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実際に収録されたセリフと字幕を基に作成しています
聞き取る事ができたセリフは全て書き起こしています
名前が分からない人物のセリフは基本「男」「女」で表記しています
⇾「三···三葉」 「瀧···瀧」 「三···三葉(中身は瀧)」 「瀧···瀧(中身は三葉)」
名前+(セリフ)⇾その人物の心の声、エピローグ
(名前+セリフ)⇾回想シーン
(補足説明)⇾補足説明
『』⇾タイトル表示
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三 (朝、目が覚めると、なぜか泣いている。そういうことが時々ある)
瀧 (見ていたはずの夢は、いつも思い出せない。ただ、)
三 (ただ、何かが消えてしまったという感覚だけが目覚めてからも長く残る)
瀧 (ずっと何かを、誰かを探している)
三 (そういう気持ちに取り憑かれたのは、多分あの日から)
♪夢灯籠~
瀧 (あの日、星が降った日。それはまるで…)
三 (まるで夢の景色のように、ただひたすらに…)
瀧三 (美しい眺めだった)
『君の名は。』
〜♪夢灯籠
(アラーム)
三 んー…んんー…
(三 瀧くん…瀧くん…瀧くん!…覚えて…ない?
瀧 っ!
三 名前は…三葉!)
三 あっ!……はぁ…はぁー…
(身体の異変に気付く)
三 ん?………ん?んー…んー?
四 お姉ちゃん何しとるの?
三 いやーすげえ本物っぽいなあって…えっ、お姉ちゃん?
四 何寝ぼけとるの。ご は ん!はよ来ない!
三 あー…んー…
(自分の身体を鏡で確認する三葉)
三 …え?ええ?えええー!
(翌日)
四 お婆ちゃん昨日のお魚出す?
一 あんたが食べや
三 おはよー
一 おはよう
四 お姉ちゃん遅い!
三 明日は私が作るでね。ふふーんふん♪
一 ん?
三 食べ過ぎかな?ま、いっか
一 今日は普通やな
三 え?
四 昨日はやばかったもんな!ふふ
三 え、ちょっとなにー?
(防災無線のチャイム)
三 あ…
町 皆様、おはようございます。町役場から朝のお知らせです。来月20日に行われる糸守町町長選挙について町の選挙管‥‥
(防災無線戸別受信機のコンセントを抜いてテレビをつける)
アナウンサー 1200年に1度という彗星の来訪がいよいよ一月後に迫っています。彗星は数日間に渡って肉眼でも観測できるとみられており…
四 いい加減仲直りしないよ
三 大人の問題
アナウンサー 世界中の研究機関は観測のための準備に追われています
(身だしなみを整える三葉)
三 うん
三四 いってきまーす
♪三葉の通学~
四 それでお婆ちゃんったらな、お米屋さんのお兄ちゃん…
四 ふん、ふん、ふん、ふふ
四 しっかり勉強しといで
さ あ!
て ふん
(自転車のベルを鳴らす)
さ 三葉ー!
三 おっはよ。さやちん、てっしー
さ おっはよ!
て おう
て お前早く降りろ
さ いいにん、ケチ!
て 重いんやさ
さ 失礼やな!
三 あんた達、仲良いなあ
さて よくないわ(ねえわ)!
三 ふふふ
さ 三葉、今日は髪ちゃんとしとるね
三 えっ何?
て そうや。ちゃんとおばあちゃんにお祓いしてもらったんか?
三 お祓い?
て ありゃ絶対キツネ憑きやな
さ 何でもオカルトにしんの!きっと三葉はストレスたまっとるの。なあ?
三 ちょ、ちょっと、何の話?
て 何ってお前…ん?
~三葉の通学♪
俊 そして何よりも、集落再生事業の継続、そのための町の財政健全化、それが実現して初めて安全安心な町づくりができるのです。現職として…
男 どうせ今期も宮水さんで決まりやろ
女 だいぶ撒いとるしなあここだけの話
松 おう宮水
三 おはよ
松 ふっ、町長と土建屋はその子供も仲ええなあ
桜 フフッ
花 いややわ
俊 町づくりを完遂させていただきたい
俊 ん?三葉!
三 はっ!
男 んん?
俊 胸張って歩かんか!
三 はぁ
女 身内にも厳しいなあ
男 さすが町長やわ
桜 フッ、恥ずかしい
花 ちょっとかわいそう
さ 三葉!
三 (こんな時ばっかり…!)
(古典の授業中)
(ノートに書かれた「お前は誰だ?」に気付く)
三 んー?
雪 誰そ彼。これが黄昏時の語源ね。黄昏時はわかるでしょう?夕方、昼でも夜でもない時間。世界の輪郭がぼやけて、人ならざるものに出会うかもしれない時間。もっと古くは彼誰そ時とか、彼は誰時とも言ったそうです
男 質問。かたわれ時やなくて?
雪 かたわれ時?それはこの辺りの方言じゃない?糸守のお年寄りには万葉言葉が残ってるって聞くし
男 ど田舎やもんな
皆 ははは
(「お前は誰だ?」)
三 うーん…んー
雪 じゃあ次、宮水さん
三 あっはい!
雪 あら、今日は自分の名前覚えてるのね
皆 ははは
三 ん?
(昼休み)
さ 覚えとらんの?
♪糸守高校~
三 うん…
さ あんただって昨日は、自分の机もロッカーも忘れたって言って…髪は寝癖ついとったしリボンはしとらんかったし
(昨日の自分を想像する三葉)
(三 フヒヒヒ…)
三 ええー!?うそ!?ホント?!
さ なんか記憶喪失みたいやったよ
三 そういえば、ずっと変な夢を見とったような気がするんやけど…なんか別の人の人生の夢?んー、よく覚えとらんなあ…
て 分かった。それって、前世の記憶!もしくはエヴェレット解釈に基づくマルチバースに無意識が接続したっちゅう…
さ あんたは黙っとって!
て えっ
三 あ!てっしー、もしかしてあんたが私のノートに…
て ん?
三 うーん、なんでもない‥‥
て あ?
さ でも三葉昨日はマジでちょっと変やったよ?
て うんうん
さ どっか体調悪いんやない?
三 んー…おかしいなあ、元気やけどなあ
さ ストレスとかやない?ほら、例の儀式ももうすぐやろ?
三 あー言わんといて。もう私この町いやや。狭すぎるし濃すぎるし、さっさと卒業して早く東京行きたいわ
さ まあなあ、ホントに何もないもんなあこの町
さ 電車なんか2時間に1本やし
三 コンビニは9時に閉まるし
さ 本屋ないし歯医者ないしな
三 そのくせスナックは2軒もあるし
さ 雇用はないし
三 嫁は来ないし
さ 日照時間は短いし
て うーん…お前らなあ!
三さ なによ
て へへ…そんなことより、カフェにでも寄っていかんか
さ え、カフェ?
三 できたの?
三さ どこー?!
~♪糸守高校
女 こんにちはー
て こんちは
さ こんにちは
さ なーにがカフェやさ
て この町にそんなんあるか
さ 三葉帰っちゃったやろ。あの子もホント大変やよね
て まあ三葉は主役やからな
さ せやな
て ん?おっ(犬が近寄る)
さ ねえ、てっしー
て ん?よしよし(犬をなでる)
さ 高校卒業したらどうするの?
て 何やさ急に。将来とかの話?
