唯澪@ ウィキ

無題(26-b)

最終更新:

Bot(ページ名リンク)

- view
だれでも歓迎! 編集

無題(26-b)


「第1回チキチキ!恋人にしたい桜高生発表会~!」
「わー」パチパチ
「イェーイ!」ドンドン
「そういえば、学祭でそんなのやってたな…」
「あぁ、ありましたね」

律が唐突に開会宣言し、ムギと唯が盛り上げ、私と梓があきれるいつもの構図
私も投票したけど…えっ、誰にかって?そんなの…決まってるだろ

「もう、先輩たちは勉強しなくていいんですか?特に唯先輩と律先輩!」
「うぅっ…もう、そんな悪いこと言う子はこうだーっ!」ギュッ
「にゃんっ!…ちょっと唯先輩」
「えへへー、あずにゃんはかわいいなぁー」ナデナデ
「もう…やめてくださいよ…」

…とか言いながら、抱きついてる唯の腕をしっかり握ってるぞ梓
唯が楽しそうなのはいいんだけど、やっぱ他のコに抱きついているのを見ると胸が痛むよ…

「こらそこ!部長様を無視してイチャつくなーっ!」
「いつものことだよねーっ、あずにゃん♪」
「わ、私は…やめて欲しいですけどね」

やめて欲しいなら早く離れろよ…まぁ、唯に抱きつかれて離れたくない気持ちはよく分かるけど

「第3位は…おぉっ!…軽音部キーボード担当のお嬢様、琴吹紬だーっ!」

「えっ、私っ?!」
「ムギちゃんすごーいっ!」
「でも、ムギ先輩なら納得できます」

確かにな、優雅なたち振る舞いでいかにもお嬢様って感じだし人気ありそうだな

「そうか…ムギ3位か…」
「りっちゃん、どうかした?」
「へっ?あっ、その…何でもねーよ」

唯に声掛けられて焦ってる…これは律、ムギに入れたな
夏休みに一緒に遊んで以来、律とムギの仲が前より更に良くなった気がする…
もしかして…私と唯に続いて、軽音部からカップル誕生とか?

「じゃ、じゃあムギに入れた人のコメントを読んでいくぜ」

おーおー照れちゃって…照れると耳が赤くなるのは、昔から変わらないな

「さて最初は…
『キーボードを弾く琴吹先輩は優雅で可憐で、素敵過ぎます!』まぁな、それには同意だ
『いつも紬さんの笑顔に癒されてます』これはクラスメイトからかなー…
『紬様の指で私も弾かれたいっ!!』んんっ…これは…
『たまに見せる、ムギの可愛らしい一面がたまらなく…』んっ、こんなもんかな///」

コメント読むのを途中でやめた…だと…

「律、さっきのコメントまだ途中だったぞ」
「へっ?そ、そんなことないぞ!」
「そうだよー、何でやめたの?」
「もしかして、律先輩が書いたんじゃないんですか?」

おっ梓、鋭いぞ…あーあ、律の顔が見る見る赤くなってる…

「そうなの…りっちゃん?」

今度はムギが顔真っ赤にして…お熱いね

「あーそのー…ムギ、こっちこい」
「えっ、あっ…はい…」

律の奴、ムギを呼んで何を?…

「あとで何書いたか言うから」ボソッ
「う、うん///」

二人とも顔真っ赤にして…全く、いちゃつくなら二人っきりのときにしろよな

…わ、私と唯みたいに///…


「じゃ、じゃあ気を取り直して2位発表するぞーっ!」

「なんか、誤魔化された気がします」
「へへ、あずにゃんにはまだ早いよっ」ギュッ
「なっ…子ども扱いしないでください!」ギュッ
「おぉっ!あずにゃんが抱き返してくれたよーっ!」
「わ、私だって…やるときはやるんです!」

