉ちゃん」
美紀が言った。
そしてその数秒後、再び美紀の声で
「うん!」
と気張る音がしたかと思うと、今度は目の前で
『ばぶっ!』
という音がした。下品な破裂音だった。しかし、それを分析している暇もなかった。
「ん、んごぉっ!!」
俺はつい、声を出してしまった。あまりに臭かった。臭すぎた。予想を超越するにおいだったのだ。自分のオナラがどのようなものかはもちろん分かっていたが、自分のものと比べようなど、浅はかだということは考えずとも分かった。肉が腐ったときのような臭いは、俺が嗅いだことがあるどんなにおいよりも強烈だった。
「臭いでしょ?お兄ちゃん」
美紀が言う。俺が黙っていると、美紀は少し口調を強めて
「ねぇ、臭いって言ってよ!」
と言った。
「く、臭い・・・・・」
俺は素直にそう言う。すると、いつも耳にする
「あは、あはははっ」
という美紀の笑い声が聞こえてきた。美紀は満足したとき、いつもこの笑い方をする。
「これは私の勝ちかもね!」
美紀はそう言うが、俺はもう勝ち負けなどどうでも良くなっていた。早く新鮮な空気を吸いたい。その一心だった。
「ちょっとまってよ、美紀」
今度そう言ったのは真紀だった。
「まだ私が終わってないでしょ。交代して」
真紀の言葉に美紀は素直に立ち上がる。俺の視界からピンク色の塊が消え、かわりに美紀と真紀の二人が立っている姿が入り込んできた。
「次は真紀の番ね」
姉が言うと美紀は俺の身体の上から離れ、変わりに真紀が頷いて、先ほどの美紀と同じように俺の顔の上に跨るように立った。
真紀のパンツは薄い水色だった。美紀のように汚れが目立つこともない、清純なものであった。
「お兄ちゃん、いくからね・・・・・、お願いね・・・・・」
真紀はそう言いながら、ゆっくりと腰を下ろし、また俺の顔の真上でその尻を止めた。
美紀のときのようなアンモニア臭や硫黄臭は感じられなかった。ただ、無臭というわけではない。女性フェロモン独特の甘い匂いが鼻を擽った。今度は少し、心地よさを感じる。
「・・・・・・んっ」
小さい、聞き逃してしまいそうな真紀の気張り声が聞こえた。そしてその次の瞬間に、
『ぶふぅっ』
という、空気音を含んだ音が目の前で響いた。
「うごっ、ぐ、ぐぅ・・・・・・」
俺もつい声を漏らす。先ほどとは違う種類のにおい。先ほどの心地良い匂いが何処に吹き飛んだのかと思えた。臭い。臭すぎる。例えるなら、コーンポタージュの臭いを強烈にした、などと表現すれば良いだろうか。甘ったるさを含んでいる腐臭だが、良い匂いなどとはほど遠い。兄の俺に対してでさえ控えめな態度であった真紀からは考えられないオナラだった。
「ほら、美紀。私のもだいぶ臭いみたい」
そういう真紀の声は、心なしか浮き浮きしているように感じられた。
「むぅ、真紀もやるわね!」
美紀が言うが、その口調も楽しそうだ。
「はいはい」
姉が手を叩く。それを合図に真紀が立ち上がった。視界がひらける。が、なんとなく光景がぼやけているように感じる。においに頭をやられてしまったからだろうか。
「それじゃあ今度は二人でお兄ちゃんの顔にお尻を向けましょうか」
姉の言葉に二人の妹は素直に従った。右から美紀が、左から美紀が、俺の顔に大きめの尻を向けている。目の前にピンクと水色の布に包まれた尻が二つ存在しているというのは、なかなか圧感であったが、そんなことを言っている余裕はなかった。
「小手調べも終わったでしょうし、今度は自分が好きなタイミングで好きなだけお兄ちゃんにオナラを嗅がせるのよ。ただ、どっちのにおいだかお兄ちゃんが分からないから、オナラをするときはちゃんと宣言してからね」
今までのが小手調べだって?信じられない。信じられなかった。まだ、さっきと同じものが、いや、先ほど以上のものがやってくるというのか?