さ うん
て 別に…普通にずっとこの町で暮らしてくんやと思うよ。俺は
(宮水家)
四 んー…私もそっちが良いわ
一 四葉にはまだ早いわ。糸の声を聞いてみない。そやってずーっと糸を巻いとるとな、じきに人と糸との間に感情が流れ出すで
四 ふん…糸は喋らんもん
三 集中しろってことやよ
一 わしらの組紐にはな、糸守千年の歴史が刻まれとる。ええか?遡ること200年前…
三 始まった
一 草履屋の山崎繭五郎の風呂場から火が出てこの辺は丸焼けになってまった。お宮も古文書もみな焼け、これが俗に言う…
三 繭五朗の大火
一 うむ
四 えっ名前ついとるの?繭五朗さんかわいそう…
一 おかげで祭りの意味も分からんくなってまって、残ったのは形だけ。せやけど文字は消えても伝統は消しちゃあいかん。それがわしら宮水神社の大切なお役目。ハァー…せやのに、あのバカ息子は…神職を捨て家を出て行くだけじゃ飽き足らんと、政治とはどもならん
俊 社長ほら、もう一杯
男 今の現場のさー、役場の…
て父 おうっととと
俊 今回も社長にはお世話になるで
て父 任せとってください。門入と坂上あたりの票は間違いなあですわ
男 お前あの子とどう?
男 んな簡単にいかんさ
(笑い声)
て 腐敗のにおいがするなあ
て母 何言っとるの
て父 おい!もう2、3本つけてくれ
て母 はいはい
て父 克彦、週末は現場手伝え。ハッパ使うでな。勉強や
て ん…
て父 返事は!
て ああ!
(自分の部屋に戻る)
て はあ……ふん…たまらんなあ、お互い
(巫女の舞)
男 ありゃ四葉ちゃんか。大きゅうなったな
女 2人ともお母さん似のベッピンさんやなあ
て よお
さ よお
(口噛み酒を造り始める)
て 世界最古の酒なんやって。米を噛んで吐き出して放置しとくだけで自然発酵してアルコールになるんやさ
さ 口噛み酒…神様は嬉しいんかな?あんなお酒もらって
て そりゃ嬉しいやろ!
さ んん…
松本 ほれみてみい宮水や
桜花 フフッ
桜 えっ私絶対無理!
花 うぅ…
花 よく人前でやりよるよな
桜 信じられんわ
三 はっ…んん…
(巫女の舞が終わり社務所から出てくる2人)
四 お姉ちゃん元気出しないよ。いいにん、学校の人に見られたくらい
三 思春期前のお子さまは気楽でええよね
四 そうや、いっそ口噛み酒をいっぱい造ってさ、東京行きの資金にしたら?
三 あんたってすっごい発想するな
四 生写真とメイキング動画とかつけてさ、巫女の口噛み酒って名前とかつけてさ。きっと売れるわ
三 うーん……ダーメ!酒税法違反!
四 え?そういう問題なん?
三 もうこんな町いやや!こんな人生いやや!来世は東京のイケメン男子にしてくださーい!
四 えー…ハァー…アホな人やなあ
(アラーム)
瀧 ん…んー…ん?
(ベッドから落ちる)
瀧 いてっ!…あーいたたた…ふー…あ…どこ?
(身体の違和感に気付く瀧 )
瀧 ん?ん?ん?んー?なんや、ある……うわあ!?
(鏡を見て自分が男になっていることに気づく)
瀧 は…
(顔の傷に触れる)
瀧 いたっ
瀧父 瀧
瀧 な!
瀧父 起きたか
瀧 ん…
瀧父 お前今日メシ当番だっただろう?寝坊しやがって
瀧 す…すみません
瀧父 ん?俺先に出るからな。味噌汁、飲んじゃっといてくれ
瀧 あ、うん
瀧父 遅刻でも、学校はちゃんと行けよ。じゃあな
瀧 行ってらっしゃい…
瀧 変な夢…
(LINE通知)
瀧 ひゃっ
(メッセージ:司 もしかしてまだ家か?走って来い!!)
瀧 えー?何?何?ツカサ?誰?うーん…あっ…あっ、うう…トイレ行きたい…
(トイレを終えて外に出る)
瀧 ハァー…リアルすぎ…あっ(初めて東京の街並みを目にする)
♪はじめての、東京~
(現在地を調べ覚悟を決める)
瀧 ん!
瀧ハァ…わ…わあ…東京やあ!
~♪はじめての東京
(学校のチャイム)
女 これどこで買ったの?
女 代官山の…
男 次のライブの前座でさ…
男 えっライブやるの?
女 ねえ今日部活サボってさ、映画行かない?
瀧 あ…
司 たーき!
瀧 うわあ!
司 ふん。まさか昼からとはね。メシ行こうぜ
瀧 えー…
司 メール無視しやがって
瀧 あ…ツカサ君?
司 くん付け?反省の表明?
(屋上で昼ご飯を食べる3人)
高 迷った?
瀧 うん
高 お前さあ、どうやったら通学で道に迷えんだよ
瀧 ああ、えーと…わたし…
高 わたし?
瀧 あっ、わたくし
高司 ん?
瀧 僕?
高司 はあ?
瀧 俺?
高司 うん
瀧 あ…俺楽しかったんやよ。なんか毎日お祭りみたい。東京って
高 なんかお前訛ってない?
瀧 え!
司 瀧弁当は?
瀧 ええ!
司 まったく
高 寝ぼけてんのか?
司 何かあるか?
高 卵コロッケサンドにしようぜ
(バスケのシュートを決める男)
男 おし!
瀧 あ…ありがとう
高 へへ
司 フッ
高 放課後カフェ行かね!
司 ああ例の?いいね。瀧は?
瀧 え?えっ!えー!
高司 えっ?
瀧 カフェ!?
♪憧れカフェ~
犬 ハッ、ハッ、ハッ
瀧 フフ…
高 天井の木組みがいいね
司 ああ手がかかってんなあ。たーき、決まった?
瀧 あ…え!こ…このパンケーキ代で、俺1ヶ月は暮らせる
司 いつの時代の人だよ、お前は
瀧 うーん…まいっか、夢やし
高司 ん?
(パンケーキの写真をとる)
瀧 あー、いい夢!
高司 はあ?
(LINE通知)
瀧 ん?
(メッセージ:おい瀧!!!💢💢
💢💢💢バイト遅刻してんぞ💢💢💢
早く来い!!!!!!!!!)
瀧 ええどうしよう!俺バイト遅刻だって
高 お前のシフト今日か
司 早く行ったら?
瀧 あ、うん…あっ…あ、あの…
高司 ん?
瀧 俺のバイト先って…どこやっけ?
高司 はあ?
藤田 6番7番10番様オーダー待ちです
田中 ご新規3名様!
男 12番テーブル、瀧!
瀧 あっはい
瀧 お待たせいたしました
女 わあ
瀧 ええと、ズッキーニとトマトのサラダと…
女 頼んでませんけど?
瀧 え!
男 瀧
瀧 うぅぅ…
男 トリュフは品切れだって言ったろう
男 瀧!声が小せえよ!
男 Taki!
瀧 う…
瀧 ああーん、この夢いつ覚めるんやさー!
~♪憧れカフェ
山元 ちょっと、ちょっとお兄さん
瀧 あ、はい!
山元 ピザにさ、楊枝が入ってたんだけど
瀧 え?
山本 これ、食っちゃったら危ないよね。俺が気づいたからよかったけどさあ。どうすんの?
瀧 え?あぁえっとあの…
男 ふっ
瀧 でも…イタリアンの厨房で楊枝が入るなんてことは…
山本 ああ?!(机を蹴る)
奥 お客様。どうかなさいましたか
山本 ああ、この兄ちゃんにも言ったんだけどね…
奥 ここはいいから!