おいおい梓め…でも、みんなの前でああするのを私が嫌がるから…唯は梓にするんだよな
改めて自分の恥ずかしがり屋が恨めしい…

「またあいつらは…ほっといて第2位は…んんっ?!な、なんと!…我ら軽音部の顧問、山中さわこ先生だーっ!」

「まぁっ!」
「えーっ、さわちゃんが2位?!」
「これは意外だったな」
「というか、恋人にしたい生徒なのに…先生でもいいんですか」

確かに梓の言う通りだな…

「まぁさわちゃん、生徒に人気あるからじゃねーの?ほら、黙ってれば美人だし」

確かに、私のさわこ先生の第一印象は綺麗な先生だったな…
綺麗だって今も思うけど…それ以外で色々と…

「別に、さわちゃんのコメントは読まなくてもいいよな」
「そうね…」
「さわちゃんいないし、いいんじゃない?」
「本当の先生を知る私たちにとって、どんな賛辞の言葉も嘘っぽく聞こえますしね」

梓ひどいな…まぁ私も、コスプレとか色々させられたから同意だな

「そうか、じゃあ1位を発表するぞーっ!」
「あずにゃんは誰が1位だと思う?」
「分かりません…唯先輩は誰だと思うんですか?」
「私?えーっとね…澪ちゃんかなっ!」

ええぇっ?!唯…私が1位だって

「な、何で私が1位何だよ?」
「だってー、澪ちゃんファンクラブあるしー」

会員が誰なのか、私が一切把握できてないファンクラブか…

「それに私の中で、澪ちゃんが1位なんだもん!」
「ひぁっ…!」

ゆ、唯め…急にそんなことを…びっくりして言葉を失ったぞ

「澪の奴顔真っ赤だぞーっ」
「うっ、うるさい…なら、私の中での1位は唯だから…私は唯が1位だと思うぞっ!」
「えっ!…」

し、しまった…興奮してつい…唯のあんなに驚いた顔、初めて見た

「おいおい、今度は唯が顔真っ赤だ―」
「まぁまぁ、ラブラブね」
「…」

あーっ、恥ずかしい…みんなの前で、ここまで宣言してしまうとは

「ね、ねぇりっちゃん…早く1位発表してよ―っ」
「そ、そうだ!」
「わーってるよ、このバカップルめ」

うっ…さっきあんなこと言った手前、反論できない

「じゃあいくぞーっ、第1位は…な、なんとぉっ!軽音部ボーカル&ギター、平沢唯だーっ!」

「あら、まぁっ!」
「唯先輩がっ…」
「そうか…」
「えぇっ、私が1位?ホントに?!」

ま、まさか私が言ったことが当たるとは…
恋人が人気あるのは嬉しいし誇らしいけど…なんか複雑な気持ちだな

「すごいわー唯ちゃん」
「えぇー、なんか照れるなぁー」
「でも、軽音部がトップ3なんて凄いです!」
「先生がはいってるけどな…」

まぁでも、確かに凄いことだな

「よーっし、じゃあ唯のコメントいくぞーっ!
 『ステージでの唯先輩、カッコよすぎます!』ちなみに、下級生からのコメントはほとんどこれでした」

まぁ、ほとんどの生徒は演奏している唯しか知らないしな

「他は…
 『普段はポワポワしている唯が、演奏しているときはキリッとするのが凄い』これはクラスメイトだな
 『唯さんは世界一の姉で、妹の憂さんは世界一の幸せ者です。お姉ちゃんは…』これはやめとこ」

「ですね」
「だね」
「私は世界一の姉じゃないよぉー、確かに憂は世界一の妹だけど」

その言葉、憂ちゃんに聞かせると昇天しちゃうぞ

「しっかし、いっぱいあるなー…これはっと、
 『部活中はだらけてる姿と、ライブではカッコイイ唯先輩はずるいです』あれー、これはー」

これはあきらかに…

「りっ、りりり律先輩!つ、ちゅぎを読んでくだしゃい!」

慌てすぎて噛みまくりだぞ、梓…

「あずにゃん、私に入れてくれたんだねー!ありがとっ!」ギュッ
「ひゃっ!…ま、まぁ…ライブ中の唯先輩は、素敵ですから…」

ホントにそれだけか?…まぁ、恋人の私がいる手前唯が好きだとは言わないか…
というか、唯が梓から離れてたのにまたひっついた…
しかし、唯がこれだけ人気あったとは…なんか、急に不安になってきた

