ゆっくりいじめ系1227 ゆー戯王

ゆー戯王

「よし、これで勝てる!ワイトキング、行けー!」
「はい、ご隠居で800ダメージ。私の勝ち」
「っがあああああ!!!」
これで13連勝だ。目の前の友人は泣き崩れる。
「もういやだ!お前なんかとやりたくない!」
「仕方ないでしょ?この間の制限改訂がひどくて、私の周りの人みんなやめちゃったんだから」
デュエルディスクを置いて、私はにこやかに話しかける。ある偉人は「勝てば楽しい」と言っていたそうだが、まさにそれだ。むしろ今の環境では、「勝たないと楽しくない」というべきだろうか。
そう、私たちは「遊戯王カード」で遊んでいる、カード廃人であった。
「ゆっくり!ゆっくり!」
すると、ぽよんぽよんと音を立てながら、ゆっくりの大家族(20匹くらい?)がやってきた。れいむとまりさの番と、子ゆっくりが十数匹。
「ゆゆーん!!おにいさん、れいむたちにも『じゅえる』させてね!」
…何よ、こいつ。私たちの神聖な決闘(デュエル)の場を穢すクソ饅頭め。
私はそう思ってこの饅頭の飾りを奪って捨てようと思ったのだが、友人がそれを制した。
「まぁ待てよ。せっかくだからやらせてみようぜ。お前のロックデッキとやるよりはマシだし」
友人の眼がキラキラと輝いている。
「とりあえずこの海馬コーポレーション(という名目で作った河童印)のソリッドビジョンシステムと戦わせてみるか。おいお前、ゆっくり操れよ」
「えー!?」
「悪夢の鉄檻だのなんだのに閉じ込められてふてぶてしい顔しているクズ饅頭見るよりはマシだろ!?」
私はその姿を想像してみる。悪夢の鉄檻を発動した場合…

『ゆっへん!いまからしばらくのあいだ、れいむたちはゆっくりするよ!おねーさんはこうげきできないよ!れいむたちのひごろのおこないがいいからだね!』
『ばかなおねーさんだね!いまのカードでこのおりをはかいすればよかったのにね!ばーか!ゲラゲラゲラ!』
『おねーさんがかんがえはじめたよ!ひがくれちゃうよ!ひまだからおうたをうたうよ!ゆっゆっゆ♪』
『ちゅうやのおおかじでゆっくりしね!れいむたちのかちだよ!やっぱりゆうしゅうなれいむたちにはかなわないんだよ!』
『ゆっくちー!』

潰そうと思って振り上げた拳を、友人が掴んで止める。
「だからな、そういうのを防ぐためにもお前がこいつらを操るんだ!たまにはザコデッキを使うことも重要だ!」
「でもさ、あんた重要なこと忘れてない?こいつらカードじゃないじゃん。カードを操る知能を持っているとも思えないし」
「そうか…」
友人はそこで考えこむ。すると親れいむがぽんぽんと跳ねながら言った。
「ゆっ!だいじょうぶだよ!これがれいむたちのカードだよ!」
「…何これ」
やたらとリアルな造形のカードだ。中身は比較的まともなデッキである。れいむはゆっへん、と息を吐きながら
「かっぱのおねーさんがつくってくれたんだよ!」
と言った。なるほど。物好きな河童もいたものだ。一応人間向けの説明書がある。
<このカードを専用のソリッドビジョンシステムで使用すると、ゆっくりの群れを『ワープ』させて効果を再現します。この群れと適当に遊んでやってください。虐殺は自己責任でお願いします>
「面白そうじゃん!やろうやろう!」
友人は既にデッキをシャッフルしている。途端にやる気が沸いてきた。やるしかあるまい!