瀧 あぁ…
斎藤 お前今日おかしいぞ
瀧 あ…
奥 大変失礼いたしました。お代は結構ですので
山本 え、そう?
奥 お怪我はございませんでしたか?
(閉店後)
瀧 あの…奥寺、さん
鈴木 先輩だろ?
瀧 あ、奥寺先輩、さっきは…
奥 今日は災難だったね
瀧 いえ、あの…
奥 あいつら絶対言いがかりだよ。マニュアル通り、タダにしてやったけどさ
藤田 あ、奥寺さん
奥 えっ?
藤田 そのスカート!
奥 はっ…!
藤田 大丈夫ですか?
中村 おい、どうした
藤田 切られてるみたい
中村 うわひでえな
奥 うう、あいつら…
藤田 どうしましょう、顔覚えてますか?
中村 いや…
瀧 先輩、ちょっと(休憩室に連れていく)
奥 え?
藤田 えっ?
中村 おい瀧
瀧 スカート脱いでください!
奥 えー?!
瀧 え?あぁむ、む、向こう向いてますから!
奥 えー?
♪奥寺先輩のテーマ~
瀧 すぐに済みますから
(切られたスカートを縫う瀧)
瀧 …できました!
奥 わっ瀧くんすごい、前よりもかわいい
瀧 フフフ…今日は助けていただいて、ありがとうございました
奥 ホントはさ今日、ちょっと心配だったのよ。瀧くん弱いくせに、喧嘩っぱやいから
瀧 あ…
奥 フッ…今日の君の方がいいよ。女子力高いんだねえ、瀧くんて
(帰宅の電車にて)
瀧 (良くできた夢やなあ。我ながら)
(帰宅)
瀧 あっ、この子日記つけとる…
瀧 んー、マメやなあ…いいなあ東京生活…
瀧 あっ、あの人や……片想いかな?ウフフッ
(今日の出来事を日記アプリに残す)
瀧 あっ(「お前は誰だ?」を思い出す)
(手に「みつは」と書く)
瀧 フフ…フアー
~♪奥寺先輩のテーマ
(翌日)
瀧 何だこれ?…(手の文字に気付く)
瀧 な!…(制服を着たまま寝ていたことに気付く)
(昨日の出来事を確認する)
瀧 な!!…
瀧 何だこれ!?
♪ふたりの異変~
高 今日もカフェ行かね?
瀧 あワリい、俺今日これからバイト
司 フン行き先は分かるのか?
瀧 はあ?ああ!司もしかしてお前か?俺の携帯勝手に…
司 はあ?
瀧 あー、やっぱいいや。じゃあな
高 あいつ、今日は普通だな
司 昨日はなんか…かわいかった
高 え?
(バイト先で先輩に詰め寄られる)
瀧 な…何すか?
田 てめえ瀧、抜け駆けしやがって
斎藤 昨日お前ら一緒に帰っただろ
瀧 えっ、え…え!まさかマジで?奥寺先輩と?
田斎鈴 あれからどうなった?!
瀧 えっあ、あの…よく覚えてないんすよ、俺
田中 ふざけんなよこら
奥 奥寺、入りまーす。おっつかれさまー!
4人 ちわっす
奥 あ、今日もよろしくね。ねっ、たーきくん
瀧 え…
田斎鈴 んん‥‥ん!(瀧を睨む)
瀧 うあぁ!
三 んー?(手と腕の文字に気付く)
(「みつは??お前は誰だ??お前は何だ??」)
四 お姉ちゃん今日はおっぱい触っとらんにん。ご は ん!はよ来ない!
三 おっぱい?!
(学校)
三 おはよー
皆 ん?
三 えっ!
女 宮水や
男 昨日かっこ良かったよな
男 ちょっと見直したわ
三 な、なんか視線を感じるんやけど
さ んー、昨日のアレは目立ったもんな
三 はあ?
(前日に戻る)
桜 ポスター見た?町長選の
松本 誰がやったって同じやに。助成金をどう配るかだけやろ?
花 しっ!そのおかげで生活できる子もおるんやで
松桜花 フフフ…
三 あれって…私のことだよね?
さ あ…うん…ちょっ三葉?
(机を蹴り倒す)
松桜花 えっ…うぅ…
三 フッ
三 な…な…何よそれ?
(ドタドタドタ)
一四 ん?
四 お姉ちゃん?
(過去のノートを確認する三葉)
三 んっ?ああーっ!…これって…これってもしかして!
(過去の日記アプリを確認する瀧)
瀧 うわーっ
瀧これって、もしかして本当に…
三 私、夢の中であの男の子と…
瀧 俺は、夢の中であの女と…
~♪ふたりの異変
瀧三 入れ替わって(と)る!?
♪前前前世~
三 (何が起きているのか、だんだんわかってきた。瀧君は東京に住む同い年の高校生で、)
瀧 (ド田舎暮らしの三葉との入れ替わりは不定期で、週に2.3度不意に訪れる。トリガーは眠ること、原因は不明)
三 (入れ替わっていたときの記憶は、目覚めるとだんだん不鮮明になってしまう)
瀧 (それでも、俺たちは確かに入れ替わっている。周囲の反応がそれを証明している。だから、)
三 (だから、私たちはお互いの生活を守るためルールを決めた。入れ替わってしまっている時の注意点や、守るべき禁止事項)
瀧 (それから、入れ替わった日の出来事をケータイに残すこと)
三 (この謎現象をとにかくも乗りきるために、協力しあうこと。それなのに‥‥)
瀧 (それなのに‥‥)
瀧三 あの女(男)はああ!!
♪君の前前前世から僕は~
三 はっ!!
瀧 うーん‥‥
三 はあ…
瀧はあ…
(バスケで目立つ)
三 はあ、はあ、ん!んん!はあ
男達 おぉーー…
三 (男子の視線!スカート注意!人生の基本でしょう?!)
(パシャ、パシャ、パシャパシャ、パシャ)
瀧 (人の金を無駄遣いすんな!)
三 (食べてるのは君の体。私だってバイトしてるしー)
瀧 (組紐とか、これ無理だろ!)
三 (あなたバイト入れすぎ~!)
瀧 (おまえの無駄遣いのせいだろ!)
♪私たちー越えれるかなー~
三 (今日は帰り道に奥寺先輩とお茶!君たちの仲は順調だよ)
瀧 (てめぇ三葉‥‥俺の人間関係変えるなよ!)
三 (ちょっと瀧くん!なんで女子に告白されてんの!?)
瀧 (お前俺に人生預けた方がモテんじゃね?)
三 (うぬぼれんといてよね、彼女もおらんくせに)
瀧 (お前だっていねぇじゃねーか!)
三 (私は!)
瀧 (俺は!)
瀧三 いないんじゃなくてつくんねえ(らない)の!
~♪前前前世
(アラーム)
三 うーん…ふー‥‥ん‥‥あいつに悪いか
四 ほんとに自分のおっぱい好きやな。行 く よ!はよ準備しない!
アナウンサー 数日前から肉眼でも見え始めたティアマト彗星、いつどこに見えるんでしょうか
キャスター ティアマト彗星は太陽を追うようにして東から西の空に移動して見えています。ですから日没直後、今日でしたら金星の斜め上くらいに青みがかった‥‥
四 なんで制服着とんの?
三 え?
(御神体に向かう)
四 おばあちゃん、なんでうちの御神体はこんなに遠いの?
一 繭五朗のせいでわしにもわからん
三 誰だっけ?