そんなこんなで下校時間を迎え、私たちは帰宅の途に就く


―――――――――――帰り道

「ちょっと唯先輩、ひっつきすぎです!」
「えへー、明日はお休みだからあずにゃん分大量補給だよっ!」

あんな感じで、唯は梓にベッタリ

――――――――――――可愛らしい唯は、梓みたいに可愛い子が似合うのかな…

でも、唯は可愛いだけじゃないのを、私は知っている―――――――――――


唯が人気あるという事実を知り、また梓にべったりな唯を見ていると不安が大きくなり…急激に唯を求めたくなった

「なぁゆ…」

二人きりになろうと思い、私が唯に声をかけようとした刹那…

「ねぇ!私と澪ちゃん寄るとこあるから、ここでバイバイ」

えっ、唯の方から…驚いて呼びとめる声が止まって、固まってしまった

「そうかー。唯、家の澪をよろしく頼んだぞ」
「私にまっかせなさい!」ドンッ
「ちょっと待て、いつから律の家の子になったんだよ!」
「まぁこの子ったら、そんな口のきき方してっ!」

なんて、いつもの唯と律の悪ふざけ

「そうなの、じゃあまたね」
「お、お疲れ様です」ペコッ
「明日休みだからって、遅くまで遊ぶなよ~」

「じゃ、じゃあな」
「みんなバイバーイ」ブンブン

3人が見えなくなるまで手を振る唯…ホントに無邪気でかわいいなぁ

…でも私が求めていたのは、その唯ではなく…別の唯だった


「澪ちゃん」

3人の姿が見えなくなったところで、唯がこちらを向く
そのとき一瞬見せた唯の顔…その顔こそが、私の求めていた唯だった

そして唯が私の耳元で…

「やっと二人っきりになれたね」ボソッ

やけに落ち着いた、艶のある声で囁く
私にしか聞かせてくれない声、見せてくれない表情…

それから唯の手に引かれた私はずっと俯いたままで、ただ唯に着いて行くだけだった

        |
        |
        ・

「ここなら、二人でゆっくりできるよ」
「あ、あぁ…」

私たちがいるのは、町外れの小さな公園
ここでは、夜な夜なカップルが集う場で有名だ
そしてその中でも、死角となりほとんど人目につかないベンチに隣り合って座る唯と私

「みーおーちゃんっ!」ギュッ
「ひゃっ!」

いつもの調子で私に抱きついてくる唯
何回されても、やっぱドキドキする…

「澪ちゃん、今日は私をあずにゃんのことずっと見てたよねー」
「そ、それは…」

それはしょうがないだろ、無意識のうちに唯を追っかけてるんだから…
たまたま唯の近くに梓がいたわけで

「ふふ、今日はあずにゃんと一緒にいて構ってあげなかったから、寂しかった?」
「ま、まぁな…」

ここは隠さずに正直に言う。梓といえど、やっぱ唯が他のコと一緒に楽しそうにするのを見るのは辛い

「ごめんねー、あずにゃんカワイイからー」
「それは…そうだけど…」
「でもね…」

唯が私の耳元へ顔を近づけ…

「澪ちゃんの方が、もーっと…カワイイよ」ボソッ
「~~~~~~っっ!!!」

『あの声』で、囁く唯
その声を聞いた私は、全身を大きく震わせた

「ねぇ澪ちゃん、顔を見せて」

ベンチに座ってからの私は、ずっと正面を向いたままで横の唯を見れずにいた
唯といれるのは嬉しいけど…『あの顔』を見ると、自分を保てなくなるから…
そんな私に痺れをきらした唯が、こっちへ向くよう促す

