唯アフター02
~澪side~
昨日、転んで頭ぶつけたけど記憶ってのは簡単に治らなかった。
こんなことで平沢さんに迷惑をかけてるのか。酷いことしてるな。
それなら律の方がまだ接しやすい。記憶が戻ったら平沢さんのところに戻れば良いよね。
律も記憶が戻る間って言ってたし、平沢さんの顔も良くなかったし。
こんなことで平沢さんに迷惑をかけてるのか。酷いことしてるな。
それなら律の方がまだ接しやすい。記憶が戻ったら平沢さんのところに戻れば良いよね。
律も記憶が戻る間って言ってたし、平沢さんの顔も良くなかったし。
澪「そうと決まれば律にメールメール♪」カチカチ
結局私はさわ子先生が持ってきた平沢さんからのテープは聴かなかった。
罪悪感や罪作りな私と頭を過るが、私は1人じゃない。
一生に一度しかない人生を楽しみたいんだ。律だって私のたった1人の大事な大事な幼なじみだし……
テープは梓を通じて返しておこう。憂ちゃんの友達だからな。
罪悪感や罪作りな私と頭を過るが、私は1人じゃない。
一生に一度しかない人生を楽しみたいんだ。律だって私のたった1人の大事な大事な幼なじみだし……
テープは梓を通じて返しておこう。憂ちゃんの友達だからな。
午後4時半頃……律にムギ、梓の3人が迎えに来てくれた。
私は嬉しかった。その時に律と2人で交際宣言もした。あれ?平沢さんは?
私は嬉しかった。その時に律と2人で交際宣言もした。あれ?平沢さんは?
律「平沢さん?ああ唯の事か」
紬「唯ちゃんは今日はお休みよ」
澪「………!…そっか」
律「私より唯の方が良いのかよ」グス
澪「そっそそそんなわけないだろバカ律///」ゴチン
律「あだっ!」
梓「…………………」
律「梓、どうした?澪の退院を祝ってやれよ」サスサス
梓「…………ですよ」
律「えっ?」
梓「おかしいですよ!こんなの!」
紬「梓ちゃん………」
梓「なんで、澪先輩はそんなに簡単に唯先輩を捨てる事が出来るんですか?」
梓が珍しく、練習のやらない私達の怒り方とは別の怒り方をした。それは普段の猫のような梓ではなかった。
律「だから、澪の記憶が治る間だけ……」
梓「だからってこの1ヶ月の唯先輩の気持ちを一蹴するんですか!?」
律「じゃあなんで唯は来てないんだよ!?」
梓「うっ……それは…そう…澪先輩の面倒を看てた疲労です」
律「でも今日来ないのは可笑しいだろ?」
梓「…………」
梓が黙った。律に軍配が上がったようだ。
澪「梓」
梓「何ですか?」
澪「昨日さわ子先生から預かったんだが、これを平沢さんに返しといてくれないか?」スッ
みんなが驚愕の顔を作った。このテープにそんな価値があるのか?
梓「澪…先輩!!あなたって人は!!」ガシッ
あんなに怒った梓は見たことない。そんなにこのテープは大事なのか?
それにしてもいきなり胸倉を掴んでくるなんて…昨日の律と言いもっと病人を大事にするだろ。
それにしてもいきなり胸倉を掴んでくるなんて…昨日の律と言いもっと病人を大事にするだろ。
律紬「梓(ちゃん)!!!」
梓「っ……………………すみません。失礼します」ダッ
紬「梓ちゃん!」
律「ほっとけよムギ」
澪「私まずいことしちゃった?」
紬「みおちゃんは悪くない………でも…」
律「梓もその内わかってくれるよ」
紬「……………」
ムギまで黙り込んでしまった。なんでムギも黙るんだ。私と律が付き合う事に問題があるの?