四 えっ有名やよ?
三 ふ‥‥ふん‥‥ねえ、お婆ちゃん‥‥うぉおお!(一葉をおんぶする)
四 ちょ、お姉ちゃん‥‥
♪御神体~
一 三葉、四葉、ムスビって知っとるか?
三 ムスビ?
一 土地の氏神様をな、古い言葉でムスビって呼ぶんやさ。この言葉には深ーい意味がある。糸を繋げることもムスビ、人を繋げることもムスビ、時間が流れることもムスビ。全部神様の力や。わしらのつくる組紐もせやから神様の技、時間の流れそのものを表しとる。寄り集まって形を作り、捻れて絡まって、時には戻って途切れまた繋がり…それがムスビ、それが時間。
三 あぁ…
一 飲みない
三 ありがと
四 次わたしも!
三 うん
一 それもムスビ。あははは
三 へ?
一 水でも米でも酒でも、人の体に入ったもんが魂と結び付くこともまたムスビ。だから今日の御奉納は、神様と人間を繋ぐための大切なしきたりなんやよ
四 あっ、なあなあ!見えたよ
三 はあ‥‥ここが、宮水神社の御神体‥‥
一 ここから先はカクリヨ
四 え?
一 あの世のことやわ
四 あはは!あの世やー!
一 此岸(しがん)に戻るには、あんたらの1等大切なもんを引きかにせにゃいかんよ
三 え?
一 ふふふ、口噛み酒やさ
三 口噛み酒‥‥
一 御神体にお供えするんやさ。それはあんたらの半分やからなあ
三 (三葉の‥‥半分)
(お供え後)
四 うふふ、はあ…もうかたわれ時やな
三 ん、かたわれ時‥‥?あっ‥‥うわあ‥‥‥‥
四 そうや、彗星見えるかな
三 えっ‥‥彗星?
一 おや?三葉、
~♪御神体
一 あんた今、夢を見とるなあ?
瀧 はっ!!‥‥はあ…涙?なんで……?
(LINE通知)
瀧 はっ…
(メッセージ:奥 もうすぐ着くよー 今日はよろしくね💕)
瀧 奥寺先輩?なんのこと?‥あっ!…まさかまた三葉が‥‥デート?!
♪デート~
(急いで待ち合わせ場所に向かう)
三 (明日は奥寺先輩と東京デート、駅前待ち合わせ、10時半!)
三 の、はずやったのにな‥‥ふ‥‥
瀧 はあ…はあ...はあ…
男 確かにサラリーマンの町だけどさ
奥 たーきくん
瀧 うわあ!
奥 ふふふ、ごめん、待った?
瀧 あはい、あ、いや、あ、あの、えーっと‥‥‥‥わあ‥‥‥(奥寺先輩の格好に見とれる)
奥 ふふっ
瀧 今来たとこっす
奥 良かった、いこっか
瀧 ああ、あ、ああっ‥‥
三 いいなあ、今頃二人は一緒か…(涙が流れる)…あれ?わたし‥‥なんで‥‥
瀧 う、うう…う、う、うー…
女 意外に来ないよねー、でもさ
奥 すごーい!高い!
三 (私が行きたいデートやけど、もし不本意にも瀧くんになっちゃったとしたら、ありがたく楽しんでくること!)
奥 私このカフェ初めて来たよ。ここ、瀧くんはよく来るの?
三 (とはいえ、どうせ君はデートなんてしたことないでしょうから)
瀧 いや、全然!高過ぎるし
奥 ああ‥‥
瀧 会話が全然続かねえ‥‥
三 (だから、以下!奥手な君を助けるための厳選リンク集!)
瀧 えっマジか!‥‥うん?ん?うーん‥‥バカにしやがって‥‥
(写真展)
瀧 あっ‥‥‥‥‥‥あぁ‥‥(糸守町の写真を見つける)
奥 瀧くんってさ
瀧 えっ?
奥 今日は、なんだか別人みたいね‥‥
瀧 あの先輩、腹減りませんか?晩飯とか‥‥
奥 ふふ、今日は解散にしようか
瀧 えっ‥‥はい
奥 瀧くんって、違ってたらごめんね
瀧 はい
奥 君は昔、私のことがちょっと好きだったでしょ?
瀧 えっ!?
奥 そして今は、別の好きな子がいるでしょう
瀧 えええ?!あぁい、いませんよ…
奥 本当?
瀧 いないっす、全然違います
奥 ほんとかなあ‥‥
瀧 あああ‥‥‥‥
奥 ま、いいや
瀧 えっ
奥 今日はありがとう、またバイトでね
瀧 (デートが終わる頃には)
三 瀧 (ちょうど、空に彗星が見えるね)
瀧 何言ってんだ‥‥こいつ
(三葉へ電話をかける)
~♪デート
(てっしーからの着信)
三 なーんだ、てっしーか‥‥ううん、何となくサボってまっただけ、元気やよ。えっお祭り‥‥うーん、そっか、彗星‥‥今日が1番明るく見えるんやっけ‥‥うん、わかった、あとでね
さ あんたさ、三葉の浴衣期待しとるやろ
て し、しとらんわ!‥‥てか、考えもせんかったわ
さ ふーーん?
て ああ、なんかあいつ、声暗かったぜ
さ あんたの電話が嫌やったんやろ
て お前なあ!
さ ふふ
三 お待たせ
さ あー来た‥‥
て おせーよ‥‥
てさ げっ!!
さ ちょっと!どうしたの三葉!
て お、お前、か、か、か、髪が!!
三 ふ、やっぱ変かな‥‥
♪秋祭り~
て やっぱ男関係なんかなあ‥‥失恋とか?
さ 男子ってすぐ恋愛に結びつけるな‥‥なんとなく切っただけやって言っとったにん
て そうかぁ?!なんとなくあんなん切らんやろ‥‥
三 あっ
てさ ん?
三 なあなあ、見えるよ!
て すっげえ…
さ はああ‥‥
三 ‥‥‥‥あっ!
~♪秋祭り
(ギーーン!!)
(お掛けになった電話は、電波の届かないところにいらっしゃるか、電源が入‥‥)
瀧 (散々だったデートの結果は、次に入れ替わったときに伝えればいい。そう思った。でも、なぜかもう二度と、俺と三葉との入れ替わりは…起きなかった。)
♪記憶を呼び起こす瀧〜
〜♪記憶を呼び起こす瀧
瀧 なっ、なんで…こんなとこにいるんすか
奥 うふふ、司君に聞いて、来ちゃった
(今日も新幹線をご利用頂きまして…)
瀧 司てめぇ、俺が頼んだのは、親へのアリバイとバイトのシフトだろ?
司 バイトは高木に頼んだ
(動画:高 任せとけぇ!でも飯おごれよ?)
瀧 うう、どいつもこいつも
司 お前が心配で来たんだよ
瀧 はあ?
司 放っておけないだろ?美人局とか出てきたらどうすんだ
瀧 つつもたせ?
奥 瀧くんメル友に会いに行くんだって?
瀧 いやメル友というか、そりゃ方便で
司 ぶっちゃけ出会い系かと
瀧 ちげーよ!!
奥 えっ…
瀧 あ、うう…
司 お前最近やけに危なっかしいからな、離れて見ててやるから
瀧 俺は小学生か!
奥 ふふ
♪飛騨探訪〜
瀧 (入れ替わりが途切れ、電話は通じずメールも届かず。だから俺は直接三葉に会いに行くことにした)
瀧 はあ、はあ、あーもう早く早くー!