『決闘!』

「私の先攻、ドロー!私は『ゆラット・ヴォルス』を攻撃表示で召喚する!」
ブラッド・ヴォルスは攻撃力1900のモンスター。早々破壊されることはあるまい。この友人は変なデッキを使っているからなおさらだ。
しかし出てきたのは…
「ゆゆーん!まりさにおそれおののいてね!」
子まりさだ。攻撃力190とか書いてある。0がひとつ足りてないんだけど。
「…カードを1枚伏せて、ターン終了」
「どぼじでごうげぎじないのおおおおお!!!」
隣で親れいむが騒いでいるが、無視。隣の親まりさがそれを諌めている。
「俺の後攻、ドロー!行くぜ、俺のかわいいワイトちゃんを守備表示で召喚だ!カードを2枚セットしてターン終了!」
表側守備表示召喚はルール的にできないのだが、とりあえずこっちの方が盛り上がるので今はアリにしてある。
「ゆゆっ!こうげきしないなんてばかなおにーさんだね!まりさ、いまだよ!あのへんながいこつさんにこうげきしてね!」
「ゆっくりりかいし…ぶぎゃっ」
モンスターが勝手に動き出しそうだったのでとりあえずカードを叩くと、「ゆラット・ヴォルス」は潰れたような声を出した。なるほど、痛みがシンクロしているわけか。
「いぢゃいよおおおおお!!!」
「どぼじでごうげきじないのおおお!!!すきだらげでじょおおおおお!!!」
「それはルール違反だからよ。とにかく黙って見てなさい。私のターン!」
友人は親れいむの様子を見て、腹を抱えて笑っている。今に見ていろ。
今、手札には「ゆーモンの召喚」がある。伏せカードは怖いが、こいつを使って大ダメージを狙ってみよう。
「ゆラット・ヴォルスを生け贄にささげ!」
「ゆゆーん!!!!」
子まりさが消滅する。
「れいぶのおぢびぢゃんがあああああ!!!」
「まりざのがわいいおぢびぢゃんがあああああ!!!」
「ゆーモンの召喚を、攻撃表示で召喚!」
「ゆっくりちね!」
赤れいむが登場した。なんともふてぶてしい面構えだ。つぶしたい。
「ゆゆっ!?れいむ、すごくかっこいいよ!?ゆっくりしているよ!?」
さっきのおちびちゃんの心配はもうないのか。しかしこいつらがしゃべるとテンポが遅くなるな。
攻撃力は250.…どうすりゃいいのだろう。攻撃表示のワイトにすら勝てないってひどくない?まぁでも守備表示のワイトだから…勝てる!
「行け、ゆーモン!攻撃しろ!」
「ゆっくりちねー!!!」
赤れいむがぴょんぴょんと跳ねながら、ワイトへと向かっていく。しかし…
「罠発動、『万能地雷グレイモヤ』!」
「ゆびゃ!?」
突然爆風に巻き込まれて、赤れいむは餡子を散らして死んでしまった。
「れいぶのあがじゃんがあああああ!!!」
「ちっ…まぁいいや。ターン終了」
「ドロー!ワイトを攻撃表示にするぜ。行け、ワイト!ダイレクトアタックだ!」
私の伏せてあるカードは『聖なるバリアー・ゆラーフォース』。どんな効果なのだろう。
「罠発動、ゆラーフォース!」
「ゆっくりぼうぎょするよ!!!」
子まりさが5体出てくる。おっと、これは頼もしい。そして…
「ゆびゃ!」
「ゆびぃ!」
「ゆひゅ!」
「ゆびぇ!」
「ゆびょ!」
あっさり潰れた。そのあとワイトの攻撃が容赦なく私に襲い掛かる。盾にすらなってくれない。泣き声が器用だな。
「れ、れいぶのおちびぢゃんだぢがああああ!?どおじでえええええ!!!」
どうしてと叫びたいのは私のほうだ。ホント役に立たないカードだな。一体どうなっているんだろう。

