ゆっくりいじめ系1882 マタニティゆっくり 中編 4

まりさが胎生型にんっしんをしてから数日がたった。
その間も毎日ありすにより、無理矢理すっきりさせられ植物型出産をし、
その度、産まれた赤ゆっくりは泣き叫んで静止させようとするまりさの眼前で目を抉られていった。

まりさの周りには生まれた瞬間に光を奪われた赤ゆっくりが並べられていた。その数総勢73匹。
目が見えないために、周囲の物にぶつかることを警戒し積極的に動くことはなかった。
只、食事の時だけ餌が置かれた音がした方向へ、ずるずると這いずっていった。

通常、生まれたばかりの赤ゆっくりは、元気良くはしゃぎまわるものである。
足で地を踏み、目で景色を見て、肌で空気を感じ、共に生まれた姉妹同士で肌をすり合わせることで
生まれることが出来たことを喜び、分かち合う。
そうすることによって生まれることで初めて触れることのできた「この世界」という一番最初のおもちゃを十分に堪能するのである。
しかしそのような行為を何一つ出来ず、唯一の楽しみは食事のみというまりさの子供達。
自分が決して食べたいと思わない生ゴミを、この世で只一つの喜びとして貪り食う子供達のその姿が余りにも惨めで哀れで、まりさはその度に涙を流した。

(挿絵14)

また食事と睡眠時以外絶えず発される、自分を守ってくれなかった親、まりさへの呪詛の言葉もまりさの心を深く傷つけた。
男は赤ゆっくりに「目を失いゆっくり出来なくなったのは自分達を助けてくれなかったお母さんまりさのせい」だと何度も扇動した。
ある程度成長したゆっくりが聞けば、男の言い分がおかしいのはわかるのだろうが、
本能的に親は子を守るものだと信じて生まれてきたばかりの赤ゆっくりにとって
今のゆっくりとは程遠い自分の状況そのものが理由を問わず親であるまりさの失態以外の何物でもなかった。

「ありちゅのおめめがみえないのはおきゃーしゃんのせいだよ。」
「おきゃーさんのせいでまりしゃはゆっくちできないんだよ。」
「ゆっきゅりできないおきゃーしゃんはちんでね。」
「まりしゃのおめめじゃなくおきゃーさんのおめめがみえなければよかったのに。」

「どぼじでぞんなごどいうのおおおおおおお!まりさはなにもわるぐないのにいいい!」

「ははははは、どこが悪くないんだよ。お前、俺が赤ちゃんの目ン玉えぐるの止めなかったじゃねぇか。」

「ゆ!やっぱち、おきゃーしゃんはゆっきゅちできないゆっきゅちなんだね。」
「さいちぇーのおやだね。ちゃっちゃとちんでよ。」
「ちね!」「ちね!」「ちね!」「ちね!」「ちね!」ちね!」「ちね!」「ちね!」「ちね!」「ちね!」
「まりちゃたちをみちゅてたおかーさんはゆっきゅりちね!!」
「ぞん゛な゛ごと゛い゛わ゛な゛い゛でぇ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!!!!」

73匹のプチトマトの罵倒がまりさの心を抉った。
そんなやり取りが毎日続いた。










ある日、まりさはお腹に違和感を感じた。数秒もしないうちにそれは腹を引き裂かれるような激痛へと変化した。
まりさは直感でそれが動物型出産の開始だと理解した。

「ゆぎいいいいいいい!うば・・・れづう・・・・・・まりざのあがぢゃん・・・うばれづううううう・・・・・・」

身を引き裂かれるような激痛。ここに来て針で何度も刺された時よりも強い激痛。
だがそんな痛みにも関わらず、まりさはあの時みたいに口が聞けなくなるほど消耗することはなかった。
それどころかその痛みに対して喜びすら感じていた。
喜びの源はこれから生まれてくる赤ちゃんへの限りない愛しさ。
愛しい赤ちゃんが産まれるための痛みなんだから喜びであれ、全く苦ではない。
産まれてくるから痛い、痛いから産まれる。
出産の痛みはその激痛と裏腹に、この後訪れるであろう赤ちゃんとの極上のひと時を想像させ、まりさに多大なる幸福感をもたらしていた。

一時間後、まりさの側には産まれたばかりの赤ちゃんゆっくりが計五匹いた。
ありす種が二匹、まりさ種が三匹。
赤ちゃんといっても胎生型出産のためある程度育って産まれるから、体の大きさはみかん程度の大きさであった。子ゆっくりサイズである。

最後の赤ちゃんを産み終わった後、まりさは痛みが治まるのを待つことなく言った。
赤ちゃん子ゆっくり達もそれを待ち焦がれていたように返事した。

「ゆっくりしていってね!!!」
「「「「「ゆっくりしていってね!!!」」」」」

元気よく挨拶を返す赤ちゃん子ゆっくり達。
腹を痛めて産んだ子供の愛しさに、まりさは自然と目から涙がこぼれおちていた。
目の見えない赤ゆっくり達は新たな姉妹の誕生に何も反応はしなかった。