瀧 (あいつに会ってみたかった。でも…)
奥 はあ?詳しい場所は分からない?手がかりは町の風景だけ
瀧 …はい
奥 その子との連絡も取れない。なんなのよそれ
司 はぁ、まったく、呆れた幹事だな
瀧 幹事じゃねえ!
奥 まあいいわ、一緒に探してあげるわよ
奥 きゃー!可愛いーー!見て見て!
司 おー、可愛いですねー、おー
瀧 んー、邪魔だなぁ…
奥 動いた!うわぁひゃっはー!
瀧 やっぱ無理かぁー…
奥司 えーー!!
奥 私たちの努力はどうなるのー
司 んー
瀧 はぁぁ…なんにもやってないじゃん…
~♪飛騨探訪
奥 高山らーめん1つと
司 高山らーめん1つと
瀧 あ、じゃあ高山らーめん1つ
女 はい、らーめん3丁
男 はいよ
瀧 今日中に東京に戻れるかな
司 まあギリギリかもなー、調べるか
瀧 サンキュー
奥 瀧くん、それでいいの?
瀧 ズズズ…ふう、何か全然見当違いなことをしているような気がしてきて…
女 おや、お兄ちゃん、それ糸守やろ
瀧 えっ?
女 よう描けとるわ、なあ?あんた
男 ああ、糸守やな。懐かしいな
女 この人糸守出身やで
瀧 糸守…そうだ!糸守町!そうです、この近くですよね!
女 あんた
男 糸守ってのは
司 糸守…!
奥 は!
司 まさか!
奥 もしかして、あの彗星の!?
瀧 え…?
♪消えた町~
(糸守町の景色を見る)
瀧 はぁ、はぁ、はぁ…ああ……
奥 ねえ…本当にこの場所なの?
司 まさか、だから瀧の勘違いっすよ
瀧 違う、間違いない…この校庭、周りの山、この高校だって!はっきり覚えてる!
司 そんなわけねぇだろ、3年前に何百人が死んだあの災害、瀧だって覚えてるだろ?
瀧 死んだ…?3年前に、死んだ…?まさか…だって、あいつの書いたメモだってちゃんと…あっ…っ…は、はっ?!……あぁ…あ…消えてく…
~♪消えた町
♪図書館~
司 1200年周期で太陽をまわるティアマト彗星が地球に最接近したのが3年前の10月。近地点でその核が砕けるのを誰も予想出来なかった。
司 割れた彗星の一部が隕石となって日本に落下
奥 その日はちょうど秋祭りの日だったみたい
司 落下地点はここ。(午後)8時42分、祭りで人が集まっている場所にちょうど落ちたんだ。町の3分の1、500人以上が亡くなって今はもう糸守には誰も住んでいないそうだ
(犠牲者 名簿目録を調べる)
瀧 っ…勅使河原と…早耶香…はっ…!(宮水三葉の記載に気付く)
奥 え、この子なの?絶対何かの間違いだよ、だってこの人、3年前に亡くなってるのよ?
瀧 っ!つい2.3週間か前に、「彗星が見えるね」ってこいつは俺に言ったんです!だから!
(一 あんた今)
瀧 俺は…
(一 夢を見とるな?)
瀧 俺は…何を?
~♪図書館
奥 ふぅー…ふふ、賑やかだね
司 あぁ…一部屋しか取れなくてすみません
奥 ううん、全然。瀧くんは?
司 まだ、部屋で糸守の記事を読んでます。当時の新聞とか雑誌とか手当り次第って感じで
奥 ふふ、何?(司の視線に気付く)
司 あ、いや、吸うんですね
奥 ああ、辞めてたんだけどね
司 どう思います?あいつの話
奥 ふぅー…好きだったんだ私
司 えっ
奥 ここ最近の瀧くん。前からいい子だったけど最近は特に。なんか必死で、可愛くって。瀧くんの言ってることはやっぱりおかしいとは思うけど
男 いやー、うまかったなあ
女 そうかなぁー?
女 ふふ
奥 ふぅー…でもきっと瀧くんは誰かに出会って、その子が瀧くんを変えたのよ。それだけは、確かなんじゃないかな
瀧 うぅ…全部、ただの夢で、景色に見覚えがあったのは3年前のニュースを無意識に覚えていたから。そうじゃなければ…幽霊?いや、全部俺の…妄想…っ…あいつの名前、なんだっけ…
奥 司くん、お風呂行ってくるって
瀧 あっ、先輩あの俺、なんかおかしなことばっか言ってて…今日1日すみません
奥 ふ、ううん
奥 あ、組紐だね。きれい。瀧くんのそれも、もしかして組紐?
瀧 え?あ、これはたしか、ずっと前に人からもらって
♪旅館の夜~
瀧 何となくお守り代わりに時々つけてて…あ…誰から…
奥 …お風呂、瀧くんも入ってきたら?
瀧 あはい、いえ…俺、組紐をつくる人に前に聞いたことがあるんです。紐は時間の流れそのものだって。ねじれたり絡まったり、戻ったり繋がったり、それが時間だって。あっ!あの場所なら…
奥 …
(うたた寝する瀧)
(三 瀧くん…瀧くん…瀧くん…!…覚えて、ない?)
瀧 はっ!
~♪旅館の夜
(朝)
奥 ん…
(置き手紙 : 瀧 奥寺先輩、司へ どうしても行ってみたい場所があります。先に東京に帰っていてください。あとからかならず帰ります。ありがとう。 瀧)
奥 …瀧くん
♪御神体へ再び~
男 弁当、上で食べや
瀧 えっ?
男 あんたの描いた糸守…あらあ良かった
(土砂降り)
瀧 (より集まって形をつくって、ねじれて絡まって、時には戻ってまた繋がって、それが…結び。それが…時間。)
瀧 …あった!ほんとにあった!夢じゃ、なかった!うぅ…
~♪御神体へ再び
瀧 はぁ、はぁ、はぁ…ここから先はあの世……うわっ!!(バランスを崩す)
瀧 ん…俺たちが運んで来た酒だ。こっちが妹で、こっちが俺。彗星が落ちる前…3年前のあいつと俺は入れ替わってたってことか?時間が…ずれてた?…あいつの、半分…
瀧 ムスビ…本当に時間が戻るんなら…もう一度だけ…んっ、ぷはぁ…はぁ…はぁぁ…うわぁ!!(足を滑らせる)…あっ!彗星!
♪口噛み酒トリップ~
瀧 うわっ!………
(三葉の過去の記憶に入る)
瀧 はぁぁ.....…
(三 おぎゃー!おぎゃー!うー、うーー!!うー!
二 あなたの名前は、三葉)
瀧 はぁ……
(俊 2人は父さんの宝物だ
二 あなた、お姉ちゃんになったんやよ)
(二 ごめんね、みんな…)
(四 お父さん、お母さんいつ帰ってくるん?)
(俊 救えなかった!
一 あんたがそんなんでどうする!
俊 神社など続けたところで!
一 婿養子が何を言う!
俊 僕が愛したのは二葉です!宮水神社じゃない!
一 出ていけ!)
(一 三葉、四葉、今日からずっとばあちゃんと一緒やでな)
瀧 あぁ……
(三 「お前は誰だ?」って、あなたこそ誰よ)
(三 うぬぼれんといてよね!彼女もおらんくせに)
(三 いいなぁ、今頃2人は一緒か。はっ…私)
(三 ちょっと東京行ってくる
四 え!ちょっとお姉ちゃん!)