「はぁい、分かったよ、お姉ちゃん!」
「私も分かった」
二人の妹が喋るたびに、尻がほんの少し揺れる。それがまるで一つの生物のようで、しかもその生物は信じられないような毒ガスを発するということで、俺は完全に恐怖していた。
二人は少し譲り合うような間を置いた。その後に美紀が
「じゃあ、美紀から行きまーす」
と言ったのを皮切りに、再び活動を再開した。
『ぶばっ!ぶりぶりっ!!』
何とも下品な放出音だった。それと共に大量のガスが俺の鼻に流れ込んだ。先ほどよりも濃くなった肉のにおいは、俺に言葉を発することすら許さなかった。
「次は真紀です・・・・・」
語尾を濁すように真紀がそう言った直後、今度は反対方向から
『ふすっ、ふしゅうぅぅぅ・・・・・・』
という、所謂すかしっ屁が俺を襲った。コーンポタージュなど生ぬるい、もはや食物に例えることなど不可能な腐臭だった。
「あー、真紀、すかしっ屁ずるーい!」
「好きなタイミングで好きなだけしていいんだから、ずるくないの」
「あ、そっか!」
美紀がそう言った直後、
『ぶぼぉっ!!ぶばおぉぉぉぉぉっ!!』
という音が響いた。オナラの音とは思えないほど巨大なその音がやんだ後、
「えへへ、ちょっと不意打ちしてみましたー。今のは美紀ちゃんだよ、分かった?」
という美紀のはしゃぐような声が、何処か遠くから聞こえたような気がした。
『ふしゅぅっ!ぶふぉぉっ!』
また突然、音が響く。名乗られずとも、性格を象徴するような空気音混じりのその音と強烈な植物系の臭いで真紀だということが分かった。
「今のは真紀でした」
・・・・・もう、言語が言語として入ってこない。なんとか二人を制止させようと試みる。このままでは、俺がどうにかなってしまいそうだ。
「げほっ!げほげほっ!!ふ、二人とも・・・・・、や、め・・・・・」
辛うじて声が出た。今ので言葉のニュアンスは二人に、そして姉にも伝わったはずだった。
しかし返ってきた答えは俺の望むものではなかった。
「やめないよー、だってお兄ちゃんを私のものにしたいもん!」
「もうちょっと我慢してね、お兄ちゃん。そうすればお兄ちゃんは、私のものになるから・・・・・」
・・・・・・愕然とした。もう駄目だと思った。今の俺は、二人の妹の言いなりだ・・・・・。
「ほんじゃ、今度は交互に行ってみよっか」
「そうだね」
俺の顔の上で美紀と真紀が会話している。その声は耳に入ってくるが、内容を理解することができない。
「じゃあ、私から行くよ!せーの、3、2、1・・・・・」
『ぶぶっ!』
『ぶすぅっ』
『ぶりっ!』
『ふしゅっ』
『びゅっ!』
『むぴぃっ』
右、左、右、左と左右から連続して短いオナラを吹きかけられた。俺はもうどう抵抗することもできず、ただそれが発射されるタイミングに合わせて「う!うぐっ!がっ!」とうめき声をあげることしかできずにいた。
「きゃはは!お兄ちゃん楽しい~!」
美紀が笑う。
「もう、お兄ちゃん・・・・・」
真紀も笑っていた。
「それじゃあ、そろそろ勝敗決定にしましょうか」
姉が言ったのが分かった。
「もう?」
「もっとお兄ちゃんと遊びたかったのにぃ」「
真紀と美紀がそう言ったが、姉はそれに対して笑いを含んだような声で返す。
「だって、お兄ちゃんがもう死んじゃいそうよ」
その言葉は妙に現実味を帯びていて、とても恐ろしかった。
「じゃあ、次でお互い、最後にしてね。自分が出せる一番凄い奴を出さないと、お兄ちゃんを自分のものにできないわよ。ふふ、じゃあ、最初の順番通り美紀からにしましょうか」
『自分が出せる一番凄い奴』とは、どれほどのものなのだろうか。そもそも、先ほどまでのものが『一番凄い奴』ではなかったのか。とすると、美紀と真紀の『一番』は、どれほどのものになるのだろう・・・・・
美紀は姉の言葉に「分かったよ」と答えると、少し尻をどけ、俺の顔を上からのぞき込んだ。その表情は、満面の笑みであった。
「じゃあ、行くよ。お兄ちゃん。きっと美紀が勝っちゃうから、ね!よーし・・・・・、せーの・・・・・!」