「おお~、いっぱい生まれたね~。それじゃさっそく目ン玉抉りますか~。えへえへえへ~。」

「ゆうっっっっ!!!?」

いつの間にいたのか。
身を硬直し、身構えるまりさ。出産時には赤ちゃんにばっかり気を取られて気づかなかったが、
常に自分をゆっくり出来なくさせていた男が箱の上からまりさと生まれたばかりの子ゆっくりを見下ろしていた。

男は箱の中に手を伸ばすと子ゆっくり達を全部掴んで別の小さい箱に移す。そしてその中から一匹の子ありすを取り出した。
「ゆっ!いたいよ。ゆっくりはなしてね、おにいさん。」
これから自分の身に起こることを知らない子ありすは抗議するが男は無視する。
そして指を目の側まで持ってくる。
いつものようにピンセットを使わないのは、子ありすが赤ゆっくりよりも大きいから必要ないためか。
いまにも目を抉られようとしている子ありすを前にまりさは叫んだ。

「やべでええええええええ!!!!あがぢゃんのおべべどらないでえええええええええ!!!!」
「はいはい、わかったわかった。それじゃ目ン玉抉ま~す。」
「ゆっ!?ゆううううう!????やべでええええ!!!!!ありじゅのおめめどらないでええええ!!!!!」

男はまりさの叫びを無視して、爪を子ゆっくりの目のふちに添える。子ゆっくりもこれから自分に起こることを知って泣き出した。
人間がその気になればそこからほんの少しの力で子ゆっくりの片目はなくなるだろう。
それでもまりさは諦めずに叫び続ける。
腹を痛めて産んだ子供の目を奪わせるわけにはいかなかった。

「おでがいじばずうううううう!なんでもじまずがらあああああ!!あがぢゃんのおべべどらないでえええええ!!!」
「うんうん。いいよ。かわいいまりさのお願いなら何でも聞いてあげる。
 それじゃ目ン玉抉りま~す。痛いよ痛いよ~。死んじゃうほど痛いよ~。たあっぷり苦しんでね~。」

そういって男は掴んだ子ゆっくりをにやにや笑いながら冷たく見下ろす。
後何秒ほどで赤ちゃん子ゆっくりの目は今までの赤ちゃんと同じように無くなってしまうのだろうか。
一秒を何時間にも感じながら、まりさは震えていた。

しかしいつまでたっても赤ちゃんの悲鳴は聞こえないかった。
代わりに聞こえたのは、赤ちゃんの目のふちに指を添えたままの男の台詞。

「ふ~む・・・まりさ~、お前、今なんでもするっていったよなぁ?本当になんでもするのか?」
「・・・・・・はいぃ!!!じまずううう、なんでもじまずうううう、だがらあがぢゃんのおべべどらないでええええ!!!」

希望の光が見えた。

これで子ゆっくり赤ちゃんは助かる。子ゆっくり赤ちゃんが助かるなら自分は何でもしよう。
死ねと言われたすぐに死ぬし、まりさを食べたいと言われたら黙ってこの身を捧げよう。
火に飛び込めと言われたら迷わず飛び込み、畑から野菜を盗って来いといわれたらいくらでもとってきてやる。
道端の雑草を全部食って人里を綺麗にしろと言われたら全部食ってやる。
畑を野良ゆっくりどもから守れと言われたら、近づく野良ゆっくりは皆殺しにしてやる。
肥溜めの糞尿を食えと言われたら一滴も残さずに食ってやる。

「なんじぇありちゅたちはみちゅてたくせに、いもーちょたちはたちゅけるのおおお!!!!」
「かじょくを、ちゃべちゅちゅるなんて、さいちぇええええええ!!!!」
「いもうちょたちも、おめめみえなくにゃれば、いいにょにいいいいい!!!!!」
「かじょくを、ちゃべちゅちゅるくじゅなおやは、ゆっきゅりちねぇ!!!」
「ちねぇぇぇぇ!!!」「ちねぇぇぇぇ!!!」「ちねぇぇぇぇ!!!」「ちねぇぇぇぇ!!!」「ちねぇぇぇぇ!!!」
「ちねぇぇぇぇ!!!」「ちねぇぇぇぇ!!!」「ちねぇぇぇぇ!!!」「ちねぇぇぇぇ!!!」「ちねぇぇぇぇ!!!」
「ちねぇぇぇぇ!!!」「ちねぇぇぇぇ!!!」「ちねぇぇぇぇ!!!」「ちねぇぇぇぇ!!!」「ちねぇぇぇぇ!!!」
「ちねぇぇぇぇ!!!」「ちねぇぇぇぇ!!!」「ちねぇぇぇぇ!!!」「ちねぇぇぇぇ!!!」「ちねぇぇぇぇ!!!」
「ちねぇぇぇぇ!!!」「ちねぇぇぇぇ!!!」「ちねぇぇぇぇ!!!」「ちねぇぇぇぇ!!!」「ちねぇぇぇぇ!!!」
「ちねぇぇぇぇ!!!」「ちねぇぇぇぇ!!!」「ちねぇぇぇぇ!!!」「ちねぇぇぇぇ!!!」「ちねぇぇぇぇ!!!」
「ちねぇぇぇぇ!!!」「ちねぇぇぇぇ!!!」「ちねぇぇぇぇ!!!」「ちねぇぇぇぇ!!!」「ちねぇぇぇぇ!!!」
「ちねぇぇぇぇ!!!」「ちねぇぇぇぇ!!!」「ちねぇぇぇぇ!!!」「ちねぇぇぇぇ!!!」「ちねぇぇぇぇ!!!」
「ちねぇぇぇぇ!!!」「ちねぇぇぇぇ!!!」「ちねぇぇぇぇ!!!」「ちねぇぇぇぇ!!!」「ちねぇぇぇぇ!!!」