瀧 えぇ?……
(三 おばあちゃん、お願いがあるんやけど…)
(三 そっか、彗星、今日が1番明るく見えるんやっけ)
瀧 三葉、そこにいちゃだめだ。三葉、彗星が落ちる前に町から逃げるんだ!…あぁ…!三葉、逃げろ!三葉!三葉!三葉ーー!!
(ギーーン!!)
~♪口噛み酒トリップ
三 はっ!はぁぁ…三葉だ、生きてる。…うぅ…うっ、うう…うっ…
四 お姉ちゃんまたおっぱい、げっ!?
三 あぁー、妹だ、うっ、うっ…四葉ーー!!
四 ひっ!えぇぇ?!
四 お姉ちゃん、いよいよやばいわ。私今日、1人で先に出るで
四 やばい、やばい、やばいやばい、やばいよ!やばい…
キャスター 1週間ほど前から肉眼でも見え始めたティアマト彗星。いよいよ今夜7時40分頃に地球に最接近し、最も明るく輝くとみられています。ついに…
三 今夜…まだ間に合う!
一 おはよう三葉。おや?あんた、三葉やないな?
三 はっ!おばあちゃん、知ってたの?
一 いいやぁ、でも、ここんとこのお前を見とったら思い出したわ。わしも少女の頃、不思議な夢を見とった覚えがある。
三 えっ…
一 夢で誰になっとったんか、今ではもう記憶は消えてまったが
三 消える…
一 大事にしないよ。夢は目覚めればいつか消える。わしにも、あんたの母さんにもそんな時期があったで。
三 あっ…もしかしたら、宮水の人たちのその夢って全部今日のためにあったのかもしれない。ねぇおばあちゃん聞いて。今夜、糸守町に彗星が落ちてみんな死ぬ
一 うん?
三 はぁはぁ、はぁはぁはぁ…
三 (そんなこと誰も信じないって、意外に普通のこと言うばあちゃんだなあ。絶対に、死なせるもんか!)
さ ちょっと!どうしたの三葉?!
て お前、か、かか、髪が...
三 あーこれ、前の方が良かったよね
て あ、か、軽いな
三 そんなことより、このままだと今夜、みんな死ぬ!
皆 ええ?!
てさ はぁ? (えぇ?)
三 だから!私たちで!
♪作戦会議~
女 早耶香ちゃん、学校は?
は あぁ…ちょっと町を救わないかんくて…?
女 えっ?
三 防災無線?
て ああ。町中にスピーカーがあるやろ
(「重畳 周波数」と検索)
三 はっ、そっか。使える。凄いじゃんてっしー!
て うぅ、おぉお前あんまりくっつくなや!
三 なに?照れてんの?ほらほら!
て ちょっ、やめろって!嫁入り前の娘が!
三 え?あっははは!あんた、良い奴だな!
さ 買ってきたよー、はいお釣り
て わりぃ
三 ごめんねさやちん
さ いいんやけどさぁ
て しょっぱいギャラやな
三 ぅるっさいなぁ
さ で?そっちはどうなん?避難計画とやらできたん?
三て にっひっひっひっひっ
さ えぇ…
さ ばっ、ば、爆弾?!
て あぁ、含水爆薬っちゅう土木用のがうちの資材置き場にあるで
さ 電波ジャック?!!
て こんな田舎の防災無線は起動用の周波数を使やあ簡単に乗っ取れるでな
三 だから、学校の放送室から町中に避難指示を流せる。この辺りは被害範囲の外だから、避難場所もここの校庭にすればいい
さ か、完璧犯罪やぁ…
三 放送はさやちん担当ね
さ なんでよ?!
て お前放送部やし、俺が爆薬担当で
三 私は町長に会いに行く
さ えぇっ?
て 最後は役場に出て来てもらわんと、町民全ては流石に動かせん
三 娘の私からちゃんと話せばきっと説得できる
て 完璧な作戦や
さ はぁ、まぁ別になんでもいいんやけど、どうせもしもの妄想やろ?
三 えっ、いやぁ…
て そうとも限らんさ!糸守湖がどうやってできたか知っとるか。隕石湖や!1000年前、少なくとも1度はこの場所に隕石が落ちたんや!
三 はっ!そうだ、だから!
て ん?
三 そうだよてっしー!
三て おお!
さ えぇぇ…
三て やろうぜ!俺たちで!
~♪作戦会議
俊 何を言ってるんだ、お前は
三 だから、夜までに町全体を避難させないと、みんなが!
俊 少し黙れ!
三 はっ!
俊 あぁ…彗星が2つに割れて町に落ちる?500人以上が死ぬだと?よくもそんな戯れ言を俺の前で…
三 っ…
俊 本気で言ってるなら、お前は病気だ
三 はっ
俊 妄言は宮水の血筋か…車を出してやるから、市内の病院で医者に見てもらえ。その後ならもう一度話を聞いてやる
三 っ…ばっ…ばかにしやがって!!
♪町長説得~
三 ……はっ
俊 っ…!は…三葉?いや、お前は…誰だ…?
三 はっ…
(秋祭りの準備作業)
男 おーいこっち手伝ってくれ!
男 もっと右、もうちょい右
男 おい、そこおさえて。おおそこや
男 そこの資材、あっちに運んどいてくれ!
男 そっちの山王やなくて、裏の…
四 じゃ、後でお祭りでな!ばいばーい!
男 神社の下で待ち合わせな、遅れんなよ
女 ばいばーい
男 またな
女 あとでな
三 はっ、行っちゃだめだ!
男女 え… (きゃっ!)
三 町から逃げて!
男 え?
三 友達にも伝えて!
男 なんやあんた!
三 は…
四 おねーちゃーん!
男 なんなんやさ…
女 な、いこ?
四 ちょっと何しとんの?!
三 …三葉なら、三葉なら説得出来たのか?俺じゃだめなのか!
四 えっ?
三 四葉!夕方までにおばあちゃんと一緒に、町から出て
四 えぇ?!
三 ここにいちゃ死んじゃうんだよ!
四 ちょっと何言っとんの?!昨日は急に東京に行ってまうし、なんかお姉ちゃん変やよ?
三 え?…東京…
さ おーい!三葉ー!
て 親父さんとの話どうやった?
三 …
て ん?…おい、三葉?
さ あぁ…
て お姉ちゃんどうした?
四 さぁ…
三 っ?!
(チリン)
四 ん?
(チリンチリン、チリン、チリリン)
三 …そこに、いるのか?
て あぁ?
さ あっち、なんかあるの?
三 てっしー、自転車貸して!
て え、おお、え、ちょっと!
さ え、ちょ
て おい三葉!
さ あぁ…
て 作戦は!
三 計画準備、しといてくれ!頼む!
瀧 ん、んん…あぁ!私、瀧くんになっとる!ん、どうして瀧くんがここに。んん
瀧 ああ…!はっ、町が…ない…!…はぁ
三 はぁぁ…はぁ…
(ギーーン!!)
~♪町長説得
瀧 私…あの時…はぁぁ…死んだの…?
三 はぁ、はぁ、はぁ、はぁ…
(三 瀧くん…瀧くん!覚えて、ない…?)
♪三葉のテーマ~
(三 私、ちょっと東京行ってくる
四 えっ?!今から?なんで?!
三 あぁ…デート
四 えっ?お姉ちゃん、東京に彼氏おったの?