次の瞬間、僅かに浮かせていた美紀の尻がかなりの速度で降ってきた。しかも今度は俺の目の前で止まることなく、俺の顔の上に落下した。ずん、と音がして俺の顔は美紀の尻に押しつぶされる。美紀のパンツに染みついたアンモニア臭と屁の残り香がより濃く感じられた。
そして、次の瞬間だった。
『ぶぶっっ!!ぶうううっ!!ばびっ、ばびっ、びりりりりっ!!!ぶおっ、ばぶぶぅー!!』
・・・・・。
「・・・・・ふぅ」
美紀が息をついた。
「はい、美紀ちゃんのはこれでおしまいでーす。どうだった?お兄ちゃん!」
そう言って美紀が立ち上がったころには、俺は本当に『終わって』いた。先ほどまでとは比べ物にならない爆音、そして、におい。人間の身体に入っているとは思えないそのガスは完全に密着していた美紀の尻から放出されたのだ。それだけは間違いない。間違いないが、とても信じられなかった。
「じゃあ、次は私だね」
真紀はそう言うと、美紀に変わって俺の顔の上で中腰になった。そして、美紀とは対照的にゆっくり、じっくり、時間をかけて腰を落とす。しだいに降ってくる水色のパンツに包まれた尻は、俺に圧迫感と恐怖を与えた。
真紀は、
「早くしないとお兄ちゃんが気絶しちゃうから、行くね」
などと言いながらも、ゆっくりと尻を俺の顔に近づけてくる。始めに感じた甘い匂いなどは微塵も感じられない。さきほど美紀が放った肉臭い屁の残り香と、真紀のパンツに染みついている卵臭い屁の残り香がミックスされ、俺の鼻を襲っていた。
そして、真紀の尻と俺の鼻が触れ合った、その瞬間だった。
真紀はその瞬間に一気に尻を俺の顔に押しつけると、軽く力む声を出した。
『むすぅぅぅ、ぷすっ、すっ、すかぁぁぁぁ・・・・・、ふぉふっ、すこっ、すかぁ、ぷしゅぅぅぅぅぅ・・・・・・・・・』
とびきり長いすかしっ屁の連続だった。卵のような、コーンポタージュのような、納豆のような・・・・・、濃厚な臭いが俺の鼻をねじ曲げんばかりにピンポイントに注入された。美紀とは違った種類のその臭いは確実に俺の身体を蝕んでいった。
やっとそれが終わったかと思うと、真紀はすくりと立ち上がり、俺を見下ろした。
「これでおしまい。美紀と私、どっちが臭かった、お兄ちゃん?ふふっ・・・・・」
いつにもなくはしゃいでいるような真紀のその言葉が最後だった。徐々に俺に意識が遠のいていく。視界がぼやけ、音が聞こえなくなり、目の前に闇が広がり・・・・・。しかし、鼻をつんざくその臭いは最後まで残っていた。しかしその臭いも俺の感覚から消え失せていった・・・・・
***
「あらら、お兄ちゃん、気絶しちゃったよ」
美紀が言う。
「お兄ちゃんにも限界が来ちゃったのかな」
真紀もそれに受け答えるように言った。
私も自分の弟の姿を見る。気絶してもなお、周りの臭いにうなされているその表情には、自分の心臓を揺すられる思いだった。興奮する。とても、興奮する・・・・・
「ねぇ、お姉ちゃん」
美紀が私に言う。
「どうしたの、美紀?」
「この勝負、どうするの?どっちが勝ちなの?」
「うーん、そうね・・・・・」
私は少し考えてから言う。
「お兄ちゃんが気絶しちゃったし、判定はお兄ちゃんが目を覚ましてからってことにしましょうか。体験した本人に判定してもらうのが一番だもの。さぁ、お兄ちゃんをなんとかして家に連れて帰りましょう」
そう言って横たわる弟を持ち上げる。華奢な弟の身体はいとも簡単に持ち上がった。
両手にその身体を抱え、手頃な布をかけて周りから見られないようにする。体育倉庫の扉をあければこの臭いが多少漏れてしまうだろう。が、すぐに閉めれば大丈夫。まぁ、次にこの倉庫を使うために中に入った人が不憫ではあるが・・・・・
「お姉ちゃん」
扉を開けようとする私に、今度は真紀が言う。
「なに?」
「何でお姉ちゃんは、お兄ちゃんにオナラ嗅がせなかったの?」
「そうだそうだ!お姉ちゃんもやればよかったのに!」
美紀も重なって尋ねてくる。
私は振り返る。
そして、微笑んで答えた。
「だって、私がやったらお兄ちゃん、本当に死んじゃうかもしれないもの」
最終更新:2012年03月11日 21:36