律「祝いにどこかに行ってパッとやろうぜ!」
澪「私のためにか?」
律「当たり前だろ」
紬「ごめんなさい。私、この後に用事が………」
律「そっか」
紬「本当にごめんなさい。それじゃあね。りっちゃんに澪ちゃん」
紬「あ…澪ちゃん」
澪「何?」
紬「そのテープは澪ちゃんが持っててね」ダッ
ムギも帰った。普通の人からすれば邪魔者がいなくなったって感じとはこの事か……
律「……………2人だけになっちゃったな///」
澪「……そうだな」
律「…………ウチ…来ないか?」
律の提案に私は乗ることにした。
~憂side~
誤魔化しは初回くらいしか簡単ではない。最悪またお姉ちゃんに変装すればいい。
ただ、さわ子先生にバレてしまう。そうだ!なら先に極秘で教えておこう!ついでに和さんにも。
ごめんねお姉ちゃん。約束守れなくて…
私はさわ子先生にお姉ちゃんの休みの内容を伝えた。そしてばらさないで下さいと何度も頭を下げた。
泣き落としは私には似合わないし、さわ子先生にはそんなの通用しないと思うからだ。
少なくとも軽音部のみんなにはとさわ子先生は主張してたが、最終的には適当な休みにしてくれることにした。
次に和さんにお姉ちゃんの休みを伝えた。和さんは驚かなかった。
そりゃそうだろうね。秘密の代わりに放課後、表向きのある約束をした。
おそらく、澪さんの退院祝いで病院辺りに居るだろう。だから、お姉ちゃんに連絡して見舞いに行くの遅くなると行った。
だから私は和さんの生徒会の仕事が終わるのを待つことにした。
私と和さんが病院に行くのを何としても見られたくない。いや、見られるのを怖れているんだと思う。
ただ、さわ子先生にバレてしまう。そうだ!なら先に極秘で教えておこう!ついでに和さんにも。
ごめんねお姉ちゃん。約束守れなくて…
私はさわ子先生にお姉ちゃんの休みの内容を伝えた。そしてばらさないで下さいと何度も頭を下げた。
泣き落としは私には似合わないし、さわ子先生にはそんなの通用しないと思うからだ。
少なくとも軽音部のみんなにはとさわ子先生は主張してたが、最終的には適当な休みにしてくれることにした。
次に和さんにお姉ちゃんの休みを伝えた。和さんは驚かなかった。
そりゃそうだろうね。秘密の代わりに放課後、表向きのある約束をした。
おそらく、澪さんの退院祝いで病院辺りに居るだろう。だから、お姉ちゃんに連絡して見舞いに行くの遅くなると行った。
だから私は和さんの生徒会の仕事が終わるのを待つことにした。
私と和さんが病院に行くのを何としても見られたくない。いや、見られるのを怖れているんだと思う。
特に勘の良い梓ちゃんと紬さんには……
~紬side~
梓ちゃんに釣られて私も逃げることにした。
今の2人が付き合っても正直、嬉しくない。略奪愛なんて滅多に見られないものかも知れない。
だけど、りっちゃんのやっているのは大会前に相手に怪我させて自分は不戦勝しました。
そんな感じでいつもの私の目には2人の百合らしい姿は映らなかった。
帰宅するついでに唯ちゃんの家に寄ってみることにした。家なら憂ちゃんがいて会わせてくれると考えたからだ。
今の2人が付き合っても正直、嬉しくない。略奪愛なんて滅多に見られないものかも知れない。
だけど、りっちゃんのやっているのは大会前に相手に怪我させて自分は不戦勝しました。
そんな感じでいつもの私の目には2人の百合らしい姿は映らなかった。
帰宅するついでに唯ちゃんの家に寄ってみることにした。家なら憂ちゃんがいて会わせてくれると考えたからだ。
………唯ちゃんの家の前には梓ちゃんがいた。私と同じ考えなんだろうか。
紬「梓ちゃん」
梓「……ムギ先輩」
紬「憂ちゃん待ち?」
梓「はい。でも家は鍵かかってて……」
紬「きっとお買い物じゃないかしら?」
梓「それならいいんですが……」
紬「憂ちゃんに電話かけてみたら?」
梓「良い案頂きます」カチカチカチ
梓「………………」
ガチャ
憂『もしもし…』
梓「あっ、憂?今どこにいるの?」
憂『学校だよ。和さんのお手伝いをしているんだよ』
梓「唯先輩は?」
憂『さっき電話したけど、出ないから寝てるよ。お姉ちゃん一回寝ちゃうとなかなか起きないんだよね。
だから申し訳ないんだけどお姉ちゃんのお見舞いなら今日は遠慮してよ』
だから申し訳ないんだけどお姉ちゃんのお見舞いなら今日は遠慮してよ』
梓「…………わかった。またね憂」カチ
紬「どうだった?」
梓「憂は学校で唯先輩は寝ているそうです。それで今日のお見舞いは遠慮して欲しいと……」
紬「……そう」
流石憂ちゃん。誤魔化し方が完璧だった。でも何かおかしい。
おかしいのはそれが憂ちゃんが嘘を付いて何かを隠していること。
でも怪しい点なんか一つもなかった。
おかしいのはそれが憂ちゃんが嘘を付いて何かを隠していること。