三 私のデートやなくて、うーん、夜には帰るから)
(三 (急に訪ねたら、迷惑かな、驚くかな、瀧くんは嫌がるかな…)
三 わぁ…
(おかけになった電話は電波の届かない場所にいらっしゃるか…)
三 (会えっこない…でも、もし会えたら…どうしよう、やっぱり迷惑かな、気まずいかな、それとももしかしたら…少し、喜ぶかな…)
(おかけになった電話は電波の届かない場所にいらっしゃるか…)
三 (会えっこ…ない…ふぅ…でも、確かなことことが1つだけある。私たちは、会えば絶対、すぐにわかる!私に入ってたのは、君なんだって、君に入ってたのは、私なんだって)
三 あ、ごめんなさい
(危ないですから黄色い線までお下がりください…)
三 あぁ…あっ!(電車に乗る瀧に気づく)...はっ…すいません……あ、はぁ、はぁ……(瀧の前に立つ))
三 はぁ…はぁうわぁ!ああ!(転んで自転車が壊れる)…あぁ、んん!はぁ、はぁ、はぁ…
三 (3年前のあの時、まだ、俺がお前を知る前!)
((次は四ツ谷、四ツ谷、お出口は右側です)
三 瀧くん、瀧くん、瀧くん
瀧 えっ?
三 あの、私!あぁ、覚えて、ない?
瀧 あ、誰?お前
三 はっ、はぁぁ…はあ…すみません…
(ガタン!)
三 あ!
三 (瀧くんなのに…)
瀧 (変な女…)
(四ツ谷、四ツ谷、ご乗車…)
瀧 あっ
三 はぁ
瀧 っ…あのさ!
三 え?は…
瀧 あんたの名前!
三 三葉!
瀧 はっ
三 名前は、三葉!)
三 はぁ、はぁ、はぁ、はぁ…
三 (3年前、お前はあの時…俺に…会いに来たんだ!)
~♪三葉のテーマ
瀧 はっ!…瀧くん…?あぁ……
三 三葉ー!
瀧 あっ!…瀧くん?!
三 はっ!…はぁ、はぁ、はぁ…
三 三葉ー!いるんだろ?!俺の体の中に!
♪見えないふたり~
瀧 あぁ…瀧くん!瀧くん!どこ?!
三 三葉だ…声は聞こえるのに、はぁ
瀧 っ…瀧くん、ねぇ、どこにいるの?!瀧くん!!
三 はぁ、はぁ、はぁ…
瀧 はぁ、はぁ、はぁ…
(チリン)
三 あっ!
瀧 あっ!
三 は…
瀧 あぁ…
瀧 瀧くん?そこに…
三 いるのか?…っ…
瀧 はぁ…
瀧 あっ
三 はっ…あぁ…
~♪見えないふたり
(かたわれ時)
三 はっ…
瀧 三葉 かたわれ時だ…
三 はっ!はぁ…
瀧 あっ……ふふ……三葉
♪かたわれ時~
三 瀧くん…瀧くん、瀧くんがいる!はぁぁ…はぁ、瀧くん!
瀧 お前に、会いに来たんだ。大変だったよ…お前、すげぇ遠くにいるから
三 あ、でも、どうやって…?私、あの時…
瀧 三葉の口噛み酒を飲んだんだ
三 え?あ、あぁ…あれを?飲んだ?!
瀧 え?
三 ばか!変態!!
瀧 えっ、えぇ?!
三 そうだ、それにあんた私の胸触ったやろ!
瀧 うぉぉ、ど、どうしてそれを!
三 四葉が見とったんやからね
瀧 あぁごめん!すまん!つい、1回だけだって
三 1回だけ…?うーん…んー!何回でも同じや!あほ!
瀧 あぁ、すまん…
三 あ…これ…
瀧 あー、お前さぁ、知り合う前に会いに来るなよ。分かるわけねえだろ…ほら、3年俺が持ってた
三 はっ
瀧 今度は三葉が持ってて
三 …うん
三 ふふ、どうかな?
瀧 あぁぁ…うぅ悪くないな
三 あー!思ってないでしょ!
瀧いや、あははは、すまん
三 ほんと、この男は、ふん…ぷっ、ふっふふ、ふふふ…
瀧 あは、あっはははは、はははは…
瀧 三葉、まだやることがある。聞いて
三 はっ…来た
瀧 大丈夫、まだきっと間に合う
三 うん、やってみる…あ、かたわれ時が、もう…
瀧 終わる……ふ、なあ三葉
三 ん?
瀧 目が覚めても忘れないようにさ
三 えっ?
瀧 名前書いとこうぜ。ほら
三 は…うん!
(三葉が消える)
~♪かたわれ時
瀧 …え、三葉…?おい、三葉……
瀧 言おうと思ったんだ…お前が世界のどこにいても、俺が必ずもう一度会いに行くって。君の名前は三葉。大丈夫、覚えてる、三葉、三葉、三葉、名前は三葉。君の名前は!…っ!っ…はぁぁ…お前は…誰だ…?
♪スパークル~
瀧 俺は、どうしてここに来た…あいつに、あいつに会うために来た!助けるために来た、生きていて欲しかった!誰だ、誰?誰に会いにきた?!大事な人、忘れたくない人、忘れちゃだめな人!誰だ、誰だ…誰だ、誰だ!…名前は!!
三 はぁ、はぁ、はぁ、はぁ…
三 (瀧くん、瀧くん、瀧くん、大丈夫、覚えてる。絶対に忘れない!瀧くん、瀧くん、君の名前は、瀧くん!!)
三 はぁ、はぁ、はぁ…あっ、てっしー!
て 三葉!お前今までどこに?
三 「自転車壊しちゃってごめん」やって
て は?誰が?
三 私が!
て うーん、んー、後で全部説明してもらうでな!
て 落ちるんか、あれが、まじで!
三 落ちる。この目で見たの
て あぁ?見たってか?…じゃあやるしかねぇなぁ!
て これで2人仲良く犯罪者や!
さ えーっ?!私、ほんとにやるん?!
て 町が停電したら、すぐに非常用電源に切り替わるはずやから、したら放送機器も使えるで!
三 さやちんお願い、できるだけ放送を繰り返して!
て はっはっはっー!やったれやー!!
さ はぁぁ…もうやけや!ひっ、ひぃっ!
三 そろそろかな?
て んなもん適当や!
(爆発)
三て ああ…
三 はぁぁ…!
て ハッ…!
女 え、今の何?
男 何の音?
女 なぁ、あそこ!
(停電)
男 あっ
男 何や今の
女 何?
男 あっ
俊 ん?
さ はっ!
男 なぁ、見て!
男 わぁー!
女 ん?
(サイレン)
さ こちらは糸守町役場です。変電所で爆発事故が発生しました
男 事故やって!
男 爆発?!
さ さらなる爆発と山火事の危険性があります。次の地域の人は今すぐ糸守高校まで避難してください。門入地区。坂上地区…
女 避難しろやって
男 おい、行くぞ
俊 ここからの放送じゃないだと?誰が喋ってるんだ!
女 高校まで行くの?
さ 宮守地区。親沢地区…
て 行くぞ三葉!
三 うん
て あーっとっと!
三 あっ、てっしー!
て ええい!
三て はぁ、はぁ、はぁ…
犬 ワン!ワンワン!ワン!くぅん…
て みんな逃げろ!山火事になっとる!
三 山火事です、逃げてください!
て 逃げろ!火事や!逃げろ!
三 皆さん危険です!逃げてください!
て こりゃあとても間に合わん、三葉!
三 はっ!
て あっ…どした…?
三 あの人の…あの人の名前が思い出せんの!!
て っ…んん!知るかアホ!
三 はっ
て これはお前が始めたことや!消防を出してもらわんととても避難させきれん!行って、親父さんを説得してこい!
