※舞台が幻想郷ではないパロディな世界観
※オリキャラが虐待というか虐殺
ここは剣と魔法の大地ゆルフガルド。
人間が中世ヨーロッパ的な文化を営むこの世界にも奴らはいた。
「ゆっくりしていってね!」
「ゆっくりしていってね!」
ぽよんと平原に並んだ、ファンタジーからは浮いた容姿のバレーボール程の饅頭二つ。
ゆっくりというこの生物は、一応この世界の覇権を狙う魔王の手先である。
ここに居るのはゆっくりの中でもれいむという種類であるが、
海生のまりさつむりや毒をもったばぶるぱちゅりー、火を吐くどらごめーりんなど
多様なバリエーションを生かして世界のあちこちに送られ、人間を脅かしている。
とはいえ中でも基本種であるれいむは特段力もなく、特殊能力もないため
人間の中でも比較的弱い者の集う地方で「適当に人里を襲ってね」と
捨石のように配置されたのだが、餡子脳ではそんな思惑も使命の重要さも理解できず
日々気ままに人間達の畑や食料庫を襲うなどして適当に人里に被害を出していた。
しかしゆっくりは知らなかった。
世界を脅かす魔王が現れるとき、その対となる存在も生まれることを…
「ゆっ…!?れいむびー、むこうからにんげんさんがくるよ!ゆっくりみんなにしらせてね!」
「ゆゆっ、れいむえーのいうことをゆっくりりかいしたよ!ゆっくりよんでくるね!」
群れの住処に向けて跳ねていくれいむBの姿を見送るとれいむAは人間に向かって口を開いた。
「ここはれいむたちのゆっくりぷれいすだよ!れいむたちにかてないにんげんさんはゆっくりきえてね!」
戦闘要員である若者は魔王軍との激戦区に送られており、
れいむ達が戦ったことがあるのは棺桶に片足入った老人ばかりなのだが
愚かな饅頭の餡子脳では都合のいいように『あらゆる人間に勝てる』と脳内変換されていた。
だが、今れいむAの目の前に立っている存在は…
「ゆっ!?れいむにさからうの!?れいむたちにはだいまおうがついてるんだよ!ゆっくりりかいしてね!」
目の前にいる、重力を無視したかのような髪型の青年が剣を抜き放つのを見てれいむAが叫ぶ。
れいむの餡子脳にも、青年が手にした武器が村の老人のクワや鎌より遥かに強力な代物だと分かった。
自分一体ではこれは流石に分が悪すぎる、そう考えたれいむAは脅しにより相手を撃退しようと試みる。
大魔王…世界を席捲する者の名は大抵の人間を怯ませることが出来た。
実際はこんな饅頭を助けに来る暇は魔王にもないのだが、名だけでも平凡な村人には十分すぎる脅威なのだ。
数集まってればともかく、一人きりの人間がこの言葉で怯まなかったことはない。れいむAは勝ちを確信し…
いいえ
青年の返答によってあっさりとその確信は覆された。れいむAに振りかざされる剣。
「ゆぅぅっ!?れいむはつよいんだよ!にんげんさんなんていちころだよ!?ゆっくりにげてね!」
いいえ
れいむAの必死の虚勢は、人間の言葉にあっさり粉砕された。
そのショックから立ち直ったれいむAは、状況が悪いと見て後ろを向いて一気に駆け出す。
「ゆ゛っ…ここはみのがしてあげるよ!おってきたらにげるはっかいかいしんのいちげきだよ!」
しかしまわりこまれた
「どぼじでにんげんさんがれいむのまえにいるのぉぉぉっ!?…むぎゅぅ!」
人間の青年はれいむAを踏みつけて押さえると、手にした剣をれいむAへと押し当てる。
「ゆひぃっ!?れいむはわるいれいむじゃないよ、ぷるぷる。ゆっくりみのがしてね!」
いいえ
「ゆぅぅぅっ!!れいむはおそいたくてむらをおそったんじゃないのぉぉぉっ!
わるいれいむびーにだまされたんですぅぅぅっ!かわいそうなれいむをゆるしてぇぇぇっ!」
いいえ
「ゆびぃぃぃぃっ!?でいぶがわるがっだでず!もうわるいごどじまぜんっ!
でいぶはにんげんざんのでじだになりまずっ!だがら、ゆっぐりだずげでぇぇぇっ!!」
いいえ
恥も外聞もなく泣き叫び取り乱し命乞いをするれいむA。
人間ならこれだけやれば選択肢永久ループで助かるところなのだが所詮はゆっくりの命運。
鋭い剣先が徐々にれいむAに刺さり始め、ゆっくりと饅頭皮を引き裂いていく。
「い゛だい゛ぃぃぃっ!や゛べでぇぇぇっ!でい゛ぶごろ゛ざな゛い゛でぇぇぇぇぇぇっ!!」
いいえ
遂に刃先が餡子へと到達し、激痛に死を覚悟したれいむAが断末魔を叫ぼうとしたその時。
「ばかなにんげんさんはれいむえーからゆっくりてをはなしてね!!」
茂みからぞろぞろと現れるれいむBにれいむC、れいむD、れいむE……
無数のゆっくり達が逃げ場のないように青年を取り囲み、一斉に威嚇を始める。
『これでかつる!』心強い増援の姿に勇気を取り戻したれいむAが人間へと啖呵を切る。
「けーせーぎゃくてんだね、おばかなにんげんさん!れいむをゆっくりはなsゆびゅぎゃあっ!?」
れいむAをやっつけた!