でも怪しい点なんか一つもなかった。
梓「………おかしいですね」
紬「何がおかしいの?」
梓「憂なら唯先輩が寝てようが寝てなかろうがこの時間には普通学校にいません。
憂は買い物か家にいるはずなんです」
憂は買い物か家にいるはずなんです」
紬「和ちゃんのお手伝いなんじゃないの?」
梓「そこなんですよ。和先輩は何故憂を生徒会のお手伝いを頼んだのでしょうか?」
紬「それは和ちゃんは生徒会会長だし猫の手も借りたかったのかしら」
梓「………………そうですね。どうでもいい疑問でした。
でも憂ならとにかく最優先事項は唯先輩なのになんで今日に限って………」
でも憂ならとにかく最優先事項は唯先輩なのになんで今日に限って………」
紬「急用なんでしょ」
何故、和ちゃんを庇ってる私がいるのか判らなかったが……
紬「ねぇ梓ちゃん」
梓「何でしょう?」
紬「生徒会室に行ってみない?」
梓「生徒会室……ですか?」
紬「憂ちゃんは必死に唯ちゃんを匿ってると思うのよ。理由はわからないけど」
梓「名案です。行ってみましょう」
再びに学校に戻っても残っている生徒はこんな下校時刻過ぎなら極まれね。
梓「ここですね」
紬「そうね」
何だか若干緊張してきちゃった♪
コンコン
梓「失礼しまーす」ガラッ
紬「失礼しまーす」ヒョコッ
和「あら?珍しいお客さんね」
憂「澪さんの退院祝いに行ったんじゃなかったの?」
2人は生徒会室にいた。さてここからどうやって憂ちゃんを崩しましょう……
紬「うーん。なんか澪ちゃん疲れてるって言うからりっちゃんと帰ったのよ。ね、梓ちゃん」
梓「そっ…そうです。澪先輩よっぽど疲れていたみたいで……」
和「ふーん。で暇だからここに来たと」
梓「憂が珍しく生徒会の仕事を手伝ってるって聞いたんで………」
憂「お姉ちゃん、もうそろそろ起きるから早く仕事を済ませないと……
良かったら梓ちゃんも紬さんも手伝って下さい。結構大変なんですよ」
良かったら梓ちゃんも紬さんも手伝って下さい。結構大変なんですよ」
紬「唯ちゃんの事心配なら私達がやっとくから憂ちゃんはお家帰ったら?」
憂「それいいですね」
和「だめよ。いくら休みとは言え唯を甘やかしちゃだめよ」
この2人のコンビネーションが異常なほどとれてる。打ち合わせどうりなのでしょうか?
紬「なら4人でパッパと終わらせましょう♪」
~憂side~
梓ちゃんか紬さんの2人のどちらかが来るのは考えてたけど、2人で来るとは。
私の予想を越えていた。まあ、1人だろうが2人だろうが誤魔化せることは簡単だ。
私の予想を越えていた。まあ、1人だろうが2人だろうが誤魔化せることは簡単だ。
和「ふぅ~。やっと終わったわ。3人ともご苦労様」
憂「それじゃあ私はお姉ちゃんのお夕飯を作るのでお先失礼します」ペコリ
和「わざわざありがとね、憂」
憂「…………」ペコリ
ガラッ
憂「………………」ダッ
元々、和さんにはちょっとお姉ちゃんの事で付き合って下さいと言った。
だからもし、2人が付いてきてもお誕生日のプレゼントととかの相談と言えばわからない。
家に帰る前に先にお姉ちゃんの所に会いに行こう。
私は梓ちゃんと紬さんに注意しながら病院に向かった。
一応バレないようにポニーテールは辞めてピアスを付けてお姉ちゃんの真似をしておこう。
これだと私がいなくなりお姉ちゃんが2人になる。もし軽音部の誰かに遭遇しても誤魔化せる自信があるからだ。
コソコソ行動する私の姿は、端から見ると怪しい人丸出しだが……そんな事に気にしてられなかった。
だからもし、2人が付いてきてもお誕生日のプレゼントととかの相談と言えばわからない。
家に帰る前に先にお姉ちゃんの所に会いに行こう。
私は梓ちゃんと紬さんに注意しながら病院に向かった。
一応バレないようにポニーテールは辞めてピアスを付けてお姉ちゃんの真似をしておこう。
これだと私がいなくなりお姉ちゃんが2人になる。もし軽音部の誰かに遭遇しても誤魔化せる自信があるからだ。
コソコソ行動する私の姿は、端から見ると怪しい人丸出しだが……そんな事に気にしてられなかった。
~唯side~
相室の割には私以外誰もいない。広い部屋には私だけ。
誰も知らないわからない……あれ続き何だっけ?せっかく歌作ったのに忘れちゃったよ。
誰も知らないわからない……あれ続き何だっけ?せっかく歌作ったのに忘れちゃったよ。
唯「あっ、皆で澪ちゃんのお祝いやってる。私も行きたかったなぁ。
……………ん?うわっ!澪ちゃんと目が会ったかも!?」
……………ん?うわっ!澪ちゃんと目が会ったかも!?」
すぐに私は窓際から逃げるように反対側に寝転んだ。後でもう一回見てみると流石に4人はどこかに行っていた。
唯「はぁ…せっかく澪ちゃんが退院したのに…………」
憂が来るまで何してよう?