男とまりさのやりとりを聞いてた赤ゆっくり達は
まりさが必死に子ゆっくり達を助けようとするのが気に食わないらしく総員でまりさを罵倒する。
目を抉られた赤ゆっくりの罵倒に心を抉られるが、今はそれで落ち込んでいる場合ではない。
男の要求に答え、子ゆっくり達を救うのが先決だ。泣くのはその後にしよう。

そう、何でもやる。何でもやってやる。大切な赤ちゃんを助けるためならなんでもやるさ。

「じゃお前の側にいる目の見えない赤ちゃん達を殺せ。全部な。ミ・ナ・ゴ・ロ・シ。」

例え自分の側にいる赤ちゃん達を殺せと言われても・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・何?
今・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・なんて・・・・・・?

「・・・なんでいっだのオオオオオオオオおおおおおおおお!!!!!!!!?????」
「何度も言わせんな。お前の側にいる赤ゆっくりを殺せって言ったんだよ。」

男の信じられない要求にまりさは絶叫した。

「ぞんなごどできるわげないでじょおおおお!!!ばでぃじゃのあがぢゃんなんだよおおおおおお!!」
「知るか。いらないの?今生んだばかりの赤ちゃんのお目目。やっちゃうよ?」
「ゆ゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛!!!!!」

まりさの餡子脳が得体の知れない感覚でぐちゃぐちゃになる。
たったいまお腹を痛めて産んだ子ゆっくりが生まれて早々目を失うなんてあっていいことではない。
だが腹を痛めて産んだわけじゃなかろうと植物型出産の赤ゆっくり達も自分の大切な子供達である。
また彼女達の中にはまりさにとって一番最初に産んだ子供達もいる。
赤ちゃんを産むことに大きな憧れを持っていた自分が初めて産んだ赤ちゃん。
生まれた時間に多少のタイムラグがあろうと全ての植物型出産の赤ちゃん達は自分にとって深い愛情と思い入れのある存在だった。
発情ありすによる無理やりすっきりで生まれた子であることと関係無しにまりさの赤ちゃんへの愛はとても深かった。

そんな赤ちゃんの命と子ゆっくりの目の二択。
選べるわけがなかった。余りに残酷な二択。まりさは悶え苦しんだ。

「じゃまみりょ~。これぢぇ、いもーちょたちもおめめみえないよ~。」
「まりしゃたちをみちゅてたおきゃーしゃんにはとーじぇんのむきゅいだね。」
「おにーしゃん、ゆっきゅりちないで、いもーちょたちのおめめちゃっちゃとちゅぶちてにぇー!」
「ちゅぶちぇ!」「ちゅぶちぇ!」「ちゅぶちぇ!」「ちゅぶちぇ!」「ちゅぶちぇ!」
「ちゅぶちぇ!」「ちゅぶちぇ!」「ちゅぶちぇ!」「ちゅぶちぇ!」「ちゅぶちぇ!」
「ちゅぶちぇ!」「ちゅぶちぇ!」「ちゅぶちぇ!」「ちゅぶちぇ!」「ちゅぶちぇ!」
「ちゅぶちぇ!」「ちゅぶちぇ!」「ちゅぶちぇ!」「ちゅぶちぇ!」「ちゅぶちぇ!」
「ちゅぶちぇ!」「ちゅぶちぇ!」「ちゅぶちぇ!」「ちゅぶちぇ!」「ちゅぶちぇ!」
「ちゅぶちぇ!」「ちゅぶちぇ!」「ちゅぶちぇ!」「ちゅぶちぇ!」「ちゅぶちぇ!」

命と目の二択。どちらが大切かなんて赤ゆっくりでもわかることだ。
子ゆっくりの目のために自分達の命を奪うわけがないと思った赤ゆっくりは
新しく生まれた妹達も自分達と同じ境遇になることに大いに喜んだ。
赤ゆっくり達は、男が最初からまりさに出来ない難題をふっかけて元々子ゆっくりの目は潰すつもりだったと思った。

「おがああああざあああああああん!!!!だずげでええええええ!!!!」
「おべべびえなぐなりゅの、いやだよおおおおおお!!!!」
「おべべなぐなったら、ゆっぐりでぎないよおおおおおおお!!!!!」

同様の判断をした子ゆっくり達が次々と泣いて助けを求めた。無理も無い。
殺せば生きられないが、目がなくなっても生きていられる。
自分達の目のために赤ゆっくりを殺すなんて判断を
親がするわけないのは生まれたばかりの子ゆっくりでも十分推察出来た。