三 うん!…ん!
男 困ったもんや
男女 ん?
三 はぁ、はぁ…
(爆発)
て あっ!
女 きゃっ、また?
男 おぉぉ!
て っ!みんな逃げろ!高校まで行くんや!
女 ぁあら三葉ちゃん
女 ん?
三 はぁ、はぁ、はぁ…
防災課部長 こんな田舎でテロなわけあらすけ!中電は何と言っとんや?
防災課係長 まだ、調査中やと…
俊 今のところ山火事はないんだな、確かか?よし!この放送を早く止めろ!
男 うぉ…
俊 発信元はまだわからんのか?!
男 町長!今、高山のセンサ局から
俊 っ!高校だと…?
さ 繰り返します。次の地域の人は今すぐ糸守高校まではっ!!
遠藤 お前何しとるんや?!すぐに切りなさい!
三 あっ!さやちん!
て やっべぇ…っ…
さ ひっ、ひっく、ひっく
遠藤 なんちゅうことしてくれたんや、名取
さ ひっ、はぃ…ひっく
(防災無線)
さ はっ!
女 ん…
町 こちらは、糸守町役場です
町 ただ今事故状況を確認しています
俊 すぅーー、あぁ…
町 町民の
町 皆様は慌てずその場で待機
男 お
女 ん?
町 して指示をお待ちください
女 家にいろって
男 どうなっとるんや
男 結局待機かぁ
町 こちらは糸守町役場です
犬 ワンワン!ワン!ワンワン!…
て いやちょっとみんな逃げた方がええんやって!高校が避難所になっとるで!
て父 克彦!
て え…?
て父 お前、何やっとるんや!!
て すまん三葉…ここまでや…!…あっ…まじで!割れとる!
女 見てあれ!
男 おーー
リポーター ご覧下さい!彗星が2つに分裂し、無数の流星が発生しています!
男 これは事前の予報にはありませんでしたね
男 しかし、非常に幻想的な眺めです!
キャスター 彗星の核が割れた、ということでしょうか?
男 潮汐力は影響を及ぼさないはずですし、地球の重力による影響…
解説員 ロッシュ限界は超えていないはずですから考えられるのは彗星核内部で何らかの異変が…
男 過去の事例では、1994年のシューメーカー・レヴィ彗星が木星に落下。その際には少なくとも21個の破片に分裂…
瀧 うわぁ…俺、ちょっと見てくる
女 危険性は無いんでしょうか?
男 おそらく地表に到達する前に融解してしまうと思われますが、仮にこれが隕石となった場合でも確率的には人間の居住地域に…
男 現時点での破片の軌道予測は難しいですね…
女 これほど壮麗な天体現象を目撃していること。また…
男 このような現象をまさに肉眼で目撃できていることは、この時代に生きる私たちにとっての、大変な幸運と言うべきでしょう
三 (ねぇ、あなたは誰?)
三 はぁ、はぁ、はぁ…
三 (誰、誰?あの人は誰?大事な人、忘れちゃだめな人、忘れたくなかった人!誰?誰?君は誰?君の名前は!)
三 はぁ、はぁ、っあ、はぁはぁ、あ!はぁぁ…割れてる!
(段差でつまづく)
三 あっ!あぁ!うっ!…うっ………
(瀧 目が覚めても忘れないようさ、名前書いとこうぜ)
三 ん……はぁぁ…はぁ…ん…はぁぁ…ん…はぁ、はぁ…これじゃ、名前…わかんないよ……
三 ん!
三 お父さん!!はぁ、はぁ、はぁ
俊 三葉…!
四 お姉ちゃん
俊 お前までまた…っ…!
瀧 それは、まるで夢の景色のように、ただひたすらに、美しい眺めだった…
~♪スパークル
(彗星落下)
瀧 俺、こんな場所で…何やってんだ?
(次は代々木、代々木)
瀧 はっ!…あぁっ
瀧 っ!
(ドアが閉まります。ご注意ください)
瀧 っ…
瀧 (ずっと、何かを探している…いつからか、そんな気持ちに取り憑かれている…)
瀧 御社を志望致しました理由は…
瀧 人が生活している風景が…
瀧 街の風景を自分の手で、東京だっていつ消えてしまうか分からないと思うんです。だから、記憶の中であっても…ん、なんて言うか…人を温め続けてくれるような風景を…
瀧 はぁ…
高 面接、今日で何社目?
瀧 数えてねぇよ
司 ふふふ受かる気がしないな
瀧 お、お前が言うな!
高 スーツが似合わなすぎだからじゃね?
瀧 似たようなもんじゃねぇか!
高 ひっ
高 俺内定2社
司 俺8社
瀧 んんん…!
(通知)
瀧 ん?
瀧 (探しているのが「誰か」なのか、「どこか」なのか、それともただ単に就職先なのか…自分でも、よく分からない)
奥 おっ!就活中だねー
瀧 大分手こずってますけど…
奥 うーん…スーツが似合ってないからじゃない?
瀧 え、え、そんなに似合ってないすか?
奥 うふふふふ
♪デート2~
瀧 今日は急にどうしたんすか?
奥 仕事でこっちまで来たから、久しぶりに瀧くんの顔を見ておこうと思って
奥 私たち、いつか糸守まで行ったことあったよね?あれって瀧くんがまだ高校生だったから…
瀧 …5年前
奥 そんなに。なんだか、色々忘れちゃったな
瀧 っ…
瀧 (あの頃のことは、俺ももうあまりよく覚えていない。喧嘩でもしたのか、司と先輩とは別々に東京に戻ったこと、どこかの山で1人で夜を明かしたこと、記憶はその程度だ。ただ、あの彗星をめぐって起きた出来事に、一時期俺は妙に心を惹かれていた。彗星の片割れが1つの町を破壊した大災害。しかし町の住人ほとんどが奇跡的に無事だった。その日、偶然にも町をあげての避難訓練がありほとんどの町民が被害範囲の外にいたというのだ。あまりの偶然と幸運に、様々な噂が囁かれた。そういう記事を随分熱心に、あの頃俺は読んでいた。一体、何がそれほど気になっていたのか自分でも、もう理由はよく分からない。あの町に知り合いがいた訳でもないのに…)
奥 今日はありがとう。ここまででいいよ
奥 君も、いつかちゃんと…幸せになりなさい
瀧 (ずっと何かを、誰かを、探しているような気がする)
さ やっぱりもう1回ブライダルフェア行っときたいなぁ
て どこも似たようなもんやろ
さ 神前式も良いかなーって
て お前チャペルが夢やって言っとったに
さ んー…それからてっしーさあ、
瀧 っ?
さ 式までにヒゲ剃ってよね。私も3キロ痩せるでさ。あーむ、ふふふ
て ケーキ食いながら言うか…
さ 明日から本気出すの
女 ありがとうございました
(チリン)
瀧 あっ!……
三 ……はぁ…
♪なんでもないや(movie edit.)~
瀧 (今はもうない町の風景に…なぜこれほど、心をしめつけられるのだろう…)
三 はっ!
瀧 (ずっと誰かを)
三 (誰かを…探していた!!)
瀧 あっ!…
三 は…
三 はぁ…は…
瀧 っ……っ!あの!
三 はっ!
瀧 俺、君をどこかで!
三 は…はぁ……私も!ふふ!
瀧 は、っ…
瀧 三 君の、名前は…
~♪なんでもないや(movie edit.)
『君の名は。』
♪なんでもないや(movie ver.)~
~♪なんでもないや(movie ver.)
最終更新:2024年09月14日 11:42