そのあと、私は友人のワイトに一方的に蹂躙された。そりゃあ攻撃力1/10の世界なら、攻撃力300のワイトは文字通り脅威になるだろう。
しかもこちらが使う魔法も罠も、すべて盾にすらならないクズカードばかりだ。
気づけば既にれいむ一家は、親まりさと赤まりさ3匹、そして泣き顔の親れいむしか残っていない。
「むのうなおでぇざんはゆっぐりじねぇ…」
「れいむ、こどもなんてまたつくればいいんだぜ!それにまだおねーさんには『ひさく』がのこっているんだぜ!それをひけばかてるんだぜ!」
「ゆゆっ!?そうだったね!おねーさん、ゆっくりはやくカードをひいてね!まけたらしね!」
そう。このゆっくりたちの言うとおり、私にはまだ『秘策』があった。
私の手札には今、「ふういんされしゆっくりのひだりめ」「ふういんされしゆっくりのみぎめ」「ふういんされしゆっくりのあし」「ふういんされしゆっくりのおくち」という、ふざけたカードがある。イラストが得意げなれいむの顔だ。ぶっ潰したくなる。
だが、『封印されし』と名のつくカードは、遊戯王には今のところ、一応5枚しか存在しない。皆もご存知の、『手札に5枚のパーツをそろえれば勝利する』というエクゾディアだ。
嫌な予感しかしないが、まぁ『∞(むげん)』の攻撃力を持っているのだ。無限を1/10しても無限である。つまり「封印されしゆくゾディア」とやらを引けば、私は勝てる!
「ドロー!」
そして私は引いた。封印されしゆくゾディアを!
「ゆっゆゆー♪」
耳を塞ぎたくなるほど音痴なゆっくりBGMが流れ、私の背後から親れいむ(大きさは8倍くらい)と、それに手足のようにくっついている親まりさと子まりさ3匹が登場する。
「え、エクゾディアだと!?」
友人は腹を抱えてじたばたと笑っている。…なんか笑い死にでもしかねない勢いだ。
「いかりのごうか!ゆっくりしねしねこうせん!」
そして巨大になったれいむの口から、どすすぱーくさながらのビームが出てワイトを襲う!しかし…
ワイトはそのビームをあっさりと弾き飛ばし、ゆくゾディアを蹴飛ばした。
「ゆぎゃああああ!!いだいいいいいいい!!!」
ワイトは容赦なくゆくゾディアを殴ったり蹴ったりし続ける。子まりさ3匹は瞬く間に餡子になり、親まりさは両目と口と飾りを失ってもはや瀕死の状態。
そして親れいむは白目をむいて痙攣している。それだけ。ワイトはそれで満足したのか、スッと消えてしまった。私のライフが0になったからである。
「ゆぎっ…ゆぎぅ…どぼじで…」
「な、なぁまさか…ぷぷっ…そのゆっくりモンスターの攻撃力ってさ、オリジナルの…オリジナルの1/10じゃなくてさ…
右端の○を1つ取った数値、なんじゃないか?」
「…あ」
私の残りライフはちょうど300だった。∞…分かりやすく書けば○○のように○が2つ並んでいる図形…の右端の0が取れれば、攻撃力は○、つまり0だ。
エクゾディアは無限の攻撃力で相手を攻撃するという設定だ。つまり…こいつは攻撃力0で勝手にワイトに向かって、そして死んだというわけだ。
「自業自得ね。あんたがやりたいって言ったからやったのよ」
「ゆぎぃ…まりざあ…おぢびぢゃん…あがぢゃん…」
「ちょっとカードのテキスト見せてよ」
友人はゆっくりカードを見て、三度爆笑する。
それもそのはず。すべてのテキストが、『ゆっくりすることができる!!!』だったのだから。攻撃力も効果も何も書いていない。まさにゴミカード。
「いやぁ、面白かった!本家とは違った面白さがあるわ!俺もちょっと河童に頼んでゆっくりデッキ作ってもらうわ!」
「私も。面白いわね、これ!」
瀕死のまりさにすりすりしているぼろぼろのれいむを蹴っ飛ばし、私と友人は妖怪の山へと向かっていった。