「「「「「「「どぼじででいぶえーをごろずのお゛ぉぉぉぉぉぉっ!?」」」」」」」
中枢餡を貫かれて驚愕の表情で絶命したれいむAから剣を引き抜く青年。
剣を振り、餡を払いながら、その目は既に次の目標へと鋭く向けられている。
「ゆぅぅっ!れいむはおこったよ!れいむえーのかたきだからゆっくりしんでいってね!」
「ゆっくりおかねはんぶんになってね!」「ゆっくりおーさまにおこられてね!」
思い思いの台詞を叫びながら突撃していくれいむの群れ。
だが青年は慌てず溜めていた剣の力を解放し、自身を軸に一回転するように剣を振り回した。
「ゆべぇっ!?」「ゆぐげっ!?」「ぶぺっ!?」「ゆばぁっ!?」「あばばっ!」
花札屋の緑の剣士からの著作訴訟が心配される一撃により
剣の軌道上にいたれいむが容赦なく切り裂かれ、二つに分解して地面に落下する。
「「「「「「ゆ゛ぅぅぅぅっ!?どぼじででいぶだぢがじんでるのぉぉぉぉぉっ!!」」」」」」
真っ二つになり、餡子をぶちまけて絶命してるもの
足を切られ、歩けない動けないと泣き叫ぶもの
目から上を斬り飛ばされ、現状も分からず転がるもの
単純に激痛で悲鳴を上げてるもの、と饅頭にとっての地獄絵図が青年を中心に広がっている。
「ゆっ…ま、まだなんにんかやられただけだよ!くずなにんげんはちょうしにのらないでね!」
息つく間も無く攻撃すればちょっと強い人間なんてあっというまに倒せる筈。
数の優越はひ弱なゆっくりに戦い続けるための士気を与えた。
「れいむしーとれいむえふとれいむえっくすと…れいむをいっぱいころしたげすなにんげんはしねっ!」
いいえ
「どぼじでぐぢごだえずるのお゛ぉぉぉぉぉっ!」
間抜けな絶叫とともに戦いの第二幕が上がった。
まだ生きてるゆっくりも居た仲間の屍を踏み越えて、ゆっくりれいむ達が青年に殺到する。
「あばぁっ!?」剣で薙ぎ払われ、れいむGの口が体の中心まで斬り広げられる
「ゆべっ!」「ゆびびっ!?」「いだいぃっ!」突いた剣がれいむG・R・Wを纏めて貫く
「たわばっ!?」剣の柄を頭に叩き込まれたれいむLが餡子を吐いて地面に落下する
「おべべがっ!?」顔面につま先を叩き込まれたれいむTが後ろの仲間を巻き込み吹っ飛ぶ
「あづいぃぃぃっ!」「でいぶのがみのげがぁぁぁっ!」火球の魔法がれいむQとYを焼き焦がす
踏まれ殴られ目潰しを喰らい燃やされ、次々に倒されていくれいむ達。
だが饅頭の妄執が、圧倒的物量が、遂に実を結ぼうとしていた。
饅頭の体当たりでも1撃は1撃。積み重なれば最大でも3桁の生命力には大きな被害となる。
魔法を使い切っても肉弾戦で戦い続けていた青年だが、
やがて体力の限界を悟ったか空になった薬草袋を投げ捨て逃走する。
…その最中、れいむOとUとZが踏まれて帰らぬゆっくりとなったが。
「ゆ…れいむたち、かったの?」
餡子と饅頭皮の散乱する平原を背に走り去る青年。
その後姿を見送りながらボロボロになったれいむBが呟く。
「そうだよ!れいむたちのかちだよ!れいむたちはやっぱりむてきだね!!」
「ゆっ!そういえば、すごくつよいにんげんは”ゆうしゃ”だってぱちゅりーがいってたよ!」
「ゆゆっ!そういえばれいむは、まおうさんに”ゆうしゃ”をたおしてっておねがいされてたよ?」
「ゆぅっ!それじゃ”ゆうしゃ”をたおしたれいむたちはごほうびいっぱいもらえるよね!?」
「そうだね!おかしもゆっくりぷれいすももらいほうだいだよ!いっぱいゆっくりできるね!!」
「れいむたちやっぱりつよかったね!まおうぐんさいきょーだよ!ゆっへん!」
勝利の味に感動しつつ、好き勝手放題言いながらはしゃぐゆっくり達。
どんなゆっくりプレイスを貰えるのか、と期待と夢を膨らませながら巣に帰っていくのだった。
まあそんなお祭りムードも次の日、酒場で仲間を集めた勇者が戻ってくるまでだったんだけど。
「ゆべぇ!」「ぶぎぃ!」「でいぶのあんよがぁっ!」
「どぼじでゆうじゃがぶえでるのお゛ぉぉぉぉぉぉぉっ!!」
絶叫したでいぶBは直後に真空の魔法で切り刻まれ、爆発の魔法で粉々に砕け散った。
「もっどゆっぐりじだがっだよ゛ぉぉぉぉぉぉぉっ!!」
それから4人に増えた勇者達は、3日3晩に渡って付近のゆっくりを狩り続けたそうな。
疲れた顔の僧侶がひたすらゆっくりれいむを倒し続ける勇者に尋ねた。
「ねぇ、この辺じゃ十分すぎるくらいレベルも上げたし次の街行きましょうよ?」
いいえ
「…いつになったら先に進むワケ?まさか99まで上げるつもりじゃないでしょうね?」
はい
「…もうイヤ、こんな生活」
そう、この勇者の中の人は超やり込み派で、最初の街で最高レベルを目指していたのだ。
がんばれ僧侶!勇者の最高レベルまであと999万匹!
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2作目です。
進歩の欠片もないってか舞台が幻想郷ですらなくなりました。
捻くれたネタの割に捻りのない虐殺だし。
それでもこんなんラストまで読んで下さった貴方に最高の感謝を。
過去作品
ゆっくりころころ
最終更新:2009年03月29日 03:39