絶望の悲鳴と歓喜の叫びの中、まりさは震えていた。

「えらべねぇか?まりさぁ~。だったらしょうがねえな~。」

絶望していたまりさに男が声をかける。

「ゆぐぅ!!!!やめで!やめでぇ!!あがぢゃんのおべべどらないでえええええ!!!」
「勘違いするな。まだとらねぇよ。まりさが選べないみたいだから俺が考えるヒントを与えてやるよ。」
「ゆっ?ひんと?」

男はヒントと称し、まりさに考え方の助言をした。

「ああ、どっちが大切かは選べないだろ?じゃこう考えろ。どっちが大切かじゃなくどっちが役に立つかってな。」
「ゆぅ~?」
「聞くけどよ、お前ずっとここにいるわけじゃないだろ?それともいたい?」
「ゆっ!まりさはこんなとこいたくないよ。おにいさんはゆっくりしないではやくまりさたちをそとにだしてね。」
「駄目。」
「ゆぅっ・・・・・・・・・・・・!」
「でも、まりさが外に出れたときに、まりさにとって役に立つ存在はどっちだと思う?」
「やくに・・・たつ・・・?」
「お前の側にいる目の見えない赤ゆっくりと俺の手の中にある子ゆっくり。どっちがお前の役に立つか。
 もっと正確に言うと、赤ゆっくりを殺すか、子ゆっくりも赤ゆっくり同様目を失うかの二択なわけだから
 お前に待ってる未来は
 『目の見えない赤ゆっくりと目の見えない子ゆっくり』か、
 『目の見える子ゆっくりだけ』か。
 この二つしかないわけだろ?だったらこの二択であらゆる場面を想定して考えろ。
 巣を作る時。れみりゃや人間に襲われた時。狩りに出かける時。冬に備える時。子供を育てる時。」

「ゆ゛う゛う゛う゛・・・・・・・・・・・・・・・」

まりさは男に言われたよう、ここから出た後のことを考えた。

自分と一緒に暮らしていた女性の家。あそこから加工場に来て、そこから更にここに連れて来られた。
正確な距離はわからないが決して近くはないこと。そして平坦な道のりではないこともわかる。
方向だって確信がもてるわけじゃないし、人里の構造から回り道だって必要だろう。
土の道もあれば、ジャリが敷き詰められた道を通った記憶ある。野良猫だって見かけた。
そんな道のりを通って女性の家まで行くのに、自分と一緒にいるのがもし・・・・・・・・・。

そこには絶望しかなかった。

子供達は目が見えないので歩を進めるには自分が呼ぶことで誘導するしかない。
しかし呼んだところであれだけ大量の子供達がきっちり呼ばれた方向へいけるだろうか。
まず無理だろう。ならばはぐれた子供達は自分が回収してまわることになる。
その間に呼ばれた方向へちゃんと来た子供達はおとなしく自分を待っててくれるだろうか。
目の見えない不安からまたあちらこちらに動きまわるかもしれない。
そのとき通行人に踏まれたら?外敵に襲われたら?
だったら口に入れて運ぶか?あれだけ大量の子供を?全員運ぶのに何回往復すればいい?
往復してる最中で、先に運ばれた子供達はおとなしくずっと自分を待っててくれるのか?
他にも・・・・・・・・・。

無理だ。とても現実的ではない。

目からとめどなく涙が溢れた。わかってしまったのだ。
どちらがまりさにとって正しい判断がどちらか。

「・・・わかったみたいだな。どっちが自分にとって必要か。じゃ考える時間はもういらないな。さっさとやれ。
 自分にとってどっちが必要かわかったんだから迷う理由もねぇだろ。
 それともまさか子ゆっくりの目ン玉潰すほう選んだわけじゃないよな?」

「・・・・・・ちがうよ、おにいさん。・・・・・・あかちゃんのおめめつぶさないでね。
 ・・・まりさ・・・・・・ちゃんとやるから。・・・・・・・・・やくそく・・・・・・だよ・・・・・・・・・。」
「ああ、いいだろう。約束しよう♪」

今にも消え入りそうなまりさの言葉に、男は顔を大きく歪めた笑みを浮かべた。
まりさは箱の中で赤ゆっくりの方を向き直る。

「ごめんねぇ・・・ごめんねぇ・・・・・・まりざの・・・あがぢゃん・・・・・・ごめんねぇ・・・・・・・・・ごめんねぇ・・・・・・・・・」

まりさはそう何度も言いながらボロボロと涙を流す。

「いまごろあやまっちぇも、おちょいよ。」
「まりちゃたちは、ゆるちゃないかりゃね。」
「おにーしゃん、なにもちゃもちゃしちぇるの。ちゃっちゃといもーちょたちのおめめちゅぶちてね。」

赤ゆっくり達は命の危険を感じずに、謝られたことを自分達の目についてだと勘違いしている。
赤ゆっくり達への謝罪を言わずにいられなかったまりさにとってこの勘違いは好都合だった。
これで自分達が殺されることを赤ゆっくりに悟られることなく赤ゆっくりを殺せるのだから。
妹の目がなくなることを喜んでいるのは褒められることではないが、彼女達の境遇を考えればそれも責められない。
むしろどんなことであろうと楽しい気分のまま死ねるのはせめてもの救いか。このまま苦しめることなく速やかに殺そう。
数が多くても一度に数匹ずつ潰していけば何が起こってるのか悟られる間もなくすぐに終わる。
それが今自分に出来る精一杯だ。