後日、幻想郷の遊戯王ブームは再燃することになる。主に虐待目的として。

「俺はこの『カース・オブ・ゆアリス』と『ゆっくり騎士まりさ』を『ゆー合』する!」
「やべでええええええ!!!」
「ありすとすっきりしましょおねええええええええええ!!!」
「ゆー戯王名物『ヤっただけ融合』!『ゆー騎士まりさ』!」
「ゆべぇ…ゆびゅう…」
なんていうくだらないものから、

「早すぎた埋葬!俺はこのゆまりさを墓地から特殊召喚!」
「どろどろどろー!おばけだぞー!」
「まりさー!!!いぎでいだんだべえええ!!!よがっだよおおおお!!!」
「ごめん、それサイクロンするわ」
「ゆべああああああ!!!」
「までぃざがあああああああ!!!ゆっぐりじねええええええ!!!」
などという、対戦者同士の意図せぬチームプレイ。

「こうすればよかったんだ!(ぼちゃん」
「俺に負けた罰だー!(びりびり」
「ゆびゃあああああ!!!どげじゃう、がらだがどげじゃう!ゆっぐりやべ…べ…ぺ…」
「ゆびっびびびび…もっとゆっくりしたかった…」
という『カードの受けたダメージはゆっくりにもシンクロする』という性質を利用した虐待まで、それはもう幅広い。
最近では親れいむにデュエルのルールを教え、ノーマルデッキを貸してこちらがゆっくりデッキを使うという回りくどい虐待も流行っている。

「さぁどうする?こっちの『おうちをまもるゆくりゅう』の攻撃力は140だぞ。お前の『サイバー・ドラゴン』で攻撃すれば俺は負けるぞ?」
「でいぶうううう!!!ゆっぐりやべでね!まりざじにだぐないよおおおお!!!」
「ごべんねばりざ…でいぶのだめにゆっぐりじんでねぇぇぇぇ!!!かたなきゃゆっくりできないんだよおおおお!!!」
「魔法の筒」
「ゆびゃああああ!!!」
「はい、れいむの負けー。よかったね、お友達はいっぱい死んじゃったけど一番大事なまりさは生き残ったよ」
「ゆびっ…ゆびゅっ…」
「魔法の筒の直撃を食らって死に掛けているな…ほら、まりさ。行っておやりよ」
「ばりざをごろぞうどじでまげでいるぐずでいぶなんがゆっぐりじねええええ!!!」
「あぞごでいずわっでるばりざがわるいんでじょおおおおお!!!おうちをばぼるゆぐりゅうなんでぜんぜんゆっぐりできないよおおおお!!!」

この他にも、ゆー戯王には色々な遊び方がある。
考案者の河童、河城にとりさんは最近「DNA改造手術(機械族指定)+リミッター解除で、安心しきっているゆっくりを爆破させる」というのがマイブームらしい。
知り合いの虐待お兄さんは一度、「王虎ワンフー」という『攻撃力1400以下のモンスターを破壊する』カードと、特定条件で何度でも蘇生する「ディパーテッドゆっくり」を組み合わせた無限ループでゆっくりを無限に殺すギミックを組んだ。
ディパーテッドガイの代用品になってしまった幸運な赤まりさは、ディアボロさながらの勢いで殺されては蘇生し、また殺されては蘇生という無限ループの中で、今もなお餡をぶちまけながら泣き叫んでいる。親まりさはその様子を、透明な箱に拘束されて延々と見せられ続けているそうだ。わざわざ親まりさには、オレンジジュースによる簡易延命治療まで施しているらしい。
私はというと、ギャンブルデッキに鞍替えした。「リボルバー・ドラゴン」なんかでゆっくりを狙ってやると、ゆっくりたちはいい声で鳴くのだ。
「れ、れいむはころされてもいいからまりさはたすけ…ゆびゃっ!」
ああ、楽しい。充実したカードライフ。幻想郷もそのうち、「バトルシティ」ならぬ「ゆとりシティ」でも開かれるのだろうか。
私はそんなことを思いながら、泣き叫ぶゆっくりありすを、2つ目のリボルバーでぶち抜いた。


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最終更新:2008年10月27日 01:36
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