唯「…………………」
唯「ZZZ」
~和side~
憂のこういった予想は昔からよく当たる。
現に今、もし私が憂から秘密を聞かされていたならボロを出しているかも知れない。
現に今、もし私が憂から秘密を聞かされていたならボロを出しているかも知れない。
紬「……で、何で憂ちゃんはお仕事手伝ってたの?」
和「憂のお願いに協力するからよ」
梓「そのお願いってのは…?」
和「わからないわ」
紬「知らないの?」
和「聞かされてないんだもん」
紬と梓がひそひそ話をしている。なんか、隠してるとか耳に入って来るけど………
紬「この後の予定は?」
和「帰るだけよ」
梓「他に何かありませんの?」
和「そうね……特にないわ。強いて言うなれば勉強かしら?」
梓「本当に憂から聞かされてませんか?」
梓はまだ食い下がってる。ちょっと相手するの疲れてきたわね。
和「そうね……これ解けたら教えて上げるわ」ペラッ
紬「これは?」
和「暗号よ。最近ちょっとハマっててね……」
梓「これ……何でしょう?」
紬「うーん……1.8.16.15.53.73.13」
和「はい、時間切れ~」パッ
そう簡単に解けるものではない。私だってある物を用いてやっと解いたのだから……
憂もなかなかプライバシーガードには鋭い子ね。
憂もなかなかプライバシーガードには鋭い子ね。
紬「和ちゃんはわかったの?」
和「いくら憂の頭の良さでも私には勝てないわよ」
梓「ヒントください!」
和「ヒント?ヒント……ぞくしゅうね」
紬「ぞくしゅう?」
和「それじゃあ、和はこっちだから」
ぞくしゅうがヒントとは私も随分酷い人間だ。でもムギなら判りそうで怖い。読み方を換えれば良かったわね。
紬「バイバイ」
梓「また明日です」ペコリ
尾行されるかもしれない。ここは一旦大人しく帰ることにした。憂にも連絡を入れる。
私のはいたってシンプルに暗号を送った。憂はわかってくれるのか。送って携帯を閉じる。
私のはいたってシンプルに暗号を送った。憂はわかってくれるのか。送って携帯を閉じる。
和「………はぁ」
和「あっメール来た!」ブルブル
和「了解ですかぁ……さすが憂ね」
パタンと再び携帯電話を閉じる。
唯の元気になることを祈りつつ、私は参考書を片手に家に帰ることにした。
唯の元気になることを祈りつつ、私は参考書を片手に家に帰ることにした。
和「……イタッ」ゴチン
今日学んだことは余所見は危険ね。まさに『犬も歩けば棒に当たる』
それにしても電信柱は痛いわねほんと……
それにしても電信柱は痛いわねほんと……
~律side~
澪「う~ん……やっぱり家は良いなぁ」
律「そうだろうな。枕とか合わないだろ?」
澪「うん、ベッドも寝心地あんまり良くなかったしなぁ」
律「そして私が居ないから寂しかったと……」ニヤニヤ
澪「………………うん……」
やっぱり澪の頭の中には唯が生きている。頭の中で葛藤しているのだろう。
せっかく澪と付き合えたが、こんな様子の澪じゃ嬉しくない。
せっかく澪と付き合えたが、こんな様子の澪じゃ嬉しくない。
律「なあ……澪」
澪「なんだ?」
律「私と唯……どっちが好き?」
澪「なんだ?まだ心配してたのか?律らしくないな」
律「冗談は良いから答えてくれ」
澪「そりゃ律に決まってるだろ」