「おい、赤ゆっくりども、何を安心してんだ?
 お母さんは妹達の目の代わりにお前らを殺す方を選んだぞ。
 逃げた方がいいんじゃないか?」
「「「「「「「「「「「「ゆ゛う゛う゛う゛う゛っ゛!!?」」」」」」」」」」」」

まりさのせめてもの気遣いは男によってあっさりと踏みにじられた。
まりさは予想だにしなかった男の横槍に目を丸くして声を唸らせた。

「どぼじでばら゛ずの゛お゛お゛お゛お゛お゛おおおおおおおおお!!!!!
 だまっでればごのままなにもじらずにじねだのにいいい!!!!」

そして、まりさがついうっかりと言ってしまったこの一言が、赤ゆっくり達のパニックを引き起こした。

「ゆびゅううううううう!!?おきゃーしゃん、どびょじでえええええええ!!!!」
「ぢにだくないいいいいいいいい!!!!!!」
「ざいでーのおやああああ!ゆっきゅりぢねえええええええ!!!!」
「だずげでええええええ!!!!ありじゅぢにだぐないいいいい!!!!」

次々と駆け出す73匹のプチトマト達。だが限られた広さの箱の中で逃げるとこなどどこにもない。
加えて目が見えないために他の姉妹達にぶつかりあい、それが元で傷を負う個体が続出した。
傷口から餡子が漏れ出してく。そこへ更に他の姉妹達がぶつかってきて餡子の流出に加速をかけた。

「いぢゃいいいよおおおお!!! だじゅげでえええええ!!!!
 おぎゃーじゃん、だずでええええええ!!!!まりじゃ、ぢにだぐないいいいい!!!!」

傷ついた赤まりさが先ほどまで散々罵倒していた母親に助けを求める。

「ぶびっ!いぢゃい!!!!やべで!じぬぅ!!おねがいい!!!!やべでえええ!!!!」
「ぐらいよおおおお!!!!みえないよおお!!!いだいよおおおお!!!!じにだくないよおおお!!!!」
「ゆっぎゅぢでぎないいいいい!!!!!おうぢがえるうううううううう!!!!おぎゃあああしゃあああんん!!!!」
「おぎゃあああさああああん!!!どごいづのおおおお!!!!ばやぐありじゅをだずげでええええええ!!!!」

箱の中はそんな光景で溢れ帰っていた。
一番見たくなかった光景で埋め尽くされたまりさの視界が涙で滲んでいく。
まりさはぼやけた視界の中、火よりも熱くなった自分の胸を抱えて跳躍した。

「ぶにゅっ!!」「ぎゅびっ!!!」「ぼぎょっ!!!」
ドスンという音と一緒に奇妙な叫び声が箱の中に響く。
赤ゆっくり達の底面に何か近くに大きなモノが落ちた振動が伝わる。
音がした方向から聞こえていた姉妹達の泣き声が聞こえなくなった。

生まれてすぐ目を潰された赤ゆっくり達にとって振動が伝わるほど大きいものの心当たりなど一つしかない。
そしてその音のすぐ後に音がした方向から聞こえてた泣き声が聞こえなくなった。
そのことが赤ゆっくりに出させた結論は只一つ。
母が助けにきてくれた。
だから姉妹達は泣かなくてもよくなったので泣き声が止んだ。
赤ゆっくり達の心に希望の光が刺す。次々に母親に向かって助けを求めだした。
これが後天的に目の見えなくなったゆっくりだったら、経験と想像で何があったか理解出来ただろう。
しかし生まれてすぐに目が見えなくなった赤ゆっくり達は自分に都合の良い想像しか出来なかった。

「おきゃあしゃーん!まりしゃはこっちだよおおお!!!はやきゅたしゅけてえええ」
「おきゃあじゃん、ありしゅはこっちいりゅよおおおお!」
「おきゃーしゃーん。」「おきゃーしゃーん。」「たしゅけてえええええ」「たちゅけてえええええ」
「おきゃーしゃーん」「おきゃーしゃーん。」「おきゃーしゃーん。」「おきゃーしゃーん。」「おきゃーしゃーん。」
「おきゃーしゃーん」「おきゃーしゃーん。」「おきゃーしゃーん。」「おきゃーしゃーん。」「おきゃーしゃーん。」
「おきゃーしゃーん」「おきゃーしゃーん。」「おきゃーしゃーん。」「おきゃーしゃーん。」「おきゃーしゃーん。」
「おきゃーしゃーん」「おきゃーしゃーん。」「おきゃーしゃーん。」「おきゃーしゃーん。」「おきゃーしゃーん。」