「う、うん…」

ドキドキしすぎて心臓が飛び出しそうなくらいになりながら私は、顔を唯の方へ向けると…そこには――――――ー


「やっと、こっち見てくれたね」

私の目のには、優しく微笑む唯の顔しか映ってなかった
その笑顔は、言葉で形容できないほど美しいモノで…私しか見ることのできない、宝物…

「澪ちゃん、顔真っ赤」
「うっ…あっ…あぁ…」

ドキドキで言葉が詰まる
こうなったらもう、唯のペースだ

「澪ちゃん、みんなの前で私が1番って言ってくれたね」
「う、うん…」
「私、すっごく嬉しかったよ」ギュッ
「ぁっ!!…」

さらに力を込めて、唯が抱きしめる
もう私は声にならない声を上げるだけ


そこには、女の子「平沢唯」ではなく…女の「平沢唯」がいた――――――――――


耳で唯の声を、表情で目を、そして抱きついた体から体温を感じることができたが…
まだ一つ、満たされないところが…ある…

「なぁ唯…」
「なぁに?」
「キス…して…」

やっとのことで絞り出した声で、唯に要求を伝える

「うん、分かったよ」

優しく微笑んだ唯は、ゆっくりと唇を私のへ近づか…ず

「んっ…」
「ひゃあんっ!」ゾクゾクッ

私の耳へとキスをし、生温かい息を吹きかけた
予想外のとこにキスをされ、思わず大きな声を出して反応してしまった…

「ゆ、ゆいぃ…そこじゃ、無いよぉ…」
「あは、ごめんね」

一瞬、無邪気な笑顔を見せたがすぐに…

「じゃあ、するね」

落ち着いた声と表情で、口を滑らせていく

今度は唇へ行か…ずに

「んっ…」ヂューッ
「ひゃうぅっ!!!」ブルブルッ

今度は首へキスし、吸いつく唯
その行為に、声を上げ震えることしかできない私

「あはっ、虫さされみたいになっちゃったね」
「はぁ、はぁ…唯…違うよ」
「えっ?!私バカだから、どこにして欲しいか言ってもらわないと分かんないよー」

そんなの、知ってるくせに…でも、言わないと体中に赤い斑点を付けられてしまう…

「く、口に…して」
「そっかー…うん、分かった!」チュッ

確かに唯は私の唇にキスをした…が、それはほんの少し…軽く触れるだけのキスだった

「ち、違うよ…」
「えっ、違うの?!」
「うん…もっと、長く…したい」
「そっかー。うん、分かった…もう、澪ちゃんはエッチだね」
「うぅ…」

そう言われて否定できない自分がいた…でも、私をこうしたのは唯なんだからな

「澪ちゃん…大好きだよ…」
「私もだ…」

ゆっくりと触れ合う、私の唯の唇
絡まる舌と混ざる唾液に漏れる吐息

私と唯の口から発せられる音だけが、薄暗がりの公園に響く


―――――――それから、どれだけの時間キスをしていたかは…分からない

辺りは夜の闇に変わり、誰もいなかった公園には何組かのカップルがいた――――――――――


「はぁ…ふぅ…今日は、一番長いキスだったね」
「はぁ…はぁ、そう…だな」

息も絶え絶えな唯と私

「なぁ、唯…」
「んっ、今度は何?」
「…もっと」

望み通りのキスをし、口も満たした私だったが…
更に唯を求めたくなってしまった

「ふふ、ホントに澪ちゃんはエッチだねぇ」
「だってぇ…」

制服越しではなく、唯の体温を…肌で感じたい…
体中の火照りを、唯の体で冷ましたい

「でも、ここだと風邪ひいちゃうよ?」

秋の夜風は、制服の上からも肌に突き刺さっていた

「う、うん…」

自分が風邪ひいても構わないが、唯をひかせてはいけない…でも、もう自分を抑えきれない
そんな思いが交差して、曖昧な返事しかできない

「ねぇ澪ちゃん…」

再び唯が表情を変える

「な、なんだ…」
「今日は憂、純ちゃん家にお泊まりなんだ…お父さんとお母さんもいないよ」

落ち着いた声で、耳元で唯が囁く
この言葉を聞いた私は…

「じゃ、じゃあ…泊まっても…いいか?」
「うんいいよ」

唯が優しく微笑む…その笑顔は、正に女神のような美しさだった…私だけの女神「平沢唯」


これから始まる、私たちの…私たちの時間
今日もまた、私は唯の腕に抱かれる


タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
記事メニュー
ウィキ募集バナー