律「だったら何でさっきから黙ってるんだよ!?」
澪「…………」
やべっ……目から液体が出てきた。でもはっきりさせたい。澪の本心を聞くために……
澪「…………そりゃ、退院したばっかりだから疲れてるんだ」
律「なぁ、これ」
澪「……写真?…まだ飾ってたんだ。しかも、確か唯が入りたての頃の写真だろ」
律「………………」ポロポロ
澪「どうした?……律?」
負けた。唯に負けた。悔しい。でも、これが運命何だろうな……。やっぱ略奪愛って難しいな。
今は本当に早くここから逃げたかった。でも、私の役目はまだある。
今は本当に早くここから逃げたかった。でも、私の役目はまだある。
澪「泣いてるのか?」
律「………うん……グスッ」
澪「どうしたんだよ?」
律「……………澪」
澪「…………何?」
律「…………………戻ってたんだな」グスン
澪「何が?」
律「……………唯の記憶」
澪「そんなわけないだろ」
律「じゃあ、この人の名前は?」
私はまずは梓を指した。
澪「梓だろ。ムスタングのギター使い。練習が好きだしな。律も見習えよ」
律「………じゃあ」
私は私の真似してる唯の写真を見せた。
律「この人」
澪「律?………いや、唯か…………あっ!」
律「…………いつ戻った?」
澪「………………ごめん」
律「いつだよ?」
澪「…………さっき、写真見たら……唯がふと頭に浮かんで、私の恋人の唯。色んな記憶が蘇ってきて……」ポロポロ
律「グスッ………澪」
澪「……何?」
パァンッ!
乾いた音が響いた。幼馴染を引っ叩いたのは初めてかもしれない。でも澪のためだ。
澪「っ…」
律「それを私に言ってどうするんだよ?私じゃなくて他にいるだろ!」ポロポロ
澪「……………ごめん」
律「もう一度聞く。私と唯……どっちが好き?」
澪「…………唯」
律「聞こえない」
澪「唯」
律「はっきり言えよ放課後ティータイムのボーカル!」
澪「律じゃなくて唯だ!」
律「行ってこい!」ビッ
澪「ああ………律」
律「……ん?」
澪「……ありがとう」
律「その言葉はみんなの前で言えよ」
澪「…………そうだな」ダッ
澪が行った後、私もすぐ澪の家を後にした。
律「………あーあ、振られちゃったか」
律「…………私だって澪に負けないスゲー恋人作ってやる!」
律「……」カチカチ
今日初めて携帯を取り出し電話をかける。相手はすぐに出てくれた。
律「よぉ。ムギ、私振られちゃったよ」
律「だから、これから遊び行っていいか?」
涙腺ってのは緩いな。まるで私達のHTTみたいだ。
律「そうか。ありがとう。これから遊び行かせて…グスッ…貰うわ…梓グスも誘っとけよ。
グス……うん…うん……わかった……お菓子…用意しとけよ…また後で……」ポロポロ
グス……うん…うん……わかった……お菓子…用意しとけよ…また後で……」ポロポロ
~憂side~
病院とは病人しかいないからいつ来ても嫌な気分にしかならない。
でもお姉ちゃんがいるからここに来ている。
そもそもお姉ちゃんが入院してなかったらここに来る必要ないか。
でもお姉ちゃんがいるからここに来ている。
そもそもお姉ちゃんが入院してなかったらここに来る必要ないか。
コンコン
憂「お姉ちゃーん?」
唯「ZZZ」
寝てる。寝顔が可愛い。私も大人になったのかなぁ?