あたり一面に母親への助けを求める声が木霊する。

「今のはお前らのお母さんが赤ちゃんを潰した音と潰された赤ちゃんの悲鳴だよ。
 自分で殺すと言ったお母さんが助けてくれるわけないだろ。」

男がすぐに希望の光を打ち砕く。
箱の中は再び阿鼻叫喚の渦へと変貌した。

泣き叫ぶ赤ゆっくりを黙って潰していくまりさ。
遠くで姉妹の断末魔を聞いて距離を置こうと駆け出す赤ゆっくり。
そして自分が閉じ込められてる箱の壁にぶつかり、泣き叫ぶ。
「どびょじでずずめないのおおおおおおおおお!はやぎゅにげにゃいどおがあざびやがっ!!!───」
「おがあざっ!おがあざっ、ぐる!ぐっ!ごな!ごなで!ひぎゅげばっ!!───」

近くで姉妹の断末魔を聞いて命乞いをする赤ゆっくり。
「おぎゃあざんん、ごろじゃないでええ、ありじゅぢにだくなびぼげばっ!!!!───」
「ゆっぐりやべでねえええええ!ゆっぐりやべでええええっ!ゆっぐびちばった!!!!!───」

箱の中に着々と餡子の染みが増えていき、そしてとうとう最後に残った赤ゆっくりは一匹になってしまった。

「さぁ~、赤ちゃんまりさちゃ~ん、残るはキミ一人で~す。他の姉妹は全部死にました~。
 キミの足元に何か変な感触ないですか~?それは潰れたキミの姉妹です~。
 キミも同じように死ぬんですよ~。怖いですよ~。痛いですよ~。どんな気分ですか~?」
男が煽る。

最後の赤まりさは足元に潰れた姉妹の餡子を敷いて、目から大粒の涙を流し、口からはよだれをだらだれと垂れ流し震えてた。
腹からは本来水分を取りすぎたときに行うしーしーのための穴が開き、小さい放物線を描がきながらチョロチョロと水を放出していた。
抉り取られた目の部分は治癒のため傷跡を塞ぐ薄皮が張ってあるが、まだ完全に傷を塞いでるわけじゃないので
涙でふやけて少しずつ傷口の餡子が混じっていた。
そして母であるまりさに向かって懸命な命乞いをしていた。

(挿絵15)

「ゆぐっ!・・・・・・おにぇがい・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 だぢゅげでえぇぇぇぇ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 ・・・・・・もう・・・おぎゃあじゃんの・・・わりゅぐぢいっだり・・・ぢないがらあぁぁぁぁ・・・・・・・・・・・・・
 おぎゃあじゃんのごど・・・・・・・・・いぢばん・・・・・・いちばん・・・だいずぎになるがらあぁぁぁぁ・・・・・・
 ばりざのごど・・・ごろざないでえぇぇぇぇぇぇぇ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ゆぐっ!!!
 いっぢょに・・・・・・・・・・・・ゆっぎゅぢじよおおおおよぉぉぉぉぉぉぉぉ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「あっはははははははははははははは、かっわいそ~♪赤ちゃんまりさちゃ~ん、キミは今から死ぬんですよ~♪」
男は笑いながらそう言った。
今までに三度同じようなやり方で子殺しをさせた。
だがその三度のうち全てのケースにおいて、最後の方に残った赤ゆっくり達は気絶するか精神崩壊を起こした。
親もそうなら子もそう。この赤まりさは死ぬその寸前まで意識と正気を保ったまま臨界点を超えた恐怖を味わい続けるのだ。

か細い声で必死に母に訴えかける赤ゆっくりまりさ。
だが既に72匹の姉妹を殺してきた母にそんなものが何の意味を持つのだろうか。
まりさは最後の赤ゆっくりを潰すために体勢を向きなおした。

しかし、その時・・・ピタッとまりさの動きが止まった。
まりさは目を大きく見開き、赤まりさを見つめる。
それはまりさが一番最初に産んだ赤まりさだった。
まりさの頭の中に赤ちゃんが初めて生まれた時の思い出が甦る。

「・・・・・・あ・・・あか・・・ちゃん・・・・・・・・・・・・・・・」

赤ゆっくりを殺し始めてから何も言わなかったまりさが初めて口を開く。

「ゆ・・・?お・・・・・・おきゃぁぁ・・・しゃん・・・・・・?」

今までと違う母の様子に反応する赤まりさ。男は笑顔で黙ったまま見ていて何も言わない。

「あかちゃん・・・・・・・・・・・・・・・あか・・・ちゃん・・・・・・」
「おきゃーしゃんっ・・・?・・・おきゃーしゃん・・・!?」
「あかちゃん・・・・・・まりさの・・・あかちゃん・・・・・・・・・」
「おきゃあしゃん!!!?おきゃあしゃん!!!おきゃあああああああん!!!!」
「まりさの・・・かわいい・・・あかちゃん・・・・・・!あかちゃあああああん・・・・・・・・・!」
「おきゃーしゃん!!!!おきゃあああしゃあああああん!!!!!!」

「あかちゃんんんんんんんん!!!!いっしょにゆっくりしようねぇ!!!!!!」
「おきゃあああああああああああああしゃあああああああああん!!!!!!!」

まりさが赤まりさの元へ駆け出した。同じく赤まりさも母の元へ駆け出す。
赤まりさは他の姉妹にぶつかった傷口から餡子がこぼれるのもかまわず母の元へ向かっていった。
目から溢れる涙が頬を伝わり落ちる。口からは大量のよだれも垂らしている。
だが先ほどと変わり表情は喜びで満ち溢れていた。

「おきゃああああああああああああしゃああああああああああん!!!」

赤まりさが渾身の力をこめて地面を蹴り飛び上がる。

「あかちゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああん」

同じようにまりさも飛んだ。

「ぶぎゃっ!!!!!」

赤まりさの体は母であるまりさの体当たりの前に弾けとんだ。



時間にして数分が過ぎた。静寂が場を支配していた。
箱の中にいるのはまりさと元赤ちゃんゆっくりだったものを構成していた皮と餡子だけ。
やがてまりさが静寂を破りゆっくりと口を開いた。

「・・・・・・おにいさん・・・・・・これで・・・・・・いいんでしょ?」
「ああ。よくやったね。」
「これであかちゃんのおめめつぶさないんだよね・・・・・・」
「そう言いたい所だが・・・お前のせいで箱が汚れちまったじゃねぇか。餡子だらけだぞ。」
「ゆぅ・・・・・・・・・?」
「掃除しろ。お前全部食え。舌も使って舐め取ってきれいにしろよ。」
「・・・・・・・・・ゆ゛う゛う゛う゛う゛う゛!!!!!?」
「仕方ねーじゃん。汚したのお前だし。
 俺殺せとは言ったけど箱の中を汚していいとは一言も言ってないんだけど。
 わかったらさっさとお前が散らかしたゴミクズを食って片付けろ。」
「ぞんなごどでぎなるわげないでじょおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!
 じんじゃっでも、まりさのがわいいあがぢゃんがなんだよおおおおおおおおおお!!!」
「いらない?子ゆっくりどもの目。」
「ゆ゛ぐぅ゛う゛う゛っ゛!!!!?まりざ・・・いわれだどおりに───」
「俺としてはちゃんと言われたことやったまりさの望みは叶えてやりたいんだけど・・・
 この後に及んで言うこと聞かないんじゃ・・・仕方ないかなぁ~。」
「ゆぐ・・・・・・!ゆぐぅ・・・・・・・・・・!!ゆぐううううううう・・・・・・・・・・・・!!!」
「はい、決まり~。ちょっと早いけどお食事の時間だ。
 今日はクズ野菜なんかじゃなく久しぶりにあまあまの美味しいもの食べれるぞ。よかったな~。」
男は子ゆっくりの目の淵に爪をひっかけながらそう言った。
「おぎゃああしゃん!!!!ごわいいよおおおおおおおおおお!!!!!!!」
子ゆっくりが泣き喚いた。
「ゆ゛う゛う゛う゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!」
まりさは絶叫を上げ、赤ゆっくりの屍骸を貪りはじめた。
たっぷりと恐怖と苦痛を味わって死んで甘味が洗練された自分の子供達の味はとても不味かった。

「じゃ全部食っとけよ。」
赤ゆっくり73匹分の餡子はすぐには食べきれないだろう。
男は手の中の子まりさを一旦小さい箱に戻し、部屋を出た。

数時間後、再び男が部屋を訪れると箱の中に散らばってた餡子は綺麗さっぱりなくなっていた。
まりさは箱の隅にいて、背後に死んだ赤ゆっくり達の髪飾りと帽子が集められていた。形見のつもりだろうか。
男の姿を発見したまりさはか細い声で言った。

「・・・・・・・・・・・・おにいさん・・・・・・・・・・・・。やくそくどおり、あかちゃんかえしてね・・・・・・。」
「そうかそうか、よくやった。それじゃご褒美だ。赤ちゃんのお目目抉ってあげるね。」

そう言うと男は小さい箱から子ゆっくりを取り出し、人差し指でサクッと子ゆっくりの右目を抉った。
そして抉り取った目をポイッとまりさの前に投げ捨てる。

「ゆびやああああああああああああああ!!!ありじゅのおべべがあああああああああああああああ!!!!!」

右目を抉り取られた子ありすが泣け叫ぶ。

「なにやっでるのおおおおおおおおおおおお!!!!やぐぞぐどぢがうううううううううう!!!!!」

男の突然の凶行にまりさは抗議する。

「まりさ~、確かに俺は赤ちゃんゆっくり殺せばこいつらの目は潰さないって約束したけど
 一つ大事なことを忘れてるぞ~。」
「いじゃいいい!!!おがあざんだずげ・・・ぎびゃあああ!!!」

まりさの抗議に返答しながら、子ありすの左目を抉り男はそういった。
両目を失った子ありすがべちゅっとまりさの隣に投げ捨てられる。
「ゆぎゅ・・・ゆぎゅ・・・・・・おぎゃあざん・・・ぐらいよ・・・なにもびえないよ・・・・・・」

「やべでえええ!!!なにがじっぱいじだのならもういちどやりまずがらああああああ!!!!」

まりさは叫んだ。自分が生んだ愛しい赤ゆっくりを殺し、その屍骸を食ってまで成し遂げた男との約束。
何があろうと反故にさせるわけにはいかない。まりさは必死で男に叫び続けた。