昔はお姉ちゃんで頭いっぱいでどうやったらお姉ちゃんを私のものにしようかで悩んでた。
けど、澪さんというお姉ちゃんの恋人が出来てからすっかりそんな気持ちがなくなってしまった。
不憫かも知れないけど、お姉ちゃんはどんな事があろうと私のお姉ちゃん。
澪さんには譲りたくても譲れないポジションだ。あ…なんか嬉しいかも♪
昔はお姉ちゃんで頭いっぱいでどうやったらお姉ちゃんを私のものにしようかで悩んでた。
けど、澪さんというお姉ちゃんの恋人が出来てからすっかりそんな気持ちがなくなってしまった。
不憫かも知れないけど、お姉ちゃんはどんな事があろうと私のお姉ちゃん。
澪さんには譲りたくても譲れないポジションだ。あ…なんか嬉しいかも♪
コンコン
誰だろう?看護婦さんかな?にしてはまだ早いけど……
憂「!……なんで…どうして……ここが…」
澪「……………唯」
お姉ちゃんの恋人が帰ってきたよ。良かったね。
おねえちゃん♪
~和side~
和「憂から連絡遅いわね」
病院で待つなんて言っといたわりには遅い。
ムギと梓からの追及を逃れるために連絡したのだが、折り返しの連絡が遅い。
まあ、憂は唯よりもしっかりしてるから大丈夫よね。
ムギと梓からの追及を逃れるために連絡したのだが、折り返しの連絡が遅い。
まあ、憂は唯よりもしっかりしてるから大丈夫よね。
和「さて、修学旅行の行き先の見直しでもしないと……」
50%の期待を持ち、私は修学旅行の地図や時間表を見直し始めた。
~紬・律・梓side~
ここの空気は今一番冷めている。南極より冷たいわよ。
紬「ハーブティよ。落ち着けるわよ」カチャカチャ
律「……すまん………ヒッグ」
梓「で……どうしたんですか?」
律「……………振られた」
梓「まあ……自業自得ですね」
ああ、梓ちゃん…りっちゃんの怒りのボルテージをあげちゃ駄目なのに………
律「…………はは…そうだよな……自業自得だよな」
紬「りっちゃん……」
律「梓の言う通り自業自得だよ」
梓「そうです。律先輩にはバチが当たったんですよ」
紬「梓ちゃん…そこまで言わなくても」
流石に可哀想だわ。いくら、澪ちゃんを奪ったとしても………
梓「ムギ先輩、紅茶のおかわりお願いします」
梓「そもそも、恋人同士の2人の中に割ってまでして澪先輩を手に入れたかった。
その時点でもう律先輩は何がやりたいか支離滅裂な気がします。
何で2人が付き合う前にコクらなかったのですか?」
その時点でもう律先輩は何がやりたいか支離滅裂な気がします。
何で2人が付き合う前にコクらなかったのですか?」
梓の奴、ズバズバと私の心を痛め付ける。ならば逆を聞いてみる。
律「梓は……梓はどうなんだよ?」
梓「何がですか?」
とぼけてるのか?核心を付くまでだ……
律「2人が付き合った事に後悔はしてないのかよ!?」
どうせないとかだよ。そして私を責めるんだろ。わかってるよ…それくらい。
梓「後悔しましたよ」
えっ?梓が………
律「何でだよ?」
紬「…………唯ちゃんね」
律「ムギ知ってたのか?」
紬「りっちゃんが周りを見てないだけよ」
知らなかった。梓が……唯の事を……
紬「私だけでなく澪ちゃんも憂ちゃんも知っていたわ」
梓「…………初めは嫌だったんですよ。いきなり変なあだ名付けるわ、抱き付いてくるわで……。
律先輩は余り抱き付かれてないからわからないと思いますけど結構暑いんですよ。夏場はホント不快でしたよ」
律先輩は余り抱き付かれてないからわからないと思いますけど結構暑いんですよ。夏場はホント不快でしたよ」
梓「でも……だんだんその抱き付いてくるのに慣れてくるとそれが温もりに代わったんです。
唯先輩はなんて温かいんだろうって」
唯先輩はなんて温かいんだろうって」
ダメだ。もう泣かないって決めたのに……憂と約束したのに……
梓「でも、突然唯先輩は澪先輩と付き合いだして私に抱き付かず澪先輩に抱き付いてるのを見て気づいたんですよ。
ああ私…唯先輩の事好きだったんだなって思いました」
ああ私…唯先輩の事好きだったんだなって思いました」
律「………………………」
紬「……………」
梓「律先輩はもし、唯先輩と澪先輩が付き合う前に澪先輩に告白する勇気はありましたか?」
梓がここで私に振ってきた。決まっているだろ。
律「出来るわけないだろ」
紬「りっちゃん…」
だって、告白って怖いじゃん……
梓「私も出来ません。理由は律先輩と同じです。………怖い…ですもんね」
紬「…………」
みんな、黙り込んでしまった。私はそれに置いてけぼりだし……私も好きな人…見つけられるかな?
梓「…律先輩」
律「………なんだ?」
梓「どっちが先に神様に勇気を貰ったのでしょう?」
紬「…………」
律「…………わかんね。だってお菓子好きとメルヘンだから……」
たとえ、りっちゃんと梓ちゃんが知らなくても私は知っている。いえ、一応2人が知る前日には知っていた。
紬「………私が教えてあげる」
2人が顔を向ける。それでもどこか、悲しそうで辛そうな……
紬「そうね……2人が付き合う前に」カチカチ
ムギの奴、携帯いじりやがって……メールでもしてんのかな?
ムギ先輩なら……確かに相談に乗ってくれますね……
紬「あったあった……こんなメールが来たのよ」
From 唯ちゃん
Sub 今日もお菓子ありがとね♪
───────────────
Sub 今日もお菓子ありがとね♪
───────────────
今日も練習お疲れ様(^.^)
ムギちゃんの演奏もお菓子も最高だったよぉ♪
ムギちゃんの演奏もお菓子も最高だったよぉ♪
もし、良かったら明日の部活後に話したい事あるから残ってくれないかな?
無理なら別に残らなくて良いからね(((・・;)
無理なら別に残らなくて良いからね(((・・;)
律「これって……」
紬「そう…相談メールよ」
なんだ……もうこの時点で私は脱落だったんだ…
梓「ははは………やっぱり、私じゃ叶いませんでしたね。それでムギ先輩はどうしたんですか?」
涙が出ない。悲しいのに……渇れちゃったのかな?
紬「もちろん残ったわ」
律「その相談内容ってのは?」
紬「貴女達の思ってる通り、恋柄みの相談だった。
普段、おっとりしている唯ちゃんだけどあの時は乙女心で顔真っ赤で可愛かったわ♪」
普段、おっとりしている唯ちゃんだけどあの時は乙女心で顔真っ赤で可愛かったわ♪」
律「」
梓「」
しまった。つい脱線してしまった……
紬「そこで初めて唯ちゃんが澪ちゃんの事が好きって知ったわ。
もちろん、友達としてではなく恋愛感情として……」
もちろん、友達としてではなく恋愛感情として……」
律「………………」
梓「…………………」
やっぱり、静かになっちゃうか……でも自分が乗り出した船だし…
紬「それから、今度は澪ちゃんから……」カチカチ
From澪ちゃん
Sua 今日もお疲れ
───────────────
Sua 今日もお疲れ
───────────────
今日も練習お疲れ。ムギは相変わらずミスもなくて上手だったな。律と唯も見習って欲しいよ……
明日の放課後にちょっと相談事があるから乗ってくれないか?
律「………グス」ポロポロ
梓「…………」ツーゴシゴシ
紬「澪ちゃんの相談は唯ちゃんから恋愛感情として告白されたって………」
やっぱり、2人には辛い話だったわね。
紬「そう、早くなかったわ。やっぱり付き合うきっかけは賞金かけた鬼ごっこの最後のアクシデントだと思うわ」
律「思うって?」
紬「澪ちゃんのメール以降2人から相談メールもらってないの。だから付き合ってるのかわからなかった」
梓「付き合ってたとしても、澪先輩が軽音部には内緒にしようとか言ったんですね」
紬「おそらく。そしてその隠し事が耐え切れなくなった。
2人が公認になってから部活中でも抱き合ってる仲になるまで……ほんとスムーズだったはず……」
2人が公認になってから部活中でも抱き合ってる仲になるまで……ほんとスムーズだったはず……」
律「……」
梓「……」
紬「さて、不味くなった紅茶は捨て新しいのを淹れましょう」
律「なぁ、ムギ」
りっちゃんが私に何を言うのだろう?自然に聞きたくなった。
紬「なあに?」
私はいつも通りに…いつもの口調で応答する。
律「もし、さっき私が澪に振られなかったらどうしてた?」
紬「………澪ちゃんに気づかせたいわね。記憶が戻らないなら、りっちゃんを……殴ってたでしょうね」
正直に答えるがりっちゃんは黙ったまま聞いていた。
律「そっか………ありがとな」
紬「…………大した事じゃないわ」
梓「…………ムギ先輩」
紬「なあに?」
今度は梓ちゃんか。
梓「ありがとうございました」
紬「いいのよ」
澪ちゃん…頑張って