「ゆぎゅううう!!!!!いだいいいい!!!まりざのおべべがあああああ!!!!」

そう言ってる間に、素手なら両目ともいっぺんに抉れることに気づいた男に、
人差し指と中指で両目を同時に抉りだされた子まりさが、子ありすの時と同じようにまりさの箱に投げ捨てられる。

「おべべ・・・びえない・・・・・・おがあざん・・・どごお・・・ぐらいよおおお・・・びえないよおおお・・・」
投げ捨てられた子まりさが暗闇の中で母を呼ぶ。
そしてたったいま投げ捨てられた子まりさとまりさの両方を見下ろしながら男は言った。

「約束は・・・確かにしたよ。だけどその約束を守るなんて一言も言ってないよね。
 だからこれから約束破ってまりさの赤ちゃんたちの目潰すわ。無駄な努力ご~苦労さん♪」

返ってきたのはとんでもない暴論だった。

「ゆっ・・・!ゆうっ・・・・・・・・・・!?
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ゆうぅうぅううっ!?????
 ・・・・・・な゛・・・な・・・・・・な゛な゛な゛・・・・・・・な゛に゛ぞ゛れ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛
 え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛
 え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛
 え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!!!!!」


それからわずか一分もしないうちに、まりさが腹を痛めて産んだ子ゆっくり達五匹は
全て目を抉られまりさの箱に投げ捨てられた。

「びえないよおおぉぉぉぉ・・・おぎゃああさん・・・・・・だずげでぇ・・・・・・」
「ぐらいよおおぉぉぉ・・・・・・ごわいいよおお・・・・・・・・・・・」
「ゆびびび・・・ゆべべ・・・・・・ゆびょびょ・・・・・・・・・」
「いだよおおぉぉおおぉぉ・・・・・・ぐらいよおお・・・・・・・・・・・・」
「おがあざんどごおおぉぉぉぉ・・・・・・べんじじでぇ・・・・・・・・・」

まりさの近くでうめき続ける五匹の子ゆっくり達。
まりさの頭の中で何かのネジがはじけとんだ。

「・・・・・・っり・・・ぢねぇ・・・」
「ん?何か言った?」
「ゆっぐりいいいいいぢねぇええええええええええええええええええええ!!!!!!
 ゆっぐりでぎないおぢんはゆっぐりぢねええええええええ!!!!!!!!!!!!!
 あがぢゃんだぢをいじめるおぢんはゆっぐりぢねぇ!ぢねぇ!!ぢねぇ!!!  
 ぢねぇ!!ぢねぇ!!!ぢねぇ!!ぢねぇ!!!ぢねぇ!!ぢねぇ!!!ぢねぇ!!ぢねぇ!!!
 ぢねぇ!!ぢねぇ!!!ぢねぇ!!ぢねぇ!!!ぢねぇ!!ぢねぇ!!!ぢねぇ!!ぢねぇ!!!
 ぢねぇ!!ぢねぇ!!!ぢねぇ!!ぢねぇ!!!ぢねぇ!!ぢねぇ!!!ぢねぇ!!ぢねぇ!!!
 ぢねぇ!!ぢねぇ!!!ぢねぇ!!ぢねぇ!!!ぢねぇ!!ぢねぇ!!!ぢねぇ!!ぢねぇ!!!
 ぢねぇ!!ぢねぇ!!!ぢねぇ!!ぢねぇ!!!ぢねぇ!!ぢねぇ!!!ぢねぇ!!ぢねぇ!!!
 ゆっぐりぜずにいばずぐぢねえええええええええええええええええええ!!!!!!!!!!!!」

野良時代でさえ言う機会がなかった。
女性と暮らしはじめてからはそんな言葉使わないように躾けられた。
生まれて初めて使う言葉でまりさは男に憎しみをぶつけた。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

男はそんなまりさの言葉を、にやにやにやにやと笑いながら黙って見てた。

やがてまりさは叫び疲れて男を罵倒するのをやめた。
まりさが叫び終わるのを見計らって、男はまりさを閉じ込めた箱の前へと歩を進めた。
まりさに恐怖は無かった。恐怖を軽く凌駕するだけの怒りがあった。

男はまりさの箱の前に来ると両手を額の横につけた。
拳を閉じ、そこから親指と人差し指と小指だけ立てて、上半身を直立から30度くらい前に曲げた。
視線を上に目いっぱい吊り上げて、唇をタコのように押し出し、笑顔で言った。

「ちにまちぇ~ん。ぼく、ちにまちぇ~ん。
 まりさちゃんとの約束破ってまりさちゃんの大切な赤ちゃんのお目目抉り取ったボクですけどちにまちぇ~ん。
 じゃんねんでちたあ~♪あぴゃぴゃぴゃぴゃぴゃぴゃぴゃぴゃぴゃぴゃぴゃぴゃ~♪」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ゆぐああああああああ!!ぢねぇ!!!!ゆっぐ─────」
「さ~て、遊びいこっと。」

背後で再び何か叫びだしたまりさを無視して男は部屋のドアを閉めた。
部屋にはまりさの罵声と両目を失って悲鳴を上げてる子ゆっくりの声だけが響いた。

中編 5につづく

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最終更新:2009年05月23日 15:22
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